FILSONのマッキーノクルーザーは時を経ても尚、輝きを保ち続ける。親から子へ、子から孫へと受け継がれ行く最高の逸品。創業以来、そうして最上のモノづくりをせんと志し、これまで伝統的に継承されてきた精神。そこから生まれ得る信頼。その代名詞こそが、フィルソンなのである。
フィルソンのクルーザーは、創業者のCCフィルソン氏が自ら設計。1914年に特許を取得。その時以来、今日に至るまで基本的なデザインが変更されることは無かったという。100年を超える伝統的なデザインは、時代を経た今でも古びれることのない、洗練された機能美であるといえる。ただそこに存在するだけで美しい。その普遍性が、歴史と伝統の重みを如実に表しているようだ。
マッキーノクルーザージャケット、どうせ持つなら最高のものを。
最高の天然素材に拘ってきたフィルソン。クルーザーの中でも厳選された原毛のみ、完全なるバージンウールのみを用いて作られた製品。それがマッキーノクルーザーだという。その心意気は、創業者が遺した“MIGHT AS WELL HAVE THE BEST”という言葉に集約されている。
実際目にしたときの無類の上質感には、衝撃的な印象を受ける。同時に過酷な環境下での重労働に耐える頑強さ、クルーザー自体の重量からして3割程の水を含んでも使用者に不快感を与えないとされる快適性。逸品というに相応しい、威風堂々とした雰囲気は圧巻と言う他ない。ちなみにカラーは、ダークネイビーを着用している。
道具を持ち歩いてこそ、その真価を発揮する。
さて、本来クルーザーは森林従事者やハンターといった現場の労働者に向けた製品なのであるから、多種多様な道具を所持する場合にも活躍する。いやむしろ、そのような使い方により適したアウターなのである。鞄を持たずその総てをマッキーノクルーザーに収納するのも良し、鞄と併用し最高の使い勝手を追求するも良し。ただ羽織るだけで、そこに各々にとって至極のシステムが完成するといったところだ。
森林に分け入る道具としても最適な質実剛健さが嬉しい。ワークスタイルと考えれば、クラシカルなデニムジャケットとの相性も優れて良い。着丈が比較的短めなファーストモデルのようなGジャンと合わせるのも手である。綿密な織り込みで風を防ぎ、なおかつ暖かである。脱いでも着こなしとして完成しているという事を鑑みれば、便利なコーデである。
フロントのフラップポケットが4つ、スロッテッドパッチポケット、ハンドウォーマーポケットが2つ、ユーティリティ内ポケットが1つ、そして背部のマップポケット。合計9つのポケットが、多くの道具を収納してくれる。その収納性は高く、また取り出しやすい。最初から何処に何を収納するかさえマイルール化してしまえば、無意識のうちに道具を扱うという事が可能となる。
背部の大容量デュアルエントリーマップポケットは、銃器の薬莢や獲物の肉片を入れて運ぶ為にあるようだ。もちろん本の数冊なんて何のその。まるで衣服そのものが鞄であるような感覚。実際のところ鞄を持ってそこから荷物を取り出すという行為から鑑みれば、それを衣服に身につけた際には電光石火の如き早業で、道具を繰り出すことが出来るものである。これはまさに革新。
米国労働者から評判を集めた、実践を伴う実用品。
冬場にフィールドで着込むことを考えても優れて実用的な衣服である。ポケットに手を入れたり、とても多くのものを格納する事が出来る。手袋やニットキャップ、その他実用的な小物を収納。暖かさを保ちながら、頑強な生地感が嬉しい。厳しい冬の寒さを湛えた、自然の中に飛び込む際においても、一切躊躇することが無い。
ところで、銃器とカメラはよく似た部分がある。shotやshootという言葉が、撃つや撮るという両方の意味として機能している点も何ら不思議な事はない。あたかも照準を合わせて、引き金を引くと同じように、ファインダーで合焦させ、シャッターを押すという行為。それは何れも緊張感を持った行為なのである。だからこそ、その行為自体は常に周囲に対する威圧感と成り得る。
狩猟用としても用いてこられたマッキーノクルーザーは、カメラ趣味にとっても最高の相棒として存在する。コンパクトカメラやフィルムやバッテリー。フィルターやレンズキャップといった小物を手早く収納、また取り出すことが可能である点は、スナップ写真にとっても追い風となる。しかも肩や腕も動きやすい。
