1: 2015/11/24(火) 22:33:57.474 ID:6P6qMyb70.net
シンジ「聞いてる? 父さん」

ゲンドウ「・・・・・・何がだ」

シンジ「だから、『毛虫』なんてどうかなって言ってるの」

ゲンドウ「だから、何がだ」

シンジ「父さんのあだ名だよ」

ゲンドウ「」

7: 2015/11/24(火) 22:36:06.951 ID:6P6qMyb70.net
シンジ「父さんって部下に嫌われてるでしょ?」 

ゲンドウ「・・・・・・」

シンジ「だからあだ名の一つも考えてあげようと思って一生懸命考えたんだよ」

ゲンドウ「・・・・・・」

シンジ「ぴったりだと思わない? 毛むくじゃらのところとか、みんなに嫌われてるところとか

そっくりじゃない」

ゲンドウ「帰れ」

シンジ「正に名は体を表すってやつだよね。あ、この場合は逆か。ハハハ」

ゲンドウ「帰れ!」

シンジ「他にも色々考えたんだよ? ヒゲロマンでしょ、ゲンドウ豆でしょ」


12: 2015/11/24(火) 22:42:36.625 ID:6P6qMyb70.net

ゲンドウ「シンジ。お前は私を怒らせたいのか?」

シンジ「何言ってるんだよ父さん! 僕は父さんのことを思ってやってるのに!」

シンジ「あ、間違っちゃった。父さんって言っちゃったよw」

シンジ「僕から率先して呼んでいかないとみんなに浸透しないもんね。気を付けなきゃ」

ゲンドウ「頼むもう帰ってくれ」

シンジ「というわけで毛虫もちゃんと僕が『毛虫』って呼んだら返事してよね」

ゲンドウ「・・・・・・断る」

シンジ「なんだよ! 毛虫の分からず屋! もう知らない!」ダダッ





ゲンドウ「・・・・・・育て方を間違えてしまった・・・・・・」

14: 2015/11/24(火) 22:47:31.306 ID:6P6qMyb70.net
――翌日――

ゲンドウ(昨日のシンジのあの言動はいったい何だったんだ)

ゲンドウ(嫌がらせにしてもあいつらしくない)

リツコ「・・・・・・司令」

ゲンドウ(やはり私はシンジに嫌われているのだろうか・・・・・・)

リツコ「・・・司令!」

ゲンドウ「! 赤城博士か」

リツコ「何か考え事ですか? ケム司令」

ゲンドウ「!!!」

16: 2015/11/24(火) 22:51:30.601 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「赤城博士。今なんと?」

リツコ「何か考え事ですか? と申し上げたんですわ」

ゲンドウ「いやその後だ」

リツコ「ケム司令?」

ゲンドウ「」

17: 2015/11/24(火) 22:51:47.383 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「赤城博士、何故私をそう呼ぶ」

リツコ「昨日シンジ君が私のところに来て、ケム司令のことはこれからそう呼んでほしいと」

リツコ「ケム司令のためだから是非お願いしますと言ってきたんですわ」

リツコ「他の職員にも言って回ってるようです」

ゲンドウ(悪夢だ・・・・・・)

18: 2015/11/24(火) 22:53:47.541 ID:6P6qMyb70.net
ミサト「ケム司令、例の件で報告に伺いました」

ゲンドウ「・・・・・・」



加持「どうも、ケム司令」

ゲンドウ「・・・・・・」



青葉「ケム司令、おはようございます」

ゲンドウ「・・・・・・」



日向「ケム司令。お疲れ様です」

ゲンドウ「・・・・・・」



アスカ「あ、ケム司令だ」

ゲンドウ「・・・・・・」

19: 2015/11/24(火) 22:55:53.354 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「・・・・・・」

ゲンドウ「クソ! 葛城三佐や赤城博士のみならず、末端のオペレーターやパイロットまで・・・・・・」

ゲンドウ「なんという屈辱だ!」

冬月「どうした毛虫。いつになく不機嫌だな」

ゲンドウ「冬月・・・・・・ お前もか」

20: 2015/11/24(火) 22:59:57.578 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「なあ冬月。私はそんなに嫌われ者か?」

