1:2020/05/04(月) 22:30:22
女上司「終電の発車を確認しました」ピピピ…
男「あー、行っちゃったか……」
女上司「直ちに部下誘導モードへ移行します」
男「え……え!? 誘導……!?」
女上司「始発は5:50予定、私についてくることをお勧めいたします」
男「いや、適当に漫喫とかに行くんで……」
女上司「漫画喫茶では体力の十分な回復は図れません。健康を損なう恐れがあります。さらに……」
男「わ、分かりました……ついていきます!」
男「あー、行っちゃったか……」
女上司「直ちに部下誘導モードへ移行します」
男「え……え!? 誘導……!?」
女上司「始発は5:50予定、私についてくることをお勧めいたします」
男「いや、適当に漫喫とかに行くんで……」
女上司「漫画喫茶では体力の十分な回復は図れません。健康を損なう恐れがあります。さらに……」
男「わ、分かりました……ついていきます!」
7:2020/05/04(月) 22:33:58
女上司「タクシー乗り場まで徒歩で向かいます」
女上司「3分20秒かかる見込みです」
男「はい……」
男(前々から思ってたけど……課長ってロボっぽいよなぁ)
男「あの……」
女上司「質問を受け付けます」
男「もしかして、課長ってロボットじゃありませんか?」
女上司「ロボットではなく、課長です」
男「いや、課長兼ロボじゃないかって聞いてるんですけど」
女上司「移動を開始します」ウイーン
女上司「3分20秒かかる見込みです」
男「はい……」
男(前々から思ってたけど……課長ってロボっぽいよなぁ)
男「あの……」
女上司「質問を受け付けます」
男「もしかして、課長ってロボットじゃありませんか?」
女上司「ロボットではなく、課長です」
男「いや、課長兼ロボじゃないかって聞いてるんですけど」
女上司「移動を開始します」ウイーン
11:2020/05/04(月) 22:36:33
DQN「へっへっへ……」
不良「いーけないんだ、いけないんだ。こんな夜中に外うろついて」
男「!」
女上司「男性二名を確認しました。両者とも20歳前後と見られます」
男「見れば分かりますよ!」
DQN「俺たち、善意で夜のパトロールしててさ。不審者からは罰金もらうことにしてんの」
不良「罰金いただきまーす。財布出してくださーい」
女上司「虚偽の確率、95%」
男「100%ウソですよ、こんなの!」
不良「いーけないんだ、いけないんだ。こんな夜中に外うろついて」
男「!」
女上司「男性二名を確認しました。両者とも20歳前後と見られます」
男「見れば分かりますよ!」
DQN「俺たち、善意で夜のパトロールしててさ。不審者からは罰金もらうことにしてんの」
不良「罰金いただきまーす。財布出してくださーい」
女上司「虚偽の確率、95%」
男「100%ウソですよ、こんなの!」
13:2020/05/04(月) 22:39:10
DQN「グダグダいってねえで、とっとと財布出せや!」ガシッ
男「わわっ!」
女上司「部下への攻撃を確認。戦闘モードへ移行します」
男「戦闘モード……?」
女上司「発射」シュボッ
ドゴォッ!
DQN「ぶげぁっ!」
男「ロケットパンチィ!?」
男「わわっ!」
女上司「部下への攻撃を確認。戦闘モードへ移行します」
男「戦闘モード……?」
女上司「発射」シュボッ
ドゴォッ!
DQN「ぶげぁっ!」
男「ロケットパンチィ!?」
15:2020/05/04(月) 22:41:49
強い
16:2020/05/04(月) 22:42:26
不良「てめえ!」バチバチッ
男「ス、スタンガン!」
不良「喰らえッ!」バチバチバチッ
女上司「ガガガ……大きくダメージを受けました……。損傷率22%……」プスプス…
男「あ、やっぱり電気に弱いんだ!」
男(って、納得してる場合じゃない。俺も戦わないと!)
男「だりゃあっ!」ドンッ!
