◇ 対応はできるのか = 経済産業省は30日、8月の鉱工業生産指数を発表した。それによると、生産水準は前月比で0.7%の低下だった。7月に3.4%増加したため、その反動でやや減少したものとみられる。注目されるのは、予測が9月は5.2%増、10月も2.5%増と大幅に拡大する見通しになっていることだ。
仮に9月が予測通りになると、7-9月期の生産は前期比で6%強の伸びになる。そうなれば7-9月期は、GDPも確実に4%程度の成長率は達成できるだろう。こうした状況だから、日銀がきょう発表する短観も、上向きの結果になると予想される。安倍首相が消費増税を決断するためのお膳立ては、きれいに整うわけだ。
しかし心配なのは、増税を前にした駆け込み需要の反動だ。経産省によると、9月に生産が大きく増加しそうなのは自動車だという。これは来年4月の消費税引き上げを前に、駆け込み需要が一段と増えるとみたメーカーが増産するからだろう。また生産統計には出てこないが、住宅もいま同じような状況にある。
駆け込み需要の反動は、消費増税の副作用と言っていい。政府はこの副作用を抑えるために、さまざまな経済対策を打ち出す方針だ。その内容はきょう、安倍首相が明らかにする。総額5兆円ともいわれる経済対策が、ほんとうに駆け込み需要の反動を中和できるかどうか。今夜の発表を見守りたい。
≪30日の日経平均 = 下げ -304.27円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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☆ 「経済なんでも研究会」は、きょうで8年目に入りました。ここまで続けられたのも、読者の皆さま方のご支援・ご協力によるものです。厚く御礼申し上げます。
とりあえずは9年目を目指しますので、今後ともよろしくお願いします。
なお過去7年間の日経平均予想は1223勝520敗、勝率は7割0分1厘でした。
仮に9月が予測通りになると、7-9月期の生産は前期比で6%強の伸びになる。そうなれば7-9月期は、GDPも確実に4%程度の成長率は達成できるだろう。こうした状況だから、日銀がきょう発表する短観も、上向きの結果になると予想される。安倍首相が消費増税を決断するためのお膳立ては、きれいに整うわけだ。
しかし心配なのは、増税を前にした駆け込み需要の反動だ。経産省によると、9月に生産が大きく増加しそうなのは自動車だという。これは来年4月の消費税引き上げを前に、駆け込み需要が一段と増えるとみたメーカーが増産するからだろう。また生産統計には出てこないが、住宅もいま同じような状況にある。
駆け込み需要の反動は、消費増税の副作用と言っていい。政府はこの副作用を抑えるために、さまざまな経済対策を打ち出す方針だ。その内容はきょう、安倍首相が明らかにする。総額5兆円ともいわれる経済対策が、ほんとうに駆け込み需要の反動を中和できるかどうか。今夜の発表を見守りたい。
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とりあえずは9年目を目指しますので、今後ともよろしくお願いします。
なお過去7年間の日経平均予想は1223勝520敗、勝率は7割0分1厘でした。
◇ 効果はきわめて疑問 = 政府は消費増税のショックを緩和するための経済対策の一環として「所得拡大促進税制」を拡充した。企業が年間の給与支払い総額を12年度より「5%以上」増やせば、13-14年度の法人税を増額分の10%減額するというのが現在の仕組み。これを13-14年度は「2%以上」に、また15年度は「3%以上」に条件緩和する。
国税庁の調査によると、12年の民間給与支給額は1人平均で408万円。前年より1万円減少した。正規社員の平均は468万円、非正規社員は168万円。また男性は502万円、女性は268万円となっている。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業が718万円で最も高い。驚くべきことは、1人平均の支給額がピークだった97年に比べると59万3000円も減っていることだ。
政府は賃上げ減税の実施によって、民間の給与が増加することを期待する。給与が上がれば消費が増えて、消費増税が経済に与えるマイナスの影響を少しでも抑制できると考えるからだ。だが、こうした政策がどれほどの効果をあげるかは全く未知数。どちらかと言えば、疑問符が付いてしまう。
この制度は17年度までの臨時措置だ。しかし企業はいったん給与を上げてしまえば、人件費負担はその後も続く。制度が期限切れになったからといって、賃下げするわけにもいかないだろう。また企業のうち7割が現在、法人税を払っていない。赤字だったり、損失を繰り越しているからだ。したがって7割の企業には、この制度の恩恵が及ばない。だから効果は、きわめて限られるのでは。
≪1日の日経平均 = 上げ +28.92円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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国税庁の調査によると、12年の民間給与支給額は1人平均で408万円。前年より1万円減少した。正規社員の平均は468万円、非正規社員は168万円。また男性は502万円、女性は268万円となっている。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業が718万円で最も高い。驚くべきことは、1人平均の支給額がピークだった97年に比べると59万3000円も減っていることだ。
政府は賃上げ減税の実施によって、民間の給与が増加することを期待する。給与が上がれば消費が増えて、消費増税が経済に与えるマイナスの影響を少しでも抑制できると考えるからだ。だが、こうした政策がどれほどの効果をあげるかは全く未知数。どちらかと言えば、疑問符が付いてしまう。
この制度は17年度までの臨時措置だ。しかし企業はいったん給与を上げてしまえば、人件費負担はその後も続く。制度が期限切れになったからといって、賃下げするわけにもいかないだろう。また企業のうち7割が現在、法人税を払っていない。赤字だったり、損失を繰り越しているからだ。したがって7割の企業には、この制度の恩恵が及ばない。だから効果は、きわめて限られるのでは。
≪1日の日経平均 = 上げ +28.92円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 税収増は8兆円以上 = 安倍首相は1日夜の記者会見で、消費増税を最終的に決断したと表明。これで来年4月から消費税が8%へ引き上げられることが、ようやく確定した。消費増税法が成立したのは昨年8月。この間、政権交代もあったが、実施の確定までに14か月もかかっている。
増税による景気の落ち込みを防ぐための経済対策も、同時に発表された。まず総額5兆円の補正予算を12月上旬に編成。企業に対しては設備投資や賃上げを支援するため、総額1兆円の減税。さらに市町村民税の課税対象にならない低所得者2400万人を対象に、1人当たり1万円ー1万5000円の現金を支給するなど。
懸案となっていた復興特別法人税を前倒しで廃止する案件は、年内に結論を出す方針。また法人税の実効税率を引き下げる問題は「真剣に検討する」ことになった。安倍首相としては、15年度からの実施を念頭に置いていると伝えられる。
消費税率を3%から5%に引き上げた前回97年のときは、増税直後から景気が急速に悪化してしまった。その轍を踏まないようにと、経済対策の内容づくりに時間をかけている。今回は3%の税率引き上げで、年間8兆円以上の資金が国税当局に吸い上げられる。加えて住宅や自動車、さらには家電、衣料品などの駆け込み需要がもたらす反動減。これだけのマイナス要因を、こんどの経済対策で相殺し切れるかどうかがポイントである。
(続きは明日)
≪2日の日経平均 = 下げ -314.23円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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増税による景気の落ち込みを防ぐための経済対策も、同時に発表された。まず総額5兆円の補正予算を12月上旬に編成。企業に対しては設備投資や賃上げを支援するため、総額1兆円の減税。さらに市町村民税の課税対象にならない低所得者2400万人を対象に、1人当たり1万円ー1万5000円の現金を支給するなど。
懸案となっていた復興特別法人税を前倒しで廃止する案件は、年内に結論を出す方針。また法人税の実効税率を引き下げる問題は「真剣に検討する」ことになった。安倍首相としては、15年度からの実施を念頭に置いていると伝えられる。
消費税率を3%から5%に引き上げた前回97年のときは、増税直後から景気が急速に悪化してしまった。その轍を踏まないようにと、経済対策の内容づくりに時間をかけている。今回は3%の税率引き上げで、年間8兆円以上の資金が国税当局に吸い上げられる。加えて住宅や自動車、さらには家電、衣料品などの駆け込み需要がもたらす反動減。これだけのマイナス要因を、こんどの経済対策で相殺し切れるかどうかがポイントである。
(続きは明日)
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≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 情報がすべて流出 = 消費増税を実施するためには、政府や自治体、それに多くの民間企業がいろいろ準備しなければならない。その準備には半年ぐらいかかるというから、1日の最終決定はギリギリだった。だが最終決定をここまで持ち越し、経済対策の中身について時間をかけて検討した結果、その内容がすべて報道されてしまった。
議論のマトとなった法人減税については、復興特別増税の1年前倒し廃止や実効税率の引き下げも、一時は決まったかのように報道された。それが「12月に結論」と「真剣に検討」という結果に終わったので、むしろ内容が後退してしまった感じさえ受ける。
要するに経済対策の規模も内容も、事前にすべて洩れてしまった。安倍首相の記者会見は、周知の事実となっていた情報を集大成しただけ。これではインパクトが全くない。アメリカの財政問題があったとしても、2日の日経平均が300円以上も下落したのは、そのためだろう。
金融政策と違って財政政策は関係者が多いから、情報は洩れやすい。だが情報が流出した最大の原因は、安倍首相が増税の決断をギリギリまで引き伸ばしたことにありそうだ。経済の動向や対策の内容を精査する姿を国民に見せたかったのだろうが、その副作用が出てしまったことも否定できない。
≪3日の日経平均 = 下げ -13.24円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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議論のマトとなった法人減税については、復興特別増税の1年前倒し廃止や実効税率の引き下げも、一時は決まったかのように報道された。それが「12月に結論」と「真剣に検討」という結果に終わったので、むしろ内容が後退してしまった感じさえ受ける。
