さまざまなゲームでいろんなコラボを見かけますよね
今回はゲームとエンタメのコラボのお話です。
「それがインディーゲームデベロッパーになんの関係が?」とおもわれるかもしれませんが、のちのち「IP戦略」や「プロシューマーの可能性」というお話に繋がっていきます。
(はい、また懲りずに「お隣の~」シリーズです)
さて。いわずもがなですが、日本のアニメ(コミック)は世界に誇る人気コンテンツですよね。
当然ながら国内でも人気が高く、ときに社会現象を巻き起こすほどです。
日本や中国ではゲームのコラボといえば特にアニメやコミックが多いです。
コラボ元のファン層を呼び込むことで、非常に効果的なプロモーションとなります。
例えば、NetEaseの『決戦!平安京』では国内外で一大ブームとなった『鬼滅の刃』の登場人物をプレイアブルキャラクターとして操作できます。
MOBAという競技性重視でコラボが難しいジャンルにも関わらず、かなり再現度は高いです。
X.D. Global(2019年まではNetEase)の『非人類学園』では『僕のヒーローアカデミア』や『とある科学の超電磁砲』など、数多くのアニメとコラボしています。
ですので、たとえば「緑谷出久 vs
御坂美琴」といった夢の対決もできたりするわけです。
(ヒロアカコラボは中国サーバのみで、現在は諸事情によりキャラが削除されています)
テンセントの『Arena of valor』でも『鬼滅の刃』や『Sword art online』とコラボしています。
アニメやコミックのほか、ゲームのキャラクターをコラボで起用するパターンも多いです。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズなんて、その最たる例だとおもいます。
スマブラほどコラボの楽しさを引き出しているゲームはほかに思い当りません。
スマブラにはリュウやテリーなど格闘ゲームのキャラが登場しますよね。
先ほどArena of valorでご紹介したテンセントの『Honor of Kings』(Arena of valorのグローバル版)や、Moontonの『Mobile Legends』では、SNKの『KING OF FIGHTERS』とコラボしています。
これまでサイドビューで操作していたキャラをトップダウンで操作できるのは楽しいです。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これまでご紹介した「決戦!平安京」「非人類学園」「Arena
of valor」「Honor of Kings」「Mobile Legends」
これらのタイトルはすべて『MOBA』というゲームジャンルです。
MOBAはこれまで日本ではあまり浸透していないゲームジャンルでしたが、株式会社ポケモンとテンセントが共同開発している『Pokémon UNITE』が日本でサービスを開始したことで知った方も多いかもしれません。
MOBA(Multiplayer Online Battle
Arena)とは、ひとことで表すなら陣取り合戦です。
一見するとアクション性の高いバトルゲームに見えますが、大分類ではストラテジー(戦略)ゲームに入ります。
MOBAはストラテジーの分類の中でRTS(リアルタイムストラテジー)として扱われ、さらにサブジャンルのひとつとして定義されています。
大まかなルール説明になりますが、大半のMOBAは5対5のチームにわかれ、相手陣にあるタワー(タイトルによって名称はさまざま)を破壊して自陣を広げ、相手の拠点にあるコアタワー(LoLの場合はネクサス)を破壊したら勝利となります。
マップと呼ばれるバトルフィールドには森や川もあってかなり広いです。
そこにはミニオン、ポーン、クリープなどと呼ばれる中立モンスターが存在し、倒すことで経験値や貨幣を得られます。
経験値を蓄えるとレベルアップし、アビリティ(スキル)の習得や強化ができます。
貨幣はビルドと呼ばれる装備アイテムを購入し、装備することでプレイヤーを強化できます。
このレベルアップや装備購入のための強化作業がファームと呼ばれます。
ただ闇雲に相手に戦いを挑むのではなく、ファームで自身を強化したり、味方のファームを手伝ったり、あるいは相手のファームを邪魔します。
MOBAはPS(プレイヤースキル)も求められますが、戦略的な立ち回り、チームでの協調も求められ、競技性が高く奥の深いゲームとなっています。
その中でも、Riot Games(テンセントの子会社)がサービス中の『League of Legends(略称:LoL)』はMOBAの最高峰といっても過言ではないでしょう。
なんならMOBAというジャンル内だけではなく、あらゆるジャンルを含めても「世界で最もプレイヤー数の多いゲーム」といわれていて、さらにはリアルのプロスポーツを含めても競技人口がテニスに次ぐ5位(2018年の発表時点)です。
今現在もアクティブプレイヤーはさらに増えており、その数は1億を超えているそうです。
そんなLoLも度々コラボをしているんですが、アニメやコミック、ほかのゲームのキャラクターとは一度もコラボしたことはありません。
では、一体なにとコラボしているのか…。
それは『K-POP』です。
e-Sports最大級の世界大会と称される『League of Legends World Championship』
その2018年決勝戦のオープニングセレモニーで、ヴァーチャルポップアイドル『K/DA』が『POP/STARS』という曲をオープニングアクトとして披露しました。
このK/DAには実在するK-POPアイドル『(G)I-DLE(通称:アイドゥル)』のソヨンとミヨンが参加しています。(ちなみにソヨンはアカリ、ミヨンはアーリを担当)
(G)I-DLE(通称:アイドゥル)は韓国、タイ、中国、台湾出身のメンバーで構成されており、世界的に人気の高いアイドルグループです。
これ当時、はじめて見たときは鳥肌たちましたよ。
楽曲、ステージパフォーマンス、MVどれも最高です。
