1: 2010/12/07(火) 17:11:39.60

シロクマ2「え?」

シロクマ「なんかすごく寒い気がするんだけど……」

シロクマ2「は……?」

シロクマ「これは気のせいかじゃない……ここ寒いよ!」

シロクマ2「………おいやめろよ……俺まで寒くなってきそうだ……」

シロクマ「こ…ここ絶っ対寒いよー!」

シロクマ2「や、やめろおおおー!」
 


2: 2010/12/07(火) 17:13:54.62

シロクマ「気づいちゃったんだからしょうがないじゃん……」

シロクマ2「そんなの…俺もなんとなくそう思ってはいたんだよ…!だけどな…!」

シロクマ「あー、なんか寒いわ…、なんで今まで平気だったんだろ俺…」

シロクマ2「もうそれ以上寒いって言うなー!」

シロクマ「それに……なんか地面冷たいし………まさか……」

シロクマ2「……やめろ…」

シロクマ「この地面…氷…じゃね?」

シロクマ2「やめろー!!!」


3: 2010/12/07(火) 17:15:19.11

 カン カン

シロクマ「ああ……絶対地面氷だよ……」

シロクマ2「違う!氷なんかじゃない!タイル!これはこういうタイル!」

シロクマ「足冷たい足冷たい足冷たい足冷たい」

シロクマ2「やめろ!氷なんかじゃない!昨日までこの上で寝てたたんだぞ!」

シロクマ「ああ…もう氷の上なんかに寝れないよ…」

シロクマ2「寝れなくなる訳ねーだろ!寝なきゃいけないんだ!俺は今まで通り寝るぞ!」

ゴロン…

シロクマ2「冷てー!!!!」


4: 2010/12/07(火) 17:16:14.94

シロクマ「ね?」

シロクマ2「"ね?"じゃねーよ!余計な事気付きやがって……」

シロクマ「しょうがないじゃん、あー冷たい!」

シロクマ2「ダメだ…寒すぎて痛くなってきた…」

シロクマ「あ!そうだ!二匹で抱き合えば寒くないんじゃない?」

シロクマ2「…気持ちわりーよ……」

シロクマ「同性だしいいじゃん」

シロクマ2「まあ……そうだけど…あ~…しょうがないか…」

ガシッ

ギュッ

シロクマ「…あっか~い」


6: 2010/12/07(火) 17:26:56.02

ヌクヌク

シロクマ2「あー、少しはましになったなー」

シロクマ「シロクマとこんなにくっついたの初めて」

シロクマ2「なんでオスと抱き合うハメになんなきゃなんねーんだよ……」

シロクマ「えっ…」

シロクマ2「めっちゃ気色わりーなー、なあ?」

シロクマ「お、オス?」

シロクマ2「ああ、俺達オス同士じゃん…?」

シロクマ「えっ、メス同士じゃないの…?」

シロクマ2「………ま、マジかよおおおー!!!!」


7: 2010/12/07(火) 17:28:01.87

シロクマ「お前はオスだったの!?」

シロクマ2「オスだよオス!ずっとオス!なんで気付かねーんだよ!」

シロクマ「ちょっとオスっぽいメスかと……」

シロクマ2「って、っていうかお前自分の事"俺"って言うじゃん!?」

シロクマ「うん、俺あまり女の子女の子するの嫌いなんだよ」

シロクマ2「オレっ娘かよー!紛らわしいんだよー!ふっざけんなよ!」

シロクマ「なんだよ!そんなに言うことないじゃん!」

シロクマ2「今までの……お前との友情物語返せよぉー!」


8: 2010/12/07(火) 17:28:45.61

シロクマ「関係ねーだろ!俺とオスだとかメスだとか考えて仲良くしてたのかよ!?」

シロクマ2「それは……違うけどさ……」

シロクマ「だろ?今まで通りでいいじゃんか」

シロクマ2「でも…ちょっとびっくりしてさ…すまん…」

シロクマ「もういいよ、全部今まで通りな」

シロクマ2「ああ、そうだな…、お前の言う通りだ、ちょっと熱くなっちまった」


 グゥ~

シロクマ「あ~、なんかお腹減った」
 

9: 2010/12/07(火) 17:29:17.30

シロクマ「そうだな、じゃあ俺魚とってきてやるよ」

シロクマ2「え?いいのか?珍しいな」

シロクマ「ああ、なんか今日調子良いしな」

シロクマ2「マジで?じゃあ頼むわ」

シロクマ「おう」

 のそのそ

 ひゅ~

シロクマ2「あ~!めっちゃ寒いな~!」


10: 2010/12/07(火) 17:30:07.52
―しばらくして―


シロクマ「おっそいなあ…」

シロクマ「どこまで行ってんだよ」

シロクマ「早くご飯食べて体温めないと……」

シロクマ「って魚も氷水泳いでた冷たいやつだエーン!!」

 のそのそ

シロクマ2「ハアハア…、待たせたな…」

シロクマ「おう!やっと来たか!待ちくたびれた……ぜ…」


 ドサドサドサドサ



11: 2010/12/07(火) 17:32:55.47 ID:kTJbUYAO
スレタイに釣られて来てしまったが…
とんでもなく面白い…!

