fc2ブログ
経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
年後半に賭ける 23年の経済
2023-01-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカ・中国・ウクライナが焦点 = 「23年は前半が辛抱、後半に期待」--多くの専門家がことしの経済について、こうしたトーンで解説している。世界経済を動かす要因がみな、そういうトーンで一致しているからだ。

≪アメリカ≫ ことし前半はまだ物価上昇率が高く、FRBは1-6月期に0.25%の利上げを3回実施する見通し。後半になると、金融引き締めの効果が行き渡り始めるから、FRBは利上げをしない。場合によっては7-12月期に、利下げに転じる可能性もなくはない。いずれにしても前半は景気が後退するが、その程度が浅ければ後半には回復へ向かう。FRBは年後半の‟軟着陸”に賭けている。

≪中国≫ ことし前半はコロナの後遺症が残る。社会の混乱も続き、景気もよくならない。しかし後半になるとコロナの状況も落ち着き、経済も正常化へ向かうだろう。鉱工業生産は回復、流通面での障害も解消される。コロナ規制で抑制された消費需要が解放され、景気を押し上げる。3%程度にまで落ち込んだGDP成長率も、5%程度には回復するだろう。

≪ウクライナ戦争≫ ロシアの侵攻から、間もなく1年。冬から春にかけては積雪と雪解けで地上軍は動きがとれず、もっぱらミサイルの射ち合いに。ロシアはこれまでに合計550発のミサイルを発射し、年間生産量の6年分を使い切ったという報道もある。雪解けが終わると再び地上軍の戦闘が始まるが、それが最後の決戦になる可能性がきわめて大きい。ウクライナ側も消耗しているので、年の後半には停戦ムードが強まるという観測が強まっている。

こうした情勢から「前半は辛抱、後半に期待」の予測が広まっているわけだ。ただし世の中は、予測通りに動くものではない。たとえばアメリカのインフレは年後半になっても収束せず、FRBはさらなる引き締めを余儀なくされるかもしれない。中国のコロナ後遺症も年後半まで続き、社会経済の正常化が遅れるかもしれない。ウクライナ戦争も最後の段階で、核戦争の脅威が増すかもしれない。したがって、ことしの経済を見通すには、日々の変化を正しく分析し続けることが重要になってくる。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
バイデン大統領の 巧妙な経済戦略 (上)
2023-01-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 半導体とEVに全力を集中 = そのときはあまり感じなくても、あとになってみるとその物凄さにびっくりすることがある。バイデン政権が昨年8月、あっという間に成立させた2つの法律がそれ。1つは「半導体支援法」、もう1つは「インフレ抑制法」だ。前者は「中国に負けないため」、後者は「インフレに負けないため」を前面に押し出したことで、共和党もあっさり賛成。マスコミも「中国とインフレに勝つための法律」という解説を流していた。

「半導体支援法」は、半導体の国内製造に527億ドル(約6兆8500億円)の補助金を出すことが主柱。いま世界の半導体製造能力をみると、アメリカのシェアは12%で、中国の15%より少ない。このシェアを広げると同時に、最先端の半導体を開発。それを中国へは輸出しないことが目的だ。この補助金はアメリカ国内で製造する外国企業にも適用される。ただ今後10年間、その外国企業は中国での生産規模拡大や製品のアップグレードをしないことが条件となっている。

「インフレ抑制法」は総額600億ドル(約7兆8000億円)、再生可能エネルギーとEV(電気自動車)の普及促進を目的としている。このうちEVには1台7500ドル(約97万5000円)の補助金を出す大盤振る舞い。外国車にも適用するが、24年までに最終組み立てをアメリカ・カナダ・メキシコの北米3国で行い、電池部品の50%以上もこの3か国で生産されることが条件だ。

要するにバイデン大統領の戦略は「半導体とEVの生産で、アメリカが世界一になること」を目標としている。これにより中国はもちろん、台湾や韓国あるいは日本を圧倒的に凌駕する経済大国の再建を目指しているわけだ。アメリカも財政事情は苦しいが、そんななかでも半導体とEVを選択して、一気に巻き返そうという気概がはっきりと見えてくる。

                    (続きは明日)

        ≪4日の日経平均 = 下げ -377.64円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ
   

  クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村






ページトップへ  トラックバック0 コメント0
バイデン大統領の 巧妙な経済戦略 (下)
2023-01-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中国も顔負けの国家による介入 = かつてトランプ前大統領は中国の国有企業に対する補助金政策を強く批判、制裁措置として中国製品に対する輸入関税を何度も引き上げた。これにはトランプ流の脅しと毒舌を伴ったことから、世界中に波風を巻き起こしたことは記憶に新しい。ところがバイデン大統領が成立させた2つの法律は、国による企業に対する補助金の支給という点では、中国と全く変わらない。それをバイデン氏は何の波風も立てることなく、見事に実現してしまった。

またトランプ前大統領は、ことあるごとに「アメリカ・ファースト」を口にした。同盟国ではあってもヨーロッパ諸国や日本より、アメリカの国益を優先するという思想で、これも世界中で物議をかもした。だがバイデン大統領の2法も、完全な「アメリカ・ファースト」である。しかも外国企業まで巻き込んだ「アメリカ・ファースト」だ。バイデン氏はこれも物議をかもすことなく、手中にしてしまった。