不良「いでっ!」
男「ス、スタンガン!」
不良「喰らえッ!」バチバチバチッ
女上司「ガガガ……大きくダメージを受けました……。損傷率22%……」プスプス…
男「あ、やっぱり電気に弱いんだ!」
男(って、納得してる場合じゃない。俺も戦わないと!)
男「だりゃあっ!」ドンッ!
不良「いでっ!」
17:2020/05/04(月) 22:45:06
不良「この野郎……感電したいかァ!」グオッ
男「わ……わわっ!」
女上司「アイビーム発射」ビッ!
ボォォォォォン!
不良「ぎゃああああああああ!!!」
プスプス…
男「え、と……やりすぎなんじゃ……」
女上司「殺傷力は抑えました。標的の生体反応を確認」
男「生きてるならいいですけど……」
男「わ……わわっ!」
女上司「アイビーム発射」ビッ!
ボォォォォォン!
不良「ぎゃああああああああ!!!」
プスプス…
男「え、と……やりすぎなんじゃ……」
女上司「殺傷力は抑えました。標的の生体反応を確認」
男「生きてるならいいですけど……」
18:2020/05/04(月) 22:48:11
男「お、タクシーがありますね」
ガチャッ
運転手「どちらまで?」
女上司「研究所までお願いします」
男「研究所って……やっぱりロボじゃないですか!」
女上司「ロボチガウ、ロボチガウ」
男「もう絶対ロボじゃないですか! ていうか、ロケットパンチの時点でアウトです!」
ガチャッ
運転手「どちらまで?」
女上司「研究所までお願いします」
男「研究所って……やっぱりロボじゃないですか!」
女上司「ロボチガウ、ロボチガウ」
男「もう絶対ロボじゃないですか! ていうか、ロケットパンチの時点でアウトです!」
19:2020/05/04(月) 22:51:32
ブロロロロ… キキッ
運転手「到着しました」
女上司「代金を支払います」ウイーン
男「どっからお金出してんですか」
女上司「研究所へ案内します」
男「はい……」
男(うわっ、漫画に出てくるような、一目で研究所って分かる研究所!)
運転手「到着しました」
女上司「代金を支払います」ウイーン
男「どっからお金出してんですか」
女上司「研究所へ案内します」
男「はい……」
男(うわっ、漫画に出てくるような、一目で研究所って分かる研究所!)
22:2020/05/04(月) 22:55:19
スタスタ…
男(色々な設備がある……)
男(ロボットだけじゃなく、生き物全般の研究をしてるって感じなんだな)
女上司「マスターを紹介します」
男「マスター? ああ、課長を作った人ですか」
男(どんな人だろう? やっぱり漫画に出てくるような、年取った博士が……)
男(色々な設備がある……)
男(ロボットだけじゃなく、生き物全般の研究をしてるって感じなんだな)
女上司「マスターを紹介します」
男「マスター? ああ、課長を作った人ですか」
男(どんな人だろう? やっぱり漫画に出てくるような、年取った博士が……)
23:2020/05/04(月) 22:58:40
女上司「マスター、部下を連れてきました」
女博士「ようこそ、私の研究所へ」
男「……!」
男(女性だった……! しかも、かなり美人!)
男(白衣を着てて、年齢不詳って感じだけど……なぜだか親しみも覚える)
女上司「私は充電モードに移行します」
女博士「ああ、ご苦労だった」
男「もうロボっての隠すつもりないですね」
女博士「ようこそ、私の研究所へ」
男「……!」
男(女性だった……! しかも、かなり美人!)
