1: 2012/03/30(金) 02:12:54.48 ID:u2wspNiR0
少女「こ、殺さないでください…」

魔王「ふん、我は魔王だぞ? 貴様のような情けない人間、いたずらに頃しても部下どもに呆れられるだけだ」

少女「そ、そうなんですか…?」

魔王「それより、貴様は何故そんなにボロボロなのだ? 我は暇だ、退屈しのぎにはなるかもしれん。言ってみろ」

少女「わ、私…近くの村の屋敷でお館様の小間使いをしているんですが…」

魔王「村の屋敷…ああ、あの魔物をペット同然に扱っている胸くそ悪い人間か…」

少女「お館様がペットを逃がしてしまい、小間使い全員を叩き出して、見つけるまで帰ってくるなと…」

魔王「ふむ。容姿も魂も醜いと思っていたが、同族にまで手を上げるか。我々魔族は同族を見捨てぬ、唾棄すべき者だな、そいつは」

魔王「そうだな…前々からあの男は目障りだった。ちょうどいい口実ができたか」

少女「えっ!? そ、そんな…何をするつもりですか!? 待ってください!」

魔王「貴様ごときが我に意見するのか? 構ってられんな。行くぞ部下」

部下「そう言うと思って既に村ごと焼き払っておきました」

魔王「おのれ…」

3: 2012/03/30(金) 02:14:41.73
部下優秀だな

6: 2012/03/30(金) 02:21:03.30 ID:u2wspNiR0
少女「む、村が…」

魔王「帰るべき場所を失って絶望したか?」

少女「………」

魔王「甘えるな小娘。生きていく方法など、この世にいくらでもある」

魔王「これしきで氏ぬようなら、貴様も所詮その程度の生命だということだ」

少女「で、でも…館を追い出されたくらいならともかく…村を焼かれてしまっては…」

魔王「……………」

少女「近くには他に村はないし、この一帯は不毛の地…」

魔王「…小娘、我の情にでも訴えようとしているつもりか」

少女「本当に困ってるんです。ああ、どうすれば…」

魔王「…くそ。なら、我の城に連れて行ってやる。貴様のような人間は完全に部外者、そこでも生きていけるというのならな」

少女「は、はい! それでもいいです、お願いします」

魔王「人間が…部下、こいつを城の適当な部屋に放り込んでおけ」

部下「そう言うと思って既に城の一部を改築して部屋を作っておきました」

魔王「おのれ…」

7: 2012/03/30(金) 02:23:14.84
部下の優秀さに嫉妬するわwww

9: 2012/03/30(金) 02:27:26.26 ID:u2wspNiR0
少女「うわぁ、こんな部屋…本当にいいんですか?」

魔王「部下が勝手に作ったものだ。我の知るところではない」

少女「でも、ありがとうございます!」

魔王「ふん…今は幸福に酔いしれているがいいさ」

少女「え、それってどういう…?」

魔王「この城には貴様がいた館のように、給与などない」

魔王「働いていれば食べていける、そんな場所だと思うな。自分の分は自分で取れなければ餓氏するのみだ」

少女「そ、そんな…なら、どうすれば…」

魔王「生き延びたければ、せいぜい、魔族のご機嫌取りでもやっておけ。貴様は人間だが、物好きがいればおこぼれにあずかれるかもしれんぞ?」

少女「あ、あの…私、魔王様の身の回りの世話とか…それと、畑仕事ならできると思うんですけど…」

魔王「畑仕事? ふん、ここは魔族の拠点ぞ。そんな土地があると思うのか?」

部下「そう言うと思って城の裏に畑を作っておきました」

魔王「おのれ…」

10: 2012/03/30(金) 02:28:28.65
部下イケメンwww

12: 2012/03/30(金) 02:36:59.23 ID:u2wspNiR0
少女「ど、どうですか…?」

魔王「ふむ、人間の体というものは実に興味深いな」

少女「あ、あの…私、こういうこと、したことないので…下手かもしれないですけど…」

魔王「貴様は何も考えず体を我の言う通り体を動かしていればいい」

少女「は、はい…」

魔王「しかし…本当に興味深いな。軟体のスライムでもここまで柔らかな手触りはできんぞ」

少女「マッサージはしたことがないんですけど…気にいってもらえてよかったです」モミモミ

魔王「本当にしたことがないのか? とてもそうとは思えぬがな」

