261: 2012/05/07(月) 19:59:14.11 ID:KTuVlA6t0


P「ある日急に死神に出くわし、人生の残り時間を知らされたら、あなたはどうしますか?」

P「運命を変えるために奔走する、残された時間で精一杯の贅沢をする。それは人それぞれでしょう」

P「さて、彼女の場合はどうなんでしょうか?」



やよい「今日はお肉が安いです!」

肉屋「おっ、やよいちゃん! 今日はおじさん機嫌が良いから、やよいちゃんには半額で売っちゃうよ!」

やよい「ほんとですか?」

奥さん「あんた! 何勝手なこと言ってんだい! ごめんねやよいちゃん、半額には出来ないけど、ちょっと安くしとくわよ?」

やよい「ありがとうございます!」

??「ふむ」

263: 2012/05/07(月) 20:03:57.76 ID:KTuVlA6t0
やよい「お肉買っちゃいました! 今日のもやし祭りはお肉つきです!」

??「ちょいちょい、そこの君」

やよい「うん?」

??「そうそう、君だよ君」

やよい「あれ? プロデューサー?」

??「プロデューサー? なんだそれ……。って成程、この体の持ち主がプロデューサーとやらなんだな。ってことは知り合いか?」

やよい「どうかしました?」

P?「ああ、ごめんごめん。えーと……、ゴメン、誰だっけ?」

やよい「高槻やよいですよ~。プロデューサーもしかして記憶そーしつですか?」

P?「そう言うわけでもないんだけど……。高槻やよいちゃん?」

264: 2012/05/07(月) 20:10:44.38 ID:4oqnmTwV0
やよい「はい」

P?「うーん、気を失わずに聞いてほしいんんだけど……」

やよい「?」

P?「君さ、残り人生24時間なんだよね」

やよい「え? それどういう……」

P?「あっ、実はわたくしこういう者でして……」

やよい「えっと、読めません!」

P?「ありゃ、日本語に変えるの忘れてたか。信じてくれるかどうかは分からないけど、」

P?「俺、死神なんですよね」

やよい「死神?」

死神「そう、そしてやよいちゃんの寿命は」

死神「残り24時間です」

『24時間』 高槻やよい

265: 2012/05/07(月) 20:11:55.76
やよいのこと大好きだけど心えぐるようなストーリーを期待してしまう

266: 2012/05/07(月) 20:18:03.99 ID:4oqnmTwV0
やよい「えーと、意味が分からないんですけど……」

死神「まあそうですよね、だから簡単に説明します。残された時間を無駄に使わせるのは趣味じゃないし」

死神「さて、俺は死神です」

やよい「死神ってあの鎌とか持ってるやつですか?」

死神「ああ、そうなりますかね。でもまあ実際は普通ですよ、普通」

やよい「じゃあなんでプロデューサーに?」

死神「ああ、この人ね。さっき事故ったんですよ。でまだ一命は取り留めてんだけど、俺が間借りしてるわけです。
死神って人の目じゃ見えないから、こうやって人間の体レンタルするしかないんですよね、はい」

やよい「で私の寿命が……」

死神「うん、残り23時間54分3秒。まあ今53分になったけどさ」

やよい「ど、ど、どうして死んじゃうんですか?」

死神「あー、それは俺も知らないわ。事故に遭うかもしれないし、心臓麻痺で死ぬかもしれない。でも逆に言えばこの24時間は死ぬことないんだよね」

267: 2012/05/07(月) 20:26:00.42 ID:zlJFHMv00
やよい「そうなんですか?」

死神「そうなんじゃない? だって死ぬ時間がすでに決まってるし。気になるならトラックにでも突っ込んだら?」

やよい「痛いのはいやです!」

死神「普通死ぬと思うけどなぁ。まあいいや、で俺たち死神は、元来忌み嫌われる存在なんだけど、実際はそんなことないんだよね」

やよい「?」

死神「そりゃ昔は気まぐれで魂刈ってるのもいたけど、最近は死神のイメージアップを図って、死神協会日本支部では、対象の死ぬ24時間前に案内を出して、残された時間を有意義に使ってもらおうと決めました」

