1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 19:35:02.08 ID:BLmuv9Dq0
レッド「……負けた」

塾帰り「あ、ちゃんと賞金くださいね」 スッ

レッド「はい……」 サンゼンエン

塾帰り「たったこれっぽっちか。時間の無駄だったよ」 

レッド「……元チャンピオンなのに」 グスン

塾帰り「あ、そうそう」

レッド「……何か?」

塾帰り「ポケモンの厳選もしてないし、持ち物さえ持たせてない。
     あなた、ポケモンバトルを舐めてるんですか?」

レッド「…っ!?」

塾帰り「じゃ、僕はこれで」 スタスタ

レッド「げんせん?もちもの?」
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 19:42:06.90 ID:BLmuv9Dq0
レッド「……一体何を言ってるんだ?」

レッド「見たこともないポケモンばかりだったし、道具が勝手に発動してたし……」

レッド「シロガネ山に帰りたい……」 ウゥ

レッド「取り敢えず、グリーンにでも会いに行くか」 トキワダカラチカイシ

~道中~

虫取り少年に負けた!

ポケモンだいすきクラブに負けた!

ボーイスカウトに負けた!

いわおとこに負けた!

レッド「全敗………」 ズズーン

レッド「俺の手塩にかけて育てたポケモン達が………」

レッド「俺の数年間の修行はいったい……」

レッド「……グリーンになら勝てるだろ。負けたことないし……」

レッド「よしっ、そうと決まれば突撃だ!!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 19:48:50.81 ID:BLmuv9Dq0
レッド「グリーン!勝負だ!!」  バタンッ

グリーン「あん?なんだ、レッドか。生きてたのか」

レッド「久しぶりに会ったライバルに、その言い方はないだろ」

グリーン「はいはい。で、何の用だ?」

レッド「久しぶりに勝負しようぜ」

グリーン「分かった。じゃ、これに名前と使用ポケモン書いて」 ペラァ

レッド「………何これ?」

グリーン「何って、手続きに決まってんだろ」

レッド「手続き?何でそんなのが?」

グリーン「おいおい、2年前にジムリーダー協会で決まっただろ」

レッド「そんなの知らないぞ。めんどくさいし、はやくやろうぜ!」

グリーン「そんなわけに行くか。書かねぇと試合しないぞ」

レッド「………めんどくさいな」  カキカキ

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 19:54:52.85 ID:BLmuv9Dq0
レッド「よし、書けた!じゃ、始めようぜ!!」

グリーン「ん」 ピラッ

レッド「何これ?」

グリーン「整理券。この数字が呼ばれたら、試合場に来い」

レッド「えぇぇ………」

グリーン「じゃ、奥で待ってるからな」 スタスタ

レッド「……何か色々めんどくさいな」

レッド「待つか………」

~2時間後~

アナウンス「32番の方、試合場にお越しください」

レッド「やっとかよ……うし!いっちょやったるか!」 ハッスル

ミニスカート「あなたが私の相手ね!」

レッド「え?」

ミニスカート「え?」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 19:59:53.46 ID:BLmuv9Dq0
レッド「あの……グリーンは?」

ミニスカート「何言ってるの?ジムリーダーにいきなり挑戦できるわけないじゃない」

レッド「なにそれきいてない」

ミニスカート「ジムリーダーと戦いたければ、私たちを倒していくことね!!」

レッド「複数系……?」

ミニスカート「私を含めて、三人倒さないと戦えないわよ?」

レッド「………」

ミニスカート「用紙に書いてあったでしょ?じゃ、行くわよっ!!」

レッド「めんどくさいけどしょうがない。サクッっと倒そう」



レッドはミニスカートとの勝負に敗れた!

レッド「うそ………」

ミニスカート「お疲れ様でした~」

レッド「え?あれ?ん??」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:07:18.61 ID:BLmuv9Dq0
ミニスカート「残念だったわね。またの挑戦を待ってるわ」

レッド「………」 グスン


~控え室~

レッド「なぜだ………ここに来てから全然勝てない」

レッド「そうか!ここは全国でも屈指のトレーナーが集まってるんだ!」

レッド「いや~、俺の知らないうちにレベルが上がってるんだな~」  ボソボソ

レッド「ん?壁の向こうから声が………」


大人のお姉さん「あら?あなたもう終わったの?」

ミニスカート「うん。なんかすっごく弱かった」

大人のお姉さん「ここで一番弱いアナタに負けるのも珍しいわねぇ」

ミニスカート「む~、失礼な!」

大人のお姉さん「でも、ジムリーダーと仲が良いみたいよ?さっき喋ってたし」

ミニスカート「まっさか~、あんなに弱いのに?」

大人のお姉さん「さぁ?でも、ここで躓いてるようじゃ、才能ないわよねぇ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:13:23.76 ID:BLmuv9Dq0
ミニスカート「それは言いすぎじゃない?」

ミニスカート「まぁ、私のカバルドンちゃんに10万ボルトうってきたけど……」

大人のお姉さん「地面に電気は効かないなんて、幼稚園生でも知ってるのにねぇ」

ミニスカート「あれは笑ったわ。我慢するの大変だったんだから」

ミニスカート「『ピカチュウ!10万ボルト!!』キリッ っだってwwww」

大人のお姉さん「私だったら、その場で爆笑してるわ」



レッド「………」

グリーン「レッド?こんな所にいたのか。お前の試合はまだなのか?」  ガチャ

レッド「………けた」

グリーン「ん?」

レッド「………負けた」

グリーン「は?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:17:27.97 ID:BLmuv9Dq0
グリーン「レッドに勝てるような奴がうちにいたか?」