少女「お館様のところにいた頃、やっているのを見たことがありますので…やり方くらいはわかるんです」ギュッギュxル

魔王「そうか…他にも、技術を持った人間がいたのだな…」

魔王「人間も、技術力だけなら目を見張るものがある。村を焼き払ってしまったのは少々もったいないことであったかもな…」

部下「そう言うと思って村にいた住民はあらかた受け入れておきました」

魔王「おのれ…」

13: 2012/03/30(金) 02:38:08.79
こんな風にできる男になりたいものです

16: 2012/03/30(金) 02:43:27.56 ID:u2wspNiR0
ざわ、ざわ…     ざわ、ざわ…

魔王「我の城が人間だらけではないか…」

部下「すみません」

魔王「はぁ…もうよい。人間も、使いどころを間違えねば労働力になる。せいぜいこき使ってやるさ」

部下「いざとなったら非常食にもなりますしね」

魔王「そうだな」

少女「え、食べるんですか…」

魔王「なんだ、貴様ら人間も家畜を食べるではないか。それと何が違うというのだ? 傲慢だな」

少女「でも…」

魔王「それが嫌ならば、せいぜい我らを餓えさせぬことだ。まぁ、この城には家畜などおらぬし、誰かが食料を取れないとなれば、すぐにでもその時は来るだろうがな」

部下「そう言うと思って城の外に牧舎を作り、家畜を連れてきました。これを育てさせれば食料には困らないかと」

魔王「おのれ…」

17: 2012/03/30(金) 02:45:50.34
段々魔王VS部下になりつつあるwwww

18: 2012/03/30(金) 02:46:09.94
もう部下だけでやっていけるんじゃね

24: 2012/03/30(金) 02:53:27.75 ID:u2wspNiR0
魔王「ふむ、勇者め…四天王を倒したか」

少女「何を見てるんですか、水晶玉?」

魔王「ああ、小娘か。見ろ、ここから勇者の動向を見ているのだ」

少女「わ、すごい…」

魔王「喜ぶがいい、人類の希望である勇者が、ついに我らが魔族の一角を切り伏せるまでになったぞ」

少女「え、あ、その…」

魔王「勇者が我を討伐するのは、貴様ら人間の悲願なのだろう? 別に、隠さずともよい」

少女「勇者様がそうしたら、魔王様は…」

魔王「なんだ、我が氏ねば貴様ら人間は自由の身だぞ? 喜ぶべきことではないか」

少女「でも…」

魔王「我があの若造に負けるなどとは思わぬが…万が一もあるかもしれんぞ? 貴様のような人間は、せいぜいそれを祈っていればいいさ」

部下「そう言うと思って、既に勇者を始末しておきました」

魔王「おのれ…」

25: 2012/03/30(金) 02:54:44.40
おい

29: 2012/03/30(金) 02:59:54.42 ID:u2wspNiR0
少女「あの、魔王様…食事が…」

魔王『いらん! 何も食いたくないわ!』

魔王『それと、我に気を遣うな! そこまで落ちぶれておらんわ!』

少女「魔王様、部屋から出てこなくなっちゃいました…」

部下「ふむ…よかれと思ってやったのですが、難しいですね」

少女「あの、勇者様…本当に氏んじゃったんですよね…」

部下「はい。私がこの手で、さっくりと」

少女「勇者様も、魔王様と会ってちゃんと話をすればわかってくれると思うんですけど…」

部下「それはどうでしょうか。喧嘩になるかもしれませんよ。意地っ張りですから、うちの魔王様は」

少女「ふふ、そうかもしれませんね…」

少女「でも、氏んじゃったらそれもできない…」

部下「そう言うと思って、勇者を生き返らせておきました」

部下「…と言いたいところなのですが、流石の私でも氏人を生き返らせることはできません。どうしたものでしょうか」

30: 2012/03/30(金) 03:01:38.75
村人は頃してなかったのかよ

32: 2012/03/30(金) 03:07:04.03 ID:u2wspNiR0
魔王「くそ、どうして我はこんなにも苛ついておるのだ…?」

魔王「まさか、勇者が成長して自分を倒しにくるのが愉しみだとでも思っていたというのか…?」

魔王「ありえぬ! 我は魔王ぞ!? たかが一人の人間に興味を持つなど…」

魔王「しかし…」

