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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
生産の回復は 胸突き八丁へ
2010-06-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 5、6月はペースが鈍る = 経済産業省は31日、4月の鉱工業生産指数を発表した。それによると05年を100とした指数で、4月の生産は96.0の水準にまで回復している。前月比では1.3%の増加、前年同月比では25.9%の増加だった。出荷は前月比で1.6%増加、在庫は0.3%の増加となっている。

生産が大きく伸びた業種は、一般機械工業と金属製品工業。品目としては、海外向けの半導体製造装置、産業用アルミニウムの伸びが目立っている。その半面、液晶テレビ、乗用車、ノート型パソコンなどは前月比で減少した。テレビや乗用車はエコポイントや補助金の効果が一巡したため、またパソコンは新年度用の買い付けが終了したためとみられている。

今回の不況で、鉱工業生産指数は昨年2月に71.4まで落ち込んだ。その後は順調に回復して、05年の平均まであと4ポイントのところまで上昇してきた。しかしリーマン・ショック以前の08年4月に比べると、回復率は89%に達したところ。もうひと息の上昇が期待される。

ところが予測調査によると、5月は前月比0.4%、6月も0.3%の増加という結果が出た。この予測通りなら、生産の回復はがくんとペースを落とすことになる。経済産業省では「持ち直しの動きで推移している」と判断しているが、かなり心配だ。補助金政策の効果が薄れることに加えて、ユーロ不安、それに参院選を前にした政治情勢が影響していると思われる。


    ≪31日の日経平均 = 上げ +5.72円≫

    ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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新車販売 : 不況前の水準に戻す
2010-06-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 不況克服の一番乗り = 新車の販売台数が、不況前の水準を回復した。主要な経済指標のなかでは、不況克服の一番乗りと言ってもいいだろう。日本自動車販売協会連合会の集計によると、5月の軽自動車を除く登録車の販売台数は22万8514台だった。前年同月比では28.0%の増加。さらに不況に入る前の08年5月の実績22万1377台を上回っている。

車種別では、乗用車の売れ行きがいい。乗用車の販売台数は20万7272台で、前年より29.9%増加した。08年5月に比べると、1万台以上も上回っている。これはエコカーに対する減税措置や補助金制度の実施が大きかった。ブランド別ではトヨタが前年比39%、ホンダが16%、日産が9%の増加だった。

一方、全国軽自動車協会連合会の発表によると、5月の軽自動車販売台数は12万7634台。前年同月比では12.4%の増加だった。このうち乗用車は9万3488台で、10.0%の増加。軽自動車も販売は回復しているが、補助金制度の恩恵が少なかったこともあって、勢いはやや弱い。スズキが9%の増加、ダイハツは6%の増加だった。

この結果、5月の軽自動車を含む販売台数は35万6148台。前年比では22%の増加だったが、08年5月の実績に比べると5000台ほど少なかった。しかし乗用車メーカー8社の生産台数は急速に増加しており、特に海外での生産はすでに不況前の水準を回復している。全体的にみて自動車業界は、今回の不況を克服したとみて間違いないだろう。


    ≪1日の日経平均 = 下げ -56.87円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ

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玉虫色の子ども手当て / 支給始まる
2010-06-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 全く不鮮明な目的 = 子ども手当ての支給が始まった。中学生以下の子ども1人当たりに月額1万3000円。自治体によって支払日は異なるが、今月は4月と5月の2か月分が支給される。対象となる人数はおよそ1735万人。今年度の予算額は2兆2554億円にのぼる。

この政策に熱意を注いだ鳩山首相が支給開始と同時に辞任したのは、皮肉な巡り合わせというほかない。その鳩山首相は法案が成立したとき「これで消費が盛り上がり、景気はよくなる」と胸を張った。その時点では、子ども手当ての政策目的は、明らかに景気対策だったとも考えられる。

しかし、その後の内閣府の調査では、支給される金額の43%が貯蓄に回るという結果。消費を刺激する効果は、きわめて小さいことが判明した。このころから目的は少子化対策であるとか、低所得層への支援であるとか、考え方が拡散して行く。だが少子化対策ならば、保育所の拡充の方が大事。高所得層へも支給している。こんな意見も出て、政策の目的は全く不鮮明になってしまった。

もちろん、一つの政策がいくつかの目的を持つことはありうる。だが子ども手当ては、明確な目的を一つも挙げられないという珍しいケースになってしまった。しかも財政の悪化要因にもなったため、概して国民の評判もよくない。ポスト鳩山の民主党政府は、この辺の事情をよく検証すべきだ。手当ての受給者も、来年からは2倍もらえるなどとは考えない方がいい。


    ≪2日の日経平均 = 下げ -108.59円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ

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人件費を増やさない : 企業の姿勢 
2010-06-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 残業の増加でしのぐ = 景気の回復にもかかわらず、サラリーマンの給与が上がらない。厚生労働省が発表した4月の勤労統計によると、従業員1人当たり平均の現金給与総額は27万5985円で、前年同月の実績を1.5%上回った。ところが、この増加はすべて残業料が増えた結果であり、基本給はむしろ減少している。

従業員5人以上の事業所を対象に調査したところ、残業を意味する所定外労働時間は全産業ベースで平均10.3時間。前年よりも10.8%増加した。このため所定外給与は前年比11.3%増加している。その半面、基本給を意味する所定内給与は0.4%減少した。

残業の増加は、特に製造業で目立っている。製造業の残業時間数は平均で13.8時間。所定外給与は前年より54.0%も増えている。しかし所定内給与は0.5%しか増加していない。4月の生産は不況前の水準の89%にまで回復してきている。その生産増加を新たな雇用増ではなく、残業の増加で賄う。企業の姿勢が明白に現れた数字だと言えるだろう。

企業が人件費の抑制を重視する理由は、いろいろ考えられる。まず景気の先行きが不透明なこと。その根底には、民主党に対する政策不信が存在する。次いで競争の激化。特にアジア諸国とのコスト競争が、常に意識されている。また製造業では海外生産の比重を高めたことから、国内の能力アップが鈍っている点も影響している。さらに労働者派遣法の改正も、微妙に響いているのではないか。 