男(白衣を着てて、年齢不詳って感じだけど……なぜだか親しみも覚える)
女上司「私は充電モードに移行します」
女博士「ああ、ご苦労だった」
男「もうロボっての隠すつもりないですね」
25:2020/05/04(月) 23:01:18
女博士「コーヒーだ」
男「あ、どうも、いただきます」
女博士「さっきの彼女……課長はどうだ? ちゃんと上司をやっているか?」
男(やっぱり……自分の作品の出来栄えが気になるんだな)
男「とても優秀で、指示も的確ですし、もちろんミスもしませんし……」
男「さっきもチンピラみたいな連中から助けてもらって……」
女博士「ふふっ、そうかそうか。製作した甲斐があったというものだ」
男「あ、どうも、いただきます」
女博士「さっきの彼女……課長はどうだ? ちゃんと上司をやっているか?」
男(やっぱり……自分の作品の出来栄えが気になるんだな)
男「とても優秀で、指示も的確ですし、もちろんミスもしませんし……」
男「さっきもチンピラみたいな連中から助けてもらって……」
女博士「ふふっ、そうかそうか。製作した甲斐があったというものだ」
26:2020/05/04(月) 23:04:24
女博士「仕事はどうだ?」
男「仕事……? そうですねえ。課長のおかげで……」
女博士「彼女のことは今はいい。君の話を聞きたいんだ」
男「え、あ、すみません」
男(今度は課長がちゃんと部下を育てられてるかどうか、チェックしたいのかな)
男「今は営業をやってるんですけど、無茶な要求をしてくるお客が多くて……」
女博士「なるほど」
……
……
男「仕事……? そうですねえ。課長のおかげで……」
女博士「彼女のことは今はいい。君の話を聞きたいんだ」
男「え、あ、すみません」
男(今度は課長がちゃんと部下を育てられてるかどうか、チェックしたいのかな)
男「今は営業をやってるんですけど、無茶な要求をしてくるお客が多くて……」
女博士「なるほど」
……
……
27:2020/05/04(月) 23:07:24.444 ID:Lk9Jwg3b0.net
男「……とまぁ、こんな感じです」
女博士「ありがとう」
男(終始ニコニコしながら話を聞いてたな……とりあえず、悪い印象は持たれてなさそうだ)
男「今度は、俺からも質問いいですか?」
女博士「どうぞ」
男「あなたは……どういう研究をなされているんですか?」
女博士「色々やっているが、やはり一番は“人を造る”という研究だ」
男(やっぱり……)
女博士「ありがとう」
男(終始ニコニコしながら話を聞いてたな……とりあえず、悪い印象は持たれてなさそうだ)
男「今度は、俺からも質問いいですか?」
女博士「どうぞ」
男「あなたは……どういう研究をなされているんですか?」
女博士「色々やっているが、やはり一番は“人を造る”という研究だ」
男(やっぱり……)
28:2020/05/04(月) 23:10:16.820 ID:Lk9Jwg3b0.net
女博士「自ら設計し、自ら材料を集め、自らの手で組み立て」
女博士「男女の交尾から産まれた通常の人間と、なんら遜色のない人間を造りたいと思ったのだ」
男「……!」
女博士「神の領域を侵す研究……だが、私はどうしてもやり遂げたかった」
女博士「そのために、あらゆる学問を研究した。労力を惜しまなかった」
男「ロボット工学も、ですか?」
女博士「もちろんだ」
男(その結果……生まれたのが課長ってわけか)
女博士「男女の交尾から産まれた通常の人間と、なんら遜色のない人間を造りたいと思ったのだ」
男「……!」
女博士「神の領域を侵す研究……だが、私はどうしてもやり遂げたかった」
女博士「そのために、あらゆる学問を研究した。労力を惜しまなかった」
男「ロボット工学も、ですか?」
女博士「もちろんだ」
男(その結果……生まれたのが課長ってわけか)
30:2020/05/04(月) 23:14:40
男「今はどういう段階なんです?」
女博士「社会生活に必要な環境や記憶、知識を与え、社会勉強をさせている」
女博士「どう育っていくかは、あとは本人次第というところだな」
男「それで会社勤めをさせてるわけですか」
男「研究に点数をつけるとするなら……何点でしょう?」
女博士「むろん、100点満点だ!」
男「……」
男(あんな露骨にロボっぽい課長で100点か……まあ言わないでおこう)
女博士「社会生活に必要な環境や記憶、知識を与え、社会勉強をさせている」
女博士「どう育っていくかは、あとは本人次第というところだな」
男「それで会社勤めをさせてるわけですか」