グリーン「このジムのTOP3は、用事で出かけてるし……」

グリーン「おいレッド、誰に負けたんだよ」

レッド「……ミニスカート」

グリーン「は?」

グリーン「はっはっは。お前も冗談がうまくなったな。
      ミニスカートは、二ヶ月前にポケモン始めたばっかだぞ?」

レッド「………」 グスッ

グリーン「マジで?」

レッド「………」

グリーン「………」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:22:27.48 ID:BLmuv9Dq0
グリーン「………ちょっと手持ち見せてみろ」

レッド「………」 スッ

グリーン「ふむ……ん?ん!?」

レッド「何だよ、俺のポケモンがどうかしたのかよ」

グリーン「あ~、いや……なぁレッド」

レッド「ん?」

グリーン「お前、何考えてこのパーティを組んでんだ?」

レッド「何って……みんな、最初の旅から一緒の仲間だけど……」

グリーン「………」 ハァ

レッド「言いたいことがあるなら言えよ」 ムッ

グリーン「なぁ、レッド。お前、個体値とか努力値って知ってるか?」

レッド「個体値?努力値?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:29:30.76 ID:BLmuv9Dq0
グリーン「その様子だと、特性とか性格とかも知らねぇよな?」

レッド「?????」

グリーン「お前……今まで何やってたんだよ………」

レッド「何って、シロガネ山で修行を………」

グリーン「……分かった。どうやらお前は何も知らないようだから、俺が教えてやるよ」

レッド「教えてやるって……お前、俺に勝ったこと無いじゃんか」 ブスッ

グリーン「じゃあ、特別に一試合だけやってやるよ」

レッド「………何っ」 ピクッ

グリーン「俺が負けたら、特別にバッジもやるからよ」

レッド「(グリーンのくせに生意気な……)その生意気な顔をへし折ってやる!!」

グリーン「はいはい。時間もないし、50フラットのシングル3でいいよな
      ルールは……めんどくさいし、ローカルで」 カタカタ

レッド「何を言ってるのかはわからんが、ぶっ潰してやる!!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:37:00.84 ID:BLmuv9Dq0
グリーン「ガブリアス、逆鱗だ」

ガブリアス「ガブッ!!」  ドゴーン

ピカチュウ「ピギャッ!?」 バコーン

レッド「ああっ、ピカチュウ……」

グリーン「これで、お前の手持ちは0だな。俺の勝ち……と」

レッド「ナニコレナニコレナニコレ」

グリーン「おい、いつまでボケッとしてんだ。行くぞ」

レッド「……そくだ」

グリーン「あん?」

レッド「卑怯だ!何だよそのポケモン!そんなの知らないぞっ!」

グリーン「………」

レッド「あれか!?きっと、遺伝子組み換えか何かで……」

レッド「チート反対!ズル反対!不正撲滅!」

グリーン「………おい」 ガシッ

レッド「あぎゃっ…あ、あたま、われっ……」 ミシミシ

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:43:18.34 ID:BLmuv9Dq0
~グリーンの部屋~

グリーン「落ち着いたか?」

レッド「あい………」 ボロッ

グリーン「……ったく、ジム内で騒ぐんじゃねぇよ」

レッド「ずびばせん………」

レッド「………で、何を教えるんだよ」

グリーン「そうだな……とりあえずこの本を使うか」  ズシッ

レッド「分厚っ!タウンページの二倍はあるじゃねぇか!」

グリーン「そんなこと言っても、小学生用のテキストだぞコレ」

レッド「へ?」

グリーン「お前は、今のポケモンバトルの流れがわかっていない」

グリーン「まぁ、あんな山に何年も閉じこもってちゃしょうがないが………」

レッド「あんな山って……シロガネ山だぞ?」

グリーン「いつの話だよ。今は小学生の遠足で使われてんだぞ?」

レッド「はい?」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:48:00.51 ID:BLmuv9Dq0
レッド「いやいやいや!あんなとこに小学生が来たら危険すぎるだろ!!」

レッド「天候もあるし、野生のポケモンだって相当なレベルだぞ!」

レッド「大人のトレーナーでも危険なのに、小学生なんて……!!」

グリーン「……まぁ、その話は長くなるから置いとくとして」

レッド「おい」

グリーン「今からお前にポケモンバトルのいろはをみっちり叩き込む!」

レッド「あの……私元とは言えチャンピオンなんですが……」

グリーン「二ヶ月前にポケモン始めた娘に負けるのにか?」

レッド「あうっ」

グリーン「雑魚は黙って話を聞け」

レッド「あい………」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:50:33.26 ID:BLmuv9Dq0
グリーン「カクカクシカジカ」

レッド「………」 カキカキ

グリーン「ウマウマワニワニ」

レッド「………」 カキ…カキ…

グリーン「ウシウシトリトリ」

レッド「………」 …zzzz

グリーン「………」  バシンッ

レッド「あひんっ」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 20:54:38.75 ID:BLmuv9Dq0
~説明終了~

グリーン「ということだ」

レッド「………奥が深い」

グリーン「分かったか?力で押し切るポケモンバトルはもう古いんだよ」

レッド「………なぁ、グリーン」

グリーン「ん?何だ?」

レッド「お前のピジョットはどうした?」

グリーン「ピジョット?ここにいるが……」 ピジョーッ

レッド「じゃなくて、お前が最初に昔使ってたやつだよ。初めて捕まえたって大事にしてただろ?」

グリーン「あぁ、野生に返した」

レッド「はぁ!?じゃあ、フーディンは!?ギャラドスは!?」

グリーン「さぁ?」

レッド「さぁって………」

グリーン「今頃、どっかで暮らしてんじゃねぇか?」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:02:48.29 ID:BLmuv9Dq0
レッド「おまっ!大事なポケモンだったろ!!一緒にチャンピオンになったやつらだぞ!!」