やよい「それで私のところに?」

死神「そういうこと。死神のノートみたいなのが流行ってるみたいだけどさ、あれ嘘っぱちだからね。死ぬにしても、ちゃんと準備期間はあるよ」

やよい「……」

死神「ああ、やっぱり信じれませんよね。もうすぐ自分が死ぬなんて、急に言われても」

やよい「なんで……、私なんですか?」

死神「それは……、返答に困るな。こればっかりは俺たち末端の人間には口出しできる範囲じゃないし」

死神「伝えたいことだけ伝えて、混乱させて申し訳ないけど、俺たち死神協会日本支部は、やよいちゃんが天寿を全うするまで、最善を尽くすよ」

269: 2012/05/07(月) 20:32:09.20 ID:zlJFHMv00
やよい「……」

死神「えっと、凄い聞きにくいんだけど、質問ある?」

やよい「これって他の人に言ったら……」

死神「それはイ工口ーカードなんだわ。言ったところで信じるかは知らないけど、死神協会は変に硬いからなぁ。基本的に死にゆく者の前しか姿を見せないんだよ」

やよい「イ工口ーカードって……」

死神「レッドカードになると強制終了。その場でお陀仏、来世は……。たぶん人じゃないよ」

死神「だから、死神に会ったなんてことを言う人いないでしょ? あってもそれは守秘義務があるし、死人に口なしってとこで」

やよい「分かりました……」

死神「おっと。残り23時間46分34秒。どうか後悔のない余生を……」

271: 2012/05/07(月) 20:35:52.00 ID:zlJFHMv00
やよい「えっと、プロ……、じゃなくて死神さん!」

死神「イ工口ーカード!」

やよい「あっ……」

死神「ってのは冗談で、あんまり俺のこと死神って言わない方がいいよ? 俺がいなくなったとき、この体の持ち主は死神と呼ばれ続けることになるし」

やよい「じゃ、じゃあプロデューサーで」

死神「じゃあプロデューサーか。本名知らないの?」

やよい「あっ、じゃあはいらないです。本名は……、なんでしょう?」

死神「さあ、それは俺に聞かれても。で何の用事?」

やよい「えっと、その……」

やよい「もやしパーティに来ませんか?」

272: 2012/05/07(月) 20:43:06.34 ID:zlJFHMv00
死神「もやしパーティー? もやし党っていう政党があるのかい?」

やよい「?」

死神「ああ、今のはパーティーと政党の英語のパーティを……。自分で解説するのは寂しいな」

やよい「まだ習ってません」

死神「そうなの? まあいいや。面白そうだし行こうっと」

やよい「あっ、でもプロデューサーさんの体は……」

死神「心配ご無用。死神ってさ、軽くなら相手に命を与えれるんだわ。それで今プロデューサーは生きてはいる。
全部が終わったら責任を持って病院まで送るよ」

やよい「プロデューサーと過ごせないのは淋しいです」

死神「そうだなぁ。俺が入ってる時点で、君の知るプロデューサーじゃないしな。どうしたものか」

やよい「でも死……じゃなくてプロデューサーも来てください。たくさんいる方が楽しいですから」

死神「んじゃ、お言葉に甘えちゃおうかな。プロデューサーとやらの分も楽しまないとな」

273: 2012/05/07(月) 20:47:18.88 ID:4oqnmTwV0
残り22時間13分 高槻家

やよい「うっうー! みなさんいらっしゃい!!」

春香「やっほー、やよい来たよー! ってプロデューサーさん!?」

死神「ん? 」

春香「どうしてやよいの家に? ってどうかしました、固まっちゃって」

死神「……え、閻魔の娘!?」

春香「へ?」

死神「なんで閻魔の娘がここぶふっ!」

やよい「プロデューサー、ちょっと来てください」

春香「え、閻魔の娘?」

千早「そんなニックネーム付けた覚えないわよ」

伊織「それ他作者のネタでしょ!」

貴音「はて、面妖な」

響「貴音はいつもそれだぞ」

274: 2012/05/07(月) 20:52:26.09 ID:zlJFHMv00
やよい「死……、プロデューサー! 閻魔の娘ってなんですか?」

死神「あー、うん。あのリボンの子が、地獄のボスの閻魔の娘そっくりでさ。リボンが角に見えたぜ」

やよい「違いますよー。春香さん達は私の仲間です!」

死神「ああ、それなんだけどさ。俺誰が誰か分からないんだよね」

やよい「あっ、そうですね」

死神「だからさ、誰が誰って教えてくれたらそれはとっても嬉しいなって」

やよい「えっとですねー……」


死神「なるほど、個性の宝庫だな」

やよい「間違えないでくださいね?」

死神「大丈夫だって。俺仕事柄人の顔と名前覚えるの得意だし」

276: 2012/05/07(月) 20:58:34.89
閻魔春香さんはよ

278: 2012/05/07(月) 20:59:37.64 ID:4oqnmTwV0
やよい「お待たせしましたー! もやし祭り開催ですよ!」

高槻家『Uryyyyyyyyy!!』

貴音「すでにおいしそうな匂いが……。じゅるり」

響「すっごく美味しいんだぞ!」

伊織「そうよ! 特にこのたれが絶品で……」

死神「うん、美味い」

伊織「プロデューサー?」

死神「え? なに?」

伊織「なにタレをダイレクトで飲んでるの?」

死神「あれ、これってそういうものっじゃ……」

やよい「プロデューサー、それコーラじゃありませんよ?」

死神「え? へ? あっ、はい」

春香「プロデューサーさんドジだなぁ」

美希「春香だけは言っちゃダメなの」

やよい「気を取り直して、もやし祭り開幕です!」

279: 2012/05/07(月) 21:09:09.06 ID:KTuVlA6t0
真「これもーらいっと!」

響「そうはいかないぞー!」

あずさ「あらあら、漁夫の利ですね~」

伊織「あんた達もっとエレガントに食べなさいよね。こうやって」

亜美「もーらい!」

真美「げっちゅー!」

伊織「ちょ、あんたら怒るわよ!!」

貴音「美味でございます」

死神「そうだな、みんな楽しそうだ」

やよい「おかわりも有りますよー!」

281: 2012/05/07(月) 21:12:27.43 ID:KTuVlA6t0
長介「姉ちゃんも食べなよ?」

やよい「うーん、私はあんまりお腹すいてないかなー。みんなが食べてるだけですっごく幸せだよ!」

千早「高槻さん、天使ね……」

死神(そして俺は死神)

やよい「じゃんじゃん食べちゃってください!」

一同『Uryyyyyy!!』


残り21時間2分

律子「あー、食べたわね」

あずさ「ダイエット頑張らないと……」

雪歩「お肉美味しかったですぅ」

春香「雪歩肉ばかり食べてたよね……」

283: 2012/05/07(月) 21:18:33.78 ID:KTuVlA6t0
やよい「みなさん今日はありがとうございましたー!」

春香「ううん、こっちも楽しかったよ!」

響「また来てもいいか?」

やよい「は……、はい」

美希「どうかしたの、やよい」

やよい「え? ううん、何でもないですよー!」

貴音「いいえ、やよい。私たちに何かを隠してはいませんか?」

やよい「な、なんもないですよー!」

死神(嘘つくの下手なんだな、この子……。仕方ない、ちょっと助け船を)