魔王「世界は平和だ。国は我相手に抵抗することもなく、どんどんと支配下に落ちていった」

魔王「やることと言えば、年端も行かぬ小僧に少しの援助を与え、こっそりと旅に出す程度…まぁ、我からはバレバレなのだが」

魔王「そんな世の中を…少し、退屈だと思っていたのかもしれぬな…」

部下「そう言うと思って、遊び相手を捜してきました」

魔王「! 部下、どこから入った!?」

部下「魔王様は結界とかは張りませんから。はっきり言ってザルですよ」

少女「こ、こんにちは…」

魔王「おのれ…」

35: 2012/03/30(金) 03:17:27.02 ID:u2wspNiR0
魔王「遊び相手だと…?」

部下「はい。少女さんなら、きっと魔王様のいい遊び相手になってくれると思ったので」

少女「え?」

魔王「我が小娘と会ったのは、偶然ではないと言うのか?」

部下「あの日、魔王様を連れ出したのは私ではないですか」

少女「え、それじゃ…」

部下「はい、全て私がやったことです。平穏だったあなたの人生を変えてしまい、申し訳ないとは思っております」

少女「い、いえ。私、あのままあそこにいたら…きっと、不自由なままの一生を送っていたと思うんです」

少女「だから、感謝してます。魔王様にも、部下さんにも」

部下「そう言って頂けると、光栄です」

魔王「ふん、調子のいい奴だな。ここにいても不自由な生活には変わりあるまいに」

少女「もう、魔王様ったらまたそんなことを…」

部下「少女さん、わかってるとは思いますが魔王様のはただの照れ隠しですから」

魔王「おのれ…」

39: 2012/03/30(金) 03:28:28.74 ID:u2wspNiR0
魔王「大体、我に遊び相手などいらぬわ」

部下「またまた~」

魔王「我は魔王だぞ? 遊び相手だと、笑い者ではないか」

少女「でも、私がこの部屋に来るのはいいですよね? 今まで通り」

魔王「………ふん。まぁ、我も暇だからな…」

魔王「いいだろう。話相手くらいには、なってやるさ」

部下「魔王様、もう少し素直にならないと人間に限らず女の子にモテませんよ」

魔王「部下、いい加減その減らず口をやめろ、頃すぞ…」

少女「魔王様、魔王様が部下に簡単に頃すとか言っちゃ駄目ですよ」

魔王「ぐ…小娘が調子に乗りおって…」

部下「まぁ、これで魔王様も退屈にはならないでしょう。勇者もそろそろ生き返っているはずですし」

魔王「…は? 部下、今なんと言った…?」

少女「あれ、部下さんは人を生き返らせることはできないんじゃ…」

部下「私にはできませんが、勇者とはそういう存在ですので。今頃、教会で目を覚ましていることでしょう」

魔王「おのれ…」

41: 2012/03/30(金) 03:36:38.06 ID:u2wspNiR0
少女「魔王様って、城から出ないんですか?」

魔王「人を引きこもりのように言うな。貴様と我がどこで会ったのか忘れたのか?」

少女「でも、それだって部下さんに言われたからですよね?」

魔王「…魔王は理由もなく外に出ないものだ」

少女「もう、駄目ですよそんなんじゃ! 不健康です!」

魔王「魔族は脆弱な人間とは違う、健康などという概念は存在しない。餓氏はするが、栄養バランスや運動不足などというものに体調を左右されはしない」

少女「いいですから! そうだ、ピクニックに行きましょう、ピクニック!」

魔王「ピクニック? なんだそれは」

少女「え、知らないんですか? 弁当を持って、外に行って景色を見ながら食べることです」

魔王「飯など城の中でも食えるだろう。外で食べて何の意味があるのだ?」

少女「そ、それは…外の景色を見ながら食べると美味しく感じるんですよ、たぶん」

魔王「この一帯は不毛の土地。見て食事が美味く感じることなどないと思うがな。ここでやった方がまだマシというものだ」

部下「そう言うと思って、既に草木生い茂る高原を切り取って近くに持ってきました」

魔王「おのれ…」

43: 2012/03/30(金) 03:38:07.28
部下すげええええええ

46: 2012/03/30(金) 03:48:14.13 ID:u2wspNiR0
部下「ほほう、これはサンドイッチというものですね。初めて見ました。これ、全部少女さんが?」