そのように考えると、釣り人などにも丁度良い製品。元来、バージンウールには油分が多く含まれている。その為、汚れにも強く、防風性や防水性、保温性までも高い。森林や湖畔などに赴き、自然を相手にして真剣に向き合う。そんなとき信頼ある最高の天然素材、マッキーノウールが用いられたアウターを羽織っていたい。もっとガシガシと自然の中に分け入っていく。
マッキーノクルーザーはフィルソンを代表し、アメカジの定番であるとさえ言われるファッションアイテムである。だからこそ、アウトドアのみならずタウンユースでさえ違和感なく、むしろカッコよくそこに佇むことが出来るのである。
だとすれば尚更、伝統に即して愛用の道具を持ち歩き、よりヘビーデューティに着こなしたいものである。多くの道具を持ち歩いたとして、傍目から見ても何ら仰々しく感じない。そんな特権があればこそ。
伝統的アメカジ、アウターとしての機能性と暖かさ。
ところでウール素材は、吸湿発熱性という寒さに強い特質を備えている。素材に水分を含むと熱を帯びる性質を保持。この原理を応用した化学繊維は現在では広く知られ、多く衣料品に用いられている。古くからこの発熱性は知られるところであり、特にマッキーノクルーザーにおいては、24オンスという厚手のウール生地が用いられているため、優れて暖かい。しかも天然素材で頑丈。もっとガシガシと自然の中へ分け入って行きたくなる。
しかも実は、この服には裏地が付いていない。とはいえ、この事によって多少体を動かし、汗が出るような状況であっても内側が蒸れることなく、かえって服そのものが湿潤熱を帯びて暖かいとなる。そんな一石二鳥の代物なのである。かつて更に厚い26オンスの生地が使われていたというが、変更された24オンスであっても十二分に暖かい。
近年の仕様変更の結果、24オンスへと軽量化されたが、これによって更に動きやすくなっている。これを果たして負だと見るか、正だと見るかは各人の印象によるであろう。しかしながら時代の潮流に合致するかのように、フィルソンのマッキーノクルーザーのような伝統ある製品もまた、作業着から普段着へとその様相も変化しているようである。同様にアメリカのアイコンともなったリーバイスのジーンズが、今まさにそうであるかのように。
我々の特別な指示で織られ、最も重い24オンスのマッキノーウールは耐久性、自然な風合い、通気性、そして素晴らしい撥水性を兼ね備えています。米国とカナダ北西部に生きる少数群の羊の素材で作られていて、例え非常に濡れた状態であっても体温を失うことや体そのものを濡らすことなく、その重量の30%もの水分を含有できる特別なものです。また20,000回もの折り曲げにも耐える耐久性も兼ね備えています。FILSONのヴァージンマッキノーウール100%の素材に勝るものは存在しません。
FILSON Japan-マッキーノクルーザーより
また、それ以上に防寒性や耐久性などを求めるならダブルマッキーノクルーザーなどという選択肢も用意されている。肩から腕と胸にかけて二重の生地が施され、更に重厚な生地感がある。同時にその重量もなかなかのもの。通常の使用ならシングルのマッキーノクルーザーで十分事足りる。ちなみにマッキーノクルーザーならば、藪の中に分け入る際でもケガするとか、衣服が破けるとかといった心配からも解放される。クラシカルながら作業着として用いられていたという信頼ある製品である。
フィルソンのマッキーノクルーザー、サイズ感と仕様
製品名 | マッキノーウールクルーザージャケット |
英名 | MACKINAW WOOL CRUISER JACKET |
用途 | 普段、野外、旅行、作業 |
素材 | マッキーノバージンウール100% |
生地の厚み | 24オンス |
質量 | XSサイズ:約1300g(実測値) |
生産国 | アメリカ製(made in USA) |
サイズ感 | 表示サイズXSの場合(体感): ・日本サイズMサイズ程度 ・身長約170cm、体重約60kgで丁度良い程度 |