死神「ああ、隠してるんだ」

やよい「プロデューサー!?」


284: 2012/05/07(月) 21:23:22.09 ID:KTuVlA6t0
貴音「あなた様、それはなにを……」

死神「実はな……」

チュッ

やよい「プ、プ、プロデューサー……」

春香「!?」
あずさ「!?」
美希「!?」

死神「まあ、そういうことだ、うん」

春香「死ーん」
あずさ「死ーん」
美希「死ーん」

伊織「う、うわ大胆……。ってそうじゃなくて! あんたやよい何歳だと思ってるのよ!」

死神「え? 享ね……」

やよい「プロデューサー!」

死神「あっ、ごめんなさい」

286: 2012/05/07(月) 21:28:46.63 ID:KTuVlA6t0
死神「でもな凸ちゃん」

伊織「凸ちゃん言うな!」

死神「俺たちは愛し合ってるんだよ、なあ、やよいちゃん」

伊織「やよいちゃん?」

死神「え? 名前合ってるよね?」ボソッ

やよい「プロデューサーは私のこと呼び捨てです」ボソッ

死神「あっ、そうなの?」

伊織「怪しいわね……。あんたホントにプロデューサー?」

死神「な、何言い出すんだよ! 俺ほどのプロデューサーがこの世に……」

律子「なーんかいつものプロデューサーと違うのよね」

春香「なんでだろ……」

美希「宇宙人がハニーに擬態したみたいなの。ってハニーはどこ!?」

288: 2012/05/07(月) 21:33:20.38 ID:zlJFHMv00
死神「うおっ!」

美希「ハニーをどこへやったのこの偽物!!」

死神「お、俺がハニーだっての!」

死神(なんだなんだこの金髪! 中身は閻魔娘じゃないか!!)

やいのやいのやいの

貴音「おやめなさい!!」

美希「貴音?」

貴音「目の前にいるのは、紛れもなくぷろでゅうさあです。私が保証いたします」

真「貴音が言うなら、そうなのかな……」

雪歩「四条さんは絶対ですから!!!!!」

響「貴音が嘘なんか言うわけないぞ」

美希「うーん、なんでだろ……」

死神(助かったのか?)

291: 2012/05/07(月) 21:37:11.18 ID:zlJFHMv00
貴音「長居してもしかた有りませんね。それではまた明日に」

伊織「そうね、あんまりいても迷惑でしょうし」

亜美「じゃあね→」

真美「歯磨けよ→」

雪歩「さようなら」

真「まったねー!」

千早「泊まっていいかしら?」

春香「千早ちゃん!」

響「ケーライー(じゃあなー)!」

あずさ「帰りましょうか」

律子「あずささん! そっちじゃありませんよ!」

美希「じゃあね、ハニー?」

292: 2012/05/07(月) 21:43:36.91 ID:zlJFHMv00
やよい「み、みんなー!」

やよい「ありがとうございましたー!!! また来てくださーい!!」

死神(ありがとうございました、か)

