◇ 批判と擁護の応酬 = 読売新聞と朝日新聞が、原子力規制委員会の活動をめぐって火花を散らした。まず読売が先週19日の社説「規制委の評価は公正さを欠く」で、規制委員会を厳しく批判。青森県・東通原発の断層を調査してまとめた評価報告書案は「原発を再稼動させないことを前提とした評価ではないのか、と疑わざるを得ない」とバッサリ。
これに朝日新聞がすぐ反応した。あくる20日の社説は「規制委批判のピンぼけ」という見出し。「公正さに欠けるという批判の出どころは、もっぱら原発の再稼動を急ぐ人たちだ」と反論。さすがに読売の名前は出さなかったが、読売の社説が使った言葉を随所に引用して規制委の擁護論を展開した。
原発の再稼動については、世論も賛成と反対に割れている。だから2大新聞がその代弁者として、規制委に対する批判と擁護を主張することに不思議はない。ただ朝日新聞が読売の使った言葉、たとえば「公正さを欠く」をそのまま使って反論したことは、やや大人げなかった。
世論調査で「原発再稼動に賛成か、反対か」と質問すれば、答えはほぼ2分するだろう。しかし国民の多くは「安全が保証されれば、再稼動に賛成」だと思う。だとすれば規制委は、なぜ危ない原発の調査ばかりしているのだろう。安全性の高そうな原発から調査すべきではないのか。新聞の論調に、こうした意見が出てこないのは不思議である。
≪28日の日経平均 = 上げ +305.39円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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これに朝日新聞がすぐ反応した。あくる20日の社説は「規制委批判のピンぼけ」という見出し。「公正さに欠けるという批判の出どころは、もっぱら原発の再稼動を急ぐ人たちだ」と反論。さすがに読売の名前は出さなかったが、読売の社説が使った言葉を随所に引用して規制委の擁護論を展開した。
原発の再稼動については、世論も賛成と反対に割れている。だから2大新聞がその代弁者として、規制委に対する批判と擁護を主張することに不思議はない。ただ朝日新聞が読売の使った言葉、たとえば「公正さを欠く」をそのまま使って反論したことは、やや大人げなかった。
世論調査で「原発再稼動に賛成か、反対か」と質問すれば、答えはほぼ2分するだろう。しかし国民の多くは「安全が保証されれば、再稼動に賛成」だと思う。だとすれば規制委は、なぜ危ない原発の調査ばかりしているのだろう。安全性の高そうな原発から調査すべきではないのか。新聞の論調に、こうした意見が出てこないのは不思議である。
≪28日の日経平均 = 上げ +305.39円≫
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◇ 輸出を変動させる要因 = 輸出が増えたり減ったりする原因は、きわめて多い。まず輸出相手国の景気動向。日本の輸出額は中国、アメリカ、ASEAN(東南アジア連合)、EU(ヨーロッパ連合)の順に大きい。このうちアメリカとASEANの景気は回復基調、EUと中国は停滞している。12年の輸出をみると、10年に比べてアメリカとASEAN向きの輸出は増えたが、EUと中国向けは減少した。
次は競争力。価格や機能・デザインなどの面で、他国の製品を上回るかどうか。当たり前のことだが、安くて質のいいものは売れる。この点で12年の実績をみると、自動車の輸出は増加したが、電気製品は減少した。一時は世界市場を席巻したメイド・イン・ジャパンの電気製品は、明らかに競争力を失っている。
為替相場の変動も、大きな要因だ。円相場が下落すると、相手市場での販売価格を下げる余裕が生じる。また価格を下げなければ、それだけ輸出企業の円に換算した手取りが増える。トヨタは円の対ドル相場が1円安くなると、年間350億円も営業利益が増えるという。
このほか相手国の輸入関税や規制、あるいは輸出企業の販売力や宣伝力。さらに国内の景気動向も影響する。国内の景気が悪くなると、企業は海外での販売に努力を傾注する傾向があるからだ。このように輸出を増減させる要因は数多いが、長期的に輸出を伸ばす原動力はやはり新しい技術の開発ということになるだろう。
(続きは来週サタデー)
≪1日の日経平均 = 上げ +47.02円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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次は競争力。価格や機能・デザインなどの面で、他国の製品を上回るかどうか。当たり前のことだが、安くて質のいいものは売れる。この点で12年の実績をみると、自動車の輸出は増加したが、電気製品は減少した。一時は世界市場を席巻したメイド・イン・ジャパンの電気製品は、明らかに競争力を失っている。
為替相場の変動も、大きな要因だ。円相場が下落すると、相手市場での販売価格を下げる余裕が生じる。また価格を下げなければ、それだけ輸出企業の円に換算した手取りが増える。トヨタは円の対ドル相場が1円安くなると、年間350億円も営業利益が増えるという。
このほか相手国の輸入関税や規制、あるいは輸出企業の販売力や宣伝力。さらに国内の景気動向も影響する。国内の景気が悪くなると、企業は海外での販売に努力を傾注する傾向があるからだ。このように輸出を増減させる要因は数多いが、長期的に輸出を伸ばす原動力はやはり新しい技術の開発ということになるだろう。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第12章 デフレって、なんだろう? ⑤
◇ 金融緩和で需要を増やす = 政府が財政支出を増やせば、需要を増加させることができます。また政府は減税を実施したり補助金を出すことによって、民間の需要を刺激することができます。しかし、そうすると財政の赤字がますます増大してしまうので、実施できません。そこで登場するのが、日銀による金融緩和政策です。
日銀の金融緩和政策は、金利の引き下げとおカネの流通を増やすことに分けられます。金利が下がったり、世の中にたくさんのおカネが流通すれば、企業や個人はおカネを借りやすくなりますね。そのおカネが使われれば需要が増えます。ところが金利は、もう0%近くまで引き下げられました。残る手段はおカネの流通を増やすこと。これを金融の量的緩和と言います。
量的緩和は、日銀が市場から国債などを買い取る方法で実行されます。その買い入れ代金が、市場に放出されるわけです。日銀の発表によると、昨年末までの買い入れ額は67兆円に達しました。ことしはさらに34兆円を買い入れる予定です。
市場で国債などを売るのは、主として銀行です。ですから銀行の手元資金は大幅に膨らみますが、そのおカネを企業や個人が借りて使ってくれないと需要は増えません。いまは景気の見通しがはっきりしないため、企業も個人もそんなにおカネを借りません。ここが量的緩和の問題点になっています。
(続きは来週日曜日)
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◇ 金融緩和で需要を増やす = 政府が財政支出を増やせば、需要を増加させることができます。また政府は減税を実施したり補助金を出すことによって、民間の需要を刺激することができます。しかし、そうすると財政の赤字がますます増大してしまうので、実施できません。そこで登場するのが、日銀による金融緩和政策です。
日銀の金融緩和政策は、金利の引き下げとおカネの流通を増やすことに分けられます。金利が下がったり、世の中にたくさんのおカネが流通すれば、企業や個人はおカネを借りやすくなりますね。そのおカネが使われれば需要が増えます。ところが金利は、もう0%近くまで引き下げられました。残る手段はおカネの流通を増やすこと。これを金融の量的緩和と言います。
量的緩和は、日銀が市場から国債などを買い取る方法で実行されます。その買い入れ代金が、市場に放出されるわけです。日銀の発表によると、昨年末までの買い入れ額は67兆円に達しました。ことしはさらに34兆円を買い入れる予定です。
市場で国債などを売るのは、主として銀行です。ですから銀行の手元資金は大幅に膨らみますが、そのおカネを企業や個人が借りて使ってくれないと需要は増えません。いまは景気の見通しがはっきりしないため、企業も個人もそんなにおカネを借りません。ここが量的緩和の問題点になっています。
(続きは来週日曜日)
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◇ ダウは史上最高値に挑戦 = 政治的な重圧に耐えながら、ダウ平均株価は先週89ドル値上がりした。イタリアでは組閣が難航し、アメリカ国内では財政支出の強制的な削減が始まってしまった。それでも市場では、冷静に様子を見守ろうという空気が強まっている。こうした余裕は、製造業の景況感が大幅に改善するなど、実体経済の好転によって生じているのだろう。
終り値の1万4090ドルは、07年に記録した史上最高値1万4165ドルまであと75ドル。イタリアの政局や強制的な財政削減は、決着が長引けば長引くほど心配が強くなる。そういう意味で考えると、今週あたりは最高値を更新する絶好のチャンスと言えるかもしれない。
日経平均も先週は220円の値上がり。終り値では1万1600円台を回復、4年5か月ぶりの水準に戻してきた。2月中の東証1部の売買高は714億株、月間の最大を記録した。個人の売買代金も6年ぶりの規模に膨らんだという。3月に入っても、この勢いは当分続きそうだ。
今週は5日に、1月の毎月勤労統計。7日に、1月の景気動向指数。8日に、1月の国際収支、2月の景気ウォッチャー調査、昨年10-12月期のGDP改定値が発表される。アメリカでは5日に、ISM非製造業景況指数。7日に、1月の貿易統計。8日には、2月の雇用統計が発表になる。また4日からシンガポールでTPP参加国による交渉会合。中国では5日から全国人民代表大会が開催される。
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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終り値の1万4090ドルは、07年に記録した史上最高値1万4165ドルまであと75ドル。イタリアの政局や強制的な財政削減は、決着が長引けば長引くほど心配が強くなる。そういう意味で考えると、今週あたりは最高値を更新する絶好のチャンスと言えるかもしれない。
日経平均も先週は220円の値上がり。終り値では1万1600円台を回復、4年5か月ぶりの水準に戻してきた。2月中の東証1部の売買高は714億株、月間の最大を記録した。個人の売買代金も6年ぶりの規模に膨らんだという。3月に入っても、この勢いは当分続きそうだ。
今週は5日に、1月の毎月勤労統計。7日に、1月の景気動向指数。8日に、1月の国際収支、2月の景気ウォッチャー調査、昨年10-12月期のGDP改定値が発表される。アメリカでは5日に、ISM非製造業景況指数。7日に、1月の貿易統計。8日には、2月の雇用統計が発表になる。また4日からシンガポールでTPP参加国による交渉会合。中国では5日から全国人民代表大会が開催される。
