その時が訪れるまでのドキドキ。早くも初めての決算発表。次第に高まりゆく鼓動の高鳴りは、いつの日にか経験したことのある期待と不安の交錯。
「決算書は会社にとっての通信簿」とも称されるそうだ。これはまさに通知表配りの前の、あの何とも言えぬ緊張感。とはいえ己が評価されるという訳ではなく、評価する側なのであるが。
なんだかそわそわとしたまま、企業のウェブサイトの更新を繰り返して、発表時間を待つ。そうしてIR情報のページがついに更新される。今は四半期決算シーズンの真っただ中。次々に公表されていく業績と業績予想。決算は、私のような風が吹けば飛んでいってしまいそうな株主にとっては、手に汗握る緊張の一瞬であった。
取引所での株式売買が終わった大引け後1に発表となった最初の通信簿は、上場の出来。ただし私の主観的な評価とは裏腹に、玄人投資家が闊歩する市場の客観的評価2というのは、一概には一致しない。素人にとっては、その判断はなかなかに難しい。
だが次の日、私は目を疑った。
「いったい…何が起きているんだ…⁉」
あれよあれよと一挙に100円以上の値を上げていて、リアルタイムにみるみると上昇していく数値。「これは、凄い。」固唾をのんで見守っていれば、暴騰を見せた。だが次第にずるずると緩やかな下降線を描いていったのであった。結局のところ既視感のある景色。いい所までは上昇気流に乗ったが利確してしまう人も多かったという所であろう。終わってしまえば、いつもの光景に戻っていた。
そして、どうやら一人取り残されたような。夢を見ていたような一日。
「勝つときには大きく、負けるときには小さく。」
株式投資において、多くの歴戦の兵たちが口を酸っぱくして言っていた教訓であったが、結局のところ見ているだけ、利確しないのでは、何も無かったと同じ事のようだった。
これらの実践を踏まえ、多くの教訓を得た。新たな株式の本にも手を伸ばし、更なる知識を得た。そのうえで、この欲深き男は更に株を揃え、リスクの分散とアワヨクバ暴利を得んと欲するのであった。