1: 2012/05/04(金) 00:00:07.33 ID:GDvymG8s0

P「もし自分が今いる世界とは別に、もう1つ世界があるとすれば? パラレルワールドというのは、古くからSF界隈で良く使用されます」

P「そこにいる私はいったいどんな人間なのでしょうか?」

P「おっと、ここに二つの世界があります」

P「片方はアイドルとして、毎日を目まぐるしく過ごす彼女」

P「そしてもう一つの世界は……。おや、これは興味深そうですね」


真(嬉しくない!)

最強アイドルNo.1!!

真(こんなの望んでない!)

男装の似合うアイドルNo.1!!

真(ボクだって可愛い服を着たいんだ!!)

王子様アイドルNo.1!! (男女混合)

真「ボクはお姫様になりたいんだあああああ!!」

2: 2012/05/04(金) 00:05:45.39 ID:IoyoyrM90
伊織「ああっ! 五月蠅いわね!」

真「だって王子様No.1だよ!? そんなの全然嬉しくないよ!」

伊織「あら、良いじゃない。何も貰えないよりかはマシよ。それに1位なんだから誇って当然じゃないの?」

真「そりゃ嬉しくないってことはないけどさ、ボクだって可愛い服を着たいんだよ? ほらっ、シャンシャンプリプリってした服をさ!」

伊織「その擬音がまずかわいくないわよ」

真「はーあ、プロデューサー、仕事を取ってくるのは嬉しいんだけど、全然アイドルって感じじゃないんだよなぁ」

伊織「まああんたには可愛さよりも格好よさを求めてるでしょうしね」

真「ボクだって本気出せば可愛いんだけどな……」

伊織「残念ね。生まれる時代を間違ったとしか言えないわ」

真「えー。そこをなんとか出来ないの?」

伊織「私に何を求めているのよ」

4: 2012/05/04(金) 00:10:15.73 ID:IoyoyrM90
真「はぁ……、なんでボクはこう女の子らしくなれないかなぁ。それもこれも父さんが……」

真「ホント、朝起きたらどこかの国のお姫様になってました! ぐらいのサプライズがあってもいいと思うんだけどなぁ」

真「あっ、流れ星! お姫様になりたいお姫様になりたいお姫様になりたい!!」

真「ふぅ、言い切るのは大変だな……」

真「ああもう寝ちゃおっと。せめて夢の中では格好いい王子様と……」

王子『プリンセスマコリン、君を迎えにきた!!』

真『ああっ、麗しの王子様! 私を早く攫って~』

真「うふふ……」

真「はっ! これじゃあ小鳥さんと一緒だ!! お休み!!」

真「Zzz…」

5: 2012/05/04(金) 00:11:13.11
一人称「僕」で短髪ならそう思われてもしょうがないでしょ

6: 2012/05/04(金) 00:16:09.89 ID:5a7HcmxY0
??「――様、――様!!」

真「んん? もうこんな時間? あれ、ここどこ?」

??「起きられましたか、姫君。さぁ、朝食の時間ですぞ」

真「え? 姫君? えーと、これドッキリ?」

??「はて、ドッキリとは何のことでしょうか?」

真「あのー、すみません。ボクこんなところで寝てましたっけ?」

??「ボク!? ひ、姫君殿……。今自身のことを何と……」

真「へ? ボク?」

??「ら、ら、ら、乱心じゃー!! 我らが姫君がボクとなど男言葉をー!!」

真「ちょ、ちょっと! 髭のおじさん、話が見えないんだけど!!」

??「ひ、髭のおじさん!? 姫君殿、何か悪いものでも食べられましたか?」

真「そのつもりはないけど……。そもそも姫君殿って、ボクのこと?」

??「な、なんと言うことだ……。姫様は記憶を失ったというのか……」

7: 2012/05/04(金) 00:23:03.12 ID:5a7HcmxY0
真「えーと、姫様? 言われてみればこの部屋、映画のお姫様が住んでそうな部屋だけど……」

