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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
明けまして おめでとうございます
2008-01-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
2008年の経済は、どんな展開を見せるのでしょうか。重要なニュースを取り上げ、掘り下げて行きます。ことしもご支援、ご協力をお願いします。

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明けまして おめでとうございます
2008-01-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
ことしも よろしく おねがいします。

      Economy33 on holiday.

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明けまして おめでとうございます
2008-01-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
ことしも よろしく お願いします。

        Economy33 on holiday.

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スタグフレーション度を 監視せよ
2008-01-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
ことしの先進国経済、キーワードはおそらくスタグフレーションになる。スタグフレーションというのは、スタグネーション(景気の停滞)とインフレーションの合成語。1970年にイギリスのマクラウド蔵相が議会演説のなかで使ったのが、最初だといわれている。当時1960年代の終わりから70年代にかけて、アメリカやヨーロッパ主要国はかつて経験したことのない不況と物価高の共存に悩まされていた。

それまでは不況になれば物価は下落するのが、常識だった。その常識が通用しなくなったのは、不況になっても賃金が下がりにくくなったこと。不況対策として財政支出を拡大しても、景気は回復せずに通貨量だけが膨張したこと。インフレ退治のために金融を引き締めると、物価は下がらずに景気が下降してしまったこと--などが原因だと説明されている。日本は高度成長の真っ只中で、インフレ気味だったが不況にはならず、欧米諸国からうらやましがられていた。

いまアメリカもヨーロッパ諸国も、そして日本もスタグフレーションの入り口に差しかかっている。いずれの国でも、成長率の予想は下方修正。その一方で、物価は明らかな上昇軌道を歩み始めた。日本の消費者物価も、11月は前年比0.4%の大幅な上昇となった。景気下降の原因はサブプライム問題や、日本の場合は住宅基準法の改正など、いろいろ。物価の高騰は、主として原油の値上がりが原因だ。

いったんスタグフレーションになってしまうと、抜け出すのが大変だ。たとえば金利政策一つをとっても、上げれば不況の度合いを強めてしまうし、下げれば物価上昇を加速する。身動きがとれなくなってしまう。1970年代当時と違うのは、新興国の景気がいいこと。これが先進国のスタグフレーション突入を阻止する力になるのかどうか。ことしは経済指標が出るたびに、それがスタグフレーション度を強めているかどうか。しっかり監視して行く必要がある。

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 原油のABC (6)
2008-01-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
6)3つの市場、3つの価格 = 新春早々の2日、とうとう原油価格が100ドルの大台に到達した。04年9月に50ドルを突破してから、3年4か月で2倍に。昨年1年間では、約60%の上昇となった。こうした原油価格の推移は、すべてニューヨーク商品市場で取り引きされているWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエ-ト)と呼ばれる油種の先物価格で表示されている。

原油はその産地によって、成分がそれぞれ異なっている。主成分は炭化水素だが、硫黄や酸素、窒素などの化合物がどの程度まじっているかで、油質が変わる。硫黄などの化合物が少ないほど揮発性が高く、精製に手間がかからないので、価格も高い。この軽質油の代表的な油種がWTI 。ニューヨーク市場に上場されたことから、世界の原油価格をリードする指標になっている。

ほかにヨーロッパでは、ロンドン市場に上場されている北海ブレンドと呼ばれる油種が。またアジアでは東京市場のドバイ原油が、取り引きの際の指標価格になっている。つまり実際に売買されている油種は数十種類もあるが、それらの価格は3つの市場で取り引きされる3つの油種の価格変動に追随すると考えていい。3つのなかでもニューヨークのWTI 価格が最も重視され、その動きはロンドンや東京にも大きな影響を与える。

日本国内のガソリンや灯油の値段に直接影響するのは、ドバイ原油の価格だ。このドバイ原油、04年5月には35ドルだったが、昨年は56%も上昇。年末には1バレル=90ドルに接近した。さらに年明け2日にWTI が100ドルに乗せたため、4日には92ドル64セントの新高値を付けている。

                               (続きは来週サタデー)

    ≪4日の日経平均 = 下げ -616.37円≫

    【今週の日経平均予想 =1勝0敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-01-06-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第8章 円高・円安って、なんだろう? ⑥

みなさんは毎日、円というおカネを使っていますね。日本が自分の国の通貨に「円」という名前をつけたのは、1871年(明治4年)でした。いまから137年も前のことです。それ以前は、おカネに「両(りょう)」という名前を付けていました。テレビの時代劇を見ていると、10両だとか100両だとかいう話が出てくるでしょう。

明治政府は「円」を誕生させたとき、1ドル=1円と決めました。しかし、これでは円が高すぎて輸出が伸びません。円安にして輸出を伸ばそうという主張と、円安にすると輸入物価が高くなるから反対だという主張が激しく対立したという記録が、1893年の文書に残っています。この議論の意味がよく判らない人は、先々週と先週のこのブログを読み返してみてくださいね。

円のドルに対する価値は、1897年になると1ドル=2円に改められています。その後も少しずつ円安の方向に変えられて、第2次大戦が始まる直前のレートは1ドル=4円25銭でした。戦争で日本経済はめちゃめちゃになりましたが、戦後1949年(昭和24年)になって、日本を占領していた連合軍が1ドル=360円にするよう命令を出しました。ここから1ドル=360円の時代が22年間も続くのです。

戦争で日本の経済力はゼロに近くなっていたため、最初360円という為替レートはきびしい円高。輸出もほとんど出来ませんでした。それが経済の復興によって、360円レートでも輸出が大きく伸びるようになったのは1968年(昭和43年)ごろからです。つまり経済が強くなったために、日本にとっては同じ360円レートでも円安になったと言うことができます。

                                 (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-01-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
世界経済は、年明けから冬の大嵐に見舞われた。1月2日、ニューヨーク市場では原油価格が100ドルを記録し、ダウ平均株価は221ドルの大幅安となった。3日には、ロンドン市場で金が865ドルの新高値。ロイター商品指数も、史上最高値を更新した。4日には、ダウ平均が再び257ドルの急落。ドルは各国通貨に対して下落、円の対ドル相場も107円台まで上昇した。日経平均も616円の暴落を演じている。

