1: 2011/05/03(火) 11:41:03.15 ID:I23C9A070
まどか「さやかちゃんこう言ってたよね。まどかはあたしの嫁になるのだー、って」

さやか「そんなこと言った覚えはあるけど……」

まどか「私その言葉を信じてたのに!」

さやか「いや、あんなの冗談に決まってんじゃん。まどかも分かっててからかってるんでしょ?」

まどか「冗談?」

さやか「そうそう」

まどか「ひどい!」

さやか「へっ?」

まどか「さやかちゃんは私の気持ちをもてあそんだんだね!」

さやか「ええーっ……」

3: 2011/05/03(火) 11:47:22.31 ID:I23C9A070
まどか「考え直そうよさやかちゃん」

さやか「考え直すって、何をさ」

まどか「私との関係。今ならまだ許してあげるよ」

さやか「許すも何も……。あたしとまどかは親友、それ以上でも以下でもないよ」

まどか「なんで!?」

さやか「なんでって言われても……。普通に考えて、同姓でそれ以上にはならないでしょ」

まどか「そんなことないよ!」

さやか「そんなことあるだろ」

まどか「ちょっと他の人に意見を聞いてみよう!」

さやか「あーもう、そうしてそうして。そうすりゃまどかの言ってることがおかしいってわかるから」

7: 2011/05/03(火) 11:54:05.86 ID:I23C9A070
まどか「あ、ちょうどいいところにいた。ほむらちゃーん!」

ほむら「なにか用かしら」

まどか「1つ聞きたいことがあるの」

ほむら「聞きたいこと?」

まどか「女の子同士で付き合うのってありだと思う?」

ほむら「ぶううううっ!?」

まどか「わっ、よだれ!? ばっちい」

ほむら「……ごめんなさい。あまりに唐突な質問だったものだから、つい」

まどか「それで、質問の答えは?」

ほむら「そうね。当人同士の気持ちが通じ合ってさえいればいいのではないかしら」

まどか「そうだよね! ありがとうほむらちゃん、参考になったよ!」

ほむら「ええ。と、ところでまどか……、その質問にはどういう意図が……」

ほむら(って、もういない……。そんなに早く行かないでも)

9: 2011/05/03(火) 11:58:09.23 ID:I23C9A070
まどか「という訳で! 街頭インタビューの結果、なんと100%の人が
       女どうしで付き合うのはありだと答えました!」

さやか「うっそぉ!?」

まどか「本当だよ!」

まどか(まあ100%といっても1人中1人でしかないんだけど)

まどか「ね、これでさやかちゃんも考え直してくれた?」

さやか「いやいや、そう言われてもなぁ……」

11: 2011/05/03(火) 12:03:23.66 ID:I23C9A070
まどか「もしかしてさやかちゃん、私のこと嫌いなの……?」

さやか「嫌いなわけないじゃん! まどかはいい子だし、
      面と向かって言うのは恥ずかしいけど……、親友やれてよかったと思ってるよ」

まどか「本当に!?」

さやか「もちろん!」

まどか「わーい! じゃ、そこからもう一歩ステップアップするというのは」

さやか「それは話が別」

まどか「なんで!?」

さやか「だからなんでも!」

13: 2011/05/03(火) 12:11:37.52 ID:I23C9A070
まどか「さやかちゃん」

さやか「何さ」

まどか「私のちっちゃい頃の夢、覚えてる?」

さやか「夢?」

まどか「うん。小学生の頃の夢」

さやか「えーっと……」

まどか「ほらー。おままごとしてる時に言った。もう忘れちゃったかな」

さやか「ああ、もしかしてあれ? あたしが父親役で、まどかが母親役やってる時に言った」

まどか「そうそう! 本当にこんな生活送れたらいいのにー、って」

さやか「まさかアンタあれ本気で言ってたの!?」

まどか「うん。だってそんな生活が送れたら素敵だなって心から思ったんだもん」

14: 2011/05/03(火) 12:17:54.34 ID:I23C9A070
まどか「だからね……。まどかはあたしの嫁になるのだー、って言われた時は、
      私本当にうれしかったんだよ」