表立った波乱や物議は全くない。しかしアメリカで操業する海外の半導体メーカー、EVメーカーが大問題を抱え込んだことは確かだ。おそらくは水面下で、いろいろ画策しているのだろう。だが日本のメーカーについては、いまのところ何の動きも伝わってこない。また日本政府は、どう考えているのか。これもニュースは皆無と言っていい。

中国のように、国家が絶対的な権力を持っている社会主義国。そんな国が権力を行使して、産業を支援する。それに打ち克つためには、自由経済国も国が主導して企業を強くしなければならない。そんな考え方が必要な時代になったのか。バイデン流の手法を見ていると、そんな気もする。さて、日本政府はどう考えているのだろうか。

        ≪5日の日経平均 = 上げ +103.94円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (145)
2023-01-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟第8波”はまだまだ進行中 = 世界の感染者は累計6億6417万人、この1週間で257万人増加した。この増加数は前週より99万人少ない。死亡者は670万5806人で、週間1万0815人の増加だった。この増加数は前週より2248人少ない。感染者、死亡者ともに、増加数はやや縮小している。しかし中国のように集計を断念してしまったり、多くの国が無症状患者を加算しなくなったりしている。だから安心は出来ない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計109万5235人。この1週間で3761人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・ドイツ・インドネシアが16万人台となっている。大きな変化はみられないが、アメリカとドイツで増加数が拡大した。

日本の感染者は累計2983万5917人。この1週間で84万2885人増加した。この増加数は前週より35万人近く少ない。死亡者は5万9042人、週間1983人の増加だった。この増加数は前週より347人少ない。増加数が縮小したのは、10週間ぶり。年末年始にかけて、PCR検査を受ける人が減少したためだと考えられる。

その証拠に、休みが明けた5日は感染者が急増して23万人を突破。また死亡者も498人と、過去最多を記録した。休み中の報告が遅れて出たせいもあるが、‟第8波”は、まだ進行中だ。コロナに対する警戒度をインフルエンザ並みに落そうという議論も進んでいるが、どう考えてもまだ時期尚早。コロナを甘くみると、中国のようになってしまう。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +153.05円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝1敗】     


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2023-01-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 平均時給の伸び鈍化で株高 = ダウ平均は先週484ドルの値上がり。新年の取り引きは、12月のFOMC議事録で「23年中の利下げは想定しない」ことが判明。ISMによる製造業の景況指数が2年7か月ぶりの低さになったりしたため、重苦しい感じで進行した。ところが金曜日に発表された12月の雇用統計で、平均時給の伸び率が鈍化。FRBの金融引き締めにブレーキがかかるという思惑から、700ドルの大幅な反発となった。

日経平均は先週121円の値下がり。大発会の4日は400円近く下げ、9か月半ぶりの安値に。東証プライムの86%に当たる銘柄が下落した。さすがに安値拾いの買い物が出て、その後は値を戻したが雰囲気としては暗い。終り値は2万6000円を割り込んでいる。市場では、この最初の1週間が「ことしの相場を暗示しているのでは」という悲観論も流れていたようだ。

アメリカではアップルやアマゾンなど巨大IT企業の業績が悪化、株価も急降下した。主要500社の1株当たり純利益も、10-12月期には前年比でマイナスになったという推計も出ている。そうしたなかで平均時給の伸び率が鈍化したからといって、株高になるのはやはり不自然だ。すぐに‟奇妙な論理”は訂正されるに違いない。

今週は10日に、11月の家計調査、12月の東京都区部・消費者物価。11日に、11月の景気動向指数。12日に、11月の国際収支、12月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは12日に、12月の消費者物価。13日に、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が12日に、12月の消費者物価と生産者物価。13日に、12月の貿易統計を発表する。

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村


ページトップへ  トラックバック0 コメント0
都知事が先行、首相は足踏み (上)
2023-01-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 少子化対策では勝負あった = 小池東京都知事は4日朝、職員に向けた年頭あいさつのなかで少子化問題に触れ「もはや一刻の猶予も許されない。国の対応を待つのではなく、都が先駆けて具体的な対策を充実させて行く」と発言。さらに「0-18歳の子どもに対して月5000円の給付を考える」とまで踏み込んだ。小池氏は得意の造語力を使って、これは‟チルドレン・ファースト”計画だと表現している。

日本の少子化は、予想以上のスピードで進行中。昨年の出生数は80万人を割り込んだと推定されている。小池都知事はこのような状況に危機感を抱き、国がぐずぐずしているのなら、都が率先して対策を講じる意志を表明したわけ。東京都の0-18歳人口は約200万人、年間1200億円の財源が必要だ。23年度から実施する方針。

岸田首相は同じ4日、伊勢神宮を参拝したあとの年頭記者会見で「異次元の少子化対策に取り組む」と発言した。小池都知事の‟チルドレン・ファースト”に後れること、わずか3時間。①児童手当で経済的な支援を強化②学童保育や病児保育などの支援拡充③働き方改革の推進--が柱になると説明。これは‟子どもファースト”だと強調した。