    ≪3日の日経平均 = 上げ +310.95円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- ギリシャの悲劇 : 日本は? ⑥
2010-06-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 財政再建への大波 = ギリシャの財政破綻をきっかけとして、いまヨーロッパ諸国には財政再建の大波が押し寄せている。火元となったギリシャは今後3年間に300億ユーロの赤字を削減すると約束したが、これはEU諸国などから緊急融資を受けるための前提条件だった。

火の粉は近隣諸国に飛んだ。同様に財政不安を囁かれていたポルトガルとスペインが、すぐに厳しい財政再建策を発表。スペインなどは13年までに500億ユーロの削減を決めた直後に、さらに150億ユーロの削減を上乗せしている。そしてイタリアも、2年間で240億ユーロの財政赤字削減を決定した。公務員の昇給をストップする措置も含まれており、イタリアでは大規模なストも発生しそうな雲行きである。

どちらかというと、ヨーロッパでは南の国々が財政問題にルーズだと言われている。だが財政再建への大波はしだいに北上し、フランスやイギリス、それにドイツをも巻き込んでいる。フランスは今後3年間の歳出の伸びを、国債の利払い費を除いてゼロにすることを決めた。イギリスはユーロ圏ではないが、こんどの総選挙で13年ぶりに政権を奪回した保守党のキャメロン首相は施政方針演説で、直ちに財政赤字の削減に取り組むと公約した。

EUのなかで最も経済力の大きいドイツ。こんどのギリシャ支援でも224億ユーロを拠出する。まだ具体的な緊縮財政策は発表していないが、メルケル首相は「ドイツにも緊縮策は必要だ」と述べている。ただドイツ政府にとって頭が痛いのは、多くの国民がギリシャ支援に批判的なこと。なぜ遊んで暮らしてきたキリギリスに、働き者のアリが援助しなければならないのか。こんなイソップ物語が、比喩として持ち出されているという。
                              
                              
                               (続きは来週サタデー)

    ≪4日の日経平均 = 下げ -13.00円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-06-06-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第18章 消費税って、なんだろう? ⑩

仮に消費税を引き上げるとしたら、現在の消費税法という法律を変えなければなりません。ふつうは政府が新しい税率や実施の時期、あるいは例外とする品目などを決め、国会で議論することになります。つまりは政治家が決めるわけですが、政治家のなかにも引き上げに賛成する人、反対する人がいます。

議論の段階では賛成する人も多いのですが、実際に引き上げるとなると政治家は慎重になりがちです。というのも消費税は国民の負担を増大させますから、評判が悪くなる。その結果が選挙のときに票を減らすことになり、引き上げを主張した議員が落選したり、内閣がつぶれてしまう例が多かったからです。

じっさい、日本で初めての消費税は89年(平成元年)4月に実現しましたが、その直後の参院選で自民党は大敗してしまいました。また97年には税率を3%から5%に引き上げましたが、このときも自民党は大敗しました。いずれも総理大臣だった竹下さん、橋本さんは退陣しています。

先週、急に退陣した鳩山首相は「私の任期中に消費税の引き上げはしない」と言い続けてきました。頭のなかには、竹下さんや橋本さんのことがあったのかもしれません。しかし最近の情勢は、だいぶ変わってきたと思われます。とにかく国債の発行が大きくなりすぎて、消費税を上げなければ日本の財政はパンクするという見方が強まってきたためです。


                                (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-06-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
このところ株価の振幅が大きくなっている。好材料と悪材料が交互に現れるためだ。景気の回復は持続しているが、不安要因もなかなか消え去らない。先週の日経平均は鳩山首相の退陣表明で下げたあと、菅新首相への期待から3日には300円を超える大幅な上げとなった。週間を通しては138円の値上がり。

ダウ平均も週央には個人消費などの指標を好感して200ドルを超す上昇のあと、週末には雇用の伸び悩みなどを嫌気して300ドルを超す大幅安となった。週間では205ドルの値下がり。1万ドルを割り込んで、4か月ぶりの安値に。下げの背景には、依然として鎮静しないユーロ不安が尾を引いている。

そのユーロ相場は対ドルで1ユーロ=1.20ドルを下回り、06年3月以来の水準に下落した。対円でも110円を割り込んで、01年11月の安値水準に接近している。ヨーロッパの財政不安は東欧ハンガリーにまで飛び火したが、今週はどのような展開になるのか。全く予断を許さない。

今週は菅内閣がスタート。所信表明演説で、政治とカネ、普天間、それに消費税についての言及がきわめて注目される。8日には、4月の景気動向指数と5月の景気ウォッチャー調査。9日には、4月の機械受注。10日には5月の企業物価と消費者動向調査が発表になる。ほかにEUの財務相会議やECB理事会が開かれるが、ヘッジファンドや格付け会社に対する規制が合意されるかどうか。


    ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

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財政と景気は 両立できるのか (Ⅰ)
2010-06-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 苦渋のG20共同宣言 = 韓国の釜山で開いたG20(主要・新興20か国)財務相・中央銀行総裁会議。採択した共同声明には「深刻な財政課題を抱える国は、健全化ペースの加速が必要」と書かれている。一見すると常識的な文面だが、よく考えてみると実に不思議な表現だ。

いまヨーロッパ諸国はもちろん、アメリカも日本も大きな財政課題を抱えている。G20の参加国で問題を抱えていないのは中国とインドぐらいなものだろう。だから仮に日米欧の主要国が一斉に「健全化ペースの加速」に踏み切ったら、世界の景気はどうなるのだろう。それともアメリカや日本は、まだ「深刻な財政問題」を抱えていないと解釈すべきなのだろうか。

その一方で、共同宣言は「持続可能かつ均衡ある成長の枠組み」についても検討したと述べている。だが前半で書かれた財政問題と後半に出てくる成長問題の関連性については、全く触れていない。要するに20か国の財務相と中央銀行総裁は、どうすれば財政再建と経済成長が両立するのか。その具体的な方法を見出すことができなかったわけだ。

