虹のように多種多様!「LGBTQ+」について考える
今、世界中で注目されている「SDGs」という言葉。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を合わせたもので、世界193か国が貧困や環境問題の改善を2030年までに達成するために掲げた17の目標のこと。去年からスタートした連載では、CanCamモデルのトラちゃんが「SDGs」について読者の皆さんと考える機会を作っています!
今回のテーマは、「セクシュアリティ」について。最近よく聞くけれど、意外と知らない「LGBTQ+」という言葉や意味について、臨床心理士であり当事者でもあるみたらし加奈さんにお話をうかがいました!
そもそも「LGBTQ+」ってなに?
「LGBTQ+」とは、セクシュアル/ジェンダーマイノリティの総称のひとつ。セクシュアル/ジェンダーマイノリティを代表する5つのセクシュアリティとジェンダーの頭文字に、「+」を付けた造語で、国際社会で定着しています。
■5つのセクシュアリティ
L:レズビアン…からだとこころの性別は女性で、好きになる相手も女性である人
G:ゲイセクシュアル…からだとこころの性別は男性で、好きになる相手も男性である人
B:バイセクシュアル…からだとこころの性別を問わず、好きになる相手が両性である人
T:トランスジェンダー…からだの性別とこころの性別が一致しない人
Q:クエスチョニング…セクシュアリティが定まっていない人、もしくは意図的に定めない人
■代表的な5つ以外のセクシュアリティ
+:プラスアルファ…代表的な5つ(LGBTQ)の他にも、まだまだたくさんのセクシュアリティが存在
・インターセックス…性別の判断基準となる染色体や性器などが、先天的にどちらかに統一されていない(あるいはあいまいな)人
・Xジェンダー…性自認が男性にも女性にもあてはまらない人
・アセクシュアル…他者に対して性的欲求(または恋愛感情)を抱かない人
・デミロマンティック…強い信頼関係や友情を持った相手に対してのみ、稀に恋愛感情を抱く人
・パンセクシュアル…あらゆる性別の相手を好きになる人 etc
覚えておきたい! 性を構成する4つの要素
セクシュアリティを構成する、主な4つの要素をご紹介。知っておくと『LGBTQ+』を理解する手助けに!
■好きになる性…「どの性別が恋愛対象になるか」という性的指向のことを指します。異性を好きになる人、同性を好きになる人、両性を好きになる人、などが含まれます。
■からだの性…生物学的には、性染色体や内性器、外性器など、いくつかの要素によって女性か男性に決まります。ですが性分化疾患などもあり、実際は単純に二分できません。
■表現したい性…服装や言葉使いなどによって、自分の性を外部に対してどう表現するかということ。こころの性が女性でも、表現したい性が必ずしも女性とは限りません。
■こころの性…「自分をどのような性別と捉えるか」という性自認を指します。からだとこころの性が一致しないと認識する人や、男性・女性どちらでもないと感じる人もいます。
「LGBTQ+」の人にとって日本は生きづらい国!?
トラ「今『SDGs』について勉強しているのですが、誰もが平等な社会を作るためには『LGBTQ+』についてみんながもっと理解する必要があるなって思っているんです。ぜひ色々教えてください!」
みたらし「日本ではまだまだ『LGBTQ+』への理解が広がっていないですよね…。当事者にとっては生きづらい世の中だと思います」
トラ「やっぱりそうなんですね。そういえば、みたらしさんは同性パートナーがいらっしゃるんですよね。その中で何か感じたことはありますか?」
みたらし「同性カップルは、異性カップルに比べて社会的にも法的にも認められておらず、未来を見据えたパートナーシップを結ぶことが困難すぎると感じています。海外には、同性でも結婚でき、社会的にもきちんと認めてもらえる国も存在するのですが、日本ではまだまだ難しい! その壁のせいで愛し合っているのに関係にヒビが入った…なんて話も聞いたことがありますし、ぜひ社会の仕組みから『LGBTQ+』フレンドリーになってほしいと願っています」
トラ「たとえ形式的なものだったとしても、法や社会に認められているって重要ですよね。生活だけでなく、精神的な安心に欠かせないことだと思います」
みたらし「あとは、セクシュアルマイノリティの正しい性情報が浸透していないせいで、トラブルが起こりがちですね。カップルになっても性生活の営み方がわからなかったり、周りから珍しがられてセクハラを受けたり。同性カップルはカミングアウトのハードルの高さや、妊娠の可能性がないのもあって、性暴力の被害を告発しにくいケースもあります」
トラ「みんなが正しい情報にアクセスできるようになれば、色んな悲劇を減らせそうだし、社会も変わるはず…! でも、どこで情報を得たらいいんですかね。やっぱり、ネットかなぁ?」
みたらし「ネットで、信用できる人がオススメしているHPや本、参加しているイベントを調べてみるのがいいですよ。私のおすすめは『パレットーク』というWEBマンガ。『LGBTQ+』のあれこれを紹介しているのですが、とってもわかりやすいですよ」
トラ「イラストだと理解しやすいですね! 絵柄もかわいいし、あとでじっくり読みます。他にも『LGBTQ+』の当事者のためにできることってありますか?」
理解して前に進むために、必要なのは言葉です!