さやか「そ、そうなんだ……」

まどか「うん」

さやか「でもなー。やっぱりあたしには、まどかと付き合うってのがピンとこないっつーか」

まどか「そんな実感は後からついてくるよ!」

さやか「そうかなあ」

まどか「そうだよそうだよ!」

さやか「うーん……」

まどか「ね! 付き合おうよ!」

さやか「……ごめん、やっぱ無理」

20: 2011/05/03(火) 12:25:48.13 ID:I23C9A070
まどか「どうして?」

さやか「本当のこと言うとね。あたし、好きな奴がいるのよ」

まどか「もしかして私?」

さやか「話の流れ的にそれは違うでしょうが!」

まどか「あはははは……、そっか」

さやか「その、好きな奴ってのは、中学に入る前からの知り合いで」

まどか「ねえ、それやっぱり私じゃない!?」

さやか「だから違うっての!」

まどか「だよねぇ……、えへへ」

25: 2011/05/03(火) 12:35:55.75 ID:I23C9A070
さやか「もうハッキリ言っちゃうと、あたしは……、恭介のことが好きなのよ!」

まどか「そっ、かぁ……」

さやか「だからアンタとは付き合えない」

まどか「そうだね……。好きな人が他にいるなら、付き合うなんて無理、だよね……」

さやか「ごめん」

まどか「ううん、いいの。私、さやかちゃんのこと応援、し、て……、応援……う、うあぁ……」

さやか「まどか」

まどか「ごめんねぇ……、こんな、泣かれたりしたら、困っちゃうよね……」

さやか「……あたしが、男だったらさ」

まどか「うん……」

さやか「きっとあんたのこと」

まどか「そっか……」

30: 2011/05/03(火) 12:43:06.35 ID:I23C9A070
――――


数日後




さやか「仁美に恭介をとられちゃうよ……」

まどか「……」

さやか「でも私、何もできない。だって私もう死んでるもん。ゾンビだもん。
      こんな身体で抱きしめてなんて言えない。キスしてなんて―――」

まどか「できるよ」

さやか「えっ……」

まどか「キス、できるよ!」

さやか「まどか……?」

まどか「しよう、キス」

38: 2011/05/03(火) 12:50:07.21 ID:I23C9A070
さやか「でも、だってあたし……」

まどか「私はさやかちゃんが好き。今でも傍にいたいと思ってる。
      こんな弱ったところに付け込むみたいな形で嫌だけど……」

さやか「……」

まどか「さやかちゃんはゾンビなんかじゃないって、証明するよ」

さやか「まどか……」

まどか「だからキスしよう」

さやか「……うん」








ほむら(ぐぬぬぬ……)

杏子(くうううう……)

マミ(2人とも抑えて、抑えて!)

44: 2011/05/03(火) 12:57:00.45 ID:I23C9A070
まどか「緊張するね……」

さやか「そうだね。なんだか、まどかがまどかじゃないみたい」

まどか「あはは。少しは意識してもらえるようになったのかな……、嬉しいな」

さやか「……少しどころじゃないよ」

まどか「えっ?」

さやか「なんでも。さ、キスしちゃおう」

まどか「うん」







杏子(わああああああっ! やっぱ無理! 駄目駄目駄目!)

ほむら(同感よ、杏子。今すぐ阻止―――!? り、リボンで拘束された!?)

マミ(きちんと見守ってあげましょう)

杏子(嫌だぁー! 放せー!)

ほむら(あ、ああっ、な、なんてこと……。まっ、まどかが……、き、キスだなんて……)

48: 2011/05/03(火) 13:03:47.02 ID:I23C9A070
さやか「ね、ねえ、まどか」

まどか「うん……」

さやか「この前あたしさ、アンタと付き合うなんて言ってもピンとこないって言ったよね」

まどか「そうだったね……」

さやか「でもいつの間にかそんなことなくなってたみたい」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「大好きだよまどか」

まどか「私も! 私もさやかちゃんのこと大好き!」










ほむら(う、うええぇ……、まどかぁ……)

杏子(ちくしょう、ちくしょう!)

52: 2011/05/03(火) 13:10:26.12 ID:I23C9A070
――――


ほむら「はあぁ……。まさかまどかが美樹さやかなんかとキスをしてしまうなんて。死にたい」

杏子「なんかとはなんだテメェ! さやかに謝れ!」

ほむら「さやかさーんすみませんでしたー。……これで満足かしら」

杏子「ここまで気持ちがこもってない謝罪を見るのは生まれて初めてだ」

ほむら「もういいでしょ。負けた者同士愚痴り合いましょう……」

杏子「そうだな……。ああもうちくしょう! こうなったら、やけジンジャーエールだ!」

ほむら「私はやけコーラで」

59: 2011/05/03(火) 13:20:51.49 ID:I23C9A070
杏子「大体さぁ……ごくごくごく、魔法少女は魔法少女同士でないと、ごくごく、
       付き合ってらんないと思うんだよな、ごくごく」

ほむら「喋るか飲むかどちらかにしなさいな」

杏子「ごくごくごくごく」

ほむら「まさかそこで飲む方をとるとは思わなかったわ」

杏子「ぷはーっ……。んでさ。人間と魔法少女じゃ、肩を並べて戦うわけにもいかない。
     それって結構しんどいことだと思うんだよなぁー」

ほむら「というと?」

杏子「人間側にすりゃ、大好きな相手が危険な戦いしてんのを、指くわえて見てるしかないわけだろ?
     んで、魔法少女側にとっちゃ、一番しんどい時に1人で戦わなくちゃならない」