??「まさか例の魔術とやらが原因か!? あの魔道士とやら、姫様の信頼を得て魔術の手ほどきをしていると聞いてたが、まさか姫様の記憶を奪うとは……」

真「あのー、どういうことですか?」

??「どうもこうも有りませぬ! よろしいですか、あなた様は我が国、ヒラタ王国正統後継者、プリンセス・マコリンですぞ!!」

真「ははっ、また変な夢見ちゃったかな……。寝よ」

??「マコリン姫! 二度寝は健康によくありませんぞ!」

真「ははは……、夢じゃないや」

『プリンセス・シンドローム』 菊地真

9: 2012/05/04(金) 00:29:08.82 ID:8MgY5+6x0
真(髭のおじさん、タカーギが言うにはこうだ)

真(ここは王政を敷いている国家、ヒラタ王国。妙に和風な名前なのは突っ込んだらダメなのかな)

真(そしてボクは、ここの王女、プリンセスマコリンその人だという。うん、ボクの妄想のまんまだ)

真(中世の王国のお姫様になるなんて、どこの少女マンガ!?)

タカーギ「姫君殿、思い出されましたか?」

真「あはは……、まだ混乱しているや」

タカーギ「お労しい……。このような下賤なしゃべり方になるとは、全く! 次奴を見たら斬首刑に出してやる!」

真「ざ、斬首刑……? それって、ギロチンだよね?」

真(とまあ元いた日本とはかけ離れた、まるでベル薔薇の世界だ。そんな世界に、ボクは姫としてやってきた)

真「じゃあ元いた姫はどうなるんだろ? まぁ気にしてても仕方ないか」

12: 2012/05/04(金) 00:37:36.62 ID:IoyoyrM90
真(今はこのお姫様生活を楽しまなくちゃ!)

タカーギ「マコリン様! そのように激しく動かれたら、お召し物が……」

真「良いの良いの! ボクこんな服を着たくてアイドルになったんだから!!」

真(プリンセスには悪いけど、海外旅行と思って楽しませてもらうよ!!)

朝食

真「こ、これが朝食……。我が家の味がかすんで見えるよ……」

シジョー「お気に召していただき、私も鼻が高いです」

真(なんの映画だっけ? そうだマリーアントワネット! まるで映画の中に入ったみたいだ!)

ヒビーキ「プリンセス上機嫌だぞ」

ミキィ「いつも元気なかったから、少し新鮮かも」

真「美味い! もう一杯!!」

13: 2012/05/04(金) 00:42:01.91 ID:IoyoyrM90
タカーギ「マコリン様! レディーとしての自覚が足りませぬぞ!」

真「えー、ダメ?」

タカーギ「歴代我が国の妃様方は、それはもう優雅に毎日を過ごしておられました。 クイーンヒ口リンの跡を継ぐ者として、自覚を持って頂きたいものですな」

真「はーい」

真(口うるさい老執事、漫画みたいだ!)

ヒ口リン「あら、マコリン。今日は元気ね、ふふっ、見てるこっちまで元気になってきそうだわ」

タカーギ「女王陛下! 無理に降りて来られなくとも……」

ヒ口リン「たまには運動をしなければ、病も良くはなりません。
それに、こんなに活き活きとしたマコリンは実に久しぶりです。良き知らせが来る前触れやもしれませんよ」

真(この人がクイーンヒ口リン! オーラがすごいよ……。伊織なんて目じゃないや)

真「母上、このマコリン、いつまでも母上にご迷惑をかけるわけにはいきませんわ。これからは少しずつ自立していこうと考えている次第でございます」

ミキィ「なーんかプリンセスの口調変だね」

ヒビーキ「いつもは教養を感じるんだけどなぁ」

16: 2012/05/04(金) 00:45:58.68 ID:8MgY5+6x0
ヒ口リン「うふふ、それではその時が来るのを……ゲフッ! ゲフッ!」

タカーギ「ヒ、ヒ口リン様!? い、医者を呼べ! 国一番の医者だー!!」

ヒビーキ「はっ」

ヒ口リン「いいえ、もう遅いのです……」

ミキィ「女王様……」

タカーギ「しかし! 生きることを諦めるなと先の大戦で演説なさったのはヒ口リン様自身ではありませんか!!」

ヒ口リン「ふふっ、自分に跳ね返ってきちゃったわね……。でも、私はもう思い残すことはないわ。マコリンのあんな笑顔、見れただけで十……、分……」

タカーギ「陛下ー! 陛下ああああ!!」

真(え? クイーンヒ口リン崩御しちゃったけど……)