貴音「あなた様」

死神「わっほい! 急に現れないでくれるかな、うん!」

やよい「貴音さん、どうかしたんですか?」

貴音「ええ、少し。あなた様、いえ、ぷろでゅうさあの姿を借りた、また別の存在」

死神「あちゃー」

やよい「貴音さん、分かるんですか!?」

貴音「ええ、終始面妖な気を放っていましたので。恐らくあなた様は……」

貴音「死をつかさどる神、と言ったところでしょうか?」

死神「バレテ-ラ」

やよい「す、すごいです……」

294: 2012/05/07(月) 21:48:32.74 ID:zlJFHMv00
貴音「そしてやよいのもとに現れたということは……」

死神「ああ、こっちからは言えないんだ。察してくれ」

貴音「そうですか……」

やよい「貴音さん……」

貴音「やよい、私にあなたの運命を変える力は有りません。恐らく、ちょっとやそっとでは覆らない運命なのでしょう」

貴音「それは……、誠に心苦しいことです……」

やよい「貴音さん、泣いてるんですか?」

貴音「当たり前です! 大切な仲間が死に行くとわかってるのに、何もできない! 私は無力です!」

やよい「良いんですよ、もう。だから泣かないで下さい。私まで泣いちゃいそうですから」

295: 2012/05/07(月) 21:54:04.06 ID:zlJFHMv00
貴音「やよい……」

やよい「まだ死んじゃうんだって実感は湧かないけど、でもクヨクヨしてたら後悔だけ残っちゃうかなーって」

貴音「あなたは、強いのですね……」

やよい「ううん、今にも泣いちゃいそうです。でも、私誰かがいる前では泣かないって決めてるから。お姉ちゃんだし」

貴音「ふふっ、それはそれは……。私も見習わなければいけませんね」

貴音「あなた様」

死神「あー、俺?」

貴音「残された時間、やよいのために全力を尽くしてあげてください。それだけが願いです」

死神「言われなくてもそうするよ。最後のひと時まで幸せに、それがうちのモットーだ」

貴音「左様でございますか」

死神「ああ、だから俺は、全力でここからいなくなろう。30分ぐらい、な」

貴音「それでは、やよい。今まで、ありがとうございました。そして」

貴音「さようなら……」

やよい「さようなら、貴音さん」

297: 2012/05/07(月) 22:01:25.09 ID:4oqnmTwV0
やよい「行っちゃった……。死神さんもいないです」

やよい「うん、我慢したんだよ……」

やよい「泣きたいのずっと我慢してたの……」

やよい「ひぐっ……、えぐっ……」

やよい「わあぁぁぁ! うあぁぁぁぁぁ!」

やよい「怖いよぉ……」

やよい「すごくこわいよ……」



長介「姉ちゃん、何で泣いてるの?」

やよい「泣いてないもん」

長介「でも姉」

やよい「泣いてなんかないもん!!」

298: 2012/05/07(月) 22:06:20.03 ID:4oqnmTwV0
長介「嘘ばっかり。姉ちゃんさ、嘘吐くの下手なんだから……」

やよい「何でわかるの?」

長介「家族だから」

やよい「長介の癖に生意気だよ……」

長介「うるさいなぁ! 俺だってさ、男だもん。姉ちゃんが相手でも、泣いている女の子を放っておけないよ」

やよい「かっこつけちゃって」

長介「わ、悪い?」

やよい「ううん、ちょっと安心したかも。長介、背中大きくなったね」

長介「て、照れるな……」

死神(あの空気には入れそうにないな……)

残り 19時間00分

300: 2012/05/07(月) 22:11:54.18 ID:4oqnmTwV0
やよい「はぁ……」

死神「やぁ」

やよい「窓から入ってこないでください!」

死神「いや、正面から堂々と入るのもねえ?」

やよい「普通に入ってくださいよ」

死神「次回からそうするよ」

やよい「さっきまでどこ行ってたんですか? 気づいたら貴音さんと一緒にいなくなってましてけど」

死神「ああ、空気を読んだんだわ」

やよい「?」

死神「気にしないで、忘れてくれ」

301: 2012/05/07(月) 22:16:34.60 ID:4oqnmTwV0
死神「ん? 何書いてるんです?」

やよい「皆にメッセージを遺そうかなって」

死神「メッセージ? ダイイングメッセージって奴?」

やよい「違うと思います。私が死んだ後に、みんなの手に渡って欲しいかなーって」

死神「明日も会うんじゃないの?」

やよい「みんなバラバラの仕事です。私のために邪魔するのも申し訳ないです」

死神「ほんと、君は良い子だね。ここまでまっさらな人間はは久しぶりに見たわ」

やよい「?」

死神「いいや、親御さんの教育がよかったんかなと思ってね」

やよい「変な死神さんです」

304: 2012/05/07(月) 22:23:47.27 ID:4oqnmTwV0
死神「君ってさ」

やよい「なんですか?」

死神「最後の夜って言うのに、特別なことしないよね。俺が見てきた人ってたいてい最後は無茶するのに」

やよい「えーと、例えば?」

死神「時間が来るまで死なないことをいいことに、犯罪に手を出したやつとかさ。あれは上にこっぴどく叱られなっけな……。他には、子供たちに遺産を残したくないから、最後の最後まで贅沢を極めたばあさんとか。人生色々、死も色々だよ」

やよい「人殺しはいけません!」

死神「俺ら死神からしたら、仕事が増えるから面倒な話でもあるんだけど……。にしてもここまでいつも通りを貫く子も珍しいな」

やよい「もやし祭りしました!」

死神「最後の晩餐には、ちょっと味気ないんじゃないかい? まあ好きですけどね、あのタレ」

やよい「でも家ではちょっとした贅沢です!」

死神「そんなものですかね」

やよい「そんなものです」

307: 2012/05/07(月) 22:29:43.48 ID:4oqnmTwV0
残り18時間

やよい「夜更かししちゃいました」

死神「まだ0時じゃんか。夜はこれからですよ! これから!」

やよい「夜更かしはいけませんよ?」

死神「えー。金持ちそうな車に花火ぶち込むとかしたかったなぁ」

やよい「死ぬからって迷惑かけちゃダメです! あっ、でも……」

死神「どうしました?」

やよい「死ぬ前に行きたい所があるんです」

死神「ほう?」

やよい「でも少し遠いです。けど車を出せないし……」

死神「車ね、ちょい待ち」

やよい「?」

309: 2012/05/07(月) 22:35:03.13 ID:KTuVlA6t0
やよい「これは? 真っ赤なベンツです」

死神「死神界の車だよ。かつてオーストリアの皇太子殺害事件の際に使用され、その後も次から次へと所有者を殺害したという、呪いの車」

やよい「私呪われちゃいます!」

死神「まー、大丈夫だって。最近は事故の話も聞かないし。それじゃあ、目的地まで行きますよ。シートベルト付けてくださいね」

やよい「は、はい!」

死神「んじゃ、やよいちゃんの行きたい所へ行きますかね!!」



やよい「星がきれいです!!」

死神「こりゃ驚いたな。こんなにきれいな星空が、こんな都会で見れるなんてな」

311: 2012/05/07(月) 22:40:18.52 ID:KTuVlA6t0
やよい「はじめてのお仕事で、大失敗したときにプロデューサーが連れてきてくれたんです」

死神「へえ、やよいちゃんとこの男にとって特別な場所なんだ」

やよい「はいっ! あの日ここで見た星はもっと凄かったです!」

やよい(本当はプロデューサーとが良かったけど、贅沢なのかな?)

死神(それは一緒に見た人もあるんだろうな。ん?)