4日付けのこのブログで「スタグフレーション度を監視せよ」と書いたが、その途端にアメリカのスタグフレーション度は、一気に上昇してしまった。アメリカ経済が不況と物価高の併存状態に陥る確率は、これで90%に達したとみていいだろう。FRB(連邦準備理事会)は4日、入札金利方式による600億ドルの新たな融資を発表した。政府・与党は減税を軸とする景気対策の検討を始めている。

今週10日に、バーナンキFRB議長の講演が予定されている。FRBは29日にFOMC(公開市場委員会)を開くが、この講演でバーナンキ議長が政策金利の追加引き下げについてどんな姿勢をほのめかすのか。これが今週のハイライトになりそうだ。それにしてもアメリカの政策対応は、かなり素早いと評価できるだろう。また今週は9日にイングランド銀行が金融政策委員会を、10日にはECB(欧州中央銀行)が理事会を開く。それぞれ金融政策の変更があるのかどうか。

日本経済もスタグフレーションの入り口にきている。突入する確率で言えば、おそらく80%に近いだろう。ところが政府・与党のなかで、こうした危機感を持つ人はほとんどいない。したがって当然ながら、景気対策を考える人は皆無と言っていい。危ういかな、日本経済--である。そうしたなかで、10日には11月の景気動向指数が発表される。これに関する政府のコメントが、相変わらず「回復基調が続いている」だったら何をか言わんやである。

    ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

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新興国は 頼みの綱になるか?
2008-01-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
主要先進国の株価が軒並み急落するなかで、新興国の株式が頑張っている。08年はまだ始まったばかりだが、この短期間のうちにアメリカのダウ工業株平均は3.5%下落した。日経平均も4日だけで4%の値下がり。週明け7日も大幅続落した。イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ主要国でも、株価は大きく下げている。その一方で、中国やインドの株価は上昇。きわめて対照的な展開をみせている。

ダウ平均の下落は、アメリカ経済が景気後退に陥る危険性の高まりを反映したものだ。その心配が、日本やヨーロッパ諸国の株式市場に伝染した。アメリカが不況になれば、これら先進国の対米輸出が減少する。過去の経験からみても、これら諸国の景気にとって、かなりのマイナス要因となるに違いない。株式はその心配を先き取りして、大きく売り込まれた。

中国やインドも、アメリカには大量の商品を輸出している。ところが、いまのところアメリカ発の不安は伝染していない。なぜだろう? 答えとしては、いろいろな可能性が考えられる。まずアメリカの株式市場から引き出された投機資金。その一部が、新興国市場に向かったかもしれないこと。次に中国やインドは高い経済成長率を維持しているため、輸出が減少しても吸収してしまう余地がありそうなこと。

3つ目は、過去にそうした経験がないこと。アメリカの本格的な景気下降は、これから始まる。したがって各国の対米輸出も、これから減少し始める。過去の経験から先進国はこうした将来のマイナスを先き取りしてしまうが、新興国にはそれがない。もしそうだとすれば、中国やインドの株価も近いうちに下がることになる。本当のところは判らないが、いずれにしても新興国の元気が衰えなければ、先進国の病いも軽くて済むことになる。

    ≪7日の日経平均 = 下げ -190.86円≫

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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失速した 新車の国内販売
2008-01-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
日本自動車販売協会連合会の集計によると、07年に国内で売れた新車の台数は535万3600台だった。3年連続の減少で、06年に比べても6.7%減った。この販売台数は、1982年以来の低い水準で、ピークだった90年を約3割も下回っている。関係者の予測では、販売台数の縮小は08年も続くという。自動車メーカーはここ当分、海外市場に頼らざるをえない状況から脱出できそうにない。

内訳けをみると、排気量660CC超の登録車は343万3800台で前年比7.6%の減少。軽乗用車は192万台で、同じく5.1%の減少だった。軽乗用車の減少は4年ぶり。これらのうち普通乗用車は129万9100台で、前年比6.0%の増加。貨物車は46万5000台で、17.6%の大幅な減少を記録した。メーカーのうち、前年より販売台数を増やしたのはダイハツ1社だけ。

経済全体に占める自動車産業のウエートはかなり大きい。鉄鋼、ゴム、ガラス、コンピュータなど使用する材料が、きわめて広範にわたっているからだ。いまのところ輸出が好調なために、メーカー本体やこうした関連産業の経営に目立った悪影響は出ていない。しかし国内販売にだけ頼っている、車内用の装飾グッズや掃除用品の売上げは伸び悩み。また自動車関係の雑誌は、売れ行きががくんと落ちたという。

販売減少の原因について、業界では人口の減少、ガソリンの高騰、それに若者の車離れを挙げている。だが人口は減少期に入ったが、まだ車の販売に影響が出るほど減ってはいない。ガソリン高騰も影響はあるだろうが、新車販売の落ち込みは原油が高騰する前から始まっている。すると大きな原因は、若者のライフ・スタイル変化だろう。自動車関連業界は、その理由について、もっと研究する必要があるのではないか。

    ≪8日の日経平均 = 上げ +28.12円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ

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金が史上最高値! 1000ドル狙う?
2008-01-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
ニューヨーク市場で8日、金価格が1トロイオンス=879ドル40セントの史上最高値を記録した。これまでの記録は1980年1月に付けた875ドル。これを28年ぶりに更新した。2001年には250ドル台まで下がっていたから、この7年間で3倍半の値上がりということになる。さらに夜になってからの時間外取り引きでは、894ドル40セントにまで上昇した。ニューヨーク市場は先物取り引きが中心だが、現物取り引きのロンドン市場でも873ドル25セントの新高値となった。

理由はアメリカ経済のスタグフレーション入りが、ほぼ確実になったこと。株安・ドル安・インフレ懸念の3要素が、金の価格を押し上げた。まず株式市場に向かっていた投機資金の一部が、金市場へと方向転換した。ドルという貨幣資産から、実物資産の金へ乗り換える動きが生じた。インフレに強い金に対する関心が高まった。今回の金価格上昇は、これでほとんど説明がつく。

