1:2018/06/28(木) 00:16:09.669
男(うーん、初めて来る町だから迷っちゃった……駅どっちだっけ)

幼女「うぇぇぇん……」

男「ん、どうしたの?」

幼女「ママがいなくなって……迷子になっちゃったの」

男「それは気の毒に……一緒に捜してあげよう!」

幼女「ありがとう!」


通行人「あっ、誘拐だ!!!」


男「!?」


ふらいんぐうぃっち(12) (週刊少年マガジンコミックス)
4:2018/06/28(木) 00:18:38.540
男「いや……ちょっと待って」

通行人「誘拐だぁ!」

男「あの、だから」

通行人「誘拐だぁぁぁ!」

男「話を……」

通行人「誘拐だぁぁぁぁぁ!!!」

男(ダメだ、話が通じない!)

男「こっちに逃げるぞ!」グイッ

幼女「うん!」
5:2018/06/28(木) 00:19:36.979 ID:vP13noNhr.net
これはひどい
7:2018/06/28(木) 00:21:03.069
男「ハァ、ハァ、ハァ……」

男(思わず逃げちゃったけど、これはかなりの悪手だったんじゃなかろうか)

男(あ~……何やってんだ、俺は!)

幼女「お兄ちゃん、大丈夫?」

男「ああ、大丈夫だよ」

男(全然大丈夫じゃない……。さて、ここからどうするか……)
8:2018/06/28(木) 00:22:11.511
「いたぞーっ!!!」



男「やべっ、もう見つかっちゃったか!」

男「走るよ!」ダッ

幼女「うん!」ダッ
9:2018/06/28(木) 00:24:25.649
<カフェ>

男「ふぅ~……ここでドリンク飲んで一息つこう」

男「なに飲む?」

幼女「あたし、ブラックコーヒー!」

男「おおっ、すごいね。舌はもう大人かい」

男「じゃあ俺はメロンソーダで」

店員「かしこまりました」
10:2018/06/28(木) 00:26:16.940
店員「……」サッ

店員「もしもし警察ですか……今、うちの店に誘拐犯が……」ヒソヒソ…



男「!?」

男「ここもダメだ! すぐ出よう!」

幼女「うん!」

男(くっそぉぉぉ! 一体どこなら安全なんだ!?)
11:2018/06/28(木) 00:29:02.345
<動物園>

男「……さすがにここなら安全だろう」

男「おっ、カンガルーがいるよ。見るかい?」

幼女「ううん……あたしカンガルー嫌いなの」

男(奇遇だな、俺もだよ)

男「じゃあ、コアラでも見ようか?」

幼女「うん!」
12:2018/06/28(木) 00:31:37.158
コアラ「おい、誘拐犯」

男「!?」ギョッ

コアラ「ユーカリ食うのはいいが、ユーカイはよくないぜ」モグモグ

男「うるせえよ!!!」

男「動物園も安全じゃないみたいだ……出よう!」

幼女「オッケー!」

コアラ「ユーカリの味は愉快だ……」モグモグモグモグモグ
13:2018/06/28(木) 00:32:54.259 ID:vP13noNhr.net
コアラが喋った!
15:2018/06/28(木) 00:35:07.976
警官「見つけたぞっ!!!」



男「し、しまった! ついに警察に見つかったか!」

男(いや、これは事情を説明するチャンスかも!)

男「――あのっ! 話を聞いて下さい!」
16:2018/06/28(木) 00:37:24.675
パンッ! パンッ!



男「うおっ!?」

幼女「きゃっ!」

男「マ、マジかよ、撃ってきやがった!」

幼女「ひえ~っ! バカボンのおまわりさんみたい!」

男「あそこのビルに逃げ込むしかない!」
17:2018/06/28(木) 00:38:19.418 ID:EiDyJqxM0.net
おいこのようじょおっさんだろ
18:2018/06/28(木) 00:40:06.477
<ビル>

男「ふぅ~……」

男「いやー……参った参った。完全に凶悪犯扱いだ……」

幼女「ねえ、お兄さん」

男「ん?」

幼女「どうしてあたしのために、ここまでしてくれるの?」

男「ああ、それはね……」
19:2018/06/28(木) 00:43:20.971
男「俺は……親に捨てられた過去がある」

幼女「……! そうだったんだ!」

男「だからさ、カンガルー、俺もあまり好きじゃないんだよね」

男「メスが子供を袋に入れてる姿が羨ましいから……」

幼女「うん、あたしも羨ましい……」

男「安心して! 君の両親は必ず見つけてみせる!」

幼女「……」
20:2018/06/28(木) 00:45:19.999
刑事「そこまでだ、誘拐犯!」バッ

男「くっ、手強そうな刑事が来た!」

刑事「動くなよ……動くと撃つ!」ジリ…

男「待ってくれ、刑事さん! 俺は誘拐犯なんかじゃないんだ!」

男「落ち着いて話を……」

刑事「なにをいっている?」

男「?」

刑事「我々が追っているのは……君の隣にいるその女だ!」

男「え!?」

幼女「……」
22:2018/06/28(木) 00:48:45.253
男「刑事さん、あんたなにをいってるんだ!?」

刑事「ようするに、誘拐犯はその幼女で、誘拐されかけてたのは君なんだ!」

男「は!?」

刑事「その幼女は迷子のふりして、君ぐらいの年頃の青年に近づき、言葉巧みに家に連れ去り」

刑事「自宅でペットのように飼う凶悪犯……」

刑事「ローカルな悪党だが、この町においては知らない人間はいない程の悪党なんだ!」

刑事「署長からは射殺許可も下りている!」

男(そうか、今までみんなあの幼女に“誘拐犯”っていってたのか!)