ただし具体的な施策の内容は全くなく、準備不足を露呈する形となった。その証拠に、岸田首相は6日になって小倉少子化相を呼び、「具体的なたたき台を3月末までに作成するよう」指示している。政府としてはその後に関係閣僚会議を設置し、6月に閣議決定する方針だ。ここから判るように、少子化対策については小池都知事が完全にリード。岸田首相はなお足踏み状態を続けている。

                     (続きは明日)

        ≪10日の日経平均 = 上げ +201.71円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
都知事が先行、首相は足踏み (下)
2023-01-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府・与党はこれから財源探し = 少子化対策を巡る小池都知事と岸田首相のサヤ当て。ある大新聞は「首相より3時間前に発表した小池流のあざとさ」と皮肉り、ある評論家は「チルドレン・ファーストに対して、子どもファーストで対抗するお粗末さ」と嘆いていた。また「これで出生率が上昇するのか」という疑問の声も。しかし準備万端を整えて、小池知事が少子化問題に火を付けたことは確かだろう。

財源問題だけを取り上げても、両者の差は歴然としている。小池知事によると「都が抱える多くの事業を見直してきた結果、財源はすでに十分に確保できている」という。ところが一方の政府・与党は、これから財源探し。社会保険料の引き上げ、少子化対策国債の発行から、消費税の引き上げ論まで。これだけでも議論の集約には、まだまだ時間がかかりそうだ。

東京都を含む全国でみると、0-18歳人口は約2200万人。東京都の11倍だ。したがって国がどんな施策を講じるのかはまだ不明だが、必要な経費は1-2兆円にのぼるだろう。しかも支出は、半永久的に続くと覚悟しなければならない。その財源をどう決めるかによって、各方面に大きな影響が及ぶ。

東京都はこのほかにも、妊娠届けと出産届けが提出された場合、それぞれ5万円のギフト・カードを支給する予定。費用は都と市区町村が半分ずつ持ち、22年度中にも実施する予定。こうした自治体による少子化対策の強化は、他の道府県にも広がる可能性がある。そこへ国の対策が、やがて重なる。その重複を調整するのかしないのか、気になるところだ。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +270.44円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
追い詰められた 日銀
2023-01-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 18日の決定会合でまたサプライズ? = 東京債券市場で、10年もの国債の流通利回りが0.5%に張り付いている。一方、財務省が実施した10年もの国債の入札でも、落札価格は0.5%に急騰した。日銀は昨年12月20日に、長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に拡大したばかり。したがって日銀が許容する現在の最高金利が0.5%、市場では早くもそこまで利回りが上昇してしまったことになる。

変動幅の拡大は、事実上の利上げに他ならない。欧米各国が引き締め政策に乗り出したことから、日銀もさらなる利上げを余儀なくされる。市場はこう考えるから、いまの価格では10年国債を買わない。すると流通価格が下がり、利回りは上昇する。放っておけば0.5%を超えてしまう。だから日銀が大量に買って、金利を0.5%に張り付けている。これが現状だ。

日銀はこれまでにも‟異次元緩和”で大量の国債を購入、市場に現金を放出してきた。そのうえ最近は、長期金利を上げないための国債購入。たとえば22年も100兆円以上の国債を買っている。その結果、日銀は国債発行額の5割以上を保有することになってしまった。長期国債の市場性は完全に失われ、長期金利を基準とする社債の発行も困難になっている。

こんな不自然な状態が長く続くはずはない。日銀はさらなる利上げに追い込まれる。--海外の投資ファンドはこう考えて、長期国債の先物売りを仕掛けてきている。昨年末の変動幅拡大で、これらの投機筋は大きな利益を挙げた。現状は国内投資家は買わず、海外投資家は売りに出ている。日銀ははたして守り切れるのか。今月の政策決定会合は17-18日である。

        
        ≪12日の日経平均 = 上げ +3.82円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (146)
2023-01-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の死亡者増加数が過去最多に = 世界の感染者は累計6億6710万人、この1週間で293万人増加した。この増加数は前週より31万人多い。死亡者は672万2735人、週間1万6927人の増加だった。この増加数は前週より6112人多い。感染者、死亡者ともに増加しているが、たとえば中国のように発表を止めてしまった国もあるので、実際の状況はもっと悪化しているはずだ。多くの国が規制を緩和したところへ、感染力の強いXBB.1.5変異株が発生したためだと思われる。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計109万8512人。この1週間で3277人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・ドイツ・インドネシアが16万人台となっている。ロシアとヨーロッパ諸国で、増加数が拡大した。

日本の感染者は累計3106万5927人、この1週間で123万0010人増加した。この増加数は前週より38万7125人多い。週間の増加数としては、第7波のピークだった8月末の156万人以来の大きさ。死亡者は累計6万1851人で、週間2809人の増加だった。この増加数は前週より826人多く、過去最多。昨年12月1日から1万人増えている。