金という商品は、実に奇妙な性格を持っている。生産量は年間2500トンほど。その6割以上が宝飾品として消費される。また半導体の一部にも使われる工業原材料でもある。そして変質しない。どんな国の通貨とも容易に交換できる、という特性も有している。だから国際的に緊張が高まると、必ず買われた。80年の最高値も、イラン革命やソ連軍のアフガニスタン侵攻が引き金となっていた。

投機資金は値上がりで儲けが出ると、すぐに撤退する。だから金価格もこの先、一本調子で上がることはない。しかし中期的にみれば、アメリカ経済の変調でドルが下がる分だけ、金の価値は上がる。機軸通貨が弱くなると、昔の金本位制時代を懐かしむかのように金は権威を高めて行くに違いない。そう遠くないうちに、1000ドルにまで達する可能性は大きい。

                (注) 1トロイオンス=31.1034768グラム

    ≪9日の日経平均 = 上げ +70.49円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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景気動向指数も 赤に近い黄信号!
2008-01-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
内閣府が10日発表した11月分の景気動向指数は、赤に近い注意信号が出たと考えていい。まず景気の現状を表わす一致指数は33.3%で、8か月ぶりに中立を示す50%を割り込んだ。景気の先行きを示す先行指数も10.0%の低水準。4か月連続で50%を下回っている。ところが驚いたことに、内閣府は「一時的な悪化で、景気の改善を示す水準にある」とコメントした。

景気動向指数というのは、景気の動きと関連の深い いくつかの景気指標を組み合わせて作成される。たとえば一致指数は11個の指標から作成されるが、このうち11月に前月と比べてプラスとなったのは卸売り販売額だけ。前月に比べて悪化したのは工業生産、生産財出荷、大口電力使用量、中小製造業売上高の4つだった。

これまでの実績からみて、この景気動向指数の精度は必ずしも良好とは言えない。しかし、その誤作動はどちらかというと、上方にブレやすかった。つまり動向指数が上向きでも、景気の実態は悪いことが多かったように思われる。こんなクセのある動向指数が、今回は下向きになったのだから、もっと警戒する必要があるのではないか。

たしかに年末という季節的な事情から、12月の一致指数が50%を上回る可能性はあるかもしれない。だが数か月前からの趨勢をよく見れば、むしろ12月の回復の方を一時的とみるのが客観的だろう。にもかかわらず「改善を示す水準にある」と強調する内閣府の真意は、なんなのだろう。いつも強気の解説をする大田弘子担当大臣が、今回は顔を出さなかった点もちょっぴり気にかかる。

    ≪10日の日経平均 = 下げ -211.05円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 原油のABC (7)
2008-01-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
7) 産油国と埋蔵量 = 地下に眠る原油資源の存在は、地域的に大きく偏っている。世界全体の確認埋蔵量は1兆2000億バレル前後といわれるが、その半分以上が中東地域に集中。あとはアメリカとカナダ、北ヨーロッパ、南アメリカと続く。国別ではサウジアラビアが断トツで、全世界の2割以上を占める。あとはイラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦、ベネズエラの順。

確認埋蔵量というのは、原油の存在が確認されているというだけではなく、技術的にも経済的にも採取が可能な量という意味。したがって技術の進歩や原油価格の上昇で採算ラインが上がれば、確認埋蔵量は増加する。1970年代の石油ショック時には原油の物理的な枯渇が心配されたが、いまそうした心配がほとんど薄れているのはそのためだ。

毎年の原油産出量を国別にみると、1位はやはりサウジアラビア。全世界の産出量の1割以上を汲み上げている。次いでロシア、アメリカ、イラン、中国、ノルウェーの順。ついでながら、日本も新潟・秋田県沖と北海道で原油を産出している。しかし、その量は年間86万キロリットル。国内消費量の0.3%しか賄えない。

原油の輸入量を国別にみると、1位はアメリカ。2位が日本で、あと韓国、ドイツ、フランス、イタリア、インド、中国と続く。このうちアメリカと中国は、自国の産出量が多いにもかかわらず大量の原油を輸入している。その他の日本からインドまでの各国は、自国での産出がほとんどない。特に近年は、経済成長の速い中国とインドの需要が急拡大している。

                             (続きは来週サタデー)

    ≪11日の日経平均 = 下げ -277.32円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-01-13-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第8章 円高・円安って、なんだろう? ⑦

1ドル=360円の時代が終わったのは、1971年(昭和46年)のことでした。この年の8月、アメリカのニクソン大統領は突然「金本位制(きんほんいせい)を止める」と発表したのです。それまではドルをアメリカの中央銀行に持って行くと、1トロイオンス(約31グラム)の金を35ドルで売ってくれました。これが金本位制で、ドルの価値を落さないための方法でした。しかしアメリカは貿易で大赤字を出し続けて、この制度を続けられなくなってしまったのです。

アメリカの赤字を減らすために、各国は自国の通貨をドルに対して切り上げることにしました。ドルの価値は下がりますが、アメリカは輸出を伸ばしやすくなりますね。日本もこのとき、円を1ドル=308円に切り上げたのです。でも混乱がなかなか収まらなかったため、72年から73年にかけて、各国は変動相場制という新しい方式を採用します。日本も73年2月に、変動相場制へ移行しました。

1ドル=360円とか、1ドル=308円というふうに、あらかじめ通貨の交換レートを決めておくやり方を固定相場制と言います。もし360円で輸出が伸びすぎたり、輸入品の価格が高くなりすぎた場合には、このレートを変更して調節すればいいと考えたわけです。これに対して変動相場制というのは、外国為替市場に集まってくる需要と供給にレートをまかせてしまう方法です。輸出が伸びてドルがたくさん市場に出されれば、ドルは下がり、円は上がるでしょう。こうして自然に輸出は抑えられるという考え方です。

いまも変動相場制は続いています。需要と供給の力によって、レートがいつも変動していることは、みなさんも知っていますね。円の値段も73年からは、ずいぶん大きく動いています。1995年の4月には、1ドル=79円75銭という戦後で最も高いレートを記録しました。ここ数年は、1ドルに対して、だいたい100円から120円ぐらいの間を行ったり来たりしています。