すでに財政再建のために緊縮政策を実行しているギリシャやポルトガルでは、企業業績が落ち込み、個人の消費支出も縮小し始めたという。こうした傾向がヨーロッパ全域に広がれば、アメリカや日本にも大きな悪影響を及ぼす。そのとき政府が景気対策を強化すれば、財政はさらに悪化を免れない。財政と景気の両立。これが世界経済の最大の問題になってきた。菅新内閣にとっても同様である。


                                     (続きは明日)

    ≪7日の日経平均 = 下げ -380.39円≫

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

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財政と景気は 両立できるのか (Ⅱ)
2010-06-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 財政再建競争の時代へ = ギリシャの財政破綻が表面化したのは4月下旬、まだ3か月もたっていない。だが世界経済の雰囲気は、そこから一変してしまった。経済の先行きに対する不安の再燃と、財政再建の必要性についての認識が各国で一気に高まっている。G20会議の共同声明も、こうした明らかな変化を如実に反映したものだ。

EUとIMFからの緊急融資を受けたギリシャが、まず厳しい緊縮財政の実施を余儀なくされた。公務員給与のカット、年金制度の見直し、増税などで、今後3年間に300億ユーロの財政赤字を削減する。同様に財政破綻を懸念されたポルトガルとスペインが続く。やや表現は悪いかもしれないが、これら3国はいかにも南欧風の緩やかな財政規律が問題を生む原因となった。

続いて財政再建の大波は、ヨーロッパの主要国へ打ち寄せる。イタリアは2年間で240億ユーロの赤字削減。フランスは歳出の伸びを3年間にわたって凍結。イギリスも財政赤字のGDP比を4年間で半減。そしてドイツまでが4年で800億ユーロの赤字削減計画を打ち出した。これら諸国は景気対策で財政支出を増大したうえに、南欧3国への支援でさらに赤字が拡大してしまったなどの事情による。

アメリカでも、オバマ大統領は任期終了までに1兆3000億ドルの財政赤字を半減させると公約した。だが、そのアメリカもヨーロッパ諸国の財政再建競争に直面して、景気が心配になったらしい。ガイトナー財務長官はG20の出席者に対して「景気対策もしっかりやってほしい」とクギを刺した。そうしたなか日本では、鳩山前首相よりも財政重視派とみられる菅新首相が登場した。


                                    (続きは明日)

    ≪8日の日経平均 = 上げ +17.14円≫

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財政と景気は 両立できるのか (Ⅲ)
2010-06-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 増税しても景気はよくなる? = 菅新首相のこれまでの言動から、志向する経済政策の輪郭を描いてみよう。財務相だった5月の記者会見では、11年度の新規国債の発行額について「今年度当初予算の44兆3000億円を超えないよう全力で努力する必要がある」と述べている。また民主党代表選に立候補したときの会見では「無限に借金が増える方向性を正したい」と言っている。ここから判ることは、鳩山前首相より財政再建に対する関心が深いという姿勢だ。

それより前、4月の講演会では「増税しても、使う道を間違わなければ景気はよくなる」と強調した。ここからは菅首相が、消費税の引き上げに前向きなことが読み取れる。ただ問題なのは、増税しても景気はよくなるという理屈の根拠だろう。本当に増税して景気がよくなれば、こんなに素晴らしいことはない。

その他の情報を総合してみると、菅首相は消費税の引き上げによる歳入の増加分を医療や介護などの支出に当てる。その結果、雇用や消費が拡大して景気がよくなると考えているようだ。だが、この考え方には大きな2つの疑問点がある。その1つは、やはり収支バランスだ。たとえば仮に消費税率を10%に引き上げると、約10兆円の税収増が見込める。

その一方で、11年度予算は支出総額と国債発行額を10年度並みに抑えたとしても、社会保障費の自然増やいわゆる埋蔵金の枯渇で、新たに10兆円の新規財源が必要になると試算されている。したがって消費増税の分はすべて食われてしまい、医療や介護に回す財源は出てこない。もう1つの疑問は、医療や介護に対する投資効果である。
                                   
                                     
(続きは明日)

    ≪9日の日経平均 = 下げ -98.81円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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財政と景気は 両立できるのか (Ⅳ)
2010-06-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 成功すればノーベル賞? = 高齢化の進展で、医療や介護に対する需要は今後も拡大する。その半面で供給力は不足しているから、この分野に財政資金を投入すれば景気の刺激に役立つという考え方は正しい。だが問題は、その費用対効果だ。医療や介護のコストは大部分が人件費だから、仮に1兆円を投じてもGDPを1兆円増やすことは難しそうだ。

「景気をよくする」ためには、平均2-3%の成長率が必要だろう。つまりGDPを年間15兆円近く増やさなければならない。消費増税で見込める10兆円の財源を、すべて投入しても届きそうにない。したがって「景気をよくする」ためには、民間企業の活力に依存するほかない。法人税の引き下げや規制緩和、戦略産業の育成・強化。つまりは“成長戦略”が、どうしても必要になってくる。

それにしても財源は足りそうにない。このような事態に直面して、菅内閣は今年度予算に組み込んだ“バラマキ”事業をどう考えるのか。子ども手当て、高校授業料の無償化、農家に対する戸別所得補償・・・。これらの費用対効果はきわめて低い。こうした非効率な政策をすべて打ち切るぐらいの勇気がなければ、財政と景気の両立はとうてい不可能ではないのか。

世界中が財政健全化のペースを加速させれば、景気が下降する懸念は増大する。また日本だけが財政再建に後れをとれば、日本のギリシャ化を早める結果となるだろう。菅内閣が直面した問題はまことに厄介であり、相当の覚悟とチエがなければ打開できない。この難問を解決できれば、ノーベル経済学賞に値する?