男「研究に点数をつけるとするなら……何点でしょう?」
女博士「むろん、100点満点だ!」
男「……」
男(あんな露骨にロボっぽい課長で100点か……まあ言わないでおこう)
32:2020/05/04(月) 23:17:26
男「なにか最終的な目標とかってあるんですか?」
女博士「特にない」
男「え、ないんですか。例えば、“こういうことをさせたい”とか……」
女博士「私は人を造ったのだ。つまり、それは我が子も同然……」
女博士「我が子を“こういうことをさせるために産む”という親はいまい?」
男「そ、そうですね……」
男(まあ、実際には結構いそうな気もするけど。後継ぎにするとか、自分の叶えられなかった夢を叶えさせるとか)
女博士「元気に暮らしてくれればそれでいいんだ」
男(まるで母親みたいな表情だ……)
女博士「特にない」
男「え、ないんですか。例えば、“こういうことをさせたい”とか……」
女博士「私は人を造ったのだ。つまり、それは我が子も同然……」
女博士「我が子を“こういうことをさせるために産む”という親はいまい?」
男「そ、そうですね……」
男(まあ、実際には結構いそうな気もするけど。後継ぎにするとか、自分の叶えられなかった夢を叶えさせるとか)
女博士「元気に暮らしてくれればそれでいいんだ」
男(まるで母親みたいな表情だ……)
35:2020/05/04(月) 23:20:30
女博士「おっと、もうこんな時間か。向こうに客室がある。そこで眠ってくれ」
男「は、はい」
女上司「マスター、私は充電完了しました。100%です」
女博士「そうか、では私を手伝ってくれ」
女博士「他の研究所から依頼された実験をこなさねばならないのでな」
女上司「分かりました」
男(課長は寝なくてもいいんだな。そりゃそうか、ロボットなんだから)
男「は、はい」
女上司「マスター、私は充電完了しました。100%です」
女博士「そうか、では私を手伝ってくれ」
女博士「他の研究所から依頼された実験をこなさねばならないのでな」
女上司「分かりました」
男(課長は寝なくてもいいんだな。そりゃそうか、ロボットなんだから)
38:2020/05/04(月) 23:23:45
朝になり――
男「おはようございます」
女博士「おはよう」
女上司「おはようございます」
女博士「朝食を用意してくれ」
女上司「分かりました。調理モードへ移行します」
男「調理モードなんてのもあるんですね」
男「おはようございます」
女博士「おはよう」
女上司「おはようございます」
女博士「朝食を用意してくれ」
女上司「分かりました。調理モードへ移行します」
男「調理モードなんてのもあるんですね」
39:2020/05/04(月) 23:26:23.236 ID:Lk9Jwg3b0.net
男「朝食までご馳走になって……どうもありがとうございました」
女博士「ああ、気をつけてな」
男「ところで……近くに来たら、またここに来てもいいですか?」
男「あなたにはなんかこう、不思議と親しみのようなものを感じてしまって……」
女博士「……ああ、いつでも来てくれ」
女上司「では私が近くの駅までお送りします」
女博士「ああ、気をつけてな」
男「ところで……近くに来たら、またここに来てもいいですか?」
男「あなたにはなんかこう、不思議と親しみのようなものを感じてしまって……」
女博士「……ああ、いつでも来てくれ」
女上司「では私が近くの駅までお送りします」
40:2020/05/04(月) 23:29:23
女上司「部下の帰宅を確認しました」
女博士「ご苦労だった」
女博士「これからも……あの子をよろしく頼む。上司として、あの子を成長させ、見守ってあげてくれ」
女博士「あの子は……大切な“我が子”だからな」
女上司「承知しました、マスター」
― 完 ―
女博士「ご苦労だった」
女博士「これからも……あの子をよろしく頼む。上司として、あの子を成長させ、見守ってあげてくれ」
女博士「あの子は……大切な“我が子”だからな」
女上司「承知しました、マスター」
― 完 ―
41:2020/05/04(月) 23:31:28
星新一みたいなオチイイね
43:2020/05/04(月) 23:34:00
ロボットか人間かどっちだ
44:2020/05/04(月) 23:37:00
ロボットだろう
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1588599022
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