冬月「ああ、お前は嫌われとるよ。俺もお前に会ったころは初対面から最悪の印象だった」

ゲンドウ「・・・・・・」

冬月「だがそれを息子が気遣ってくれたんじゃないか。喜べ、毛虫」

ゲンドウ「これが喜べるか」

21: 2015/11/24(火) 23:00:58.654 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「冬月・・・・・・ お前から職員に私を変な名で呼ばないよう通達してくれないか?」

冬月「そんなに嫌ならお前が自分で言えばよかろう」

ゲンドウ「そんな屈辱的なことができるか」

冬月「今更何を言う。第一お前こそ私を呼び捨てじゃないか」

ゲンドウ「冬月先生、それこそ今更です」

冬月「お前こそ今更そんなしゃべり方をしても遅いぞ」

22: 2015/11/24(火) 23:02:52.520 ID:6P6qMyb70.net
冬月「まあ聞け毛虫」

冬月「確かにお前は一般職員との接触が少なすぎる」

ゲンドウ「私は多忙なのだ」

冬月「そんなだからいかんのだ。この機会に少しは職員との親睦を深めろ」

ゲンドウ「今更・・・・・・」

冬月「話は終わりだ。息子の為にもしっかりしろよ、毛虫」

23: 2015/11/24(火) 23:03:38.687 ID:6P6qMyb70.net
――3日後――



ミサト「ケム司令~、ちょっちいっすか~~~」

ゲンドウ「・・・・・・」



青葉「ケム司令、おはざーす」

ゲンドウ「・・・・・・」



日向「ケム司令ー。おつかれちゃ~ん」

ゲンドウ「・・・・・・」



アスカ「あ、毛虫だwww キンモッwwwwwww」

ゲンドウ「・・・・・・」

25: 2015/11/24(火) 23:06:42.490 ID:6P6qMyb70.net
冬月「毛虫、どうやらなかなか職員と打ち解けてきたようだな」

ゲンドウ「お前にはそう見えるのか」

ゲンドウ「私には完全に馬鹿にされているようにしか感じない」

冬月「気のせいだろう、毛虫」

冬月「お前もそろそろ心を開け」

冬月「毛虫の着ぐるみでも着て来れば受けるんじゃないか?」

ゲンドウ「」


日向「ケム司令ー。おつかれちゃ~ん」

ゲンドウ「・・・・・・」



アスカ「あ、毛虫だwww キンモッwwwwwww」

ゲンドウ「・・・・・・」

27: 2015/11/24(火) 23:08:07.092 ID:6P6qMyb70.net
またミスってしまった




冬月「毛虫、どうやらなかなか職員と打ち解けてきたようだな」

ゲンドウ「お前にはそう見えるのか」

ゲンドウ「私には完全に馬鹿にされているようにしか感じない」

冬月「気のせいだろう、毛虫」

冬月「お前もそろそろ心を開け」

冬月「毛虫の着ぐるみでも着て来れば受けるんじゃないか?」

ゲンドウ「」

30: 2015/11/24(火) 23:11:27.647 ID:6P6qMyb70.net
ゲンドウ「クソッ シンジめ!」

ゲンドウ「こうなっては奴に直接言って辞めさせるしかあるまい」

ゲンドウ「だが先日の調子だと素直に聞くとはとても思えん」

ゲンドウ「どうすればいいのだ・・・・・・」

レイ「碇司令」

ゲンドウ「! レイ!」

ゲンドウ「レイ! お前今なんと・・・・・・!」

レイ「碇司令、とても困っているんですね」

ゲンドウ「おお・・・・・・! レイ! もう一度、もう一度呼んでくれ!」

レイ「碇司令」

ゲンドウ「ああ・・・・・・レイ、私にはもうお前しかいない」

32: 2015/11/24(火) 23:16:14.489 ID:6P6qMyb70.net
レイ「碇司令、ケム司令と呼ばれて、とても嫌がっている」

レイ「私も碇司令がケム司令と呼ばれるのは、嫌」

ゲンドウ「おお、レイ・・・・・・ 私のために・・・・・・」

レイ「碇君に、もう碇司令のことをケム司令と呼ばないように一緒に言いに行きましょう」

ゲンドウ「レイ、すまない・・・」

34: 2015/11/24(火) 23:16:36.180 ID:6P6qMyb70.net
シンジ「はぁ~、だいぶ父さんのことを毛虫って呼んでもらうのも浸透してきたな」

