「メンタル強い人」が、しなやかに生きるためにやっている2つのこと【精神科医監修】

同じことをやったり言われたりしているのに、ケロッとした顔をしているメンタル強めな人もいれば、弱ってしまう人もいる。できればちょっとしたことではびくともしない、メンタル強めな生き方ができたらどれだけいいだろう…と思いますよね。
でも「メンタルを強くする方法」って、あるのでしょうか?

この素朴な疑問について「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーに活躍する「ラフドクター」、精神科医・産業医の井上智介先生にうかがいました。

お話をうかがったのは…

井上智介先生
精神科医&産業医
「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーにした「ラフドクター」として活躍中。書籍多数。近著に『がんじがらめの心がラクになる 「呪いの言葉」の処方箋 』など。

◆「メンタル強い人」がやっている2つのこと

Q.職場で、私ならまいってしまうくらい負担がかかることをやったり、ストレスになることを言われたりしているのに、まったく動じない人がいます。メンタルが強めの人と弱めの人は何か違いがあるんでしょうか? また、メンタルを強くするコツはありますか?

いわゆる「鋼のメンタル」と呼ばれるような、何があっても動じない人っていらっしゃいますよね。ただ、ガチガチに硬い人はいざというときにポキっと折れてしまうもの。僕たち精神科医の世界では「メンタルが強い人」とは、「柳のようなしなやかさを持っている人」を指します。

しなやかに生きられている強い人は、ふたつの特徴があります。

・のしかかってくるストレスを、自然と自分で緩和している
・もし多少キズついても、スッとリカバリーして戻ってこれる

ひとつずつ説明していきましょう。

「ストレスを、自然と自分で緩和できる」

これは、もののとらえ方の柔軟性と直結しています。

たとえば上司に、何かモヤモヤするお叱りを受けたとき。「はあ、イヤなこと言われたな…」と落ち込む人もいれば、「期待してくれているから言ってるんだろうな、これを乗り越えたら高いレベルの仕事ができたことになるんじゃないか?」とポジティブに捉える人もいる。
言葉にはいろんな可能性があります。イヤだなと思うことを言われたときに、自分の価値観で判断したことで100%ダメージを受けるのではなく、いい意味で「都合よく」受け取ってみることで、ダメージを緩和するのは、ひとつの手です。

「そう言われてもなかなか難しいよ!」と思う場合は、「尊敬する人や、周囲にいるメンタル強めな人が、もし自分と同じ状況だったらどう思うか」という視点で考えてみるのはどうでしょうか。ポジティブに受け入れて改善していく、話を聞いているようで聞かずに受け流している…などなど、いろんな対処法が思い浮かんでくるはずです。ぜひ、「あなた以外」の視点を持ってみてください。

「自分で心のリカバリーができる」

でも、どんなにものごとを柔軟に捉えたとしても、「何を言われてもキズつかない」ことは至難の業です。
そこで重要なのが、もしキズついても、回復する手段を持っていること。メンタルが強く見える人は、もしかすると本人は無意識かもしれないけれど、自分でケアをしている傾向にあると感じます。

「手軽な自分のケア方法」をたくさん持っておくことをおすすめします。

たとえば、「私は週末に旅行に行くと回復できる」とわかっていたとしても、毎週行くのはお金も時間もかかります。もう少しお金をかけず、すぐできるものがいくつもあるといいですね。

どんなことでもいいんです。たくさん寝る、好きな音楽を聴く、サウナに行く、いつもと違うコスメを使って気分を上げる、美味しそうなUber EATSを頼んでみる、ちょっとだけ高級な入浴剤を使ってみる、ハーゲンダッツを食べる、犬や猫の写真を見る…。

人それぞれ、「時間もお金もそこまでかからないけれど、心身が復活する、好きなこと」は何かしらあるはずです。そういう自分のケア方法をたくさん持っていることは、とっても大事です。少し心が疲れてしまったな、というときは、ちょっとしたことでも自分にプレゼントしてケアをしてください。余談ですが僕は「公園のベンチでひなたぼっこ」「1駅の距離を無心で早歩き」「王将の餃子を食べる」などが好きです。

 

構成/後藤香織 写真/(c)Shutterstock.com