                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-01-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週はアメリカで、15日のシティグループを皮切りに、金融機関の決算発表が始まる。サブプライム関係の損失で、思わしくない決算が並ぶだろう。その内容が予想以上に悪いと、ウォール街はもっと売り込まれるかもしれない。じっさいアメリカの景気は、雇用に次いで個人消費の面にも悪材料が出始め、後退寸前の感が濃くなってきた。15日発表の12月の小売り販売高、17日の12月分の住宅着工件数が注目のマト。

こうした状況を背景に、先週バーナンキFRB(連邦準備理事会)議長は「大胆な追加措置」を示唆する講演を行なった。この発言は、景気の状態が悪いことを再認識させる結果ともなった。しかし中央銀行総裁の発言としては、きわめて率直で勇気のあるものだったと言えるだろう。日本の場合、政府や日銀の首脳がこんな発言をすることは、まったく考えられない。そのバーナンキ議長は17日、こんどは議会で証言する。

日本経済も、ますます悪い方向に進んでいる。先週明らかになった11月の景気動向指数は、内容的に最悪。景気ウォッチャー調査も、5年ぶりの低水準に落ち込んだ。ところが景気動向指数については「一時的なもの。景気は改善を示す水準にある」というのが、政府のコメント。一方、景気ウォッチャー調査については「景気回復の実感はきわめて弱い」とコメント。この2つの調査はともに内閣府が実施。コメントも内閣府である。

これでは福田首相も閣僚たちも、景気の現状をしっかり把握できないのではないか。だからバーナンキ議長のような発言を期待することも無理。そうこうしているうちに、16日には11月の機械受注と12月の企業物価が発表される。そして日本経済のスタグフレーション度は、また進行したことが明らかになるだろう。

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外貨準備は 増え続けるが ・・・
2008-01-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
財務省が発表した07年12月末の外貨準備高は、9733億6500万ドルだった。7か月連続の増加で、06年末に比べると780億4500万ドル増えている。保有する外国債券や預金の利子収入に加えて、金の評価額が増大したため。世界のなかでも中国に次ぐ2番目の外貨準備大国であり、主要先進国のうちでは圧倒的に多い。

外貨準備というのは、政府と中央銀行が保有している外貨資産の総額。基本的には国際収支が黒字なら増加し、赤字なら減少する。そのほか外国為替市場で政府が円高を抑制するために外貨を買えば増えるし、円安を抑えるために外貨を売れば減少する。04年以降、政府はこの為替介入を全く止めているから、最近の外貨準備増は国際収支の黒字と運用収入を反映したものということになる。

昨年末の外貨準備の中身をみると、証券がほとんどで8235億ドル。次いで預金が1245億ドル、金が206億ドルとなっている。証券の大部分は、アメリカの国債と政府証券。また保有する金の重量は2460万トロイオンスだった。財務省によると、これら保有資産の最近の利回りは年4%前後。アメリカ国債の値上がり分まで評価すれば、利回りはもっと高くなっているという。

いま世界では、アラブ産油国や中国をはじめとして、外貨準備の積極的な運用が流行している。政府自らが株式市場や原油などの商品市場に資金を投じ、ある意味では“投機”に参加し始めた。こうした動きを背景に、日本国内でも外貨準備のより積極的な運用を求める声も出始めている。世界の流行に遅れないようにするか、日本はリスクの少ない堅実投資に徹するか。きわめてむずかしい判断である。

    ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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日本は51番目 = 昨年の株価成績
2008-01-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
かなりショッキングなニュース。アメリカの調査会社スタンダード・プ-ア社の集計によると、昨年は世界の株式市場52のなかで、日本の株価は51番目の成績だった。52市場のうち、昨年1年間を通じて値下がりしたのは5市場だけ。最低はアイルランドの19.62%下落だったが、日本は6.55%の下落でビリから2番目となった。

最も上昇した市場はナイジェリアで、上昇率は110.56%だったという。その他の新興国市場も、そろって大幅な上昇を記録した。たとえばインドは78%、ブラジルは74%、中国は66%の値上がり。新興国の平均上昇率は38.76%だった。これに対して、先進国の平均は7.11%の上昇。アメリカも43番目ながら、4.02%上昇した。

それにしても、日本の成績はひどすぎる。昨年の企業業績は絶好調。配当の平均利回りも、長期金利を上回った。にもかかわらず、株価は低落。東証の時価総額は63兆円も減ってしまった。株価だけを見ていると、まるで日本経済は不況のドン底に沈み込んでいるようだ。国内の個人投資家も2兆円を超す大幅な売り越し。外国人投資家も、日本を素通りの状態だ。

なぜ、日本の株だけが下がるのだろう。ねじれ国会で証券税制のゆくえが定まらない。改革のテンポが緩んでしまった。円高や原油高に耐えられるかという心配。不況に対する政策手段がないこと。原因はいろいろあるだろうが、特に日本経済の将来ビジョンが消えてしまったことが大きい。このままでは、日本の存在感がますます薄れてしまう。政治家も経営者も、真剣に考えるべきではないだろうか。

    ≪15日の日経平均 = 下げ -138.16円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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経済情勢は 悪化の一途
2008-01-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
日経平均株価は16日、468円の大暴落となった。終り値の1万3504円は、05年10月以来の安値である。暴落の原因はダウ平均の急落。そのダウ平均の急落は、シティ・グループの予想を上回る赤字決算の発表が原因だった。そして、もう1つ注目すべきことは、ダウ平均が急落したにもかかわらず、円の対ドル相場が上昇したこと。これまではニューヨークの株価が下がると、円キャリー・トレードの巻き返しが起って、円は下落していた。

16日には、内閣府が11月の機械受注統計を発表した。船舶と電力を除く民間需要は、前月比で2.8%の減少だった。内訳けをみると、製造業は1.7%の減少。非製造業は3.1%の増加となっている。前月が12.7%の大幅増だったこともあり、内閣府は「一進一退で推移している」とコメント。まだ企業の利益は高水準で、設備投資も堅調だろうという期待が続いているようだ。

