財務省の集計によると、3月の輸出総額は4兆1823億円だった。前年に比べた減少率は45.6%で、2月の49.4%減少からやや改善している。まだ減少率そのものの水準は大きいが、昨年10月から一気に拡大してきた減少率はなんとか下げ止まった形となった。
地域別にみても、アメリカ向けは51.4%減で2月の58.4%減よりも少し改善した。またアジア向けも39.5%減で、2月の46.3%減よりは減少率が縮小。中国向けも39.7%減から31.5%減へと改善している。ただEC向けは56.1%減となり、2月の54.7%減よりも悪化した。
商品別にみると、自動車は前年比70.6%減。半導体など電子部品は42.3%減、自動車部品は50.9%減と、かなりの落ち込みが続いている。しかし2月の減少率に比べると、多少なりとも改善した。もちろん、日本の輸出が2月を底に再び増加基調に戻るという保証はない。だが「大底は過ぎた」か、少なくとも「大底には着いた」と判断することはできるだろう。
輸出の下げ止まりが確認されれば、自動車メーカーや電機メーカーが生産調整を強める必要はなくなる。人員の解雇や労働時間の短縮も、これ以上に強化される心配は小さくなるだろう。あとは4月以降の輸出が改善の傾向を続けるかどうか。輸出の下げ止まりが、生産の動向にいい影響を与えるかどうか。この2点を見守って行きたい。
≪30日の日経平均 = 上げ +334.49円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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地域別にみても、アメリカ向けは51.4%減で2月の58.4%減よりも少し改善した。またアジア向けも39.5%減で、2月の46.3%減よりは減少率が縮小。中国向けも39.7%減から31.5%減へと改善している。ただEC向けは56.1%減となり、2月の54.7%減よりも悪化した。
商品別にみると、自動車は前年比70.6%減。半導体など電子部品は42.3%減、自動車部品は50.9%減と、かなりの落ち込みが続いている。しかし2月の減少率に比べると、多少なりとも改善した。もちろん、日本の輸出が2月を底に再び増加基調に戻るという保証はない。だが「大底は過ぎた」か、少なくとも「大底には着いた」と判断することはできるだろう。
輸出の下げ止まりが確認されれば、自動車メーカーや電機メーカーが生産調整を強める必要はなくなる。人員の解雇や労働時間の短縮も、これ以上に強化される心配は小さくなるだろう。あとは4月以降の輸出が改善の傾向を続けるかどうか。輸出の下げ止まりが、生産の動向にいい影響を与えるかどうか。この2点を見守って行きたい。
≪30日の日経平均 = 上げ +334.49円≫
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1) 日本経済の担い手 = 「日本経済の担い手は中小企業だ」と、よく言われる。大企業が新幹線だとすると、中小企業は在来線。たしかに新幹線は、早くて便利で交通の大動脈だ。だが在来線がなければ、多くの人びとが新幹線のホームにたどり着けない。その意味で、中小企業は経済の毛細血管と言えるかもしれない。
じっさい中小企業の存在がなければ、大企業は成り立たない。部品の供給を受けたり、技術面でも助けられたり。人員の支援も受ける。下請け企業として、実質的には大企業の一部分を構成している場合も少なくない。経済の新幹線と在来線は、ともに持ちつ持たれつの関係にあると言えるだろう。
在来線には10両連結の特急もあれば、たった1両で走るローカル線もある。中小企業も規模はさまざま。業種もきわめて多岐に及んでいる。なかには他の企業にはまねができない高い技術力を持っていて、世界中にその製品を売っている企業もある。なかには家族だけで、子ども向けの安い商品を売っているだけの企業もある。
とにかく幅が広い。そして数が多い。だから中小企業に働く人の数も、合計すればきわめて多い。消費者からみても、中小企業がなければとても不便になる。このような面からも、中小企業は日本経済の担い手と言われるわけだ。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 上げ +149.11円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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じっさい中小企業の存在がなければ、大企業は成り立たない。部品の供給を受けたり、技術面でも助けられたり。人員の支援も受ける。下請け企業として、実質的には大企業の一部分を構成している場合も少なくない。経済の新幹線と在来線は、ともに持ちつ持たれつの関係にあると言えるだろう。
在来線には10両連結の特急もあれば、たった1両で走るローカル線もある。中小企業も規模はさまざま。業種もきわめて多岐に及んでいる。なかには他の企業にはまねができない高い技術力を持っていて、世界中にその製品を売っている企業もある。なかには家族だけで、子ども向けの安い商品を売っているだけの企業もある。
とにかく幅が広い。そして数が多い。だから中小企業に働く人の数も、合計すればきわめて多い。消費者からみても、中小企業がなければとても不便になる。このような面からも、中小企業は日本経済の担い手と言われるわけだ。
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第14章 国際収支って、なんだろう? ⑤
国際収支は、経常収支と資本収支から成り立っています。このうち経常収支については、すでに説明しました。それでは資本収支とは、どんな内容のものでしょう。資本という言葉は、もともとおカネを意味しています。ですから資本収支は、主としておカネを中心とした取り引きの記録です。
日本の会社や個人が外国の土地や家を買ったとき、その代金を払いますね。債券や株式を買ったときも同じです。このように日本から外国におカネが払われることを、資本の流出と言います。反対に外国の会社や個人が日本の土地や株式を買った場合は、資本の流入になります。
貿易収支やサービス収支の計算では、黒字とか赤字という言葉が使われましたね。ところが資本収支では、おカネの流出が流入より多い場合を流出超、逆に流入の方が多い場合を流入超と言っていますから注意してください。
また昨年4-6月期の実績をみてみましょう。資本収支の合計は4兆3800億円の流出超でした。たとえばアメリカとの収支をみると、経常収支では2兆2000億円の黒字でしたが、資本収支は5兆3000億円の流失超になっています。
(続きは来週日曜日)
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国際収支は、経常収支と資本収支から成り立っています。このうち経常収支については、すでに説明しました。それでは資本収支とは、どんな内容のものでしょう。資本という言葉は、もともとおカネを意味しています。ですから資本収支は、主としておカネを中心とした取り引きの記録です。
日本の会社や個人が外国の土地や家を買ったとき、その代金を払いますね。債券や株式を買ったときも同じです。このように日本から外国におカネが払われることを、資本の流出と言います。反対に外国の会社や個人が日本の土地や株式を買った場合は、資本の流入になります。
貿易収支やサービス収支の計算では、黒字とか赤字という言葉が使われましたね。ところが資本収支では、おカネの流出が流入より多い場合を流出超、逆に流入の方が多い場合を流入超と言っていますから注意してください。
また昨年4-6月期の実績をみてみましょう。資本収支の合計は4兆3800億円の流出超でした。たとえばアメリカとの収支をみると、経常収支では2兆2000億円の黒字でしたが、資本収支は5兆3000億円の流失超になっています。
(続きは来週日曜日)
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最大の注目点は、7日に発表されるアメリカの大銀行に対するストレステスト結果の公表だ。ストレステストというのは、大銀行が景気の悪化に対してどのくらいの耐久力を持っているかを判定する事前審査。オバマ政府の金融安定化策の一つで、政府・金融当局の専門家が19の大銀行に関して実施してきた。
テストの内容は2010年末に失業率が10.3%まで上昇すると仮定した場合に、各銀行の損失がどこまで膨らむか。特に自己資本の水準がどこまで落ち込むかを推定した。その結果、自己資本が不足すると認定された銀行は資本の増強を求められる。それが困難なら公的資金の追加注入を受け入れなければならない。
この判定結果は4月24日に各行に内示され、今週4日に公表される予定だった。しかし“不合格”と判定されたバンク・オブ・アメリカ、シティ・グループなど数行から異議が出て、公表は7日に延期されている。
国内は6日まで大型連休で動きがない。アメリカでも今週は8日に4月の雇用統計が発表されるだけ。したがって先週は景気回復への期待感から136ドル上げたダウ平均も、今週はストレステスト待ちになりそうだ。日経平均も先週は269円の上昇だったが、今週は円安が進まない限り大きくは動きにくい?
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テストの内容は2010年末に失業率が10.3%まで上昇すると仮定した場合に、各銀行の損失がどこまで膨らむか。特に自己資本の水準がどこまで落ち込むかを推定した。その結果、自己資本が不足すると認定された銀行は資本の増強を求められる。それが困難なら公的資金の追加注入を受け入れなければならない。
この判定結果は4月24日に各行に内示され、今週4日に公表される予定だった。しかし“不合格”と判定されたバンク・オブ・アメリカ、シティ・グループなど数行から異議が出て、公表は7日に延期されている。
国内は6日まで大型連休で動きがない。アメリカでも今週は8日に4月の雇用統計が発表されるだけ。したがって先週は景気回復への期待感から136ドル上げたダウ平均も、今週はストレステスト待ちになりそうだ。日経平均も先週は269円の上昇だったが、今週は円安が進まない限り大きくは動きにくい?