刑事「もっというとその幼女は……幼女なんかじゃない」

男「えっ……」

刑事「見た目は幼女だが、実年齢は……55歳だ!」

男「な、なんだってーっ!!!」
23:2018/06/28(木) 00:48:47.409 ID:aOgPl6RC0.net
どういうことだってばよ
24:2018/06/28(木) 00:51:02.881
男「いや、どう見ても女の子じゃん! 幼女じゃん!」

刑事「元々の外見は普通の女だったらしいが、人体改造手術で幼女の外見を手に入れたということだ」

男「マジかよ……」

男「今までの話、本当か!?」

幼女「ええ……本当よ」クスッ

男(雰囲気が変わった!)

男「自分を幼女にしたり、俺ぐらいの年齢の男を誘拐って……どうしてそんなことを……」

幼女「ふふっ、いいわ。教えてあげる」
25:2018/06/28(木) 00:53:37.452
幼女「私はかつて、自分の一人息子を捨てた……」

幼女「捨てた時はまるでゴミを捨てるような気軽さで捨てちゃったけど」

幼女「年を取るうち、だんだんとそのことを後悔し始めてね……」

幼女「まずは罰として、母であったことを捨てるため、自分を幼女に改造したの」

幼女「そして、この外見を生かして、自分の息子ぐらいの男を誘拐して……」

幼女「息子の分までたっぷり愛情を注いでやろうと思ったのよ」

幼女「結果的にペットを飼うようになっちゃったけどね」

男「……!」

男「あ、あのさ……今の話を聞いてて思ったんだけど――」
28:2018/06/28(木) 00:55:31.586
男「ひょっとして……君は俺の母さんじゃないのかい?」

幼女「……まさか!」

幼女「いくらなんでもそんなことあるわけないわ!」

男「いやでも、年齢的にもちょうど合致するし……」

刑事「……」

刑事「やってみるかね? DNA検査!」

男「はいっ!」

幼女「まあ、やってあげてもいいけど……」
29:2018/06/28(木) 00:58:09.832
刑事「えー……検査の結果……」

男「……」ゴクッ

刑事「お二人は……」

男「……」

刑事「……」

幼女「……」

刑事「親子でしたぁぁぁ!!!」

男「やっぱり!」

幼女「そんな……!」
30:2018/06/28(木) 01:00:11.896
男「母さん……さっそく息子としてお願いがあるんだ」

幼女「……なにかしら?」

男「今までに誘拐した人たちを、解放してあげてくれ」

幼女「分かったわ……」

幼女「私は今まで惑い迷い生きてきたけど……」

幼女「やっと……迷子じゃなくなった気がするわ」
31:2018/06/28(木) 01:01:35.166
刑事「略取・誘拐の容疑で逮捕する」ガチャッ

幼女「……」

男「母さん!」

幼女「!」

男「俺……待ってるから! 母さんが出てくるの待ってるから!」

幼女「……うん」



…………

……
32:2018/06/28(木) 01:04:54.296
時は流れ……

<男の自宅>

男「……」

嫁「ねえ、あなた」

嫁「たしか今日でしょ? ……お義母さんの出所日」

男「ああ」

嫁「迎えに行かなくていいの?」

男「大丈夫さ」
33:2018/06/28(木) 01:05:09.586 ID:SDLUYYJVr.net
謎の感動
34:2018/06/28(木) 01:06:10.983
男「だって、そのためにこんな分かりやすいところに家を建てたんだから」

嫁「そうね……」

嫁「ていうか、分かりやすすぎじゃない?」

男「アハハ、まぁまぁ」



ピンポーン…
35:2018/06/28(木) 01:08:24.267
幼女「お久しぶり……」

男「出所おめでとう、母さん!」

幼女「約束通り待っててくれて、嬉しいわ……」

嫁「私、男さんの妻です。おめでとうございます」

幼女「ありがとう……」

幼女「あなた、いい奥さんもらったじゃない!」

男「ホント、俺にはすぎた嫁だよ」
36:2018/06/28(木) 01:11:10.292
男「ところで母さん、この家に来るまで迷わなかったかい?」

幼女「ええ、大丈夫」

幼女「だって……刑務所の目の前に家があるんだもの」

男「俺はもう二度と、母さんを迷子にしたくはなかったからね」

幼女「親孝行すぎるわよ、もう……」





END
37:2018/06/28(木) 01:13:14.269 ID:1lD5Hxdl0.net
泣いた
38:2018/06/28(木) 01:13:59.899 ID:SDLUYYJVr.net
イイハナシダナー