同じ日、日銀が発表した企業物価をみると、12月は前月比0.4%の上昇。07年は前年比で1.8%の上昇だった。内訳けで注目されるのは、非鉄が9.0%の上昇、鉄鋼が7.3%の上昇だったこと。まだインフレというほどの値上がりではないにしても、物価はじわじわと確実に上がってきていることが確認される。要するにスタグフレーション度は、少しずつ確かに強まっていると言えるだろう。

株価の急落は、経済の先を読んでいる。景気が落ち込み、物価が上がる。スタグフレーションの恐れが今後はもっと強まると予想しているから、株式は買えない。困ったことに、政策当局者にそういう認識がない。そこに投資家は、大きな不安を感じている。この状況がどこまで続くのか。ことしの展望は暗い。

    ≪16日の日経平均 = 下げ -468.12円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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日本円は、こんなに安い
2008-01-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
日本円の価値が、多くの外国通貨に対して大きく低下している。日銀が計算した昨年12月の実質実効為替レートは、1973年3月を100とする指数で96.8となった。前月より1.1ポイント下がっている。円相場と言えば、ふつうは対ドル為替レートを指す場合が多い。だが実際にはユーロや元など数多くの外国通貨に対するレートもあって、それぞれが常に変動している。円相場が対ドルでは上昇、しかし対ユーロでは下落という場面もよくあること。

実効為替レートというのは、こうした多数の通貨に対して円の価値がどう変動しているか、を総合的に見るための指標。まず日本の輸出総額のうち1%以上のウエートを持つ輸出先を選定する。現在この条件に適合するのは、アメリカ、中国、ユーロ、韓国・・・など、15の国と地域。これらの通貨に対する円レートを1か月前と比較し、その変動幅に輸出ウエートを掛けたものが名目実効為替レート。さらに両国間の物価変動を加味して算出するのが、実質実効為替レートである。

要するに、為替レートと物価変動の面からみて、日本の輸出が有利かどうかを判定できるというわけだ。これまでの推移をみると、実質実効為替レートが最も高かったのは1995年の165前後。2000年からは、ほぼ一貫して下がり続けている。このところ日本の景気は好調な輸出に支えられているが、その大きな要因は実質実効レートの大幅な低下にあると言えるだろう。

逆に考えると、これら諸国からの輸入はそれだけ高くなっているわけだ。また海外駐在者や旅行者の負担も、それだけ重くなっている。対ドル相場だけ見ていると、それほどの円安とは感じられない。しかし他の多くの通貨に対しては、相当の円安になっている。こうした状況が続いた方がいいのかどうか。また、いつまで続けられるのか。

    ≪17日の日経平均 = 上げ +278.94円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 原油のABC (8)
2008-01-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
8) 日本の輸入量 = 日本は石油の大消費国だ。国内自給率は、わずかに0.3%しかない。06年の原油輸入量は2億4673万キロリットル。金額にすると11兆5350億円にのぼった。この輸入量は前年より0.8%減少しているが、金額の方は価格の高騰を反映して30.7%も増えている。ほかに石油製品の輸入も多く、原油と石油製品を合計した輸入代金は輸入総額の21.3%を占めた。

世界で原油の輸入量が最も多いのはアメリカ。05年の統計では5億3548万トン。国内でも原油を産出するのに、第2位だった日本の2倍以上を輸入している。第3位は中国、あとは韓国、ドイツ、イタリア、フランスと続く。日本の輸入先は、第1位がサウジアラビアで輸入量全体の29.0%に達している。次いでアラブ首長国連邦、イランの順。中東地域が全体の90.2%、OPEC(石油輸出国機構)加盟国からは81.3%を輸入している。

日本の原油輸入量は、1955年度(昭和30年度)には、わずか927万キロリットルだった。経済成長に比例して輸入量はどんどん増え、石油ショックが起きた73年度の2億8850万キロリットルがピーク。その後は80年代半ばまで輸入量は急減して、一時は2億キロリットルを割り込んだ。最近の10年間はだいたい2億5000キロリットル前後で、かなり安定的に推移している。

ところが輸入金額の方は、80年代の前半が最大。これは円の対ドル相場が1ドル=200円-250円と安く、円で表示すると金額が膨れたため。その後は輸入量の減少と円高が重なって、輸入総額はずっと縮小していた。しかし、ここ数年では価格が高騰したことから、輸入金額は急激に増加している。

                              (続きは来週サタデー)

    ≪18日の日経平均 = 上げ +77.84円≫

    【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-01-20-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第8章 円高・円安って、なんだろう? ⑧

これまでの説明では、みなさんが判りやすいように「1ドル=100円だった円の相場が、もし200円になると」というような例をあげてきました。でも、じっさいには円の価値が、短い期間でこんなに大きく変動することはありません。たとえば、昨年の動きを調べてみましょう。

07年末の円相場は、1ドル=113円10銭でした。06年末に比べると、5円80銭の上昇です。つまり1年間を通してみると、円の対ドル相場はわずかしか変動しなかったことになります。しかし6月には124円14銭の安値、また11月には107円22銭の高値を付けました。そういう意味では、昨年の円相場は107円から124円の間で動いたと言うことができます。

もう1つ。これまでは円高や円安のことを、だいたい円のドルに対する価値で説明してきました。日本とアメリカは、経済的にとても近い関係にあります。ですから円相場と言うと、円のドルに対する価値を指す場合も多いのです。しかし日本はアメリカ以外の多くの国とも、貿易や投資など経済的な関係を持っていますね。ですから外国為替市場では、これら多くの国の通貨も売買されて、いつも相場が動いています。

たとえば昨年末のユーロに対する円相場は、1ユーロ=166円でした。ユーロというのは、フランスやドイツ、イタリアなどヨーロッパ大陸の13か国が使っている通貨のことです。ほかにもイギリスのポンド、中国の元、オーストラリアのドルなど、たくさんの通貨に対する円相場があるわけです。そして日本の円はここ数年、これらアメリカ・ドル以外の通貨に対しては、だいたい円安の方向をたどってきました。