要するに経済対策の規模も内容も、事前にすべて洩れてしまった。安倍首相の記者会見は、周知の事実となっていた情報を集大成しただけ。これではインパクトが全くない。アメリカの財政問題があったとしても、2日の日経平均が300円以上も下落したのは、そのためだろう。
金融政策と違って財政政策は関係者が多いから、情報は洩れやすい。だが情報が流出した最大の原因は、安倍首相が増税の決断をギリギリまで引き伸ばしたことにありそうだ。経済の動向や対策の内容を精査する姿を国民に見せたかったのだろうが、その副作用が出てしまったことも否定できない。
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◇ 巧妙な財務省の手口 = 実はマイナンバー法の成立には、消費増税が大きな役割を果たした。消費増税による低所得者の負担を軽減する方策として考えられてきたのが、一定の所得に達しない人への現金給付。しかし現状だと、正確な所得を把握し切れない。たとえば小額の年金生活者でも、多額の配当収入があるかもしれない。
だからマイナンバー制度による所得の正確な把握が欠かせない。財務省はこう主張し、自民・公明・民主党もこれに乗った。これまでマイナンバー法案は「納税の公平さ」を主張してきたために、何度も挫折した。それが「福祉の充実」にも必要ということで、国民にも訴えやすいと考えたからだ。
低所得者の負担を減らす方策としては、他に軽減税率がある。食料品などの生活必需品については、消費税率を上げないという方法だ。だが現金給付が一過性なのに対して、軽減税率は永続する。財務省は現金給付の必要性を強調することによって、税収の減少が大きい軽減税率も回避することに成功した。
政府は来年4月に消費税率を8%に引き上げる際、低所得者には現金1万‐1万5000円を給付することを決めた。ところが、その時点ではまだマイナンバー制度は稼動していない。したがって結果的にみれば、マイナンバー制度なしに現金給付を実施することになる。なにやら騙されたという感じがしないこともない。
(続きは来週サタデー)
≪4日の日経平均 = 下げ -132.94円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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だからマイナンバー制度による所得の正確な把握が欠かせない。財務省はこう主張し、自民・公明・民主党もこれに乗った。これまでマイナンバー法案は「納税の公平さ」を主張してきたために、何度も挫折した。それが「福祉の充実」にも必要ということで、国民にも訴えやすいと考えたからだ。
低所得者の負担を減らす方策としては、他に軽減税率がある。食料品などの生活必需品については、消費税率を上げないという方法だ。だが現金給付が一過性なのに対して、軽減税率は永続する。財務省は現金給付の必要性を強調することによって、税収の減少が大きい軽減税率も回避することに成功した。
政府は来年4月に消費税率を8%に引き上げる際、低所得者には現金1万‐1万5000円を給付することを決めた。ところが、その時点ではまだマイナンバー制度は稼動していない。したがって結果的にみれば、マイナンバー制度なしに現金給付を実施することになる。なにやら騙されたという感じがしないこともない。
(続きは来週サタデー)
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【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第15章 消費税って、なんだろう? ①
◇ 来年4月から8%に = 安倍首相が決断し、消費税の引き上げが最終的に決まりました。現在5%の税率が、来年4月からは8%に上がります。これを機会に、消費税について勉強し直してみましょう。まずは基礎的な知識からです。
みなさんも消費税は払っていますね。たとえばノート1冊と歯ブラシ1本を買ったとしましょう。ノートは105円、歯ブラシは210円でした。そのとき、もらったレシートをよく見てください。ノートは100円、税5円、合計105円。歯ブラシは200円、税10円、合計210円と書いてあるはずです。このように、モノを買ったときに支払う税金が消費税です。
この例からも判るように、いまの消費税はモノの値段の5%と決まっています。5円とか10円という税金なら、たいしたことはないと思うかもしれません。でも300万円の自動車を買うと、消費税は15万円にもなりますね。5000万円の住宅を買うと、消費税はいくらになるでしょう。計算してみてください。
モノを買うときだけではありません。洋服をクリーニングに出したり、美容院で頭をきれいにセットしてもらったり。レストランで食事をしたり、タクシーに乗ったり。電気代やガス代、水道料金にも。とにかく、おカネを払うときには、たいてい消費税がかかってきます。みなさんの家では、1か月にどのくらい消費税を払っているでしょうか。
(続きは来週日曜日)
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◇ 来年4月から8%に = 安倍首相が決断し、消費税の引き上げが最終的に決まりました。現在5%の税率が、来年4月からは8%に上がります。これを機会に、消費税について勉強し直してみましょう。まずは基礎的な知識からです。
みなさんも消費税は払っていますね。たとえばノート1冊と歯ブラシ1本を買ったとしましょう。ノートは105円、歯ブラシは210円でした。そのとき、もらったレシートをよく見てください。ノートは100円、税5円、合計105円。歯ブラシは200円、税10円、合計210円と書いてあるはずです。このように、モノを買ったときに支払う税金が消費税です。
この例からも判るように、いまの消費税はモノの値段の5%と決まっています。5円とか10円という税金なら、たいしたことはないと思うかもしれません。でも300万円の自動車を買うと、消費税は15万円にもなりますね。5000万円の住宅を買うと、消費税はいくらになるでしょう。計算してみてください。
モノを買うときだけではありません。洋服をクリーニングに出したり、美容院で頭をきれいにセットしてもらったり。レストランで食事をしたり、タクシーに乗ったり。電気代やガス代、水道料金にも。とにかく、おカネを払うときには、たいてい消費税がかかってきます。みなさんの家では、1か月にどのくらい消費税を払っているでしょうか。
(続きは来週日曜日)
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◇ 重症の“ねじれ議会” = ウォール街はいぜん財政機能マヒの暗雲に覆われている。予算と政府の債務上限に関する与野党間の交渉には、ときおり希望的観測も流れて株価は反発もした。しかし上値は重く、ダウ平均は週間186ドルの値下がり。かろうじて1万5000ドルの大台を維持している。
新年度予算が成立しないため、アメリカ政府の機能が徐々に低下し始めた。オバマ大統領は東南アジア諸国歴訪とTPP(環太平洋経済連携協定)首脳会合への出席を急きょ取り止めている。しかし財政をめぐる与野党間の話し合いが進展する兆候は、まだ見えてこない。今週、ダウが1万5000ドルを死守できるかどうかは微妙だ。
ニューヨーク株式が下げ、ドル安・円高が進んだため、東京市場の株価は大幅に下落した。日経平均は先週736円の値下がり。安倍首相が1日夜に発表した5兆円の経済対策など、どこかに吹き飛んだ形である。そのうえ先週は、消費増税による駆け込み需要の反動を警戒する売りものまでが現れている。今週は東京市場も頭が重いだろう。
今週は7日に、8月の景気動向指数。8日に、8月の国際収支と9月の景気ウォッチャー調査。10日に、8月の機械受注と第3次産業活動指数、9月の消費者態度指数。11日に、9月の企業物価が発表される。アメリカでは11日に、9月の生産者物価と小売り売上高、10月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表になる。中国が12日に、9月の貿易統計を発表の予定。また7-8日にはAPEC首脳会議、8日にはTPP首脳会合が、いずれもバリ島で開かれる。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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新年度予算が成立しないため、アメリカ政府の機能が徐々に低下し始めた。オバマ大統領は東南アジア諸国歴訪とTPP(環太平洋経済連携協定)首脳会合への出席を急きょ取り止めている。しかし財政をめぐる与野党間の話し合いが進展する兆候は、まだ見えてこない。今週、ダウが1万5000ドルを死守できるかどうかは微妙だ。
ニューヨーク株式が下げ、ドル安・円高が進んだため、東京市場の株価は大幅に下落した。日経平均は先週736円の値下がり。安倍首相が1日夜に発表した5兆円の経済対策など、どこかに吹き飛んだ形である。そのうえ先週は、消費増税による駆け込み需要の反動を警戒する売りものまでが現れている。今週は東京市場も頭が重いだろう。
今週は7日に、8月の景気動向指数。8日に、8月の国際収支と9月の景気ウォッチャー調査。10日に、8月の機械受注と第3次産業活動指数、9月の消費者態度指数。11日に、9月の企業物価が発表される。アメリカでは11日に、9月の生産者物価と小売り売上高、10月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表になる。中国が12日に、9月の貿易統計を発表の予定。また7-8日にはAPEC首脳会議、8日にはTPP首脳会合が、いずれもバリ島で開かれる。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ あと10日で支払い不能に = Aさんの家は大変な事態に陥った。勤め先の会社が営業不振で一時閉鎖、その間の給料を払ってくれない。貯金がないので家中の小銭を掻き集めて、ほそぼそと暮らすしかない。なにもかも切り詰めて日々を過ごす有様だ。しかも10日後には、住宅ローンの返済日が迫っている。返せなければ、不払いになってしまう。
いまアメリカという国家が、こういう状況に陥っている。まずは予算が成立しない。アメリカの会計年度は10月から翌年の9月まで。したがって、この10月1日から新年度に入ったが、予算案が議会を通過しないからおカネが使えなくなってしまった。そこで政府の機能を一部停止するなどして、やりくりを続けている。
たとえば国立公園、博物館、動物園は営業を休止。歳入庁は閉鎖。環境保護局は大気や水の測定を停止。CIAでは2割、NASAも97%の職員が自宅待機となっている。またオバマ大統領が、東南アジア歴訪とTPP首脳会合への出席を取り止める事態をも惹き起した。
そのうえ政府は借金もできなくなっている。アメリカでは政府の借り入れ限度を議会が決めることになっているが、この債務上限の引き上げも共和党が拒否。財務省によると、今月17日には国庫におカネがなくなる。そうなると、国債の償還や利払いが不能になって、アメリカ政府はデフォルト(債務不履行)の状態に陥る。
(続きは明日)