少女「はい、張り切って作っちゃいました!」

部下「らしいですよ魔王様」

魔王「何故我に言うのだ」

部下「でも、ちょっと肉が少ないかもしれませんね。我々魔族は肉を好むものなので多めの方がよかったのですが」

少女「あっ…あの、みんな、肉が好きなので野菜とじゃあまり交換できなくて…」

部下「ええ、せっかくのピクニックですが…食事がこれでは台無しになってしまった気もします」

少女「そ、そうですか…すみません…」

魔王「………足りぬ」

少女「えっ?」

魔王「足りぬぞ、我の分はこれだけか?」

少女「あっ…いっぱい作ってきてますから! どんどん食べてください!」

魔王「ああ。ふん、確かに肉は足りぬが、決してまずくはないではないか。別に、台無しになど…」

部下「ふふっ…」

魔王「! おのれ…」

47: 2012/03/30(金) 03:51:21.43
魔王かわいい

48: 2012/03/30(金) 03:57:55.43 ID:u2wspNiR0
魔王「………小娘」

少女「あれ、魔王様? 珍しいですね、魔王様から…」

魔王「そんなことはいい。先程、人間どもが紙の束を使って何やらやっていたが…あれはなんだ、魔術の儀式か?」

少女「え? えっと…」

魔王「なんだ、わからぬのか」

部下「そう言うと思って、既に持ってきました。これですよね?」

魔王「それだ、その数字と記号が描かれたやつだ」

少女「あ、トランプですね? 魔王様、興味があるんですか?」

魔王「トランプ? 貴様も知ってるということは魔術関連の道具ではないようだが…」

少女「そんな難しいものじゃないですよ。魔王様、まずはやってみましょ?」

部下「そうですね、それではババ抜きでもやりますか」

魔王「ふむ…? その口ぶりからすると…遊び道具か何かか?」

部下「そうですよ。あ、ちなみにこれは私物です。強いですよ、私」

魔王「おのれ…」

49: 2012/03/30(金) 04:05:06.29
魔王さまの出る幕がないw

50: 2012/03/30(金) 04:05:45.45 ID:u2wspNiR0
魔王「………」

少女「………」ソーッ…

魔王「!」

少女「これですね!」バッ

魔王「くっ…! 何故だ、何故わかるのだ…!?」

少女「えーと…言っていいのかな…」

部下「魔王様はわかりやすいんですよ。顔自体はそんなに変わらないのですが、感情が顔に出やすいと言いますか…」

魔王「なんだと!? 我は魔王、顔に表情が出やすいなどお笑い種だ! ありえぬ!」

部下「でも、魔王様、初めてとはいえこれで全敗ですか…」

少女「魔王なのに…ねぇ」

魔王「うるさい! もうやめだ、これ以上付き合ってられぬわ!」

魔王「第一、小娘は経験者、部下は自分のものまで持っている。身体能力が関係しない経験のみの世界ならば、我とて勝てずとも仕方ないではないか!」

部下「そう言うと思って、もう一セット用意しておきました。どうぞ、存分に練習してください」

魔王「おのれ…」

51: 2012/03/30(金) 04:11:01.64
生き返った(?)勇者殿はどうしてる?

53: 2012/03/30(金) 04:15:39.60 ID:u2wspNiR0
魔王「部下、部下はどこだ!?」

魔王(部下に頼みたいことがあるのだが…見当たらんな…)

少女「魔王様!」

魔王「小娘か、何のようだ?」

少女「部下さんから、魔王様に手紙を渡してくれって頼まれて…」

魔王「手紙だと…? わかった、よこせ。なになに…?」

そう言うと思って、既に少女さんを呼んでおきました。
部下

魔王「おのれ…」

少女「何て書いてあったんです?」

魔王「いや、貴様にはどうでもいいことだ…」

少女「ええっ、教えてくださいよ!?」

魔王「…それより、貴様にやってもらうことがある。来い」

少女「もう…それが終わったら教えてくれますよね?」

58: 2012/03/30(金) 04:26:36.37 ID:u2wspNiR0
勇者「せいやっ!」

魔物「ぬわーーっっ!!」

勇者のレベルが上がった!