12: 2010/12/07(火) 17:34:39.18 ID:ziVPbIDO
可愛すぎワロタ

13: 2010/12/07(火) 17:35:33.45

 ど っ さ り !


シロクマ「な、なんだよ、この魚の量!」

シロクマ2「え?そう?ハアハア…これくらい普通じゃね?」

シロクマ「お前息切れてるじゃん……」

シロクマ2「え?別に?マジ余裕だし、んんふ、んんふっ」

シロクマ「息切れ我慢すんなよ……お前…どうした?」

シロクマ2「え?何が?え?いつも通りじゃね?」

シロクマ「そ…そうか…?」


14: 2010/12/07(火) 17:36:31.37

シロクマ「…まあいいや、早く食おうぜ」

シロクマ2「ああ、全部お前食えよ、腹減ってんだろ」

シロクマ「え?お前は?」

シロクマ2「え?俺?く、食いながら来たから腹いっぱいだし」

シロクマ「そ、そうなのか?」

 ぐぅ~

シロクマ2「…あ…やべ……」

シロクマ「ど……どうしたんだよお前はぁー!!!」


15: 2010/12/07(火) 17:37:14.64

シロクマ2「ど、どうしたって、何が?」

シロクマ「なんか…おかしい…!」

シロクマ2「な、何がおかしいんだよ?」

シロクマ「なんていうか…俺に優し過ぎる…!」

シロクマ2「そうか?はい、魚あ~ん」

 ぐいっ

シロクマ「あ~ん……ってやめろぉー!!!!!」


16: 2010/12/07(火) 17:37:56.33

シロクマ2「おいおい、どうした?」

シロクマ「どうしたってお前!あ~んなんてやった事ないだろ…!」

シロクマ2「え?そうだっけ?」

シロクマ「それに、なんだ…この魚の山の上にある…花は…!」

 ゆらゆら

シロクマ2「ノースポールだけど?」

シロクマ「種類聞いてんじゃないよ!なんであるんだよ!」

シロクマ2「なんでって、お前へのプレゼントだけど……////」

シロクマ「花言葉は誠実ぅ!?やかましいわああああああ!!!」


17: 2010/12/07(火) 17:38:47.22

シロクマ2「まさか花言葉を知ってたとは…////」

シロクマ「照れてんじゃねーよ!気色悪っ!」

シロクマ2「お、怒るなよ」

シロクマ「お前あれだろ!?俺がメスだと分かった途端態度変えたろ!?」

シロクマ2「そ、そういう訳じゃねえよ!」

シロクマ「み、見損なったわ!」

 ぴゅ~

シロクマ2「あー、寒いなぁ、そうだ、さっきみたく抱き合おうぜ」

 のそのそ

シロクマ「来るなあああああー!!!」


18: 2010/12/07(火) 17:46:39.43

シロクマ2「おい、いつも通りだって言っただろ…」

シロクマ「お、お前がいつも通りじゃない!!」

シロクマ2「なあ、いいだろ!寒いんだよ!」

 ピキーン

シロクマ「なんだその前傾姿勢はぁー!!?」

シロクマ2「ウオオオオオオオーーー!!!!」

 ガバッ

 ギュッ

シロクマ「や、やめろおおー!!お前との友情物語返せええー!!」

20: 2010/12/07(火) 17:47:37.59

 ヌクヌク モゾモゾ

シロクマ「やめろー!モゾモゾすなー!」

シロクマ2「あったかいなあー!なあ!?」

 モゾモゾ

シロクマ「あったかいけどモゾモゾすなああー!!」

 カチャ

シロクマ2「……ん?」

シロクマ「…ど、どうした…?」

 カチャ カチャ


21: 2010/12/07(火) 17:48:35.29

 カチャ カチャ

シロクマ2「お前…背中になんかついてるぞ…!」

シロクマ「え?マジで?何ついてるの?」

シロクマ2「後ろ向いてみろ!」

シロクマ「ああ…」

 くるり

シロクマ2「お、お前背中にチャックついてんじゃねーか!!!」

シロクマ「マジで!?え!?マジで!?」

22: 2010/12/07(火) 17:49:08.03

シロクマ2「うそ~~~ん!!お前シロクマじゃないじゃーん!」

シロクマ「はあ!?嘘だろ!?」

シロクマ2「ただの着ぐるみじゃーん!マジショックだわー!」

シロクマ「え~~~!うっそ~~!!!」

シロクマ2「開けるわ~、もう俺お前のチャック開けるわ~」

シロクマ「や、やめろ!まだ心の準備が!」

 ジィーーーーーー


23: 2010/12/07(火) 17:50:13.76

 ジ ャ ー ン !