グリーン「いつの話だよ。あいつらを使っても勝てないからな」

グリーン「今の育成理論を無視して育ててたからな。残念ながら使えん」

レッド「………ッ…」

グリーン「おいおい、何て顔してんだよ。使えないモンはしょうがねぇだろ」
      
グリーン「見ろよ、このピジョット。綺麗で逞しいだろ?コイツを育てるのに、500匹は孵化させたからな」

レッド「ご、ごひゃっ……」

グリーン「いや~、毎日サイクリングロードはきつかったぜ。ま、その苦労はあったけどな」

レッド「残りの孵化したポケモンは……」

グリーン「あぁ、ボックスを圧迫してたからな。適当に逃がしたよ」

レッド「………」 ギリッ

グリーン「お前もソイツラを使うのはやめて、もっと使えるポケモンを使えよ。でないと勝てないぞ?」

レッド「………」 ダッ  ガチャ バタン

グリーン「お、おい?……何だったんだ?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:09:18.36 ID:BLmuv9Dq0
レッド「………」 トボトボ

『グリーン「お前もソイツラを使うのはやめて、もっと使えるポケモンを使えよ。でないと勝てないぞ?」』

レッド「………」 チラッ

モンスターボール

レッド「勝てない……か」

レッド「………俺も、今の流れに乗るべきなのか?」

レッド「愛だけじゃ勝てない………か」


ウィ~ン

ジョーイ「いらっしゃいませ」

レッド「すみません。パソコンは?」

ジョーイ「あちらです」

レッド「どうも」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:13:48.93 ID:BLmuv9Dq0
レッド「………」 カタカタ

PC「ポケモンを逃がしますか?」 カチャッ

レッド「………」

『レッド「ピカチュウ!初めてのジム戦だ!気合入れていくぜ!!』

レッド「………」

『レッド「ヒトカゲ~、この薪に火をつけてくれ』

レッド「………」

『レッド「カビゴンの食費で、財布がすっからかんだ……』

レッド「………」

『レッド「やった!チャンピオンだ!!お前たち、よく頑張ったな!!』

レッド「………」

PC「ポケモンを逃がしますか?  いいえ 」 カチャ

レッド「………俺には無理だ」 

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:21:10.31 ID:BLmuv9Dq0
レッド「勝てなくてもいいや。コイツラがいてくれればそれで……」

レッド「おし!久しぶりに家に帰るか!!」


~マサラタウン~

レッド「ただいま~」

母「あら、お帰り」

レッド「久しぶりに帰ってきたのに、反応薄いなぁ」

母「オーキド博士から貰ったこの子がいたからね」

キノガッサ「ガッサー」

レッド「へぇ、何てポケモン?」

母「確か、キノガッサちゃんだったかしら?ねぇキノちゃん?」

キノガッサ「ガッサー」

レッド「ははっ、じゃあお風呂入ってくるわ」

母「今日は焼肉ね」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:26:37.33 ID:BLmuv9Dq0
~一週間後~

レッド「いや~、やっぱり家はいいなぁ」  ボケー

母「レッド~、お客さんよ~」

レッド「ん?一体誰だろう?」

ワタル「やぁ」

レッド「すみません。今不在です」 ガチャ

レッド「母さん、俺ちょっと出かけてくる」

母「あら?今人が来たんじゃ……」

レッド「ははっ、人違いだよ」

ドゴッ!!!  

ワタル「顔を見るなりドアを閉めるなんて失礼な」

レッド「破壊光線でドアをブチ破る方がおかしいと思いますが……」

ワタル「そんな細かいことを気にしていたら、女性から嫌われるよ?」

レッド「………」イラッ

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:30:49.14 ID:BLmuv9Dq0
レッド「で、要件はなんですか?」

ワタル「ふむ……お母さん、いいお茶ですね」 ズズー

母「あら、ありがとう」

レッド「さっさっと話さんかい」 イラッ

ワタル「まぁ、落ち着きたまえ。今日は君にこれを持ってきてね」 ピラッ

レッド「………PWTチャンピオンズリーグ?」

ワタル「世界中から優秀なトレーナーを集めて、世界一を決める大会だ」

レッド「へ~」

ワタル「これに、君も出てもらう」

レッド「ふ~ん………は?」 

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:36:09.29 ID:BLmuv9Dq0
レッド「いやいやいや、何で俺が出るんですか」

ワタル「何でも何も、君はカントーの正規チャンピオンだからね」

レッド「それは前に辞退したじゃないですか。シロガネ山に行く前に……」

ワタル「うん。だから、チャンピオン(仮)として僕が代わりを務めていたけどね」

レッド「仮って……辞退したのに?」

ワタル「当然。チャンピオンに辞退はない。君が負けた時に初めてチャンピオンの看板を失うんだ」

レッド「えぇ~……そんなの聞いてないですよ」

ワタル「言ってないからね」  ズズ~

レッド「………」イラッ

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:40:43.59 ID:BLmuv9Dq0
レッド「あっ、でもさっきジム戦やらなんやらで負けましたよ」

レッド「ってことは、俺はもうチャンピオンじゃないですよね?」

ワタル「はっはっは。チャンピオンズリーグの公式試合で負けない限り、無効だ」

レッド「そんな馬鹿な………」

ワタル「というわけで、来月行われる大会にカントー推薦枠で出場してもらうからね」

レッド「………俺はもう、バトルはやめたんです」

ワタル「ほぅ……」

レッド「そこらへんのトレーナーにも負けるチャンピオンがいるわけないでしょう。辞退しますよ」

レッド「チャンピオンだなんだって言うなら、今すぐ公式試合をしてもいいですよ。すぐに負けますけど」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:47:01.81 ID:BLmuv9Dq0
ワタル「それも無理だな」

レッド「……ッ…何でですか」

ワタル「PWTチャンピオンズリーグの一ヶ月前から、全地域のチャンピオンズリーグは
    一時閉鎖になる。よって公式試合はできん」

ワタル「辞退してもいいが、これを見てくれたまえ」 ピラッ

レッド「……1億5000万円の請求書……って、何ですかコレ!?」

ワタル「君がチャンピオン不在期間の契約不履行に対する罰金みたいなものだな」

ワタル「旅に出ます。なんて書き置き一つでやめれると思ったのかい?」

レッド「だからって……こんな大金……」

ワタル「そんなことを言われてもね。ちゃんと契約書にも書いてあっただろう」

レッド「そんな………」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 21:53:34.46 ID:BLmuv9Dq0
ワタル「まぁ、一個人には途方もない金額だ」