シンジ「でも綾波だけは呼んでくれないんだよなあ」

シンジ「ようし、今日こそは呼んでもらうぞ!」

レイ「碇君」

ゲンドウ「・・・・・・シンジ」

シンジ「あ、綾波に毛虫。ちょうど良かった!」

シンジ「綾波に今日こそ絶対に聞いてもらいたいことがあるんだ」

レイ「そう、私も碇君に聞いてもらいたいことがある」

ゲンドウ「そうだシンジ、よく聞け」

35: 2015/11/24(火) 23:18:18.113 ID:6P6qMyb70.net
レイ「碇君、碇司令を毛虫と呼ぶのは、もうやめて」

ゲンドウ「レイの言う通りだ、シンジ」

シンジ「なんでだよ綾波! これは毛虫のためなんだよ!」

レイ「かわいそう」

ゲンドウ「レイの言う通りだ」

シンジ「そんなこと言うなよ、綾波。毛虫は全然かわいそうなんかじゃないよ?」

シンジ「現にみんなと仲良くなれるように始めたけど、今結果が出てるじゃないか!」

ゲンドウ「私はかわいそうだ」

シンジ「毛虫は黙っててよ!」

ゲンドウ「」

37: 2015/11/24(火) 23:20:56.500 ID:6P6qMyb70.net
レイ「碇君、お願い」

シンジ「だめだよ綾波、これだけは譲れない」

シンジ「お願いだ綾波、毛虫のことをケム司令って呼んでよ!」

レイ「嫌」

シンジ「なんでだよ! そこまで言うなら理由を聞かせてよ!」

レイ「・・・・・・」

シンジ「綾波・・・・・・」

レイ「ケム司令、ケム司令って、『毛虫レイ』に聞こえて私のことを言われてるみたいですごく嫌なの」

ゲンドウ「」

シンジ「」

38: 2015/11/24(火) 23:27:09.671 ID:6P6qMyb70.net
レイ「だからお願い。碇司令を毛虫と呼ぶのは、もうやめて」

レイ「みんなにも、やめさせて」

ゲンドウ「・・・・・・レイ?」

シンジ「なんだ、そういうことだったのか、綾波」

シンジ「ごめんよ綾波。綾波の気持ちも考えないでひどいことをしちゃったね」

シンジ「みんなにももうやめてもらえるように言っておくよ」

レイ「わかってもらえて、うれしいわ」

ゲンドウ「・・・・・・」

39: 2015/11/24(火) 23:35:08.069 ID:6P6qMyb70.net
シンジ「それじゃあ、新しいあだ名を考えないとなぁ」

レイ「変態ヒゲ男爵は?」

ゲンドウ「」

シンジ「う~ん、的確に表現してはいるけど、ちょっと長すぎるかなあ」

レイ「男性ホルモンの暴走」

シンジ「綾波センスあるなぁ。でもちょっとあだ名っていうより二つ名みたいだね」

レイ「ニセマンダム」

シンジ「それいいね! なんかよくわかんないけどすごい感じ悪くていいね!」

ゲンドウ「」

41: 2015/11/24(火) 23:38:28.540 ID:6P6qMyb70.net
シンジ「こりゃあ、僕一人で考えるよりもみんなで考えるのもよさそうだな」

シンジ「ちょっとリツコさんに協力してもらってネルフで公募かけようか」

レイ「いい考えだわ」

ゲンドウ「」

シンジ「というわけだから、もうちょっと待っててね、父さん」

シンジ「絶対父さんにぴったりなあだ名考えてあげるから!」

ゲンドウ「いっそ死にたい」







おわり

42: 2015/11/24(火) 23:39:26.496
アスカが何気にひどい

43: 2015/11/24(火) 23:47:27.223
乙!