1: 2021/09/13(月) 21:05:11.941
20XX年――
マナー講師の数は増加の一途をたどっていた。
マナー講師A「ノックは二回までにしましょう」
マナー講師B「了解しました、は上司に失礼です」
マナー講師C「印鑑はお辞儀をするように傾けて押しましょう」
これにはある理由があったのだ……。
マナー講師の数は増加の一途をたどっていた。
マナー講師A「ノックは二回までにしましょう」
マナー講師B「了解しました、は上司に失礼です」
マナー講師C「印鑑はお辞儀をするように傾けて押しましょう」
これにはある理由があったのだ……。
2: 2021/09/13(月) 21:06:14.706
なぜかマナー講師同士は襲いあわない習性
3: 2021/09/13(月) 21:08:19.055
マナー講師D「取引先で出された飲み物には手をつけてはいけません」
母「マナー講師だわ!」
子「うわあああっ!」
マナー講師D「ガブッ!」
母「きゃああっ……!」
子「ママーッ!」
母「……」
子「ママ……?」
母「ゲームは一日一時間までにしましょう」
子「ママーッ!」
母「マナー講師だわ!」
子「うわあああっ!」
マナー講師D「ガブッ!」
母「きゃああっ……!」
子「ママーッ!」
母「……」
子「ママ……?」
母「ゲームは一日一時間までにしましょう」
子「ママーッ!」
4: 2021/09/13(月) 21:11:17.135
タッタッタ…
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
女「はぁ、はぁ、はぁ……」
マナー講師E「走る時はしっかり手を振るのがマナーです」ブンブン
男「このっ!」バキッ!
マナー講師E「倒れる時は受け身を取りましょう」ドサッ
男「気をつけろ! マナー講師に噛まれるとマナー講師になっちまうぞ!」
女「分かってる!」
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
女「はぁ、はぁ、はぁ……」
マナー講師E「走る時はしっかり手を振るのがマナーです」ブンブン
男「このっ!」バキッ!
マナー講師E「倒れる時は受け身を取りましょう」ドサッ
男「気をつけろ! マナー講師に噛まれるとマナー講師になっちまうぞ!」
女「分かってる!」
5: 2021/09/13(月) 21:14:35.665
男「ったく、どうしてこうなっちまったんだ……」
男「気づいたら、世の中マナー講師だらけになってた」
女「まさか、噛んだ相手をマナー講師にするなんて性質を持ってるなんてね」
男「今やどれだけの人間がマナー講師になってるか、想像もつかねえ」
女「私たちは絶対そんなのになりたくないよね」
男「ああ、他人にマナーを押しつける人生なんてまっぴらごめんだ!」
タッタッタッ…
男「気づいたら、世の中マナー講師だらけになってた」
女「まさか、噛んだ相手をマナー講師にするなんて性質を持ってるなんてね」
男「今やどれだけの人間がマナー講師になってるか、想像もつかねえ」
女「私たちは絶対そんなのになりたくないよね」
男「ああ、他人にマナーを押しつける人生なんてまっぴらごめんだ!」
タッタッタッ…
6: 2021/09/13(月) 21:17:05.985
ドンッ
男「あ、すみません!」
通行人「……」
女「大丈夫ですか?」
通行人「謝罪をする時は45度の角度で……」
男「こいつもマナー講師だ!」
女「逃げましょう!」
男「あ、すみません!」
通行人「……」
女「大丈夫ですか?」
通行人「謝罪をする時は45度の角度で……」
男「こいつもマナー講師だ!」
女「逃げましょう!」
7: 2021/09/13(月) 21:20:07.821
<コンビニ>
店員「しゃっせーっ!」
男「ふぅ、どうにか逃げ切れた……」
女「今の挨拶からして、あの店員さんはマナー講師じゃなさそうね」
男「ああ、人心地つけそうだ」
店員「……」
男「?」
店員「コンビニのバイトはしゃっせーと挨拶をするのがマナーです」
男「な、なんだと!?」
女「この人もマナー講師だわ!」
店員「しゃっせーっ!」
男「ふぅ、どうにか逃げ切れた……」
女「今の挨拶からして、あの店員さんはマナー講師じゃなさそうね」
男「ああ、人心地つけそうだ」
店員「……」
男「?」
店員「コンビニのバイトはしゃっせーと挨拶をするのがマナーです」
男「な、なんだと!?」
女「この人もマナー講師だわ!」
8: 2021/09/13(月) 21:23:42.257
男「こうなったら公衆トイレに逃げ込もう!」
女「ええっ!?」
男「一時的にだよ。人がいなくなったら脱出する」
タタタッ…
男「どこか個室に入って……」
女「二人で?」
男「しょうがないだろ」
女「ええっ!?」
男「一時的にだよ。人がいなくなったら脱出する」
タタタッ…