ワタル「だが、カントーポケモン協会の話し合いの結果、
     来月のPWTチャンピオンズリーグに出場すれば無しにすることになった」

ワタル「あぁ、勿論、優勝すればの話だよ。出場するだけじゃ、5000万しか減らない」

ワタル「無気力試合をされても困るしね。全部で10試合あるが、
     1試合勝つごとに、1000万づつ減っていく仕組みになっている」

レッド「逃げ道はないと……」

ワタル「うん」 ポリポリ

ワタル「で、どうするかい?この金額を払えるのなら出なくてもいいけど」

レッド「出ますよっ!出ればいいんでしょ!!」  バンッ

ワタル「うん、出場っと」   カキカキ

ワタル「会場・ルールなんかの詳細は、この紙に書いてあるから」

ワタル「じゃあ、期待してるよ。チャンピオン」  ガチャッ

レッド「………」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:00:10.33 ID:BLmuv9Dq0
レッド「くそっ………」

母「レッド………」

レッド「あ、母さん……。ははっ、社会ってめんどくさいよね」

母「これ……」 スッ

レッド「貯金通帳?……って、何この金額!?」

母「死んだお父さんの貯金や、私が今まで貯めたお金よ」

レッド「………」

母「母親だもの。息子が苦しんでいる姿は見たくないわ」

レッド「で、でも……」

母「金額は足りないけど、お母さんも頑張って働くから」

レッド「………」

母「あっ、お魚が焦げちゃうわ。さ、ご飯しましょ?」

レッド「………」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:07:22.80 ID:BLmuv9Dq0
~深夜~

レッド「………」 ソ~ ガチャ

母「………行くの?」

レッド「あっ……」 ビクッ

母「無理はしなくてもいいのよ?」

レッド「無理なんか………」

母「……いろんなところで噂になってるわ……カントーのチャンピオンは小学生にも負けるって」

レッド「………」 ギリッ

母「ポケモンについて詳しくはわからないけど、あなたが辛い思いをするのは見ていられない……」

母「テレビ中継もされるみたい……あなたの姿が全世界に見られるのよ?」

母「それでも……行くの?」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:10:12.66 ID:BLmuv9Dq0
レッド「………行くよ」

レッド「これは、俺のワガママで始まったこと……俺が自分でケジメを付けるよ」

母「………」

レッド「それに……俺はカントーのチャンピオン、レッドだからね!!」

レッド「じゃあ、行ってくる」 ガチャ

母「……あの目……あの人にソックリ……やっぱり親子ね……」

母「………頑張るのよ、レッド………」






く~、つか

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:16:31.60 ID:BLmuv9Dq0
~一ヶ月後・PWTチャンピオンズリーグ会場~

ザワザワ   ザワザワ

モブ「いや~、今日は楽しみだな~」

モブ2「おい、誰が優勝すると思う?」

モブ「あ、そんなのシロナさんに決まってるだろ?」

モブ2「BBA乙wwwやっぱりミカンちゃんだろwwww」

モブ「あ?屋上」

モブ3「そういや、カントーのレッドも出るらしいぞ」

モブ「レッドって、あれだろ?無敗で姿を消した伝説の……」

モブ2「マジかよ。そんなん優勝候補筆頭じゃねぇか」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:20:07.20 ID:BLmuv9Dq0
モブ4「いやいや、ポケモンを初めて2ヶ月のミニスカに負けてたぞ?」

モブ3「は?」

モブ2「嘘乙wwwwそんなのがチャンピオンに負けたらしいぞ」

モブ4「マジマジ、俺、そんときちょうどトキワジムにいたんだよ」

マブ4「グリーンもレッドって言ってたし、本物だって!」

モブ「なんでそんなヤツがチャンピオンなんだ?」

モブ3「金じゃね?」

モブ2「体に決まってるだろ」

モブ4「そこらへんは知らんが、そんなレベルじゃ出ても恥かくだけだろうにな」

モブ「俺だったら絶対出ないね」

モブ2「全世界に恥を晒すわけかwwwwざまぁwwww」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:25:52.38 ID:BLmuv9Dq0
モブ4「しかも、今回のトナメ表見たか?相手がことごとく四天王かチャンピオン経験者だってよ」

モブ「地獄wwwww」

モブ2「残酷wwwww」

モブ3「HP1も削れないんじゃねwwwww……いてっ」  ドカッ  

レッド「あ、すみません」  スタスタスタ

モブ3「んだよ。ちゃんと謝れよな」

モブ2「おい、あれ、レッドじゃね?」

モブ4「そういや、プロフィールの写真と一緒だな」

モブ「しっかし、ボロボロだな」

モブ2「あれだよwwww俺頑張りましたって道場を買う作戦じゃね?wwww」

モブ3「さすがインチキチャンピオンwwwww」

モブ4「逆トナメ覇者はあいつだろうな~」



ヒソヒソヒソ  ザワザワザワ

レッド「………まぁ、当然の反応か」  スタスタ  ガチャ

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:26:24.61 ID:BLmuv9Dq0
タバコ

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:33:17.62 ID:BLmuv9Dq0
~選手控え室~