勇者「………」

武道家「やったわね、勇者!」

僧侶「勇者様、すてきです…」

勇者「…あのさ…僕って何者なのかな」

武道家「へ? 勇者でしょ?」

勇者「だって僕、この前殺されたよね? なんで生き返ってんのさ」

僧侶「勇者様だからですよ。私は勇者様が何者でも受け入れますぅ」

勇者「それに、他のみんなは魔物倒した時に『レベルが上がった!』なんて聞こえてこないし…なんなのさ…?」

賢者「そう言うと思って、既に生物研究学者達に調査してもらいました。これ、調査結果です」

勇者「あのさ…」

60: 2012/03/30(金) 04:33:16.03 ID:u2wspNiR0
勇者「えーと、『どう見ても人間です、本当にありがとうございました』…か」

武道家「よかったわね勇者! あんたはちゃんと人間みたいよ!」

勇者「よかないよ! この世のどこにこんな人間がいるってのさ!?」

僧侶「私の勇者様は、ちゃんとここにいますよ」

勇者「あ、ありがとう…でも『私の』じゃないからね」

僧侶「勇者様はいけずですぅ」

武道家「…! 魔物の気配よ。右の方から」

勇者「またか…みんな、下がってろ」ギラリ

魔物「馬鹿め、そっちは左だ!!」

武道家「なっ、後ろから!?」

勇者「武道家、危ない!」

賢者「そう言うと思って、既に勇者様を盾にしておきました」

勇者「あのさ…」ザシュ

63: 2012/03/30(金) 04:41:01.60 ID:u2wspNiR0
武道家「てりゃっ!」バキッ

魔物「まぁ、わかってたよ」ガクッ

賢者「やりましたね」

武道家「ご、ごめんね勇者…ありがと…」

勇者「ああ、うん。気にしないでいいよ。盾にされただけだから」

僧侶「私と勇者様のドリームライフがまた一歩近づきましたぁ」

勇者「いや、僕は僧侶と結婚するつもりとかはないからさ…故郷に残してきた幼馴染に刺されそうだし…」

僧侶「もう、勇者様はまたそんなこと言って…武道家ちゃんもそう思うよね?」

武道家「わ、私は別に勇者なんて何とも…」

僧侶「ほら、こんなにわかりやすいじゃないですか。ちゃんと責任とってくださぁい」

勇者「だ、だからさ…僕の故郷だと未成年の結婚も重婚もできないし…」

賢者「そう言うと思って、既に勇者様と三人は籍を入れておきました。王様に掛け合ってみたら一発でOK貰いましたよ」

勇者「あのさ…」

64: 2012/03/30(金) 04:41:38.30
賢者www

65: 2012/03/30(金) 04:50:24.91 ID:u2wspNiR0
魔王「うむ。ご苦労だったな、これで終わりだ」

少女「はい! 魔王様の役に立ててよかったです!」

魔王「こき使われてるのに喜ぶとは、変な奴だな貴様も」

少女「もう、魔王様はまたそんなことばっかり」

魔王「しかし、部下の奴はどこに行ったのだ? 奴がいないといつもより少々落ち着かんな」

少女「あ、そうだ! 今のうちに、部下さんの部屋を覗いてみるのはどうですか?」

少女「部下さんって結構不思議な人じゃないですか。部屋の中はどうなってるのかなーってちょっと気になって」

魔王「部下の部屋か…ふむ、それは…面白いかもしれんな。行ってみるとするか」

少女「はい! 行ってみましょう!」

………

魔王「ここだな。何故こんな場所にしたのやら」

少女「あれ? 部屋のドアに張り紙が…」

魔王「構わん、開け…」

そう言うと思って既にこの部屋には結界をしかけておきました。壊そうとすればその前に城が壊れますよ(笑)