死神「え? 起きちゃいました? 良いですけど、あんま長い間やると死にますよ? 2分ぐらいですからね」

やよい「死神さん?」

死神「ちょっと待って頂戴……」

P「こんばんわ、やよい」

やよい「え? プロデューサー?」

P「ああ、プロデューサーだ。といっても半分死神みたいなもんだけ」

やよい「プロデューサー!!」

P「うわぁ!!」

312: 2012/05/07(月) 22:46:13.50 ID:KTuVlA6t0
やよい「プロデューサー! 私、私……」

P「く、苦しい……」

やよい「あっ、ごめんなさい……」

P「良いよ、美希よりはマシだし」

やよい「プロデューサーさん、私……」

P「ああ、分かっているよ。ゴメンな、やよいが苦しんでる時に、何も出来なくて……」

やよい「ううん、プロデューサーがいてくれるだけで、私はすっごく安心します!! 手、握っていいですか?」

P「ああ、俺の手なんかで良ければ」

やよい「暖かいです……」

P「そうか? あまり気にしたことがない……けど……」

313: 2012/05/07(月) 22:51:01.36 ID:J7z4PLqT0
やよい「プロデューサー?」

P「悪い、時間……ぽい……」

やよい「冷たっ」

死神「そうか、それは勝てるわけがないな……」

やよい「死神さん?」

死神「そうだね。良い空気の仲割り込むのも気が引けたけど、これ以上していたら、プロデューサーの方が先に死んでしまいそうだったし」

やよい「手、冷たいんですね……」

死神「俺たちはこれが普通なんだよ……」

やよい「死んじゃうってこんなことなのかな? 冷たくなって眠る、すごく寒そうです」

死神「火葬は熱すぎるけどね」

やよい「ふぁああ……。ごめんなさい、眠くなっちゃいました……」

死神「ここで寝ちゃダメだって。ありゃま、寝ちゃったか」

死神「家にまで送るかな?」

316: 2012/05/07(月) 23:04:27.55 ID:zlJFHMv00
残り時間 11時間41分

長介「姉ちゃん、おはよう」

やよい「あれ、早起きさんだね」

長介「もう俺一人で起きれるし!」

やよい「あっ、そうだったね」

かすみ「おはようお姉ちゃん……」

やよい「おはよう、かすみ」

死神「おはようやよいちゃん……」

やよい「おはようございます死にが……」

死神「チャオ☆」

やよい「なんでいるんですかああああ!?」

317: 2012/05/07(月) 23:10:31.09 ID:4oqnmTwV0
長介「プロデューサーの兄ちゃんじゃん。昨日姉ちゃんとデートしてたんでしょ? 母さんカンカンだったよ?」

死神「俺が怒られたよ……。まあ話せば分かる人で、一緒に酒を飲んでたんだけど……」

やよい「いきなり現れたんでびっくりしました!」

死神「そりゃ寝てたからなぁ。それより、仕事有るんでしょ?」

やよい「なんでそれを?」

死神「そりゃあプロデューサーだしね」

P「ああ、そうだな」

やよい(今、入れ替わらなかった?)

死神「だから朝ごはんを食べたら、事務所に行かないとね」

やよい「あっ、朝ごはんは……」

長介「偶にはさ、俺が作ろうかなって」

やよい「長介?」

319: 2012/05/07(月) 23:16:11.87 ID:4oqnmTwV0
高槻家&死神『いただきまーす』

長介「ど、どうかな……」

死神「長介君、君砂糖と塩をま……」

やよい「おいしいよ、長介!」

死神「え? いやでも」

やよい「お・い・し・い・で・す!」

死神「お、おいしいです!」

長介「そ、そうかな……。えへへ……」

やよい「でも調味料を間違えないようにだけ気を付けてね」

長介「さ、さすがにそんなコントみたいなことはしないよ!」

死神(してんだよ、それが)