シロクマ2「…………」

シロクマ「ど、どうなんだ…?俺は何なんだ?」

シロクマ2「…人間じゃーーーん!!」

シロクマ「に、人間!?」

シロクマ2「まあそりゃ人間かー!背中にチャックだもんなー!人間だよなー!」

 ペチペチ フサフサ

シロクマ「ほ、本当だ…!人間の皮膚だ…!人間の髪だ…!」

シロクマ2「テンション下がるわあああーーー!!!!」

24: 2010/12/07(火) 17:55:54.65

 ゴソゴソ

シロクマ「な、何すんだよ!着ぐるみの中探って!」

 キラーン

シロクマ2「あ、着ぐるみの中に財布とか入ってんじゃーん!」

 パカッ

シロクマ「お、おい!勝手に財布開けるな!」

 ピラッ

シロクマ2「ふむふむ……田中美穂19歳じゃーん!美容師じゃーん!シロクマじゃないじゃーん!」

シロクマ「田中……美穂……19歳……」

シロクマ2「ガチでへこむわー!!!」


25: 2010/12/07(火) 17:56:49.08

美穂「あ~……思い出してきた……そうそう…人間だ俺は……」

シロクマ2「紛らわっし!あー!紛らわっし!着ぐるみ着てたらシロクマだと思うじゃん!」

美穂「ご…ごめんな…悪気は無かったんだ…」

シロクマ2「あ、お前今…『こいつシロクマの癖に着ぐるみと間違えてやーんの』とか思っただろ!?」

美穂「お、思ってないよそんな事!」

シロクマ2「人間がこういう文明フル活用されたらこっちも歯が立たないのよ!分かってる!?」

美穂「わ、分かるよ…」

シロクマ2「もう友情も糞もねーよ!あーちくしょう騙された!」

美穂「だ、騙した訳じゃないから!!」


26: 2010/12/07(火) 17:57:39.94

美穂「なんで北極にいるんだろ……」

 ゴソゴソ

シロクマ2「可愛い顔してたら何でも許されると思ったら大間違いだぞ!」

美穂「………あ!!そうだ!!このツアーに来てたんだ!これ!」

 ピラッ

シロクマ2「ん……何々……"シロクマになろうぜっツァー"…だと…!?」

美穂「やっと思い出したよ、そうだったそうだった」

シロクマ2「っざけんな…!…っざけんなーー!!!」

美穂「お、おい、そんなに怒るなよ…」

シロクマ2「ツアー名をシロクマの気持ちもてあそびツァーにかえろぉーーー!!!!」


27: 2010/12/07(火) 17:58:26.34

美穂「悪気はなかったんだって……」

シロクマ2「そりゃ寒いわ!人間には北極は寒いわ!」

美穂「そうだ……仕事に疲れて現実逃避にこのツアーに参加したんだった……」

シロクマ2「しっらねーよ!そんなのめっちゃしらねえよ!」

美穂「…成り切っちゃって本当にシロクマになるところだったよ…」

シロクマ2「こっちはずっとシロクマですけど!?一生シロクマなんですけど!?」

美穂「…っていうかさ……」

シロクマ2「なんだよ!?」

美穂「お前はなんで俺と喋れてるの…?」

シロクマ2「………………」


28: 2010/12/07(火) 18:05:25.73

美穂「ねえ…なんで?」

シロクマ2「…ほ、本当だ…何故だ…!?」

美穂「そんなの、理由は一つしかないじゃん!」

 スタスタ

シロクマ2「な、なんで近付いてくるんだ!?」

 ギュッ モゾモゾ

美穂「うーんと…えーと…ここかな?」

シロクマ2「や、やめろおおお!!俺は人間と交わるなんて興味ないぞ!!」

 カチャ

美穂「あ、あった!お前にもチャックが!」

シロクマ2「…えっ………………」


29: 2010/12/07(火) 18:06:17.58

シロクマ2「…な、なんで……お、俺…本当に自分をシロクマだと思ってるんだけど…?」

美穂「俺もそうだったよ」

シロクマ2「全っ然何も覚えてないんだけど!?」

美穂「だから俺もそうだったって、現実逃避してシロクマに入り込んじゃったんでしょ?」

シロクマ2「ま、マジかよ……」

美穂「チャック開けるからね」

シロクマ2「や、やめろ!まだ!気持ちの整理が!」

 ジィーーーーーーー


30: 2010/12/07(火) 18:06:59.38

 ジ ャ ー ン !