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アメリカ大手銀行の1-3月期決算が出揃った。結果は予想を大幅に上回る好決算。大手5行のうち4行が黒字に転換している。昨年10-12月期は、逆に5行のうちの4行が赤字だった。金融機関の買収効果や証券部門の復調などが原因だが、まことに奇妙な決算方法がこれら銀行の黒字化に大きく貢献している。
最も大きな純利益を計上したのはバンク・オブ・アメリカ。年初に大手証券会社のメリルリンチを買収した効果で、42億4700万ドル(約4200億円)の黒字となった。昨年10-12月期は17億8900万ドルの赤字だったから、最終損益を60億ドルも改善したことになる。
ウェルズ・ファーゴ銀行は30億4500万ドルの黒字。これも大手銀行ワコビアの買収が効果を挙げ、過去最大の利益となった。前期に比べ58億ドル改善している。シティ・グループは前期に172億6300万ドルの大赤字を出したが、今期は15億9300万ドルの黒字に転換。大手5行のうち、赤字決算を続けたのはモルガン・スタンレーだけだった。
証券会社や銀行の買収のほか、1-3月期は証券化商品などの損失が大幅に減少したこと。また超低金利政策のもとで利ざやが拡大したことが、各行の利益増大に貢献した。ところが、もう一つ。負債評価益という、なんとも理解に苦しむ決算方法が黒字化の大きな原因になっている。
(続きは明日)
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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最も大きな純利益を計上したのはバンク・オブ・アメリカ。年初に大手証券会社のメリルリンチを買収した効果で、42億4700万ドル(約4200億円)の黒字となった。昨年10-12月期は17億8900万ドルの赤字だったから、最終損益を60億ドルも改善したことになる。
ウェルズ・ファーゴ銀行は30億4500万ドルの黒字。これも大手銀行ワコビアの買収が効果を挙げ、過去最大の利益となった。前期に比べ58億ドル改善している。シティ・グループは前期に172億6300万ドルの大赤字を出したが、今期は15億9300万ドルの黒字に転換。大手5行のうち、赤字決算を続けたのはモルガン・スタンレーだけだった。
証券会社や銀行の買収のほか、1-3月期は証券化商品などの損失が大幅に減少したこと。また超低金利政策のもとで利ざやが拡大したことが、各行の利益増大に貢献した。ところが、もう一つ。負債評価益という、なんとも理解に苦しむ決算方法が黒字化の大きな原因になっている。
(続きは明日)
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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銀行も一般企業と同様に、社債を発行して資金を調達している。この社債は、銀行にとっては債務となる。銀行の経営内容が悪くなると、当然ながら社債の相場は下落する。その相場の下落を債務の減少と考えて、決算のときに債務を減額してしまう。その結果、最終損益は改善されることになる。これが負債評価益だ。
経営内容が悪くても、銀行は満期がくれば社債を額面で償還しなければならない。にもかかわらず、途中で相場が下がると評価益が生まれる。この点だけに限ってみれば、銀行は不調な方が利益を出せる。こんな不可解な経理処理が、アメリカでは認められているわけだ。
たとえば今回の1-3月期決算で、シティは27億ドル、バンク・オブ・アメリカは22億ドルの負債評価益を計上した。シティの黒字額は16億ドル弱だから、この評価益がなければ赤字決算になったはず。バンク・オブ・アメリカの利益も半分になってしまう。
銀行が保有する他社の債券や株式は、その時点の相場で評価する。この時価評価制度の一環として、自社の社債についても減損を認めるという理屈。しかし、どう考えても納得しにくい制度であることに変わりはない。幸いなことに、日本では負債評価益は認められていない。
≪7日の日経平均 = 上げ +408.33円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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経営内容が悪くても、銀行は満期がくれば社債を額面で償還しなければならない。にもかかわらず、途中で相場が下がると評価益が生まれる。この点だけに限ってみれば、銀行は不調な方が利益を出せる。こんな不可解な経理処理が、アメリカでは認められているわけだ。
たとえば今回の1-3月期決算で、シティは27億ドル、バンク・オブ・アメリカは22億ドルの負債評価益を計上した。シティの黒字額は16億ドル弱だから、この評価益がなければ赤字決算になったはず。バンク・オブ・アメリカの利益も半分になってしまう。
銀行が保有する他社の債券や株式は、その時点の相場で評価する。この時価評価制度の一環として、自社の社債についても減損を認めるという理屈。しかし、どう考えても納得しにくい制度であることに変わりはない。幸いなことに、日本では負債評価益は認められていない。
≪7日の日経平均 = 上げ +408.33円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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2) 複雑な定義 = 一般に中小企業という言葉は、大企業よりも規模の小さい会社ぐらいの意味で用いられることが多い。だが正確に言うと、その範囲は中小企業基本法という法律できちんと決められている。資本金の大きさと従業員数で規定されるが、業種によって細かく決められているので、その定義はなかなか複雑だ。
まず製造業の場合は、資本金が3億円以下または従業員数が300人以下の事業所と決められている。また卸売業については、この定義が資本金1億円以下または従業員数100人以下となる。小売業では、資本金5000万円以下または従業員数50人以下。さらにサービス業は資本金5000万円以下または従業員数100人以下というのが、中小企業の条件だ。
したがって製造業の場合は、資本金が3億円なら従業員が1000人いる会社でも中小企業。小売業では資本金が100万円で、従業員が3人でも中小企業だ。だから一口に中小企業と言っても、その内容は千差万別。これが中小企業の特色の一つだとも言えるだろう。
さらに中小企業のなかでも規模がきわめて小さい企業を、小規模企業と規定している。製造業では従業員20人以下。卸・小売業と飲食店を含む商業、サービス業では従業員5人以下がその定義だ。また別の法律で独自に中小企業を定義している場合もあるので注意。たとえば法人税法による中小企業軽減税率の適用は、資本金1億円以下の企業となっている。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 上げ +47.13円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】
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まず製造業の場合は、資本金が3億円以下または従業員数が300人以下の事業所と決められている。また卸売業については、この定義が資本金1億円以下または従業員数100人以下となる。小売業では、資本金5000万円以下または従業員数50人以下。さらにサービス業は資本金5000万円以下または従業員数100人以下というのが、中小企業の条件だ。
したがって製造業の場合は、資本金が3億円なら従業員が1000人いる会社でも中小企業。小売業では資本金が100万円で、従業員が3人でも中小企業だ。だから一口に中小企業と言っても、その内容は千差万別。これが中小企業の特色の一つだとも言えるだろう。
さらに中小企業のなかでも規模がきわめて小さい企業を、小規模企業と規定している。製造業では従業員20人以下。卸・小売業と飲食店を含む商業、サービス業では従業員5人以下がその定義だ。また別の法律で独自に中小企業を定義している場合もあるので注意。たとえば法人税法による中小企業軽減税率の適用は、資本金1億円以下の企業となっている。
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≪8日の日経平均 = 上げ +47.13円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ⑥
国際収支というのは、外国との間でおカネをやりとりした国の家計簿でしたね。家計簿の場合、収入が支出より多いと貯金が増えるでしょう。逆に支出が収入より多ければ、貯金は減ってしまいます。国の場合も同様で、たとえば輸出が大幅に伸びて国際収支が黒字になると、外国の通貨がたまって貯金が増えます。
この貯金のことを、外貨準備(がいかじゅんび)と呼んでいます。いろいろ例外もあるのですが、一般に国際収支が黒字なら、外貨準備は増加します。逆に赤字なら減少します。外貨準備は、政府と日本銀行が管理しています。
外国の通貨を売買する市場でドルやユーロなどの外貨が不足した場合に、ここから外貨を供給します。もし外貨準備がなくなって市場への供給ができなくなると、どういうことになるでしょうか。日本の会社や個人が円を外貨に替えて外国から品物を輸入しようとしても、できなくなってしまいます。
そんなときには、IMF(国際通貨基金)や世界銀行、あるいは外国から借金しなくてはなりません。また輸入を減らして外貨の流出を防ぐために、国内を不況にする政策をとる必要も出てきます。ですから、どこの国にとっても、ある程度の外貨準備を持っていることは、とても大切だと言えるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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国際収支というのは、外国との間でおカネをやりとりした国の家計簿でしたね。家計簿の場合、収入が支出より多いと貯金が増えるでしょう。逆に支出が収入より多ければ、貯金は減ってしまいます。国の場合も同様で、たとえば輸出が大幅に伸びて国際収支が黒字になると、外国の通貨がたまって貯金が増えます。
