人々から長く愛され続ける、老舗飲食店たち。『和樂』7月号では「東西、老舗の味“美味しい!”対決」と題し、寿司や鍋、麺類など、それぞれのジャンルを語るにふさわしい名店に登場いただいています。
その中から、今回は洋食店対決をご紹介。今も江戸と上方の文化の違いが色濃く残る名店たちの、それぞれのこだわりや愛され続ける訳も知ることができます。
ポークカツレツ ¥1,100
浅草生まれの初代は食いしん坊で、手先の器用な人だったそう。外国人クラブで腕を磨き独立した後は、独学で外国人から料理を習得しました。
ポークカツレツがメニューに加わったのは開業4年後の、明治32年。「じっくり揚げた油ものが苦手な日本人のために、初代は肉の大きさを変えたそうです。衣はカリッと中はしっとりに揚げるには120g弱がちょうど。肉のサイズ、厚みも確定した当時のままです」と3代目の木田明利さんは語ります。
豚のうま味が直球に響く一品。オムライス、エビフライなども味・盛り付けやメニュー表記まですべてが簡潔なのもこの店の味といえます。
住所:東京都中央区銀座3-5-16
電話:03-3561-3882
営業時間:11:15~14:15, 16:40~20:30
※土・祝は20:00まで
日曜定休
名物カレー ¥680
「東京では洋食に慣れていても、ここは大阪の繁華街。庶民に食べてもらうなら、もどかしいことをせんと『スプーンひとつで食べられるものを』と発想したようです」2代目の3女であり若女将の吉田純子さんは、ご飯にルーを混ぜた独創的なカレーについて教えてくれました。
厨房で響く「カン、カン」という太い音。これはフライパンを振ってご飯とルーをなじませるための音で、音がなれば出来上がりの合図です。栄養補給のために当時から卵付きで、満員の店内では注文を間違えないようにカレー客専用のコップが置かれています。
にぎわう店内は、近年外国人観光客が占めることも。「スプーン1本で食べる」洋食は時代も国境も超えて受け入れられるのでした。
住所:大阪府大阪市中央区難波3-1-34
電話:06-6631-5564
営業時間:11:20~21:20(都合により変更あり)
月曜定休(祝日の場合営業、火曜休業)
どちらのお店も、料理も、本当に魅力的。それぞれの味を想像するだけでなく、しっかり自ら足を運び、お店の空気も含めて堪能したいものですね。(鈴木 梢)
『和樂』2014年7月号
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