≪7日の日経平均 = 下げ -170.99円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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いまアメリカという国家が、こういう状況に陥っている。まずは予算が成立しない。アメリカの会計年度は10月から翌年の9月まで。したがって、この10月1日から新年度に入ったが、予算案が議会を通過しないからおカネが使えなくなってしまった。そこで政府の機能を一部停止するなどして、やりくりを続けている。
たとえば国立公園、博物館、動物園は営業を休止。歳入庁は閉鎖。環境保護局は大気や水の測定を停止。CIAでは2割、NASAも97%の職員が自宅待機となっている。またオバマ大統領が、東南アジア歴訪とTPP首脳会合への出席を取り止める事態をも惹き起した。
そのうえ政府は借金もできなくなっている。アメリカでは政府の借り入れ限度を議会が決めることになっているが、この債務上限の引き上げも共和党が拒否。財務省によると、今月17日には国庫におカネがなくなる。そうなると、国債の償還や利払いが不能になって、アメリカ政府はデフォルト(債務不履行)の状態に陥る。
(続きは明日)
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≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 強硬な共和党の若手議員 = アメリカでは新年度予算が成立せず、政府の債務上限引き上げも議会が認めない。こういう事態に陥ったのは、下院で過半数を占める共和党がオバマ大統領の国民皆保険制度に激しく反対。予算についても債務上限についても、承認しない態度を貫いているからだ。
国民皆保険制度がないアメリカに、これを導入しようとするのがオバマ大統領の画期的な政策。だが10年間で1兆1000万ドルの財政負担が生じる。“小さな政府”を標榜する共和党は、政治理念からも受け入れられない。一方のオバマ大統領も政治生命を賭けている。こうして与野党の対立は泥沼に落ち込んでしまった。
仮に17日までに与野党間の妥協が成立しないと、世界経済はパニック状態に陥るだろう。アメリカ政府はデフォルトを宣言、アメリカ国債は大幅に下落する。景気も急速に悪化する危険があり、日本も輸出の減少と急激な円高を覚悟しなければならない。
実は17年前、クリントン政権のときにも同様の事態が発生している。このときは21日間にわたって政府の機能がマヒ。円相場は76円にまで上昇した。最終的に与野党が妥協したのは、世論の共和党に対する批判が高まったからだと分析されている。今回は自宅待機者によるデモ以外には、世論の動向があまり伝わってこない。与野党に妥協を促す声が、今週あたりから湧き上がってくることに期待したい。
≪8日の日経平均 = 上げ +41.29円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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国民皆保険制度がないアメリカに、これを導入しようとするのがオバマ大統領の画期的な政策。だが10年間で1兆1000万ドルの財政負担が生じる。“小さな政府”を標榜する共和党は、政治理念からも受け入れられない。一方のオバマ大統領も政治生命を賭けている。こうして与野党の対立は泥沼に落ち込んでしまった。
仮に17日までに与野党間の妥協が成立しないと、世界経済はパニック状態に陥るだろう。アメリカ政府はデフォルトを宣言、アメリカ国債は大幅に下落する。景気も急速に悪化する危険があり、日本も輸出の減少と急激な円高を覚悟しなければならない。
実は17年前、クリントン政権のときにも同様の事態が発生している。このときは21日間にわたって政府の機能がマヒ。円相場は76円にまで上昇した。最終的に与野党が妥協したのは、世論の共和党に対する批判が高まったからだと分析されている。今回は自宅待機者によるデモ以外には、世論の動向があまり伝わってこない。与野党に妥協を促す声が、今週あたりから湧き上がってくることに期待したい。
≪8日の日経平均 = 上げ +41.29円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 増税の脅威におびえる業界 = 業界団体の集計によると、ことし4-9月の新車販売台数は254万5000台。前年比では1.7%の減少だった。こうしたなかで軽自動車の売れ行きは好調で、販売台数は102万台。前年比では4.2%増加している。半年間で100万台を超えたのは初めてだ。業界では、ことしは年間200万台を超すと予測している。
保有台数も昨年末で2000万台を突破。世帯普及率は3月末で51.8%にまで増加した。82年の普及率は20%だったから、過去30年間で2倍半となっている。佐賀県と鳥取県では普及率が100% 、つまり1世帯に1台の割合に達した。だが好調を謳歌する業界に、いま大きな心配事が突きつけられている。
政府・与党は来年4月の消費増税に伴う措置として、自動車取得税を段階的に廃止する方向で検討を進めている。以前から自動車取得税と消費税は二重課税だという批判があり、消費増税の負担を軽減する方策の一つとして俎上にのぼった。自動車取得税は地方税で、年間の税収は約2000億円。その減収分を、軽自動車に対する自動車税の引き上げで賄おうという案が強まってきたのだ。
軽自動車に対する自動車保有税は、自家用の場合で年間7200円。これに対して普通小型車は2万9500円。この格差が大きすぎるという批判もあり、軽自動車への増税案が強まっている。ところが軽自動車業界としては、消費増税前の駆け込み需要の反動で、来年度の売れ行きが落ち込むことは目に見えている。そのうえ自動車税を引き上げられては、と強く抵抗しているのだが。
≪9日の日経平均 = 上げ +143.23円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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保有台数も昨年末で2000万台を突破。世帯普及率は3月末で51.8%にまで増加した。82年の普及率は20%だったから、過去30年間で2倍半となっている。佐賀県と鳥取県では普及率が100% 、つまり1世帯に1台の割合に達した。だが好調を謳歌する業界に、いま大きな心配事が突きつけられている。
政府・与党は来年4月の消費増税に伴う措置として、自動車取得税を段階的に廃止する方向で検討を進めている。以前から自動車取得税と消費税は二重課税だという批判があり、消費増税の負担を軽減する方策の一つとして俎上にのぼった。自動車取得税は地方税で、年間の税収は約2000億円。その減収分を、軽自動車に対する自動車税の引き上げで賄おうという案が強まってきたのだ。
軽自動車に対する自動車保有税は、自家用の場合で年間7200円。これに対して普通小型車は2万9500円。この格差が大きすぎるという批判もあり、軽自動車への増税案が強まっている。ところが軽自動車業界としては、消費増税前の駆け込み需要の反動で、来年度の売れ行きが落ち込むことは目に見えている。そのうえ自動車税を引き上げられては、と強く抵抗しているのだが。
≪9日の日経平均 = 上げ +143.23円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 銀行は努力が不足? = 国税庁は8日、全国の税務署に対するNISA(少額投資非課税制度)の口座開設申請が、受け付け初日の10月1日だけで358万件に達したと発表した。日本の個人投資家は2300万人とも推計されているから、この数字はかなり大きい。ただ制度が禁止している複数口座の申請もあるとみられ、その分は差し引く必要がある。
NISAというのは、日本に居住する20歳以上の個人に向けた投資優遇制度。年間100万円を限度に、購入した上場株式や投資信託の売却益・配当が5年間は無税になる仕組み。14年から23年までの時限制度で、毎年100万円分の非課税ワクが与えられ、どの年からでも始められる。したがって最大500万円までの投資が無税になる。
利用者は金融機関に、新しくNISA用の口座を開設しなければならない。その申請が1日から始まったが、口座数が今後も増え続けることは間違いない。そこで証券会社と銀行の顧客争奪戦が始まったが、いまのところは証券会社が新しい口座の8割方を獲得したとみられている。
差がついた原因はサービスの内容だろう。まず銀行は上場株式の購入ができないなど、扱う商品の範囲が狭い。また手数料も証券会社の多くが無料なのに対して、銀行は有料のところが多い。これでは競争に勝つことは、なかなか難しい。銀行は系列の証券会社に遠慮しているのか。少し努力が足りないように思う。
≪10日の日経平均 = 上げ +156.87円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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NISAというのは、日本に居住する20歳以上の個人に向けた投資優遇制度。年間100万円を限度に、購入した上場株式や投資信託の売却益・配当が5年間は無税になる仕組み。14年から23年までの時限制度で、毎年100万円分の非課税ワクが与えられ、どの年からでも始められる。したがって最大500万円までの投資が無税になる。
利用者は金融機関に、新しくNISA用の口座を開設しなければならない。その申請が1日から始まったが、口座数が今後も増え続けることは間違いない。そこで証券会社と銀行の顧客争奪戦が始まったが、いまのところは証券会社が新しい口座の8割方を獲得したとみられている。
差がついた原因はサービスの内容だろう。まず銀行は上場株式の購入ができないなど、扱う商品の範囲が狭い。また手数料も証券会社の多くが無料なのに対して、銀行は有料のところが多い。これでは競争に勝つことは、なかなか難しい。銀行は系列の証券会社に遠慮しているのか。少し努力が足りないように思う。
≪10日の日経平均 = 上げ +156.87円≫
≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 将来の姿は不鮮明 = マイナンバー制度は16年1月にスタートするが、その将来像はきわめて不鮮明だ。というのも18年10月をメドに、改めて活用範囲の拡大を図ることになっているからだ。その時点で範囲をどこまで拡大するかについては、いまのところ全く情報がない。
このためマイナンバー制度の実施に必要なコストや、実施による経済的な利益の推計も全くできない。17年には国税庁と年金機構、あるいは地方自治体間の情報交換が始まるが、そのコンピュータ化などに必要な費用は国と地方を合わせて2700億円。システムの運営費は年間200-300億円と試算されている。だが18年以降については白紙の状態だ。
同様に17年までの経済的メリットについては、行政コストの削減が3000億円。病院・診療所の重複検査の解消が6000億円、引越しや退職手続きの簡素化が250億円という試算も出ている。だが、いずれにしても18年以降の範囲拡大でどいう数字になるかは、いまのところ試算もできない。
政府は18年10月の範囲拡大で、医療制度への適用や民間での活用を考えているようだ。しかし具体的なことは、これからの検討課題。16-17年の運用実績と国民の受け止め方をじっくり見たうえで、決めることになるだろう。そうした点を考慮すると、16年に始まる税務署の名寄せもそれほど厳しくはできないだろうという見方も出始めている。