WHO(世界保健機構)が「感染力が強い」と警告したXBB.1.5変異種も上陸しており、特に70歳以上の高齢者が死亡者の9割を占めている。高齢者施設や病院でのクラスター(集団感染)が多発しており、医療体制も逼迫し始めた。経済活動の正常化を目指して規制を緩和するのはいいが、政府はこうしたクラスターの発生を防ぐための特別な対策を至急に講じるべきだろう。そうしないと「高齢者の犠牲を土台とした景気回復」になりかねない。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -330.30円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2023-01-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 本格化する決算発表に最大の関心 = ダウ平均は先週672ドルの値上がり。ことしになってからの2週間で、1150ドルを超える上昇となった。終り値は3万4300ドルに戻している。消費者物価の上昇率が鈍化したことを好感。雇用統計で時給の増加率が縮小したことも好感。ISMの景況感指数が低下しても、FRBの引き締めテンポ緩和につながるとプラス材料に捉えている。市場では「はしゃぎ過ぎ」の声も少なくない。

日経平均は先週146円の値上がり。終り値は2万6000円台を維持した。ニューヨークの活況に支えられたが、こちらは長期国債の利回り上昇が気がかり。13日には日銀が上限としている0.5%を超え、一時は0.545%にまで上昇した。日銀が再び変動幅を拡大するとみた海外勢が空売り攻勢に出ているためである。この影響で円の対ドル相場が急上昇したことも、輸出関連株の売りにつながった。

ウオール街では、企業の10-12月期決算発表が本格的に始まった。調査会社ファクトセットの推計によると、主要500社の純利益は4%の減益になるという。市場はこれまで景気の下降を示唆する経済指標が発表されても、引き締めテンポの緩和につながると、むしろ好感してきた。しかし企業業績の悪化については、そうも言っていられない。SPグローバル社が機関投資家を対象にしたアンケート調査では、株式などリスク投資には「後ろ向き」の回答が「前向き」を上回った。

今週は16日に、12月の企業物価。17日に、11月の第3次産業活動指数。18日に、11月の機械受注、12月の訪日外国人客数。19日に、12月の貿易統計。20日に、12月の消費者物価。アメリカでは18日に、12月の生産者物価、小売り売上高、工業生産。19日に、12月の住宅着工戸数。20日に、12月の中古住宅販売。また中国が17日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお18日には、黒田日銀総裁が会見。

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
もう負けてる! 日本のEV (上)
2023-01-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 完全に立ち遅れた‟EV元年” = 自動車販売団体の集計によると、22年に日本国内で販売されたEV(電気自動車)は5万8813台。前年比では2.7倍に伸びた。このうち普通乗用車は3万1592台で、前年比1.5倍の増加。軽自動車は2万7221台で、なんと前年比49倍の増加だった。また輸入車は1万4348台、前年比1.7倍となっている。車種別にみると、首位は日産の軽自動車「サクラ」で、2万1887台を売って断トツだった。

これだけの数字をみると、日本のEVも健闘したように思われる。しかし、たとえばEV専業メーカーとして知られるアメリカのテスラ。22年の販売台数は前年比40%増の131万3851台だった。とにかく比較のしようもない。また昨年1-11月の統計でみると、新車販売全体に占めるEVの割合は、中国が21.1%、ヨーロッパが10.3%、アメリカが5.8%。これに対して、日本はわずかに1%台だ。

さらに、こんなデータもある。世界全体のEV販売台数に占める割合は、中国が約4割でトップ。次いでアメリカが約3割、ヨーロッパが約2割となっているが、日本はまだ5%にも達しない。中国はBYD(比亜迪)、アメリカはテスラ、ヨーロッパは独フォルクスワーゲンや仏ルノーがトップ・メーカーだ。

22年は‟EV元年”と言われ、世界のメーカーがこぞって生産・販売に力を傾注した。だが、このスタート段階で、日本のメーカーは早くも大きく出遅れてしまった。残念ながら、ことしも巻き返せるような勢いは見られない。その原因はいろいろ解明されているが、改善への動きは鈍い。このままではEVに関しても、日本は‟周回遅れ”になって行く危険性が大きい。

                      (続きは明日)

        ≪16日の日経平均 = 下げ -297.20円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
もう負けてる! 日本のEV (下)
2023-01-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府・与党には危機感なし = 日本のEVが立ち遅れてしまった原因は、いくつもある。まず給電設備の不足。いま日本国内にある給電設備は約4万基で、中国の135万基、アメリカの10万基に比べるとかなり少ない。政府は30年までに15万基に増やす計画だ。給電器には出力6㌔㍗の普通型と90㌔㍗の高速型があり、給電に要する時間は20倍も違う。海外では高速型が主流になりつつあるが、日本は30年になっても大半が普通型になる見込み。

次はHV(ハイブリッド車=ガソリンと電気の併用)の問題。日本のメーカーはHVの生産で、高い技術力を獲得した。このためHVからEVへの切り替えが遅れがち。またガソリン車の部品は3万点だが、EVの部品は半分程度。ガソリン・エンジンが無くなると、69万人もの労働者が職を失う。この系列企業の職種転換をどう進めるか。組み立てメーカーがEV専業化に踏み切れない大きな原因となっている。