この貯金のことを、外貨準備(がいかじゅんび)と呼んでいます。いろいろ例外もあるのですが、一般に国際収支が黒字なら、外貨準備は増加します。逆に赤字なら減少します。外貨準備は、政府と日本銀行が管理しています。
外国の通貨を売買する市場でドルやユーロなどの外貨が不足した場合に、ここから外貨を供給します。もし外貨準備がなくなって市場への供給ができなくなると、どういうことになるでしょうか。日本の会社や個人が円を外貨に替えて外国から品物を輸入しようとしても、できなくなってしまいます。
そんなときには、IMF(国際通貨基金)や世界銀行、あるいは外国から借金しなくてはなりません。また輸入を減らして外貨の流出を防ぐために、国内を不況にする政策をとる必要も出てきます。ですから、どこの国にとっても、ある程度の外貨準備を持っていることは、とても大切だと言えるでしょう。
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日米の株式市場は、先週も楽観ムードに支配された。特にニューヨーク市場は、7日に発表された大銀行に対するストレステスト(健全性審査)の結果を好感。ダウ平均は週間362ドル上昇して、8500ドルの大台を確保した。ナスダックは、99年以来となる9週連続の上げを記録している。
ストレステストの結果は、大手金融10社で資本不足が合計746億ドルになる可能性があるという内容。IMF(国際通貨基金)などの推計が2000億ドルを超えていたのに比べれば、意外に小さいと評価されたようだ。それよりも金融不安に関する最終ゴールが見えたという安心感の方が大きかったのかもしれない。
東京市場は週後半2日間だけの営業だったが、日経平均は両日とも年初来高値を更新。2日間で455円上げた。今週は昨年11月につけたリーマン・ショック後の高値9521円に挑む勢い。ただ3月の年初来安値からは34%も上げており、警戒感も強まるだろう。
国内では12日に3月の景気動向指数。13日には4月の景気ウォッチャー調査。15日には3月の機械受注、4月の企業物価。また3月決算企業の6割が決算を発表する。アメリカでは12日に3月の貿易収支、13日に4月の小売り高。15日には4月の生産、消費者物価、5月のミシガン消費者信頼感指数。このほか12日に中国が発表する4月の貿易統計、15日のユーロ圏1-3月期GDP速報にも注目が集まる。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ストレステストの結果は、大手金融10社で資本不足が合計746億ドルになる可能性があるという内容。IMF(国際通貨基金)などの推計が2000億ドルを超えていたのに比べれば、意外に小さいと評価されたようだ。それよりも金融不安に関する最終ゴールが見えたという安心感の方が大きかったのかもしれない。
東京市場は週後半2日間だけの営業だったが、日経平均は両日とも年初来高値を更新。2日間で455円上げた。今週は昨年11月につけたリーマン・ショック後の高値9521円に挑む勢い。ただ3月の年初来安値からは34%も上げており、警戒感も強まるだろう。
国内では12日に3月の景気動向指数。13日には4月の景気ウォッチャー調査。15日には3月の機械受注、4月の企業物価。また3月決算企業の6割が決算を発表する。アメリカでは12日に3月の貿易収支、13日に4月の小売り高。15日には4月の生産、消費者物価、5月のミシガン消費者信頼感指数。このほか12日に中国が発表する4月の貿易統計、15日のユーロ圏1-3月期GDP速報にも注目が集まる。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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凍り付いていた流氷の海に、いく条かの暖流が入り混じり始めた。暖流はアメリカ、日本、ヨーロッパ諸国、そして中国の経済に散見される。海水の温度がこれから一気に上昇するとまでは期待できないが、少なくとも最低温度に逆戻りすることはない。水温は時間をかけて、ゆっくりと温まって行くだろう。
☆急騰したダウ平均 = アメリカ経済に流れ始めた最大の暖流は、株価の急上昇だろう。ダウ平均株価は先週4か月ぶりに8500ドル台を回復、この2か月間の上昇率は30%を超えた。大手金融機関に対するストレステスト(健全性審査)が終って、金融不安の拡大に歯止めがかかったこと。それに実体経済の面にも、改善の兆しが出てきたことが原動力となった。
実体経済の面では、住宅価格に下げ止まりの感じが強まったこと。住宅価格指数は1月に続いて2月も前月比で上昇。3月の中古住宅価格も前月比4.2%の上昇となった。住宅価格の回復は、資産効果を通じて個人消費にプラスとなるほか、銀行の不良債権問題にも好ましい影響を与えることになる。
消費の落ち込みにも底入れ感が出ている。1-3月期のGDPは年率6.1%の大幅な減少だったが、個人消費だけは2.2%増加と予想外の健闘。バーナンキFRB議長も議会証言で「家計の需要が安定し始めた。住宅市場にも底入れの兆候がある」と発言している。このほか4月の景況感調査では、製造業も非製造業も上向き。建設支出も3月は増加に転じた。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +19.15円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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☆急騰したダウ平均 = アメリカ経済に流れ始めた最大の暖流は、株価の急上昇だろう。ダウ平均株価は先週4か月ぶりに8500ドル台を回復、この2か月間の上昇率は30%を超えた。大手金融機関に対するストレステスト(健全性審査)が終って、金融不安の拡大に歯止めがかかったこと。それに実体経済の面にも、改善の兆しが出てきたことが原動力となった。
実体経済の面では、住宅価格に下げ止まりの感じが強まったこと。住宅価格指数は1月に続いて2月も前月比で上昇。3月の中古住宅価格も前月比4.2%の上昇となった。住宅価格の回復は、資産効果を通じて個人消費にプラスとなるほか、銀行の不良債権問題にも好ましい影響を与えることになる。
消費の落ち込みにも底入れ感が出ている。1-3月期のGDPは年率6.1%の大幅な減少だったが、個人消費だけは2.2%増加と予想外の健闘。バーナンキFRB議長も議会証言で「家計の需要が安定し始めた。住宅市場にも底入れの兆候がある」と発言している。このほか4月の景況感調査では、製造業も非製造業も上向き。建設支出も3月は増加に転じた。
(続きは明日)
≪11日の日経平均 = 上げ +19.15円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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☆水面上に顔出す日本経済 = 日本経済の場合は、鉱工業生産が下げ止まり、増加傾向に転じたことがいちばん大きい。3月の生産実績は前月比1.6%の増加、在庫は3.3%減少した。経済産業省の調査によると、4月は4.3%、5月も6.1%の増加になる見通し。
鉱工業生産の調査は、経済産業省が496品目を対象に実施している。予測調査はこのうちの主要195品目について実施しているが、これまでの経験値からみると変動幅のズレはあっても増加か減少かの方向性については、比較的に当たることが多い。
鉱工業生産は昨年4-6月期から低下し始め、ことし1-3月期には22.1%と過去最大の減少率を記録した。それが4-6月期には1年ぶりに増加に転じる可能性が、きわめて強くなった。生産の急回復見通しを受けて、4-6月期はGDP成長率もプラスに転じる公算が強まっている。日経新聞がエコノミスト20人に聞いた予測では、平均1.4%のプラス成長。5四半期ぶりに水面上に浮き上がる。
このほか内閣府が発表した消費動向や景気ウォッチャー調査は、予想以上に上向きの結果を示している。先行きについての調査結果も、決して悪くはない。こうした動きとアメリカの心理的な改善を受けて、日経平均も9500円台を回復する勢い。株価の上昇は個人消費と企業の決算に、少なからぬ好影響を与えるだろう。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 下げ -153.37円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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鉱工業生産の調査は、経済産業省が496品目を対象に実施している。予測調査はこのうちの主要195品目について実施しているが、これまでの経験値からみると変動幅のズレはあっても増加か減少かの方向性については、比較的に当たることが多い。
鉱工業生産は昨年4-6月期から低下し始め、ことし1-3月期には22.1%と過去最大の減少率を記録した。それが4-6月期には1年ぶりに増加に転じる可能性が、きわめて強くなった。生産の急回復見通しを受けて、4-6月期はGDP成長率もプラスに転じる公算が強まっている。日経新聞がエコノミスト20人に聞いた予測では、平均1.4%のプラス成長。5四半期ぶりに水面上に浮き上がる。
このほか内閣府が発表した消費動向や景気ウォッチャー調査は、予想以上に上向きの結果を示している。先行きについての調査結果も、決して悪くはない。こうした動きとアメリカの心理的な改善を受けて、日経平均も9500円台を回復する勢い。株価の上昇は個人消費と企業の決算に、少なからぬ好影響を与えるだろう。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 下げ -153.37円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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☆回復のリーダーは中国 = いちばん太い暖流は、中国経済に流れ込んだ。4月の新車販売台数は115万台を超えて、前年比25%の増加。年率1000万台のペースを取り戻した。工業生産も3月の実績は前年比8.3%の増加。上海市場の総合株価指数は先週、9か月ぶりに2600台を回復した。中国経済は、すでに景気回復軌道に乗ったとみていいのかもしれない。