ガヤガヤ   ガチャ  シ~ン

レッド「………」 スタスタ スッ

レッド「(俺が入ってきた瞬間この静けさか……)」   ヒソヒソ ヒソヒソ

レッド「(おおかた、あることないこと囁かれてるんだろうな)」

ワタル「やぁ、レッド君。よく来たね」

レッド「えぇ、まぁ」

ワタル「その様子だと、色々やってきたみたいだね」

レッド「えぇ、まぁ」

ワタル「しかし、登録しているPTは変わってないね。まぁこの短期間じゃ育成は無理だろうけど」

レッド「えぇ、まぁ」

ワタル「おや?口数が少ないね。チャンピオンのひとりなんだからもっと堂々としてもいいんだよ?」

レッド「そうですね」

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:38:48.37 ID:BLmuv9Dq0
ワタル「やれやれ……」    ワタル選手、出番になります > ピンポーン

ワタル「ふむ……僕の出番のようだ。では」  スタスタスタ

レッド「(やっと行ったか……)」 フゥ

カスミ「あら?レッドじゃない?」

レッド「カスミか………」

カスミ「全然連絡もないから、もう死んでたのかと思ったわ」

レッド「………」

カスミ「何よ?ダンマリ?せっかく話し上げてあげたのに」

レッド「あぁ」

カスミ「まぁいいわ。グリーンから聞いたけど、アンタ初心者に負けたんだって?」

レッド「そうらしいな」

カスミ「天下のレッド様がねぇ。ま、せいぜい恥をかかないようにしなさいよ」

レッド「そうだな」

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:44:33.46 ID:BLmuv9Dq0
カスミ「ムカツク反応ねぇ。あ、アンタの一回戦の相手誰か知ってる?」

レッド「いや、知らないな」

カスミ「知らないようなら教えてあげるわ。あのミクリ様よ!!」

レッド「誰それ?」

カスミ「アンタの何倍も強くてカッコイイ人よ」

カスミ「初心者に負けるアンタじゃ手も足も出ないと思うけど」

レッド「そうなのか」

カスミ「ま、3タテされないように頑張りなさいよ」  スタスタスタ

レッド「(………ハァ)」   レッド選手、出番になります > ピンポーン

レッド「………行くか」   ガタッ

207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:49:23.91 ID:BLmuv9Dq0
~試合会場~

実況「さぁ、一回戦最終試合です!」

実況「まずは、ホウエン地方のポケモンリーグチャンピオン、ミクリ!!!!」

ワー ワー ミクリサマ~ キャー ガンバッテ~

実況「対戦するは、カントウ地方のポケモンリーグチャンピオン、レッド!!!!」

      シ~ン     クスクス     クスクス

レッド「ま、こんなもんだよな」 クイッ

実況「さぁ!一回戦で、いきなりチャンピオンどうしの対戦です!どうなるのかは全くの未知数です!!」

ソンナノミクリサマニキマッテルワ  レッドッテショシンシャニマケタンダロ  ハジカクダケジャネェノ

ミクリ「よろしくお願いします」

レッド「こちらこそ」

実況「では、開始っ!!!」   ドォ~~~~ン

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 22:57:01.78 ID:BLmuv9Dq0
ミクリ「いけっ!ラグラージ!」

ラグラージ「らぐん」

レッド「ピカチュウ」

ピカチュウ「ピカッ」

実況「さぁ、最初のポケモンはラグラージとピカチュウです」

解説「タイプ的には圧倒的にラグラージ有利ですね」

解説「まぁ、一手損ですが交代でしょうな」

ミクリ「どうやら、相性はこちらが有利みたいですね」

ミクリ「先手はもらいます!!ラグラージ!じしん!!」

ラグラージ「らがぁ」  ズズ~ン

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:01:16.14 ID:BLmuv9Dq0
実況「おおっと!ラグラージの地震攻撃!!レッド選手はどうするっ!?」

解説「交代が遅れましたね。トレーナーの判断ミスでしょう」

レッド「ピカチュウ……電光石火」

ピカチュウ「ピカッ」   シュンッ

ラグラージ「ラグッ!?」   ドゴッ

実況「おおっと!?ピカチュウの電光石火がラグラージにヒット!!」

解説「どうやら、電光石火のスピードにより、カウンターになったようですね」

解説「しかし、所詮ピカチュウの電光石火、大したダメージには……」

ラグラージ「ら……ぐぁ……」  ドシン

実況「え?」

解説「え?」

ミクリ「え?」

287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:06:43.94 ID:BLmuv9Dq0
シ~ン

解説「あ?え?んん?」

実況「………ハッ!お、おおっと!ラグラージが一撃で沈んだあァァァ!!!」

実況「これはどういうことですかねっ!?」

解説「………」 ポカーン

実況「……っと、とにかく、レッド選手がまずはリードですっ!!」

ミクリ「……戻れラグラージ」 シュン

ミクリ「ふむ……すみません」  シュタッ

レッド「?」

実況「おおっと!ここでミクリ選手から物言いが入りました!!」

解説「当然でしょう。ピカチュウの電光石火一撃でラグラージが落ちるなどありえませんからね」

解説「物言いでチェックを要求しましたね」

観客   ハンソクダー  フザケンナー カエレー

309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:11:01.12 ID:BLmuv9Dq0
審判「レッド選手、ポケモン達をこちらに」

レッド「反則なんてしてないんだけどなぁ」   スッ

ピカチュウ「ピカッ」

実況「さて、どうなると思いますか?」

解説「十中八九、何かの不正でしょうな。それ以外ありえません」  キリッ

実況「不正となれば、即刻失格。そしてポケモントレーナーとしての資格をすべて剥奪です」

実況「ポケモンを所有することはおろか、モンスターボールを買うことも出来ません」

観客 カッエレ!  カッエレ!  カッエレ!  カッエレ!

