1: 2013/05/23(木) 21:22:06.42 
ヒードラン「ごぼぼっ!ごぼぼっ!」

ロコン「うわっ!ヒードランだ!」

ガーディ「何しにきたんだよゴキブリー!」

ポニータ「おいあっちいこーぜ!」

ヒードラン「ごぼぼっ!ごぼぼっ!ごぼぼっ!」


4: 2013/05/23(木) 21:25:05.91 ID:WemkOP1a0
ヒードランがかわいそう

5: 2013/05/23(木) 21:26:15.09 ID:I9uCFRzC0
やっぱりゴツゴツよりモフモフだな!

6: 2013/05/23(木) 21:29:28.14 ID:DUMMorec0
ヒードラン可愛いじゃないか!いじめるなよ!

7: 2013/05/23(木) 21:30:40.55 ID:kuUZYrHJ0
ヒードランは孤独だった……

伝説のポケモンゆえ彼の同族は少なく、この火山にヒードランは彼一匹だけであった。
さらにその容姿と鳴き声はあらぬ誤解を産み、いつしか「ゴキブリ」と呼ばれ蔑まれるようになっていた。

彼はいつも火山奥地の洞窟に身を潜め、一人シュカの実をかじって暮らしていた。

だがそんな彼にも夢があった。

「友達と遊ぶ」という夢が

12: 2013/05/23(木) 21:42:25.68 ID:kuUZYrHJ0
だがそれは叶わぬ夢。

一度染み渡った悪いイメージを拭いさるのは難しく、まだ若いヒードランにはその方法を考えるだけの知恵もなかった。

「ゴキブリ」「こわいかお」「天井糞虫」

彼らから受ける言われなき侮蔑の言葉。

勇気を振り絞りポケモン達の輪に入ろうとしても、余計に溝を深めてしまうばかりであった。

しかし、ヒードランはそれでも他のポケモン達を恨んだりはしなかった。

13: 2013/05/23(木) 21:42:33.87 ID:R/8z9GFf0
俺の相棒ヒードランの悪口は止めろや
眼鏡オバヒすんぞ

19: 2013/05/23(木) 21:47:10.63 ID:kuUZYrHJ0
伝説のポケモンとして生まれ持った器量の大きさなのか、はたまたある種の諦めの境地なのか。

ヒードランの心は鋼のように堅かった。

今日も仲間には入れなかったが、明日こそは仲良くなれるはず。

そう思い寝床に入るのがヒードランの日課だった。

22: 2013/05/23(木) 21:52:11.91 ID:kuUZYrHJ0
そんなある日のこと。

ヒードランが目を覚ますと、寝床の前に何かが置いてあるのに気がついた。

近付いてみると、それはどうやらポケモンの卵のようだった。

ヒードランも実物はみるのは初めてだったが、彼が小さな頃に母親から教えてもらったモノと同じのようだった。

ふさふさの藁に囲まれ、丁寧に置かれたそれは、誰かがここにおいていったものと一目でわかる。

23: 2013/05/23(木) 21:53:24.60 ID:k6zu32s9O
母親、だと…

25: 2013/05/23(木) 21:54:45.14 ID:hz2as+Xb0
ヒードラン明日から使います!

26: 2013/05/23(木) 21:55:22.10 ID:LDJjdy980
ヒードランゴキブリじゃなければモチーフなんなんだよ

29: 2013/05/23(木) 21:56:48.41 ID:kuUZYrHJ0
ヒードランは悩んだ。

置いていったのは誰なのか?ということより、この卵をどうしようか?ということである。

まさかこのまま放っておくわけにも行かないし、麓に降りてポケモン達に相談しようにも彼の話を聞いてくれるポケモンなんていない。

悩んだ挙げ句、ヒードランはとりあえず卵を寝床の中に置いておく事にした。

32: 2013/05/23(木) 22:02:38.62 ID:kuUZYrHJ0
一体誰が置いていったのだろう。

持ち主は今ごろ何をしているのだろう。

ヒードランは麓にシュカの実を取りに行く間、ずっとそんなことを考えていた。

しかし持ち主の情報が何1つない以上、考えても答えが出るわけもなかった。

「まぁその内引き取りにくるだろう。」

ヒードランはそう思う事にした。

35: 2013/05/23(木) 22:07:38.60 ID:kuUZYrHJ0
巣穴に戻ってきてもそれはまだ無くなってはいなかった。

いない間に持ち主が現れるのではないかと期待したが、ヒードランの巣穴に訪れるポケモンなどいないのだ。

ヒードランは持ち主が戻るまでこの卵を預かっておこうと決めた。

36: 2013/05/23(木) 22:09:20.18 ID:kuUZYrHJ0
1日がすぎた。

誰も現れなかった。

2日がすぎた。

昨日と同じだった。

3日がすぎた。

今日は雨が降った。

そして4日がすぎたある朝のことだった。

37: 2013/05/23(木) 22:09:49.52 ID:50ZJeu510
ヒードランかわいそす

41: 2013/05/23(木) 22:13:45.78 ID:kuUZYrHJ0
ヒードランが目を覚ますと、すぐに異変に気がついた。

卵にヒビが入っていたのだ。

彼はもしかして寝返りをしたときにぶつけてしまったのか?

と焦った。

そのヒビはみるみる大きくなっていった。

ヒードランはとんでもないことをしてしまった!と思った。

パキンッ!!と音が鳴ったとき、ヒードランは思わず目を背けた。

44: 2013/05/23(木) 22:18:46.86 ID:kuUZYrHJ0
???「ギュー」

ヒードランが自己嫌悪に陥っていると、巣穴に何かの鳴き声が響いた。

恐る恐る卵のほうに目を向けると、先程卵のあった場所に、なにやら見慣れぬポケモンがいることに気がついた。

イーブイ「ギュー」

見たことのないポケモンであった。

まだ鳴き声も満足に出せないそれは、どうやらイーブイというポケモンらしかった。

産まれたのか……

ヒードランはようやく事態を理解した。

49: 2013/05/23(木) 22:23:27.62 ID:kuUZYrHJ0
ヒードランは困惑した。

見知らぬ卵を預かっていたつもりが、それが産まれてしまったのだ。

イーブイ「ギューギュー」

産まれて間もないイーブイは、残った殻から這い出ようともがいていた。

ヒードランはハッと思うと、イーブイをそっとつまみ、自分の寝床に移した。

イーブイ「ギューギューギュー」

生まれたてのイーブイはなにやら必死でわめいていた。

ヒードランは取り合えず餌を取ってくることにした。

51: 2013/05/23(木) 22:27:46.46 ID:kuUZYrHJ0
ヒードランは急いで麓に降りると、イーブイが食べられそうな木の実を探した。

彼がいつも食べるシュカの実は皮が厚く、とても乳幼獣には食べられそうもなかった。

かといって育児の経験があるはずもなく、彼はありったけの種類の木の実を持ち帰ることにした。

チーゴ、オレン、ヨプ、オボン、モモン、クラボ……

麓に生えている木の実を片っ端から採集すると、急いで巣穴に戻った。

52: 2013/05/23(木) 22:37:27.22 ID:kuUZYrHJ0
巣穴に帰ると、すぐにイーブイに木の実を与えた。

だが生まれたてのイーブイに木の実がかじれるはずもない。

仕方がないのでヒードランは一度噛み砕いた木の実を食べさせることにした。

どの種類の木の実を食べるのか見当もつかなかった。

チーゴは苦すぎるようで飲み込まず、ヨプやオボンは噛み砕いても堅すぎるようだった。

苦心した挙げ句、少し火を通し柔らかくしたモモンの実を食べさせることができた。

腹が膨れたのか、食事を終えるとイーブイはスヤスヤと眠った。

ヒードランはそれを見ると、ドッと疲れが出たのかそのまま一緒に眠った。

いつもの何倍も動いた気がしたのだ。

56: 2013/05/23(木) 22:59:06.10 ID:kuUZYrHJ0
翌朝。

キャン!!キャン!!キャン!!

ヒードランは大きな鳴き声に目をさました。

むくりと起き上がると、イーブイがしっぽを振って座っていた。

その口にはモモンの実がくわえられていた。

なるほど、お腹が空いたのか。

ヒードランは眠気眼でモモンの実に火を通すと、少し噛み砕いてイーブイに与えた。

イーブイはそれを美味しそうに食べ始めた。

ヒードランはその様子を眺めながら、今後の事を考えた。

このまま親が迎えに来なかったらどうしようか。

自分一人でイーブイを育てられるのか。

そもそもそれはイーブイにとって良くないことなんじゃないだろうか。

57: 2013/05/23(木) 22:59:47.49 ID:kuUZYrHJ0
目を閉じ、うーむと考えていると、

イーブイ「キャン!!!!」

木の実1つをすでに食べ終えたイーブイが、またモモンの実をくわえてしっぽを振っていた。

ヒードランははぁと大きなため息をついた。

59: 2013/05/23(木) 23:04:36.09 ID:kuUZYrHJ0
食事を終えると、今度はなにやらヒードランに訴えかけてきた。

どうやら外に行きたいらしかった。

イーブイ「キャン!!キャン!!」

まだ自分の鳴き声も知らないイーブイは、満面の笑顔でヒードランに催促している。

しばらく悩んでいたヒードランも根負けし、少し外に出てみることにした。

イーブイを優しく摘まむと、その大きな頭の上に乗せ、ゆっくりと巣穴から出た。

ヒードランの巣穴は、火山の頂上にあり、少し外に出ると、麓にある巨大な森や遠くの山まで見渡すことができた。

60: 2013/05/23(木) 23:07:37.85 ID:kuUZYrHJ0
イーブイは大はしゃぎでヒードランの上で暴れた。

ヒードランはイーブイを落とさないようにバランスを取るので必死だった。

ヒードランはまたも大きくため息をついた。

しかし、なぜか憂鬱な気持ちにはならなかった。

こんな風に他のポケモンとじゃれあったのはいつぶりだっただろうか。

いや、もしかしたら初めてかもそれないな。

ヒードランはそう思った。

61: 2013/05/23(木) 23:13:48.78 ID:kuUZYrHJ0
それから数週間がすぎた。

イーブイも少しずつ言葉を覚え、木の実も自分でたべられるようになった。

ヒードランも少しずつイーブイの世話に慣れてきていた。

イーブイ「おじちゃん!朝だよー!」

イーブイはヒードランのことを父親だと思っていた。

だがヒードランは自分のことを「お父さん」とは呼ばせなかった。

いつか本当の親が迎えに来たとき、お父さんが二人居ては困るだろうと思ってのことだった。

ヒードラン「ごぼぼ!」

イーブイ「こぼっ!」

イーブイ「あはははは!!」

だがイーブイにとってはそんなことは些細な問題であった。

62: 2013/05/23(木) 23:21:35.17 ID:8f21jgD20
ごぼぼwwww(わろたwwww)

63: 2013/05/23(木) 23:21:41.56 ID:kuUZYrHJ0
イーブイ「ねーねー!今日はなにして遊ぶの?」

ヒードラン「ごぼぼぼぼ!」

イーブイ「麓まで競争だね!」

イーブイとヒードラン。

二人の体格差は何倍もあったが、一緒に遊ぶその様子は親子というよりも兄弟のようでもあった。

初めて自分を受け入れてくれた存在が嬉しくて、ヒードランは楽しさと嬉しさを隠せない様子だった。

イーブイも自分を守り育て、遊んでくれるヒードランが頼もしく、世界で唯一信用できる存在だった。

ヒードランは「ずっとこのままでもいいかな」と思うようになった。

65: 2013/05/23(木) 23:26:08.04 ID:kuUZYrHJ0
そんなある日

イーブイ「おじちゃんおそいよー!


ヒードラン「ごぼぼっ!」ズシンズシン

イーブイ「あははは!……あれ?」

イーブイは遠くに人影を見つけた。

イーブイ「おじちゃん誰かいるよ……」

ヒードラン「ごぼ……」

それは火山の麓に住むポケモン達であった。

イーブイはいつも火山の頂上や中腹で遊んでいるので、他のポケモンに会うのはまだ初めてであった。

67: 2013/05/23(木) 23:29:32.00 ID:kuUZYrHJ0
イーブイ「なんか怖いなぁ……」

イーブイはヒードランの足元に隠れた。

ヒードランはいつかこの時が来ると思っていたが、実際に訪れるとどうしようか迷った。

イーブイに他のポケモン達が怖いものだと思って欲しくなかった。

そのためには、自分が虐げられる姿だけは絶対に見せてはいけなかった。

68: 2013/05/23(木) 23:35:10.55 ID:kuUZYrHJ0
だが、いつまでもイーブイを狭い世界に閉じ込めておきたくもなかった。

自分と同じにはなって欲しくなかった。

イーブイ「おじちゃん、どうしたの?」

ヒードラン「ごぼぼっ!」

ヒードランはニコリと笑うと、イーブイに彼等の元に行くように促した。

イーブイ「えー!おじちゃんもきてよー!」

ヒードラン「ごぼぼ、ごぼぼぼ!」

大丈夫見てるから。
そう言うと、ヒードランは物陰からイーブイの様子を見守ろうと思った。

その時だった。

69: 2013/05/23(木) 23:40:33.01 ID:kuUZYrHJ0
リザード「うわっあれみろよ!!」

クイタラン「げえっ!!」

ヒヒダルマ「ごっ!」

「「「ゴキブリ!!」」」

見つかった……

ヒードランは自分の巨体を恨んだ。

イーブイ「あれ?あの人達こっちくるよ……?」

ヒードランは今だけは消えてしまいたいと思った。

リザード「やーやーゴキブリさんじゃないっすかww」

クイタラン「しばらく見てないと思ったらこんなとこいたんかwww」

ヒヒダルマ「ゴキブリはゴキブリらしく洞窟に引っ込んでなよwww」


「「「あははははははははは」」」

71: 2013/05/23(木) 23:43:56.31 ID:kuUZYrHJ0
あははははははははは!!

1進化特有の刺すような蔑みがヒードランに浴びせられる。

虐げられるのには慣れていたヒードランも、この時ばかりは堪えた。

イーブイだけには見せたくなかった。

自分が虐げられる姿ではない。

ポケモン達の汚く醜い姿を、イーブイだけには見せたくなかったのだ。

ヒードランはイーブイを必死に足元に隠した。

72: 2013/05/23(木) 23:44:05.48 ID:sNRpGsby0
雑魚だからヒードランに嫉妬してるんだな

73: 2013/05/23(木) 23:49:36.84 ID:kuUZYrHJ0
その時だった。

イーブイ「やい!!!お前ら!!!!」

イーブイがヒードランの足元から飛び出した。

リザード「なにこいつ」
クイタラン「なにこいつ」
ヒヒダルマ「なにこいつ」

イーブイ「おじちゃんをいじめる奴は僕が許さないぞ!!」

ヒードランは目をおおった。

それをみたリザード達は一瞬呆然とした。しかし

リザード「ぷっ……」

「「「ぎゃははははははは!!」」」

クイタラン「ごっ、ゴキブリwwwww」

ヒヒダルマ「お、おじちゃんwwwwww」

イーブイ「なんで笑うの!!ばか!!おじちゃんはいい人なんだぞ!!!!」

イーブイが震えた声で叫んだ。

74: 2013/05/23(木) 23:50:35.70 ID:hz2as+Xb0
グラードン、ファイヤーさん早く来てくださいよ

75: 2013/05/23(木) 23:52:52.67 ID:sNRpGsby0
そういやファイヤーさんとは類似点がいくつかあるな
炎の伝説でネタにされてるけど強いとことか

76: 2013/05/23(木) 23:54:51.26 ID:32sQoHfT0
グラードンはじめんタイプだろ!!!

77: 2013/05/23(木) 23:55:32.38 ID:kuUZYrHJ0
リザード「ひひひwwwひーひー……あのなぁぼく、このゴキ……いやヒードランはねぇ」

クイタラン「とってもとっても怖くておっかない奴なんだぞぉ」

イーブイ「うそだっ!!!」

ヒヒダルマ「ほんとだよぉ。もう何びきもポケモンたちを食べちゃったって噂だしぃ」

リザード「この火山を乗っ取って自分のお城にしようとしてるんだぞぉ」

イーブイ「うそだうそだうそだっ!!!!!!」

クイタラン「でもほんとのことだしなぁ」

「「「ねー」」」

信頼するヒードランに対する謂われなき偏見と差別。

小さなイーブイに受け止めるにはあまりに残酷すぎる言葉達だった。


イーブイ「うそだうそだうそだっ!!!!!!!!」

イーブイ「うそだもん……」

イーブイ「うっうっうそだっもん……」

イーブイ「うええええええええん」

78: 2013/05/24(金) 00:00:26.77 ID:vn0P9glj0
イーブイは大声で泣き始めた。

ヒードランは慌ててイーブイをなだめようとした。

リザード「おっ、おいお前が言い過ぎるからだぞ」

クイタラン「うっうるせえヒヒダルマがあんなこと言うから」

ヒヒダルマ「と、とりあえず帰るか」

自分よりも1回りも2回りも小さなイーブイを泣かせてしまった罪悪感からか、3人は慌ててどこかへ走り去っていった。

イーブイ「うええええええええん!!ばかー!うええええええええん」

ヒードラン「ごぼぼぼ!ごぼぼぼ!」

ヒードランはイーブイを頭に乗せ、なだめながら急いで巣穴へと戻った。

79: 2013/05/24(金) 00:04:10.00 ID:vn0P9glj0
巣穴へと戻ると、イーブイは泣き疲れたのか眠ってしまっていた。

ヒードランはそっとイーブイを下ろすと、藁をかけてやった。

ヒードランは自分が虐げられる姿をイーブイに見せてしまったことを、果てしなく後悔した。

それと同時に、自分を必死で庇ってくれたイーブイを思い出すと、ほんの少しだけ泣いた。

それからシュカの実を少しだけかじり、そのまま一緒に眠った。

80: 2013/05/24(金) 00:09:57.61 ID:vn0P9glj0
一方そのころ……


???「おい、まだ見つかってねえのか!」

ヤミラミ「へ、へい。たしかにあの辺りに置いたはずなんですが……」

???「ったく……もう何週間になる!もうとっくに孵っちまってるぞ!」

ヤミラミ「ペリッパーの野郎が遅れなければ、滞りなくすんだはずなんですよぉ……」

???「言い訳はいい!金のことは諦めるとして、証拠が残るのはなんとしても避けろ!」

???「絶対にブツを見つけて持ち帰れ。いいな。」

ヤミラミ「へ、へい!!」

82: 2013/05/24(金) 00:13:55.91 ID:vn0P9glj0
ヤミラミ(ちっ!あの野郎人使いが荒いぜ)

ヤミラミ(だがあのブツは足がつきやすいのもまた事実……)

ヤミラミ(なんとしても「中身」だけでも見つけて先方を安心させねぇことにはな……)

ヤミラミ(もう時間も経ちすぎた。そろそろ問題になってくるころだろう。)

ヤミラミ(手段は選べねえか……)

83: 2013/05/24(金) 00:20:39.51 ID:vn0P9glj0
ヒードラン「ごぼぼぼ!」

イーブイ「おはよう、おじちゃん……」

イーブイはあの日以来元気がなかった。

無理もない。親そのものといっていいヒードランをあそこまで貶されたのだ。

ヒードラン「ごぼぼっ!ごぼぼぼ!」

ヒードランはイーブイに元気になってもらおうとあれこれ尽くしたが、いずれも効果は薄かった。

ヒードランは朝支度のために、イーブイの大好きなモモンの実を取りに行こうと思った。

その時、

???「ちわーっ!新聞屋でーす!!」

85: 2013/05/24(金) 00:27:44.49 ID:vn0P9glj0
ムクホーク「ヒードランさんのお宅ですねー!」

ヒードラン「ごぼっ!?」

自分の家に新聞屋が来るなんて初めてだった。

というよりも、この火山に新聞が配達されるなんて聞いたことがなかった。

ヒードラン「ごぼぼぼ?」

ムクホーク「あははいやねぇ、私町の方で郵便屋をやってまして。最近不景気で仕事も減っちゃいましてねぇ」

ムクホーク「このままじゃ食っていけないってんで、副業に新聞屋を始めることにしたんですよ。」

ムクホーク「今回はひとつ事業拡大の営業回りといったところで。」

イーブイ「おじちゃん、誰か来たの……?」

巣穴の奥からイーブイが出てきた。

86: 2013/05/24(金) 00:33:13.04 ID:vn0P9glj0
ヒードランは、この前の一件もあるしイーブイが怖がるかも知れないと思った。

ヒードラン「ごっごぼぼwごぼぼww」

ヒードランは自分の体でイーブイを隠した。

ムクホークはそれを見逃さなかった。

ムクホーク「おやぁ僕かわいいねぇ。よろしくね」

ムクホーク(ビンゴ、か)

ムクホーク「んじゃまあ今回はサービスと言うことで、一冊置いてくんでよかったらご贔屓にw」

ムクホーク「そいじゃあ!」

ムクホークはなにやら足早に飛びさって行った。

イーブイ「だれだったの?」

ヒードラン「ごぼぼごぼ!」

イーブイ「しんぶんやさんかぁ」

88: 2013/05/24(金) 00:37:04.97 ID:vn0P9glj0
イーブイ「ポ、ケ、モ、ン、んん?よめないや」

ムクホークの置いていった新聞の1面には「ポケモン誘拐続出!!」の文字がでかでかと書かれていた。

ヒードランは少しドキッとしたが、すぐに笑ってごまかした。

90: 2013/05/24(金) 00:43:50.85 ID:vn0P9glj0
~そのころ~

バサッバサッバサッ

ヤミラミ「帰ったか。ご苦労さん。」

ムクホーク「ブツの場所、わかりやした。」

ヤミラミ「ほう、さすがムクホーク。速いな。」

ムクホーク「いやいやぁ大変でしたよ。火山周辺のポケモンの巣をしらみ潰しに当たるのは。」

ヤミラミ「それで、ブツを隠してたのはどこのボケやろうだ?」

ムクホーク「ヒードランとかいう、頂上に住むしけた野郎ですよ。」

ヤミラミ「なるほどな……」

ヤミラミ(ヒードラン……聞いたことはあるが、あいつが持ってたとは盲点だったな……)

ヤミラミ(だがこの作戦で俺達は手を汚すことなくブツを回収できるってわけだ……)

ヤミラミ(けけ……けけけ……)

ムクホーク(何にやにやしてんだろう……)

91: 2013/05/24(金) 00:47:10.22 ID:vn0P9glj0
翌日

ヒードランが起きると、イーブイはすでに起きて木の実をかじっていた。

イーブイ「おじちゃんおはよう。」

ヒードラン「ごぼぼぼ!」

相変わらず元気はないようだが、食欲は戻ってきたようであった。

イーブイ「今日は、雨が降りそうだね。」

空は鉛のようにどんよりとしていた。

92: 2013/05/24(金) 00:56:01.98 ID:vn0P9glj0
一方麓では……

「誘拐犯!?」

なにやらポケモン達が集まって騒いでいる。
群衆の中心には警察の格好をしたポケモンが2匹。

ヤミラミ「えーみなさん。落ちついて聞いてください。この火山のどこかに、誘拐犯が潜伏しているとの情報が入りました。」

ヤミカラス「何か心当たりのあるかたは、情報の提供をお願いいたします。」

「誘拐犯だってー」「あの新聞のやつか……」「こわい!」

ざわざわざわざわ
群衆がざわめくなか、一際響く声で声があがった。

ムクホーク「はーい!質問です!誘拐されたのはどんなポケモンですか!?」

ヤミラミ「はい、今回誘拐されてのは子供のイーブイであります。」

93: 2013/05/24(金) 01:02:33.71 ID:vn0P9glj0
ムクホーク「それなら心当たりがありまーす!山の頂上のヒードランさんの家で、子供のイーブイを見ました!」

ヤミラミ「それは本当ですか!?」

リザード「あっ、そっそういえばこの前あいつ子供のイーブイと一緒にいたよな……」

ヒヒダルマ「そっそうだ!思い出した!」

ヤミラミ「なるほど……どうやら信憑性は高そうですね……」

ざわざわざわざわざわざわざわざわ
「ヒードラン!?」「やっぱり……」「あのゴキブリ!」

ヤミラミ「それでは……今から突入しようと思います。」

ヤミラミ「相手は強力なポケモンと思われますので、どなたか勇気のあるお方、力をお貸し願えないでしょうか?」

94: 2013/05/24(金) 01:07:23.10 ID:vn0P9glj0
ヤミラミの問いかけに、3人のポケモンが名乗りをあげた。


ギャロップ「俺がいくぜ!」

ルカリオ「悪人はほっておけないな」

ヘルガー「私も力を貸そう」

ヤミラミ「へへへ、皆さん心強い限りです。」

ヤミラミ「それではその他みなさん。もし戦闘になった場合のことを考えて、しばらくは火山に近づかないようにお願いいたします。」

ヤミラミが避難を促すと、他のポケモン達は怯えながら森のなかへと避難をはじめた。

ヤミラミ(完璧だな……けけけ)

99: 2013/05/24(金) 01:25:38.85 ID:vn0P9glj0
そのころ

イーブイ「なんか下のほうが騒がしいね」

ヒードラン「ごぼ……」

ヒードランはなにかとても嫌な予感がしていた。

じんわりと体にまとわりつく妙な気配は、湿気のせいだけではないようだった。

ヒードラン「ごぼぼ!ごぼ。」

イーブイ「そうだね、雨も降りそうだし家でじっとしてよう。」

ヒードランはこの嫌な予感が的中することをどこかで理解していた。

100: 2013/05/24(金) 01:29:17.54 ID:vn0P9glj0
ヤミラミ「ではムクホークさん、そのヒードランの場所に案内してください。」

ムクホーク「はい。まかせてください。」

ギャロップ「はん!あの野郎の家になんていきたかねぇが、一度あいつとは戦ってみたかったんだ!」

ヘルガー「……いい機会じゃないか。俺の出る幕がなければいいがな。」

ルカリオ「…………」

ヤミラミ「それではみなさん。出発しますよ!」

102: 2013/05/24(金) 01:33:06.49 ID:vn0P9glj0
イーブイ「どうしたの?おじちゃん。」

ヒードランは外を見つめたまま微動だにしなかった。

伝説のポケモンの本能が囁くのか、それとも単に勘が鋭いだけなのか。

ヒードランはすでに警戒体制に入っていた。

イーブイ「おじちゃん……?」

ヒードラン「ごぼぼ、ごぼ!」

ヒードランはそう言い残すと、巣の外へ駆け出して行った。

イーブイ「おじちゃん!どこいくの!!」

103: 2013/05/24(金) 01:39:15.59 ID:vn0P9glj0
険しく続く山道。

ある程度整地はされているとは言え、地元のポケモン以外には辛いものがある。

ヤミラミ「へぇ、へぇ、」

ギャロップ「おいおいだらしねえぜ。それでも警察かよ。」

ヤミラミ「自分はデスクワーク派でしてね、ははは」

ムクホーク「旦那は体力がないっすねえ」

ヤミラミ(お前のせてけよ……)

ヘルガー「これは失敗したら降格だろうな」

ヤミラミ「な、なにをおっしゃる……」

ルカリオ「……」

ルカリオ「あれ……」

ルカリオが指を指した先には、なにやら黒煙を発する物体が鎮座していた。

104: 2013/05/24(金) 01:44:00.34 ID:vn0P9glj0
ブシュウウウウウウウ

ヒードラン「ごぼぼぼぼぼぼ……」

黒煙を上げ、体を赤く光らせたヒードランがそこにはいた。

ヒードランにはこのなかにいる敵の存在がはっきりと感じ取れた。

洞窟の主、火山に住む伝説としての本能によるものなのか。

ヤミラミ「げっ!おいおい頂上じゃなかったのかよ!」

ムクホーク「降りてきやがったんですよ!」

ギャロップ「おうおうてめぇら下がってろ!こいつは俺がぶっ倒してやるぜ!!」

ヘルガー「私はバックに回ろう」

ルカリオ「……」

106: 2013/05/24(金) 01:45:06.72 ID:gRTk1/e/0
ルカリオ呆れてるようにしか見えない

107: 2013/05/24(金) 01:45:33.86 ID:ZONPHNCj0
ルカリオ気づいてるな

111: 2013/05/24(金) 01:48:14.49 ID:vn0P9glj0
ギャロップ「おめえはゴキブリだが、その力だけは認めてたんだぜ……!」

ヒードラン「ごぼぽぼぼ……」

ギャロップ「勝負だ!!伝説のポケモンさんよ!!」

ヒードラン「グオオオオオオ!!!」

ヒードランがうなり声をあげると、突然地面が音をたてて崩壊した。

だいちのちからである。

ギャロップ「ぐおおおお!!くそっ!まけるかよ!!」

ギャロップも負けじと踏ん張り、自慢の脚力で崩壊から抜け出す。

ヘルガー「こりゃかなわんあやつにまかせるか」

ルカリオ「……あなた、笑ってるわよ」

113: 2013/05/24(金) 01:54:20.96 ID:vn0P9glj0
ギャロップ「オラオラオラ!!喰らいやがれ!!」

ギャロップが自慢の角をたてて突進する。

ヒードラン「グオオオオオオオオ!!!!」

ヒードランはそれを真っ正面から受け止めると、5mほど滑り、踏ん張った。

ギャロップ「やるじゃねえか!だが脚力なら負けねえぞ!!」

ヒードラン「ごぼぼぼぼぼぼ!!」

両者引かない攻防が続く中、一人動くものの姿があった。

ヤミラミ『ヤミカラス!聞こえるか!今のうちに「ブツ」を回収しろ!』

ヤミカラス『了解!!』

114: 2013/05/24(金) 02:01:38.13 ID:vn0P9glj0
ヒードラン「グオオオオオオオオ!!!!」

ギャロップ「ぐおっ!?」

ヒードランが大きく体を翻すと、ギャロップの体が地面に叩きつけられた。

ギャロップ「ぐっ、くっそ……」

ヒードラン「グオオオオオオオオ!!!!」

ヒードランが足を振り上げた、その時だった。

イーブイ「おじちゃーん!!」

ヒードラン「!?」

ヒードランの足が止まった。

ヤミラミ「!?ブツだ!!」

ヤミカラス『こちらヤミカラス!ブツがいません!!』

ヤミラミ『こっちだよ馬鹿!!』

イーブイ「おじちゃん!なにしてるの!!逃げよう!」

115: 2013/05/24(金) 02:03:42.70 ID:vn0P9glj0
イーブイはこの場面を見て、ヒードランがまた苛められていると思ったのか、とても心配そうに叫んだ。

ヒードラン「ごぼぼ!!」

ギャロップ「すきありだ!!」

その一瞬を突いて、ギャロップの強烈な角の一撃がヒードランの真下に炸裂した。

ヒードラン「ごぼ!!!」

ヒードランの体は一瞬浮いたあと地面に叩きつけられる。

ギャロップ「へ、へへ……勝負ありだ……な……」

イーブイ「おじちゃーん!!!」

116: 2013/05/24(金) 02:07:08.33 ID:vn0P9glj0
イーブイ「おじちゃん!大丈夫!!!?」

ヒードラン「ご、ごぼぼ……」

鋼のヒードランといえど、ガードの薄い真下への攻撃はかなり響いたようだった。

イーブイ「なんでこんなひどいことするの!!?おじちゃんがなにかしたっていうの!?」

イーブイが涙目になりながら叫んだ。

ギャロップ「なにって……お前を助けるために決まって……」

イーブイ「おじちゃん!立てる!?逃げよう!!」

119: 2013/05/24(金) 02:10:30.17 ID:vn0P9glj0
イーブイとヒードランは立ち上がりよろよろとあるきだした。

ギャロップ「こらまて!!……ぐっ!!」

ギャロップも2回に渡る攻撃を受け、かなりのダメージがあるようだった。

ヘルガー「待て。お前は手負いだ。私が後を追う。」

ギャロップ「てってめえ抜け駆けする気か!!」

ヘルガー「私はお前のように後先考えず突っ込んだりはしない」

ギャロップ「くっ……」

120: 2013/05/24(金) 02:14:54.29 ID:vn0P9glj0
ヒードラン達は自然と巣穴へと歩いていた。

そのうちポツポツと雨が降り始めた。

ヒードランはよろめきながらもイーブイとともに歩いていた。

イーブイ「おじちゃんは……僕の本当のお父さんじゃない……」

ヒードラン「……ごぼ。」

イーブイ「でも僕の家族はおじちゃんだけなんだ。」

イーブイ「おじちゃんがいなくなったら……僕は……」

ヒードラン「……」

ヘルガー「そこまでだ」

122: 2013/05/24(金) 02:22:48.15 ID:vn0P9glj0
イーブイ「!?」

ヒードラン「……ごぼ」

ヒードランはイーブイの盾になるように後ろに隠した。

ヘルガー「ったく「商品」が余計な手間を掛けさせやがって……」

イーブイ「もうやめてよ!おじちゃんはなんも悪くないんだ!!」

ヘルガー「ゴキブリじゃねえ…てめぇのことだよ。イーブイ」

イーブイ「!?……僕……?」

ヘルガー「本当ならとっくにてめえを街に売り払って俺達はここら一帯を手中に納めるはずだったんだ」

ヘルガー「だがそれももうパーだ。そこのゴキブリ野郎のお陰でな。」

イーブイ「なに言ってるのかわからないよ……」

ヘルガー「わかんなくていいんだよ。「中身」の状態でもそこそこの値にはなる……大人しく捕まれ「不良品」が」

125: 2013/05/24(金) 02:29:19.44 ID:vn0P9glj0
ヒードラン「グオオオオオオオオ!!!!」

今の話を聞いて、ヒードランの怒りに火が付いた。

この世のすべての汚さを見てきたつもりだったヒードランだが、ここまでの怒りを感じたのは生まれて初めてだった。

ヘルガー「死にかけのゴキブリに用はねえんだよ!!くたばれ!!」

ヘルガーが叫ぶと、彼の体からドス黒いオーラが放たれた。

あくのはどうである。

ヒードラン「ごぼおおおおお!!!」

イーブイ「おじちゃあああん!!!!」

全快時のヒードランならいざ知らず、深く傷を負った彼にはかなりのダメージとなった。

127: 2013/05/24(金) 02:33:24.19 ID:vn0P9glj0
ヘルガー「元はと言えばてめえのせいだよなぁゴキブリ……」

ヘルガー「てめえが変なちょっかい出さなければ取引は滞りなく終わってたんだ」

ヘルガー「これは「けじめ」だ……礼をさせてもらうぜ」

ヘルガーがヒードランの体を踏みつけると、口に炎を貯めた。

イーブイ「やめて!!!」

ヘルガー「!!?」

イーブイがヘルガーの足に噛みついた。

130: 2013/05/24(金) 02:37:47.07 ID:vn0P9glj0
ヒードラン「ご……ごぼ……」

ヘルガー「この不良品がっ!!」

ヘルガーが足を軽く振り上げると、イーブイの体は宙を舞った。

イーブイ「ぎゃっ!!」

ヒードラン「ごぼぼ!!!」

イーブイはそのまま壁に叩きつけられた

ヘルガー「どいつもこいつも俺の邪魔ばかりしやがって……!」

ヘルガー「傷物になれば売り物にもならんが、その覚悟はできてんだろうなぁ!?」

イーブイ「おじ……ちゃんは……僕の……」

イーブイ「僕の……家族……」

ヘルガー「消えろ!!!」

134: 2013/05/24(金) 02:41:22.21 ID:vn0P9glj0
パァン!!!

突然大きな破裂音が鳴った。

イーブイ「…………」

ヘルガー「なっ……ぐっ……」

ヘルガーが大きくよろめく。
その体には大きな衝撃痕があった。

ヘルガー「誰だ……!」

ルカリオ「少し遅かったわね……」

ヘルガー「貴様は!」

138: 2013/05/24(金) 02:48:12.29 ID:vn0P9glj0
ヒードラン「ごぼぼ……」

ルカリオ「ごめんなさい……あのヤミラミを追ってたら時間がかかってしまって……オボンよ。食べれる?」

ヘルガー「くそがっ!!どいつもこいつもおおお!!」

ルカリオ「あきらめなさい!警察よ!あなた、すでに包囲されてるわ!」

ヘルガー「警……察……!?」

ルカリオ「偽物じゃなくて悪かったけど。」

ルカリオ「潜入捜査で今日の計画を知って、ずっと張ってたのよ。」

ムクホーク「そういうこった」

ヘルガー「ぐっ……ムクホーク貴様!!」

ルカリオ「あなたを障害、誘拐及びポケモン売買の罪で逮捕します!」

140: 2013/05/24(金) 02:52:49.43 ID:vn0P9glj0
ヘルガー「くそおおおお!!!」

ヘルガーはイーブイに向けて口を開いた。

ルカリオ「ムクホーク!彼を押さえて!私が縛り上げる!」

火炎球はイーブイの上で炸裂した。

ムクホーク「くそお!大人しくしろっつうの!」

ルカリオ「もう少しよ……!……はっ!」

ルカリオ達がヘルガーと格闘してる間、いつの間にかヤミラミがイーブイを抱えていた。

ヤミラミ「けけけ……」

141: 2013/05/24(金) 02:56:01.16 ID:vn0P9glj0
ルカリオ「こらっ!!待ちなさい!!」

ヤミラミは素早く近くの洞窟のなかへと消えていった。

ヘルガー「はははっ!!いいぞヤミラミ!!証拠は消し去れ!!」

ムクホーク「んのやろお!!」

ルカリオ「ヒードラン!!立てる!?ヤミラミを追って!!」

ヒードラン「ご……こぽぼぉ……」

ムクホーク「早くおえええ!!」

ヒードラン「……」

ヒードラン「カッ!!!」

142: 2013/05/24(金) 02:59:25.46 ID:vn0P9glj0
洞窟の中……


イーブイ「……んっ……」

ヤミラミ「やあおはよう」

イーブイ「はっ!!おじちゃん!!?」

ヤミラミ「残念だがおじちゃんはここにはいないんだ」

イーブイ「あなた誰!?」

ヤミラミ「俺かい?俺は正義の味方さ……」

ヤミラミ「君のような悪い子をおしおきするためにやって来たんだよ……」

イーブイ「ひっ……」

ヤミラミ「大丈夫…"職業柄"体に傷を付けずに痛めつけるのは得意なんだ……」

144: 2013/05/24(金) 03:06:05.71 ID:vn0P9glj0
ヤミラミ「君のせいで沢山の人が迷惑したんだ……少し痛い目を見て、大人しくなってもらわないとね」

イーブイ「ひっ……やだ……おじちゃん……」

ヤミラミ「けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」

イーブイ「おじちゃーーーん!!!!」

ヤミラミ「だからおじちゃんはこねえっつてんだろおおおお!!!!!!」

その時、ヤミラミの背後から妙に暖かな、いや、焼けるように熱い風がそよいできた。

ヤミラミ「…………」

イーブイ「お、」

イーブイ「おじちゃん!!!!」

ヒードラン「……………………………………」

体を今までで一番赤く光らせ、むせ変えるような黒煙を上げたヒードランが、そこにはいた。

ヤミラミ「えっ、いや、これはですね、ヘルガーの野郎からかわいいかわいいイーブイちゃんを守ろうとしたわけでですね」

ヒードラン「………………………………」

ヤミラミ「隙ありじやあああああ!!!」

ヒードラン「グオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

145: 2013/05/24(金) 03:13:10.89 ID:vn0P9glj0
後日、ヘルガー率いるポケモン誘拐組織の全貌が明らかになり、およそ数百匹のポケモンが救出された。

供述によると、およそ数千匹に1匹生まれるという「高品質」イーブイを街に密輸し、莫大な資金を得ようとしていたことが判明した。

そして火山中腹にある落盤した洞窟から、全知半年の火傷を負ったヤミラミが救助された。

そしてヒードランとイーブイは……

146: 2013/05/24(金) 03:18:02.91 ID:vn0P9glj0
リザード「すっげえよな!あんな誘拐組織を壊滅させるんだもん」

ヒヒダルマ「ああ、正直見直したぜ」

クイタラン「おっ来たぜ!」

ヒードラン「…………」

イーブイ「おはよう!みんな!」

ヒヒダルマ「ようイーブイ!相変わらずおじちゃんにべったりだな」

イーブイ「えへへ」

クイタラン「おーいみんな!来たぞ!」

148: 2013/05/24(金) 03:24:47.66 ID:vn0P9glj0
ギャロップ「おせえぞ!相変わらずのろまだなぁ」

コータス「そのノロマにボコられたのはどいつだよw」

キュウコン「そんなことはいいじゃない。早く歓迎会を始めましょう。」

ヒードラン「ご、ごぼぼ……」

ロコン「あ、あの……今まで誤解しててごめんね……」

ガーディ「お、俺もずっと悪いやつだと思ってて……ごめんなさい」

ヒードラン「…………」

ギャロップ「こいつ、泣いてるぞwwwwwww」

イーブイ「これからはみんなで一緒に遊べるね!」

ヒードラン「ご、ごぽ……」

「「「あははははは」」」

149: 2013/05/24(金) 03:29:39.98 ID:vn0P9glj0
その夜

イーブイ「……ヒードラン」

ヒードラン「!?」

イーブイ「僕、ヒードランのことおじちゃんって呼ぶのやめるよ。」

ヒードラン「…………」

イーブイ「だって、家族だもんね」

ヒードラン「ごぼぼ!こぼ!」

イーブイ「えへへそうだね」

イーブイ「そう言えば歓迎会でギャロップさんからもらったこれ、なんだろう。」

イーブイ「あったかくてきらきらして……」

ヒードラン「!!!?」

イーブイ「……まあいっか!おやすみヒードラン……」

ヒードラン「……」

ヒードラン「おやすみ、イーブイ」



150: 2013/05/24(金) 03:30:36.16 ID:vn0P9glj0
くぅ疲これ終
少しでも見てくれた人ありがとう

151: 2013/05/24(金) 03:32:20.13 ID:AMRJ4iw+O
乙でござった!!

ヒードランお前喋れたのかよwww

154: 2013/05/24(金) 03:34:50.90 ID:QqOkzg1kO
悪くなかった乙

157: 2013/05/24(金) 04:22:58.02 ID:ZONPHNCj0
このヒードラン可愛い

引用元: ヒードラン「ごぼぼっ!ごぼっ!」