EVの生産はガソリン車に比べると、技術的には非常に簡単だ。このため異業種からの参入も多く、新興国でも製造が始まった。その結果は競争が激化、世界では早くも価格の引き下げ競争が始まっている。たとえばインドのタタ自動車は135万円、中国の上海汽車集団は200万円のEVを売り出した。ことしに入っては、あのテスラも6-20%の値下げを断行している。

中国はもちろんだがアメリカもヨーロッパも、政府が補助金や減税によってEVの生産・販売を積極的に支援している。だが日本政府の対応は鈍い。ことしの税制改正では、EVに対する補助金の一部を削ったほど。給電設備の普及や車載電池の性能向上、さらには自動車関連企業の職種転換などなど、支援すべき事項はたくさんある。ここで政府・与党が目を覚まさないと、パソコン、スマホ、太陽光発電パネルに続いて、EVも世界の潮流からはじき出されてしまうだろう。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +316.36円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
大ピンチに陥った 中国経済 (上)
2023-01-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 成長率が3%を下回った = 中国政府は17日、きわめて重要な経済指標をまとめて発表した。それを見ると、いま中国経済が短期的にも中長期的にも、非常に大きな困難に直面したことが判る。GDP成長率が急減速したにもかかわらず、物価は上昇。また総人口が減り始めたにもかかわらず、失業者は増えている。高齢化が進み、政府の社会保障支出も急増して行く。習近平政権は、この苦境を乗り越えられるのだろうか。

統計局の発表によると、昨年10-12月期のGDP成長率は、前年比の実質で2.9%だった。7-9月期の3.9%から、さらに減速している。ゼロ・コロナ政策の実施で消費需要が抑制され、生産活動も規制された。加えて欧米諸国の金融引き締めで、輸出が大きく落ち込んでいる。10-12月期の輸出は前年比7%の減少。アメリカ向けは19%、EU向けは12%の減少となっている。

この結果、22年のGDP成長率は3.0%に落ち込んだ。ひところは8-10%の高度成長を誇っていたが、いまや低成長国の仲間入り寸前。習政権が目標とした5.5%にも、全く届かなかった。同時に発表された鉱工業生産は前年比3.6%の増加だったが、1-9月期の3.9%増からやや鈍化。小売り売上高は0.2%の減少で、1-9月期の0.7%増から大幅に低下。固定資産投資額も5.1%伸びたが、1-9月期の5.9%増からは縮小という具合。いいところがない。

高度成長のおかげで、GDPがアメリカの7割にまで拡大した中国経済。習近平主席は「アメリカに追い付き、追い越す」ことを夢見ていたに違いない。だが、それは夢のまた夢になりそうな気配。いま習政権は景気の立て直しに必死だ。ゼロ・コロナ政策を停止、不動産に対する融資規制を撤廃、アリババなど巨大IT企業に対する規制も解除した。さらに人民銀行は、大量の資金を市中に放出している。

だが、やりすぎると不動産バブルが再燃したり、インフレが加速しかねない。さじ加減はきわめて難しい。ゼロ・コロナ政策を放棄し、国内の往来を自由にしたから、成長率はいったん5%程度にまでは戻るだろう。しかし、5%以上の経済成長を長期にわたって続けることは至難の業に違いない。人口も減り始めたからである。

                     (続きは明日)

        ≪18日の日経平均 = 上げ +652.44円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
大ピンチに陥った 中国経済 (下)
2023-01-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 人口の縮小期が始まった = 統計局は「22年末時点の総人口が14億1175万人になった」と発表した。この総人口には香港とマカオ、それに外国人は含まれていない。前年比では85万人の減少だったが、中国の人口減少は実に61年ぶりのこと。1980年ごろから実施した‟一人っ子政策”の影響が大きい。たとえば22年の出生数は956万人で、前年比106万人の減少だった。この出生数は49年の建国以来、最も少ない。ピークだった16年に比べると約半分、その減り方の激しさに驚かされる。

政府は‟一人っ子政策”を撤回、16年には‟二人っ子政策”に転換。さらに21年には3人目の出産を認めることにした。しかし効果はほとんど出ていない。その原因は、多くの人々が「子どもは一人でいい」と考えるようになったこと。その背景には、教育費の高さがあるとも言われている。国家権力が強大な中国でも、無理に子どもは増やせないようだ。

その一方で高齢化ガ進み、22年末時点で65歳以上の高齢者は全人口の14.9%を占めた。平均年齢は現在38歳だが、47年には50歳に近づく見込み。そして今後10年間で2億3400万人が定年退職、生産年齢人口は9%減少する。ところが現時点でみる限り、若年層の失業率は20%にも達している。このため都市部と地方の間だけではなく、都市部での貧富の格差も大幅に広がってしまった。

生産年齢人口の減少は生産・消費の両面から、経済を強く圧迫する。社会保障費も増大するが、それを負担する若者の人口は減る。すでに3人の現役世代が1人の高齢者を支える構造になっているが、今後は若者の負担がさらに急増する。政府に対する不満も拡大しかねない。なにやら日本の状況とそっくりだ。しかし中国の人口は日本の11倍。それだけに問題も大きく、対処はきわめて難しいと考えられる。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -385.89円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (147)
2023-01-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の死亡率はいま世界一だ = 世界の感染者は累計6億6913万人、この1週間で203万人増加した。この増加数は前週より90万人少ない。死亡者は673万7527人で、週間1万4792人の増加だった。この増加数は前週より3863人多く、昨年10月中旬以来の水準。感染者の増加はやや縮小したが、死亡者は増えている。これは多くの国で、感染者の全数把握を放棄してしまったからだろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計110万2286人。この1週間で3774人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・ドイツ・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・メキシコ・フランスで、死亡者の増加数が拡大。アメリカは110万人台に乗せた。