「LoL+アイドゥル」という化学反応はシナジーが半端ないです。
これ、ゲーム内でも各メンバー用のK/DAスキンが販売されていて、スキンを着た4人が揃うと専用の演出があったりします。
私はそれまでアーリをあまり使うことはなかったんです(そもそもMIDが苦手だった)けど、アイドゥルのミヨンが好きなのでこのコラボ以降はK/DAスキン着用のアーリを好んで使うようになりました。
Eスキル(スキル3)の「チャーム」をMVで再現していたり嬉しい演出もあります。
このコラボによって、LoLプレイヤーにはK-POPアイドルへ興味を持ってもらい、K-POPアイドルのファンにはLoLをプレイしてもらう機会を作ったわけです。
(そして元から両方が好きだった私のような者は、スキンに課金して曲をヘビロテするわけです)
このコラボは大成功となり、LoLのK-POP推しはさらに続きます。
2019年はヴァーチャルバンド「True
Damage」のメンバーとして、アイドゥルのソヨンが続投します。
True
DamageはK/DAよりポップさを抑えて、HIPHOP色が強いコンセプトとなっています。
HIPHOPはK-POPの得意分野でもあり、アイドゥルでメインラッパーを務めるソヨンの韓国語ラップも存分に活かされていました。
2020年は再びK/DAコラボです。
今回、新メンバー「セラフィーン」が新たに加入し、5人体制での楽曲「MORE」が公開されました。
Worlds 2020
Finalsの開催国は上海ということもあってか、MVのセラフィーンパートは中国出身の『Lexie
Liu』が中国語で歌います。
そして、大会セレモニーのオープニングアクトはLexie
Liuの単独パフォーマンスとなりました。
これには中国が発令した『限韓令』によって、韓国籍のタレントが中国での芸能活動を制限されていることが理由だとおもわれます。
政治的背景が文化交流の妨げになるのは非常に残念です。
今回はスキンによるコラボだけではなく、セラフィーンが新しいチャンピオン(プレイアブルキャラ)として追加されます。
K/DAのメンバーは、スキンを着ていない素のキャラクターのコンセプトが暗殺者、妖怪、悪魔、人間兵器と、アイドルとはかけ離れた存在なのですが、セラフィーンに関しては素のキャラクターからアイドルというコンセプトになっています。
スキンは好みで買うか否かは自由に選択できますが、チャンピオンの場合は「高Tierで環境マストピックのOP(そのバージョンでの調整によって異様に強キャラになってしまったキャラ)」がドラフトピック(キャラの禁止と選択をする場面)でBAN(禁止)されなかったら使うしかないわけです。
これには一部の硬派なLoLプレイヤーから批判がありました。
セラフィーンは実装当時にそこまでOP(オーバーパワー /
ゲームバランスを壊すほどの強さ)というほどでもなかったのですが、なんかやたらと刺さって結構BANされてたとおもいます。
ただ、マストBANってほどでもなくBAN漏れも普通にありました。
私はセラフィーンのコンセプトもキャラクターデザインも好きだったので、BANされずサポートの枠が空いていた場合はよくピックしていました。
そんなこんなもあってか、K/DAコラボはこれ以降出てきません。
2021年はNetflixで人気を博した、LoLの世界が舞台の自社アニメーション作品『Arcane』をフューチャリングしたオープニングセレモニーとなりました。
この年には「League of Legends: Wild
Rift」(LoLモバイル版)のSEA(東南アジア)チャンピオンシップ
グランドファイナルのオープニングセレモニーで、K-POPグループのaespaが「BTSを超えた」と韓国で話題になった「Next Level」のパフォーマンスを披露しました。
そして同年、K/DAコラボの終了を決定づけることになり得る問題が発生しました。
2021年2月、アイドゥルの元メンバーのスジンに過去の校内暴力(いじめ)疑惑が浮上しました。
この件に関しては告発者と法定争いにまで発展しましたが、スジンと告発者の双方ともに主張を取り下げることがないまま議論は終結し、未だ真相は明らかになっていません。
騒動の間、それまで好調だったアイドゥルは1年以上も表立った活動がなく、結局スジンは疑惑が晴れないままグループを脱退します。
スジン脱退後のアイドゥルはというと、ピー音(規制音)で歌の一部を伏せたことも話題となった「TOM
BOY」を皮切りに、ヒット曲を連続して今現在も快進撃が続いています。
最新曲の「Super
Lady」は、韓国で「国民の妹」と呼ばれ絶大な人気を誇る歌姫『IU(アイユ)』を抑え、音楽番組で3冠を達成しています。
IUがどれだけすごい人物かというと超高難易度の『PAK(Perfect
All-Kill)』を何度も達成するほどです。
PAKとは主要音楽配信サービス+αでウィークリー、デイリー、リアルタイムすべてのランキングで1位を獲得する『完全制覇』のことです。
PAKの達成者はK-POPの中でも一握りしかおらず、まさに一流の証です。
さらにIUはPAKを一番最初に達成した人物でもあり、その後に22曲を達成して最多記録を保持する超一流です(あのBTSでも4曲)。
ちなみにアイドゥルはTOM BOYで初のPAKを達成し、「Queen
Card」までに3曲連続で達成しています。(追記:本記事投稿後にSuper
LadyもPAKを達成し、4曲連続達成という史上初の快挙を成し遂げました。)
アイドゥルはIUという超強豪相手に直接勝負で勝ったのですから、その人気は本物だといえるでしょう。
ミヨンのビジュもさらに磨きがかかっています。
アイドゥル自体はスジンの脱退以降、逆風をはねのけ飛ぶ鳥を落とす勢いですが、LoLとK-POPの蜜月関係はこのまま終わってしまうのでしょうか…。
というわけで今回はここまです。
この続きは次回『お隣のコラボ事情2』をお楽しみに!
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