(続きは来週サタデー)
≪11日の日経平均 = 上げ +210.03円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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このためマイナンバー制度の実施に必要なコストや、実施による経済的な利益の推計も全くできない。17年には国税庁と年金機構、あるいは地方自治体間の情報交換が始まるが、そのコンピュータ化などに必要な費用は国と地方を合わせて2700億円。システムの運営費は年間200-300億円と試算されている。だが18年以降については白紙の状態だ。
同様に17年までの経済的メリットについては、行政コストの削減が3000億円。病院・診療所の重複検査の解消が6000億円、引越しや退職手続きの簡素化が250億円という試算も出ている。だが、いずれにしても18年以降の範囲拡大でどいう数字になるかは、いまのところ試算もできない。
政府は18年10月の範囲拡大で、医療制度への適用や民間での活用を考えているようだ。しかし具体的なことは、これからの検討課題。16-17年の運用実績と国民の受け止め方をじっくり見たうえで、決めることになるだろう。そうした点を考慮すると、16年に始まる税務署の名寄せもそれほど厳しくはできないだろうという見方も出始めている。
(続きは来週サタデー)
≪11日の日経平均 = 上げ +210.03円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第15章 消費税って、なんだろう? ②
◇ 所得税に次ぐ大きさ =税金には、いろいろな種類があります。たとえば、お父さんが会社からもらう給料には所得税がかかっていますね。また会社が出した利益には、法人税がかかります。このほか財産を引き継ぐときには相続税や贈与税。酒税やタバコ税など、いろんな税金があります。このような税金は、大きく直接税と間接税の2つに分けることができます。
直接税というのは、税金を納めなければならない人や会社が支払う税金です。たとえば、お父さんは給料のなかから所得税を納めなければなりません。会社は利益のなかから法人税を納めることになります。これが直接税です。その一方、酒税はお酒を買った人が納めるべき税金ですが、買った人は酒屋さんに代金+税金の形で支払い、税金は酒屋さんが納めることになります。このように税金を負担する人と実際に税金を納める人が異なる税金が、間接税です。
消費税は、どちらでしょう。答えは間接税ですね。あなたが100円のノートを買ったときに支払った5円の消費税は、文房具店を通じて納税されるのです。では直接税と間接税の違いは、なんでしょうか。直接税の場合は、収入の多い人ほど税金をたくさん払います。しかし間接税の場合は、だれが買っても税金の額は同じです。消費税なら税率は現在5%、たくさん買っても税率が上がることはありません。
13年度予算をみると、税金の収入予定額は合計41兆9900億円です。このうち所得税は13兆9000億円。また法人税は8兆7000億円です。これに対して消費税の収入予定額は10兆6500億円で、いろいろな税金のなかでも所得税の次に大きな税金になっていることが判ります。
(続きは来週日曜日)
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◇ 所得税に次ぐ大きさ =税金には、いろいろな種類があります。たとえば、お父さんが会社からもらう給料には所得税がかかっていますね。また会社が出した利益には、法人税がかかります。このほか財産を引き継ぐときには相続税や贈与税。酒税やタバコ税など、いろんな税金があります。このような税金は、大きく直接税と間接税の2つに分けることができます。
直接税というのは、税金を納めなければならない人や会社が支払う税金です。たとえば、お父さんは給料のなかから所得税を納めなければなりません。会社は利益のなかから法人税を納めることになります。これが直接税です。その一方、酒税はお酒を買った人が納めるべき税金ですが、買った人は酒屋さんに代金+税金の形で支払い、税金は酒屋さんが納めることになります。このように税金を負担する人と実際に税金を納める人が異なる税金が、間接税です。
消費税は、どちらでしょう。答えは間接税ですね。あなたが100円のノートを買ったときに支払った5円の消費税は、文房具店を通じて納税されるのです。では直接税と間接税の違いは、なんでしょうか。直接税の場合は、収入の多い人ほど税金をたくさん払います。しかし間接税の場合は、だれが買っても税金の額は同じです。消費税なら税率は現在5%、たくさん買っても税率が上がることはありません。
13年度予算をみると、税金の収入予定額は合計41兆9900億円です。このうち所得税は13兆9000億円。また法人税は8兆7000億円です。これに対して消費税の収入予定額は10兆6500億円で、いろいろな税金のなかでも所得税の次に大きな税金になっていることが判ります。
(続きは来週日曜日)
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◇ デフォルトまであと2日 = アメリカの国庫が底をついて、国債の償還もできなくなるのが今週17日。月曜日はコロンブスデーの休日だから、議会で与野党が妥協を図る時間は15、16の両日しかない。この切羽詰まった状態でも、先週のダウ平均は165ドル値上がりした。週の前半はデフォルトを警戒して下げたが、後半は大きく上げている。
オバマ大統領は先週半ば、共和党の首脳をホワイトハウスに呼んで、政府の債務限度引き上げについて直接交渉した。そのあとの記者会見では、オバマ大統領も共和党首脳も「妥結には至らなかったが、有意義な会談だった」と表明。株式市場はこれを好感して反発している。
今週は16日中に、与野党の妥協が成立するか。注目はその一点に集中する。世論調査では共和党に対する批判が高まってきたので、共和党も譲歩する可能性はある。しかしデフォルトに突っ込む危険がないとは言えない。日経平均も同じ動きに乗って、先週は380円値上がりした。今週もアメリカの議会しだい。一時的な妥協が成立すれば、後半は大幅に上昇するだろう。
今週は珍しく国内の経済指標は発表なし。臨時国会が15日に始まる。アメリカでは16日に、9月の消費者物価と10月のNAHB住宅市場指数。17日に、9月の工業生産と住宅着工戸数。18日に、コンファレンスボードの9月・景気先行指数が発表される。また中国は14日に、9月の消費者物価と生産者物価。18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資を発表の予定。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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オバマ大統領は先週半ば、共和党の首脳をホワイトハウスに呼んで、政府の債務限度引き上げについて直接交渉した。そのあとの記者会見では、オバマ大統領も共和党首脳も「妥結には至らなかったが、有意義な会談だった」と表明。株式市場はこれを好感して反発している。
今週は16日中に、与野党の妥協が成立するか。注目はその一点に集中する。世論調査では共和党に対する批判が高まってきたので、共和党も譲歩する可能性はある。しかしデフォルトに突っ込む危険がないとは言えない。日経平均も同じ動きに乗って、先週は380円値上がりした。今週もアメリカの議会しだい。一時的な妥協が成立すれば、後半は大幅に上昇するだろう。
今週は珍しく国内の経済指標は発表なし。臨時国会が15日に始まる。アメリカでは16日に、9月の消費者物価と10月のNAHB住宅市場指数。17日に、9月の工業生産と住宅着工戸数。18日に、コンファレンスボードの9月・景気先行指数が発表される。また中国は14日に、9月の消費者物価と生産者物価。18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資を発表の予定。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 新車販売が急回復 = 中国自動車工業会が集計した9月の新車販売台数は193万5800台で、前年を19.7%上回った。この統計は中国の国内で生産された四輪車の販売台数。マイカー・ブームが地方にまで広がりをみせており、ことしは年間2000万台の販売記録を達成する可能性が強まっている。
こうしたなかで、日本車の販売も急回復している。9月の販売台数は27万8000台。前年より74%増加した。昨年9月は尖閣諸島をめぐって日中関係が険悪化した。だから前年比での急回復は当然かもしれないが、9月の販売台数は一昨年9月をもやや上回っている。少なくとも政治的摩擦の影響が、かなり和らいだことは確かだろう。
一方、中国の税関総署が発表した9月の貿易統計をみると、輸入額は1704億元。前年比では7.4%の増加だった。このうち日本からの輸入額は149億元で、前月より8億元増えている。日本からの輸入額は1-9月間で前年比12.1%の減少だったが、これは1-7月間の13.2%減よりはやや改善した。この数字からみる限り、中国の対日輸入額は底入れしたようにみえる。
日本側の貿易統計をみても、8月の中国向け輸出額は1兆1188億円で前年比15.8%の増加だった。昨年6月から減り始め、ことし1月には7626億円にまで減少。その後は増勢に転じている。昨年5月の1兆2711億円にはまだ及ばないが、それでも1兆円台を回復した。これらの数字を総合的にみると、日本の対中輸出は着実に正常化しつつあると考えられる。
≪15日の日経平均 = 上げ +36.80円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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こうしたなかで、日本車の販売も急回復している。9月の販売台数は27万8000台。前年より74%増加した。昨年9月は尖閣諸島をめぐって日中関係が険悪化した。だから前年比での急回復は当然かもしれないが、9月の販売台数は一昨年9月をもやや上回っている。少なくとも政治的摩擦の影響が、かなり和らいだことは確かだろう。
一方、中国の税関総署が発表した9月の貿易統計をみると、輸入額は1704億元。前年比では7.4%の増加だった。このうち日本からの輸入額は149億元で、前月より8億元増えている。日本からの輸入額は1-9月間で前年比12.1%の減少だったが、これは1-7月間の13.2%減よりはやや改善した。この数字からみる限り、中国の対日輸入額は底入れしたようにみえる。
日本側の貿易統計をみても、8月の中国向け輸出額は1兆1188億円で前年比15.8%の増加だった。昨年6月から減り始め、ことし1月には7626億円にまで減少。その後は増勢に転じている。昨年5月の1兆2711億円にはまだ及ばないが、それでも1兆円台を回復した。これらの数字を総合的にみると、日本の対中輸出は着実に正常化しつつあると考えられる。