ヨーロッパ経済の暖流は、まだ弱々しい。それでも独仏伊3か国の新車販売は、3月にそろって前年比プラスに転じた。欧州委員会の調査では、4月の景況感指数が13か月ぶりに上昇。その上昇幅は過去最大になっている。
3か月前の世界経済は、まだ流氷に覆われていた。目を凝らして点検しても、暖流は発見できなかった。それがいまは、明らかな暖流を確認できるところまで変化している。もちろん、世界経済の水温がこのまま上昇して行く保証は全くない。たとえばアメリカ経済はGM問題の処理、日本は個人消費の盛り上げ、中国は都市と地方の格差問題など。手ごわいネックが控えている。
ただ中国は、財政投資の効率がきわめて高い。日本の製造業は、在庫減らしに最も成功した。アメリカも、金融不安と住宅バブルの崩壊に一応の歯止めがかかった。景気の遅行指標である雇用関係の数字が好転するには、まだ数か月の時間を要するだろう。しかし実体経済に関する4月以降の統計は、暖流の拡大を示すものになる公算は大きい。
≪13日の日経平均 = 上げ +41.88円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ヨーロッパ経済の暖流は、まだ弱々しい。それでも独仏伊3か国の新車販売は、3月にそろって前年比プラスに転じた。欧州委員会の調査では、4月の景況感指数が13か月ぶりに上昇。その上昇幅は過去最大になっている。
3か月前の世界経済は、まだ流氷に覆われていた。目を凝らして点検しても、暖流は発見できなかった。それがいまは、明らかな暖流を確認できるところまで変化している。もちろん、世界経済の水温がこのまま上昇して行く保証は全くない。たとえばアメリカ経済はGM問題の処理、日本は個人消費の盛り上げ、中国は都市と地方の格差問題など。手ごわいネックが控えている。
ただ中国は、財政投資の効率がきわめて高い。日本の製造業は、在庫減らしに最も成功した。アメリカも、金融不安と住宅バブルの崩壊に一応の歯止めがかかった。景気の遅行指標である雇用関係の数字が好転するには、まだ数か月の時間を要するだろう。しかし実体経済に関する4月以降の統計は、暖流の拡大を示すものになる公算は大きい。
≪13日の日経平均 = 上げ +41.88円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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話題が1000円の高速料金に移っていた間に、原油の価格がじわじわっと上がっている。ニューヨーク市場のWTI先物価格は、1バレル=60ドル台にまで上昇した。昨年末の安値32ドルに比べると、2倍に近い水準である。
昨年のいまごろ、原油価格は急騰していた。7月には147ドルまで上昇、世界中が大騒ぎとなったことは記憶に新しい。そこからは不況の影響で急落、人びとの原油価格に対する関心は薄れてしまった。だが、いままた価格は上昇基調をたどっている。
理由は世界経済の回復期待。特に株式市場の空気が好転したことと、軌を一にしている。東京市場のドバイ原油先物も1キロリットル=4万8000円台へ。年初から44%も値上がりした。当然ながら国内のガソリン小売価格も上昇。1月半ばには1リットル=106円だった全国平均が、最近では116円70銭まで値上がりしている。
専門家は「世界経済の回復が弱々しいとみられるため、それほど上昇することはない」と予測している。だが原油価格は実需よりも、投機資金の集中で高騰する。いまアメリカをはじめ各国政府は、金融市場の規制については熱心に方策を考えている。しかし原油や食料品などの国際商品市場に対する投機の予防策については、あまり議論されていない。本当に大丈夫なのか、やや心配である。
≪14日の日経平均 = 下げ -246.76円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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昨年のいまごろ、原油価格は急騰していた。7月には147ドルまで上昇、世界中が大騒ぎとなったことは記憶に新しい。そこからは不況の影響で急落、人びとの原油価格に対する関心は薄れてしまった。だが、いままた価格は上昇基調をたどっている。
理由は世界経済の回復期待。特に株式市場の空気が好転したことと、軌を一にしている。東京市場のドバイ原油先物も1キロリットル=4万8000円台へ。年初から44%も値上がりした。当然ながら国内のガソリン小売価格も上昇。1月半ばには1リットル=106円だった全国平均が、最近では116円70銭まで値上がりしている。
専門家は「世界経済の回復が弱々しいとみられるため、それほど上昇することはない」と予測している。だが原油価格は実需よりも、投機資金の集中で高騰する。いまアメリカをはじめ各国政府は、金融市場の規制については熱心に方策を考えている。しかし原油や食料品などの国際商品市場に対する投機の予防策については、あまり議論されていない。本当に大丈夫なのか、やや心配である。
≪14日の日経平均 = 下げ -246.76円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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3)419万8000社 = 日本には現在、約421万社の企業がある。そのうち中小企業の定義に当てはまるものは419万8000社。実に全体の99.7%を占めている。いわゆる大企業は約1万2000社、全体の0.3%しか存在しない。
中小企業のなかでも、従業員の少ない小規模企業の数が圧倒的に多い。小規模企業の数は約366万3000社。したがって中小企業のうちの87%強が、小規模企業ということになる。大企業を含めた全体の企業数からみても、その87%が小規模企業だ。
個々の企業規模は小さくても、これだけ数が多いと全体の力はきわめて大きくなる。たとえば従業者の数でみると、大企業が1229万人なのに対して、中小企業は2784万人。比率にすると31対69となって、中小企業の方が2倍以上も多い。また小規模企業の従業者は929万人で、全体の23%を占めている。
この従業者の数だけを取り上げても「日本経済は中小企業によって支えられている」と言われる意味がよく判る。中小企業の経営が苦しくなると、雇用や賃金の伸びが制約される。このことが景気動向に与える影響は、きわめて大きい。大企業の経営状態は大きく報道されるが、中小企業全体の状況を見ることも重要である。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +171.29円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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中小企業のなかでも、従業員の少ない小規模企業の数が圧倒的に多い。小規模企業の数は約366万3000社。したがって中小企業のうちの87%強が、小規模企業ということになる。大企業を含めた全体の企業数からみても、その87%が小規模企業だ。
個々の企業規模は小さくても、これだけ数が多いと全体の力はきわめて大きくなる。たとえば従業者の数でみると、大企業が1229万人なのに対して、中小企業は2784万人。比率にすると31対69となって、中小企業の方が2倍以上も多い。また小規模企業の従業者は929万人で、全体の23%を占めている。
この従業者の数だけを取り上げても「日本経済は中小企業によって支えられている」と言われる意味がよく判る。中小企業の経営が苦しくなると、雇用や賃金の伸びが制約される。このことが景気動向に与える影響は、きわめて大きい。大企業の経営状態は大きく報道されるが、中小企業全体の状況を見ることも重要である。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +171.29円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ⑦
国際収支というのは、国の対外的な家計簿。黒字が続いてたまった貯金が、外貨準備でしたね。では日本は、どのくらい外貨準備を持っているのでしょうか。政府の発表によると、ことし4月末の外貨準備保有高は1兆0114億7300万ドルでした。円に直すと、ほぼ100兆円。ずいぶん多いですね。
1年前の08年4月末には1兆0038億ドルでしたから、この1年間で少し増えたことになります。ただ10年前に比べると、日本の外貨準備は4倍以上に増加しました。そして、つい最近までは世界でいちばん多くの外貨準備を保有していたのです。
いま世界でいちばん多くの外貨準備を持っている国は、中国です。その金額は3月末で1兆9537億ドルに達しています。このところ中国の外貨準備は急速に増えており、今後も増えて行くものと思われます。第2位は日本、3位はEU(ヨーロッパ連合)、あとはロシア、インドと続きます。
一般の家庭にとっては、たくさん貯金があることはいいことでしょう。しかし一国の外貨準備は、多ければいいというわけでもありません。通貨の価値を維持して、輸入代金の支払いに困るようなことがなければ、それ以上は必要ないという考え方がふつうです。
(続きは来週日曜日)
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国際収支というのは、国の対外的な家計簿。黒字が続いてたまった貯金が、外貨準備でしたね。では日本は、どのくらい外貨準備を持っているのでしょうか。政府の発表によると、ことし4月末の外貨準備保有高は1兆0114億7300万ドルでした。円に直すと、ほぼ100兆円。ずいぶん多いですね。
1年前の08年4月末には1兆0038億ドルでしたから、この1年間で少し増えたことになります。ただ10年前に比べると、日本の外貨準備は4倍以上に増加しました。そして、つい最近までは世界でいちばん多くの外貨準備を保有していたのです。
いま世界でいちばん多くの外貨準備を持っている国は、中国です。その金額は3月末で1兆9537億ドルに達しています。このところ中国の外貨準備は急速に増えており、今後も増えて行くものと思われます。第2位は日本、3位はEU(ヨーロッパ連合)、あとはロシア、インドと続きます。