魔王「おのれ…」

67: 2012/03/30(金) 05:00:52.24 ID:u2wspNiR0
部下「ただいま戻りました、魔王様」

少女「あ、おかえりなさい部下さん」

魔王「部下か。貴様どこへ行っていたのだ」

部下「ちょっと副業の方を…」

少女「ふ、副業!?」

魔王「そうか…副業か…」

部下「魔王様と少女さんは二人きりでトランプですか? 仲がよろしいことで」

少女「ええ、魔王様が暇だ暇だって言いますから」

魔王「それにしても、ババ抜きというものは二人だとつまらんな」

部下「トランプには二人で遊べるようなものもありますけど」

魔王「我はババ抜きがしたいのだ」

部下「そう言うと思って、既に加わっていますよ」

少女「わわっ!?」

魔王「よし、次は負けぬぞ」


魔王「おのれ…」

69: 2012/03/30(金) 05:10:18.08 ID:u2wspNiR0
少女「暑いですね…」

魔王「熱い? 炎でも浴びたのか?」

少女「そ、そうだったら氏んじゃいますよ…」

魔王「なんだ、人間は炎を浴びたくらいで氏ぬのか」

部下「魔族はこれくらいの気温変化では暑いとか寒いとか感じないんです」

少女「そうなんですか…いいなぁ…」

魔王「気温の変化程度で一喜一憂できるというのはある意味羨ましいがな」

少女「えへへ…」

魔王「褒めておらんわ」

少女「そうだ、海に泳ぎに行きましょう!」

魔王「海? やめておけ。今の時代、人間が海に入ったが最後、水棲魔族の餌になるだけだ」

少女「うぅ…じゃあ、魔王様も来てくださいよ! 一緒なら、食べられることもないでしょうし…」

魔王「断る。何故それしきのことで我がわざわざ海まで出向かねばならぬのだ」

部下「そう言うと思って、城にプールを作っておきました」

魔王「おのれ…」

74: 2012/03/30(金) 05:20:53.35 ID:u2wspNiR0
少女「わーっ、凄いです!」バシャッ

部下「少女さん、水着姿似合ってますね」

魔王「………まぁまぁだな」

部下「ドキドキします?」

魔王「貴様は何を言っておるのだ」

少女「魔王様も、せっかくここまで来たんですから一緒に泳ぎましょうよ!」

部下「そうですよ、せっかくここまで来たんですから!」

魔王「この衣を濡らすわけにもいかぬし、魔王がこんなところで肌を晒すわけにもいかぬ。我は部屋に戻…」

部下「そう言うと思って、魔王様にも水着を用意しておきました。人間の競泳用なので、肌はあまり見えませんよ」

魔王「………もう慣れた。着替えてくる…」

部下「あ、それと浮き輪です。魔王様、泳いだことなんてないでしょう?」

魔王「おのれ…」

76: 2012/03/30(金) 05:31:57.92 ID:u2wspNiR0
魔王「この我が人間の創造物に頼るなど…おのれ…」バシャバシャ

少女「魔王様、こっち行きましょう!」グイッ

魔王「む」

少女「あ…す、すみません」

魔王「…構わん。これくらいで怒るような小さい器は持っておらぬ」

少女「…魔王様の腕…細いけど、がっしりしてますね」

魔王「人間の脆弱な肉体とは作りが違うからな。貴様の指はすぐ折れてしまいそうだ」

少女「またそういうこと言う…」

魔王「…小娘。泳げて、満足してるか?」

少女「はい、とっても! 波はないけど、こうして魔王様と…」

ゴゴゴゴゴゴ…!

少女「きゃっ!?」ザプッ

魔王「何事だ!?」

部下「しまった、そう言うと思って既につけておいた波発生装置が思ったより強い!」

魔王「おのれ…!」

81: 2012/03/30(金) 05:42:05.50 ID:u2wspNiR0
部下「すぐに止めます」カチッ

波「止まるよ」ピタッ

魔王「ふぅ…部下め、変なものを作りおって…」

魔王「小娘、波は止ん…」

少女「わぷっ、あぷっ」バタバタ

魔王「小娘!? 貴様、何をしている!?」

部下「まさか少女さん、今ので溺れて!?」

少女「あっ、まおうさまっ」ブクッ

部下「くっ、こういうことがあるかと思って…」

魔王「小娘っ!」ゴオッ!!