≪15日の日経平均 = 上げ +36.80円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 主たる原因は円安 = 物価がじわじわと上がってきた。日銀が発表した9月の国内企業物価は前年比2.3%の上昇。これで7月から3か月連続で2%を超える上昇となった。企業物価というのは、企業の間で取り引きされるモノの価格。かつての卸売り物価に近い統計で、やがては消費者物価に波及する可能性が大きい。
四半期ごとの動きをみると、企業物価の騰勢はもっとはっきりする。昨年10-12月期の前年比は0.9%の下落、ことし1-3月期も0.3%の下落だった。それが4-6月期は0.7%の上昇、さらに7-9月期は2.2%の上昇になっている。
企業物価が上昇した要因をみると、業務用の高圧電力料金、石油・石炭製品、製材・木製品の値上がりが大きかった。いずれも円安の影響で、輸入価格が上昇したことによるものだ。たとえば輸入物価だけをみると、7-9月期は現地通貨建てでは0.8%下落しているのに、円換算した価格は17.9%も上昇している。
日銀は金融政策の目標として「物価の2%上昇」を掲げている。この場合の物価は「生鮮食品を除いた消費者物価」で、8月の上昇率はまだ0.8%に止まっている。だが今後も企業物価の上昇が続けば、消費者物価も引き上げ圧力が増すことは確かだ。しかし円安で物価が上がっている現状を、日銀は「目標の達成に近づいた」と喜んでいいのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +25.60円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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四半期ごとの動きをみると、企業物価の騰勢はもっとはっきりする。昨年10-12月期の前年比は0.9%の下落、ことし1-3月期も0.3%の下落だった。それが4-6月期は0.7%の上昇、さらに7-9月期は2.2%の上昇になっている。
企業物価が上昇した要因をみると、業務用の高圧電力料金、石油・石炭製品、製材・木製品の値上がりが大きかった。いずれも円安の影響で、輸入価格が上昇したことによるものだ。たとえば輸入物価だけをみると、7-9月期は現地通貨建てでは0.8%下落しているのに、円換算した価格は17.9%も上昇している。
日銀は金融政策の目標として「物価の2%上昇」を掲げている。この場合の物価は「生鮮食品を除いた消費者物価」で、8月の上昇率はまだ0.8%に止まっている。だが今後も企業物価の上昇が続けば、消費者物価も引き上げ圧力が増すことは確かだ。しかし円安で物価が上がっている現状を、日銀は「目標の達成に近づいた」と喜んでいいのだろうか。
≪16日の日経平均 = 上げ +25.60円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 見透かした市場の勝ち = アメリカ政府の債務限度を引き上げる問題が、期限切れギリギリの16日夜やっと解決した。与党優勢の上院が妥協案で合意したのを受けて、野党優勢の下院も夜10時に追随。オバマ大統領が法案に署名して、アメリカ政府はなんとかデフォルト(債務不履行)の危機を回避した。
与野党が最終的に合意した内容は、①国債の追加発行などが可能になる政府債務の上限引き上げを来年2月7日まで認める②来年1月15日までの暫定予算を成立させる--というもの。これによって政府は当面、国債の償還や利払いなどができるようになった。また10月1日から始まっていた政府機関の一部閉鎖も、解除されることになる。
しかし問題の解決は、あくまで一時的な措置。来年になれば、全く同じ問題が再燃する可能性はきわめて高い。アメリカでは17年前のクリントン政権のとき、さらには一昨年にも同様の問題が発生。11年8月には、国債が格下げされる事態を惹き起している。したがってデフォルトの危機はいつも大騒ぎされるが、しだいに“狼少年”的な受け取り方が強まってきたことは否定できない。
その証拠は、株式市場の動向にも現れている。債務限度の問題が株価の頭にのしかかったことは確かだが、ダウ平均も日経平均もデフォルトの期限が差し迫ったこの1週間、むしろ上昇した。議会は17日までに妥結するに違いないと見透かしたようである。だが“狼少年”という寓話は、少年の警告を甘くみた村人が最後は本当に現れた狼に食べられてしまうというという教訓だ。ご用心。
≪17日の日経平均 = 上げ +119.37円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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与野党が最終的に合意した内容は、①国債の追加発行などが可能になる政府債務の上限引き上げを来年2月7日まで認める②来年1月15日までの暫定予算を成立させる--というもの。これによって政府は当面、国債の償還や利払いなどができるようになった。また10月1日から始まっていた政府機関の一部閉鎖も、解除されることになる。
しかし問題の解決は、あくまで一時的な措置。来年になれば、全く同じ問題が再燃する可能性はきわめて高い。アメリカでは17年前のクリントン政権のとき、さらには一昨年にも同様の問題が発生。11年8月には、国債が格下げされる事態を惹き起している。したがってデフォルトの危機はいつも大騒ぎされるが、しだいに“狼少年”的な受け取り方が強まってきたことは否定できない。
その証拠は、株式市場の動向にも現れている。債務限度の問題が株価の頭にのしかかったことは確かだが、ダウ平均も日経平均もデフォルトの期限が差し迫ったこの1週間、むしろ上昇した。議会は17日までに妥結するに違いないと見透かしたようである。だが“狼少年”という寓話は、少年の警告を甘くみた村人が最後は本当に現れた狼に食べられてしまうというという教訓だ。ご用心。
≪17日の日経平均 = 上げ +119.37円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 懸念はプライバシーの侵害 = マイナンバー制度の実施にあたって最も心配な問題は、個人情報の流出や悪用である。資産内容から病歴までを記録したデータが勝手に見られたり、番号が不正に入手されて悪用されないか。これまで何十年にもわたって個人番号制度が検討段階で挫折したのも、その根底にはプライバシーの侵害に対する強い懸念があったためだと言えるだろう。
まず行政機関の間で情報交換が行われると、そこから個人情報が洩れやすい。これまでにも社会保険庁の職員による年金記録の“のぞき見”事件、神戸市による自衛隊への住民登録提供事件など、公務員による情報漏えい事件は数多く起こっている。この種の事件をどうやったら防げるのか。
また他人のナンバーを不正に取得して、他人に“なりすます”事件。アメリカでは不法移民が職を得るためにナンバーを盗む事件が多発。いわゆる“なりすまし”事件は年間1000万件、被害総額は500億ドルにのぼるといわれる。さらに死亡した家族のナンバーを使って年金を詐取する事件は、各国で報告されている。
政府はこうした情報漏れや不正使用を監視するための第三者機関「特定個人情報保護委員会」の設置を決めた。情報漏えいに対しては、4年以下の懲役または200万円以下の罰金という罰則規定も新たに定めた。だが、この程度の措置で情報洩れや不正使用が防げるとは、だれも考えていない。
(続きは来週サタデー)
≪18日の日経平均 = 下げ -24.97円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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まず行政機関の間で情報交換が行われると、そこから個人情報が洩れやすい。これまでにも社会保険庁の職員による年金記録の“のぞき見”事件、神戸市による自衛隊への住民登録提供事件など、公務員による情報漏えい事件は数多く起こっている。この種の事件をどうやったら防げるのか。
また他人のナンバーを不正に取得して、他人に“なりすます”事件。アメリカでは不法移民が職を得るためにナンバーを盗む事件が多発。いわゆる“なりすまし”事件は年間1000万件、被害総額は500億ドルにのぼるといわれる。さらに死亡した家族のナンバーを使って年金を詐取する事件は、各国で報告されている。
政府はこうした情報漏れや不正使用を監視するための第三者機関「特定個人情報保護委員会」の設置を決めた。情報漏えいに対しては、4年以下の懲役または200万円以下の罰金という罰則規定も新たに定めた。だが、この程度の措置で情報洩れや不正使用が防げるとは、だれも考えていない。
(続きは来週サタデー)
≪18日の日経平均 = 下げ -24.97円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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第15章 消費税って、なんだろう? ③
◇ 古い歴史 = 消費税も大きく2つに分けることができます。1つは個別消費税と言って、たとえば酒税やタバコ税のように決まった品物にかけられる間接税です。もう1つは一般消費税と言って、たくさんの品物に同じ税率がかけられます。ノートを買ってもゲーム機を買っても自動車を買っても、みな5%の消費税がかかるのでしたね。
このうち個別消費税は、かなり古い歴史を持っています。16世紀の末に、スペインとの間で独立戦争をしていたオランダが軍事費を調達するために、取り入れたのが最初だと言われています。すぐにイギリスが似たような税金を作り、やがてヨーロッパ諸国に広がりました。やはり酒税が多かったようですが、なかには香水税などもあったそうです。
一般消費税の方は比較的新しく、1917年にフランスが実施した支払い税が最初だと言われています。その後もフランスでいろいろ形が変えられ、現在のような一般消費税の姿になったのは1954年でした。たくさんの品物に税金をかけるので、個別消費税よりも税収は多くなりますね。そこで1970年代には、イギリスやベルギーが導入。いまでは世界中の国が取り入れています。
いま財政が苦しい日本。来年4月からは消費税を8%に引き上げることになりましたが、この場合の消費税は言うまでもなく一般消費税を指しています。日本が最初に一般消費税を実施したのは1989年(平成元年)でした。そのときの税率は3%。それが97年に現在の5%に引き上げられ、間もなく8%になろうとしているわけです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 古い歴史 = 消費税も大きく2つに分けることができます。1つは個別消費税と言って、たとえば酒税やタバコ税のように決まった品物にかけられる間接税です。もう1つは一般消費税と言って、たくさんの品物に同じ税率がかけられます。ノートを買ってもゲーム機を買っても自動車を買っても、みな5%の消費税がかかるのでしたね。
このうち個別消費税は、かなり古い歴史を持っています。16世紀の末に、スペインとの間で独立戦争をしていたオランダが軍事費を調達するために、取り入れたのが最初だと言われています。すぐにイギリスが似たような税金を作り、やがてヨーロッパ諸国に広がりました。やはり酒税が多かったようですが、なかには香水税などもあったそうです。