日本の感染者は累計3185万1344人、この1週間で78万5417人増加した。この増加数は前週より44万4593人少ない。死亡者は6万4721人で、週間2870人の増加。前週より61人増えている。第7波のピークは8月下旬の週間2000人だったから、それをはるかに超え、過去最多を更新した。感染者からみると第8波もピークに達したように思われるが、これがそのまま死亡者の減少にもつながるかどうかは、まだ不明。

それにしても、日本の死亡者数は異常に多い。たとえばこの1週間でみると、アメリカは3774人、イギリスは917人、フランスは1260人といった具合。人口比を勘案すると、日本の多さが際立っている。この死亡率が世界一となっている事実を、なぜ新聞やテレビは報道しないのだろうか。そんななかで岸田首相は20日「コロナの扱いを、春までにインフルエンザ並みの感染症に落とすよう」指示した。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +148.30円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2023-01-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気後退はやっぱりイヤ = ダウ平均は先週927ドルの値下がり。ことしに入ってからの値上がり分をほぼ帳消しにした。年末商戦が不振で12月の小売り売上高が1.1%の減少、消費者物価の上昇幅が縮小、卸売物価は0.5%の下落。さらに大手IT企業による人員削減、ゴールドマン・サックスやプロクター&ギャンブルなど思わしくない決算発表・・・。景気後退の懸念材料が続出して、株価も素直に嫌気した。

日経平均は先週434円の値上がり。企業物価や消費者物価が大幅に上昇。しかし日銀は超緩和政策の継続を決めたから、金利が上がる心配はない。異常なほどの貿易赤字が発表されても、株価は動かなかった。高値では利益確定売りも出たが、あっさりとこなしている。「ニューヨークがダメなら東京で」というカネの流れもあったようだ。

ニューヨーク市場では「ことし中に利下げ」の観測がほぼ消えた。インフレは長引き、FRBの引き締め政策が長期化するという見方が強まっている。このため「景気が悪くなれば、引き締め政策のテンポが緩む」という論理は説得力を失いつつあるようだ。やっぱり「景気後退は株価にとってマイナス」という常識的な考え方に戻ったことになる。したがって当面の株価は、決算発表の内容に強く反応することになるだろう。

今週は26日に、12月の企業向けサービス価格。27日に、1月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは24日に、1月のPMI景況指数。26日に、10-12月期のGDP速報、12月の新築住宅販売。27日に、12月の中古住宅販売が発表される。

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
日銀には 説明責任が! (上)
2023-01-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ まず超緩和政策の功罪を検証 = 日銀は先週18日の政策決定会合で「超金融緩和政策の維持」を決定。市場の予想に反して、長期金利の変動幅も拡大しないことを決めた。これを受けて円相場は3円ほど円安に振れ、日経平均は650円も上昇した。日銀は昨年12月、長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に拡大。今回はさらに0.75%にまで広げるという見方が強かったが、なぜ見送ったのだろう。

これについて、黒田総裁は「必要がなかったから」のひと言で片づけた。だが、これは全くの説明不足。というのも12月に変動幅を拡大した理由は、長短金利が不自然に逆転。さらに長期金利が人為的に抑制されたため、民間の社債発行が困難になったためだ。しかし、これらの副作用はいぜんとして解消されていない。にもかかわらず「必要がない」とは、どういうことなのか。きちんと説明すべきだろう。

超金融緩和政策には、プラス面もあるがマイナス面も大きい。資金を借り入れている企業や住宅ローンを借りる家計にとっては、たしかにメリットがある。だが半面、円安によって輸入物価が上昇し、企業や家計の負担は急増した。また利子収入も、ほとんど無くなっている。日銀は、そのプラス面とマイナス面を正確に計量し、どちらが大きいのかを検証して説明する責任がある。

金利の上昇で最も損をするのは、政府である。金利の1%上昇で、国債費が3兆6000億円も増えてしまうからだ。日銀はそのために、長期金利の変動幅を拡大できないのか。それとも10年も続けてきたゼロ金利政策を止めることは、メンツにかかわるからなのか。すべてが闇のなかである。黒田総裁は4月8日に退任するが、それまで何も説明しないつもりなのだろうか。

                      (続きは明日)

        ≪23日の日経平均 = 上げ +352.51円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
日銀には 説明責任が! (下)
2023-01-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「物価2%目標」にイミはあるのか? = 黒田日銀総裁は「物価2%の目標を達成するまでは、超金融緩和政策を続ける」と、しばしば発言してきた。この「物価2%目標」は、13年1月に政府と日銀が異例とも言える共同声明を発表する形で打ち出した政策目標。そこには「デフレ脱却のため、物価上昇率2%に向けて大規模緩和を続ける」と書かれていた。要するに、景気が上昇し需要が増大して物価が2%程度にまで上昇するような状態を目指すというわけだった。