                                (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2008-01-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
先週18日の金曜日、日米の株価がびっくりする動きをみせた。ただし、その動き方は全く対照的。まず日経平均は朝方から激しく売り込まれ、一時は前日比で418円の大幅な下げへ。ところが午後に入ると猛然と反発、前日比120円上げまで盛り返した。なんと540円近い切り返しである。終り値でも78円高。一方、ダウ平均は午前の180ドル高から、午後は110ドル安へと急降下。結局、60ドル安で終わった。

今週は、この日米の株価がどういう流れに乗るのか。ここが一番の見どころだろう。それによっては、日米両国の市場心理が読み取れるかもしれない。先週の説明をもう少し付け足すと、まず日本の株価急反発は、アメリカ政府が減税を中心に景気対策を打ち出すという情報に飛びついたもの。一方、アメリカの急反落は、発表された景気対策の内容が物足りないという評価によるものだった。

東京市場での買いは、値ごろ感からの押し目とアメリカの景気対策への期待が誘因になっている。前者のウエートが大きければ、その流れは今週に持ち越されるかもしれない。だが後者のインパクトは、当のアメリカで否定される形になってしまった。その辺の“反省”が、今週になって現れるのかどうか。

ニューヨーク市場の売りは、景気に対する関係者の見方がかなり深刻なことを表わしているようだ。しかし月末の金利引き下げが0.75%と大幅になるといった予想が強まれば、財政・金融面からの対策をセットで再評価するムードが広まる可能性はある。仮にそうならなければ、アメリカ経済の先行きはますます暗くなるだろう。いずれにしても今週の日米株価は、じっくりと見る必要がある。ただ21日はアメリカ市場が休日。したがって東京市場は21、22の両日、独り芝居を演じなければならない。

    ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ガソリン税 = 再可決はありえない (上)
2008-01-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
通常国会が始まった。最大の焦点は、ガソリン税の暫定税率をどうするかだ。政府・与党は今後10年間は継続する方針。08年度予算案にも、すでに織り込んでいる。一方、民主党などの野党は廃止を強く主張して、一歩も譲らない構え。国民の生活にも財政再建計画にも大きな影響が出る問題だけに、有権者も“ねじれ国会”の行方に目を凝らしている。

ガソリン税というのは、道路特定財源のうちの揮発油税と地方道路税の総称。道路の建設・整備を促進するため、ともに本来の税率より高い暫定税率が適用されている。この暫定税率によって高くなっている税金は、揮発油税が1リットル当たり24円30銭。地方道路税が同じく80銭。合計すると25円10銭になる。これらの暫定税率はことし3月までの時限立法。ほうっておけば消滅してしまうことから、問題は複雑になった。

民主党などの野党は、ガソリン価格が高騰している折から、暫定税率がなくなればガソリンが25-26円安くできると主張する。これは判りやすい話だから、有権者のなかで期待する人も多い。だが大問題なのは、そうすると税収が年間2兆6000億円も減ってしまうことだ。やっかいなことに、ガソリン税収の一部は地方自治体にも譲与されている。だから地方の収入も大幅に減少してしまう。したがって国の財政再建や地方財政に関心を持つ有権者は、暫定税率の継続に賛成する。

暫定税率の継続法案を衆院で可決しても、参院では否決される。自民党のなかには、新テロ法と同様に衆院で再可決すればいいと言う議員もいる。だが、この方法はありえない。仮にそうなると、ガソリンの値段は4月から25円下がるけれども、すぐまた25円上がることになる。きっと大混乱を生じるだろう。こんな状態が現実に起きたとき、国民はどう思うだろうか。民主党は正義の味方だが、自民・公明党は再可決を強行した“悪代官”視されるにちがいない。

                                     (続きは明日)

    ≪21日の日経平均 = 下げ -535.35円≫

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ガソリン税 = 再可決はありえない (下)
2008-01-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
ガソリン税の暫定税率に関しては、衆院での再可決はありえない。そんなことをしたら、自民党は次の衆院選で大敗を喫するだろう。今後どうするかの議論は、この点を大前提として考える必要がある。さらに税収の減少を、国債や地方債の増発で賄うこともタブーだ。しかし現状から判断する限り、与党も野党も方針の大転換はできそうにない。では、どうしたらいいのか。発想を逆転させて、いくらぐらいまでなら税収の減少に対処できるのかを、突き詰めて検討したらどうだろう。

民主党の主張にも弱点がある。やはり財源の問題だ。地方については、国の直轄事業に対する地方の負担を無くすことで税収減を補う案を出しているが、詳細は明らかにしていない。また租税特別措置の一括審議で、中小企業への支援策や食品の輸入関税軽減までが巻き添えになって消滅するのは困るはずだ。また2兆6000億円もの財源を切り出せば、いろいろな方面から新たな批判を受けることにもなりかねない。

そこで与野党双方への提案。ただちに双方から10人ずつの議員を選んで「財源捻出委員会」を作る。この委員会は1か月ほど休みなく議論と検討を重ね、遅くとも3月半ばまでには結論を出す。要するに、税収減を埋めるための具体的な歳出カットと歳入増が、どこまで出来るかを徹底的に洗い出すわけだ。その結果として、たとえば1兆3000億円なら可能ということになれば、暫定税率を半分に下げて継続する。

委員会の討議は、すべて公開する。NHKがナマ中継すればよい。特別会計の“埋蔵金”から国有財産の売却、公務員の定員にいたるまで、すべてをマナ板に乗せれば行政改革も進捗する。国民が監視するなかで結論が出れば、与党も野党も受けるキズは小さい。現在の“ねじれ国会”が“こじれ国会”に変貌すれば、困るのは国民だ。2大政党制が正しく発展するためにも、小委員会による公開集中討議は大きな意義があると思う。

