“お江戸の前の海”、つまり東京湾でとれた魚をおろして握る、江戸発の握り寿司。そのライブ感あふれる美味しさは、たちまち江戸っ子を魅惑、それ以前に関西より入ってきた箱寿司を駆逐しました。
酢で締める、醤油に漬けるなど、保存のため、味覚のために、魚介にひと仕事施すことで、江戸前の握り寿司は進化を続け、いまや世界をも魅了し、寿司のスタンダードにまでなったのです。
『和樂』7月号では、そんな“江戸前寿司”を大特集。気風を守り、昔ながらの仕事にこだわる、そんな、伝統を受け継ぐ名店たちをご紹介します。
◆きよ田(銀座)
昭和の一時期、小林秀夫、白洲次郎・正子夫妻などが、夜ごと集った伝説の店「きよ田」。2代目の名人・新津武昭さんの引退でいったん閉店しましたが、マグロへの熱い思いが同じならと、仲卸を介して紹介された木村正さんが3代目主人に就任。2001年に再開しました。
そして「マグロのきよ田」の呼び声も健在。じっくりねかせたマグロを豪快に切り落として、芯だけを握る寿司の洗練されていること。鼻孔に抜けるさわやかな香りと酸と鉄分を伴う旨みは、まさに珠玉。
【店舗情報】
「きよ田(きよた)」
住所:東京都中央区銀座6-3-15
電話:03-3572-4854
営業:17:30~22:00
休:日曜・祝日(土曜不定休)
つまみ数品と握りのおまかせで¥35,000~。
※4代目となる吉沢範彦さんが、火曜~土曜の昼に握るサロンは¥19,500。
◆小笹寿し(銀座)
銀座で暖簾分けして今年で20年。長年河岸に通い続けることでのみ仕入れられる極上の魚介を、手をかけすぎずにストレートに生かします。
マグロもアワビもこれでどうだ、と咲き誇るような力強さ。それでいて、おぼろをのせたコハダの佇まいの可憐なこと。いなせとは何かを学べる、貴重な一軒です。
【店舗情報】
「小笹寿し(こざさすし)」
住所:東京都中央区銀座8-6-18
電話:03-3289-2227
営業:12:00~14:00、17:30~22:00(土曜のみ21:00まで)
休:日曜・祝日(月曜不定休)
つまみ数品と握りのおまかせ(昼、夜とも)¥20,000~。おまかせ握りは¥12,000~。