やよい「あっ、もうこんな時間だ! プロデューサー、行きましょう!」

死神「えっ、ちょ待てよ!」

長介「いってらっしゃーい」

321: 2012/05/07(月) 23:20:44.23 ID:4oqnmTwV0
やよい「行ってきまーす!!」

死神「やよいちゃん、良いの?」

やよい「え?」

死神「いや、ナチュラルにスルーしかけたけどさ、残り時間はあまりないよ? 家族に最後のお別れは……」

やよい「あっ……」

死神「もしかして忘れてた?」

やよい「はい。でも、最後のあいさつってのもなんか変かも」

死神「何で?」

やよい「私が死んでも、家族はみんな一つです! 悲しむかもそれないけど、きっとみんなすぐに立ち直っちゃいますから!」

やよい「それに、お別れを言っちゃうと、私まで寂しくなっちゃいそうだから――。メッセージにお全部託しました」

死神「そっか。君が言うなら無理強いはしないよ」

323: 2012/05/07(月) 23:26:16.17 ID:zlJFHMv00
残り時間 9時間56分

やよい「10時間を切っちゃいました」

死神「そうだね……」

やよい「どうしました?」

死神「いや、なんも。こっちで良いのかな、プロデューサー」

P「反対ですって!」

死神「あり? そうなのじゃあ逆走……」

P「道交法違反!!」

やよい「プロデューサーと死神さんでコントみたいです!!」

P「頼みますよ、死神さん」

死神「わ、分かってますって!」

やよい「仲良しです」

324: 2012/05/07(月) 23:34:25.13 ID:zlJFHMv00
残り時間 8時間35分

スタジオ

やよい「高槻やよいと、」

伊織「水瀬伊織の!」

やよいおり『2人はやよいおり!!』

律子「なんかやよい、いつもより気合入ってますね。まるで番組が終わっちゃうから全力を出そうって感じです」

死神「ああ、例えば病に侵された人が、テレビで最後にやよいを見たとき、手抜きのやよいじゃ失礼だろ? だから、全力なんじゃない?」

律子「良い心構えですね。竜宮にも言っておこっと。誰の言葉ですか?」

死神「偉大なる我らの先輩だよ」

律子「?」

??「やよいおりー! お前たちにひとつ物申す!!」

伊織「きゃああ! こっちくんな変態!!」

??「ドーン!」

やよい「伊織ちゃん、頑張れ~!」

325: 2012/05/07(月) 23:39:52.87 ID:KTuVlA6t0
残り時間 6時間51分

伊織「はぁ……、なんで私が芸人紛いのことをしなきゃいけないのよ……」

やよい「おつかれさま、伊織ちゃん!」

伊織「お疲れ、やよい。さっきの収録でどっと疲れたわよ……」

やよい「肩揉んであげるね」

伊織「あぁっ……、そこ……ぃぃゎ……」

律子「マッサージ中悪いけど、伊織は次の現場よ」

伊織「うげ……、結構経ってたのね。それじゃあやよい、またね」

やよい「……」

伊織「やよい?」

やよい「う、うん! またね」

やよい(ゴメンね、伊織ちゃん……)

327: 2012/05/07(月) 23:45:25.32 ID:zlJFHMv00
死神「お別れはすみました?」

やよい「はい。もう会えないと思うと淋しいけど、これ以上いたら私が死に切れそうにないから……」

死神「そっか……。そうだ、お昼取りません?」

やよい「お昼ですか?」

死神「晩餐ではないけど、最後のランチってぐらいでさ。高くてもプロデューサーが払ってくれるよ」

P「お前なぁ……」

やよい「え……、でも悪いです……」

P「気にするなって。俺だってやよいに最良の終わりを迎えて欲しいんだ。ホントは、もっと生きていて欲しいんだけどな……」

やよい「プロデューサー……」

死神「はいっ、辛気臭い話はこの辺にして……。折角だからこの辺で一番高い店行きますか!」

P「出来れば、俺の財布事情も考慮してくれよ……?」

329: 2012/05/07(月) 23:51:11.43 ID:4oqnmTwV0
残り時間 5時間37分

死神「えーと、本当にここで良いの?」

やよい「はい、十分です!」

死神「ここって、サイ○リアじゃ……」

やよい「でも私あまり入ったことないです」

死神「そうですか……。プロデューサー?」

P「やよい、本当にここで良いのか? 俺に遠慮してないか?」

やよい「してません! 私からしたらすごいごちそうです!」

P「や、やよい……」

死神「残り時間もあんまりないし、ちゃちゃっと頼んじゃいましょうか!」

やよい「はい!」

333: 2012/05/08(火) 00:06:07.19 ID:SpyZZQvn0

残り時間 4時間23分

やよい「美味しかったです!」

死神「ふぅ、この値段でこの味だからなぁ。下界は侮れないや」

死神「さて、この後はどうしますかね……」

やよい「あっ、1つ死ぬまでにやっておきたいこと、見つけました」

死神「といいますと?」

やよい「でーと、デートしてみたいです」

死神「デートか……。よし、プロデューサーさん、出番ですよ」

やよい「え? でも、プロデューサーさんが死んじゃうんじゃ……」

死神「昨日よりかは回復しているからね。なんとかやよいちゃんの最後までは持つだろう」

P「ああ、死神さんの力のおかげで、何とか持ちそうだ……」

やよい「プロデューサー! 無茶しないで……」

P「大丈夫だよ。俺、小さいころから入院しても割とすぐ復帰したし。それに、俺のプロデュースは、墓に入るまで続くんだぞ?」

やよい「もう、プロデューサー……」

335: 2012/05/08(火) 00:09:40.03 ID:SpyZZQvn0
死神(後は頼みますよ、プロデューサー)

P「頼まれたぜ」

やよい「プロデューサー、どこ行きましょう?」

P「よし、色々回るか!」

やよい「はいっ!!」


やよい「たこ焼き美味しいです!」

P「おいおい、口元に青のりついてるぞ?」

やよい「あっ、ホントです」

P「あんまりがっつくなよ? 火傷するか熱っ!!」

やよい「プロデューサーも気を付けてくださいね」

P「は、はひ……」

337: 2012/05/08(火) 00:13:55.31 ID:azU9/KAX0
とある撮影スタジオ

やよい「どうですかー?」

P「うーん、色っぽい服なんだけどなぁ……」

やよい「?」

P「素材が可愛いからあまり似合わないな。服に着られてるぞ?」

やよい「えー。じゃあこれは?」

やよい「小悪魔系か。やっぱり可愛い!」

やよい「可愛い服しか似合わないのかな……」

P「ちょっと待ってろ、すみません。ここってあれ、置いてますか?」

やよい「あれ?」

P「ああ、それですそれ」

やよい「それって……、」

P「ああ、ウェディングドレスだ!」

341: 2012/05/08(火) 00:21:08.64 ID:SpyZZQvn0
P「そして、花嫁には花婿がいないとな」

P「つうわけで僭越ながら、俺が新郎役だ」

やよい「プロデューサーと、結婚ですか?」

P「あー、嫌だったか?」

やよい「そんなことないです!」

P「おっと、そう言ってくれると助かるよ。それじゃあ着替えてくれ。スタイリストさんが綺麗にしてくれるよ」

やよい「うっうー! 嬉しいです!」

P「ふぅ、結婚できる年齢になる前に死んでしまうんだもんな……。もしそのまま育っていけば、すごく美人になってたんだろうな」

スタイリスト「新郎さん、準備できましたー!」

P「あっ、はーい! 今いきまーす!」

343: 2012/05/08(火) 00:27:42.91 ID:SpyZZQvn0
P「お、おう……」

死神(これはこれは……)