    ≪22日の日経平均 = 下げ -752.89円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

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経済閣僚は、みな音痴なのか ?
2008-01-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
株価が世界同時下落の様相を見せている。サブプライム問題に端を発したアメリカ発の衝撃が、ここまで波及してきた。次に警戒すべきことは、これが世界同時不況にまで発展するかどうかだろう。にもかかわらず、日本政府の現状認識はあまりにも甘すぎる。認識が甘いから、具体的な対応策など全く頭のなかにはない。福田内閣に対する信頼度の低下は、ここにも大きな原因がある。

判断の甘さは、1月の月例経済報告によく表れている。景気の現状に関する基調判断は「一部に弱さが見られるものの、回復している」だった。月例報告は、政府が毎月発表する唯一の景気判断文書。閣議で決定するから、閣僚の統一見解と考えていい。この統一見解を踏まえて、福田首相は施政方針演説で「景気を注意深く見守る」と述べただけ。額賀財務相は財政演説で「現状は景気回復を続けている」と胸を張った。

月例報告作成の責任者である大田経財相は「企業部門が牽引する形で回復するシナリオは続く」と説明している。だが現実には、企業の業績は急速に悪化する見通しが強まっている。アメリカを初めとする海外諸国の景気下降で、これまで企業の業績を支えてきた輸出の先き行きに翳りが出てきたためだ。原油価格の高騰、円高の進行も、企業にとっては大きなアゲインストになっている。

内閣府の消費動向調査、財務局長会議、日銀の支店長会議など、いずれも景気が目立って下降し始めたことを伝えている。経済閣僚たちは、こうしたデータを無視してしまうのだろうか。民間はこうしたデータに対して敏感に反応し、将来に不安を感じ始めた。それが株価を下げている。でも政府は、何も感じないように見受けられる。経済閣僚のみなさんは、そろって経済音痴なのだろうか。

    ≪23日の日経平均 = 上げ +256.01円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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中国が、最大の産金国に
2008-01-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
中国が南アフリカを抜いて、世界最大の産金国になった。イギリスの調査会社GFMSによると、07年の中国の産金量は前年比12%増の276トン。南アフリカは8.1%減の272トンだった。この結果、1905年から世界第1位の座にあった南アフリカが2位に転落。102年ぶりに首位が交代、中国がトップに躍り出た。同社の予測によると、08年も中国の産金量は増加、南アフリカは減少するという。

18世紀の半ばから19世紀の中頃までは、当時のロシアが最大の産金国だった。19世紀の後半になると、アメリカとオーストラリアでゴールド・ラッシュが起き、この両国がトップの座につく。続いて20世紀になると、南アフリカが産金量を増大し、圧倒的な優位を保ってきた。これを昨年は、中国が上回ったわけである。

中国の金鉱脈は、山東省や新疆ウイグル自治区が中心。かつては小規模な業者が旧式な方法で採掘していた。しかし最近は新しい技術や機械を導入、企業規模も大型化しているという。国際市場における金価格の高騰が、生産増加に拍車をかけていることも間違いなさそうだ。

南アフリカの生産は、1970年には1000トンに達していた。しかし最近は数千メートルまで掘り進まなければならず、含有量も落ちている。自国通貨ランドの対ドル相場がきわめて高くなったことも、生産意欲を阻害しているようだ。ここ数年のうちには、アメリカやオーストラリアにも抜かれる公算が強くなっている。なおGFMS社によると、07年の全世界の産金量は2444トン。前年比1.4%の減少だった。

    ≪24日の日経平均 = 上げ +263.72円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 原油のABC (9)
2008-01-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
9)その使われ方 = 日本が消費しているエネルギー全体に占める石油の割合は、石油ショックの1973年(昭和48年)が最大で、77%にも達していた。その後、この割合はしだいに低下しているが、それでもまだエネルギー消費の半分は石油。05年度で49.7%となっている。したがって他のエネルギー源である石炭、天然ガス、原子力などと比べても、その重要度は圧倒的に高い。

原油の用途は、エネルギーだけでなく化学製品の原料にもなる。このうち石油エネルギーは動力用と発熱用でほぼ半々。05年度の統計でみると、ガソリン・重油・軽油・ジェット燃料などの動力用は原油使用の39%。灯油・重油・LPガスなどの発熱用は40%だった。残りは化学製品の原料。合成ゴム・化学繊維・プラスチックなどの製造用に20%が使用された。

使用状況を04年度の統計で部門別にみると、運輸部門が最大で全体の36%を使っている。その大部分が自動車だ。次いで家庭・店舗・オフィスの民生部門が17%、製造工業部門は意外に少なくて14%。発電部門は11%、建設3%、農林・水産2%など。このうち自動車はガソリン、発電や工業では重油、また民生用では灯油が最も多く使われている。

これだけ広い範囲で使われている物質は、ほかには見当たらない。それだけに、仮に原油が使えなくなったとしたら、現在の経済・社会体制は維持できない。価格の高騰が、経済・社会のあらゆる面に大きな影響を及ぼすことも免れない。半面、石油の燃焼は大気中に多量の二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物を放出する。地球の温暖化を食い止めるためには、原油の消費を抑制しなければならない。

                               (続きは来週サタデー)

    ≪25日の日経平均 = 上げ +536.38円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2008-01-27-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第8章 円高・円安って、なんだろう? ⑨

ことしに入ってから、円の対ドル相場は上昇の傾向をみせています。アメリカ経済にむずかしい問題が起きて、ドルが売られて安くなったために、円高になっているわけです。たとえば昨年末の円相場は1ドル=113円でしたが、いまは107円ぐらい。たった6円の円高か、などと言ってはいけません。製品を輸出している会社の利益は、かなり減ってしまいます。その分、外国から輸入する品物の値段が下がることは、もうお判りですね。

では今後の円相場は、どうなるのでしょう。経済をよく勉強している人たちに聞いてみても、あまり答えてくれません。というのも、円の相場を動かす原因が多すぎるため、その将来を予想することはとてもむずかしいからです。もちろんアメリカ向けの輸出が増えたり、日本に対するアメリカからの投資が増加すれば、外国為替市場ではドルの供給が多くなりますから、ドル安・円高への力が働きます。