部下「プールの水が、一瞬で蒸発…」

魔王「小娘!」タッ

少女「う…うぅ…」

魔王「…息がない、これしきで…なんて脆弱なのだ…」

魔王「おのれ…」

87: 2012/03/30(金) 05:52:28.94 ID:u2wspNiR0
部下「魔王様! 少女さんは…」

魔王「部下…! 貴様…!!」ガッ

部下「は、放してください…! 少女さんはまだ助かります…!」

魔王「何!?」

部下「一刻を争います。救助用の装置はありますが、取りにいくまでに何があるかわかりません、魔王様は人工呼吸をお願いします」

魔王「人工呼吸…? なんだそれは、どうやるのだ?」

部下「そう言うと思って既に床に書いてあります、この通りにやってください!」ダッ

魔王「おい、部下…くそっ」

魔王「人工呼吸か、どうすればいいのだ…!?」

魔王「なっ、これは口がくっついているではないか! 我に接吻をしろというのか!?」

少女「………」

魔王「小娘…」

魔王「勝手に氏ぬなど…許さぬぞ…」スッ…

部下「取ってきました! どいてください!」

魔王「おのれ…」

90: 2012/03/30(金) 05:57:08.74
部下ェ・・・

94: 2012/03/30(金) 06:01:53.68 ID:u2wspNiR0
少女「うーん…」

魔王「小娘、気がついたか」

少女「あれ、魔王様…私…」

部下「少女さん、まだ動かないでください。あなたは溺れていたんですよ。すみません、私のせいで…」

少女「いえ…本当は私、泳げないんです。ずっと屋敷で働いてたから、一度、泳いでみたくて…ここは床に足がついてたから大丈夫でしたけど、海なんて駄目ですね…」

魔王「…我は部屋に戻らせてもらう。そこでじっとしていろ、小娘」

少女「あ…」

部下「もう、あんなこと言って…少女さんのこと、一番心配してたのは魔王様なんですよ」

少女「え…? 魔王様が、私を…?」

部下「はい。魔王様ときたらひどい慌てようで、プールの水を一瞬で蒸発させてですね…見てください、しばらく使えませんよこれ」

少女「プールの水がなくなるほどのことをやったら、私氏んでるはずじゃ…」

部下「魔王様は水の中に魔力を流し込んで蒸発させたのです。炎の魔術などを使ったわけではありません」

部下「しかもその際、少女さんの体にだけは魔力の壁を作り、守っていました」

部下「決して行き当たりばったりなどではありません」

部下「断じて違います」

97: 2012/03/30(金) 06:14:16.75 ID:u2wspNiR0
少女「あっ、魔王様!」

魔王「小娘か。もう体は回復しているようだな」

少女「はい、お陰様で!」

魔王「それにしても、人間というのは壊れやすいものだ。我々魔族ならばあれしきで生命の危機に陥るようなことはない」

少女「またそれですか…いいですよ、私は人間なんですから」

魔王「そう小娘、貴様は人間だ。長生きしたければ、身の丈に合わぬことはやめておくことだな」

少女「…あれ? 魔王様、もしかして私のこと心配してくれてます…?」

魔王「…心配だと? 何故魔王たる我が人間の小娘を心配せねばならぬのだ。そんなことがあるわけ…」

少女「そ、そうですよね…」

魔王「………」

魔王「まぁ…少しくらいは…あるのかもしれぬな…」

少女「あっ…」

少女「はいっ!」ニコッ

魔王「おのれ…」

99: 2012/03/30(金) 06:19:12.36 ID:u2wspNiR0
少女「あの、魔王様! 私、魔王様に言いたいことがあって…」

魔王「何だ? 言ってみるがいい」

少女「あ、ちょっと他の人には聞かれたくないことなので…」

魔王「近くには誰もおらぬぞ」

少女「もう、いいですから! 耳貸してください!」

魔王「…わかった。何だ?」スッ

少女「えーと、それは…」スゥ…

チュッ

魔王「!?」

少女「えへへ…ごめんなさい」

少女「それじゃ、魔王様! また後で!」タタタッ

魔王「…………」

魔王「まぁ…こういうのも、悪くはないのかもしれぬな…」

部下「そう言うと思って、今の場面は撮影しておきました」

魔王「おのれ…」

100: 2012/03/30(金) 06:23:28.96 ID:u2wspNiR0
終わりです

「そう言うと思って~」というフレーズを思いついたせいで眠れず書き始めたんですが、ちょうどいいところだし眠いんで寝ます

101: 2012/03/30(金) 06:24:12.74

102: 2012/03/30(金) 06:24:29.20
そう言うと思って代わりに寝ておきました

105: 2012/03/30(金) 06:25:02.47
おのれ…

引用元: 魔王「ん? 人間の小娘か…」