ほむら「……」

杏子「その点、魔法少女同士ならどんな時でも支え合える。1人ぼっちにならないですむ」

ほむら「ある程度は筋の通った考え方ね。でもその考え方には1つ欠点があるわ」

杏子「欠点?」

ほむら「その考え方を採用した場合、私とまどかが付き合えなくなる」

杏子「ははっ。なんだよそりゃ」

62: 2011/05/03(火) 13:33:28.74 ID:I23C9A070
杏子「ま、どっちにしろ、今じゃ鹿目まどかはさやかの腕の中だ。
      悔しいけどあの2人の間に割って入ることはもう無理だよ」

ほむら「かもしれないわね」

杏子「けっきょく理屈じゃないのかなあ、こういうのって」

ほむら「そうね」

杏子「はあーっ……。他人に興味を持つなんて、本当に久々のことだったのに」

ほむら「……ううぅっ」

杏子「ほむら?」

ほむら「ごめんなさい……、どうしても、涙が抑えきれなくなっちゃって……」

杏子「ま、あんたは本当に鹿目まどかに入れ込んでいたようだったからな。
     いいよ、好きなだけ泣けよ。今回は特別に気が晴れるまで付き合ってあげるからさ」

ほむら「ありがとう、杏子……」

67: 2011/05/03(火) 13:43:33.86 ID:I23C9A070
ほむら「せめて……」

杏子「ん?」

ほむら「せめてあの子たちがずっと笑っていられるように、私達はそれを影から支えましょう……。
      あの2人が幸せにやっていけるほど、この世界は優しい仕組みじゃないから」

杏子「その話のった! さやまどガーデイアンズ結成だな」

ほむら「ぷっ……、何よそのセンスの無い名前」

杏子「うっさい! 大事なのはセンスより心だ」

ほむら「なんだかあなたを見ていたら、失恋のショックがどうでも良くなってきたわ」

杏子「褒められてる気がしねぇ」

ほむら「褒めていないもの」

杏子「んだと、コラ!?」

ほむら「冗談よ冗談。杏子がいてくれて良かった」

杏子「……そんな風に言われると、なーんか調子狂うな」

74: 2011/05/03(火) 13:51:57.95 ID:I23C9A070
ほむら(この時間軸では、私とまどかの恋路をのぞけば、色々なことが順調に転んでいる)

ほむら「もしかしたら……」

杏子「もしかしたら?」

ほむら「あなたとは、存外長い付き合いになるのかもしれないわね」

杏子「へっ? それってどういう……」

ほむら「あの2人を見守るという共通の目的がある内は、
      ずっと顔を合わせることになるでしょう?」

杏子「あ、ああ、そういう意味か」

ほむら「1人ぼっちで寂しい状態に逆戻りしなくてよかったわね」

杏子「からかってんのか!?」

ほむら「ふふっ。からかいがいがあるったらないわね。杏子と一緒だと退屈しなさそう」

杏子「……そうだな。あたしもほむらといると、ムカついてばっかで寂しさを覚える暇なんかなさそうだ」

76: 2011/05/03(火) 13:56:56.31 ID:I23C9A070
ほむら「それじゃあ、さやまどガーディアンズ(笑)結成と」

杏子「おい」

ほむら「「あの2人の未来に」

2人「「かんぱい」」





マミ「2人ともー、おつまみがわりのお菓子買ってきたわよ!
     ……って、何2人だけで乾杯してるのよ?」

杏子「秘密だ秘密。なー」

ほむら「ええ」

マミ「なんだか疎外感が……」

杏子「んなことよりさっさと食おうぜ! ……おっ、このポテチもらい!」

マミ「独り占めしない!」

83: 2011/05/03(火) 14:01:22.18 ID:I23C9A070
――――


まどか「ね、さやかちゃん」

さやか「んー?」

まどか「私とさやかちゃんって、付き合ってることになるのかなぁ」

さやか「なるんじゃない?」

まどか「そっか……。本当に本当に嬉しいな」

さやか「このこの、可愛い奴めー」





それはもしかしたらあり得たかもしれない1つの可能性





おわり

84: 2011/05/03(火) 14:02:19.75
おつおもしろかった

85: 2011/05/03(火) 14:02:50.46
マミさん・・・

90: 2011/05/03(火) 14:05:00.23
マミ「私とは遊びだったのね」

引用元: まどか「えっ、私とさやかちゃんって付き合ってないの?」