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ TPP参加は絶好のチャンス = 安倍首相の施政方針演説で、最も注目されたのは農業問題と原発再稼動に関する部分だった。TPP(環太平洋経済連携協定)については「政府の責任において、交渉参加について判断します」と述べ、近く参加の決断を下すことを強く示唆した。これから反対派の説得という大仕事に取り掛かることになる。
同時に安倍首相は「未来に希望を持てる“強い農業”を創ってまいります」と強調した。政府も財政面からの支援を惜しまない、という意味が言外に含まれている。“強い農業”を創るのには当然、カネがかかるからだ。ただ、ここで最重要なことは“反対派をカネで黙らせる”結果を招かないことだろう。
そのためには財政を支出する前に、農業の将来ビジョンとそこへ至る綿密な行程表を作成する必要がある。生産性を上げるための大規模化や法人化を進めるための施策、農業従事者の若返り。そのとき小規模な農家や高齢化した農村をどうするのか。難しい課題が多い。
したがって日本の“農業復興計画”は、すぐにでも作成に着手しなければならない。これが出来ないうちに財政資金をバラ撒けば、それこそ反対派の口封じと参院選の票集めになってしまう。安倍首相に様子見のヒマはない。いまこそ“スピード感”を持ってもらいたい。
(続きは明日)
≪4日の日経平均 = 上げ +45.91円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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同時に安倍首相は「未来に希望を持てる“強い農業”を創ってまいります」と強調した。政府も財政面からの支援を惜しまない、という意味が言外に含まれている。“強い農業”を創るのには当然、カネがかかるからだ。ただ、ここで最重要なことは“反対派をカネで黙らせる”結果を招かないことだろう。
そのためには財政を支出する前に、農業の将来ビジョンとそこへ至る綿密な行程表を作成する必要がある。生産性を上げるための大規模化や法人化を進めるための施策、農業従事者の若返り。そのとき小規模な農家や高齢化した農村をどうするのか。難しい課題が多い。
したがって日本の“農業復興計画”は、すぐにでも作成に着手しなければならない。これが出来ないうちに財政資金をバラ撒けば、それこそ反対派の口封じと参院選の票集めになってしまう。安倍首相に様子見のヒマはない。いまこそ“スピード感”を持ってもらいたい。
(続きは明日)
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≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 3年後では遅いエネルギー計画 = 安倍首相は施政方針演説のなかで、原発問題に触れ「原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます。そのうえで、安全性が確認された原発は再稼動します」と言い切った。この発言は、原発に対する姿勢を従来より一歩進めた内容のようにも受け取れる。
自民党の原発に関する公約は「再稼動の可否は順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す」という内容だった。安倍首相の演説は時間軸に触れていないので、この公約との整合性は不明だ。しかし「安全なら再稼動」と言い切ったのは、初めてのことである。
原発については、安全性を最重視すべきことは言うまでもない。だが安全性の確認を急ぐのかどうか。安倍首相の演説には、この視点が抜け落ちている。たとえば原子力規制委員会は、50基の原発のうち活断層がありそうなところから調査している。これでは結論が出るのに時間がかかりすぎるだろう。
政府が規制委員会に対して「安全性の高そうなところから調査してほしい」と要請しても、圧力をかけたことにはならないだろう。その結果、安全な原発はないという結論が出たら、すべての原発を放棄したらいい。ただ、その場合は再生エネルギーの開発を急がなければならない。どちらにしても、3年後の結論では遅すぎる。ここでも安倍首相自らが強調する“スピード感”が求められる。
≪5日の日経平均 = 上げ +31.16円≫
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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自民党の原発に関する公約は「再稼動の可否は順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す」という内容だった。安倍首相の演説は時間軸に触れていないので、この公約との整合性は不明だ。しかし「安全なら再稼動」と言い切ったのは、初めてのことである。
原発については、安全性を最重視すべきことは言うまでもない。だが安全性の確認を急ぐのかどうか。安倍首相の演説には、この視点が抜け落ちている。たとえば原子力規制委員会は、50基の原発のうち活断層がありそうなところから調査している。これでは結論が出るのに時間がかかりすぎるだろう。
政府が規制委員会に対して「安全性の高そうなところから調査してほしい」と要請しても、圧力をかけたことにはならないだろう。その結果、安全な原発はないという結論が出たら、すべての原発を放棄したらいい。ただ、その場合は再生エネルギーの開発を急がなければならない。どちらにしても、3年後の結論では遅すぎる。ここでも安倍首相自らが強調する“スピード感”が求められる。
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≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 4年で2倍を超す上昇 = ニューヨーク市場のダウ平均株価が、5年半ぶりに史上最高値を更新した。5日の終り値は1万4254ドル。07年10月9日に付けた過去最高の1万4164ドルを上回り、市場は歓声と興奮に包まれた。当時は住宅バブルが最高潮に達した時点。そこから株価は急速に下落している。
株価が下げ止まったのは09年3月。最安値は3月9日の6547ドルだった。それから4年ちょうどで、ダウ平均は2倍以上も上昇したことになる。最近の値上がりは世界的なカネ余り傾向、それにアメリカ自体の景気回復に支えられたもの。雇用や住宅関連の着実な改善、企業収益の好転で産業界の景況感も大幅に上向いている。
たとえば主要企業のPER(株価収益率)をみると、07年当時は20倍を超えていた。それが同じ株価水準で、現在は14倍前後。それだけ企業の収益が拡大していることを表している。唯一の心配事は3月から始まってしまった財政支出の強制的な削減だが、ウォール街では市場の活況で警戒感も一時的に吹き飛ばされた感じが強い。
ダウの最高値更新で、日本株の出遅れ感はますます強くなった。たとえば07年10月9日の日経平均は1万7160円。そこまではまだ5200円も上げなくては到達しない。また安値は09年3月10日の7055円だったから、その2倍は1万4110円。6日の終り値より2200円も上だ。大震災という想定外の災難に見舞われたとしても、株価の回復は遅い。外国人投資家がこの遅れをどう見るか、最大の注目点になるだろう。
≪6日の日経平均 = 上げ +248.82円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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株価が下げ止まったのは09年3月。最安値は3月9日の6547ドルだった。それから4年ちょうどで、ダウ平均は2倍以上も上昇したことになる。最近の値上がりは世界的なカネ余り傾向、それにアメリカ自体の景気回復に支えられたもの。雇用や住宅関連の着実な改善、企業収益の好転で産業界の景況感も大幅に上向いている。
たとえば主要企業のPER(株価収益率)をみると、07年当時は20倍を超えていた。それが同じ株価水準で、現在は14倍前後。それだけ企業の収益が拡大していることを表している。唯一の心配事は3月から始まってしまった財政支出の強制的な削減だが、ウォール街では市場の活況で警戒感も一時的に吹き飛ばされた感じが強い。
ダウの最高値更新で、日本株の出遅れ感はますます強くなった。たとえば07年10月9日の日経平均は1万7160円。そこまではまだ5200円も上げなくては到達しない。また安値は09年3月10日の7055円だったから、その2倍は1万4110円。6日の終り値より2200円も上だ。大震災という想定外の災難に見舞われたとしても、株価の回復は遅い。外国人投資家がこの遅れをどう見るか、最大の注目点になるだろう。
≪6日の日経平均 = 上げ +248.82円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 勢いが目立つ女性たち = スポーツ選手だけかと思っていたら、経済の世界でも最近は女性の勢いがいい。発表されたばかりの経済統計で、その勢いを確認してみよう。まずは厚生労働省がまとめた賃金構造基本調査。これによると、フルタイムで働いた女性の12年の平均賃金は月額23万3100円。前年に比べると0.5%の増加だった。
一方、男性の平均賃金は32万9000円で、前年比0.2%の増加。まだ格差は大きいが、その差はじりじり縮まっている。たとえば90年の女性賃金は男性の約6割だったのが、12年では7割強にまで上昇した。働く女性の数も増えて、12年は雇用者数で2375万人。前年より6万人増えている。
次は1月の家計調査。勤労者世帯の収入をみると、男性世帯主の実収入は平均33万6342円で、前年同月より1.6%減少した。これに対して女性配偶者の収入は5万3899円。パートなどが多いために金額は少ないが、前年比では14.5%も増加した。10年前に比べると、男性世帯主の実収入が9600円減ったのに対し、女性配偶者の収入は9900円増えている。
さらに1月の労働力調査。就業者は前年に比べて男性は26万人の減少だったが、女性は43万人増加した。また失業率は男性が前月比0.1ポイント悪化したのに対して、女性は0.2ポイント改善している。これらの結果は、製造業の伸びが縮小し、医療や介護あるいはサービス業が拡大しつつある産業構造の変化を反映したものだ。したがって、この傾向はまだまだ続くと考えられる。
≪7日の日経平均 = 上げ +35.81円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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一方、男性の平均賃金は32万9000円で、前年比0.2%の増加。まだ格差は大きいが、その差はじりじり縮まっている。たとえば90年の女性賃金は男性の約6割だったのが、12年では7割強にまで上昇した。働く女性の数も増えて、12年は雇用者数で2375万人。前年より6万人増えている。