一般消費税の方は比較的新しく、1917年にフランスが実施した支払い税が最初だと言われています。その後もフランスでいろいろ形が変えられ、現在のような一般消費税の姿になったのは1954年でした。たくさんの品物に税金をかけるので、個別消費税よりも税収は多くなりますね。そこで1970年代には、イギリスやベルギーが導入。いまでは世界中の国が取り入れています。
いま財政が苦しい日本。来年4月からは消費税を8%に引き上げることになりましたが、この場合の消費税は言うまでもなく一般消費税を指しています。日本が最初に一般消費税を実施したのは1989年(平成元年)でした。そのときの税率は3%。それが97年に現在の5%に引き上げられ、間もなく8%になろうとしているわけです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 冷静に対処した市場 = アメリカ政府の債務限度引き上げ問題は、デフォルト期限寸前に与野党が妥協して解決した。この問題を巡る市場の対応は、一貫して冷静だったと言える。まずデフォルト期限の17日が近づいても、株価は下落しなかった。また危機が回避されても、株価は大幅には上昇しなかった。
これは過去20年間に同様の問題が3回も持ち上がって、市場が慣れてきたこと。このため危機が迫っても大きくは動揺せず、危機が回避されても大喜びしなかったためと言えるだろう。ダウ平均は先週163ドルの値上がりだった。今週は政府機関の閉鎖で遅れていた9月の雇用統計が発表される。その結果が最大の材料になりそうだ。
日経平均は先週157円の値上がり。こちらも着実に上げて1万4500円台を回復した。消費増税を前にした駆け込み需要が目立ち始めており、景気の状態は悪くない。アメリカの債務上限問題は来年になると再発する可能性が強いから、FRBも金融緩和の縮小はやりにくい。とすれば当分の間、円相場の高騰もないだろう。今週は1万5000円へ向けての1歩を踏み出せるかどうか。
今週は21日に、9月の貿易統計と8月の全産業活動指数。25日に、9月の消費者物価と企業向けサービス価格が発表される。アメリカでは21日に、9月の中古住宅販売。22日に、9月の雇用統計。23日に、8月のFHFA住宅価格。24日に、9月の新築住宅販売戸数が発表になる。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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これは過去20年間に同様の問題が3回も持ち上がって、市場が慣れてきたこと。このため危機が迫っても大きくは動揺せず、危機が回避されても大喜びしなかったためと言えるだろう。ダウ平均は先週163ドルの値上がりだった。今週は政府機関の閉鎖で遅れていた9月の雇用統計が発表される。その結果が最大の材料になりそうだ。
日経平均は先週157円の値上がり。こちらも着実に上げて1万4500円台を回復した。消費増税を前にした駆け込み需要が目立ち始めており、景気の状態は悪くない。アメリカの債務上限問題は来年になると再発する可能性が強いから、FRBも金融緩和の縮小はやりにくい。とすれば当分の間、円相場の高騰もないだろう。今週は1万5000円へ向けての1歩を踏み出せるかどうか。
今週は21日に、9月の貿易統計と8月の全産業活動指数。25日に、9月の消費者物価と企業向けサービス価格が発表される。アメリカでは21日に、9月の中古住宅販売。22日に、9月の雇用統計。23日に、8月のFHFA住宅価格。24日に、9月の新築住宅販売戸数が発表になる。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 燃料輸入は半年間で13兆円 = 財務省は21日、9月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は前年比11.5%増の5兆9700億円。輸入は16.5%増の6兆9000億円だった。この結果、貿易収支は9300億円の赤字。これで赤字は15か月連続、戦後の最長を記録した。
貿易のトレンドを知るために、今年度上半期の数字を見てみよう。4-9月期の輸出は35兆3200億円、前年より9.8%増加した。一方、輸入は13.9%増えて40兆3100億円。貿易収支は4兆9900億円の赤字だった。この赤字額は半年間としては過去最大である。
輸出を相手国別にみると、アメリカ向けが6兆5600億円で第1位。続いて中国が6兆4100億円で僅差の第2位となっている。一時は中国がアメリカを上回っていたが、中国経済の減速と日中間の政治的摩擦が影響して伸び悩んだ。商品別にみると、輸出の柱はやはり自動車。輸出額は5兆2500億円で、前年比14.5%の増加だった。
輸入面からみると、この米中関係は全く逆転する。中国からの輸入が8兆8300億円に達したのに比べ、アメリカからの輸入額は3兆5000億円しかない。したがって対中貿易は大赤字、対アメリカ貿易は大黒字となっている。商品では何と言っても鉱物性燃料。輸入額は半年間で13兆円にのぼった。
≪21日の日経平均 = 上げ +132.03円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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貿易のトレンドを知るために、今年度上半期の数字を見てみよう。4-9月期の輸出は35兆3200億円、前年より9.8%増加した。一方、輸入は13.9%増えて40兆3100億円。貿易収支は4兆9900億円の赤字だった。この赤字額は半年間としては過去最大である。
輸出を相手国別にみると、アメリカ向けが6兆5600億円で第1位。続いて中国が6兆4100億円で僅差の第2位となっている。一時は中国がアメリカを上回っていたが、中国経済の減速と日中間の政治的摩擦が影響して伸び悩んだ。商品別にみると、輸出の柱はやはり自動車。輸出額は5兆2500億円で、前年比14.5%の増加だった。
輸入面からみると、この米中関係は全く逆転する。中国からの輸入が8兆8300億円に達したのに比べ、アメリカからの輸入額は3兆5000億円しかない。したがって対中貿易は大赤字、対アメリカ貿易は大黒字となっている。商品では何と言っても鉱物性燃料。輸入額は半年間で13兆円にのぼった。
≪21日の日経平均 = 上げ +132.03円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 成長率が7.8%に上昇 = 中国統計局の発表によると、7-9月期のGDP成長率は前年同期比で7.8%だった。1-3月期の7.7%、4-6月期の7.5%を上回り、中国の景気が底入れした形を示している。前期比では2.2%の増加で、これを年率換算する日本やアメリカの方式にすると9%に近い成長率ということになる。
インフレを警戒した政府の引き締め政策によって、中国の成長率は11年に1ケタ台に低下。ことし4-6月期には7.5%にまで落ち込んだ。そこで政府は引き締めを解除、特に公共投資を拡大している。その効果が現れたわけで、世界経済に対する好影響も大きい。ただ政府が鉄道建設などの公共投資を拡大する方針を決めたのは7月だから、効果の現れ方が早すぎるという気がしないでもない。
国家統計局の発表によると、7.8%の成長率は4.3%分が投資、3.5%分が消費によって支えられた。これまで景気を支えてきた輸出は全く寄与していない。1-9月間でみると、固定資産投資は前年比20.2%増、小売り売上高は12.9%の伸びだった。輸出の減退分を、投資と消費がきれいに補っている。
中国政府はことし春の人民代表大会で、13年の成長目標を7.5%にすると決めた。7-9月期の成長率が3四半期ぶりに上昇したことで、目標達成の可能性は高くなったと言える。なんだか“予定調和”という言葉を思い浮かべてしまうのは、勘ぐりすぎだろうか。しかも中国のGDP発表は、アメリカや日本より常に早い。あの広大な中国で、よく集計できるものだ。中国経済には、不思議が付きまとう。
≪22日の日経平均 = 上げ +19.68円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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インフレを警戒した政府の引き締め政策によって、中国の成長率は11年に1ケタ台に低下。ことし4-6月期には7.5%にまで落ち込んだ。そこで政府は引き締めを解除、特に公共投資を拡大している。その効果が現れたわけで、世界経済に対する好影響も大きい。ただ政府が鉄道建設などの公共投資を拡大する方針を決めたのは7月だから、効果の現れ方が早すぎるという気がしないでもない。
国家統計局の発表によると、7.8%の成長率は4.3%分が投資、3.5%分が消費によって支えられた。これまで景気を支えてきた輸出は全く寄与していない。1-9月間でみると、固定資産投資は前年比20.2%増、小売り売上高は12.9%の伸びだった。輸出の減退分を、投資と消費がきれいに補っている。
中国政府はことし春の人民代表大会で、13年の成長目標を7.5%にすると決めた。7-9月期の成長率が3四半期ぶりに上昇したことで、目標達成の可能性は高くなったと言える。なんだか“予定調和”という言葉を思い浮かべてしまうのは、勘ぐりすぎだろうか。しかも中国のGDP発表は、アメリカや日本より常に早い。あの広大な中国で、よく集計できるものだ。中国経済には、不思議が付きまとう。
≪22日の日経平均 = 上げ +19.68円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 先祖返りした株式市場 = アメリカ労働省は22日、政府機関の一部閉鎖で遅れていた9月の雇用統計を発表した。それによると失業率は7.2%で前月を1ポイント下回ったが、非農業雇用者数は14万8000人の増加にとどまった。事前の予想は18万人の増加だったので、雇用の改善は減速したと受け止められている。
雇用が増えた業種は、建設・卸売り・運輸など。減った業種は、レジャー・金融・自動車など。政府の雇用も2万2000人増加した。また失業者数は1126万人で、前月より6万1000人減った。労働省は6月に比べると、失業率は0.4ポイント改善、失業者数も52万2000人減少したという数字をあげて、雇用情勢の改善は続いていると強調している。
しかし過去1年間をみると、非農業雇用者数は月平均で18万5000人増加している。この平均値と比較しても、9月は雇用情勢の改善が減速したことは明らかだ。新聞やテレビもそう解説しているし、市場もそう受け取った。ところが株価は上昇している。
この発表を受けて、22日のダウ平均株価は75ドル値上がりした。特にSP500は急伸して、史上最高値を更新している。雇用の改善が減速したことにより、FRBによる金融緩和の縮小が来年以降に先送りされるという見方が強まったためだ。再び市場の「雇用改善の減速は買い」という判りにくい論理が復活したようである。
≪23日の日経平均 = 下げ -287.20円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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雇用が増えた業種は、建設・卸売り・運輸など。減った業種は、レジャー・金融・自動車など。政府の雇用も2万2000人増加した。また失業者数は1126万人で、前月より6万1000人減った。労働省は6月に比べると、失業率は0.4ポイント改善、失業者数も52万2000人減少したという数字をあげて、雇用情勢の改善は続いていると強調している。