備考 | ・1914年に特許取得、歴史あるデザイン ・ミリタリーグレードのメラミンボタン使用 ・カフボタンでサイズ調整が可能 ・通気性、柔軟性、撥水性に優れた生地 ・前、後、内に9つのポケットを装備 |
サイズ感としては、非常に大きめに作られている。普段、日本サイズにおいてMサイズ着用で丁度良い程度であったとしても、このマッキーノクルーザーにおいてはXSでしっくりくる。中に多く着込みたいというような用途を考えている場合は、Sサイズであっても問題ない。ワンサイズからツーサイズほど小さいサイズを選ぶと良いと思われる。
サイズ(cm) | XS | S | M | L | XL | XXL |
---|---|---|---|---|---|---|
ウエスト | 70-77 | 77-85 | 85-93 | 93-100 | 100-110 | 110-118 |
ヒップ | 85-93 | 93-100 | 100-110 | 110-116 | 116-126 | 126-131 |
首周り | 34-36 | 37-38 | 39-41 | 42-43 | 44-46 | 46-47 |
首から手首 | 83-85 | 84-87 | 86-89 | 87-90 | 90-93 | 92-95 |
胸囲の目安 | 85-93 | 93-100 | 100-110 | 110-116 | 116-126 | 126-131 |
身長の目安 | 155-175 | 165-185 | 175-185 | 180-200 | 180-200 | 180-200 |
一人の人間が、一つの製品を。安心と信頼の生産方式。
フィルソンにおける信頼の源、それは職人の心意気そのものである。1931年に生み出された「Filson Unit Garment Method」という生産方式では、一人の職人が最初から最後までその製品に携わる。これによって責任の所在が明確化されるだけでなく、一つの製品に対する職人の心意気や誇りまでも反映されるのである。現在に至るまでも、この伝統が継承されている。日本でいうところのセル生産方式、その究極とも言われる一人屋台生産方式である。
フィルソンが掲げるモノづくりの規範。そのとき手に入れられる最高品質の素材を用いて、顧客の話に耳を傾け、自らの製品が良く出来ている事を褒めるというもの。それは、作り手の心意気を真正面から使い手が感じることの出来る製品であることの所以である。そのようにして作られた製品は、また必ずや熟練した検査官によって、人の目で最終的に確認されたうえで、我々の手に届いているという信頼もある。
ところで、民藝の父でもある柳宗悦氏が言うように、良きものという価値観の一つに、手仕事がある。フィルソンの生産工程にはミシンが用いられているが、多くの場合、採寸や切り出しなども人の手によって行われている。人の手や目の奥には心が控えていると氏が言うように、工業製品であっても、その重要な要素が宿った製品というものが存在する。まさにアメリカのシアトルで作られているフィルソンには、良きものとしての資質が必ずや備わっているのである。
さて大量生産に力を発揮したライン生産方式であるが、日本で生まれた概念で、多品種少量生産で力を発揮するのがセル生産方式だ。それは在庫管理を徹底する中で、その時々に生産ボリュームを調整し、更に労働者の士気向上に繋げられる。しかし、一人一人が多くの作業工程に従事せねばならぬため、熟練度や教育時間が必要とされる。その究極と言われるのが、一人で全工程に関わる一人屋台生産方式である。この方式は、今やNECやキヤノンを含めて多くの精密機器産業でも採用されている。
1990年代に日本で生まれたとされるセル生産方式。その極めつけの一人屋台生産方式。その考え方が、フィルソンによって1930年代に確立されていたことは、特筆に値するものである。
生産方式には得手や不得手があるけれども、いずれにせよ一つの製品に関わる人の数が減ることで、生産者と使用者の顔が必然的に近くなる。更にはマイスターが製品全体を俯瞰しながら制作できる事で、目の前の仕事だけでなく、製品としての在り方や使用者の生活までを思いやることが出来るようになる。そうしてマッキーノクルーザーが、そのような環境下で生産されているという事実を知るだけでも、所有する喜びを感じ得るものである。