次は1月の家計調査。勤労者世帯の収入をみると、男性世帯主の実収入は平均33万6342円で、前年同月より1.6%減少した。これに対して女性配偶者の収入は5万3899円。パートなどが多いために金額は少ないが、前年比では14.5%も増加した。10年前に比べると、男性世帯主の実収入が9600円減ったのに対し、女性配偶者の収入は9900円増えている。
さらに1月の労働力調査。就業者は前年に比べて男性は26万人の減少だったが、女性は43万人増加した。また失業率は男性が前月比0.1ポイント悪化したのに対して、女性は0.2ポイント改善している。これらの結果は、製造業の伸びが縮小し、医療や介護あるいはサービス業が拡大しつつある産業構造の変化を反映したものだ。したがって、この傾向はまだまだ続くと考えられる。
≪7日の日経平均 = 上げ +35.81円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 輸入を変動させる要因 = 輸入が増えたり減ったりする原因も数多い。まず国内の景気動向。景気がいいと需要が増えて、海外製品の消費も増加する。また好景気で所得が増えれば、人々は海外の珍しいモノや高価なモノを買いたくなるかもしれない。景気が悪くなると、その逆のことが起きる。
次に国内では恒常的に不足するモノの輸入。日本では食料とエネルギーが常に足りない。たとえば天候不順で野菜が不作になると、野菜の輸入が増える。最近では大震災の影響で原発が稼動できず、火力発電への依存が高まったために、その燃料となるLNG(液化天然ガス)などの輸入が急増した。
さらに国産品の競争力が低下すると、輸入品の魅力が高まり輸入が増大する。たとえば12年の貿易統計をみると、電気機器の輸入額が前年より5.6%増えている。これはテレビ受信機やパソコン、携帯電話の輸入が増大したためだ。国産品の競争力が落ちて、中国や韓国、台湾などの製品が日本国内で売れていることを示している。
為替相場の変動も大きく影響する。円高になれば、輸入品の価格が安くなるから輸入は増えやすい。円安の場合は逆に輸入を抑制する力が働く。こうした要因のなかで、いま輸入を最も押し上げているのはLNGなどの燃料輸入だ。その輸入価格は円安で上昇するが、発電量を確保するために輸入量は減らせない。このため輸入額はますます増大する傾向にある。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 上げ +315.54円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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次に国内では恒常的に不足するモノの輸入。日本では食料とエネルギーが常に足りない。たとえば天候不順で野菜が不作になると、野菜の輸入が増える。最近では大震災の影響で原発が稼動できず、火力発電への依存が高まったために、その燃料となるLNG(液化天然ガス)などの輸入が急増した。
さらに国産品の競争力が低下すると、輸入品の魅力が高まり輸入が増大する。たとえば12年の貿易統計をみると、電気機器の輸入額が前年より5.6%増えている。これはテレビ受信機やパソコン、携帯電話の輸入が増大したためだ。国産品の競争力が落ちて、中国や韓国、台湾などの製品が日本国内で売れていることを示している。
為替相場の変動も大きく影響する。円高になれば、輸入品の価格が安くなるから輸入は増えやすい。円安の場合は逆に輸入を抑制する力が働く。こうした要因のなかで、いま輸入を最も押し上げているのはLNGなどの燃料輸入だ。その輸入価格は円安で上昇するが、発電量を確保するために輸入量は減らせない。このため輸入額はますます増大する傾向にある。
(続きは来週サタデー)
≪8日の日経平均 = 上げ +315.54円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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第12章 デフレって、なんだろう? ⑥
◇ 景気は上向きに = 財政と金融の両面から需要を拡大し、景気をよくする。これがアベノミクスと呼ばれる経済政策でしたね。これによって、まず円相場が大きく下落しました。昨年10月には1ドル=78円だった円相場が、最近では96円にまで下がっています。このため自動車など輸出産業の利益が増大し、株価も大幅に上昇してきました。
景気は明らかに回復しつつあります。大きな利益を出した企業のなかには、従業員のボーナスを増やすと発表したところも現れ始めました。こうして日本経済を取り巻く雰囲気は、急速に明るくなっています。昨年末から現在までの動きをみると、アベノミクスは成功したと考えていいでしょう。
景気の回復はアベノミクスだけが原因ではありません。アメリカ経済も回復の軌道に乗り始め、ヨーロッパの信用不安も小康状態を保っています。こうした世界経済の好転にも支えられたわけですが、問題はこの回復傾向がいつまで続くかです。というのも、補正予算や金融緩和の効果が出尽くしたあとが心配だからです。
その心配をなくすためには、日本経済の基本的な力をもっと強くする必要があります。それがアベノミクスの“第3の矢”と言われる成長戦略です。新しい技術を開発し、いろいろな規制を緩和して経済活動を活発化させる。いま政府はその具体的な内容を大急ぎで検討していますが、その成果が出ないとアベノミクスはほんとうに成功したとは言えないでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 景気は上向きに = 財政と金融の両面から需要を拡大し、景気をよくする。これがアベノミクスと呼ばれる経済政策でしたね。これによって、まず円相場が大きく下落しました。昨年10月には1ドル=78円だった円相場が、最近では96円にまで下がっています。このため自動車など輸出産業の利益が増大し、株価も大幅に上昇してきました。
景気は明らかに回復しつつあります。大きな利益を出した企業のなかには、従業員のボーナスを増やすと発表したところも現れ始めました。こうして日本経済を取り巻く雰囲気は、急速に明るくなっています。昨年末から現在までの動きをみると、アベノミクスは成功したと考えていいでしょう。
景気の回復はアベノミクスだけが原因ではありません。アメリカ経済も回復の軌道に乗り始め、ヨーロッパの信用不安も小康状態を保っています。こうした世界経済の好転にも支えられたわけですが、問題はこの回復傾向がいつまで続くかです。というのも、補正予算や金融緩和の効果が出尽くしたあとが心配だからです。
その心配をなくすためには、日本経済の基本的な力をもっと強くする必要があります。それがアベノミクスの“第3の矢”と言われる成長戦略です。新しい技術を開発し、いろいろな規制を緩和して経済活動を活発化させる。いま政府はその具体的な内容を大急ぎで検討していますが、その成果が出ないとアベノミクスはほんとうに成功したとは言えないでしょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 速すぎる上昇ピッチ = ダウ平均株価は先週5日、終り値で史上最高値を更新した。その後も週末まで上げ続け、週間では307ドルの値上がり。週の終り値1万4397ドルは、07年10月に付けた最高値を233ドル上回った。金融緩和によるカネ余り状態のなかで、アメリカ経済の回復が確認されたことが株価を押し上げている。
日経平均も負けじと上昇、08年のリーマン・ショック直前の水準を回復した。先週は5日間の連騰で、677円の大幅な値上がり。円相場が96円台にまで下落、出遅れ感の強かった日本株に外国人投資家が着目。つられて国内の個人投資家も大きく買い越している。
今週も勢いが続くかどうか。アメリカの場合は、すでに始まってしまった財政支出の強制削減が重荷。日本はニューヨーク市場が上げれば円安が進むので、株高の持続も期待できる。しかし昨年11月からの上昇率は4割を超えた。特に先週の上げは大きすぎたから、一休みした方がいいのかもしれない。
今週は11日に、1月の機械受注。12日に、1月の第3次産業活動指数、2月の消費動向調査、1-3月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは13日に、2月の小売り売上高。14日に、2月の卸売り物価。15日に、2月の工業生産、消費者物価、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均も負けじと上昇、08年のリーマン・ショック直前の水準を回復した。先週は5日間の連騰で、677円の大幅な値上がり。円相場が96円台にまで下落、出遅れ感の強かった日本株に外国人投資家が着目。つられて国内の個人投資家も大きく買い越している。
今週も勢いが続くかどうか。アメリカの場合は、すでに始まってしまった財政支出の強制削減が重荷。日本はニューヨーク市場が上げれば円安が進むので、株高の持続も期待できる。しかし昨年11月からの上昇率は4割を超えた。特に先週の上げは大きすぎたから、一休みした方がいいのかもしれない。
今週は11日に、1月の機械受注。12日に、1月の第3次産業活動指数、2月の消費動向調査、1-3月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは13日に、2月の小売り売上高。14日に、2月の卸売り物価。15日に、2月の工業生産、消費者物価、3月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 3か月連続で赤字 = 「やっぱり」と言うべきか、「とうとう」と言うべきか。経常収支が3か月続けて赤字になってしまった。日本にとっては初めての経験である。財務省が発表した1月の経常収支は3648億円の赤字。これで昨年11月からの赤字額は、合計8500億円を超えた。
経常収支というのは、貿易収支と旅行や保険料などのサービス収支、それに利子や配当などの出入りを計算した所得収支などから構成されている。直接投資や証券投資などの資本収支を除いた、海外とのおカネのやり取りをすべて網羅した統計だ。この統計が赤字ということは、国内のおカネがそれだけ海外に流出したことを意味している。
1月の経常収支の中身をみると、貿易収支が1兆4800億円の赤字。前年1月より赤字が900億円増大した。サービス収支も、来日した外国人観光客が減少したことなどから1800億円の赤字。所得収支は1兆2300億円の黒字だったが、貿易とサービスの赤字を補い切れなかった。
赤字化の最大の要因は、やはり輸入の増大。輸入額は6兆1000億円で前年を3800億円も上回った。仮に輸入額が増えていなければ、経常収支は黒字だったことになる。輸入が増大した原因は、火力発電用の燃料輸入が増えたこと。LNG(液化天然ガス)の輸入額は、前年比11.4%の増加だった。日本経済は、こうした傾向にいつまで耐えられるのだろうか。少々危ない気がする。
