【書】『おくのほそ道』 93(かゞの国2)(No.1,951) 「卯の花山・くりからが谷をこえて、金沢は七月中の五日也。爰に大坂よりかよふ商人、可処と云有。それが旅宿をともにす。一笑と云ものは、此道にすける名の、ほのぼの聞えて、世に知人も侍しに、去年の冬早世したりとて、其兄追善を催すに、 塚も動け我泣声は秋の風 ある草庵にいざなはれて 秋涼し手毎にむけや瓜茄子 途中唫 あかあかと日は難面もあきの風 小松と云所にて しほらしき名や小松吹萩すゝき。」 (訳:卯の花山や倶利伽羅峠を越えて、金沢に着いたのは七月十五日ののことであった。ちょうどこの地に、大坂から商用で通って来ている可処という俳人と居合わ…