やよい「ど、どうですか?」

P「か、可愛い……。可愛すぎるよやよい!!」

やよい「本当ですか?」

P「ああ、今まで見てきた中でも最高に可愛いよ」

やよい「ぷ、プロデューサー!」

P「なんだ、やよい」

やよい「私のこと、お嫁さんに貰ってくれますか?」

P「……」

やよい「だ、ダメですか……?」

P「こちらこそ、俺をお婿さんに貰ってくれ」

やよい「プロデューサー!!」

P「その、指輪なんて洒落たものがなかったからな……。これ、さっきの店のレシートなんだけどな……」

やよい「?」

346: 2012/05/08(火) 00:32:42.93 ID:SpyZZQvn0
P「これをこうやって丸めると……」

やよい「指輪になりました」

P「ああ、なんかチープで悪いな」

やよい「安っぽくなんかないです!」

P(チープの意味分かったんだ)

やよい「私、プロデューサーから貰えて、あれ? 何で泣いているんだろ……」

P「や、やよい!? その、気に障ったか?」

やよい「嬉しくて泣いてるんですよ。プロデューサー」

P「なんだ、やよい?」

チュッ

P「え、え……」

やよい「神様ごめんなさい、誓う前にキスしちゃいました!!」

347: 2012/05/08(火) 00:37:22.58 ID:SpyZZQvn0
P「や、やよい……」

やよい「えへへ……」

死神(甘くて見てらんないですって!)

やよい「プロデューサー、私もう満足です」

P「やよい?」

やよい「アイドルのみんなには悪いけど、大好きな人と結婚できて、私幸せです」

やよい「だからもう、思い残すことはないかなーって」

P「や、やよい……」

やよい「泣かないでくださいよ。何でみんな泣いちゃうんだろ……。私だって泣きたくなっちゃうよ」

やよい「幸せなのに、寂しいかな……」

残り時間 1時間21分

349: 2012/05/08(火) 00:42:31.93 ID:L2om6yfx0
やよい「あの……、プロデューサー」

P「なんだ、やよい」

やよい「最後に……、あの丘に行きませんか?」

P「あの丘、か……。星が見える時間じゃないぞ?」

やよい「良いんです。私、死ぬなら大好きな場所で、大好きな人に看取られて死にたいから」

P「それは、責任重大だな……。良いのか、俺で。きっと俺はやよいが死んだら、何にも手に着かないぐらい悲しむぞ?」

やよい「大丈夫です。だって、私の大好きなプロデューサーですから」

P「……そっか、分かった。行こうか、やよい」

やよい「はい」

残り時間52分

350: 2012/05/08(火) 00:48:30.16
やよいは天使すなぁ

353: 2012/05/08(火) 00:51:54.28 ID:EAOW17Sh0
やよい「プロデューサー、寝転がりませんか?」

P「よっと。いたたた……」

やよい「大丈夫ですか?」

P「ああ、こっちも死神さんの力が薄まって来たのかな……、ちょっとずつ痛みが……」

死神(プロデューサー、やよいちゃんの最期を看取ったら、救急車を呼ぶんだ。プロデューサー自身も事故に遭った怪我人なんだ。
幾分か俺の力で回復したといっても、何日か入院しないといけないぞ)

P「や、やよいの最期を見届けれるのなら、何日でも入院してやるよ……」

やよい「も、もう十分です! だから救急車を……」

P「い、良いんだ、お前の感じた怖さに比べたら、こんなもの屁でも無いぞ!」

やよい「プロデューサー……」

P「なあ、最後の時までさ……、手を繋がないか?」

やよい「……はい」

355: 2012/05/08(火) 00:58:05.65 ID:L2om6yfx0
やよい「やっぱり、プロデューサーの手、安心します」

P「そうか? やよいの手だって、小さいのに体温をしっかり感じる。ずっと触れ合っていたいぐらいだよ……」

やよい「プロデューサーは、お父さんみたいに大きいです。だからかな、安心するのは……」

やよい「だからもう怖くないです。私は死んじゃうんじゃなくて、どこか皆のいない所に引っ越すだけだから……」

P「そうか、なら俺もいつかは行かないとな」

やよい「でも、長生きしてきてから来てくださいよ? そうじゃなきゃ追い返します!」

P「それは嫌だな……」

やよい「だから、出来れば来ないでほしいかなーって」

P「ははっ、どっちだよ……」

やよい「プロデューサー……」

P「なんだ?」

やよい「最後に、あれしましょう」

P「あれ、か。ああ、あれをしたら俺も元気が出そうだ」

やよい「私も怖がらずに逝けます……」

356: 2012/05/08(火) 01:04:10.45 ID:EAOW17Sh0
やよい「立てますか?」

P「ああ、何とかね……」

やよい「じゃあ、行きましょう」

やよい・P『ハイ、ターッチ!』

P「イエイ!」

やよい「……」

P「やよい?」

やよい「あり……、う……、だい……なプロ……サー」

P「やよい……」

P「馬鹿野郎……」

358: 2012/05/08(火) 01:10:30.88 ID:SpyZZQvn0
死神「すみません、○○丘なんですが……、至急お願いします! プロデューサー、体は返すよ」

P「……」

死神(救急車は呼んでおきました。全く、死神が人命救助ってどういうことだか)