≪11日の日経平均 = 上げ +65.43円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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経常収支というのは、貿易収支と旅行や保険料などのサービス収支、それに利子や配当などの出入りを計算した所得収支などから構成されている。直接投資や証券投資などの資本収支を除いた、海外とのおカネのやり取りをすべて網羅した統計だ。この統計が赤字ということは、国内のおカネがそれだけ海外に流出したことを意味している。
1月の経常収支の中身をみると、貿易収支が1兆4800億円の赤字。前年1月より赤字が900億円増大した。サービス収支も、来日した外国人観光客が減少したことなどから1800億円の赤字。所得収支は1兆2300億円の黒字だったが、貿易とサービスの赤字を補い切れなかった。
赤字化の最大の要因は、やはり輸入の増大。輸入額は6兆1000億円で前年を3800億円も上回った。仮に輸入額が増えていなければ、経常収支は黒字だったことになる。輸入が増大した原因は、火力発電用の燃料輸入が増えたこと。LNG(液化天然ガス)の輸入額は、前年比11.4%の増加だった。日本経済は、こうした傾向にいつまで耐えられるのだろうか。少々危ない気がする。
≪11日の日経平均 = 上げ +65.43円≫
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 住宅と自動車が牽引 = アメリカ経済が、ようやく回復軌道に乗った。中心的な産業である住宅と自動車の売れ行きがいい。遅れていた雇用の回復もピッチを上げてきた。企業の業績が上向き、株価は史上最高値を更新中。その資産効果もあって個人消費も堅調に推移、それがまた企業収益と雇用に好影響を及ぼす好循環を生み始めている。
08年秋のリーマン・ショックで、最も痛めつけられたのが住宅だった。価格は3割以上も暴落、このバブル崩壊で失われた不動産価値は9兆4000億ドルに達したと試算されている。住宅の所有者はローンが支払えず、銀行が差し押さえた個人住宅は600万戸に及ぶ。新規住宅の着工戸数は、通常の3分の1に落ち込んだ。
その住宅がやっと回復した。商務省の発表によると、1月の新築1戸建て住宅の販売戸数は年率で43万7000戸、前年比28.9%の増加だった。4年半前の水準に戻している。また新築着工戸数も、1月は年率89万戸で前年比23.6%の増加だった。主要20都市の平均価格も、昨年12月は前年比で6.8%上昇している。
個人にとって最大の買い物は、住宅と自動車だ。その自動車も好調な販売が続いている。2月の新車販売台数は年率換算で1538万台。前年より3.7%増加した。好調と判定される1500万台を4か月連続で上回っている。住宅や自動車の販売は、ローン金利が史上最低になった影響が大きい。こうしてアメリカの金融緩和は、実体経済の押し上げにも効果を発揮している。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 下げ -34.24円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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08年秋のリーマン・ショックで、最も痛めつけられたのが住宅だった。価格は3割以上も暴落、このバブル崩壊で失われた不動産価値は9兆4000億ドルに達したと試算されている。住宅の所有者はローンが支払えず、銀行が差し押さえた個人住宅は600万戸に及ぶ。新規住宅の着工戸数は、通常の3分の1に落ち込んだ。
その住宅がやっと回復した。商務省の発表によると、1月の新築1戸建て住宅の販売戸数は年率で43万7000戸、前年比28.9%の増加だった。4年半前の水準に戻している。また新築着工戸数も、1月は年率89万戸で前年比23.6%の増加だった。主要20都市の平均価格も、昨年12月は前年比で6.8%上昇している。
個人にとって最大の買い物は、住宅と自動車だ。その自動車も好調な販売が続いている。2月の新車販売台数は年率換算で1538万台。前年より3.7%増加した。好調と判定される1500万台を4か月連続で上回っている。住宅や自動車の販売は、ローン金利が史上最低になった影響が大きい。こうしてアメリカの金融緩和は、実体経済の押し上げにも効果を発揮している。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 下げ -34.24円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 長期拡大の可能性も = 昨年の年末商戦から、小売業の売り上げも伸びている。1月の売上高は前年比5.1%の増加だったが、株高の資産効果で高級デパートは11.4%の売り上げ増。主要500社の純利益は昨年7-9月期までは伸び悩んでいたが、10-12月期は前年比5%の増加。トムソン・ロイター社は、13年度に10%の増益を予想している。
企業家の心理も目立って上向いた。ISM(米供給管理協会)が発表した2月の景況感指数は、製造業が54.2%で11年6月以来、非製造業は56.9%で12年2月以来の高さに戻している。さらに回復が遅いと批判されていた雇用も、改善のピッチを上げてきた。労働省の発表によると、2月は非農業雇用者数が23万6000人も増加。失業率も7.7%に低下した。市場の予想を大きく上回る改善ぶりである。
活気を取り戻したアメリカ経済にとって当面の不安材料は、政府予算の強制削減が3月から発動されたこと。まだ実質的な悪影響は出ていないが、与野党が3月中に回避策で妥協しないと大変なことになる。政府の職員や教員、警察官など75万人が解雇され、100以上の空港で航空管制が出来なくなるという。
その一方でアメリカ経済にとっては、無限の可能性を持つ強力な援軍が出現した。それは技術の進歩で採掘が可能になったシェールガス。あと5年もすれば、アメリカが世界最大の原油・ガス生産国になることは確実とみられている。そうなれば企業の競争力は格段に強化され、消費も増大する。アメリカ経済が再び世界に君臨する日が来ることも夢ではない。
≪13日の日経平均 = 下げ -75.15円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業家の心理も目立って上向いた。ISM(米供給管理協会)が発表した2月の景況感指数は、製造業が54.2%で11年6月以来、非製造業は56.9%で12年2月以来の高さに戻している。さらに回復が遅いと批判されていた雇用も、改善のピッチを上げてきた。労働省の発表によると、2月は非農業雇用者数が23万6000人も増加。失業率も7.7%に低下した。市場の予想を大きく上回る改善ぶりである。
活気を取り戻したアメリカ経済にとって当面の不安材料は、政府予算の強制削減が3月から発動されたこと。まだ実質的な悪影響は出ていないが、与野党が3月中に回避策で妥協しないと大変なことになる。政府の職員や教員、警察官など75万人が解雇され、100以上の空港で航空管制が出来なくなるという。
その一方でアメリカ経済にとっては、無限の可能性を持つ強力な援軍が出現した。それは技術の進歩で採掘が可能になったシェールガス。あと5年もすれば、アメリカが世界最大の原油・ガス生産国になることは確実とみられている。そうなれば企業の競争力は格段に強化され、消費も増大する。アメリカ経済が再び世界に君臨する日が来ることも夢ではない。
≪13日の日経平均 = 下げ -75.15円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 歳費の支給は憲法違反だ = 「昨年12月の衆議院選挙は憲法違反」--東京と札幌の高等裁判所が相次いで判決を下した。最高裁判所が11年3月に「一票の格差が2倍を超す選挙は違憲状態」という判断を示したのに、これを是正せずに選挙を実施したことへの裁断である。3月中には他の高裁も同様の判決を下すものとみられ、4月からは最高裁の審理が始まる予定。
ただし東京と札幌の高裁は「選挙無効の請求」は棄却した。これを認めれば、すべての衆議院議員が失職、これら議員が選出した安倍首相も存在できないことになる。それでは日本国が成り立たないという配慮から、やむなく棄却したのだろう。だが安倍首相以下、現在の議員がすべて違法な選挙でその地位を獲得したという事実は否定できない。
司法からの“最後通告”を受けて、自民・公明・民主の3党は対策をまとめるための実務者協議を開始した。すでに09年の参議院選挙も「違憲状態」と判定されているため、参議院の格差も是正しなければ選挙ができない。ところが議員定数の削減問題もからんで、各党の利害は対立。具体案がまとまる見通しは全くない。
各党の尻を引っぱたいて、衆参両院の格差是正法案を成立させる名案が1つ。それは4月以降に最高裁が「違憲」の判断を下した瞬間から、両院議員に歳費を支給しないこと。訴訟や署名運動で、その実現を追及したらいい。なにしろ法律に違反して当選したのだから、歳費をもらう資格はないのでは。
≪14日の日経平均 = 上げ +141.53円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ただし東京と札幌の高裁は「選挙無効の請求」は棄却した。これを認めれば、すべての衆議院議員が失職、これら議員が選出した安倍首相も存在できないことになる。それでは日本国が成り立たないという配慮から、やむなく棄却したのだろう。だが安倍首相以下、現在の議員がすべて違法な選挙でその地位を獲得したという事実は否定できない。
司法からの“最後通告”を受けて、自民・公明・民主の3党は対策をまとめるための実務者協議を開始した。すでに09年の参議院選挙も「違憲状態」と判定されているため、参議院の格差も是正しなければ選挙ができない。ところが議員定数の削減問題もからんで、各党の利害は対立。具体案がまとまる見通しは全くない。
各党の尻を引っぱたいて、衆参両院の格差是正法案を成立させる名案が1つ。それは4月以降に最高裁が「違憲」の判断を下した瞬間から、両院議員に歳費を支給しないこと。訴訟や署名運動で、その実現を追及したらいい。なにしろ法律に違反して当選したのだから、歳費をもらう資格はないのでは。
≪14日の日経平均 = 上げ +141.53円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 最大の赤字要因は燃料の輸入増 = 12年の輸入総額70兆6700億円は、震災の影響がなかった10年の輸入額と比べると9兆9000億円も増えた。この間に貿易収支は13兆5700億円悪化したが、その73%分が輸入の増大に起因していることになる。そして輸入増加分の3分の2は、鉱物性燃料の増加によるものだ。
