Attention Deficit Hyperactivity Disorderの略称。発達障害の一つで、「注意欠陥多動性障害」「注意欠陥多動症候群」などとも言われる。今まではADDやMBDなどという概念で判断されていたが、現在ではADHDとして分類するのが一般的となっている。
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的活動や学業に支障をきたす状態をさす。俗に「多動症」「ハイパーアクティブ」とも言う。
脳の機能障害という学説が一般化されてからは、リタリンが小児精神科において処方されていたが、現在ではコンサータやストラテラの処方が成人にも認められるようになった。成人への薬物療法や新薬導入におけるドラッグラグなどの問題も、徐々に改善の兆しを見せてきている。
障害が落ち着いてきている成人には、診察と平行して、カウンセリングや認知行動療法などを中心に、生活習慣の改善等で障害による症状を軽減していく方法が選択されることが多い。
以上のような特徴があり、現在、アメリカでADHDの患者数は推定200万人、近年、日本でもかなりの数が報告されている。
医学博士の司馬理英子の著書「のび太・ジャイアン症候群」では、当事者としてだけではなく、当事者の親としての経験以外にも、アメリカのADHD当事者への支援状況を紹介し、ADHDの子供への対処法にも触れている。
注意欠如の傾向が強い特徴を「のび太型」とし、多動性の傾向が強い特徴を「ジャイアン型」と分類したことで、ADHDの概念がより知られていくようになった。どちらの要素も含む特徴を「混合型」と呼ぶ。