17: 2012/05/04(金) 00:53:14.80 ID:8MgY5+6x0
タカーギ「このヒラタの地に生きる者たち! 富める者、貧しき者、全ての者に告ぐ!
たった今、我らが平和の象徴、クイーンヒ口リンが天へと旅立った。
陛下の涙は、我々に恵みの雨を降らし、陛下の笑顔は眩いばかりの光となるだろう! 陛下は我々の心の中で永久に生き続ける!」

タカーギ「そして今、王女マコリンが、新たな女王となり、この国に繁栄と平和をもたらすだろう!」

タカーギ「祝福せよ! 今この場に、新たな王女が誕生することを! 先代の遺志を継ぎ、私たちを照らし導くことを!!」

真「あわわわわ……」

真(プリンセスどころじゃない! これじゃあクイーンだよ!!)

真(はっ、もしかして……)

真『あっ、流れ星! お姫様になりたいお姫様になりたいお姫様になりたい!!』

真「紛れもなくこれだー!!」

ヒビーキ「プリンセス,いやクイーン。民衆が待っておりますぞ!」

ミキィ「この国の新たなる女王の誕生を皆待ち望んでいるの!」

真「に、逃げれないよね……」

20: 2012/05/04(金) 00:59:36.38 ID:8MgY5+6x0
民衆『ざわ……、ざわ……』

タカーギ「さあ、クイーン。皆が待っておりますぞ」

真(もうこの人記憶喪失とか忘れてるよね……。はぁ、やるしかないんだ!)

真「た、ただ今ご紹介に預かりました、マコリン・ドゥ・ヒラタでしゅ!」

真(噛んでもうたー! って普通に日本語で話してるけど、それで良いのかな?)

民衆『……』

真(ノーリアクションですか。そりゃ笑ったら殺されるよね……)

真「先代の姫はこの国に恒久の平和をもたらし、我々を常に導いてくださりました。
正直、ボ……、私がクイーンという神聖にして偉大なる地位についてよいものかとも思いますが、私はここに誓います!
ヒラタ王国の新たな発展と平和を、この国すべての者と作っていくことを!」

民衆『……』

真(やっぱ、少女マンガの真似じゃ幼稚……)

民衆『わあああああ!!』

真「え? なにこれ、成功したの?」

21: 2012/05/04(金) 01:02:58.21 ID:IoyoyrM90
民衆『ヒラタ王国万歳! クイーンマコリン万歳!』

真「う、上手く行ったのかな……」

民衆『マコリン! マコリン! マコリン!!』

真「呼び捨て!? で、でもこの昂揚感……。ライブみたいだ!!」

真「みんなー、良くなりよー!!」

真「まっこまっこ」

真「りーん!!」

民衆『……?』

真「や、やってもうた……。いつもの癖で……」

子供「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

老婆「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

真「え?」

22: 2012/05/04(金) 01:03:22.23
ワロタ

24: 2012/05/04(金) 01:09:05.61
やってもうたwww

25: 2012/05/04(金) 01:09:54.20 ID:IoyoyrM90
商人「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

衛兵「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

ONOSAKA「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

医者「まっこまっこりーん、まっこまっこりーん」

民衆『まっこまっこりーん! まっこまっこりーん!!』

真「み、みんな……。それじゃあもう一回! せーの!」

ヒラタ王国『まっこまっこりーん!!』

??「な、なによあれ……。クイーンヒ口リンが崩御したと聞いて駆けつけてみれば、マコリンってあんな奴だったかしら?」

??「邪教みたいです!」

??「あら、難しい言葉知ってるわね、ヤヨ」

ヤヨ「これイオリン様が教えてくださった言葉ですよ?」

イオリン「イオリンで良いわよ。様だなんて。あんたと私の仲じゃない」

ヤヨ「イオリンちゃん、えへへ~」

イオリン「まぁ良いわ。同盟国である以上、攻撃する気は更々ないけど、そっちが売るのなら、こっちはいくらでも喧嘩を買うわよ」

27: 2012/05/04(金) 01:16:49.99 ID:IoyoyrM90
真(ボクもこれで王女様! いや、女王様と言った方が正しいんだけど、なんか嫌だよなぁ)

真(でも……、可愛い服を着て、皆にチヤホヤされて、すっごく気分が良いな!)