一般の家庭にとっては、たくさん貯金があることはいいことでしょう。しかし一国の外貨準備は、多ければいいというわけでもありません。通貨の価値を維持して、輸入代金の支払いに困るようなことがなければ、それ以上は必要ないという考え方がふつうです。
(続きは来週日曜日)
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先週の株価は、日米ともに“調整”した。ダウ平均は週間306ドルの値下がり。日経平均も168円の下げとなった。ダウ平均は先々週までに3月の安値6547ドルから31%も上昇したので、一服はむしろ当然だろう。そのうえ今月末までには、GMの処理に結論が出る。頭の上に漬物石の恰好だ。
日経平均も3月の安値から34%上げていた。ダウ下落の影響も受けたが、円高の進行も重しになった。その円相場については、当面これ以上の上昇はないという見方が強い。また鳩山民主党の誕生も、株価にはあまり影響しないとみられている。
今週、アメリカでは19日に4月の住宅着工件数。21日はコンファレンスボードの景気先行指数が発表になる。住宅着工については底入れ期待も強まっており、もし好ましい数字が出れば景気の先行きには明るさが増す。その場合は為替も、ドル高・円安に振れると考えられている。
国内では、18日に4月の消費動向調査と消費者態度指数。そして20日には1-3月期のGDP速報が発表される。民間の予測では、年率でマイナス13-19%という記録的な落ち込みになる見込み。市場は織り込んでいると言うものの、過去最大の低落が報道されれば、やはりある程度のショックは受けるだろう。
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均も3月の安値から34%上げていた。ダウ下落の影響も受けたが、円高の進行も重しになった。その円相場については、当面これ以上の上昇はないという見方が強い。また鳩山民主党の誕生も、株価にはあまり影響しないとみられている。
今週、アメリカでは19日に4月の住宅着工件数。21日はコンファレンスボードの景気先行指数が発表になる。住宅着工については底入れ期待も強まっており、もし好ましい数字が出れば景気の先行きには明るさが増す。その場合は為替も、ドル高・円安に振れると考えられている。
国内では、18日に4月の消費動向調査と消費者態度指数。そして20日には1-3月期のGDP速報が発表される。民間の予測では、年率でマイナス13-19%という記録的な落ち込みになる見込み。市場は織り込んでいると言うものの、過去最大の低落が報道されれば、やはりある程度のショックは受けるだろう。
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本経済新聞の集計によると、上場企業の連結経常利益は今期も減る見通し。2年連続の減益になるが、減益率は8.1%と前期の63.9%から大幅に縮小する。特に下期にはゆるやかな業績の回復が見込まれ、黒字に転換できそうだという。
09年3月期の経常利益は12兆円あまり。絶好調だった08年3月期に比べると、3分の1近くに減少した。とりわけリーマン・ショック以降の下期は、1兆5000億円を超える赤字に落ち込んでいる。10年3月期も自動車や電機などの輸出産業は苦しいが、それでも全体としてはリストラの効果と在庫調整の進展によって業績は改善の方向に進む。
見通しはこうだが、現実には上振れや下振れの可能性が大きい。経済的な環境が変わらないとしても、経営者はさらに合理化を進めていい結果を出そうとする。それに成功する企業が増えれば、実際の業績は見通しを上回る。トヨタの経営者も、8500億円の赤字を出そうとは考えていない。
逆に現実が見通しを下回るのは、いつまでたっても内需が拡大しない場合だろう。経営者が黒字を目指してリストラを推進すると、雇用や個人の所得が増えない。そうなると消費も増加しないから、こんどはこれが経営を圧迫する最大の要因になりかねない。政府の景気対策は、そこに本来の出番がある。政府にその意思と力があるのかどうか。次のポイントになってくる。
≪18日の日経平均 = 下げ -226.33円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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09年3月期の経常利益は12兆円あまり。絶好調だった08年3月期に比べると、3分の1近くに減少した。とりわけリーマン・ショック以降の下期は、1兆5000億円を超える赤字に落ち込んでいる。10年3月期も自動車や電機などの輸出産業は苦しいが、それでも全体としてはリストラの効果と在庫調整の進展によって業績は改善の方向に進む。
見通しはこうだが、現実には上振れや下振れの可能性が大きい。経済的な環境が変わらないとしても、経営者はさらに合理化を進めていい結果を出そうとする。それに成功する企業が増えれば、実際の業績は見通しを上回る。トヨタの経営者も、8500億円の赤字を出そうとは考えていない。
逆に現実が見通しを下回るのは、いつまでたっても内需が拡大しない場合だろう。経営者が黒字を目指してリストラを推進すると、雇用や個人の所得が増えない。そうなると消費も増加しないから、こんどはこれが経営を圧迫する最大の要因になりかねない。政府の景気対策は、そこに本来の出番がある。政府にその意思と力があるのかどうか。次のポイントになってくる。
≪18日の日経平均 = 下げ -226.33円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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財務省の集計によると、3月末の国税収入は35兆円だった。08年度の当初予算に組み込んだ税収額53兆6000億円に比べると、まだ65%にしか達しない。政府は昨年末、不況による税収の減少を見越して、税収予算を減額した。だが、その補正額の46兆4000億円に対しても、まだ75%の収入しかない。
もちろん、08年度の税収は7月にならないと確定しない。特に法人税収は3月決算の企業が多いために、例年はこれから大きく伸びる。だが、ことしは不況の影響で企業の利益は激減。日本経済新聞の調査によると、上場企業の3月期の経常利益は前期より64%も減った。法人税収もかなりの減少を覚悟しなければならない。
不況の影響は、すでに各税目の収入に現れてきている。3月末時点の税収額をみても、所得税は予算額の81.7%、消費税は71.5%。問題の法人税は59.3%にしか達していない。この調子だと、08年度の税収総額は予算額に対して少なくとも2兆円。場合によっては3兆円以上の不足を生じる可能性も出てきた。
その不足額は、国債発行の増額で賄わなければならない。国の借金はますます増大する。ところが、こうした税収の不調については、あまり議論が聞こえてこない。政治家や役人ばかりでなく、マスコミも政府が打ち出す“なんでもあり”の景気対策に慣れすぎて、“赤字不感症”になってしまったような気がする。
≪19日の日経平均 = 上げ +251.60円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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もちろん、08年度の税収は7月にならないと確定しない。特に法人税収は3月決算の企業が多いために、例年はこれから大きく伸びる。だが、ことしは不況の影響で企業の利益は激減。日本経済新聞の調査によると、上場企業の3月期の経常利益は前期より64%も減った。法人税収もかなりの減少を覚悟しなければならない。
不況の影響は、すでに各税目の収入に現れてきている。3月末時点の税収額をみても、所得税は予算額の81.7%、消費税は71.5%。問題の法人税は59.3%にしか達していない。この調子だと、08年度の税収総額は予算額に対して少なくとも2兆円。場合によっては3兆円以上の不足を生じる可能性も出てきた。
その不足額は、国債発行の増額で賄わなければならない。国の借金はますます増大する。ところが、こうした税収の不調については、あまり議論が聞こえてこない。政治家や役人ばかりでなく、マスコミも政府が打ち出す“なんでもあり”の景気対策に慣れすぎて、“赤字不感症”になってしまったような気がする。
≪19日の日経平均 = 上げ +251.60円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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内閣府の発表によると、ことし1-3月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で15.2%のマイナスとなった。世界不況による輸出の激減が引き金となって、企業の設備投資や個人消費などの国内需要も大幅に減少。四半期としては、戦後最悪のマイナス成長を記録した。
昨年10-12月期のGDPについても、マイナス12.1%だった速報値をマイナス14.4%に下方修正している。2四半期にわたって2ケタのマイナス成長になったのも、戦後はじめての記録。リーマン・ショックのあと昨年10月以降、景気がいかに急降下したかを物語っている。この結果、08年度の実質成長率はマイナス3.5%となった。この数値も戦後最悪。
1-3月期の内訳けをみると、問題の輸出は年率70.1%と壊滅的な減少ぶり。企業の設備投資は35.5%、民間の住宅投資は20.0%、個人消費も4.3%と軒並み減少した。民間需要全体では12.8%の減少となっている。世界不況の直撃を受けたことに違いはないが、政府が3月まで何も手を打たなかったことも、事態の悪化を増幅させたと言えるだろう。
今後の見通しは、どうなのだろう。民間エコノミストの予測を総合すると、4-6月期はわずかではあるがプラス成長に戻れる見込みが出てきた。内閣府の外郭団体である経済企画協会が民間エコノミスト37人を対象に調査したところ、4-6月期の成長率予測は平均値がプラス1.1%となった。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 上げ +54.35円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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昨年10-12月期のGDPについても、マイナス12.1%だった速報値をマイナス14.4%に下方修正している。2四半期にわたって2ケタのマイナス成長になったのも、戦後はじめての記録。リーマン・ショックのあと昨年10月以降、景気がいかに急降下したかを物語っている。この結果、08年度の実質成長率はマイナス3.5%となった。この数値も戦後最悪。