実況「観客席からは帰れの大合唱です」

解説「当然でしょうな」

実況「おっと、チェックが終わった用です」

審判「不正は見当たらなかったため、試合は続行とします」

解説「当然でしょうな」

解説「え?」

339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:15:35.84 ID:BLmuv9Dq0
実況「なんとっ!チェックをパスしました!!試合続行です!!」

解説「………」  ブクブク

実況「なんとっ!実力で倒したということになりますっ!」

解説「………」  チーン


ミクリ「まさか、チェックを通るとはね……」

レッド「これで満足か?」

ミクリ「正直今でも信じられないが……」

ミクリ「満足もなにも君への警戒レベルがMAXに跳ね上がったよ」

ミクリ「次はこの子でいこう」

ミロカロス「ミロカロッ」

実況「ここでミロカロス!!ミクリ選手のエースが登場ですっ!!」

391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:23:00.81 ID:BLmuv9Dq0
ミクリ「(………正直、こんな状況は初めてだ)」

ミクリ「(タイプ的には相性が悪いが……ミロカロスでダメならもう勝目はないっ……)」

ミクリ「ミロカロス!ミラーコート!」

ミロカロス「みらー」

実況「出ましたっ!ミクリ選手のミロカロスのミラーコート!!」

解説「特殊ポケモンに対しての当然の策ですな」

ミクリ「(ミラーコートを張ったこのミロカロスなら、一撃は耐える!!)」

ミクリ「(ミラーコートで反撃後、ハイドロポンプで押しつぶすっ!)」

ミクリ「(ミロカロスに被害も大きいが、おそらく、あれは相手のエース……)」

ミクリ「(勝つにはギャンブルになってしまうが……)」

411: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:26:51.77 ID:BLmuv9Dq0
レッド「ピカチュウ 電気ショック」

ピカチュウ「ビカッ!!」   ビリリッ

実況「ピカチュウの電気ショック!ミロカロス相手には効果が抜群ですがいかにっ!!」

解説「さすがに一撃は耐えるでしょう。それにしても、なぜ電気ショックの選択なのかがわかりませんね」

解説「他にも候補はあるでしょうに」

ミロカロス「み゛ろ゛っ」   バリバリッ

実況「ミロカロスにヒット!しかし、この後倍返しの攻撃が…こうげ…き…が…」

ミロカロス「みろ~ん」  ドシ~ン

実況「おい」

解説「おい」

ミクリ「おい」

428: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:30:29.48 ID:BLmuv9Dq0
実況「なんとっ1またしても一撃いいぃぃぃぃ!!!」

実況「ピカチュウの電気ショックで、ミロカロスが倒れてしまったああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

解説「夢だ。これは夢だ」

ミクリ「もどれ……ミロカロス」  しゅぅん

実況「さぁ、これで残るポケモンは1体!レッド選手は3体が無傷で残っています!」

実況「ミクリ選手、絶体絶命の状況でどうするのかっ!?」

ミクリ「ふぅ………」

ミクリ「降参します」

456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:36:37.51 ID:BLmuv9Dq0
実況「ここでミクリ選手が降参だあァァァァァああぁぁっぁっぁぁっぁっぁぁ!!!!!!」

解説「うるせ~よ」

実況「なんとっ!!!大番狂わせですっ!!!!」

実況「前回大会ベスト4のミクリ選手が初戦敗退いいぃkぃぃぃっぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

観客 イヤ~ ミクリサマ~  オイオイナンダヨアノピカチュウ  アレデハンソクジャネェノカヨ

ミクリ「ナイスファイト……といっていいのかどうか」  スッ

レッド「どうも」  ニギッ

ミクリ「それにしても、そのピカチュウには驚いた。一体どんな秘密が?」

レッド「?普通に技を出しただけですよ?」

ミクリ「そんなは……いや、何でもない。負けた者はおとなしく引き下がるよ」

レッド「どうも」

ミクリ「あ、そうそう。是非とも優勝してくれよ。そうすれば一回戦負けでも納得ができるからね」

レッド「……まぁ、頑張ります」

ミクリ「また機会があればバトルをお願いするよ」   スタスタ

482: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:41:15.58 ID:BLmuv9Dq0
実況「去り際まで美しいっ!!これがミクリ選手の美しさどぅわああぇぇぇええヶlkぇlcjぇlkぇc!!!!!!!」

解説「もちつけ」

観客 ミクリサマカッコイ~   ダイテ~   ケッコンシテ~   


レッド「……戻ろう」



~控え室~

レッド「………」  ガチャ  

ザワザワ  シ~ン

レッド「(またか……)」  ギイッ スチャッ

カスミ「レッドっ!!あんた何やったのよ!!!」

レッド「何って、ポケモンバトル(耳元で叫ぶなよ……)」

カスミ「そんなわけ無いでしょ!あんなデタラメありえないっ!!」

カスミ「次の対戦相手は私よっ!アンタの不正を絶対に暴いてやるんだからっ!! 」   

502: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:46:57.65 ID:BLmuv9Dq0
レッド「………ハァ」



~5時間後~

実況「さぁ!トーナメントもいよいよ大詰め!!」

実況「準決勝第2試合は、シロナ選手対レッド選手です」

実況「ここまでピカチュウ一体の一撃で全てを決めてきたレッド選手!!」

実況「対するは、前回準優勝のシロナ選手ですっ!!」

解説「まぁ、ラッキーもここまででしょうな」

実況「さぁ!勝ち上がってアイリス選手と戦うのはどちらでしょうか!?」

解説「シロナ選手でしょうな」

536: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:51:00.35 ID:BLmuv9Dq0
シロナ「あなたがレッド……噂とは全然違うじゃないの」

レッド「どうせ良くない噂なんでしょうね」

シロナ「えぇ、そうね」

レッド「……これまたハッキリと」

シロナ「まぁ、いいじゃない。今は1割くらいはいい噂になってるわよ?」

レッド「一割ですか」

シロナ「フフフ……」

レッド「まぁいいです。じゃあ、早速始めましょうか」

シロナ「あら?その必要はないわよ?」

レッド「え?」

555: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:54:30.11 ID:BLmuv9Dq0
シロナ「だって棄権するもの」

レッド「えっ」

実況「なんとっ!!棄権っ!!!シロナ選手が棄権ですっ!!!!」

解説「あばばばば」

実況「というわけで、決勝進出はレッド選手ですっ!!!」

レッド「どういう……」

シロナ「なんて言えばいいのかしら……この大会よりも、アナタに興味が出ちゃってね」

レッド「はぁ」

シロナ「決勝まで時間ができたことだし、私に部屋に来て」

レッド「………は?」

574: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:56:51.52 ID:BLmuv9Dq0
~シロナの部屋~

シロナ「ここなら誰も来ないわ」  コウチャデイイカシラ?