真「お花畑でしゃらんら~ん」

タカーギ「マコリン様! どちらに行こうとしておられるのですか!!」

真「え? お花畑でちょうちょさんと井戸端会議を……」

タカーギ「何を言っておられるのですか! 今日は隣国のクギュ帝国からプリンセス・イオリンとの会談の日ですぞ!」

真「え? 初耳……」

タカーギ「うむ……。まだ完全に記憶を取り戻しているわけじゃなさそうですな。クギュ帝国は、近隣国では最大の軍事国家です。
現在私たちのような小国が平和を保っているのも、クギュ帝国の保護があってこそ。くれぐれも、無礼の無いように」

真「イオリン姫ってことは……、伊織っぽいのが来るんだよね。いつも通りにしてたらいっか」

28: 2012/05/04(金) 01:22:34.14 ID:8MgY5+6x0
イオリン「久しぶりね、マコリン。女王生活はどう?」

ヤヨ「お久しぶりでございます!」

真「ははっ……、思ってたのと違うなぁって感じだよ」

イオリン「? どういうこと? アンタずっと先代を見てきたんじゃないの?」

真「ほ、ほらっ! 理想と現実ってやつ!? いざ女王となると、想像していたよりもきつくて……。
母上をますます尊敬したくなるよ」

イオリン「うーん、何かしらこの違和感は……。マコリンと話してるはずなのに、マコリンじゃない誰かと話してるみたい」

ヤヨ「男子三日会わざれば刮目して見よ! です」

イオリン「使い方間違ってると思うし、マコリンは女よ?」

ヤヨ「そうですね!! なんか今のマコリン様、男らしいかなーって」

真(男じゃないって!! ボクは、いやボクって言ってる時点でグレーゾーンだけど!! とにかくボクはプリンセスなの!!)

イオリン「まあ何でもいいわ。まっ、せいぜい頑張りなさい。期待しといてあげるわ」

真(こっちの伊織は割と素直だなぁ)

29: 2012/05/04(金) 01:27:31.83 ID:8MgY5+6x0
真(それから何日か過ぎ、女王生活もそれなりに慣れてきたんだ)

真「はぁ……」

タカーギ「どうしましたか、陛下。ため息を吐くと幸せが逃げますぞ?」

真(きらびやかな舞踏会、贅沢な食事、街に出て民衆とのふれあい、そんなものを期待していたけど、実際はそんな華やかなものじゃない)

真「地道だなぁ」

真(周りには無条件でしたがう者たち、欲しいものは手に入り、満たされ過ぎているぐらいなんだけど……)

真「なーんか楽しいことないかな……」

真(以外にも、プリンセス生活は飽きが来るのが早かった)

真「退屈だなぁ……」

31: 2012/05/04(金) 01:34:53.92 ID:8MgY5+6x0
真(そんなある日のこと……)

真「~♪」

真「だーん!!」

真「退屈だ……。いくらダンスの練習しても、社交ダンスには繋がらないからな……。歌う機会もないし、踊る機会もない……」

真「あっ、そうだ! 良いこと思いついた! 無ければ作ればいいんだ! 幸いコロッセオは昔の名残であるし、歌って踊る祭りを作ろう! タカーギ!!」

タカーギ「どうなさいましたか、マコリン様」

真「ボクは考えたんだ。この国の発展に繋がるものを。そして思いついたんだ、コロッセオを借りて歌合戦をしようと!」

タカーギ「歌合戦ですか? 急にまたどうなさいましたか?」

真「歌は文化の神髄ってプロデューサーも言ってたし、貧富の差もなく参加するようにしたら良いんだよ。国民の士気アップにも繋がるよ!」

タカーギ「ふむ、歌合戦による文化的発展ですか……。先代の時も案がありましたが、先代の病とともに流れてしました」

真「それを娘が引き継ぐ、変なことはないはずよ?」

32: 2012/05/04(金) 01:36:19.90
civでいう文化勝利狙いである

33: 2012/05/04(金) 01:41:49.68 ID:IoyoyrM90
タカーギ「そうと決まれば手配しましょう! 皆の者、これより国民へと通達せよ!!」