12年の鉱物性燃料の輸入額は24兆1000億円。10年の輸入額より6兆6800億円、率にして38.4%増加した。その内訳をみると、原油・粗油が12兆2500億円で最も多い。次いでLNG(液化天然ガス)、石油製品、石炭の順となっている。ただ10年比でみた伸び率は、LNGが72.9%で最も高い。
輸入の増加は、火力発電所の稼働率が急上昇したため。日本には50基の原発があるが、いまは関西電力の大飯原発3,4号機(福井県)しか動いていない。各電力会社はこうした状況に対応するため、火力による発電を大幅に増やしている。特にLNG火力に力を入れたことが、そのまま輸入の急増につながった。
他の原発が再稼動されるかどうかは、いまのところ全く不明だ。したがって、発電用の燃料輸入が減少する可能性は小さい。むしろ世界経済が回復するにつれて、原油や石炭あるいはLNGの国際価格は上昇する可能性が大きい。さらに円安が進めば、それだけ燃料の輸入価格は上昇する。日本経済が直面する最大の問題と言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +179.76円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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12年の鉱物性燃料の輸入額は24兆1000億円。10年の輸入額より6兆6800億円、率にして38.4%増加した。その内訳をみると、原油・粗油が12兆2500億円で最も多い。次いでLNG(液化天然ガス)、石油製品、石炭の順となっている。ただ10年比でみた伸び率は、LNGが72.9%で最も高い。
輸入の増加は、火力発電所の稼働率が急上昇したため。日本には50基の原発があるが、いまは関西電力の大飯原発3,4号機(福井県)しか動いていない。各電力会社はこうした状況に対応するため、火力による発電を大幅に増やしている。特にLNG火力に力を入れたことが、そのまま輸入の急増につながった。
他の原発が再稼動されるかどうかは、いまのところ全く不明だ。したがって、発電用の燃料輸入が減少する可能性は小さい。むしろ世界経済が回復するにつれて、原油や石炭あるいはLNGの国際価格は上昇する可能性が大きい。さらに円安が進めば、それだけ燃料の輸入価格は上昇する。日本経済が直面する最大の問題と言えるだろう。
(続きは来週サタデー)
≪15日の日経平均 = 上げ +179.76円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第12章 デフレって、なんだろう? ⑦
◇ 物価を2%上げる = 安倍首相は物価を2%上昇させることが必要だと考えて、日銀にも協力するよう強く要請しました。新しい日銀総裁に任命された黒田東彦氏も「物価が2%上昇するまで、あらゆる手段を使って金融を緩和する」と約束しています。この物価の2%上昇を目標とする政策には、どんな意味があるのでしょうか。
日本の物価は10年以上にわたって下落しています。デフレですね。このデフレは景気が悪く、需要が不足しているために起こります。その一方で物価が下落すると、企業やお店の売り上げが伸びず、従業員の賃金も上げられません。このために景気がよくならないと考えることもできます。そこで政策的に物価を引き上げる必要がある、というわけです。
日銀が大量のお札を流通させると、おカネの価値が下がって物価は上がるはずです。安倍首相はデフレを解消するために、まず政府が補正予算で需要を創り出す。その一方で日銀が金融をどんどん緩和して物価を上げれば、景気はよくなると考えたのです。
しかし、この物価2%目標の政策には大きな問題点もあります。まず日銀が金融を緩和しても、企業や個人がそんなにおカネを使わないかもしれないという心配。逆に物価が予想以上に上昇して、インフレになってしまうのではないか。来週からは、そんな問題点を勉強してみましょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 物価を2%上げる = 安倍首相は物価を2%上昇させることが必要だと考えて、日銀にも協力するよう強く要請しました。新しい日銀総裁に任命された黒田東彦氏も「物価が2%上昇するまで、あらゆる手段を使って金融を緩和する」と約束しています。この物価の2%上昇を目標とする政策には、どんな意味があるのでしょうか。
日本の物価は10年以上にわたって下落しています。デフレですね。このデフレは景気が悪く、需要が不足しているために起こります。その一方で物価が下落すると、企業やお店の売り上げが伸びず、従業員の賃金も上げられません。このために景気がよくならないと考えることもできます。そこで政策的に物価を引き上げる必要がある、というわけです。
日銀が大量のお札を流通させると、おカネの価値が下がって物価は上がるはずです。安倍首相はデフレを解消するために、まず政府が補正予算で需要を創り出す。その一方で日銀が金融をどんどん緩和して物価を上げれば、景気はよくなると考えたのです。
しかし、この物価2%目標の政策には大きな問題点もあります。まず日銀が金融を緩和しても、企業や個人がそんなにおカネを使わないかもしれないという心配。逆に物価が予想以上に上昇して、インフレになってしまうのではないか。来週からは、そんな問題点を勉強してみましょう。
(続きは来週日曜日)
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◇ 頑張ったダウ平均 = ダウ平均株価の連騰記録は10日間で終わり、先週金曜日は小幅に反落した。それでも終り値は1万4500ドル台を維持している。10日間の連騰は、96年11月以来16年4か月ぶりだというから大記録だ。金曜日の反落について、ウォールストリート・ジャーナル紙は「ミシガン大学の消費者信頼感指数が予想以上に落ち込んだため」と解説しているが、基本的には買い疲れだろう。
日経平均株価も頑張った。先週は277円の値上がり。これで5週連続の上昇、その間の上げ幅は1400円を超えている。こちらの方も一休みしたいところだが、そうもいかない。安倍首相のTPP交渉への参加表明、黒田日銀体制の発足は、輸出株の買い材料になりそうだ。
ただ今週以降は、これらの材料をこなしたあとについての展望が必要になってきそうだ。格段の悪材料は見えないから、次は実体経済や企業収益の動向が重視されることになる。特に3月第1週までの17週間に5兆2000億円を買い越した、外国人投資家の姿勢が注目される。
今週は21日に、2月の貿易統計と1月の全産業活動指数が発表される。アメリカでは19日に、2月の新築住宅着工戸数。21日に、2月の中古住宅販売戸数とコンファレンスボードによる2月の景気先行指数が発表になる。
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均株価も頑張った。先週は277円の値上がり。これで5週連続の上昇、その間の上げ幅は1400円を超えている。こちらの方も一休みしたいところだが、そうもいかない。安倍首相のTPP交渉への参加表明、黒田日銀体制の発足は、輸出株の買い材料になりそうだ。
ただ今週以降は、これらの材料をこなしたあとについての展望が必要になってきそうだ。格段の悪材料は見えないから、次は実体経済や企業収益の動向が重視されることになる。特に3月第1週までの17週間に5兆2000億円を買い越した、外国人投資家の姿勢が注目される。
今週は21日に、2月の貿易統計と1月の全産業活動指数が発表される。アメリカでは19日に、2月の新築住宅着工戸数。21日に、2月の中古住宅販売戸数とコンファレンスボードによる2月の景気先行指数が発表になる。
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ ふつうの人には理解できない = 安倍首相がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明したのに合わせて、内閣府はTPP加盟が日本経済に及ぼす影響を試算して発表した。その骨子は、加盟によって10年後のGDPは実質で3兆2000億円押し上げられる。その一方、農林水産業の生産額は3兆円減少するというもの。
全く不思議な試算である。まず10年後の数字が唐突に出てくる意味が判らない。加盟して1年後、2年後、3年後にも、影響はあるのだろう。それらを積み上げて、10年間でいくらのプラスとマイナスというのなら判る。しかし、いきなり10年後だけの数字を出されても、たとえば一般の人はGDPが3兆2000億円しか増えないの? と疑問に思ってしまうのではないだろうか。
また農林水産業の生産減少額は、コメや麦など“聖域”の輸入関税をすべて撤廃した場合を前提に計算している。だが安倍首相は「聖域は守る」と約束しているではないか。首相が約束を守れないことを前提にした試算が、なぜ飛び出してくるのだろう。ふつうの人には、とうてい理解不能な話である。
勘ぐって考えると、こうなる。まず10年間の積み上げ計算をすると、農林水産業の減産額が大きくなりすぎてしまう。次に10年後の減産額を3兆円とすることで、農林水産業への補助金・助成金の規模を暗示させた。さらに意味不明な10年後の試算を公表することで、TPP加盟の賛成論と反対論をいたずらに混乱させることが目的? とにかく不可解な試算である。
≪18日の日経平均 = 下げ -340.32円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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全く不思議な試算である。まず10年後の数字が唐突に出てくる意味が判らない。加盟して1年後、2年後、3年後にも、影響はあるのだろう。それらを積み上げて、10年間でいくらのプラスとマイナスというのなら判る。しかし、いきなり10年後だけの数字を出されても、たとえば一般の人はGDPが3兆2000億円しか増えないの? と疑問に思ってしまうのではないだろうか。
また農林水産業の生産減少額は、コメや麦など“聖域”の輸入関税をすべて撤廃した場合を前提に計算している。だが安倍首相は「聖域は守る」と約束しているではないか。首相が約束を守れないことを前提にした試算が、なぜ飛び出してくるのだろう。ふつうの人には、とうてい理解不能な話である。
勘ぐって考えると、こうなる。まず10年間の積み上げ計算をすると、農林水産業の減産額が大きくなりすぎてしまう。次に10年後の減産額を3兆円とすることで、農林水産業への補助金・助成金の規模を暗示させた。さらに意味不明な10年後の試算を公表することで、TPP加盟の賛成論と反対論をいたずらに混乱させることが目的? とにかく不可解な試算である。
≪18日の日経平均 = 下げ -340.32円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 4月から住宅用は38円に = 経済産業省は4月から、電力会社による太陽光発電の買い取り価格を引き下げる方針を固めた。現在1㌔㍗時当り42円の買い取り価格を住宅用は38円に、事業者用は37.8円にそれぞれ引き下げる。発電設備の値段がこの1年間で1割以上安くなったというのが、引き下げの理由だ。