レッド「どうも」 カチャ

シロナ「さて……ここに呼んだ理由だけど……」

レッド「何なんですかね?」

シロナ「フフッ……男と女が密室でやることなんて一つしかないでしょ?」

レッド「ッ!?」 ブフッ

586: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/12(日) 23:58:34.37 ID:BLmuv9Dq0
レッド「な……な……」  アセアセ

シロナ「アナタ、帽子を取ったら結構イイ顔してるじゃない」 サスーリ

レッド「ひ…はほっ……」  ドキドキ

シロナ「食べちゃおうかしら」 ウチマタサスリン

レッド「あばばばばばば」

599: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:00:58.73 ID:MRdxhG9J0
シロナ「な~んちゃって」  パッ

レッド「ふぇっ?」

シロナ「ここに連れてきたのは別の用事。それとも期待しちゃったかしら?」  ウフフ

レッド「きっ、期待なんてっ……」

シロナ「あら残念。」

614: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:04:15.31 ID:MRdxhG9J0
シロナ「オホン…////で、本題に戻るけどね」

レッド「あ、はい」

シロナ「聞きたいのは、アナタのポケモンのこと」

レッド「コイツらがどうか?」

シロナ「申し訳ないけど、ちょっとデータを見させてもらったわ。あ、勿論誰にも漏らさないわよ?」

レッド「はぁ」

シロナ「で、データを見れば見るほど分からないのよ」

レッド「わからないって何がです?」

シロナ「その強さよ」

631: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:09:06.05 ID:MRdxhG9J0
>>622
続きはよ

627: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:08:35.70 ID:MRdxhG9J0
レッド「強さ……ですか?」

シロナ「えぇ、科学の発達で、ポケモンのステータスや普段見えないモノも見えるようになったの」

シロナ「あ、まだ世間には出回ってないから内緒ね」

レッド「………」

シロナ「で、その数値を見れば見るほど理解ができない」

シロナ「アナタのポケモン達は、数値から言えばこの参加ポケモンの中で最低」

シロナ「いいえ、現在の一般ポケモンバトルで使われるポケモンよりも下よ」

レッド「はぁ……」

シロナ「ただただレベルを上げただけ……そんなステータスなの」

シロナ「その上、性格や技構成までも滅茶苦茶とくればねぇ」

648: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:13:46.68 ID:MRdxhG9J0
レッド「何が言いたいんですか?」

シロナ「単刀直入に言うけど、『あなたのポケモンの強さは何?』」

レッド「強さって言われても……普通に育てたとしか……」

シロナ「じゃあ、どうしてピカチュウの10万ボルトがドリュウズに効果があるの?」

シロナ「どうして、電光石火がゲンガーにヒットするの?」

レッド「それは………」

シロナ「アナタのポケモンは、今までのポケモンの理論を全て覆しているの」

シロナ「この意味が分かる?」

レッド「意味……ですか?」

660: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:18:24.50 ID:MRdxhG9J0
シロナ「現在、各研究機関が動いているわ」

シロナ「この大会が終われば、アナタはすぐに確保されるでしょうね」

レッド「そ、そんなっ……」

シロナ「そうなれば、ポケモンはすべて没収。様々な実験に使われるでしょうね」

シロナ「ま、生きて戻ってくる確率は5%もないでしょうけど」

レッド「………ッ…に、逃げなきゃ……」  バッ

シロナ「こら!落ち着きなさい!今動いてもどうしようもないわよっ!!」

レッド「じゃ、じゃあどうすればっ…!」

シロナ「私がアナタを確保するわ。これでもなかなか顔が効くのよ?ワタシ」

  

675: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:23:08.63 ID:MRdxhG9J0
レッド「………」 ジッ

シロナ「ま、いきなり信用しなさいって言っても無理な話だけど……」

シロナ「この事を話したってことでどうにかならないかしら?」

レッド「………分かりました」  フゥ

シロナ「あら?信用してくれたの?」

レッド「まだ完全にはしていませんけど……あなたは悪い人ではない気がするので……」

シロナ「いいの?本当は魔性の女かもしれないわよ?」

レッド「………少なくとも、あなたのポケモンから悪意が感じられませんから……」

シロナ「悪意……?」

687: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:27:01.72 ID:MRdxhG9J0
レッド「ええと……どこからお話すればいいのか……」

シロナ「あなたが家を出ていったあたりかしらね?申し訳ないけど、そこまでは調べさせてもらったわ」

レッド「あ、いいえ。どうせすぐ分かることですし……」

レッド「で、その後なんですが、俺はこの大会に向けての準備に入りました」

レッド「とは言っても、時間は全然足りない」

レッド「正直、戦力になるポケモン一匹でさえ育成できる余裕もありませんでした」

シロナ「………」

レッド「それに、俺にはグリーンに習った付け焼刃の理論しかありません」

レッド「出来る事といえば、シロガネ山に篭ってコイツラを鍛えることだけでした」

703: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:30:36.43 ID:MRdxhG9J0
シロナ「それでこうなったと?」

レッド「あ、いえ……勿論ただ鍛えるだけじゃ意味がないじゃないですか」

レッド「何年も鍛えたポケモンが全く歯が立たないわけですから………」

レッド「だから、俺は鍛える目線を変えました」

シロナ「目線?」

レッド「はい、俺が鍛えたのは、この子達ではなく俺自身です」

シロナ「???」

723: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:35:38.38 ID:MRdxhG9J0
レッド「死んだ父が言ってたんです。『母さんと連れ添って何年もたったが、俺は母さんを何一つ理解できていない』って」