ブログ:マッキーノクルーザーで、米国製アメカジコーデ。
インナーもメイドインUSAの逸品を取り上げ、マッキーノクルーザーと共演。
select 01. チャンピオンのT1011
アメリカの黄金時代、労働者を支えた作業着としての立ち位置。実用としての品でありながらも、特にバックスタイルの美しさに魅了される。ただTシャツの上から羽織るというだけで、頗るカッコいい。同様にアメリカで生まれた名品でもある、ド定番Championの米国製ラグランスリーブT1011のようなインナーと合わせる着こなしも良い。ただそれだけで北風すさぶ季節、オートバイでの風にさえ耐え凌ぐことが出来る。
このようなシンプルな組み合わせで、もはや絵になるコーデが完成する。いずれも頑丈で機能性が高い。綿密に織り込まれた生地感は、いつだって暖かいのである。マッキーノクルーザーならば、一般的な外套と異なって室内でも着られるところも嬉しい。しかも体温調整が必要な場面で、いざクルーザーを脱いだとしても、ラフに一枚で成立する良品を着込むと最高だ。
select 02. アイクベーハーのシャツ
内側に柄物のシャツを着るというのも一興。1982年創業のアイクベーハーも米国製のこだわりシャツを作り続けているメーカーである。カジュアルなシーンで活躍するシャツ。時には小紋柄やペイズリー柄で伊達に着こなしたい。ジーンズにトップスインしても、やたらにカッコいい。
Select 03. パタゴニアのクラシック・レトロX・ベスト
厳しい冬は、Patagoniaのクラシック・レトロX・ベストなどの防風性と透湿性がともに優れた製品をインナーとして羽織る。今回ご紹介したのは、着丈の短いベストらしい佇まいをした今は無き米国製のものであるが、その相性の良さは最高。勿論のこと今もレトロXとして販売されている現行モデルとも抜群に似合う。ちなみにベストであることによって動きに難なく対応できる。まさに活動のためのギア。
しかも現行モデルは着丈が少しだけ長く、腰回りまでカバーされ、裏地がしっかりとしている。その為、同じく腰丈のマッキーノクルーザーと組み合わせると上半身の暖かさが優れて確保されるものである。そして、レトロXのメインファスナをすべて閉じてしまえば、マフラー要らずなのである。更にクルーザーの襟を立てると厳しい寒さも何のその。素晴らしいギア同士のコラボから生み出される快適。
Select 04. チャンピオンの赤タグパーカー、C5-U101
冬場の活動で暖かさを担保しながら動きやすさを追求し、更に街中でも違和感の無いお洒落さを保つ。そんな贅沢で、我儘な選択。それがチャンピオンの赤タグにマッキーノクルーザーを組み合わせるという王道アメリカンな合わせ技である。運動着と作業着が合わされば、その動きやすさは当然であるともいえるが、同時に街中でもお洒落にふるまうことが出来る。まさに至高。
レビュー:マッキーノクルーザーは、秋冬最高のギア。
秋冬、特に写真の撮影で重要になるのは何よりも防寒対策となる。秋の肌寒い季節には、これ一枚羽織るだけで冷たい風から身体を守ってくれ、また冬場はインナーにフリースなどを着込めば山上に佇んでさえも最強の防寒着へと早変わりする。
特に寒い時期には、首元へ侵入する冷気をシャットアウトさせたい。襟を立ててみると首元の暖かさが確保されるだけでなく、やたらにカッコ良く決まる。そうした着こなしもオススメできる。
勿論、本格的な登山は昨今のGORE-TEXウェアなどに任せるにしても、街中を撮り歩いたり、都市部の低山や山林に入り込むような撮影の際には恰好の製品となる。写真撮影にとって悪目立ちしないというのは、最高の相棒となる条件。質実剛健で実用としての品でありながら、その見た目は即ちタウンユースにとっても格好良いお洒落なアウターなのである。
マッキーノクルーザーの特に優れたポイント