その狙いは、風力や地熱など他の再生可能エネルギーに比べて、太陽光だけが突出して普及している状態を是正すること。加えて買い取り価格が最終的に転嫁される、消費者の負担を軽減することにある。たとえば12年度中に政府が認定した太陽光発電の設備は能力にして512万㌔㍗、原発5基分に匹敵。再生可能エネルギー全体の認定分の9割を占めている。
消費者に対する価格の転嫁は5月から。たとえば電気料金が月7000円の標準家庭では、現在の転嫁分87円が120円に上がる。電力会社の買い取り価格が下がっても、買い取る電力量が増えるため消費者の負担は増えてしまうわけだ。買い取り価格の引き下げで、負担の増加分は圧縮されたというにすぎない。
再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社に固定料金で買い取らせる制度は、昨年7月から実施された。まだ1年もたっていない。それなのに急に買い取り価格の引き下げを決めたのは、買い取る電力量が増えれば増えるほど消費者の負担が急増してしまう。この制度の盲点に気がついたからに他ならない。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +247.60円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その狙いは、風力や地熱など他の再生可能エネルギーに比べて、太陽光だけが突出して普及している状態を是正すること。加えて買い取り価格が最終的に転嫁される、消費者の負担を軽減することにある。たとえば12年度中に政府が認定した太陽光発電の設備は能力にして512万㌔㍗、原発5基分に匹敵。再生可能エネルギー全体の認定分の9割を占めている。
消費者に対する価格の転嫁は5月から。たとえば電気料金が月7000円の標準家庭では、現在の転嫁分87円が120円に上がる。電力会社の買い取り価格が下がっても、買い取る電力量が増えるため消費者の負担は増えてしまうわけだ。買い取り価格の引き下げで、負担の増加分は圧縮されたというにすぎない。
再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社に固定料金で買い取らせる制度は、昨年7月から実施された。まだ1年もたっていない。それなのに急に買い取り価格の引き下げを決めたのは、買い取る電力量が増えれば増えるほど消費者の負担が急増してしまう。この制度の盲点に気がついたからに他ならない。
(続きは明日)
≪19日の日経平均 = 上げ +247.60円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ ドイツの二の舞を防げるのか = 世界で太陽光発電が最も盛んな国はドイツである。昨年末の発電設備能力は3240万㌔㍗、天気がよければ年間総需要の5%を賄える。普及が進んだ原動力は、各国に先駆けて2000年に再生可能エネルギー法を制定したこと。このなかで電力会社に固定価格で買い取ることを義務付けた。
ところが、いまドイツの太陽光発電は苦境に陥っている。買い取り電力量の激増で、消費者の負担が増えすぎた。国民の批判が強まり、政府は何度も買い取り価格の引き下げを余儀なくされている。発足当初1㌔㍗時53円程度だった買い取り価格は、現在18円になってしまった。
このため発電設備に対する国内の需要が減退。その一方で、中国などからの安い製品が大量に輸入されるようになった。その結果、一時は世界最大の生産量を誇ったQセルズ社の倒産という事態を招いている。しかも企業や家庭が支払う電気料金は、ヨーロッパでいちばん高いまま。こうした状況で、メルケル内閣の「22年までに脱原発」も怪しくなってきた。
日本はこのドイツの軌跡をたどっているような気もする。太陽光発電協会の集計によると、12年の発電設備の出荷量は買い取り制度のおかげで247万㌔㍗。前年比90%も増加した。しかし価格の安い輸入品は3倍も伸びている。福岡県の老舗メーカーであるヨカソル社が倒産、三菱重工業も撤退した。あわてて買い取り料金を引き下げた経済産業省だが、今後のカジ取りは大丈夫なのかしら。
≪21日の日経平均 = 上げ +167.46円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが、いまドイツの太陽光発電は苦境に陥っている。買い取り電力量の激増で、消費者の負担が増えすぎた。国民の批判が強まり、政府は何度も買い取り価格の引き下げを余儀なくされている。発足当初1㌔㍗時53円程度だった買い取り価格は、現在18円になってしまった。
このため発電設備に対する国内の需要が減退。その一方で、中国などからの安い製品が大量に輸入されるようになった。その結果、一時は世界最大の生産量を誇ったQセルズ社の倒産という事態を招いている。しかも企業や家庭が支払う電気料金は、ヨーロッパでいちばん高いまま。こうした状況で、メルケル内閣の「22年までに脱原発」も怪しくなってきた。
日本はこのドイツの軌跡をたどっているような気もする。太陽光発電協会の集計によると、12年の発電設備の出荷量は買い取り制度のおかげで247万㌔㍗。前年比90%も増加した。しかし価格の安い輸入品は3倍も伸びている。福岡県の老舗メーカーであるヨカソル社が倒産、三菱重工業も撤退した。あわてて買い取り料金を引き下げた経済産業省だが、今後のカジ取りは大丈夫なのかしら。
≪21日の日経平均 = 上げ +167.46円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 円安も赤字の要因に = 財務省が21日に発表した2月の貿易統計によると、輸出額は5兆2800億円で前年比2.9%の減少だった。一方、輸入額は6兆0600億円で11.9%の増加。この結果、貿易収支は7800億円の赤字となっている。これで貿易収支は昨年7月から赤字の連続。日本は貿易赤字国になってしまった。
輸出は中国が春節の休みに入るなど、季節的な影響もあった。また円安による輸出の押し上げ効果は、まだ目立っていない。その半面、輸入は相変わらず原油やLNG(液化天然ガス)が高水準の輸入を続けている。そして、こちらの方には円安による価格上昇の影響がはっきり認められる。
たとえば原油の輸入数量は2.7%減少した。しかし輸入金額は12.3%も増加している。LNGも数量は1.9%減ったが、金額は19.1%増加した。国際価格の値上がりがあったとしても、輸入金額の増加は大半が円安の影響だと考えていい。日銀の集計によると、2月の円相場は平均1ドル=93円07銭。昨年2月は78円47銭だった。
円相場が下落すると、輸出企業の採算は好転する。しかし輸出先での価格調整や外貨収入を円に転換するのに時間がかかる。これに対して輸入の場合は、ほとんど即座に支払い価格が上昇してしまう。また輸出のうち外貨建ては6割程度、輸入は8割弱という構造も大きく影響する。要するに輸入額が輸出額を上回る状態では、円安は赤字要因として働くと考えた方がいい。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -297.16円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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輸出は中国が春節の休みに入るなど、季節的な影響もあった。また円安による輸出の押し上げ効果は、まだ目立っていない。その半面、輸入は相変わらず原油やLNG(液化天然ガス)が高水準の輸入を続けている。そして、こちらの方には円安による価格上昇の影響がはっきり認められる。
たとえば原油の輸入数量は2.7%減少した。しかし輸入金額は12.3%も増加している。LNGも数量は1.9%減ったが、金額は19.1%増加した。国際価格の値上がりがあったとしても、輸入金額の増加は大半が円安の影響だと考えていい。日銀の集計によると、2月の円相場は平均1ドル=93円07銭。昨年2月は78円47銭だった。
円相場が下落すると、輸出企業の採算は好転する。しかし輸出先での価格調整や外貨収入を円に転換するのに時間がかかる。これに対して輸入の場合は、ほとんど即座に支払い価格が上昇してしまう。また輸出のうち外貨建ては6割程度、輸入は8割弱という構造も大きく影響する。要するに輸入額が輸出額を上回る状態では、円安は赤字要因として働くと考えた方がいい。
(続きは来週サタデー)
≪22日の日経平均 = 下げ -297.16円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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第12章 デフレって、なんだろう? ⑧
◇ 金融緩和政策のカベ = 日銀の金融緩和政策は、デフレの解消に効果を上げるでしょうか。そのカギは、放出される大量のおカネが実際に使われるかどうかにかかっています。企業や個人がもっとおカネを使うようになれば、景気はよくなりデフレも解消に向かうでしょう。
日銀の量的な金融緩和は、日銀が市場で国債や社債などを購入することで実行されます。その代金が放出されることによって、金融が緩和されるのです。昨年末までに、日銀は67兆円の資金を放出しました。ことしも34兆円の資金を放出する予定です。さらに黒田新総裁の就任によって、放出される金額はもっと増えるかもしれません。
ところが企業も個人も、いまは銀行から借金までしておカネを使う気にはなっていません。景気の先行きや年金制度の将来に不安があるからです。このため日銀が放出した資金の大部分は、銀行などの金融機関に滞留しています。この状態が、デフレ解消にとっての大きなカベになっていると言えるでしょう。
ただ金融緩和が進んだことから、昨年11月以降は円相場が下落し、株価が急上昇しました。これで景気の先行きに対する見通しもぐっと明るくなりました。企業の設備投資や個人の消費支出も、少しずつ増える傾向にあります。このような経済の好循環がどこまで続くのか。いまはその持続性が注目されているところです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 金融緩和政策のカベ = 日銀の金融緩和政策は、デフレの解消に効果を上げるでしょうか。そのカギは、放出される大量のおカネが実際に使われるかどうかにかかっています。企業や個人がもっとおカネを使うようになれば、景気はよくなりデフレも解消に向かうでしょう。
日銀の量的な金融緩和は、日銀が市場で国債や社債などを購入することで実行されます。その代金が放出されることによって、金融が緩和されるのです。昨年末までに、日銀は67兆円の資金を放出しました。ことしも34兆円の資金を放出する予定です。さらに黒田新総裁の就任によって、放出される金額はもっと増えるかもしれません。