しかし過去1年間をみると、非農業雇用者数は月平均で18万5000人増加している。この平均値と比較しても、9月は雇用情勢の改善が減速したことは明らかだ。新聞やテレビもそう解説しているし、市場もそう受け取った。ところが株価は上昇している。
この発表を受けて、22日のダウ平均株価は75ドル値上がりした。特にSP500は急伸して、史上最高値を更新している。雇用の改善が減速したことにより、FRBによる金融緩和の縮小が来年以降に先送りされるという見方が強まったためだ。再び市場の「雇用改善の減速は買い」という判りにくい論理が復活したようである。
≪23日の日経平均 = 下げ -287.20円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 労働特区をほぼ粉砕 = 安倍首相が成長戦略の柱に据えた国家戦略特区。その特区で最大の焦点となった労働規制の緩和が、厚生労働省の激しい抵抗にあって瓦解した。政府は医療、教育、農業などを中心に戦略特区の関連法案を作り、11月初めに国会へ提出する。成立すれば年明け早々にも、地域と規制緩和の細目を決定する予定。
戦略特区の概要を議論した日本経済再生本部(本部長=安倍首相)で、最も賛否が伯仲したのが労働規制の緩和。政府部内では、はじめ①労働者と経営側が事前に契約すれば、解雇をしやすくする②一定の年収がある人なら、深夜や休日の残業代をゼロにできる③有期契約で5年を超えて働いた人が無期契約になれる権利を、あらかじめ放棄できるようにする--の3点を規制緩和の主な内容と考えていた。
賛成者の主張は「外国企業を戦略特区に誘致するためには、この3点の緩和が不可欠」というもの。だが厚生労働省が猛烈に反対した。「特区だけに緩和を認めれば、全国一律であるべき労働条件に格差を生じる。憲法違反の疑いもある」というのが、その主張。結局は厚労省の“正論”が通って、いわゆる“労働特区”構想は挫折した。
たしかに特区で働く場合だけ、労働者の権利を縮小させるという考え方には、初めからムリがあったと言えるだろう。政府の素案は、経済成長を重視するあまり物事の本質を見失っていた感じがする。それにしても、いつも歯切れの悪い厚労省だが、今回は珍しく頑張った。褒めておこう。
≪24日の日経平均 = 上げ +60.36円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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戦略特区の概要を議論した日本経済再生本部(本部長=安倍首相)で、最も賛否が伯仲したのが労働規制の緩和。政府部内では、はじめ①労働者と経営側が事前に契約すれば、解雇をしやすくする②一定の年収がある人なら、深夜や休日の残業代をゼロにできる③有期契約で5年を超えて働いた人が無期契約になれる権利を、あらかじめ放棄できるようにする--の3点を規制緩和の主な内容と考えていた。
賛成者の主張は「外国企業を戦略特区に誘致するためには、この3点の緩和が不可欠」というもの。だが厚生労働省が猛烈に反対した。「特区だけに緩和を認めれば、全国一律であるべき労働条件に格差を生じる。憲法違反の疑いもある」というのが、その主張。結局は厚労省の“正論”が通って、いわゆる“労働特区”構想は挫折した。
たしかに特区で働く場合だけ、労働者の権利を縮小させるという考え方には、初めからムリがあったと言えるだろう。政府の素案は、経済成長を重視するあまり物事の本質を見失っていた感じがする。それにしても、いつも歯切れの悪い厚労省だが、今回は珍しく頑張った。褒めておこう。
≪24日の日経平均 = 上げ +60.36円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 重大な18年の見直し = マイナンバー制度は適用範囲が広がれば広がるほど、情報流出の危険が高くなる。そこでドイツは用途を税務だけに絞り込んだ。イギリスも税務と社会保障に限定している。反対に韓国やスウェーデンは、教育や兵役までを含み幅広い。このうち韓国は軍事政権時代にスパイ対策として導入されたため、機密流出に対する罰則も厳しい。
その反対にスウェーデンは開放的。隣人の所得をパソコンで引き出せるという。またオーストリアは税務、社会保障、教育など行政機関ごとに別の暗証番号を付けて、過度な情報交換を抑制する仕組みを導入している。日本は17年から行政機関同士の情報交換を始めるが、その際にはオーストリア型の抑制方式を取り入れる案が有力だ。
しかし日本の場合、個人情報の流出や不正使用に対する防御方法の検討は遅れている。コンピュータの世界は日進月歩。たとえば国際的なサイバー攻撃にどう対処するのか。政府はまだ何も考えていないようにみえる。とにかく第三者委員会による監視だけで、対応できる問題でないことは明らかだ。
マイナンバー制度は16年1月にスタートする。17年には情報を交換する行政機関が拡大。18年10月をメドに民間による活用を含めた適用範囲の拡大を図るというのが、いまの政府の構想だ。しかし16-17年中に、情報の漏えいや不正使用事件が多発すれば、範囲の拡大などはムリな話。その意味でも、18年の見直しは重大である。
≪25日の日経平均 = 下げ -398.22円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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その反対にスウェーデンは開放的。隣人の所得をパソコンで引き出せるという。またオーストリアは税務、社会保障、教育など行政機関ごとに別の暗証番号を付けて、過度な情報交換を抑制する仕組みを導入している。日本は17年から行政機関同士の情報交換を始めるが、その際にはオーストリア型の抑制方式を取り入れる案が有力だ。
しかし日本の場合、個人情報の流出や不正使用に対する防御方法の検討は遅れている。コンピュータの世界は日進月歩。たとえば国際的なサイバー攻撃にどう対処するのか。政府はまだ何も考えていないようにみえる。とにかく第三者委員会による監視だけで、対応できる問題でないことは明らかだ。
マイナンバー制度は16年1月にスタートする。17年には情報を交換する行政機関が拡大。18年10月をメドに民間による活用を含めた適用範囲の拡大を図るというのが、いまの政府の構想だ。しかし16-17年中に、情報の漏えいや不正使用事件が多発すれば、範囲の拡大などはムリな話。その意味でも、18年の見直しは重大である。
≪25日の日経平均 = 下げ -398.22円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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第15章 消費税って、なんだろう? ④
◇ 消費税と内閣の命運 = 日本で消費税の話が持ち上がったのは、1978年(昭和53年)のことでした。当時の大平内閣が、石油ショックのあとの不況で税金の収入が落ち込んだのを補おうと考えたのです。ところが反対が強く、総選挙への悪影響を心配して実現しませんでした。87年には中曽根内閣が売上税という名前で国会に法案を提出しましたが、これも反対論が強く取り止めになっています。
その翌年の88年に、こんどは竹下内閣が消費税法案を成立させ、日本で初めての消費税が89年(平成元年)の4月から実施されました。税率は3%でした。ところが、その直後の参院選で自民党は大敗してしまいます。さらに94年には細川内閣が税率7%の国民福祉税を提案、これも反対が強くすぐ撤回しました。そして97年になって、橋本内閣が消費税の税率を5%に引き上げます。しかし、このときも参院選で自民党が大敗、橋本首相は退陣しました。
景気が悪くなって税収が減ると、政府は消費税を創設したり、その税率を引き上げようとしたのです。ところが国民の側にとっては、税金が増えることは好ましくありません。ですから消費税を作ろうとして失敗したり、作ると与党が選挙で負けたり。このように消費税は、日本の政治体制に大きな変化をもたらしてきたと言うことができます。
ここで、もう1つ付け加えておくことがあります。それは97年に消費税の税率を3%から5%に引き上げたときに、5%のうちの1%分は地方の自治体に配分することにしたことです。ですから、みなさんがいま100円のノートを買って5円の消費税を払うと、そのうちの4円は国へ、1円は地方の自治体に行くことになるのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 消費税と内閣の命運 = 日本で消費税の話が持ち上がったのは、1978年(昭和53年)のことでした。当時の大平内閣が、石油ショックのあとの不況で税金の収入が落ち込んだのを補おうと考えたのです。ところが反対が強く、総選挙への悪影響を心配して実現しませんでした。87年には中曽根内閣が売上税という名前で国会に法案を提出しましたが、これも反対論が強く取り止めになっています。
その翌年の88年に、こんどは竹下内閣が消費税法案を成立させ、日本で初めての消費税が89年(平成元年)の4月から実施されました。税率は3%でした。ところが、その直後の参院選で自民党は大敗してしまいます。さらに94年には細川内閣が税率7%の国民福祉税を提案、これも反対が強くすぐ撤回しました。そして97年になって、橋本内閣が消費税の税率を5%に引き上げます。しかし、このときも参院選で自民党が大敗、橋本首相は退陣しました。
景気が悪くなって税収が減ると、政府は消費税を創設したり、その税率を引き上げようとしたのです。ところが国民の側にとっては、税金が増えることは好ましくありません。ですから消費税を作ろうとして失敗したり、作ると与党が選挙で負けたり。このように消費税は、日本の政治体制に大きな変化をもたらしてきたと言うことができます。
ここで、もう1つ付け加えておくことがあります。それは97年に消費税の税率を3%から5%に引き上げたときに、5%のうちの1%分は地方の自治体に配分することにしたことです。ですから、みなさんがいま100円のノートを買って5円の消費税を払うと、そのうちの4円は国へ、1円は地方の自治体に行くことになるのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 予想外の大幅な下げ = 市場は時として、説明しにくい行動に走る。先週25日の日経平均は398円下げたが、これは市場でも予想できなかった動きだ。先物主導で売り込まれたことは確かだが、売りの根拠がはっきりしない。円高が進んだとか、中国に引き締め懸念が生じたとか。後講釈は言われるけれども、どうも説得力はない。
この日の下げが利いて、日経平均は先週473円の値下がりとなった。今週は1万4000円台を守れるかどうか。仮に大型ファンドあたりが先物を大量に売って円を買ったとしたら、今週は株式を買い戻す動きに出ることも予想される。そのきっかけは、今週発表される雇用や生産、家計などの経済指標と個別の企業業績見通しになるだろう。
ダウ平均は先週171ドルの値上がり。アメリカ政府の債務上限引き上げ問題が一時的ではあるが解決したあと、株価は着実に上昇している。9月の雇用統計がやや不満足な内容だったことも、飲み込んでしまった感じだ。アメリカでも今週はいろいろ経済指標が発表される。その結果が悪い方へ働く可能性は小さいだろう。
