さる七月場所、隆の勝は横綱照ノ富士から金星をあげ、優勝決定戦
にコマを進めた。優勝決定戦は力及ばず照ノ富士に敗れたものの敢
闘賞を受賞した。隆の勝久々の活躍となり、存在感を示した。それ
も終盤になって急浮上してのものだった。
入門は15歳のときである。師匠は元舛田山の千賀ノ浦である。前相
撲はの2010年三月場所である。同期に輝がいる。四股名は舛ノ勝で
あった。出世に関しては時間がかかり、各段の優勝はなく、特別目
立つことはなかった。
幕下時代に師匠の交代があった。師匠の元舛田山が65歳を迎え、部
屋持ち親方でいることができなくなった。舛田山は春日野(元栃錦)
部屋出身の力士である。本来なら出羽一門の親方が部屋を継ぐのが
筋道であった。しかしそれがかなわず、貴乃花一門(当時)の常盤
山(元隆三杉)に師匠を託すことになった。また幕下時代に舛の勝
と「の」の字に改名している。
舛の勝は結局44場所かかって十両に昇進した。このとき隆の勝に改
名した。十両5場所かかり、隆の勝は入門9年目で新入幕を果たし
た。2018年九月場所のことであった。幕内2場所で十両に戻り、5
場所かかって再入幕となった。ここから幕内に定着した。
再入幕3場所目に敢闘賞に輝いた。2020年三月場所のことであった。
五月場所はコロナで中止になった。翌七月場所、隆の勝の変身はこ
こから始まった。上位で5場所連続勝ち越した。4場所連続関脇に
在位した。このころの隆の勝は間違いなく実力者であった。ただ、
三賞につながらなかった。
関脇負け越し後は上位に定着し、敢闘賞・殊勲賞を受賞した。殊勲
賞は優勝照ノ富士に勝利した評価である。その翌場所、2022年七月
場所を途中休場してから目立だった活躍はなかった。先場所は久々
の活躍だった。来たる九月場所は前頭筆頭が予想される。どういう
相撲をみせるか、注目したい。