ところが企業も個人も、いまは銀行から借金までしておカネを使う気にはなっていません。景気の先行きや年金制度の将来に不安があるからです。このため日銀が放出した資金の大部分は、銀行などの金融機関に滞留しています。この状態が、デフレ解消にとっての大きなカベになっていると言えるでしょう。
ただ金融緩和が進んだことから、昨年11月以降は円相場が下落し、株価が急上昇しました。これで景気の先行きに対する見通しもぐっと明るくなりました。企業の設備投資や個人の消費支出も、少しずつ増える傾向にあります。このような経済の好循環がどこまで続くのか。いまはその持続性が注目されているところです。
(続きは来週日曜日)
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◇ ひと休みした日経平均 = 先週は日米の株価がともに反落した。と言ってもダウ平均は週間2ドルのきわめて小幅な値下がり。これに対して日経平均は222円の値下がりとなった。ダウ平均は5週間ぶり、日経平均は6週間ぶりの反落である。
市場が嫌気したのは、キプロスで起きた金融不安。それでもダウ平均が踏み止まったのは、アメリカ経済の回復と企業業績の改善が確認されたため。一方、キプロス情勢でユーロとドルが売られ、円相場の反発を招くこととなった。日経平均は、この一時的な円高と期末の利益確定売りが重なり反落した。
キプロス問題は政府の対応策で、一応は小康状態を取り戻した形。今週は市場も冷静に受け止めるだろう。ただアメリカでは月末にかけて、いよいよ強制的な財政支出削減の悪影響が出始める。また東京市場では週の前半、利益確定の売りが残るかもしれない。
今週は26日に、2月の企業向けサービス価格。28日に、2月の商業販売統計。29日には、2月の鉱工業生産、消費者物価、労働力調査、家計調査が発表される。アメリカでは26日に、2月の新築住宅販売戸数、1月のSPケースシラー住宅価格、3月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、昨年10-12月期のGDP確報が発表になる。またEUが27日に、3月の消費者物価を発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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市場が嫌気したのは、キプロスで起きた金融不安。それでもダウ平均が踏み止まったのは、アメリカ経済の回復と企業業績の改善が確認されたため。一方、キプロス情勢でユーロとドルが売られ、円相場の反発を招くこととなった。日経平均は、この一時的な円高と期末の利益確定売りが重なり反落した。
キプロス問題は政府の対応策で、一応は小康状態を取り戻した形。今週は市場も冷静に受け止めるだろう。ただアメリカでは月末にかけて、いよいよ強制的な財政支出削減の悪影響が出始める。また東京市場では週の前半、利益確定の売りが残るかもしれない。
今週は26日に、2月の企業向けサービス価格。28日に、2月の商業販売統計。29日には、2月の鉱工業生産、消費者物価、労働力調査、家計調査が発表される。アメリカでは26日に、2月の新築住宅販売戸数、1月のSPケースシラー住宅価格、3月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、昨年10-12月期のGDP確報が発表になる。またEUが27日に、3月の消費者物価を発表する。
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 保険・年金・株式・投信が増加 = 日銀が25日発表した資金循環統計によると、昨年末の家計の金融資産残高は1547兆円だった。昨年1年間で47兆円、率にして3.1%増加している。この伸び率は05年の6.8%以来の大きさ。内容をみると、保険・年金、株式、投信の伸びが目立つ。
いちばん増加したのは保険・年金で、昨年末の残高は429兆円。前年比では27.7%増加した。次いで株式・出資金が106兆円で6.8%の増加。投資信託が61兆円で4.0%の増加となっている。現金・預金の保有額は854兆円、伸び率は2.0%だった。この内容からは、現金・預金や保険・年金で将来の生活に備えながらも、株式などのリスク投資にも関心を高め始めた個人の姿勢が浮かび上がってくる。
昨年の場合、株価が急上昇し始めたのは11月も後半になってから。したがって株式や投信の残高が増えた時期はごく短い。東京市場の株価は、ことしに入ってからも上昇を続けている。このため3月末時点の株式・投信残高は急増したに違いない。家計の金融資産は06年末の1586兆円がこれまでの最高だが、3月末にはその程度にまで増えると思われる。
昨年末の数字でみると、株式と投信が金融資産全体に占める割合は10.8%で、まだまだ少ない。たとえばアメリカは44.6%、ユーロ圏は21.6%だ。対照的に日本は現金・預金の保有が多く、全体の55.2%を占めている。アメリカの14.6%、ユーロ圏の35.8%に比べると異常な大きさだ。今後こうした傾向に変化が現れるのかどうか。
≪25日の日経平均 = 上げ +207.93円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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いちばん増加したのは保険・年金で、昨年末の残高は429兆円。前年比では27.7%増加した。次いで株式・出資金が106兆円で6.8%の増加。投資信託が61兆円で4.0%の増加となっている。現金・預金の保有額は854兆円、伸び率は2.0%だった。この内容からは、現金・預金や保険・年金で将来の生活に備えながらも、株式などのリスク投資にも関心を高め始めた個人の姿勢が浮かび上がってくる。
昨年の場合、株価が急上昇し始めたのは11月も後半になってから。したがって株式や投信の残高が増えた時期はごく短い。東京市場の株価は、ことしに入ってからも上昇を続けている。このため3月末時点の株式・投信残高は急増したに違いない。家計の金融資産は06年末の1586兆円がこれまでの最高だが、3月末にはその程度にまで増えると思われる。
昨年末の数字でみると、株式と投信が金融資産全体に占める割合は10.8%で、まだまだ少ない。たとえばアメリカは44.6%、ユーロ圏は21.6%だ。対照的に日本は現金・預金の保有が多く、全体の55.2%を占めている。アメリカの14.6%、ユーロ圏の35.8%に比べると異常な大きさだ。今後こうした傾向に変化が現れるのかどうか。
≪25日の日経平均 = 上げ +207.93円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 電気料金から食用油まで = まもなく4月、新年度入り。いつもこの季節には、商品の値段が上がる。ことしは例年より特に多い。値上げの要件が揃ってしまったからだ。まず円安、金融緩和によるカネ余り、景気の回復傾向、株高、それに天候の不順まで。これらの要因が重なって、値上げラッシュの様相を呈している。
いちばん大きいのは、やはり電気料金だ。円安の影響で原油・石炭・LNG(液化天然ガス)の輸入価格が上昇したため、電力14社が4月から一斉に値上げする。電力会社によって上げ幅はまちまちだが、関西電力と九州電力の値上げは大幅になる見通し。東京電力の場合は、標準家庭で月131円の値上げとなる。同様に都市ガスの料金も引き上げられる。
電気料金の引き上げと円安の影響で、鉄鋼や石油化学、繊維などの素材も値上げする。このため消費者の段階では、建設用の薄鋼板、ポリエステルやナイロン製品、ティッシュなどが値上げされる。また農林水産省が輸入小麦の売り渡し価格を4月から引き上げるため、末端では7月ごろからパンやうどんの値段が上がる見込みだ。
このほか食品では、食用油、シーチキン缶詰、ワイン、牛肉、ポテト。それに飼料用のトウモロコシ。また輸入品の家具や衣料品も値上がりする。さらに高級ブランドものの腕時計、宝飾品、革小物、美術品、貴金属も、広範な分野ですでに値上げされた。あるデパートでは、ブランド品の平均単価が2万7000円上がったと言っている。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -74.84円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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いちばん大きいのは、やはり電気料金だ。円安の影響で原油・石炭・LNG(液化天然ガス)の輸入価格が上昇したため、電力14社が4月から一斉に値上げする。電力会社によって上げ幅はまちまちだが、関西電力と九州電力の値上げは大幅になる見通し。東京電力の場合は、標準家庭で月131円の値上げとなる。同様に都市ガスの料金も引き上げられる。
電気料金の引き上げと円安の影響で、鉄鋼や石油化学、繊維などの素材も値上げする。このため消費者の段階では、建設用の薄鋼板、ポリエステルやナイロン製品、ティッシュなどが値上げされる。また農林水産省が輸入小麦の売り渡し価格を4月から引き上げるため、末端では7月ごろからパンやうどんの値段が上がる見込みだ。
このほか食品では、食用油、シーチキン缶詰、ワイン、牛肉、ポテト。それに飼料用のトウモロコシ。また輸入品の家具や衣料品も値上がりする。さらに高級ブランドものの腕時計、宝飾品、革小物、美術品、貴金属も、広範な分野ですでに値上げされた。あるデパートでは、ブランド品の平均単価が2万7000円上がったと言っている。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -74.84円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 消費者物価との関連性 = 政府と日銀は、いま物価を2%上昇させようと大わらわだ。日銀の黒田新総裁は「あらゆる手段を講じて2%目標を達成する」と力説。しかし麻生財務相は「2年間で2%上げるのは、なかなか難しい」と、もう予防線を張っている。値上げラッシュなのに、物価は上昇しないのだろうか。
政府と日銀が目標に掲げているのは「生鮮食料品を除いた全国ベースの消費者物価指数」が前年比で2%上昇すること。この物価指数は、総務省が全国9000世帯の家計簿を元に、毎月2万7000の店舗で588品目の価格を調べて作成している。これらの品目はすべて、家計の総支出の何パーセントを占めるかを示すウェートが付けられている。
たとえば電気代のウェートは10000分の317。都市ガス代は96である。両方を足してもウェートは10000分の400程度。つまり指数全体の4%にしかならない。したがって仮に電気代とガス代が1割上がったとしても、消費者物価指数を0.4ポイント上昇させるだけだ。同様に食用油のウェートは9、パンは79、腕時計は7である。