みたらし「セクシュアリティのことは、グラデーションのように捉えるようにしてみてほしいかな。そして、自分もその中に含まれていることをたびたび思い出してみてほしいです」
トラ「私もセクシュアリティをもった当事者で、『LGBTQ+』の当事者とどこかでつながっているってことですね。自分にも関係があるって考えられたら、もっと優しくなれたり努力できそうです。環境問題を考えるときみたいに、セクシュアリティのことも“自分ごと”にしていくのが大切なんだな」
みたらし「会話を重ねていくことも大事です。セクシュアリティについて話したり、人に質問するのは少しハードルが高いかもしれませんが、仮に当事者でなかったとしても味方であることは表明できるかも。そうするとカミングアウトしやすい環境ができて、対話が生まれるかもしれませんね」
トラ「『LGBTQ+』フレンドリーだということを口に出す人が増えれば、社会も動きそうですね! そうだ! 最後にもうひとつ質問させてください! もしセクシュアリティのことで悩みを抱えてしまったら…どうしたらいいですか?」
みたらし「周りには言いづらいでしょうし、言ってすぐ理解してもらえないこともあるでしょう。まずは『LGBTQ+』に理解のある臨床心理士やカウンセラーに相談してみるといいと思います。あと、セクシュアリティのラベリングはあくまで自己理解の一部だと覚えておくと少し楽になれるかも」
トラ「無理に何かに当てはめて苦しくなるなら、わからないままでいいってことですか?」
みたらし「そのとおり! ラベリングして気持ちが楽になる人もいますが、そうでない人は無理にラベリングしなくてもいいんですよ。」
トラ「その考え方、とっても素敵ですね。みんながそうやって、自分らしく生きられたらいいなぁ」
みたらしさんが紹介してくだささった『パレットーク』は、セクシュアリティだけでなく、ジェンダーの話もあってトラちゃん興味津々!
【Tora’s SDGs Message!】自分らしさを大切にレインボーな私でありたい!
身近に「LGBTQ+」のお友達がいるので、今回のお話を参考にもっと交流を深めたいなと思います。セクシュアリティのことって、普段あんまり考えたり学んだりする機会がなかったので、今回は本当に勉強になりました。自分にも関係があることのひとつとして今後も考え続けていきたいです。
目指せ「SDGs」!トラちゃんの今月の一歩
■トラちゃんの今月の1冊は…『マインドトーク あなたと私の心の話』
みたらしさんが、自身の半生を綴ったエッセイ本。力強くも優しい文章に、セラピーを受けている気持ちになりました。
■しょう油搾り体験で、エシカルな生活に思いを馳せる♡
大好きな調味料の作り方が気になって参加! しょう油を搾った後のもろみカスも調味料として使えるんですって。日本の伝統には、エシカルが自然と息づいているんだな♡
今回は、耳にする機会が増えつつある「LGBTQ+」について、みたらし加奈さんとトラちゃんの対談をご紹介しました。自分ごととして捉えたり、言葉に出してセクシュアリティについて話したり質問したり…、できることから積極的に動くことが大切ですね。
ほかにも発売中のCanCam6月号では、トラちゃんが日々実践している環境に優しい生活を徹底解剖しています! サステイナブルな毎日を公開しているので、トラちゃんともっとSDGsについて考えてみたい! という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
撮影/花村克彦 スタイリスト/奥富思誉里 ヘア&メイク/MAKI モデル/トラウデン直美(本誌専属) 撮影協力/田中かほ里 構成/衛藤理絵