真「ふぅ、ようやく国の主っぽいこと始めたかも」

真(その日のうちに、歌合戦の話題は広まっていき、国内は盛り上がっていった)

ハルカッカ「今日のために練習したから、負けないよ!」

ミンゴス「私には歌があればいいの。今の女王には感謝するわ」

アーミン「んっふっふ~」

マーミン「優勝は貰っちゃうよ~」

真「へへっ、勝つのはボクだけどね!!」

イオリン「女王自身が出るの? 審査員の票独占しちゃうんじゃないの?」

ヤヨ「だから私たちが審査するんですよ~」

真「そ-ゆーこと。ボクだって出来レースはいやだもん」

イオリン「まあ精々私たちを楽しませることね」

34: 2012/05/04(金) 01:48:33.40 ID:IoyoyrM90
ハルカッカ「1番ハルカッカ、歌う曲は太陽の嫉妬! ぼえー!」

ミンゴス「2番ミンゴス、歌う曲は蒼い鳥。んあー!」

アーミン「3番、アーミンと」

マーミン「マーミン! 曲は前向き!」

真(民たちの歌により、会場はヒートアップ! やっぱりこれは成功したんじゃない?)

真「ラスト、マコリン! 歌う曲は、エージェント、夜を往く」

民衆『まっこまっこりーん!!!』

真「あはははは! クイーンライフ最高!!」

真(ほんの退屈しのぎのつもりだったけど、思いの他盛り上がったみたいだ!)

ミンゴス「私が……、一等賞ですか!?」

真(負けたのは悔しいけど、まあオーディションの感覚を取り戻せてよかったな!!)

35: 2012/05/04(金) 01:53:35.53 ID:Jg5I1nOz0
真「暇だなー」

真(歌合戦は大きな盛り上がりを見せたけど、どうもそれ以上に盛り上がる物が見つからないや……)

真「偶には本でも読んでみようかな。この国の歴史ってあまり知らないし」

タカーギ「陛下! どちらに行こうとしているのですか!?」

真「偶には勉強しようと思ったの! 毎回毎回外に行くと思ったら大間違いだよ!」

タカーギ「それは失礼いたしました!」

真「あんま信頼されてないのかな……。クイーンヒ口リンが素晴らしすぎたってのもあるんだろうけどさ、なんかショックだな」

真「色々本があるな……。歴史書歴史書っと」

38: 2012/05/04(金) 02:00:39.68 ID:IoyoyrM90
真「えーと、なになに? ピヨピヨが記した耽美な男性同士の……、この世界でも小鳥さんは腐ってるのか……」

真「ん? なんだろこの分厚い本。えーと、ヒラタ残虐物語? な、なんだか怖そうな本だね……」

真「……、でも内容気になるかな。ちょっとだけ、ちょっとだけだからね!」



真「うっ、これは中々……。昔はコロッセオで決闘をしていたんだね。それが王族の楽しみだった、か。今でいうプロレスみたいなものかな?」

真「最強を決めるか……。うん、ちょうどいい暇つぶしになるかも!!」

真「タカーギ! タカーギはおらぬか!?」

真(おらぬかって……)

タカーギ「はっ、ここに」

真「最強の者を決めるための大会を開きたいんだけど……」

39: 2012/05/04(金) 02:04:49.90 ID:IoyoyrM90
タカーギ「最強の者? まさか決闘を再開するおつもりではないでしょうな!?」

真「ちょっと違うよ! ちゃんと鎧を着てさ、安全な剣でやるんだよ! 平和な国とはいえ、何時どこと戦争が起きるか分からないでしょ?
そのためにも日々の鍛錬が必要なんだって!」

タカーギ「むむ……、そう言われると必要な気もしてきますな」

真「でしょ? 天下一武道会だって。これは盛り上がるぞ~! ボクも参加しよっと!」

タカーギ「なりませぬぞ! 万一のことがあれば、私は先代陛下に顔向けできませぬ!」

真「大丈夫だって。ボク鍛えてるからさ」

真(することがシャドウボクシングいぐらいだもんな。そろそろ体動かさないと、鈍っちゃいそうだし)