1-3月期の内訳けをみると、問題の輸出は年率70.1%と壊滅的な減少ぶり。企業の設備投資は35.5%、民間の住宅投資は20.0%、個人消費も4.3%と軒並み減少した。民間需要全体では12.8%の減少となっている。世界不況の直撃を受けたことに違いはないが、政府が3月まで何も手を打たなかったことも、事態の悪化を増幅させたと言えるだろう。
今後の見通しは、どうなのだろう。民間エコノミストの予測を総合すると、4-6月期はわずかではあるがプラス成長に戻れる見込みが出てきた。内閣府の外郭団体である経済企画協会が民間エコノミスト37人を対象に調査したところ、4-6月期の成長率予測は平均値がプラス1.1%となった。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 上げ +54.35円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ことし1-3月期のGDP速報値は年率15.2%の記録的な落ち込みとなったが、エコノミストの予測によると4-6月期は1.1%のプラス成長が見込めるという。もし予測の通りになれば、景気はV字型に回復することになる。ところが7月以降も、このV字型回復が持続することは期待できそうにない。
成長率が4-6月期にプラスとなるのは、輸出の減少が止まりつつあること。加えて自動車や電機メーカーのきびしい生産調整で、過剰在庫がほぼ一掃されたためである。いわば急激な落ち込みの反動で、一気に水面にまで浮き上がる形になると言っていい。だが反動だから、この勢いが長く続くことはない。
景気の回復が持続するためには、輸出の急増か内需の拡大が必要になる。主要輸出先の景気動向は、中国が底入れを終えた程度。あとはアメリカもヨーロッパ諸国も、まだ後退期を脱していない。つまり日本の輸出が急増するような環境ではない。加えて国内需要も、期待はムリな状態。雇用や所得が伸びる状況ではないからだ。
したがって成長率は4-6月期に反動で増加しても、その後は伸び悩む。エコノミストの平均予測値も、7-9月期は1.8%、10-12月期は2.4%のプラス成長にとどまっている。しかしアメリカの景気回復が遅れ、国内で個人所得を引き上げるための新たな対策が講じられなければ、ことし後半の成長率は再び水面下に沈む危険性をはらんでいる。
≪21日の日経平均 = 下げ -80.49円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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成長率が4-6月期にプラスとなるのは、輸出の減少が止まりつつあること。加えて自動車や電機メーカーのきびしい生産調整で、過剰在庫がほぼ一掃されたためである。いわば急激な落ち込みの反動で、一気に水面にまで浮き上がる形になると言っていい。だが反動だから、この勢いが長く続くことはない。
景気の回復が持続するためには、輸出の急増か内需の拡大が必要になる。主要輸出先の景気動向は、中国が底入れを終えた程度。あとはアメリカもヨーロッパ諸国も、まだ後退期を脱していない。つまり日本の輸出が急増するような環境ではない。加えて国内需要も、期待はムリな状態。雇用や所得が伸びる状況ではないからだ。
したがって成長率は4-6月期に反動で増加しても、その後は伸び悩む。エコノミストの平均予測値も、7-9月期は1.8%、10-12月期は2.4%のプラス成長にとどまっている。しかしアメリカの景気回復が遅れ、国内で個人所得を引き上げるための新たな対策が講じられなければ、ことし後半の成長率は再び水面下に沈む危険性をはらんでいる。
≪21日の日経平均 = 下げ -80.49円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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4)最も多いのは小売業 = 419万8000社の中小企業を業種別にみると、いちばん多いのはやはり小売業だ。その数は87万8000社。大企業を含めた小売業全体の99.7%を占めている。そのうちの大部分が小規模企業で、75万8000社もある。ちなみに大企業の数は2700社。
次に多いのはサービス業で75万8000社。さらに飲食店・宿泊業、建設業と続き、第5位が製造業で45万6000社となっている。この製造業の場合も全体に占める比率は99.6%。そのうちの88%が小規模企業だ。製造業の大企業数は2002社である。
どの業種も、数多くの小さな企業によって支えられていることが判る。ただ見た目にはかなり大きな世帯を張っている企業も、資本金が少なければ中小企業と認定される。たとえば宿泊業などは、名の通った立派な旅館でも資本金が小さく中小企業であることが多い。
これらの数字は総務省がまとめた事業所・企業統計調査にもとづいており、2006年時点のもの。その5年前の2001年時点の調査に比べると、バブル崩壊の影響を受けて企業の数は減少している。この5年間で、中小企業の数は49万社も減った。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -38.34円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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次に多いのはサービス業で75万8000社。さらに飲食店・宿泊業、建設業と続き、第5位が製造業で45万6000社となっている。この製造業の場合も全体に占める比率は99.6%。そのうちの88%が小規模企業だ。製造業の大企業数は2002社である。
どの業種も、数多くの小さな企業によって支えられていることが判る。ただ見た目にはかなり大きな世帯を張っている企業も、資本金が少なければ中小企業と認定される。たとえば宿泊業などは、名の通った立派な旅館でも資本金が小さく中小企業であることが多い。
これらの数字は総務省がまとめた事業所・企業統計調査にもとづいており、2006年時点のもの。その5年前の2001年時点の調査に比べると、バブル崩壊の影響を受けて企業の数は減少している。この5年間で、中小企業の数は49万社も減った。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -38.34円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ⑧
こんどは08年(1-12月)の経常収支を、地域別に調べてみましょう。まず経常収支の総計は16兆4000億円の黒字でした。このうちアジア地域に限ってみると、黒字は10兆1000億円。全体の黒字の6割以上を占めています。ただ貿易赤字が大きかったインドネシアと中国については、それぞれ1兆円を超える赤字でした。
アメリカとの経常収支は11兆1000億円の黒字。貿易収支では6兆3000億円の黒字を出しています。また中南米地域との経常収支は2兆6000億円の黒字。ここも貿易収支の黒字1兆5000億円が、その半分以上を占めています。
西ヨーロッパ諸国との経常収支は、7兆9000億円の黒字でした。オランダやドイツ、ベルギーに対する黒字が大きく、赤字だったのはスイスだけとなっています。またロシアとの経常収支は4000億円の黒字。このように世界の大半の国に対しては黒字でしたが、中東諸国に対しては大赤字。これは原油の輸入価格が高騰したためで、経常収支は13兆8000億円の赤字でした。
日本の国際収支は、08年を通してみると順調だったと言えるでしょう。しかし08年秋からは世界中が不況になったために、日本の輸出は大幅に減少してしまいました。たとえば09年1月の経常収支は1728億円の赤字でした。月間の経常収支が赤字になったのは、13年ぶりのことです。
(続きは来週日曜日)
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こんどは08年(1-12月)の経常収支を、地域別に調べてみましょう。まず経常収支の総計は16兆4000億円の黒字でした。このうちアジア地域に限ってみると、黒字は10兆1000億円。全体の黒字の6割以上を占めています。ただ貿易赤字が大きかったインドネシアと中国については、それぞれ1兆円を超える赤字でした。
アメリカとの経常収支は11兆1000億円の黒字。貿易収支では6兆3000億円の黒字を出しています。また中南米地域との経常収支は2兆6000億円の黒字。ここも貿易収支の黒字1兆5000億円が、その半分以上を占めています。
西ヨーロッパ諸国との経常収支は、7兆9000億円の黒字でした。オランダやドイツ、ベルギーに対する黒字が大きく、赤字だったのはスイスだけとなっています。またロシアとの経常収支は4000億円の黒字。このように世界の大半の国に対しては黒字でしたが、中東諸国に対しては大赤字。これは原油の輸入価格が高騰したためで、経常収支は13兆8000億円の赤字でした。
日本の国際収支は、08年を通してみると順調だったと言えるでしょう。しかし08年秋からは世界中が不況になったために、日本の輸出は大幅に減少してしまいました。たとえば09年1月の経常収支は1728億円の赤字でした。月間の経常収支が赤字になったのは、13年ぶりのことです。
(続きは来週日曜日)
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最大のポイントは、GMの破産法申請がいつ確定するかだ。政府が設定した最終期限は来週6月1日だが、政府側の責任者であるガイトナー財務長官は中国を訪問して、この日は不在。したがって今週末の29日までには結論を出さなければならない。
GMの再建問題は大詰めを迎えて、クライスラーの場合と全く同じ様相を呈している。クライスラーは労務費の削減で労働組合とは合意したが、債権者との話し合いがつかず、結局は破産法11条の適用を申請した。GMも先週、労組とは暫定合意に達したが、債権者との交渉はきわめて難航している。27日か29日に、破産法申請となる公算が強い。