P「……」

死神(だんまりですか。やよいちゃん、最後に君と過ごせて良かったんだと思う。そうでもなきゃ、いくら死に際でもあんなセリフ出ませんよ)

P「死神さん、俺……、どうしたらいいのかな……」

死神(決まってるだろ。長生きしろ、それだけです)

死神「では、またいつかどこかで……」

P「やよ……、い……」

救急隊員「お、おいあんた! 大丈夫か!? おい!!」

359: 2012/05/08(火) 01:18:45.22 ID:EAOW17Sh0
数十年後――

社長「それでは、今週の流行情報だ!! 流行は日々変わっていく! 常に注意して、目ざとく過ごしてくれ!」

アイドル『はいっ!』

新人アイドル「あのー、先輩」

先輩アイドル「なぁに?」

新人「どうして社長って、薬指にレシートで出来た指輪つけてるんですか?」

先輩「ああ、あれ? うーん、私もあまり知らないのよねぇ。小鳥のお婆さんなら知ってるかもしれないけど、お婆さんもあんまり話したがらないわね」

新人「謎ですね……。気になります!」

先輩「もしかしたら人に言えないことかもしれないし、そっとしておいてあげなよ?」

360: 2012/05/08(火) 01:20:20.60
あぁ・・・・・・

362: 2012/05/08(火) 01:25:07.95 ID:EAOW17Sh0
??「社長、今日の予定ですけど……」

社長「うむ、いつもすまないね、高槻君」

高槻「もう、私は高槻じゃ無いですよ? 中学2年の娘だっているんですから」

社長「ああ、すまないね。いつもの癖で……」

高槻「もう……」

??「こんにちわー!」

高槻「あら、弥生。どうしたの?」

弥生「えっと、社長さんいる?」

社長「うん、どうしたんだね、弥生君」

弥生「えーと……、ゴメン。お母さん少し外してもらえる?」

高槻「社長にあんまり迷惑かけないでよ?」

弥生「うん、大丈夫だよ!」

高槻「では少し外しますね」

社長「うむ、今日も助かったよ、かすみ君」

かすみ「いえいえ、失礼します」

364: 2012/05/08(火) 01:33:09.38 ID:azU9/KAX0
弥生「出て行ったね……」

社長「どうしたんだい、弥生君。今日はクラブがあるんじゃ……」

???「久しぶりです、プロデューサー!!」

社長「え?」

弥生「その……、言っても信じて貰えるか分からないんですけど……」

???「プロデューサー、私こういうものです――」

社長「そうか……、そうなんだな……。そろそろ社長も長介君に譲らないとな……」

???「えっと、その……。言いにくいんですけど……」

社長「分かっているよ……。どうやら私も、引っ越す時が来たみたいだ――


P「おかえり、やよい」

やよい「ただいま、プロデューサー!」


世にも
奇妙な
アイドルマスター

367: 2012/05/08(火) 01:36:30.85 ID:azU9/KAX0
P「死と言うのは、怖いものです。ですが、それは新たな旅立ちであるともいえます」

P「運命を変えることが出来なくても、クルクルと回る世界で、いつか会えることが出来るのですから」

P「この2人がどうなったか? それは皆様のご想像にお任せします」

368: 2012/05/08(火) 01:36:43.02

370: 2012/05/08(火) 01:38:02.79
あぁ、そういうことか

374: 2012/05/08(火) 01:44:12.28 ID:azU9/KAX0
エピローグ

P「さて、今私の目の前には、15もの扉があります」

P「パラレルワールド、と言えばいいでしょうか? このどれを選んでも、奇妙な運命に翻弄されます」

P「ある時は、巨乳主義の変態、ある時は迷子探しの鉄人、ある時は芸能事務所の社長、ある時は偏愛主義者」

P「どの扉が、どの私に繋がっているかは分かりません。もしかしたら、私がいない世界にたどり着くかもしれません」

P「奇妙な世界への入り口、それはあなたの部屋のドアなのかもしれませんよ?」

P「おや、まだ1つ開いていないドアがありますね。入ってみましょうか。果たして、どこへ出るのやら……」

P「では、またいつかどこかでお会いしましょう」

ガチャ

??「ようこそ、765プロへ!!」


世にも
奇妙な
アイドルマスター

377: 2012/05/08(火) 01:46:16.59
乙!

378: 2012/05/08(火) 01:46:31.73
もう終わりか。
にしてもやよいは良かった、本当に
乙!

379: 2012/05/08(火) 01:47:02.66
これはやよいが生まれ変わったで良いのかな?

381: 2012/05/08(火) 01:48:29.26
>>379
死神として迎えにきたんじゃねえの?

384: 2012/05/08(火) 01:53:04.51
>>379
やよいが死神に就職してP社長にお迎えが来たってことじゃないかね

386: 2012/05/08(火) 01:55:12.30 ID:EAOW17Sh0

387: 2012/05/08(火) 01:58:46.02 ID:EAOW17Sh0
これで世にも奇妙なアイドルマスターをすべて終わらせました。キャラによって出来不出来が激しかったり、手抜きが有ったりと非常に申し訳ございませんでした。
数日にわたって何度もスレを立て、ようやく制覇しました。今まで見てくださった方々、支援、保守してくださった方、
未来同窓会の作者の方、お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
また世にものシーズンになれば、876とかも書いてみたいと思っています。
では、またいつかどこかで。

388: 2012/05/08(火) 01:58:59.72
全部読んだよ  お疲れ様でした

引用元: P「世にも奇妙なアイドルマスター」