タカーギ「むむ、ではくれぐれもお気をつけて」

真「心配性だなぁ」

41: 2012/05/04(金) 02:09:04.41 ID:8MgY5+6x0
天下一武道会

男A「だああ!!」

男B「チェストオオオ!!」

真「ヒュー、皆鍛えてるんだね。ボクも負けてられないや! やぁ!」

ONOSAKA「ぐふっ!」

イオリン「あ、あんたそんな強かったかしら?」

真「鍛えてるんだって。結構暇だしさ」

ヤヨ「ぶとー派ですね」

真「この調子で、どんどん行っちゃうよ!!」

44: 2012/05/04(金) 02:13:09.56 ID:5a7HcmxY0
真「まっこまっこ……」

観衆『りーん!!』

最強の男「げふっ!!」

真「あーあ、あまり手ごたえ無かったなぁ」

イオリン「アンタが強すぎるのよ」

ヤヨ「あっとゆうまでした!」

真「うーん、なんかいまいち上がりきれなかったなぁ。ボクが強すぎたのかな……、女の子としてはちょっとショックかな?」

イオリン「あんたホントにマコリン? 私の知ってるマコリンはもっとこう深窓の令嬢って感じだったわよ?」

真「イメチェンだよ、イメチェン」

イオリン「なんだかねぇ……」

真(それでも退屈だな……)

46: 2012/05/04(金) 02:21:44.73 ID:5a7HcmxY0
真(そうだよ、所詮は死なないって分かってるから熱くならないんだよ。でも国民を殺したら後々大変なことになりそうだしなぁ……)

真「そうだ、良いこと思いついた。その前に、この国にあるのかな、牢獄」


牢獄

真「薄暗いなぁ……」

真(平和な国とはいえ、悲しいかな、犯罪は普通に起きる。その全てに先代は涙を流したみたいだけど、
ボクには全部関係ないことみたいに思えてそうでもない)

真「ははっ、これはこれは……」

囚人「あああ……」

真「活きのいいのがたくさんいるじゃん」

囚人「おいあんた、ここから出してくれるのか?」

真「あんたってこれでも女王……、もしかして先代の死を聞いてないのかな? まあ何でもいいや」

49: 2012/05/04(金) 02:26:05.29 ID:5a7HcmxY0
真「ねえ、ここから出たいかい?」

囚人「当然だ! 女王の奴、戦争犯罪人として俺たちを牢に入れたんだ! こちとらほとんど殺してねえのによ!!」

真「へー、人を殺したいんだ。叶えてあげようか?」

囚人「何?」

真「あっ、でも国民はNGね。まっこまっこりーんしてくれるし。だから……」

囚人「俺たちに何をさせる気だ?」

真「うーん、暇つぶし?」

囚人「ああ?」

真「ボクにとっての暇つぶしだよ。ボクを楽しませたら、逃がしてあげる」

真「なーんかさ、退屈なんだよね……」

50: 2012/05/04(金) 02:31:48.22 ID:Jg5I1nOz0
真「毎日毎日同じことの繰り返し。たまにイベントもするけど、それもなんか飽きちゃった」