いま消費者物価は、前年比4%にまで上昇している。しかし、この上昇はエネルギーや食料の国際価格が急騰、それに円安の効果が加わったことが原因。国内需要が増大した結果ではない。したがって、日銀は「まだ2%目標は達成できておらず、超緩和政策を続ける」と主張している。だが過去10年にわたって「物価2%目標」が達成されなかったことは、厳然たる事実。近い将来に達成できる可能性はあるのだろうか。

冷ややかな目で観察すれば、政府と日銀は‟10年前の古証文”を後生大事に取り扱い、果たせぬ夢を追い求めているようにも映る。しかも、そのために日銀は異常な勢いで国債を買い集め、金融市場の機能を破壊してしまった。さらに円安を助長し、企業や家計に多大な負担を押し付けている。このため最近では、政府部内にも「物価2%目標は取り下げた方がいい」という声が出始めている。

この4月8日には、日銀総裁が交代する。新総裁の最初の大仕事は、おそらく「物価2%目標」の修正あるいは廃止になる公算が大きい。だが、こんな後ろ向きの仕事を新総裁に託するよりは、黒田総裁が「自ら播いたタネを刈り取ったら」どうだろう。同時に副作用が大きくなりすぎた超緩和政策についても修正し、国民に説明責任を果たす。立つ鳥跡を濁さず、である。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +393.15円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
景気低迷の元凶は 貿易の大赤字 (上)
2023-01-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年間20兆円のおカネが海外へ流出 = 財務省は先週、22年の貿易統計を発表した。それによると、輸出は98兆1860億円で前年比18.2%の増加。一方、輸入は118兆1573億円で39.2%の増加だった。輸出入額とも過去最大。輸出も健闘したが輸入が4割近くも増えたため、貿易収支は19兆9913億円の大赤字となっている。つまり昨年は、日本から差し引き20兆円のおカネが海外に支払われたわけだ。

東日本大震災によって、日本は深刻なエネルギー不足に見舞われた。このため燃料の輸入が急増。14年の貿易収支は12兆8165億円の赤字となっている。昨年の赤字額は、それよりはるかに大きい。言うまでもなく、ウクライナ戦争の影響でエネルギー・資源・食料の国際価格が急騰。それに円安の影響が加わったことが原因だ。

特に大きく増えたのが、エネルギーの輸入。原油や天然ガスなど鉱物性燃料の輸入額は33兆4755億円で、前年比は96.8%の増加。ほぼ2倍に急拡大した。輸入額全体の28.3%を占めている。このうち原油の平均輸入価格は1キロ・リットル=8万4728円、前年より76.5%高かった。その他の燃料も、同様に高騰している。

貿易赤字の20兆円は、企業や家計が値上がりしたモノやサービスを購入するという形で負担している。それだけ国内の購買力が海外に流出したと考えてもいい。それだけ景気を押し上げる力が減少したとも言えるわけだ。でも「日本はエネルギーも食料も自給できない。だから仕方がないのでは」と考える人は多い。政府も日銀もそう考えているようだが、果たしてそれでいいのだろうか。

                      (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 上げ +95.82円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
景気低迷の元凶は 貿易の大赤字 (下)
2023-01-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟バラ播き”では何も改善しない = 22年の貿易赤字は、ほぼ20兆円。ちなみに21年は1兆8000億円弱の赤字だった。したがって仮に22年も21年並みの赤字で済んだとすれば、18兆円ものおカネが国内にとどまった計算になる。その大半が設備投資や人件費、あるいは消費に回れば、それだけ景気は押し上げられたはずだ。しかし現実には18兆円ものおカネが、余計に流出してしまった。いまさら泣き言を言ってみても始まらない。

問題は22年の貿易環境が長期化し、巨額の貿易赤字が定着する可能性があること。専門家の多くは「少なくとも23年は大赤字」と予測している。こんな大赤字が何年も続けば、日本人の購買力が海外に吸い取られて、日本経済は衰弱してしまう。だから少しでも赤字を減らす工夫と努力が大切だ。しかし政府は電気・ガス料金やガソリン代の補助に明け暮れ、根本的な対策をとっていない。

エネルギー・資源・食料の輸入を出来るだけ減らすには、自給率を上げるしかない。再生可能エネルギーや原子力の利用、海底資源の開発、食料の増産。こうしたことに、政府は真剣に努力しているのだろうか。また円安が輸入物価を押し上げ、輸入代金を増大させている。円の対ドル相場が100円に上昇すれば、輸入物価は3割ほども安くなる。