    ≪10日の日経平均 = 上げ +103.52円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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サタデー自習室 -- ギリシャの悲劇 : 日本は? ⑦
2010-06-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUの設計ミス? = ギリシャの悲劇は、その原因を突き詰めて行くと、EUの設計ミス? に行き着く。現在、EUの加盟国は27か国。そのうちの16か国が共通通貨であるユーロを使用している。域内の政治、経済、社会を一体化し、ヒト・モノ・カネの行き来を自由にしたこの制度は、経済が好調なうちは効果を発揮した。ギリシャのような経済小国も、ドイツやフランスといった大国の恩恵を受けることができたからである。

ところがリーマン・ショック後の不況期では、この効果が逆回転した。たとえばギリシャ経済は観光が中心。あとはワインやオリーブの輸出に頼っている。したがってドイツやフランスの経済力を反映する強いユーロは、ギリシャにとって完全な重荷となってしまった。しかも為替の切り下げができない。

その一方で、財政は各国の自由に任された。国民の税金を使う財政については、EUといえども統合できなかったわけだ。このため経済小国のなかには、ユーロの重圧を緩和する目的で、財政支出の拡大に走ったところも多い。要するに財政政策はバラバラなのに、通貨は共通。この設計ミスが大不況の到来で、一挙に露呈したとみることができる。

いまEUはこの欠陥に気付いて、懸命に対処策を講じようとしている。その最初のステップが、域内を挙げての財政再建競争だと言えるだろう。また中央銀行による国債の買い入れなど当面の対策、さらには各国の財政政策に対する事前評価制度の導入。それにヘッジ・ファンドや格付け会社などへの規制。これらがどういう効果と結果をもたらすのかは、まだ未知数である。


                              (続きは来週サタデー)

    ≪11日の日経平均 = 上げ +162.60円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-06-13-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第18章 消費税って、なんだろう? ⑪

日本の財政状態がとても悪いことは、みなさんも知っていますね。国の借金である国債の発行額は、ことし3月末で600兆円。その他の借金まで合計すると、883兆円にも達してしまいました。いまの10年度予算では、税金の収入が37兆4000億円しかないのに、国債の発行額は44兆3000億円という状態です。国債についてもっと勉強したい人は、第17章の「国債って?」を読み返してみてください。

このままでは大変なことになる。増税については臆病になりがちな政治家の間でも、真剣に心配する人たちが増えていることは確かです。さらに一般の国民も、増税を嫌がっていると日本の経済はダメになってしまうのではないか、という考え方に傾いてきています。

そんなときに内閣が交代しました。前の鳩山首相は「私の任期中に消費税の引き上げはしない」と公約していました。あとを引き継いだ菅首相は「増税をしても、そのおカネをうまく使えば景気はむしろよくなる」と言っています。ずいぶん感じが変わってきたと思いませんか。

新聞社が行なった世論調査によると、国民の考え方も大きく変わってきました。次の衆議院選挙後には「消費税を引き上げてもいい」という人が59%、いや「反対だ」という人の27%を大きく上回っています。国民がOKするのなら、政治家は選挙の結果を心配しなくていいことになります。問題はいつ決断するかでしょう。


                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-06-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
ダウ平均は週間279ドルの上げ、日経平均は196円の下げ。先週の株価は、日米で明暗を分けた。特にダウは4週間ぶりの値上がりで、1万ドルの大台を回復している。最大の原因は、ヨーロッパからの悪い知らせが途絶えたことだろう。その結果として、国内経済の回復基調を素直に反映する空気が大勢を支配した。

ただヨーロッパ問題を楽観しているわけではない。輸出銘柄などは売られ、内需銘柄に買いが集まっている。週末には5月の小売り高が8か月ぶりのマイナスになったというニュースも伝わったが、株価はそれを乗り越えた。それだけ全体としての景気回復傾向に、自信を持ってきたように見受けられる。

日経平均も週の後半には反発したが、週初の大幅な値下がりを取り戻せなかった。東京の場合はニューヨークよりも、ユーロ相場の下落と中国の引き締め懸念がもたらす影響が濃いからだろう。今週もヨーロッパ情勢が落ち着きを持続し、ダウ平均は値上がりするのか。ユーロが下げ止まって、東京もダウに引っ張られるのか。

今週は14日に、5月の法人企業景気予測調査。16日に、4月の第3次産業活動指数。アメリカでは16日に、5月の生産者物価と住宅着工件数、それに工業生産。17日には、5月の消費者物価とコンファレンスボードによる5月の景気先行指数が発表になる。また14-15日には、菅首相の所信表明演説を受けて各党の代表質問。17日にはEUの首脳会議が開かれる。


    ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ

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大企業・製造業が突出 / 法人企業調査
2010-06-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 雇用の過剰感もかなり解消 = 内閣府と財務省は14日、4-6月期の法人企業景気予測調査を発表した。それによると、大企業・全産業の景況判断指数はプラス4.0で、先行きも7-9月期はプラス10.1まで上昇する見通しとなっている。この結果について、財務省は「自立性はなお弱いが、景気は着実に持ち直している」とコメントした。

特に大企業・製造業の判断指数はプラス10.0と、前期のプラス4.3から大きく改善した。不況のどん底だった昨年1-3月期にはマイナス66.0まで落ち込んだが、そこからの回復は予想以上に急速だったと言える。ただ大企業・非製造業の判断指数はプラス0.9、中堅企業・全産業はマイナス8.1、中小企業・全産業はマイナス32.0に止まっており、大企業・製造業の突出ぶりが目立つ結果となった。

この調査は資本金1000万円以上の企業を対象に、四半期ごとに実施されている。景況判断指数は、自社の景況が前期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を差し引いた数値。景況についての判断だけではなく、売り上げや利益などについても企業の判断を聞いている。

そのなかで注目されたのは、雇用に関する判断。雇用について「不足気味」と答えた企業の割合から「過剰気味」と答えた企業の割合を差し引いた判断指数は、大企業・製造業ではマイナス4.9。しかし大企業・非製造業ではマイナス0.3と、ほぼ過剰感が解消した。また中堅企業・非製造業はプラス1.2となり、水面上に顔を出している。この調子が続けば、景気の回復は間もなく雇用の面にも明るさをもたらしそうだ。


    ≪14日の日経平均 = 上げ +174.60円≫

    ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ

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消費増税 : 環境整備に一歩前進 (上)
2010-06-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自民党は同調せよ = 菅首相は11日の所信表明演説で、消費税については言及しなかった。その代わりに、超党派の議員による「財政健全化検討会議」を作り、建設的な議論を進めようと野党側に提案した。単なる税制改革会議ではなく、財政健全化を検討する会議なのだから、その主たるテーマは消費税の引き上げ問題だと考えていい。昨年の衆院選では消費税問題を敬遠していた民主党が、ここへきて大きく変貌したことを示している。

これに対して、自民党の谷垣総裁は14日の代表質問で「民主党がマニフェストを撤回することが前提条件だ」と切り返した。素直に「ハイ、そうしましょう」と言いたくない気持ちは判るが、ここは度量をみせて民主党の提案に同調してほしい。自民党は参院選へ向けての公約として「消費税を当面は10%とすること」を確認している。また超党派による会議の設置も、もともとは自民党が主張した構想だ。

増税について、政治家は本能的に慎重だ。選挙に不利だと考えるからである。消費税にしても、最初に導入した竹下内閣、税率を引き上げた橋本内閣は、ともにその後の選挙で惨敗した。だが財政赤字と国債発行残高がここまで増えてしまった現在、有権者の考え方も一変している。最近の世論調査では、消費増税に賛成する人が反対する人を上回るようになった。

だから政治家は、消費税の引き上げに尻込みすることはない。反対の有権者もいるわけだが、与野党が一致して法案を作り成立させれば、票を失うこともないだろう。もちろん超党派の検討会議を作れば、それでいいというわけではない。検討すべき問題点は山ほどある。しかも早く決めなければ意味がない。


                                     (続きは明日)

    ≪15日の日経平均 = 上げ +8.04円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ

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消費増税 : 環境整備に一歩前進 (下)
2010-06-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最大の問題は実施の時期 = 超党派の検討会議が設置されても、合意に至るまでの問題点は数多い。たとえば税収の増加を何に使うか。財政赤字の補填に使うのでは、国民の納得は得られない。やはり急増する福祉関係の財源に限定すると決めた方が、有権者は理解しやすい。ただ見込まれる税収の増加額については、誤解も多いようだ。

最近は新聞などの解説記事にも、消費税率を10%に引き上げると12兆5000億円の税収増が見込まれると書かれている。しかし税収増加分の2割は地方消費税だから、国税の収入は8割にしかならない。また税率を10%に上げると、おそらくは主食などの生活必需品を例外品目にする必要が生じる。これらを差し引いて考えると、国税の収入増加分は10兆円に届かないのではないか。

そこで来年度の財政状態を考えてみよう。社会福祉関係費の自然増と“埋蔵金”の枯渇だけで、財源の不足額は7兆円を超えるだろう。法人税も引き下げなければならない。したがって子ども手当ての満額支給を断念しても、10兆円ほどの新規財源が必要だ。もし歳出総額と国債発行額を今年度並みに抑えるとしたら、消費増税分をそこに充てるしかないのではないか。

「消費税はいずれ引き上げなければならない」とか「次の衆院選後に」などという考え方は、もう通用しなくなっている。菅内閣は参院選に向けたマニフェストのなかで「来年度からの消費増税」を明確に打ち出し、野党にも同調を求めるべきだろう。そうすることによって「国民の審判」という選挙の意義も生きてくる。


    ≪16日の日経平均 = 上げ +179.26円≫

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日銀の成長金融政策 : やってみなはれ
2010-06-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府への“挑戦状”? = 日銀は15日の金融政策決定会合で、成長分野に対象を絞った新しい融資制度を決めた。環境やエネルギーなどの成長分野に融資する金融機関を対象に、総額3兆円の資金を年0.1%の超低金利で貸し付ける。市中の金融機関を通じるが、いわば日銀が積極的に企業金融に乗り出すわけで、中央銀行としては異例の行動だと言える。

民主党は昨年9月に政権を奪取したが、鳩山内閣は成長政策に関心を持たなかった。菅内閣の姿勢はまだ不明だが、財源などの制約もあって成長第一主義にはなりそうもない。だが成長部門の活性化がなければ、日本経済の発展は期待できないというのが産業界や日銀の考え方。そこで政府がダメなら日銀が、という発想で構築されたのが今回の成長金融政策だ。

成長部門の育成・強化は、本来なら財政や税制あるいは規制緩和など政府の役割である。金融にしても、そのために政策投資銀行などの政府系金融機関が存在するわけだから、日銀の決定は動きの鈍い政府に対する一種の“挑戦状”だ。当然ながら政府部内や学者の間では「中央銀行がそこまでやるべきではない」という批判も出ている。だが慎重居士の日銀が決断したことには拍手を贈りたい。松下幸之助なら「やってみなはれ」と激励するだろう。

ただ日銀が成長分野を18も掲げたことは、目標を広げすぎた。もう少し選択して集中しないと、資金の流れを把握し切れないのではないか。また市中銀行が超低利で借りた資金で、国債を買って儲けるようなことがあってはならない。その点の監督がしっかりできないと、この新制度は金融機関の利益を増やすだけの結果に終る危険がある。


    ≪17日の日経平均 = 下げ -67.75円≫

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サタデー自習室 -- ギリシャの悲劇 : 日本は? ⑧
2010-06-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUは全面対決の構え = ギリシャなどの財政窮迫をきっかけに、投機筋はユーロ諸国の国債や株式を売り込み、為替市場ではユーロを売り叩いた。これに対してEUは、次々と対抗手段を打ち出している。その動きを時系列的に追ってみよう。まずギリシャがEUとIMFに支援を要請したのが、4月23日だった。

EUとIMFが、ギリシャに対する総額1100億ユーロの協調融資を発表したのが5月2日。そして5月10日には、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が各国中銀による国債買い入れの開始を発表した。5月18日には、EU財務相理事会がファンドに対する規制法案の内容を公表。欧州議会の可決を経て、年内の実施を目指すことになった。同じ日、ドイツが国債と金融機関の株式について空売りを禁止すると発表。EU内部でも物議をかもす。