真「お姫様ってさ、思ったよりつまらないもん。アイドルのままの方が良かったかな」

真「でも女王の立場だから出来ることも有るんだよね」

囚人「女王だと?」

真「そっ、現女王マコリン・ドゥ・ヒラタ。先代はもうこの世にいないよ」

囚人「チッ」

真「まあまあ、そんな悔しそうな顔しないでよ。ボクはとっても優しい女の子だから、皆にチャンスをあげる」

囚人「チャンスだぁ?」

真「娑婆に出してあげるんだよ。でもその代り……」

囚人「な、なんだ……?」

53: 2012/05/04(金) 02:38:28.61 ID:5a7HcmxY0
トラ「ガルゥ!!」

囚人「ひ、ひぃぃぃ!!」

真「あははは! さっきまでの威勢はどうしたの? 戦争がしたかったんでしょ? 折角人よりも強いトラを用意したのに。思う存分やりなよ、見ててあげるからさ」

囚人「た、助け」

トラ「ガウッ!!」

真「あーあ、あっけないなぁ。んじゃ次の方、逝ってみよー!!」

囚人「あ、ああ……」

真「逃げても駄目だって。娑婆に出してあげないよ? ほら、別れた恋人が待ってるんでしょ?」

囚人「う、うわああああ!!」

トラ「ギャアアウ!!」

囚人「ぐわああああ!!」

真「あははは! これだよ、これ! 見ててすっごく楽しいや! はい次の方どうぞ~」

57: 2012/05/04(金) 02:45:27.19 ID:5a7HcmxY0
タカーギ「陛下、最近上機嫌ですね」

真「そう? へへっ、そう見えちゃうか。ちょっと新しい余暇を見つけてさ」

タカーギ「ふむ、趣味を広く持つことは素晴らしいことです。先代も様々な趣味を……」

真(表では名君、裏では暴君……、すっごくドキドキするや!! 最初と思ってたお姫様像とかけ離れてるけど、こっちの方が楽しい!)

真「それじゃあ、ボクは町の方へと繰り出すよ。国民はみな財産だしね。ボクは常にみんなと近い女王でいたいんだ」

タカーギ「ま、マコリン様……。立派に成長して……」

真「わっ、泣かなくてもいいじゃん。大袈裟だなぁ、もう」

真(さーて、ボクをドキドキさせてくれる良い男いるかなーっと)

タカーギ「ううむ……」

59: 2012/05/04(金) 02:52:07.10 ID:Jg5I1nOz0
子供「マコリン様ー!」

真「ははっ、みんな元気だね。ボクも元気になってきそうだ!」

ハルカッカ「マコリン様最近よく町に来られるよね」

ミンゴス「先代もそうだったし、この国の王族は庶民の味方なのよ。素晴らしいことだわ」

アーミン「まっこまっこ」

マーミン「りーん!」

民衆『まっこまっこりーん!!』

真「へへっ、照れちゃうなぁ」

真(皆がチヤホヤしてくれる。誰も僕を真王子だなんて言わない! なんて素敵な世界なんだろ。
後は暇つぶしが効率的にできたら文句はないんだけどね)

61: 2012/05/04(金) 02:57:53.26 ID:5a7HcmxY0
真「良いよ良いよ! もっと激しく行っちゃって!」

囚人「うらぁ!」

トラ「グルル……」

真「うんうん、もっとボクを笑顔にしてよ!」

囚人「おらぁ!!」

トラ「ぐわあ!!」

真「パーフェクトだよ!! 凄いや、ホントに虎に勝っちゃったよ!」

囚人「な、なぁ……。これで俺を外に出してくれるんだよな!?」

真「嘘は吐かないよ。どことなりと、お好きにどうぞ」

囚人「あ、ありがてぇ! ありがてぇ!!」

真「もう捕まるなよ~」

真「あーあ、虎退治もこれでお終いか……。やることなくなっちゃった。他にないかな……」

真「……ティンと来た!!」

64: 2012/05/04(金) 03:04:31.33 ID:8MgY5+6x0
真「~♪」

真「ギロチンマコリンクビチョンパ~♪ 一思いにザンネック~♪」

真(囚人に問題を出して、解けなかったらギロチン、名付けて地獄クイズ!! さーて、絶対解けない問題考えないと……)

タカーギ「マコリン様、よろしいでしょうか?」

真「タカーギ? どうしたの?」

タカーギ「いや、マコリン様にも伝えておかなければと思いまして」

真「?」

タカーギ「隣国の辺境の村で、先日脱走した囚人が村人を斬ったとの報告がありまして」

真「!? それはまずいね……」

タカーギ「ええ、非常にまずいです。よりによって、斬られた子供というのが」

タカーギ「皇女イオリンの付き人、ヤヨだったんです」

真「え?」

66: 2012/05/04(金) 03:09:22.00 ID:Jg5I1nOz0
タカーギ「クギュ帝国は、この事態を重く受け、我々に2つの選択肢を用意してきました」

