ドイツ経済の見通し発表は、3/6/9/12月や4/10月となっていることが多いので、8月はとかく品薄になりがちです。
そんな中、昨日経営者系シンクタンクのケルン研(IW)がドイツ経済の分析コメント(予測値を一覧表にしたような経済予測ではありません)を発表しましたので、そのエッセンスを簡単にご紹介します。
- ドイツ経済は各種のショック(地経学的(特に対中露)軋み+持続的なコスト上昇+世界需要の低迷など)に苦しめられている。これらのショックの中にはこれからもずっと続く部分もある。
- 特に(エネルギーの)コスト上昇は、ドイツ製造業の国際競争力を著しく低下させている。
- 今年のグローバル経済成長率はわずか2.5%にとどまるため、輸出依存度の高い(輸出はGDPの約半分の規模)ドイツ経済(特にエネルギー集約型産業)にとっては厳しい。
- 米国経済は強く、リセッションリスクは低いが、ユーロ圏は今年0.75%の成長に留まる。
- 中国は不動産、輸出、デフレ等で苦しみつつも5%成長を予想
- 景気低迷と金利上昇により、投資投資はコロナ前の水準を▲1.5%下回る。
- インフレがなかなか鈍化せず(今年+6.5%と高めの着地を予想)、個人消費が景気全体を押し下げ。但し、高い賃上げによりその影響は今後低下する。
- 今年通年の実質GDPは前年比最大▲0.5%まで落ち込みうる。(筆者補足:年後半2四半期も前期比▲0.1~▲0.2%のマイナス成長をイメージしている模様)
- 今年の就業者数は約4,590 万人と高止まるが、今後はあまり増えない。
- 経済の大幅悪化のため、歳入が当初予測を下回っている。一方、電気・ガス価格上限設定にかかるコストが(その後のエネルギー価格低下のおかげで)当初想定よりも小さくて済む見込み。
- 今年の財政赤字は970億ユーロ(GDPの約2.5%)、政府債務比率は65%で着地見込み。財政状況は景気が悪い割に十分良好。
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