ところが円相場は、まだまだ数多くの力で動くのです。たとえば金利。おカネは金利の高いところで使うほうが得ですから、日本の金利が上がればドルがはいってきて、これもドル安・円高の原因になるのです。ほかにも国の経済状態や政治情勢、社会が落ち着いているかどうか。地震や大あらしの影響。大臣たちの発言など・・・。

しかも自分の国の状態だけではありません。相手の国の状態が変わると、それが相場にはすぐ影響します。それどころか、日本にもアメリカにも直接は関係のない国で起ったことも、円とドルの価値には響くのです。たとえばアラブの産油国で戦争が起ると、石油の生産が減ってしまうかもしれません。そのときアメリカと日本を比べると、日本の方が影響を受けやすいと考えられるので、円の対ドル相場は下がるでしょう。とにかく円相場の予想はむずかしい。だから、ここでも予想は止めておきましょう。

                            (円高・円安って は終わり)

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今週のポイント
2008-01-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
今週の予定は、まことに盛り沢山だ。まず国内の経済指標は、28日に12月の企業向けサービス価格、29日に12月の労働力調査と商業販売、家計調査。続いて30日には12月の鉱工業生産、31日に12月の住宅着工と建設工事受注。さらに1日には1月の新車販売台数が発表になる。いずれも重要な統計であり、一つ一つが景気の鈍化と物価上昇の進み具合を判断する材料になるだろう。

アメリカでも、多くの統計が発表になる。28日には12月の新築住宅販売、29日は12月の耐久財受注、1月の消費者信頼感指数。30日には10-12月期のGDP(国内総生産)、31日は12月の個人消費、1日には1月の雇用統計、自動車販売台数など。こちらの方も、アメリカ経済の景気後退入りを決定づける内容になるのか。きわめてインパクトの大きい発表になる。

決算発表も目白押し。28日のHOYA、ファナック、新日鉄を皮切りに、週末まで大企業や注目企業の発表が続く。アメリカでも同様に、決算発表のラッシュ。日本の企業については、目立った下方修正が続出する状態ではない。むしろ今後の見通しに、関心が集まるだろう。一方、アメリカの場合はすでに業績が落ち込み始めているから、決算内容そのものに対する評価の厳しさが焦点になりそうだ。

このほか28日には、ブッシュ大統領による最後の一般教書演説。29日から30日にかけてはFOMC(公開市場委員会)が開かれる。また29日にはロンドンに英独仏伊の首脳が集まり、サブプライムで混乱する金融市場への対策を協議する。なかでもFOMCで、アメリカがさらなる金利引き下げを実施するかどうか。その下げ幅は。アメリカだけでなく、世界中が息をこらして見守る決定になる。

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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インフレなの? デフレなの? (上)
2008-01-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
☆常識的な説明 -- 総務省が発表した昨年12月の消費者物価は、総合指数で前年比0.7%の上昇だった。季節的に変動が大きい生鮮食品を除いた指数は、同じく0.8%の上昇。1998年3月以来の高い伸びとなった。原油高騰の影響が、いよいよ末端の消費者物価にまで及んできたことを明示している。

前年12月に比べて値上がりが目立ったのは、やはりエネルギー関係。灯油は24.0%、ガソリンは16.4%の上昇で、エネルギー全体としては8.3%値上がりした。食料品も多くの品目で上昇。たとえばマヨネーズは11.2%、キャンデーは7.8%、食パンは6.4%値上がりした。生鮮食品を除く食料品全体では、0.7%の上昇となっている。

ただ原油高騰の影響をまともに受けたエネルギーと食料品を除いてみると、物価は前年に比べて0.1%下落した。その大きな理由は、テレビ・パソコン・カメラなど教養娯楽用耐久財と携帯電話の通信料が値下がりしたこと。カメラは31.9%、ノート型パソコンは29.3%、薄型テレビは16.7%下がっている。つまり原油の問題を除外してみると、日本の物価はまだ下がり続けていることになる。

こうした物価動向を受けて、大田経済財政担当相は「デフレ脱却に向けて大きく歩み出したとは言えない」と解説した。新聞の見出しにも「脱デフレはまだ遠く」とあった。また日本経済新聞は、このような物価の上昇は需要拡大による「良い物価上昇」ではなく「悪い物価上昇」だと解説した。12月の消費者物価上昇をめぐる“常識的”な説明は、ざっとこんなところだろう。

                               (続きは明日)

    ≪28日の日経平均 = 下げ -541.25円≫

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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インフレなの? デフレなの? (中)
2008-01-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
☆反・常識的な説明 ①-- 消費者物価の12月の上昇について、きのうは常識的な説明をまとめてみた。きょうとあすは、その常識的な説明を完全に粉砕する反・常識的な説明を書き出してみよう。まず第1点は、大田弘子・経済財政担当大臣の「デフレ脱却に向けて歩み出したとは言えない」というコメントに関する大いなる疑問。

12月の物価が0.8%の上昇になったからといって、即インフレと言うつもりはない。だが物価上昇がもっと進行して3-5%上昇ということになれば、インフレである。仮にそのときエネルギーと食料品を除いた指数が、まだ下降の状態にあったらどうだろう。大田大臣の認識からすれば、まだデフレからの脱却はない。だが物価全体からみれば、明らかにインフレだ。

インフレというのは「物価が持続的に上昇する状態」。デフレというのは「物価が持続的に下落する状態」を指す。この定義に異論はないだろう。つまりインフレとデフレは方向が違う概念であり、共存することは不可能だ。したがってインフレでもあり、デフレでもある状態は存在しない。しかし大田大臣の考え方によれば、こういう状態が存在することになってしまう。

大田大臣は、デフレの意味を誤解している。デフレを不況という意味に誤用している。不況のときには需要が不足して、デフレになりやすい。しかしデフレは物価の下落を意味するだけで、不況の同義語ではない。大田大臣は「原油などの高騰が原因で物価全体は上昇したが、需給関係からみるとまだ需要不足の状態から脱していない」と説明すべきだった。物価は上がるが、需要は不足。つまり日本経済は、スタグフレーション型に近づいたと説明してもよかった。

                                 (続きは明日)

    ≪29日の日経平均 = 上げ +390.95円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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