シロクマ2「ど………どうだ…?」

美穂(どこの国の人だー!?)

シロクマ2「イケメンか?なんだ?なんか言えよ!」

美穂「ま、待って!今お前のこと調べてあげるから!着ぐるみの中に何か……」

 ゴソゴソ

 パカッ

 ピラッ

美穂「あ、パスポートだ、えーと……」

シロクマ2「お、おい、俺にも見せろ!」

美穂「な、名前が……ダンケシェン・ル・ピエール・ゴンザ・高橋……!?」

美穂・シロクマ2(どこの国の人だー!?)

31: 2010/12/07(火) 18:07:57.38

ゴンザ「お…おい!これ本当に俺の名前なのか…!?」

美穂「そうみたいだな…、写真と顔が同じだし」

ゴンザ「え!?俺こんな顔してんの!?どこの国の人だよ!」

美穂「何か…思い出した?」

ゴンザ「全っ然!なんにも!っていうかまだ信じられない!」

 ゴソゴソ ピラッ

美穂「ほら!やっぱりお前もシロクマになろうぜツァーの参加者だよ!」

ゴンザ「ま、マジかよ…」

美穂「ツアーに参加した経緯とか思い出せないか?」

ゴンザ「まったく……」

美穂「お前……のめり込み過ぎたんだな」


32: 2010/12/07(火) 18:08:38.98

美穂「ん~…なんか他に情報は…」

 ゴソゴソ

ゴンザ「あー!何っも思い出せねー!何っも思い出せねー!」

美穂「……あ!これは……!お前の職業が分かったぞ!」

ゴンザ「なんだ!?」

美穂「大道芸人だ!」

ゴンザ「え!?だ、だいどうげいにん!?」

美穂「そうだ!旅をしながら大道芸人をしてるらしい!写真がこれだ!」

 ピラッ

ゴンザ「ほ、本当だ!俺が大道芸をしている!!……ってなんで俺が大道芸なんかしてるんだよ!!」

美穂「そんなの俺が知るかよ!」

ゴンザ「駄目だ!全っ然!何も思い出せねー!!!何もだ!何も!!」

美穂「…重症だな…」


33: 2010/12/07(火) 18:15:44.25

ゴンザ「うわぁ~…やべぇ~よ…シャレなんねぇよ…」

美穂「まあ、焦る必要はないだろ、元の生活に戻れば思い出すさ」

ゴンザ「なあ……俺何人だよ……」

美穂「それは分からない……」

ゴンザ「はあ……不安だなぁ……」


 プォーーーー!


美穂「あ、もしかして、あれ、迎えの船じゃないか!?」


34: 2010/12/07(火) 18:16:31.24
―一週間後―


店長「ったく!あなたは全然成長してないじゃない!」

美穂「す、すいません!!」

店長「パリで美容師の修業してきたんでしょ!?何も変わってないじゃない!」

美穂「…申し訳ないです…」

美穂(本当は北極でシロクマになってたんです……店長…)

店長「あーでも!にくめないわー!あんたをにくめないわよ!なんかすごく可愛いから!」

美穂「ありがとうございます…」

店長「ここ片付けたら、今日は帰っていいから、髪の毛一本残すんじゃないよ!」

美穂「は、はい!」

 スタスタ

 バタン

美穂「はぁ…、怒られちゃった…」

美穂(今頃何してるんだろ…ダンケシェン・ル・ピエール・ゴンザ・高橋…)


35: 2010/12/07(火) 18:17:11.00
―代々木公園―

 わー! わー!

おー!おー!すげー!

 シュッ シュッ シュッ

ゴンザ(俺めっちゃジャグリングうめぇ!俺めっちゃジャグリングうめぇ!)

 シュッ シュッ シュッ

 こんな技見たことない! 天才だ! ブラボー!

ゴンザ(めっちゃ評価されてる!めっちゃ評価されてる!)

 パシッ

ゴンザ「ハイッ!」


 ジャジャーン!


パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチ


ゴンザ(そして何も思い出せねぇええええええーーーーー!)


-END-

36: 2010/12/07(火) 18:37:11.09
>>1です

レスありがとうございました

最後まで読んでくれた人…いるかな?いたらありがとうです

37: 2010/12/07(火) 18:44:09.68 ID:D/htLPQ0
乙。
なかなか面白かった。

引用元: シロクマ「もしかして…北極ってすごく寒いんじゃ…」