今週は29日に、9月の労働力調査、家計調査、小売り売上高。30日に、9月の鉱工業生産。1日に、10月の新車販売台数。アメリカでは28日に、9月の工業生産と中古住宅販売。29日に、9月の生産者物価と小売り売上高、8月のSPケースシラー住宅価格。30日に、9月の消費者物価。1日に、10月のISM製造業景況指数と新車販売台数。またEUが31日に、10月の消費者物価と9月の雇用統計。中国が1日に、10月の製造業PMIを発表の予定。
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この日の下げが利いて、日経平均は先週473円の値下がりとなった。今週は1万4000円台を守れるかどうか。仮に大型ファンドあたりが先物を大量に売って円を買ったとしたら、今週は株式を買い戻す動きに出ることも予想される。そのきっかけは、今週発表される雇用や生産、家計などの経済指標と個別の企業業績見通しになるだろう。
ダウ平均は先週171ドルの値上がり。アメリカ政府の債務上限引き上げ問題が一時的ではあるが解決したあと、株価は着実に上昇している。9月の雇用統計がやや不満足な内容だったことも、飲み込んでしまった感じだ。アメリカでも今週はいろいろ経済指標が発表される。その結果が悪い方へ働く可能性は小さいだろう。
今週は29日に、9月の労働力調査、家計調査、小売り売上高。30日に、9月の鉱工業生産。1日に、10月の新車販売台数。アメリカでは28日に、9月の工業生産と中古住宅販売。29日に、9月の生産者物価と小売り売上高、8月のSPケースシラー住宅価格。30日に、9月の消費者物価。1日に、10月のISM製造業景況指数と新車販売台数。またEUが31日に、10月の消費者物価と9月の雇用統計。中国が1日に、10月の製造業PMIを発表の予定。
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 総合指数も1%超える上昇 = 物価がじわっと上がってきた。総務省が発表した9月の消費者物価は、総合指数で前年比1.1%の上昇だった。季節的な変動が大きい生鮮食料を除いた指数では0.7%の上昇。いずれも4か月連続の上昇である。さらに食料とエネルギーを除いた指数も前年と変わらず、4年9か月ぶりにマイナスから脱出した。
この結果をみて、甘利経済財政相は「デフレ脱却は、登山で言えば8合目の半ばまできている」と手放しで喜んでいる。だが本当に喜んでいいのかどうかは、きわめて疑問だ。というのも物価上昇の内容をみると、その大部分が円安による輸入価格の上昇に起因している。つまり景気の好転で需要が増加したことによる物価上昇は、数えるほどしかないからだ。
品目別にみると、エネルギー料金が7.4%の上昇、食料品は1.7%の上昇だった。このうち電気代、ガソリン代などは円安で原油やLNGなどの輸入価格が上がったことの反映。また食料品は輸入価格の高騰と異常気象の影響を受けたためだった。いずれにしても、景気がよくなった結果の値上がりとは言えない。
食料品とエネルギーを除いた指数では、被服・履物と交通・通信費が上昇に寄与している。このうち被服・履物については輸入品が多く、やはり円安の影響が少なくない。したがって景気回復による物価の上昇もないではないが、大部分は円安の結果だと言えるだろう。原因が何であれ物価が上がれば、購買力は低下する。そんな状態なのに「もう8合目だ」と言って喜ぶ人の気が知れない。
≪28日の日経平均 = 上げ +307.85円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この結果をみて、甘利経済財政相は「デフレ脱却は、登山で言えば8合目の半ばまできている」と手放しで喜んでいる。だが本当に喜んでいいのかどうかは、きわめて疑問だ。というのも物価上昇の内容をみると、その大部分が円安による輸入価格の上昇に起因している。つまり景気の好転で需要が増加したことによる物価上昇は、数えるほどしかないからだ。
品目別にみると、エネルギー料金が7.4%の上昇、食料品は1.7%の上昇だった。このうち電気代、ガソリン代などは円安で原油やLNGなどの輸入価格が上がったことの反映。また食料品は輸入価格の高騰と異常気象の影響を受けたためだった。いずれにしても、景気がよくなった結果の値上がりとは言えない。
食料品とエネルギーを除いた指数では、被服・履物と交通・通信費が上昇に寄与している。このうち被服・履物については輸入品が多く、やはり円安の影響が少なくない。したがって景気回復による物価の上昇もないではないが、大部分は円安の結果だと言えるだろう。原因が何であれ物価が上がれば、購買力は低下する。そんな状態なのに「もう8合目だ」と言って喜ぶ人の気が知れない。
≪28日の日経平均 = 上げ +307.85円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 消費増税の影響は大きい = 消費税8%の時代が、いよいよ5か月後に迫ってきた。この消費増税は、景気にどんな影響を及ぼすのだろうか。まだ予見できない部分もあるが、景気のおおざっぱな軌跡を描き出してみよう。
消費税の引き上げが、景気にとってマイナス要因になることは間違いない。まず13年度の予算をみると、財務省は消費税の税収を12兆8000億円と見積もっている。現在の税率は5%だから、税率1%につき2兆5600億円という計算だ。この数字をベースにすると、3%の増税で税収は7兆6800億円増えることになる。この分が民間から吸い上げられ、景気のマイナス要因になるわけだ。
これに対して安倍内閣は、総額5兆円の経済対策を実施して景気の底上げを図ることになった。その内容はいま各省が積み上げ中で、補正予算案がまとまらないと判明しない。しかし企業に対する設備投資減税や低所得者を対象にした1万円ー1万5000円の現金給付、それに東京オリンピックを念頭に置いた公共事業などが含まれるものとみられている。
単純計算すれば、増税によって吸い上げる約8兆円のうち、5兆円を民間に還元することになる。だが消費増税の景気に対するマイナス効果は、これだけではない。それは増税前に現れる駆け込み需要。自動車や住宅ではもうその現象が生じているが、来年になれば食料や衣類などへの消費も一時的に増えるだろう。そして来年4月以降には、その反動減が必ず起きてしまう。
(続きは明日)
≪29日の日経平均 = 下げ -70.06円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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消費税の引き上げが、景気にとってマイナス要因になることは間違いない。まず13年度の予算をみると、財務省は消費税の税収を12兆8000億円と見積もっている。現在の税率は5%だから、税率1%につき2兆5600億円という計算だ。この数字をベースにすると、3%の増税で税収は7兆6800億円増えることになる。この分が民間から吸い上げられ、景気のマイナス要因になるわけだ。
これに対して安倍内閣は、総額5兆円の経済対策を実施して景気の底上げを図ることになった。その内容はいま各省が積み上げ中で、補正予算案がまとまらないと判明しない。しかし企業に対する設備投資減税や低所得者を対象にした1万円ー1万5000円の現金給付、それに東京オリンピックを念頭に置いた公共事業などが含まれるものとみられている。
単純計算すれば、増税によって吸い上げる約8兆円のうち、5兆円を民間に還元することになる。だが消費増税の景気に対するマイナス効果は、これだけではない。それは増税前に現れる駆け込み需要。自動車や住宅ではもうその現象が生じているが、来年になれば食料や衣類などへの消費も一時的に増えるだろう。そして来年4月以降には、その反動減が必ず起きてしまう。
(続きは明日)
≪29日の日経平均 = 下げ -70.06円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 14年度の景気減速は不可避 = 消費増税による税収の増加が約8兆円。GDP成長率への影響はマイナス1.5%程度。経済対策5兆円で、成長率には1%程度の引き上げ効果が見込まれる。したがって、これだけなら14年度の成長率は13年度に比べて0.5%ほど低くなると考えられるだろう。だが、それに加わる駆け込み需要の大きさと、その反動はきわめて予測しがたい。
たとえば住宅の場合。新築住宅着工戸数でみると5ー7月間は前年比2ケタの伸び、8月も8.8%増加した。これは景気の回復傾向や住宅ローン金利の低下などによるものだが、9月末までに工事契約を終えた分は消費税が5%のままという制度による駆け込みもあったことは事実。しかし、その程度は推定が難しい。
また新車販売台数をみると、9月は52万2700台で前年比17%の増加だった。エコカーに対する需要も増加しているが、ここでも駆け込みが始まったとみることができる。ちなみに前回の消費税引き上げ時、97年度の販売台数は前年度比で101万台の減少となった。今回は対応策として取得税の軽減も検討されており、駆け込み需要の大きさは推計できない。
このほか来年になれば、家電・食料・衣類など広範な分野で駆け込み需要が発生するだろう。その正確な試算はムリだが、仮に2兆円とすれば、13年度と14年度の落差は4兆円。すべてを合算すると、GDP成長率は1.5ポイント程度の減速と考えられる。13年度の成長率が3.5%なら、14年度は2%前後に落ちるわけだ。その振幅がもっと大きくなるか小さくなるかは、世界経済の動向と政府の規制緩和政策が決めることになる。
(続きは明日)
≪30日の日経平均 = 上げ +176.37円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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たとえば住宅の場合。新築住宅着工戸数でみると5ー7月間は前年比2ケタの伸び、8月も8.8%増加した。これは景気の回復傾向や住宅ローン金利の低下などによるものだが、9月末までに工事契約を終えた分は消費税が5%のままという制度による駆け込みもあったことは事実。しかし、その程度は推定が難しい。
また新車販売台数をみると、9月は52万2700台で前年比17%の増加だった。エコカーに対する需要も増加しているが、ここでも駆け込みが始まったとみることができる。ちなみに前回の消費税引き上げ時、97年度の販売台数は前年度比で101万台の減少となった。今回は対応策として取得税の軽減も検討されており、駆け込み需要の大きさは推計できない。
このほか来年になれば、家電・食料・衣類など広範な分野で駆け込み需要が発生するだろう。その正確な試算はムリだが、仮に2兆円とすれば、13年度と14年度の落差は4兆円。すべてを合算すると、GDP成長率は1.5ポイント程度の減速と考えられる。13年度の成長率が3.5%なら、14年度は2%前後に落ちるわけだ。その振幅がもっと大きくなるか小さくなるかは、世界経済の動向と政府の規制緩和政策が決めることになる。
(続きは明日)
≪30日の日経平均 = 上げ +176.37円≫
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