6月2日、EUは独自の国債格付け機関を創設すると発表。既存の格付け会社に対する監督も強化することになった。続いて6月7日には、加盟国の毎年の予算案を事前評価する制度を作ることで合意。財政赤字をGDPの3%以内に抑えるというEUの財政協定に違反した国については、早期に制裁措置を講じることでも一致している。

これらの一連の措置は、ドイツとフランスを中心にEUが投機資金と全面対決する姿勢の表れだと言っていい。この強い対決姿勢によって、最近は市場もだいぶ落ち着きを取り戻し、ユーロ相場も下げ止まっているようだ。ところが、そうしたなかで14日、格付け会社ムーディーズがギリシャ国債の格付けをまたまた大幅に引き下げた。しかしムーディーズはアメリカの会社だから、EUは手が出せない。EU首脳の無念さが、伝わってくるようだ。


                              (続きは来週サタデー)

    ≪18日の日経平均 = 下げ -4.38円≫

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-06-20-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第18章 消費税って、なんだろう? ⑫

おととい18日の新聞を、探してみてください。第1面に、大きく消費税の記事が載っているでしょう。参議院選挙の投票日が7月11日に決まったことから、いろいろな政党がマニフェストを発表しました。マニフェストというのは、それぞれの政党が選挙後に実施したいと考える政策を並べたもの。つまり国民に対する約束です。これで消費税に対する各政党の考え方も、はっきりしたと言えます。

まず民主党は、菅首相が「消費税の増税を含む税金の見直しを、来年3月までに行ないたい」と述べました。また菅首相は「消費税を10%に引き上げるという自民党の提案を参考にしたい」とも言っています。こうした発言からみると、民主党は消費税の引き上げには前向きで、税率は10%にすることを考えていることが判るでしょう。

最大の野党である自民党は「消費税率を当面は10%に引き上げる」「それによる増収分は、社会保障費や少子化対策に使うことを明確にする」ことを、公約として発表しました。その他の政党をみると、与党である国民新党が反対。また野党の社民党や共産党は、反対の姿勢を明らかにしています。

民主党は昨年の衆院選では消費税問題に触れず、鳩山前首相は「4年間は引き上げない」と約束していました。それが菅首相になって変わったわけで、消費税の引き上げ問題はいよいよ走り出したと言えるでしょう。その背景には、日本の財政状態がますます悪化してきたこと、それにギリシャの財政破綻がきっかけとなって世界中が財政問題を重視するようになったことがあります。


                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2010-06-21-Mon  CATEGORY: 政治・経済
ニューヨーク商品取引所の金先物相場が先週末、1トロイオンス=1263ドルに達して史上最高値を更新した。これはヨーロッパの財政・金融不安が、依然として鎮静していないことの反映だと解釈されている。しかし先週に限ってみれば不安の再燃はなく、ユーロ相場も下げ止まった形になった。特に週初にムーディーズがギリシャ国債の格付けを大幅に引き下げたにもかかわらず、動揺はほとんど起きなかった。

このためダウ平均は週間240ドルの値上がりとなった。アメリカ経済は住宅や雇用の面でまだ回復の後れが目立っているが、全体として景気が上向きに推移していることは確認されている。今週は22日に、5月の中古住宅販売。23日に、5月の新築住宅販売件数が発表になる。政府の補助政策が終了したために減少すると予想されているが、減少幅が市場の予測より小さく出れば好材料になりそう。

日経平均もダウに引きづられる形で、週間290円の値上がりとなった。ユーロ相場が下げ止まったことも大きい。今週は再び1万円台の回復を狙うが、参院選を目前にして模様眺めのムードも強い。加えて中国の元高容認政策。この新しい要素が、日本経済にどんな影響を及ぼすか。

国内では24日に、5月の貿易統計と企業向けサービス価格。25日には、5月の消費者物価が発表になる。ほかに週末26-27日にはG20サミットがカナダのトロントで開かれる。ここで27日には菅首相とオバマ大統領の日米首脳会談。菅首相にとっての外交デビューとなる。また24日には参院選が公示される。


    ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

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中国経済のアキレス腱 : 流動性バブル (上)
2010-06-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ついに元の切り上げへ = 中国人民銀行は19日「人民元相場の弾力性を高める」という趣旨の声明を発表した。ずいぶん抽象的な文言だが、要は元相場の上昇を容認するという意味である。元の為替レートは人民銀行が常に介入して米ドルとの交換率を一定に保っているが、その介入をやや緩めてレートを切り上げるというわけだ。

人民元の対ドル相場は、05年7月までは1ドル=8.28元に固定されていた。中国はその時点でも相場の上昇を容認し、世界不況が始まった08年7月の相場は6.83元になっていた。その後はレートを固定する政策を続けていたが、ここへきて再び切り上げを認めることになった。

実際のレート上昇は、きわめて緩やかな形で進行するとみられている。その結果が日本経済に及ぼす影響は、かなり複雑だ。食料品や雑貨などの輸入品は、値上がりの圧力を受ける。中国向けの輸出は、増やしやすい。だが日本から部品を輸入して組み立てて完成品を日本に輸出するケースでは、プラスとマイナスの要素が混在する。日本円の相場は、元に引きづられて上昇するかもしれない。

中国がこの時点で、元の切り上げを決断した理由はなんだろう。週末にカナダで開かれるG20首脳会議を意識したものだという見方が強い。それもあるだろうが、もっと基本的な理由は中国政府がいま最も頭を悩ませている国内の過剰流動性対策だ。元の切り上げを防ぐために実施してきたドルの買い介入で、国内では深刻な流動性バブルが蔓延している。


                                 (続きは明日)

    ≪21日の日経平均 = 上げ +242.99円≫

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中国経済のアキレス腱 : 流動性バブル (下)
2010-06-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 1平方㍍が45万円のマンション = 北京市内の新築マンション。最近の販売価格は1平方㍍当たり、日本円に直すと37万円から45万円だという。この1年間でほぼ2倍に高騰した。海南省などにあるリゾート地の値上がりも著しく、1年で50%を超える値上がりは珍しくない。4月の不動産価格をみると、全国70都市の平均は前年比12.8%の上昇だった。

中国政府も、不動産バブルの対策に懸命だ。投資目的の住宅購入を規制するため2軒目を購入する場合の頭金を増額したり、市中銀行の融資条件を厳しくするなどの措置を講じている。最近では、中国では初めてとなる不動産保有税の導入も検討中だという。それでも不動産を買っておけば儲かるという風潮は収まらない。2軒目を購入するために、形式的に離婚するケースも出始めたという。

物価も上昇してきた。5月の消費者物価は前年比3.1%の上昇。食料品は6.1%も上がった。卸売り物価に相当する工業品出荷価格も7.1%上昇した。政府は消費者物価を3%以内の上昇に止めることを目標にしているが、それが怪しくなってきている。

物価が上昇すれば、庶民の生活は苦しくなる。その一方で、金持ちはバブルに乗じてさらに豊かになる。中国政府にとっては、最も困る構図だ。その対策として、ことしは銀行の預金準備率を3回も引き上げた。しかし政府がドルに対する買い介入を続ければ、その対価としての元が国内に放出される。その操作を縮小するために、やむなく元の緩やかな切り上げを認めざるをえなかったと解釈すべきだろう。


    ≪22日の日経平均 = 下げ -125.12円≫

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話題呼ぶ 役員報酬の個別開示
2010-06-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ1億円なのか? = 「けっこう高いね」「いや、少ないんじゃないの」--電車のなかで、こんな会話が聞えてきた。どうやら役員報酬の話のようだ。いま企業の3月期決算は、発表の花盛り。今回から1億円以上の報酬を貰った役員は、個別の名前と金額を発表しなければならなくなった。だから職場でも居酒屋でも、こんな会話が弾んでいるにちがいない。

報酬は基本的な役員報酬に賞与、退職慰労金、ストックオプション(自社株を購入できる権利)を加えたもの。上場企業の取締役、監査役、執行役、それに社外役員にも適用される。これまでに開示された事例をみると、日産のゴーン社長が8億9000万円。ソニーのストリンガー会長兼社長が8億1650万円で断トツ。資生堂は前田社長が1億2100万円、フィッシャー専務が1億4100万円など。

海外ではイギリスとドイツは役員全員、またアメリカは上位5人について開示が義務づけられている。いずれも金額についての規定はない。日本では金融庁が2月に「1億円以上」の案を発表したと思ったら、すぐに法令を改正して実行に移してしまった。このため1億円で線引きした根拠が不明で、企業側の不満も大きい。

役員報酬が多いか少ないかは、判断がむずかしい。ただ同業他社と比べた場合には、業績の割りに過大か過少かは一目瞭然になる。また社長の報酬と従業員の平均給与との関係も、明らかになるだろう。決算発表が終ると、新聞や雑誌は報酬ランキングを作成するに違いない。話題はさらに盛り上がる。


    ≪23日の日経平均 = 下げ -189.19円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

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輸出の回復に 鈍化の兆し
2010-06-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ アジア向けは好調だが = 財務省が24日発表した5月の貿易統計によると、輸出は5兆3110億円で前年比32.1%の増加だった。輸入は4兆9868億円で33.4%増加した。この結果、黒字は3242億円で4月に比べると半減。原油や石炭、鉄鉱石など原料品の値上がりで、輸入金額が大きく伸びたためである。

輸出の状況を地域別にみると、アジア向けは前年比34.4%と相変わらず伸び率が高い。これに対してアメリカ向けは17.7%増、EU向けは17.4%増。いずれも伸び率はアジア向けの半分に止まっている。商品別にみると、鉄鋼が73.6%増、半導体など電子部品が25.6%増、自動車は51.9%の増加だった。

昨年5月はまだ世界不況の大波に揉まれていた。そこで例によって、不況前の08年5月と比較してみよう。まず輸出総額は当時の78%にまでしか回復していない。ところが4月は85%にまで回復していたから、5月の成績はやや後退したことになる。一時的な現象かもしれないが、ちょっと気にかかる数字だ。

地域別にみた輸出を08年5月と比較してみると、アジア向けは86.6%にまで回復。特に中国向けは88.1%に回復した。ところがアメリカ向けは64.2%、EU向けも64.1%にしか戻っていない。これは景気の回復ぶりを正確に反映した数字と言える。ヨーロッパ諸国の財政再建政策が、これからどんな影響をもたらすのか。6月以降の輸出の伸び率には、注意を怠れない。


    ≪24日の日経平均 = 上げ +4.64円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- ギリシャの悲劇 : 日本は? ⑨
2010-06-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
格付け会社の功罪 = まだ尾を引いているヨーロッパの財政・金融不安。その引き金となったのは、ギリシャ国債の格付けが引き下げられたことだった。格付けというのは、債券や株式を発行する会社の経営状態を専門的な目で検討し、その良し悪しを何段階に分けて公表すること。その業務を行なう会社を格付け会社という。

もともとは初めて社債を発行する企業の経営状態を、投資家に知らせる業務から出発した。しかし最近では債券を発行している多数の企業についても、格付けをしている。さらに近年は国が発行する債券、つまり国債にも手を出すようになった。アメリカのムーディーズやS&P(スタンダード・プア-ズ)社などが有名。日本にも数社の格付け会社がある。

投資家にとっては、会社の信用度が一目瞭然なので不可欠の存在。だが格付けを下げられると債券の価格が下がってしまうので、発行会社は重大な危機に陥ることもある。今回はギリシャという国家が、そのピンチに陥った。しかも世界経済を揺るがす大問題にまで発展している。そこでEUは独自の格付け機関を作ったり、民間の格付け会社に対する監督を強化することになった。

S&P社の例をみると、最上級の信用はAAAで表わされ、国債はアメリカ、ドイツ、フランス、イギリスが、この格付けを得ている。日本はやや落ちてAA。中国はA+、韓国はA、ギリシャはBBB+といったぐあい。最も信用度が低いものはDで表わされる。日本の国債も、もし財政再建が進まないようだと引き下げられる可能性が強まっている。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪25日の日経平均 = 下げ -190.86円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】 