写真やカメラ趣味で無くとも、普段使いとして抜群の機能性を発揮する。それは手ぶらを体現させてくれるがために存在しているようなもの。財布やスマホ、小物類一切を分別しながら数あるポケットに収納できる事のメリットは大きい。または外出先にて大きめの荷物が突然に増えたとしても、腰部に付いた大型のマップポケットの存在によって、それを難なく収納してしまう。
このフィルソンのマッキーノクルーザーは、その存在自体が歩く鞄として十二分に活躍してくれる事間違いなし。更に冬場に降る小雨というのは、体を冷やす。その雨風が往々にして心身を甚振るものである。しかしこのマッキーノクルーザーなら、多少の雨になど動じる必要がないという安心がある。しかもその優れた吸湿性によって、却って素材そのものが熱を生み出してくれる。
裏地がない事によって、生み出された熱がダイレクトに内部の温かさに反映される。もっとも、更なる温かさを得んとするならば、同様にアメリカで生まれた名品であるパタゴニアのクラシック・レトロXなどの防風性も高められたフリースベストを着込む。それによって、ちょっとやそっとの寒さにはビクともしないほどの保温性を得ることが出来る。そんな事からヘビーローテーション間違いなしの逸品である。
マッキーノクルーザーの苦手とするところ
マッキーノクルーザーの苦手とするところは、少しだけ重量があるところであると言われる。しかしながら、かつて26オンスであった生地の厚みも24オンスへと改良された事により、その重みは1キロ強と大したものではない。実際に使っていて、それほど重みを感じたことがないというのも証左といえようか。
マッキーノクルーザーは同様にダブルマッキーノクルーザーが存在している。これは肩から胸まで二重の生地で覆われている為に、その重量は中々のものであるようだ。しかしシングルであるマッキーノクルーザーの場合に問題になることは特にない。
それ以上に腕回り肩回りの動きやすさは、尋常でない。その余裕ある動きへの対応によって所謂、一般的な外套と比べてみても機動的に立ち回ることの出来るアウター、ギアであると言える。
コラム:多機能ベストとしてのマッキーノクルーザー。
身に纏う衣服。きっとそれが必要とされた瞬間から、そもそも快適性や機能性が求められたはずである。そのような視点で見つめると、目的に鑑み衣服を着用することが、使用者に我慢を強いるものであってはならないと見る事も出来る。お洒落さと便利さは、決して背反するもので無くして両立できるものでもある。
そうするとこの場合の衣服とは、用途に応じて使い分けるギアとしての立ち位置であるほうが自然である。とはいえ所謂TPOに即した、その場その時に応じた佇まいも当然ではあれど捨て置くことの出来ぬ要素。そんなときにアウトドア然とし過ぎず、街角でも自然でも溶け込むような衣服でありながら、収納性や機能性は非常に優れているという事実があればこそ、猶のこと良い。
マッキーノクルーザーに限ることなく、歴史と伝統を受け継いだデザイン。そこには誕生から時を経た今だからこそ、常識的で普遍的な価値感が宿っている。それはきっと、これまでという過去とこれからという未来を明るく指し示す道標のようなもの。すなわち永続性を持ちうる美しさの定義でもある。革新的でありすぎぬ佇まい、きっと連綿と支持されてきた価値を生み出している。
ところで多機能ベストの収納性、利便性は誰しもが納得するところである。ただしそこに少なからずの違和感が生まれる事もある。簡単に言うと往々にしてダサいという価値観を与えかねない。着用に際しては、時と場合に応じた使用が必要である。せめて少しでもお洒落であること、そのように着こなせることが、何より使用者を慰めてくれる。
そのような多機能ベストと同じように圧倒的な使い勝手を得る。しかし、お洒落と機能性。その一見するところ相反すると思われがちな価値観を両立することができる衣服。それがマッキーノクルーザーなのである。また寒さ厳しい季節において、その存在そのものが外套の役割をもこなす。そうして次第に冬場に手放すことの出来なくなる逸品なのである。
寒空の下でカメラマンベストのようにして運用する。そのような使い方をしていること自体が、傍目にも分からぬ程に圧倒的に違和感の無い佇まい。そうして旅行や散歩に至るまで、何とも気楽な手ぶら行動を実現させてくれる。快適性や機能性、人類の目的に合致した衣服なのであった。