クライスラーに続いてGMも倒産ということになると、日本企業を含めた部品メーカーなど関連企業に及ぼす影響は非常に大きい。回復の芽が出てきた日本の景気にとっても、悪材料になることは間違いない。ただ株式市場などは、これで今回の不況がもたらした最後の大問題が決着。アク抜きととらえる空気が強いのではないだろうか。
国内では、26日に4月の企業向けサービス価格。27日には、4月の貿易収支。29日には、4月の家計調査、消費者物価、鉱工業生産、住宅着工件数が発表される。このうち4月の輸出がどの程度の回復をみせたか。生産が前月時点の予測通りに、目立って改善したかどうか。この2点は特に重要だ。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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GMの再建問題は大詰めを迎えて、クライスラーの場合と全く同じ様相を呈している。クライスラーは労務費の削減で労働組合とは合意したが、債権者との話し合いがつかず、結局は破産法11条の適用を申請した。GMも先週、労組とは暫定合意に達したが、債権者との交渉はきわめて難航している。27日か29日に、破産法申請となる公算が強い。
クライスラーに続いてGMも倒産ということになると、日本企業を含めた部品メーカーなど関連企業に及ぼす影響は非常に大きい。回復の芽が出てきた日本の景気にとっても、悪材料になることは間違いない。ただ株式市場などは、これで今回の不況がもたらした最後の大問題が決着。アク抜きととらえる空気が強いのではないだろうか。
国内では、26日に4月の企業向けサービス価格。27日には、4月の貿易収支。29日には、4月の家計調査、消費者物価、鉱工業生産、住宅着工件数が発表される。このうち4月の輸出がどの程度の回復をみせたか。生産が前月時点の予測通りに、目立って改善したかどうか。この2点は特に重要だ。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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世界中の自動車メーカーを巻き込んで、エコカー開発の死闘が始まる。火付け役は、自動車の燃費規制を大幅に強化することを決めたオバマ大統領。アメリカの燃費規制は、1ガロンのガソリンで走行できる距離を現在の25マイルから35.5マイルに延ばすことが基本。この数値を日本流に直すと、1リットルでの走行距離を10.6キロメートルから15.1キロメートルに改善することになる。
アメリカ政府はこの燃費規制を、2020年までに完了する予定だった。それをオバマ大統領が大幅に前倒しして、16年までに達成することを決断した。すでにカリフォルニア州は16年を目標に燃費の3割削減を決めたが、ブッシュ前政権はこれを認めなかった。オバマ政権は姿勢を180度転換。カリフォルニア州の規制を全国的に拡大したと言える。
規制の対象は、乗用車と軽トラック。乗用車については1リットル当たり16.6キロメートル、SUV(多目的スポーツ車)やミニバンなどは12.8キロメートルに引き上げられる。この数字を見て「日本は楽勝だ」と思う人は多いだろう。なにしろ、いま評判が高いトヨタの新型プりウスは1リットルで38キロメートル、ホンダのインサイトは30キロメートルだからだ。
たしかに日本の新ハイブリッド車は、飛び抜けて燃費がいい。アメリカの7年後の目標を、すでにクリアしている。だがオバマ大統領とそのブレーンたちは、日本車の圧倒的な勝利を歓迎しているわけではない。あくまでもアメリカの自動車産業を、再び世界一の座に復権させることが目標だ。その長期的な大戦略を、決して軽視してはならないだろう。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 上げ +121.19円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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アメリカ政府はこの燃費規制を、2020年までに完了する予定だった。それをオバマ大統領が大幅に前倒しして、16年までに達成することを決断した。すでにカリフォルニア州は16年を目標に燃費の3割削減を決めたが、ブッシュ前政権はこれを認めなかった。オバマ政権は姿勢を180度転換。カリフォルニア州の規制を全国的に拡大したと言える。
規制の対象は、乗用車と軽トラック。乗用車については1リットル当たり16.6キロメートル、SUV(多目的スポーツ車)やミニバンなどは12.8キロメートルに引き上げられる。この数字を見て「日本は楽勝だ」と思う人は多いだろう。なにしろ、いま評判が高いトヨタの新型プりウスは1リットルで38キロメートル、ホンダのインサイトは30キロメートルだからだ。
たしかに日本の新ハイブリッド車は、飛び抜けて燃費がいい。アメリカの7年後の目標を、すでにクリアしている。だがオバマ大統領とそのブレーンたちは、日本車の圧倒的な勝利を歓迎しているわけではない。あくまでもアメリカの自動車産業を、再び世界一の座に復権させることが目標だ。その長期的な大戦略を、決して軽視してはならないだろう。
(続きは明日)
≪25日の日経平均 = 上げ +121.19円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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アメリカ政府の発表によると、今回の規制強化でCO2(二酸化炭素)の排出量が30%削減される。またガソリンの消費量は、5年間で18億バレルの節約になる。そして自動車の生産コストは1台当たり1300ドル高くなるが、消費者は燃料費の軽減で十分に元がとれる。こうして、まずアメリカ国民の理解と共感を得る作戦を展開した。
実際問題として、ガソリン車でアメリカの規制をクリアするのは、きわめて困難だろう。たとえば日本の場合をみても、ガソリン車だと660CCクラスの軽自動車で1リットル当たり20キロメートルがせいぜい。レクサスの2500CC車で9.2キロメートルである。だから日本もヨーロッパ諸国も、15年に16.8キロメートル程度への改善目標を掲げている。
電気自動車の場合は、全くガソリンを使わずに済む。しかし電力の供給や電池の性能は、まだ実験段階に近い。発電の際に生じるCO2の問題もある。広く実用化されるまでには、かなりの時間を要するに違いない。となると、きびしい燃費規制をクリアする可能性が断トツに高いのは、やはりハイブリッド車ということになる。
アメリカ政府も、ビッグスリーの再生にはハイブリッド車が不可欠と考えているフシがある。最も燃費を向上させやすいのは小型車。クライスラー社の支援に当たって、イタリアの小型車メーカーであるフィアット社との提携に固執した理由も、そこにあったのではないだろうか。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -36.19円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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実際問題として、ガソリン車でアメリカの規制をクリアするのは、きわめて困難だろう。たとえば日本の場合をみても、ガソリン車だと660CCクラスの軽自動車で1リットル当たり20キロメートルがせいぜい。レクサスの2500CC車で9.2キロメートルである。だから日本もヨーロッパ諸国も、15年に16.8キロメートル程度への改善目標を掲げている。
電気自動車の場合は、全くガソリンを使わずに済む。しかし電力の供給や電池の性能は、まだ実験段階に近い。発電の際に生じるCO2の問題もある。広く実用化されるまでには、かなりの時間を要するに違いない。となると、きびしい燃費規制をクリアする可能性が断トツに高いのは、やはりハイブリッド車ということになる。
アメリカ政府も、ビッグスリーの再生にはハイブリッド車が不可欠と考えているフシがある。最も燃費を向上させやすいのは小型車。クライスラー社の支援に当たって、イタリアの小型車メーカーであるフィアット社との提携に固執した理由も、そこにあったのではないだろうか。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -36.19円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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世界最大の自動車会社だったGM。破産法11条の適用によって、その経営はアメリカ政府の管理下に置かれる。政府はこれまでGM経営陣に対して、経営刷新の遅れを叱責。特にハイブリッド車などの開発に対する努力不足を追及してきた。その政府が経営権を持てば、ハイブリッド車の開発に全力をあげることは当然だろう。
GMはトヨタとの合弁で、北米に小型車の生産工場を作っている。この関係をもとに、トヨタとの提携強化を要請してくる公算も強い。トヨタとしても、アメリカ政府が全面支援する新GMとの関係強化には魅力があるはずだ。オバマ政権はトヨタやフィアットとの連携を強めながら、独自に政産学の力を結集してハイブリッド車の開発に全力投球することになるだろう。
世界の自動車産業は、不況による需要急減の大波をかぶり、すでに淘汰の動きが高まっている。その競争の中心線が、アメリカの新しい燃費規制によって明瞭にされてきたと言えるだろう。ハイブリッド車についてはフォード社も独自の技術を開発しているし、ドイツのフォルクスワーゲンなども侮れない伏兵だ。
日本はたしかに技術的に世界の先頭を切っている。しかしアメリカ市場を攻略するには、2000cc以下の小型車だけでは不十分だ。さらに技術開発を進めて、中型車の燃費を向上させること。車戴電池の性能向上なども必要不可欠。そのうえコストも切り下げなければ、これからのエコカー競争には勝ち残れない。