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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話
2010-06-27-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第18章 消費税って、なんだろう? ⑬

政権を握っている民主党と最大の野党である自民党が、ともに消費税の引き上げに前向きな姿勢を示したため、増税の可能性が急に強まってきました。いま5%の税率を10%に引き上げることでも、両党の考え方は一致しているようです。ただ実際に引き上げる時期は、2-3年先になるかもしれません。

消費税は、お金持ちよりも所得の低い人に負担がかかります。この不公平を軽くするため、税率を10%に上げる場合は、食料品など生活に必要な品物については税率を5%のままに据え置くなどの方策をとらなければなりません。その具体的な方法を考えるのに、時間がかかります。また、とても大きな問題なので、衆院選で国民の意見を確かめた方がいいという考え方も強いのです。

たしかに時間をかけて、じっくり議論をすることは大切です。けれども一方では、そんなにゆっくりしていて間に合うのかという心配もあります。なにしろ日本の国債発行額はすでに600兆円を突破し、さらに大きく増え続けています。2-3年先の増税で、ほんとうに大丈夫なのでしょうか。

あと2週間後には参院選。それが終ると、政府はもう来年度の予算編成に取りかかります。菅首相は「今年度予算に比べて歳出の総額や国債発行額は増やさない」と言っていますが、それで予算が組めるのかどうか。組めないとなると、消費税の引き上げ時期も早まってくるでしょう。みんなで予算編成に関するニュースを、よく読んで行きましょう。


                       (消費税って は終わり)

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今週のポイント
2010-06-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
先週末25日から、G8(主要8か国)首脳会議がカナダで開かれた。菅首相も出席したこの会議では「経済成長と財政再建の両立を目指すこと」で一致したという。財政再建に傾斜したヨーロッパ諸国と、その行き過ぎに懸念を持つ日米両国。双方の立場を包含すると、こういう表現にならざるをえない。だが本当に経済成長と財政再建は両立するのだろうか。

ダウ平均株価は先週307ドルの値下がりとなった。政府の減税措置が終了した途端に、5月の住宅販売が予想以上に落ち込んだことが大きく響いている。この弱さが、アメリカ経済の将来見通しまで暗くしてしまった。要するに対策を止めれば、景気は回復しない。市場は「財政と景気の両立」を否定しているかのように思われる。

このテーマは当分の間、日本を含む世界各国で議論の中心になるだろう。実体経済の自律的な回復が進んで、議論が無用になることがいちばん望ましい。日経平均はダウに引きづられたほか、週初の元切り上げ報道に浮かれすぎた反省も加わって週間258円の値下がりだった。

今週は29日に、5月の鉱工業生産、労働力調査、家計調査、商業販売高。30日には、5月の住宅着工件数。1日には、6月の日銀短観と新車販売が発表される。アメリカでは29日にSPケースシラーによる4月の住宅価格とコンファレンスボードによる6月の消費者信頼感指数。1日には6月の新車販売。2日には6月の雇用統計が発表になる。景気の将来見通しに明るさが戻るかどうか。


    ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

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どうして 「消費税が争点」 なのか
2010-06-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 首かしげる有権者 = 新聞やテレビが「参院選では消費税が争点に」という解説を、盛んに流している。たしかに菅首相になってから、消費税の引き上げ問題が急浮上した。だが“争点”と言うには、あまりにも問題点が漠然としすぎているのではないか。しかも民主党も自民党も、引き上げに前向きだという。有権者は戸惑いの色を隠せない。

いちばん漠然としているのは、実施の時期だろう。菅首相は2-3年後、あるいは次の衆院選のあとを考えているようだが、それが民主党の公約になっているわけではない。小沢前幹事長は引き上げそのものに反対のようだし、閣僚のなかにも消極的な人が散見される。一方、自民党は「当面10%に引き上げ」を公約としているが、この“当面”の意味は全く説明されていない。

有権者の立場から考えてみよう。仮に「来年度から増税した方がいい」と考えている有権者は、どちらに投票したらいいのか。また「2-3年後ならいい」と考える人も、迷ってしまうだろう。さらに反対の有権者は、国民新党・社民党・共産党など明確に反対を表明している政党に投票するしかないのだろうか。

もし民主党が何かに賛成、自民党が反対ならば、話は判りやすい。二大政党がこのように対立して国民の信を問えば、その問題は「選挙の争点」になる。今回の参院選をめぐる消費税問題は、とてもそんな状況にはない。マニフェストにきちんと考え方を書けない二大政党も困ったものだが、それを“争点”と位置付けるマスコミの姿勢が事態をより混乱させている。


    ≪28日の日経平均 = 下げ -43.54円≫

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ

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景気回復は小休止 / 5月の指標 (上)
2010-06-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 雇用・生産・消費が足踏み = 総務省が発表した5月の労働力調査によると、完全失業率は5.2%で前月より0.1ポイント悪化した。失業率の悪化は、これで3か月連続。失業者の数は前年同月と変わらなかったが、就業者数が減少してしまった。雇用の改善は遅々として進まない。

完全失業者の数は347万人。男性は3万人増えたが、女性が3万人減って総数は変わらなかった。このうち新たに収入が必要になって求職活動をしたが見付からず、失業者に数えられた人が53万人。前年よりも7万人増えている。景気の回復局面では、このように新たな求職者が増えて失業率を押し上げることは珍しくない。

ところが一方で、就業者数の減少が止まらない。5月の就業者数は6295万人。前年比では47万人の減少となった。これで就業者の減少は28か月連続である。製造業では22万人、建設業では16万人減った。このように就業者数が減り続けたのでは、失業率は低下しない。

就業者数が増加しないと、全体としての家計収入は伸びにくい。そうすると支出も増えないから、消費も拡大しない。今後も景気の回復が続くためには、どうしても就業者数の増加が必要になってくる。しかし民主党政権のバラマキ政策は、雇用の増大に役立たなかった。財政面からの制約も一段と厳しくなったいま、菅内閣は何を目標に来年度予算を編成しようとしているのだろうか。


                                (続きは明日)

    ≪29日の日経平均 = 下げ ー123.27円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ

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