だから電気代から食用油まで値上げが出揃っても、消費者物価指数は1%も上がりそうにない。そのうえテレビ受信機やパソコンなどの電機製品は、かなり大きく値下がりする。この値下がり分を相殺すると、“値上げの春”でも物価指数はほとんど上昇しないだろう。生活実感とはかなり違う。逆に言うと、もし物価が2%上がったら、家計は相当に圧迫されることになる。
≪27日の日経平均 = 上げ +22.17円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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政府と日銀が目標に掲げているのは「生鮮食料品を除いた全国ベースの消費者物価指数」が前年比で2%上昇すること。この物価指数は、総務省が全国9000世帯の家計簿を元に、毎月2万7000の店舗で588品目の価格を調べて作成している。これらの品目はすべて、家計の総支出の何パーセントを占めるかを示すウェートが付けられている。
たとえば電気代のウェートは10000分の317。都市ガス代は96である。両方を足してもウェートは10000分の400程度。つまり指数全体の4%にしかならない。したがって仮に電気代とガス代が1割上がったとしても、消費者物価指数を0.4ポイント上昇させるだけだ。同様に食用油のウェートは9、パンは79、腕時計は7である。
だから電気代から食用油まで値上げが出揃っても、消費者物価指数は1%も上がりそうにない。そのうえテレビ受信機やパソコンなどの電機製品は、かなり大きく値下がりする。この値下がり分を相殺すると、“値上げの春”でも物価指数はほとんど上昇しないだろう。生活実感とはかなり違う。逆に言うと、もし物価が2%上がったら、家計は相当に圧迫されることになる。
≪27日の日経平均 = 上げ +22.17円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 黒田マジックはタネ切れが心配 = 日銀の黒田新総裁は、これまでの量的な金融緩和政策に加えて、新たに質的な緩和政策を導入する。また国債の買い入れ残高を日銀券の発行残高以内に収めるという、日銀の自主的な規制措置も撤廃する方針。これらの政策変更によって、日銀の金融政策は大きく変貌する。
日銀は10年10月に資産買い入れ基金を創設。この基金が市場から国債や社債、REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)を買い入れる形で、資金を市中に供給してきた。これが量的な金融緩和。今回はこれまで1-3年ものに限ってきた国債の買い入れを、5-10年ものにまで広げる。さらにREITやETFの買い入れ額も大幅に増やす。これが質的な金融緩和の内容だ。
質的な金融政策が実行されれば、5-10年の長期金利はさらに低下する。また不動産や株式市場に、新たな刺激を与えることにもなる。その一方で黒田総裁は、従来の公開市場操作による国債買い入れと買い入れ基金による国債買い入れを合体する方針。毎月の買い入れ額を大きく見せることが狙いだ。しかし、その結果は国債の買い入れ額が日銀券の発行残高を上回ってしまう。自主的ルールは撤廃されることになる。
こうした金融政策の変更を、市場が歓迎することは間違いない。だが市場は新しいことにすぐ慣れる。そして、その次の政策を期待するようになる。FRBのバーナンキ議長などはそんな市場の行動を熟知しており、リップサービスだけで次の政策を出さずに温存する。黒田総裁にそんな芸当が出来るのかどうか。もし出来ないと、マジックはすぐにタネ切れになってしまうだろう。
≪28日の日経平均 = 下げ -157.83円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日銀は10年10月に資産買い入れ基金を創設。この基金が市場から国債や社債、REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)を買い入れる形で、資金を市中に供給してきた。これが量的な金融緩和。今回はこれまで1-3年ものに限ってきた国債の買い入れを、5-10年ものにまで広げる。さらにREITやETFの買い入れ額も大幅に増やす。これが質的な金融緩和の内容だ。
質的な金融政策が実行されれば、5-10年の長期金利はさらに低下する。また不動産や株式市場に、新たな刺激を与えることにもなる。その一方で黒田総裁は、従来の公開市場操作による国債買い入れと買い入れ基金による国債買い入れを合体する方針。毎月の買い入れ額を大きく見せることが狙いだ。しかし、その結果は国債の買い入れ額が日銀券の発行残高を上回ってしまう。自主的ルールは撤廃されることになる。
こうした金融政策の変更を、市場が歓迎することは間違いない。だが市場は新しいことにすぐ慣れる。そして、その次の政策を期待するようになる。FRBのバーナンキ議長などはそんな市場の行動を熟知しており、リップサービスだけで次の政策を出さずに温存する。黒田総裁にそんな芸当が出来るのかどうか。もし出来ないと、マジックはすぐにタネ切れになってしまうだろう。
≪28日の日経平均 = 下げ -157.83円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 莫大な購買力の流出 = 日本の貿易収支は昨年7月からことしの2月まで、ずっと赤字を記録している。この8か月間の赤字額を合計すると6兆4325億円。これだけのおカネが海外に流出したわけだ。かつてはこの程度の黒字を出し、それが景気を支えてきた。いまは逆に景気の足を引っ張っている。
たとえば原油やLNG(液化天然ガス)などの輸入金額が増大する。電力会社はその分を電気料金の引き上げでカバーするから、結局は電気の消費者である企業や家庭がこれを負担することになる。仮に輸入金額が増大せず、電気料金の引き上げがなかったとすれば、企業や家庭の手許には料金引き上げ分のおカネが残るはずだ。
その場合、企業や家庭はそのおカネの大半を消費するだろう。つまり、その購買力が輸入金額の増大という形を通じて、海外に流出してしまうことになる。それだけ国内の貯蓄・投資・消費が減って、景気には悪影響を及ぼすわけだ。8か月間の赤字額を年間ベースにすると約10兆円。GDPの約2%に相当する。
問題は、日本がこうした貿易赤字の累積にどこまで耐えられるかだ。仮にこうした赤字が2年、3年と続いたらどうなるのだろう。おそらく海外諸国の日本を見る目は、大きく変わってしまうのではないか。そうなれば円も国債も売り込まれる。いわゆる“ギリシャ化”が生じるかもしれない。
(続きは来週サタデー)
≪29日の日経平均 = 上げ +61.95円≫
【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】
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たとえば原油やLNG(液化天然ガス)などの輸入金額が増大する。電力会社はその分を電気料金の引き上げでカバーするから、結局は電気の消費者である企業や家庭がこれを負担することになる。仮に輸入金額が増大せず、電気料金の引き上げがなかったとすれば、企業や家庭の手許には料金引き上げ分のおカネが残るはずだ。
その場合、企業や家庭はそのおカネの大半を消費するだろう。つまり、その購買力が輸入金額の増大という形を通じて、海外に流出してしまうことになる。それだけ国内の貯蓄・投資・消費が減って、景気には悪影響を及ぼすわけだ。8か月間の赤字額を年間ベースにすると約10兆円。GDPの約2%に相当する。
問題は、日本がこうした貿易赤字の累積にどこまで耐えられるかだ。仮にこうした赤字が2年、3年と続いたらどうなるのだろう。おそらく海外諸国の日本を見る目は、大きく変わってしまうのではないか。そうなれば円も国債も売り込まれる。いわゆる“ギリシャ化”が生じるかもしれない。
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第12章 デフレって、なんだろう? ⑨
◇ インフレになると大変 = 安倍内閣と日銀は、金融緩和をどんどん推し進めてデフレを解消しようとしています。景気をよくして、物価を2%上昇させることを目標にしているのでしたね。しかし心配なのは、物価がもっと上がってしまうこと。つまりインフレになる危険性です。
インフレというのは、物価が上がり続ける状態を指します。つまりデフレの反対ですね。たとえば物価が2倍に上がったら、どうでしょう。これまで1000円で4冊買えたノートが、2冊しか買えなくなってしまいます。おコメやパン、シャツや化粧品、ガソリンや電車賃。みんな値段が上がったら、ほんとうに困りますね。
物価を2%上げて、景気をよくする。それはいいことですが、いったん上がり始めた物価を2%で止めることは決してやさしくありません。そのことは過去の経験からもわかります。むかしのことですが、ドイツでは一晩のうちに物価が数千倍に上昇した記録も残っています。これほどではありませんが、日本でも戦後はインフレに悩まされました。
景気がよくなって、物価が2%上昇した。働く人の給与も3%増えた。この状態なら理想的ですね。しかし物価が上がり続けて10%上昇すると、それだけ国民の暮らしは苦しくなってしまいます。ですから安倍内閣のいまの政策については、まず物価が2%上昇して景気がよくなるかどうか。そのあと物価だけが上昇し続けることを避けられるかどうか。この2点に注意する必要があると言えます。
(続きは来週日曜日)
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◇ インフレになると大変 = 安倍内閣と日銀は、金融緩和をどんどん推し進めてデフレを解消しようとしています。景気をよくして、物価を2%上昇させることを目標にしているのでしたね。しかし心配なのは、物価がもっと上がってしまうこと。つまりインフレになる危険性です。
インフレというのは、物価が上がり続ける状態を指します。つまりデフレの反対ですね。たとえば物価が2倍に上がったら、どうでしょう。これまで1000円で4冊買えたノートが、2冊しか買えなくなってしまいます。おコメやパン、シャツや化粧品、ガソリンや電車賃。みんな値段が上がったら、ほんとうに困りますね。
物価を2%上げて、景気をよくする。それはいいことですが、いったん上がり始めた物価を2%で止めることは決してやさしくありません。そのことは過去の経験からもわかります。むかしのことですが、ドイツでは一晩のうちに物価が数千倍に上昇した記録も残っています。これほどではありませんが、日本でも戦後はインフレに悩まされました。
景気がよくなって、物価が2%上昇した。働く人の給与も3%増えた。この状態なら理想的ですね。しかし物価が上がり続けて10%上昇すると、それだけ国民の暮らしは苦しくなってしまいます。ですから安倍内閣のいまの政策については、まず物価が2%上昇して景気がよくなるかどうか。そのあと物価だけが上昇し続けることを避けられるかどうか。この2点に注意する必要があると言えます。
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