シロナ「………」

レッド「俺は考えました。『コイツラの事を理解できてるのか?』って」

レッド「確かに数値上ではコイツラは劣るかもしれない」

レッド「でも、それは人間が作り出した数字です」

レッド「確かに、理論やデータって言うのは大事だと思います」

レッド「でも、それは逆にポケモン達を縛っているんじゃないかって……」

739: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:41:05.08 ID:MRdxhG9J0
レッド「だって、コイツラも生きているんです」

レッド「人間だって、全てを数字で表すことなんてできないじゃないですか」

レッド「だから、俺はコイツラを理解する、コイツラの声を聞く……そうしようと思ったんです」

レッド「最初の3日間は、コイツラにずっと喋りかけました」

レッド「次の4日間は、コイツラの行動をずっと観察しました」

レッド「次の1週間は、コイツラの声を聞こうとしました」

レッド「最後の1週間は、コイツラを理解しようとしました」

レッド「正直、自分でも何をやっているんだって思いました」

レッド「馬鹿馬鹿しいからやめようなんて、一日に何十回も思いました」

751: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:46:02.92 ID:MRdxhG9J0
レッド「でも、俺にはそれしかなかったんです」

レッド「挫けそうになる気持ちを抑えて、何回も試しました」

レッド「そうしたら、ココにくる3日前くらいですかね……」

レッド「何となくですが、コイツラの声が聞こえるようになりました」

レッド「次の日には、何となくですが、気持ちが分かるようになりました」

レッド「さらに次の日……試しに10万ボルトを放ってみました」

レッド「シロガネ山の岩を何十メートルも貫きました」

765: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:50:25.29 ID:MRdxhG9J0
レッド「正直、なぜそうなったのかは分かりません」

レッド「俺は、コイツラの声のままに場所を指定し、目標を設定し、攻撃を指示しただけです」

シロナ「声?」

レッド「なんて言えばいいんですかね……」

レッド「ココにこのタイミングでこの技を……って、ポケモンが言うんです」

レッド「俺はその声に従って指示をしただけなんです」

シロナ「………試合によって攻撃するタイミングが違ったのも?」

シロナ「カスミ戦では、開始直後に三匹とも屠ったけど、ダイゴ戦では逆に相手に先手を取らせていた……」

レッド「まぁ……そういうことですね」

777: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:54:42.33 ID:MRdxhG9J0
シロナ「……普通であれば信じられないわね」

レッド「ですよね」

シロナ「でも、その強さのを見せられるとねぇ………」

レッド「でも、強くなることよりも、コイツラと、何ていうか…心を通わせられたことのほうが嬉しかったです」

シロナ「……」

レッド「初めてマサラタウンを出てから、長い長い年月を一緒に過ごしてきたPTです」

レッド「コイツラの声を聞けた、心を通わせられた、それが一番嬉しいんです」

レッド「まぁ、証明する方法なんて無いんですが………」

791: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 00:58:07.94 ID:MRdxhG9J0
シロナ「信じるわよ」

レッド「え?」

シロナ信じるって言ったのよ。ポケモンの声は聞こえて、人間の声は聞こえないの?」 クスッ

レッド「あ、いや……」

レッド「まさか、信じられるとは思わなかったので………」

シロナ「何言ってるの。数年前までは、今の理論も何もなかったのよ?」

シロナ「ただ、新しいポケモンの力が出てきただけでしょ?」

レッド「そんなもんなんですか?」

シロナ「そんなものよ」

798: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 01:01:45.49 ID:MRdxhG9J0
シロナ「ところで、ポケモンの声が聞けるのよね?」

レッド「はぁ」

シロナ「私のポケモンはなんて言ってるの?」

レッド「はい?」

シロナ「あなたさっき、私のポケモンからは悪意が感じられないって言ったわよね?」

シロナ「ってことは、私のポケモンの声も聞こえるんじゃない?」

レッド「あ、えっと…その……自分のポケモン以外だと何となくの雰囲気というか、感情みたいなモノしか……」

シロナ「構わないわ。教えてくれない?」

レッド「あ、えっとですね……」   

レッド選手 決勝戦の時間ですので試合会場にお越し下さい > アナウンス

813: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 01:06:44.95 ID:MRdxhG9J0
レッド「あ……」

シロナ「もう、空気読めないわね……」

レッド「じゃ、行かなきゃ………」

シロナ「ダメよ」

レッド「ええっ!?」

シロナ「こんな大会よりも、もっともっと面白いものを見つけちゃったんだもの」

シロナ「誰かに取られる前に逃げなきゃね?」  ウィンク

レッド「に、逃げるって……あ、その、優勝しないと借金が……」

シロナ「大丈夫、一千万くらい私が出すわよ。これでも名前は売れてるのよ?」

レッド「で、でも…………」

シロナ「私のポケモン達と心を通わせられるなら、一千万くらい安いものよ」

821: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/13(月) 01:10:25.09 ID:MRdxhG9J0
レッド「いや、その……出来るのかどうか……」

シロナ「何よ?私じゃできないって言うのかしら?」

レッド「そっ、そうじゃなくて、自分でもなんでできたか未だに……」

シロナ「モノは試しよっ!まずはシロガネ山ね、トゲキッス!」 ボンッ

トゲキッス「きっす」

シロナ「さ、行くわよ!!目指すはシロガネ山よ!!!」

トゲキッス「ちょおぉぉげええぇぇ」

レッド「う、うわっ、お、おちっ……」

シロナ「ほ~ら、しっかり捕まってなさいよっ!!」

レッド「いやあぁぁぁぁたすけてええぇぇぇぇぇぇぇ」





アイリス「………どういうこと?」   ポツーン



くぅ~、つか

レッド「個体値?努力値?」
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