だが政府には、日本のエネルギー構造を根本的に改革しようという意識がない。日銀も円高にしようとは考えない。いまは政府と日銀が一緒になって、貿易の大赤字に貢献しているようにみえる。たとえば政府による節電の呼びかけ。いまは「電力不足に備えるため」だが、これも「エネルギーの輸入をできるだけ減らすため」に変えるべきだ。とにかく‟その場しのぎ”の対応ではなく、構造を改善する努力が何よりも肝要だ。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -32.26円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (148)
2023-01-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「ワクチン射つと死者が増える」という記事 = 世界の感染者は累計6億7071万人、この1週間で158万人増加した。この増加数は前週より45万人少なく、過去最少。死亡者は675万1753人で、週間1万4221人の増加だった。この増加数は前週より566人少ない。感染者は大きく減少したが、それに比べると死亡者の減少はごく僅か。WHO(世界保健機関)も「いぜん死亡者が多いことには警戒すべきだ」とコメントしている。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計110万6524人。この1週間で4238人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・ブラジル・メキシコ・イギリスで増加数が拡大。ドイツの死亡者数がフランスを上回った。

日本の感染者は累計3233万0721人、この1週間で47万9377人増加した。この増加数は前週より30万6040人少なく、昨年11月上旬以来の低水準。死亡者は6万7097人、この1週間で2376人増加した。この増加数は前週より494人少ない。この数字をみて「第8波はピークを超えた」という見方も出ている。政府は「5月8日にコロナの扱いを季節性インフルエンザ並みに格下げ」することを決めた。

感染者の増加数が急減したのは、ほとんどの国が全数把握を止めたために他ならない。ところが死亡者の増加数はあまり減らないから、死亡率が上昇してしまう。日本の有力な週刊誌が「ワクチンを射つと死者が増える」という記事を載せて、読者を驚かせた。これも死亡率が高いという現在の状況を踏まえた分析ではあるまいか。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +19.81円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2023-01-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟鬼の居ぬ間に洗濯”する株式市場 = ダウ平均は先週603ドルの値上がり。前週末から6日間の連騰で、終り値は3万4000ドルに急接近した。景況感指数が悪化したり、巨大IT企業による大量の人員整理が続いたり。悪材料も出たが、市場は気にしない。特に大きな悪材料ではないという認識だ。その半面、昨年10-12月期のGDP成長率が予想を上回ると、素直に反応する。まさしく‟鬼の居ぬ間の洗濯”である。

日経平均は先週829円の値上がり。3週連続の上昇で、この間の上げ幅は1400円に達した。ニューヨークの連騰にも引きずられたが、コロナ規制の撤廃に対する期待が大きい。外国人観光客を含めた個人消費の拡大で、どの企業が儲かるか。市場では、銘柄の物色が続いた。またIMF(国際通貨基金)が日本経済の予測を上方修正したことも、買い材料になった。

FRBは2月1日、政策金利の0.25%引き上げを発表する見込み。ニューヨーク市場は完全に織り込んでいるので、好材料にはなっても悪材料になることはないだろう。ところが、そのころ企業の12月期決算がピークを迎える。もし、その内容が予想以上に悪いと、市場は‟鬼”に直面する。東京市場の決算発表も2月10日がピーク。状況は全く同じだ。

今週は31日に、12月の労働力調査、商業動態統計、鉱工業生産、住宅着工戸数、1月の消費動向調査。1日に、1月の新車販売。アメリカでは1日に、1月のISM製造業景況指数。3日に、1月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。またEUが31日に、10-12月期のGDP速報。中国が31日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお1日に、パウエルFRB議長が会見。

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
東京は大阪の6割高に : 電気料金 (上)
2023-01-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原発の有無で大きな差が発生 = 大手電力会社の値上げ申請が出揃った。値上げを申請したのは、北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄の7社。残りの中部・関西・九州の3社は、値上げしない。申請した値上げ幅が最も大きかったのは北陸電力の42.7%、小さかったのは四国電力の27.9%。北海道と東京は6月から、その他の5社は4月からの値上げを予定している。経済産業省の審議会が査定するが、申請に近い値上げが認められることになりそうだ。

各家庭が電力会社と結ぶ契約には、2つの方法がある。1つは値上げに政府の認可が必要な規制料金方式。もう1つは16年の全面自由化に伴って設置された自由料金方式で、政府の認可は必要ない。規制料金方式で電力会社と契約している家庭は、全体の約7割。今回はこの規制料金が値上げされる。値上げの理由は、言うまでもなく輸入燃料の高騰だ。

東京電力の規制料金契約は約1000万件。その東京電力の場合、平均的な家庭(月260㌔㍗時)の料金は1月で9126円だった。申請通りの値上げが認められれば、6月の料金は1万1737円に上がる。ところが政府が1月から電力会社に補助金を出して、料金が2割程度下がるようにした。このため6月の料金は9917円に。1月に比べると、791円の値上がりということになる。

関西電力など3社が値上げしないのは、原発が稼働してコストが下がっているため。政府の補助金があるため、関西電力の6月の料金は標準世帯で5677円になる見込み。東京電力との差は、なんと4240円にもなる。関東圏の電気料金は6月以降、関西圏より6割も高くなる。しかも政府の補助金は、いまのところ9月分で終了する予定。それ以降は、全国の料金がさらに2割程度も上がることになるかもしれない。

                       (続きは明日)

        ≪30日の日経平均 = 上げ +50.84円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ


     クリックお願いします ⇒ にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
<< 2023/01 >>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


余白 Copyright © 2005 経済なんでも研究会. all rights reserved.
  翻译: