1:2018/08/08(水) 01:46:00.577
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
矢島治(75) 家電量販店創業者
【企業復活】
ホーッホッホッホ……。」
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
矢島治(75) 家電量販店創業者
【企業復活】
ホーッホッホッホ……。」
2:2018/08/08(水) 01:48:09.156
ある地方都市。駅の周辺には、ショッピングモールなど大型店舗が立ち並ぶ。
数々の大型店舗の一つには、大手家電量販店「ヤジマ電機」の地方支店もある。
ヤジマ電機の店内。建物の中には、いたるところに電化製品が並んでいる。
店の端には薬局コーナーもある。従業員たちはどことなく緊張しているようだ。
男性パートたち「くれぐれも失礼のないようにしろよ」「ああ、今日は『Xデー』だからな……」
上の階にいる支店長や正社員たちも緊張している。
支店長「今日は特別な日だ。なぜなら、本社社長がここをご視察に訪れる日だからだ」
額縁の中の本社社長の肖像写真が、支店長や正社員たちを見下ろしている。
ヤジマ電機の地方支店の前に、高級そうな新型の電気自動車が姿を見せる。
車の後部座席には、スーツの上にジャンパーを羽織った老人が乗っている。
テロップ「矢島治(75) ヤジマ電機社長」
数々の大型店舗の一つには、大手家電量販店「ヤジマ電機」の地方支店もある。
ヤジマ電機の店内。建物の中には、いたるところに電化製品が並んでいる。
店の端には薬局コーナーもある。従業員たちはどことなく緊張しているようだ。
男性パートたち「くれぐれも失礼のないようにしろよ」「ああ、今日は『Xデー』だからな……」
上の階にいる支店長や正社員たちも緊張している。
支店長「今日は特別な日だ。なぜなら、本社社長がここをご視察に訪れる日だからだ」
額縁の中の本社社長の肖像写真が、支店長や正社員たちを見下ろしている。
ヤジマ電機の地方支店の前に、高級そうな新型の電気自動車が姿を見せる。
車の後部座席には、スーツの上にジャンパーを羽織った老人が乗っている。
テロップ「矢島治(75) ヤジマ電機社長」
3:2018/08/08(水) 01:50:19.922
店内に入る矢島。彼に対し、パート社員や正社員たちはいっせいに頭を下げる。
各部署を視察し、社員に対し何かを言う矢島。絶対的な存在の矢島に対し、社員たちはかしこまった様子だ。
矢島にインタビューをする経済誌の記者。
記者「日本最大の家電量販店であるヤジマ電機が、今後、進む方向というのは――」
矢島「そうですね。一つは、住宅事業の展開です。省エネ住宅やリフォームサービスの推進など……」
東京都内のあるホテル。会議室の前には、「ヤジマ電機 株主総会」と書かれた立て札が見える。
壇上に立つ矢島。株主による質問攻めに対し、困った矢島はしどろもどろになる。
株主「ヤジマ電機はここ数年、業績が低迷しています。なぜなら……」
「今回も連結決算で減益を出し、赤字経営が長期に渡って続いているからです!!」
「それだけではありません!経営の中核となるべき住宅子会社も赤字を計上しています!!」
「果たして、ヤジマ電機は低迷を打開できる展望があるのですか!?」
矢島「決算の減益と……、業績の低迷は……、間違いなく私に責任があります……」
「だ……、だからこそ……。全身全霊をあげて……。経営の立て直しに……、尽力して参ります」
各部署を視察し、社員に対し何かを言う矢島。絶対的な存在の矢島に対し、社員たちはかしこまった様子だ。
矢島にインタビューをする経済誌の記者。
記者「日本最大の家電量販店であるヤジマ電機が、今後、進む方向というのは――」
矢島「そうですね。一つは、住宅事業の展開です。省エネ住宅やリフォームサービスの推進など……」
東京都内のあるホテル。会議室の前には、「ヤジマ電機 株主総会」と書かれた立て札が見える。
壇上に立つ矢島。株主による質問攻めに対し、困った矢島はしどろもどろになる。
株主「ヤジマ電機はここ数年、業績が低迷しています。なぜなら……」
「今回も連結決算で減益を出し、赤字経営が長期に渡って続いているからです!!」
「それだけではありません!経営の中核となるべき住宅子会社も赤字を計上しています!!」
「果たして、ヤジマ電機は低迷を打開できる展望があるのですか!?」
矢島「決算の減益と……、業績の低迷は……、間違いなく私に責任があります……」
「だ……、だからこそ……。全身全霊をあげて……。経営の立て直しに……、尽力して参ります」
5:2018/08/08(水) 01:53:06.305
休日。ゴルフ場。ゴルフをする矢島と、彼を見守る女性キャディ。
ボールを打とうとして、勢いよくゴルフクラブを振る矢島。しかし、クラブはボールに当たらず空振りする。
矢島は再びクラブを振るがまた空振りする。3度目もまた、矢島は空振りを続ける。4度目も、5度目も……。
顔が真っ赤になり、苛立ちの表情を浮かべる矢島。矢島を心配そうに見守る女性キャディ。
ゴルフ場の遠く離れた場所から、空振りを続ける矢島の姿を見つける喪黒福造。喪黒は矢島の側にゆっくりと近づく。
喪黒「まあまあ、少しは落ち着いてくださいよ」
矢島「わ、私はそれどころじゃありません!!話しかけないでください!!」
喪黒「『当てよう、当てよう』と意識しすぎているから、当てることができなくなっているのですよ」
矢島「くっ……」
喪黒「まずは、肩の力を抜いてください。そして、頭の中をいったん空にしてから……」
「自然体の状態でクラブを振ってください。そうすれば、当てることができますよ」
矢島「こ……、こうすればいいんですか……」 喪黒のアドバイスに従い、ゴルフクラブを振る矢島。
彼が振り下ろしたクラブは、ようやくボールに命中する。金属音とともに勢いよく飛んでいく打球。
ボールを打とうとして、勢いよくゴルフクラブを振る矢島。しかし、クラブはボールに当たらず空振りする。
矢島は再びクラブを振るがまた空振りする。3度目もまた、矢島は空振りを続ける。4度目も、5度目も……。
顔が真っ赤になり、苛立ちの表情を浮かべる矢島。矢島を心配そうに見守る女性キャディ。
ゴルフ場の遠く離れた場所から、空振りを続ける矢島の姿を見つける喪黒福造。喪黒は矢島の側にゆっくりと近づく。
喪黒「まあまあ、少しは落ち着いてくださいよ」
矢島「わ、私はそれどころじゃありません!!話しかけないでください!!」
喪黒「『当てよう、当てよう』と意識しすぎているから、当てることができなくなっているのですよ」
矢島「くっ……」
喪黒「まずは、肩の力を抜いてください。そして、頭の中をいったん空にしてから……」
「自然体の状態でクラブを振ってください。そうすれば、当てることができますよ」
矢島「こ……、こうすればいいんですか……」 喪黒のアドバイスに従い、ゴルフクラブを振る矢島。
彼が振り下ろしたクラブは、ようやくボールに命中する。金属音とともに勢いよく飛んでいく打球。
6:2018/08/08(水) 01:55:27.791
喪黒「ナイスショット!!」
矢島に拍手する女性キャディ。矢島は、驚きと喜びの両方が入り混じった表情を顔に浮かべる。
クラブハウス。ラウンドを終えた矢島と喪黒は大浴場で入浴している。
矢島「いやあ、あなたのアドバイスのおかげで調子を取り戻すことができました」
喪黒「どういたしまして……」
矢島「何しろ……。いろいろ頭の中に雑念があったもので、どうしても集中力を欠いてしまって……」
喪黒「もしかすると、その『雑念』というのは会社の経営に関することでしょう!?」
矢島「そ、そうですよ……」
喪黒「何なら、私が社長のお力になりたいところですけどねぇ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
矢島「この名刺はウォータープルーフですか……。それにしても『ココロのスキマ、お埋めします』というのは……!?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
矢島「は、はあ……」
矢島に拍手する女性キャディ。矢島は、驚きと喜びの両方が入り混じった表情を顔に浮かべる。
クラブハウス。ラウンドを終えた矢島と喪黒は大浴場で入浴している。
矢島「いやあ、あなたのアドバイスのおかげで調子を取り戻すことができました」
喪黒「どういたしまして……」
矢島「何しろ……。いろいろ頭の中に雑念があったもので、どうしても集中力を欠いてしまって……」
喪黒「もしかすると、その『雑念』というのは会社の経営に関することでしょう!?」
矢島「そ、そうですよ……」
喪黒「何なら、私が社長のお力になりたいところですけどねぇ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
矢島「この名刺はウォータープルーフですか……。それにしても『ココロのスキマ、お埋めします』というのは……!?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
矢島「は、はあ……」
8:2018/08/08(水) 01:57:42.907
BAR「魔の巣」。喪黒と矢島が席に腰掛けている。
喪黒「矢島社長……。あなたはまさに立志伝中の人物ですなぁ」
矢島「しかしですね……。ここ数年……、肝心の経営がどうもはかばかしくないんです……」
喪黒「とはいえ、矢島社長は一代で日本最大の家電量販店グループを築き上げたお方……」
「あなたが有能な経営者であることは事実です」
矢島「とんでもありません……。2010年代になってからの私による戦略の誤りが、今の低迷をもたらしたのですから」
喪黒「どういうことです!?」
矢島「きっかけは、2010年の中国進出でした。ヤジマ電機は中国大陸での大規模な市場獲得を目指しましたが……」
「現地の住民に受け入れられないまま、わずか3年で徹底に追い込まれました」
喪黒「中国撤退の後……。日本国内でも、ヤジマ電機は経営で徐々に行き詰まっていきましたねぇ」
矢島「はい。ヤジマ電機は、地方都市への新規店舗の進出によってグループを拡大してきました」
「2010年代初頭までは、拡大経営路線でうまくいっていたのですが……」
喪黒「要するにそれは……。借金をしては新規店舗を開店させる……、これの繰り返しですよね!?」
「右肩上がりのうちは、このやり方でグループは成長を続けることができます。新規店舗の黒字で借金を返せるのですから」
「しかしながら、いったん右肩下がりになると……。新規店舗を開店させても黒字が出ないから借金を返せない……」
「そうなると……」
喪黒「矢島社長……。あなたはまさに立志伝中の人物ですなぁ」
矢島「しかしですね……。ここ数年……、肝心の経営がどうもはかばかしくないんです……」
喪黒「とはいえ、矢島社長は一代で日本最大の家電量販店グループを築き上げたお方……」
「あなたが有能な経営者であることは事実です」
矢島「とんでもありません……。2010年代になってからの私による戦略の誤りが、今の低迷をもたらしたのですから」
喪黒「どういうことです!?」
矢島「きっかけは、2010年の中国進出でした。ヤジマ電機は中国大陸での大規模な市場獲得を目指しましたが……」
「現地の住民に受け入れられないまま、わずか3年で徹底に追い込まれました」
喪黒「中国撤退の後……。日本国内でも、ヤジマ電機は経営で徐々に行き詰まっていきましたねぇ」
矢島「はい。ヤジマ電機は、地方都市への新規店舗の進出によってグループを拡大してきました」
「2010年代初頭までは、拡大経営路線でうまくいっていたのですが……」
喪黒「要するにそれは……。借金をしては新規店舗を開店させる……、これの繰り返しですよね!?」
「右肩上がりのうちは、このやり方でグループは成長を続けることができます。新規店舗の黒字で借金を返せるのですから」
「しかしながら、いったん右肩下がりになると……。新規店舗を開店させても黒字が出ないから借金を返せない……」
「そうなると……」
9:2018/08/08(水) 02:00:15.475
矢島「あなたの言う通りです。借金をしては新規店舗を開店させるやり方を繰り返すことで……」
「借金は雪だるまのように膨れ上がっていき……、赤字はどんどん拡大していく……」
喪黒「まさに、悪循環以外の何ものでもありませんなぁ」
矢島「あと、何よりも厄介なのは……。ヤジマ電機に強力なライバルが出現したということです」
喪黒「アメリカに本社を持つインターネット通販サイトの『アムザン』」
矢島「そうですよ、それ!!『アムザン』によるネット通販の広がりと価格競争で、ヤジマ電機は苦戦に追い込まれています」
「グローバルな規模の通販サイトの出現……。喩えるなら、幕末のころの日本人が黒船を目にしたような衝撃ですよ!!」
喪黒「いやはや……。今のあなたの置かれた苦境、察するに余りあります」
矢島「そこで、ヤジマ電機は経営難を打開すべく、住宅事業の展開に打って出ることにしました」
「この新しいビジネスモデルを経営の中核とするために……。しかしながら……」
喪黒「その肝心の住宅事業が赤字続きですからねぇ……」
矢島「ええ、全く……。八方ふさがりとはこのことですよ……」
喪黒「矢島社長……。行き詰まった企業を何とかして立て直したいでしょう!?」
矢島「言うまでもありませんよ!ですが……、このまま業績の悪化に何も手を打つことができなかったら……」
「最悪の場合……、あと数年後にヤジマ電機は倒産もあり得るかもしれません!!」
「借金は雪だるまのように膨れ上がっていき……、赤字はどんどん拡大していく……」
喪黒「まさに、悪循環以外の何ものでもありませんなぁ」
矢島「あと、何よりも厄介なのは……。ヤジマ電機に強力なライバルが出現したということです」
喪黒「アメリカに本社を持つインターネット通販サイトの『アムザン』」
矢島「そうですよ、それ!!『アムザン』によるネット通販の広がりと価格競争で、ヤジマ電機は苦戦に追い込まれています」
「グローバルな規模の通販サイトの出現……。喩えるなら、幕末のころの日本人が黒船を目にしたような衝撃ですよ!!」
喪黒「いやはや……。今のあなたの置かれた苦境、察するに余りあります」
矢島「そこで、ヤジマ電機は経営難を打開すべく、住宅事業の展開に打って出ることにしました」
「この新しいビジネスモデルを経営の中核とするために……。しかしながら……」
喪黒「その肝心の住宅事業が赤字続きですからねぇ……」
矢島「ええ、全く……。八方ふさがりとはこのことですよ……」
喪黒「矢島社長……。行き詰まった企業を何とかして立て直したいでしょう!?」
矢島「言うまでもありませんよ!ですが……、このまま業績の悪化に何も手を打つことができなかったら……」
「最悪の場合……、あと数年後にヤジマ電機は倒産もあり得るかもしれません!!」
10:2018/08/08(水) 02:00:36.806 ID:qdFWSv9tK.net
さすがに入浴しながら名刺は渡さんだろ
12:2018/08/08(水) 02:03:54.516 ID:UGoE7xNA0.net
>>10
原作でそういうシーンあるよ
防水加工
原作でそういうシーンあるよ
防水加工
11:2018/08/08(水) 02:02:29.580
喪黒「ヤジマ電機が倒産したら……。正社員やパートの人たちは大勢、路頭に迷うことになりますよ」
矢島「倒産だけは何が何でも避けたいですよ!!でも……、今のままでは為すすべがありません!!」
喪黒「ほら……、矢島社長。今日のゴルフの様子を思い出してください」
矢島「えっ!?」
喪黒「昼間の時のゴルフで、あなたは空振りを何度も繰り返していましたね」
矢島「ええ……。ですが、喪黒さんのアドバイスのおかげで私は調子を取り戻すことができました」
喪黒「それと同じですよ。あなたは自分一人で背負い込み過ぎています。何でもかんでも自分一人で解決しようと……ね」
矢島「言われてみれば、そうかもしれませんなぁ……」
喪黒「そういうことです。だから、周囲の人たちのアドバイスにもしっかり耳を傾けるべきなのです」
矢島「ですよね……。私は、ワンマン経営のせいで周りが見えなくなっていたんでしょうな」
喪黒「ワンマン体質の経営を改めるためには、外部からの人材が必要でしょう」
「よろしかったら、私があなたに優秀な経営コンサルタントを紹介しましょうか!?」
矢島「ええ……、そうしますよ……」
矢島「倒産だけは何が何でも避けたいですよ!!でも……、今のままでは為すすべがありません!!」
喪黒「ほら……、矢島社長。今日のゴルフの様子を思い出してください」
矢島「えっ!?」
喪黒「昼間の時のゴルフで、あなたは空振りを何度も繰り返していましたね」
矢島「ええ……。ですが、喪黒さんのアドバイスのおかげで私は調子を取り戻すことができました」
喪黒「それと同じですよ。あなたは自分一人で背負い込み過ぎています。何でもかんでも自分一人で解決しようと……ね」
矢島「言われてみれば、そうかもしれませんなぁ……」
喪黒「そういうことです。だから、周囲の人たちのアドバイスにもしっかり耳を傾けるべきなのです」
矢島「ですよね……。私は、ワンマン経営のせいで周りが見えなくなっていたんでしょうな」
喪黒「ワンマン体質の経営を改めるためには、外部からの人材が必要でしょう」
「よろしかったら、私があなたに優秀な経営コンサルタントを紹介しましょうか!?」
矢島「ええ……、そうしますよ……」
13:2018/08/08(水) 02:04:39.760
ヤジマ電機本社ビル。社長室に喪黒と一人の男性が入る。
喪黒が連れてきた男性は、七三の髪形と金縁の丸眼鏡をした男性で40代のように見える。
喪黒「彼は、経営コンサルタントの小山勝彦さんです」
小山「よろしくお願いします」 小山は一礼した後、矢島社長と握手をする。
矢島「矢島です。経営立て直しのため……、あなたの貴重な知恵を是非お借りしたい」
小山「ええ。喜んで」
喪黒「小山さんは企業の軍師です。戦いというものは、どんな名将も側に名軍師がいてこそ本領を発揮できるのですよ」
矢島「は、はあ……」
喪黒「彼を紹介した私の立場もありますからねぇ……。だから、約束はきちんと守ってください」
矢島「そ……、そりゃあ、もちろん……」
喪黒「約束です。小山さんはプロの経営コンサルタントですから、彼のアドバイスにはしっかり耳を傾けてください」
「くれぐれも……。小山さんのアドバイスを無視したり、あなたの独断専行で経営を進めたりしてはいけません」
矢島「わ、分かりました……。喪黒さん……」
喪黒が連れてきた男性は、七三の髪形と金縁の丸眼鏡をした男性で40代のように見える。
喪黒「彼は、経営コンサルタントの小山勝彦さんです」
小山「よろしくお願いします」 小山は一礼した後、矢島社長と握手をする。
矢島「矢島です。経営立て直しのため……、あなたの貴重な知恵を是非お借りしたい」
小山「ええ。喜んで」
喪黒「小山さんは企業の軍師です。戦いというものは、どんな名将も側に名軍師がいてこそ本領を発揮できるのですよ」
矢島「は、はあ……」
喪黒「彼を紹介した私の立場もありますからねぇ……。だから、約束はきちんと守ってください」
矢島「そ……、そりゃあ、もちろん……」
喪黒「約束です。小山さんはプロの経営コンサルタントですから、彼のアドバイスにはしっかり耳を傾けてください」
「くれぐれも……。小山さんのアドバイスを無視したり、あなたの独断専行で経営を進めたりしてはいけません」
矢島「わ、分かりました……。喪黒さん……」
14:2018/08/08(水) 02:06:40.218
1週間後。ヤジマ電機本社ビル、社長室。小山から経営再建に関するレポートを見せられ、驚愕する矢島。
矢島「な……、何だこれは……!!!」
「新規店舗の進出をやめろだと……!?店舗の数は今の半分に減らせだと……!?」
小山「拡大経営路線をやめて、店舗の数を再編することにより……。赤字を大幅に減らすことができます」
矢島「だ……、だがな……。私は拡大経営路線をとることで、グループをここまでの規模に育て上げたんだ!!」
「今までそうやってうまくいってきた!!それを今さら否定するというのか……!!」
小山「拡大経営路線がすでに成功モデルでなくなっているのは、あなたなら誰よりもご存じのはずですよ。社長」
矢島「そ……、そうだったな。それと……だ。わが社が現在進めている住宅事業も全部やめろというのか!?」
小山「無理もありません。住宅事業は赤字続きで全く採算がとれていませんからね……」
矢島「あ、ああ……。君の言いたいことはよく分かる……」
「あと、それだけではない……。この私が社長を辞任するべきだと……!?」
小山「矢島社長は辞任して会長となり、次期社長が経営の実権を握ります。これによって新体制を確立します」
矢島「とはいえ……だ。よりによって、反主流派の専務を次期社長にしろというのか……」
矢島「な……、何だこれは……!!!」
「新規店舗の進出をやめろだと……!?店舗の数は今の半分に減らせだと……!?」
小山「拡大経営路線をやめて、店舗の数を再編することにより……。赤字を大幅に減らすことができます」
矢島「だ……、だがな……。私は拡大経営路線をとることで、グループをここまでの規模に育て上げたんだ!!」
「今までそうやってうまくいってきた!!それを今さら否定するというのか……!!」
小山「拡大経営路線がすでに成功モデルでなくなっているのは、あなたなら誰よりもご存じのはずですよ。社長」
矢島「そ……、そうだったな。それと……だ。わが社が現在進めている住宅事業も全部やめろというのか!?」
小山「無理もありません。住宅事業は赤字続きで全く採算がとれていませんからね……」
矢島「あ、ああ……。君の言いたいことはよく分かる……」
「あと、それだけではない……。この私が社長を辞任するべきだと……!?」
小山「矢島社長は辞任して会長となり、次期社長が経営の実権を握ります。これによって新体制を確立します」
矢島「とはいえ……だ。よりによって、反主流派の専務を次期社長にしろというのか……」
15:2018/08/08(水) 02:09:16.088
小山「異なる意見も取り入れてこそ、組織は機能します。これくらい、思い切った改革が必要です」
矢島「ううむ……」
記者会見を行う矢島。 矢島「経営の低迷を打開すべく……。私は社長を退くことを決めました……」
経済新聞「ヤジマ電機、矢島社長の辞任発表」「後任の社長に専務の椛島氏」
BAR「魔の巣」。喪黒と矢島が席に腰掛けている。
喪黒「矢島社長……、おっと失礼。あなたは会長に就任したんですよね」
矢島「いえいえ……。何しろ急な出来事なので……。私もまだ『会長』と呼ばれるのは慣れてないですよ」
喪黒「このご様子からして……。おそらく、社長辞任も小山さんのアドバイスによるものでしょう」
矢島「ええ、そうです……。彼が提案してきた改革案はどれも急進的な内容のものばかりでした……」
喪黒「でも、あなたはそれらの案を全て受け入れたのですね」
矢島「これも会社を立て直すためだと思うと、やむを得ませんよ……」
喪黒「そうです、その意気!!」
矢島「ううむ……」
記者会見を行う矢島。 矢島「経営の低迷を打開すべく……。私は社長を退くことを決めました……」
経済新聞「ヤジマ電機、矢島社長の辞任発表」「後任の社長に専務の椛島氏」
BAR「魔の巣」。喪黒と矢島が席に腰掛けている。
喪黒「矢島社長……、おっと失礼。あなたは会長に就任したんですよね」
矢島「いえいえ……。何しろ急な出来事なので……。私もまだ『会長』と呼ばれるのは慣れてないですよ」
喪黒「このご様子からして……。おそらく、社長辞任も小山さんのアドバイスによるものでしょう」
矢島「ええ、そうです……。彼が提案してきた改革案はどれも急進的な内容のものばかりでした……」
喪黒「でも、あなたはそれらの案を全て受け入れたのですね」
矢島「これも会社を立て直すためだと思うと、やむを得ませんよ……」
喪黒「そうです、その意気!!」
16:2018/08/08(水) 02:11:25.643
ヤジマ電機本社ビル、会長室。矢島会長と小山は会話をしている。
矢島「店舗の大幅削減や住宅事業の中止は、確かに効果のあるコストカットと言える……」
「だがな……。それをやっても、まだグループ全体の赤字を完全に解消することは難しいんだぞ……」
小山「会長、私にいい考えがあります。奥の手を使うのです。禁断中の禁断とも言うべきあの手段を……」
矢島「それは一体何だ!?」
小山「実は……」 小山が矢島の耳元で何かをささやく。話を聞くうちに、矢島はみるみる驚いた表情になる。
矢島「な……、何だと!?粉飾決算をやれというのか!?」
小山「背に腹は代えられません」
矢島「だがな……、これは犯罪だぞ!!発覚したら私の逮捕もあり得るかもしれんのだぞ!!」
小山「バレないようにするためのコツはあります。私の言う通りにやれば、会計処理は乗り切れますよ」
会議室。矢島会長の周囲には役員たちが多く集まっている。取締役だけでなく、監査役や会計参与も会議に参加している。
矢島「本日、この場で私が話すことは非常に重要です」
「今回の会議の内容は……。極秘中の極秘であり、決して口外してはなりません」
矢島「店舗の大幅削減や住宅事業の中止は、確かに効果のあるコストカットと言える……」
「だがな……。それをやっても、まだグループ全体の赤字を完全に解消することは難しいんだぞ……」
小山「会長、私にいい考えがあります。奥の手を使うのです。禁断中の禁断とも言うべきあの手段を……」
矢島「それは一体何だ!?」
小山「実は……」 小山が矢島の耳元で何かをささやく。話を聞くうちに、矢島はみるみる驚いた表情になる。
矢島「な……、何だと!?粉飾決算をやれというのか!?」
小山「背に腹は代えられません」
矢島「だがな……、これは犯罪だぞ!!発覚したら私の逮捕もあり得るかもしれんのだぞ!!」
小山「バレないようにするためのコツはあります。私の言う通りにやれば、会計処理は乗り切れますよ」
会議室。矢島会長の周囲には役員たちが多く集まっている。取締役だけでなく、監査役や会計参与も会議に参加している。
矢島「本日、この場で私が話すことは非常に重要です」
「今回の会議の内容は……。極秘中の極秘であり、決して口外してはなりません」
17:2018/08/08(水) 02:13:32.462 ID:MbtQh+EG0.net
Fに比べるとなんて言われるのも仕方ないがAもまた間違いなく天才の域
18:2018/08/08(水) 02:13:53.760
会長室。会話をする矢島と小山。矢島の表情は重々しくて暗い。
矢島「とうとう……、やったぞ……!極秘の会議を開き、私は役員たちに粉飾決算を命じた……!!」
小山「よくやりましたね……、会長……。提案したのは私ですから……、私も責任を取ります……!!」
矢島「もう、後戻りはできんな……!!」
ヤジマ電機のある地方店舗。ここでは閉店セールが行われてる。
男性パート「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ!!」
「本日は閉店セールのため、白物家電が3割引きとなっております!!」
他の地域でも、ヤジマ電機の閉店セールが行われる。
女性パート「長らくご愛顧いただき、誠にありがとうございました!!」
ヤジマ電機本社ビル、会長室。小山は矢島に提案をする。
小山「外国人観光客向けの免税サービスは、今以上に規模を拡大する必要があるでしょう」
矢島「うむ……、そうだな。外国人観光客による『爆買い』は、今のヤジマ電機の頼みの綱だからな……」
矢島「とうとう……、やったぞ……!極秘の会議を開き、私は役員たちに粉飾決算を命じた……!!」
小山「よくやりましたね……、会長……。提案したのは私ですから……、私も責任を取ります……!!」
矢島「もう、後戻りはできんな……!!」
ヤジマ電機のある地方店舗。ここでは閉店セールが行われてる。
男性パート「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ!!」
「本日は閉店セールのため、白物家電が3割引きとなっております!!」
他の地域でも、ヤジマ電機の閉店セールが行われる。
女性パート「長らくご愛顧いただき、誠にありがとうございました!!」
ヤジマ電機本社ビル、会長室。小山は矢島に提案をする。
小山「外国人観光客向けの免税サービスは、今以上に規模を拡大する必要があるでしょう」
矢島「うむ……、そうだな。外国人観光客による『爆買い』は、今のヤジマ電機の頼みの綱だからな……」
19:2018/08/08(水) 02:16:22.494
ある大都市。ヤジマ電機の店舗にアジア系の外国人観光客たちが訪れる。
店内にある家電を指差し、笑顔で何かを話す外国人観光客たち。男性パートが観光客に対応している。
こうして幾月日が経ったある日。ホテルでヤジマ電機の株式総会が行われる。壇上に立つ矢島会長は清々しい顔つきだ。
ヤジマ電機本社ビル、会長室。
矢島「経営の黒字化を達成しつつある今……。そろそろ、新規店舗の進出を再開してもいいかと思うが……」
小山「まだ、新規店舗の進出をすべきではありません」
矢島「それとだ……。私は会長兼社長として、社長復帰もしようかと思うが……。どうかね!?」
小山「社長復帰はダメです。何のために、今の新体制を作ったのですか!?」
さらにある日。会長室で、矢島は小山を怒鳴りつけている。
矢島「小山君!!君は一体何度……、私に口答えをすれば気が済むんだ!!」
小山「私はあくまでも、会社の将来を思って意見を述べているまでです!!」
矢島「勘違いするな!!ヤジマ電機が黒字化したのは君のおかげじゃない!!私の経営手腕のおかげだ!!」
矢島は机を叩き、小山に指を差し叫ぶ。 矢島「……君はクビだ!!出て行って貰おう!!」
店内にある家電を指差し、笑顔で何かを話す外国人観光客たち。男性パートが観光客に対応している。
こうして幾月日が経ったある日。ホテルでヤジマ電機の株式総会が行われる。壇上に立つ矢島会長は清々しい顔つきだ。
ヤジマ電機本社ビル、会長室。
矢島「経営の黒字化を達成しつつある今……。そろそろ、新規店舗の進出を再開してもいいかと思うが……」
小山「まだ、新規店舗の進出をすべきではありません」
矢島「それとだ……。私は会長兼社長として、社長復帰もしようかと思うが……。どうかね!?」
小山「社長復帰はダメです。何のために、今の新体制を作ったのですか!?」
さらにある日。会長室で、矢島は小山を怒鳴りつけている。
矢島「小山君!!君は一体何度……、私に口答えをすれば気が済むんだ!!」
小山「私はあくまでも、会社の将来を思って意見を述べているまでです!!」
矢島「勘違いするな!!ヤジマ電機が黒字化したのは君のおかげじゃない!!私の経営手腕のおかげだ!!」
矢島は机を叩き、小山に指を差し叫ぶ。 矢島「……君はクビだ!!出て行って貰おう!!」
20:2018/08/08(水) 02:19:29.373
小山が解雇された数日後。全国紙「ヤジマ電機、矢島会長が社長復帰へ」「ヤジマ電機 矢島会長、社長兼務を表明」
ヤジマ電機本社ビル。会長室の窓から、ビル街を見つめる矢島。女性秘書が会長室の中に入る。
秘書「会長、喪黒福造という方が面会を求めていますが……」
矢島「分かった、通してくれ……。彼にはいろいろ恩があるからな……」
会長室に入る喪黒。矢島と喪黒はソファーに座る。
秘書が、2人がいる机の上にコーヒーを置き、立ち去る。部屋の中は矢島と喪黒だけになる。
矢島「喪黒さん……。ヤジマ電機はようやく黒字化し始めました。これも、あなたのおかげ……」
喪黒「矢島会長……。あなた約束を破りましたね」
矢島「なっ!?」
喪黒「私はあなたに言ったはずです。小山さんのアドバイスにはしっかり耳を傾けるべきだ……と」
「彼のアドバイスを無視したり、あなたの独断専行で経営を進めたりしてはならない……と」
矢島「そ、それがどうしたというんだ!!会社は黒字化したんだ!!彼の役目はもう済んだ!!」
「ヤジマ電機はもともと私が創業し、私の手で大きくした会社なんだ!!」
「だから……、これからは私の思うように会社を経営するつもりだ!!それの何が悪いんだ!!」
ヤジマ電機本社ビル。会長室の窓から、ビル街を見つめる矢島。女性秘書が会長室の中に入る。
秘書「会長、喪黒福造という方が面会を求めていますが……」
矢島「分かった、通してくれ……。彼にはいろいろ恩があるからな……」
会長室に入る喪黒。矢島と喪黒はソファーに座る。
秘書が、2人がいる机の上にコーヒーを置き、立ち去る。部屋の中は矢島と喪黒だけになる。
矢島「喪黒さん……。ヤジマ電機はようやく黒字化し始めました。これも、あなたのおかげ……」
喪黒「矢島会長……。あなた約束を破りましたね」
矢島「なっ!?」
喪黒「私はあなたに言ったはずです。小山さんのアドバイスにはしっかり耳を傾けるべきだ……と」
「彼のアドバイスを無視したり、あなたの独断専行で経営を進めたりしてはならない……と」
矢島「そ、それがどうしたというんだ!!会社は黒字化したんだ!!彼の役目はもう済んだ!!」
「ヤジマ電機はもともと私が創業し、私の手で大きくした会社なんだ!!」
「だから……、これからは私の思うように会社を経営するつもりだ!!それの何が悪いんだ!!」
21:2018/08/08(水) 02:22:50.100
喪黒「そうですか……。あくまでも、ワンマン経営者として振る舞うおつもりなのですか……」
「ならば……、これから訪れる会社の危機に対しても……。あなたの独裁で乗り切ってみてください!!」
喪黒は矢島に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
矢島「ギャアアアアアアアアア!!!」
ヤジマ電機のある地方店舗。店内にあるテレビがニュースを流している。
テレビ「大手家電量販店グループ・ヤジマ電機で、不適切な会計処理が行われていたことが……」
「証券取引委員会への内部通報で明らかとなりました……」
翌朝。ヤジマ電機本社ビル。会長室で経済新聞のトップ記事を見ながら、驚きと怒りの表情で震える矢島。
経済新聞「ヤジマ電機、粉飾決算発覚」 矢島は床に新聞を叩きつける。