真「セ、選択肢?」

タカーギ「ええ、一つはクギュ帝国との同盟解除、並びに宣戦布告です」

真「ちょ、ちょっと! イオリンがそんなことを言ったっての!?」

タカーギ「ええ、そう伝達されました。そしてもう1つの選択肢ですが……」

真「それは……」

タカーギ「女王マコリンの公開処刑です」

真「へ? いまなんっていった?」

イオリン「公開処刑よ!! この偽物!!」

真「い、イオリン!?」

イオリン「違和感しか感じなかったけど、例の1件で確信したわ。あんたは私たちの知っているマコリンじゃないわ」

69: 2012/05/04(金) 03:16:42.71 ID:IoyoyrM90
真「どういう……」

イオリン「脱走囚が吐いたわよ。女王を楽しませたら娑婆に出す、それで何人もの囚人があんたの暇つぶしで殺されたって」

真「あ、あの野郎……」

イオリン「それですぐ罪を犯しちゃって。救いようのない馬鹿ね。幸いヤヨは一命を取り留めたけど、それは私たちへの宣戦布告と捉えたわ」

真「違う! それはあいつがしたことじゃないか!!」

イオリン「そいつを解放したのは誰よ!! 目の前のあんたでしょ!!」

真「ち、違う! ボクじゃない!!」

イオリン「知ったこっちゃないわ。ねえ、アンタにひとつ教えてあげる」

イオリン「本物のマコリンは、かなりの音痴なの。それに……、」

イオリン「いくら退屈だからって、人を殺すような愚か者じゃなかったわ」

タカーギ「失礼いたします、陛下」

真「タカーギ! お、お前ボクを売るのか!?」

タカーギ「それがこの国を守る方法なんです」

真「は、放して! 放してよ!」

70: 2012/05/04(金) 03:20:15.51 ID:IoyoyrM90
公開死刑場

真「違う! ボクは悪くないんだ! 殺されるべきはボクじゃない!!」


ハルカッカ「……」

ミンゴス「……」

アーミンマーミン『……』

シジョー「……」

ヒビーキ「……」

ミキィ「……」

真「ほ、ほらっ! いつものやればさ、ほら! まっこまっこ」

観衆『死ーね! 死ーね! 死ーね!!』

真「そ、そんな……」

73: 2012/05/04(金) 03:26:15.42 ID:5a7HcmxY0
イオリン「なーに、心配することはないわ。痛みは感じず、あの世に行けるわ。
本物のマコリンがどこに行ったか知らないけど、だからってアンタが生きていていい理由にはならないわ」

真「た、助けてよ! みんな助けてよ!!」

イオリン「本当に、残念な結果よ。ヒラタの王政は終わり、うちの領土となるわ。安心して、差別はする気もないし、今以上の生活を保障するわ」

観衆『わああああああ!!』

真「ボクは女王だぞ! 助けろよ! ボクをたすけムグッ……」

真(前が見えない……。布かぶせられたの?)

イオリン「最後に言い残すことは?」

真「……まっこまっこりーん」


観衆『わあああああああああ!!!』

74: 2012/05/04(金) 03:28:35.51
わああああああああああああああああ

76: 2012/05/04(金) 03:29:11.21 ID:5a7HcmxY0
伊織「ん? どうしたの真」

真「え? なんでもありませんわ」

伊織「はぁ……、なんかその喋り方調子狂うわね」

真「これが自然体ですことよ?」

やよい「なんか上品です! お姫様みたい」

真「あら、私これでもお姫様ですことよ?」

伊織「こら、やよいに変なこと吹き込まないで」

P「おーい、そろそろオーディション始まるぞー」

やよい「いきましょう」

伊織「そうね」

真「ええ、華やかに、ね」







真「退屈はもう勘弁よ」

77: 2012/05/04(金) 03:31:32.97 ID:5a7HcmxY0
P「平行世界の2人は、境遇も願いも真逆でした。片方はお姫様になることを願い、片方は退屈からの脱却を願いました」

P「退屈と分かってるのに、戻りたいなんて人はいませんよね?」

世にも
奇妙な
アイドルマスター


78: 2012/05/04(金) 03:32:06.87

80: 2012/05/04(金) 03:34:13.73

ゾクっときた……けど、姫のほうは音痴なんだよな?大丈夫かそれ

引用元: P「世にも奇妙なアイドルマスター」