≪27日の日経平均 = 上げ +127.96円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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GMはトヨタとの合弁で、北米に小型車の生産工場を作っている。この関係をもとに、トヨタとの提携強化を要請してくる公算も強い。トヨタとしても、アメリカ政府が全面支援する新GMとの関係強化には魅力があるはずだ。オバマ政権はトヨタやフィアットとの連携を強めながら、独自に政産学の力を結集してハイブリッド車の開発に全力投球することになるだろう。
世界の自動車産業は、不況による需要急減の大波をかぶり、すでに淘汰の動きが高まっている。その競争の中心線が、アメリカの新しい燃費規制によって明瞭にされてきたと言えるだろう。ハイブリッド車についてはフォード社も独自の技術を開発しているし、ドイツのフォルクスワーゲンなども侮れない伏兵だ。
日本はたしかに技術的に世界の先頭を切っている。しかしアメリカ市場を攻略するには、2000cc以下の小型車だけでは不十分だ。さらに技術開発を進めて、中型車の燃費を向上させること。車戴電池の性能向上なども必要不可欠。そのうえコストも切り下げなければ、これからのエコカー競争には勝ち残れない。
≪27日の日経平均 = 上げ +127.96円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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財務省が発表した4月の貿易統計によると、輸出総額は4兆1969億円。前年同月に比べ39.1%の減少だった。前年比のマイナスが最も大きかった2月の49.4%減少からみると10.3ポイント改善したことになるが、輸出回復の勢いはあまり強いとは言えない。
特にアメリカ向けの輸出は回復が鈍い。4月の輸出額は6537億円で、前年比は46.3%の減少だった。2月に比べると12.1ポイントの改善だが、その水準は前年の半分ちょっとにすぎない。EU(ヨーロッパ連合)向けも前年比は45.5%の減少。2月に比べると、9.3ポイントの改善だった。
アジア向け輸出は、やや減少率の縮小が大きい。アジア全体への輸出額は2兆2897億円。前年比は33.4%の減少だった。2月に比べると12.9ポイントの改善となっている。このうち中国向けは8145億円。前年比では25.8%減少と、ほぼ4分の3の水準を回復した。2月に比べると13.9ポイントの改善。
ここまでの推移から将来を予測することはできないが、それでも日本の輸出回復は中国への依存度が大きくなりそうな感じはする。だがアメリカやEU諸国向けの回復が遅れると、輸出が全体として伸びるまでには相当な時間を必要としそうだ。その間、内需の拡大で景気を支えられるかどうか。状況はどうも悲観的である。
≪28日の日経平均 = 上げ +12.62円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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特にアメリカ向けの輸出は回復が鈍い。4月の輸出額は6537億円で、前年比は46.3%の減少だった。2月に比べると12.1ポイントの改善だが、その水準は前年の半分ちょっとにすぎない。EU(ヨーロッパ連合)向けも前年比は45.5%の減少。2月に比べると、9.3ポイントの改善だった。
アジア向け輸出は、やや減少率の縮小が大きい。アジア全体への輸出額は2兆2897億円。前年比は33.4%の減少だった。2月に比べると12.9ポイントの改善となっている。このうち中国向けは8145億円。前年比では25.8%減少と、ほぼ4分の3の水準を回復した。2月に比べると13.9ポイントの改善。
ここまでの推移から将来を予測することはできないが、それでも日本の輸出回復は中国への依存度が大きくなりそうな感じはする。だがアメリカやEU諸国向けの回復が遅れると、輸出が全体として伸びるまでには相当な時間を必要としそうだ。その間、内需の拡大で景気を支えられるかどうか。状況はどうも悲観的である。
≪28日の日経平均 = 上げ +12.62円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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5)全体の3分の2を雇用 = 2006年の統計によると、農業・漁業を除く全産業の常用雇用者は3633万人だった。このうち中小企業の常用雇用者は2405万人。全体のちょうど3分の2を占めている。残りは大企業で、その人数は1228万人。したがって、中小企業は大企業の2倍の人たちを雇用しているわけだ。
業種別にみると、中小企業のうち最も常用雇用者が多いのは製造業で560万人。次いで小売業の337万人、建設業の258万人となっている。このうち小規模企業は全体で623万人。最も多いのは建設業の151万人、次いで製造業、小売業となっている。
大企業を含めた全産業でみると、雇用が最も多いのは製造業で912万人。次いで小売業が568万人、卸売業が333万人。したがって小売りと卸売りを合わせて流通業と考えれば、雇用者の数は製造業にきわめて近くなる。ちなみに大企業だけを取り出してみると、1位は製造業、続いて小売業、金融・保険業の順。
こうした統計からも判ることは、金融・保険業は大企業に属する雇用者の比率がきわめて高いこと。また逆に建設業の場合は、大企業に比べて中小企業、特に小規模企業の雇用者数が圧倒的に多いことだ。金融・保険業は本社の直接雇用が多く、建設業は下請け方式に依存しているためである。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 上げ +71.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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業種別にみると、中小企業のうち最も常用雇用者が多いのは製造業で560万人。次いで小売業の337万人、建設業の258万人となっている。このうち小規模企業は全体で623万人。最も多いのは建設業の151万人、次いで製造業、小売業となっている。
大企業を含めた全産業でみると、雇用が最も多いのは製造業で912万人。次いで小売業が568万人、卸売業が333万人。したがって小売りと卸売りを合わせて流通業と考えれば、雇用者の数は製造業にきわめて近くなる。ちなみに大企業だけを取り出してみると、1位は製造業、続いて小売業、金融・保険業の順。
こうした統計からも判ることは、金融・保険業は大企業に属する雇用者の比率がきわめて高いこと。また逆に建設業の場合は、大企業に比べて中小企業、特に小規模企業の雇用者数が圧倒的に多いことだ。金融・保険業は本社の直接雇用が多く、建設業は下請け方式に依存しているためである。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 上げ +71.11円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第14章 国際収支って、なんだろう? ⑨
いま日本は1兆ドルもの外貨準備を持っています。ですから外貨の不足を心配するようなことは、まったくありません。でも戦争直後の日本は工場や会社の多くが焼けてしまい、食べ物にもこと欠く時代でした。輸出などはとてもできる状態ではありません。このため外貨準備も、ほとんど持てませんでした。
たとえば戦争が終った4年後、1949年(昭和24年)末の外貨準備はたったの2億2600万ドルでした。それから輸出も少しずつ増えましたが、国際収支はずっと赤字ぎみ。アメリカの援助に頼ったり、IMF(国際通貨基金)から借金をしたり、苦しい時期が続いたのです。
国内の景気がよくなると、工業製品を作るための原料や材料、また食料の輸入が増えて、国際収支はすぐに赤字になってしまいます。すると外貨準備を減らさないために、景気を悪くするような引き締め政策をとらなければなりませんでした。つまり日本経済は、低い国際収支の天井(てんじょう)に何回も頭をぶつけていたのです。
国際収支の天井がなくなったのは、68年(昭和43年)のことでした。この間、64年には東京オリンピックが開かれるなど、日本経済は急速に復興しています。輸出も大幅に伸び始め、68年末の外貨準備高は29億ドルに達しました。終戦から68年までの23年間は、外貨準備の不足に悩まされた「国際収支天井の時代」だと言うことができるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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いま日本は1兆ドルもの外貨準備を持っています。ですから外貨の不足を心配するようなことは、まったくありません。でも戦争直後の日本は工場や会社の多くが焼けてしまい、食べ物にもこと欠く時代でした。輸出などはとてもできる状態ではありません。このため外貨準備も、ほとんど持てませんでした。
たとえば戦争が終った4年後、1949年(昭和24年)末の外貨準備はたったの2億2600万ドルでした。それから輸出も少しずつ増えましたが、国際収支はずっと赤字ぎみ。アメリカの援助に頼ったり、IMF(国際通貨基金)から借金をしたり、苦しい時期が続いたのです。
国内の景気がよくなると、工業製品を作るための原料や材料、また食料の輸入が増えて、国際収支はすぐに赤字になってしまいます。すると外貨準備を減らさないために、景気を悪くするような引き締め政策をとらなければなりませんでした。つまり日本経済は、低い国際収支の天井(てんじょう)に何回も頭をぶつけていたのです。
国際収支の天井がなくなったのは、68年(昭和43年)のことでした。この間、64年には東京オリンピックが開かれるなど、日本経済は急速に復興しています。輸出も大幅に伸び始め、68年末の外貨準備高は29億ドルに達しました。終戦から68年までの23年間は、外貨準備の不足に悩まされた「国際収支天井の時代」だと言うことができるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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