矢島「粉飾決算は私のせいじゃない……!!あいつだ……!!小山のせいだ……!!」
矢島はスマホを操作し、小山に電話をかける。
スマホ「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません……」
小山「そんな……、馬鹿な……!!小山に電話がつながらない……!!」
「ならば……、これから訪れる会社の危機に対しても……。あなたの独裁で乗り切ってみてください!!」
喪黒は矢島に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
矢島「ギャアアアアアアアアア!!!」
ヤジマ電機のある地方店舗。店内にあるテレビがニュースを流している。
テレビ「大手家電量販店グループ・ヤジマ電機で、不適切な会計処理が行われていたことが……」
「証券取引委員会への内部通報で明らかとなりました……」
翌朝。ヤジマ電機本社ビル。会長室で経済新聞のトップ記事を見ながら、驚きと怒りの表情で震える矢島。
経済新聞「ヤジマ電機、粉飾決算発覚」 矢島は床に新聞を叩きつける。
矢島「粉飾決算は私のせいじゃない……!!あいつだ……!!小山のせいだ……!!」
矢島はスマホを操作し、小山に電話をかける。
スマホ「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません……」
小山「そんな……、馬鹿な……!!小山に電話がつながらない……!!」
22:2018/08/08(水) 02:26:03.977
月刊雑誌『文藝隆盛』。雑誌の見出しには、ヤジマ電機取締役による告発インタビューが載っている。
文藝隆盛「『粉飾決算は矢島会長の命令で行われた』 ヤジマ電機取締役、本誌に怒りの告発」
ヤジマ電機本社ビル。会長室で『文藝隆盛』を手にし、絶望の表情となる矢島。
矢島「も……、もう終わりだ……!!破滅だああああ!!!」
記者会見で頭を下げる矢島。 全国紙「矢島会長兼社長、辞任を表明」「ヤジマ電機、株価ストップ安」
そして、運命の日――。ヤジマ電機本社ビル。管理職や正社員の人たちは皆、部屋にあるテレビにくぎ付けとなっている。
テレビ「速報です!東京地検特捜部は……、ヤジマ電機前会長の矢島治容疑者を、金融商品取引法違反で逮捕しました!」
1週間後。ヤジマ電機本社ビルの前にいる喪黒。喪黒が持つ新聞には「ヤジマ電機、民事再生法申請へ」の見出しがある。
喪黒「企業の寿命は平均30年と言われていますが、生き物に寿命があるように、会社にも寿命があります」
「どれだけ繁栄を極めた企業であっても、時代に合わなくなると衰退を迎えるのは必然と言えましょう」
「ですが……。場合によっては、経営者の努力次第で、企業の寿命を伸ばすことは可能なのかもしれません」
「なぜなら……。過去の成功体験にとらわれず、大胆な変革を行って生き残りに成功できた企業もあるからです」
「とはいえ……。全ての生き物が最後に死を迎えるように、全ての企業もまた最後は消えていくのです」
「この世に存在するもので……。形あるものは皆、いつか必ず滅んでいくものですからねぇ……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
文藝隆盛「『粉飾決算は矢島会長の命令で行われた』 ヤジマ電機取締役、本誌に怒りの告発」
ヤジマ電機本社ビル。会長室で『文藝隆盛』を手にし、絶望の表情となる矢島。
矢島「も……、もう終わりだ……!!破滅だああああ!!!」
記者会見で頭を下げる矢島。 全国紙「矢島会長兼社長、辞任を表明」「ヤジマ電機、株価ストップ安」
そして、運命の日――。ヤジマ電機本社ビル。管理職や正社員の人たちは皆、部屋にあるテレビにくぎ付けとなっている。
テレビ「速報です!東京地検特捜部は……、ヤジマ電機前会長の矢島治容疑者を、金融商品取引法違反で逮捕しました!」
1週間後。ヤジマ電機本社ビルの前にいる喪黒。喪黒が持つ新聞には「ヤジマ電機、民事再生法申請へ」の見出しがある。
喪黒「企業の寿命は平均30年と言われていますが、生き物に寿命があるように、会社にも寿命があります」
「どれだけ繁栄を極めた企業であっても、時代に合わなくなると衰退を迎えるのは必然と言えましょう」
「ですが……。場合によっては、経営者の努力次第で、企業の寿命を伸ばすことは可能なのかもしれません」
「なぜなら……。過去の成功体験にとらわれず、大胆な変革を行って生き残りに成功できた企業もあるからです」
「とはいえ……。全ての生き物が最後に死を迎えるように、全ての企業もまた最後は消えていくのです」
「この世に存在するもので……。形あるものは皆、いつか必ず滅んでいくものですからねぇ……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
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