男「どこか個室に入って……」
女「二人で?」
男「しょうがないだろ」
10: 2021/09/13(月) 21:25:49.218
<公衆トイレ>
利用者「おや、誰か入ってきましたね」
男「……!(人がいたのか)」
男「すいません、すぐ出て行くんで」
利用者「いえいえ、いいんですよ。それより……」
男「?」
利用者「トイレットペーパーは使った後、三角に折りたたんでおきましょう」
男「うわああああっ!」
女「ここにもマナー講師がっ!」
利用者「おや、誰か入ってきましたね」
男「……!(人がいたのか)」
男「すいません、すぐ出て行くんで」
利用者「いえいえ、いいんですよ。それより……」
男「?」
利用者「トイレットペーパーは使った後、三角に折りたたんでおきましょう」
男「うわああああっ!」
女「ここにもマナー講師がっ!」
11: 2021/09/13(月) 21:28:27.320
男「ちくしょう、この町にもう安全な場所はないのか……?」
女「あるわ!」
男「どこ?」
女「“マナーなんてクソ喰らえ”って人はきっとまだマナー講師になってないに違いないわ」
男「そんな奴どこに……」
女「ほらあそこ」
ヘヘヘ… マジカヨー… パネー…
男「不良の集団か!」
女「あるわ!」
男「どこ?」
女「“マナーなんてクソ喰らえ”って人はきっとまだマナー講師になってないに違いないわ」
男「そんな奴どこに……」
女「ほらあそこ」
ヘヘヘ… マジカヨー… パネー…
男「不良の集団か!」
13: 2021/09/13(月) 21:31:42.817
男「す、すみません」
不良「あ?」
女「ちょっと混ぜて欲しいなって……」
DQN「別にいいぜ。好きにしな」
ピアス「俺らとつるみたいなんて変わってんな。ヒャヒャヒャ!」
男「アハハ……(怖いけどマナー講師になるよりはいいや)」
不良「さぁて、煙草でも吸うか」
不良「あ?」
女「ちょっと混ぜて欲しいなって……」
DQN「別にいいぜ。好きにしな」
ピアス「俺らとつるみたいなんて変わってんな。ヒャヒャヒャ!」
男「アハハ……(怖いけどマナー講師になるよりはいいや)」
不良「さぁて、煙草でも吸うか」
15: 2021/09/13(月) 21:34:26.449
不良「煙草を吸う時は人差し指と中指でしっかり挟みましょう」
DQN「ライターに火を付ける時は左手を添えるのがマナーです」
ピアス「煙草が欲しい時は『一本くれねえか』と申し訳なさそうに……」
男「ダメだ、こいつらもマナー講師になってる!」
女「逃げよう!」
タタタタタッ…
DQN「ライターに火を付ける時は左手を添えるのがマナーです」
ピアス「煙草が欲しい時は『一本くれねえか』と申し訳なさそうに……」
男「ダメだ、こいつらもマナー講師になってる!」
女「逃げよう!」
タタタタタッ…
17: 2021/09/13(月) 21:37:09.432
男「あっ、あそこにホームセンターがある! 逃げ込もう!」
女「どうしてホームセンターなの!?」
男「ほら、色々と武器があるだろ?」
女「たしかにね……工具とか……」
男「それにこういう時は、ホームセンターに逃げ込むのが一番ってどっかで見たことある!」
女「なにそれ!」
女「どうしてホームセンターなの!?」
男「ほら、色々と武器があるだろ?」
女「たしかにね……工具とか……」
男「それにこういう時は、ホームセンターに逃げ込むのが一番ってどっかで見たことある!」
女「なにそれ!」
18: 2021/09/13(月) 21:40:08.583
<ホームセンター>
客A「みんな、ここでマナー講師と戦うんだ!」
客B「おう!」
客C「絶対マナー講師になんかならないぞ!」
男「おおっ、俺と同じこと考えてる人がいっぱいいた!」
女「これは心強いね!」
男「ここで粘れば、きっと勝機も見えてくるはず。さっそく武器を探そう」
女「うん!」
客A「みんな、ここでマナー講師と戦うんだ!」
客B「おう!」
客C「絶対マナー講師になんかならないぞ!」
男「おおっ、俺と同じこと考えてる人がいっぱいいた!」
女「これは心強いね!」
男「ここで粘れば、きっと勝機も見えてくるはず。さっそく武器を探そう」
女「うん!」
20: 2021/09/13(月) 21:43:29.544
男「決めた! 俺はカナヅチ!」
女「私はモップ!」
男「モップ? もっと威力があるものの方がいいんじゃ……」
女「相手は人間だしね。だけど、一応もう一つ……」
ザワッ…
客A「やばい、マナー講師が押し寄せてきたぞーっ!」
男「来たみたいだ!」
女「行こう!」
女「私はモップ!」
男「モップ? もっと威力があるものの方がいいんじゃ……」
女「相手は人間だしね。だけど、一応もう一つ……」
ザワッ…
客A「やばい、マナー講師が押し寄せてきたぞーっ!」
男「来たみたいだ!」
女「行こう!」
21: 2021/09/13(月) 21:46:48.093
「暑くてもジャケットは脱いではいけません」
「メモは絶対に手書きで取るようにしましょう」
「ビールを注ぐ時はラベルを上にしましょう」
男「そらっ!」ガツンッ
女「えいっ!」ヒュンッ
ワァァァァァァ… ワァァァァァァ…
男「よし、いける! 戦える!」
女「だけど数はあっちのが上……ドアを閉めちゃおう!」
ガラガラガラ… バタンッ
「メモは絶対に手書きで取るようにしましょう」
「ビールを注ぐ時はラベルを上にしましょう」
男「そらっ!」ガツンッ
女「えいっ!」ヒュンッ
ワァァァァァァ… ワァァァァァァ…
男「よし、いける! 戦える!」
女「だけど数はあっちのが上……ドアを閉めちゃおう!」
ガラガラガラ… バタンッ
22: 2021/09/13(月) 21:49:06.303
ワイワイ…
男「こうして籠城してれば何とかなりそうだな」
女「うん、ホームセンターってすごい!」
男「そのうち救援が来るだろ。そしたら俺たちの勝ちだ」
女「ここに逃げ込んで正解だったね」
客A「……」スタスタ
男「どうしました?」
男「こうして籠城してれば何とかなりそうだな」
女「うん、ホームセンターってすごい!」
男「そのうち救援が来るだろ。そしたら俺たちの勝ちだ」
女「ここに逃げ込んで正解だったね」
客A「……」スタスタ
男「どうしました?」
23: 2021/09/13(月) 21:52:20.934
客A「……」ガシッ
男「?」
客A「換気をしましょう」
ガラガラガラ…
男「ちょっ!?」
女「せっかく閉めたのに、なんで開けちゃうの!?」
客A「だってこういう時は……仲間の誰かがバカな真似して、ピンチを呼び込むのがマナーですから」
男「なっ……!」
女「この人、すでにマナー講師だったんだ!」
男「?」
客A「換気をしましょう」
ガラガラガラ…
男「ちょっ!?」
女「せっかく閉めたのに、なんで開けちゃうの!?」
客A「だってこういう時は……仲間の誰かがバカな真似して、ピンチを呼び込むのがマナーですから」
男「なっ……!」
女「この人、すでにマナー講師だったんだ!」
24: 2021/09/13(月) 21:55:26.245
ワァァァァ…
客B「ひいいっ、マナー講師がたくさん入ってきた!」
客C「防ぎきれない!」
ガブッ! ガブッ! ギャァァァァ…
男「次々味方が噛まれて……もうホームセンターはダメだ!」
女「どうしよう!?」
男「裏口から逃げるぞ!」
女「分かった!」
タタタッ…
客B「ひいいっ、マナー講師がたくさん入ってきた!」
客C「防ぎきれない!」
ガブッ! ガブッ! ギャァァァァ…
男「次々味方が噛まれて……もうホームセンターはダメだ!」
女「どうしよう!?」
男「裏口から逃げるぞ!」
女「分かった!」
タタタッ…
25: 2021/09/13(月) 21:59:04.449
ババババババ…
男「ヘリだ!」
女「救援が来たんだわ!」
キュンキュンキュン…
操縦士「乗れ!」
男「ありがとう!」
女「マナー講師たちが迫ってるわ!」
操縦士「お前たちを乗せたら、すぐに飛び立つ!」
バババババババ…
男「ヘリだ!」
女「救援が来たんだわ!」
キュンキュンキュン…
操縦士「乗れ!」
男「ありがとう!」
女「マナー講師たちが迫ってるわ!」
操縦士「お前たちを乗せたら、すぐに飛び立つ!」
バババババババ…
27: 2021/09/13(月) 22:02:20.437
バババババババ…
男「ありがとうございます、助かりました!」
女「もうダメかと思ったわ!」
操縦士「なぁにかまわない。私としても心細かったしさ」
男「それにしても、まだマナー講師にされてない人はどのぐらいいるんでしょう?」
操縦士「おそらく……ほんのわずかしか残ってないだろう」
女「そんな……」
男「ありがとうございます、助かりました!」
女「もうダメかと思ったわ!」
操縦士「なぁにかまわない。私としても心細かったしさ」
男「それにしても、まだマナー講師にされてない人はどのぐらいいるんでしょう?」
操縦士「おそらく……ほんのわずかしか残ってないだろう」
女「そんな……」
28: 2021/09/13(月) 22:04:53.786
男「これからどうすれば……」
女「このまま人類はマナー講師に屈しちゃうの……!?」
操縦士「これはあくまで私の考えた仮説だが……」
操縦士「全てのマナー講師には始祖(オリジナル)ともいうべき、“真のマナー講師”がいるはずだ」
操縦士「そいつを倒せば、もしかしたらみんな元に戻るかもしれない」
男「だけど、あれだけのマナー講師からそいつ一人を探すなんて……」
女「気の遠くなるような話ね」
男「普通に考えて、そんな奴が前線に出てくるようなことはないはずだしな」
操縦士「オリジナルなんだから、そこらの量産マナー講師よりずっとマナーに厳格なはずだ」
操縦士「だからそこを刺激できればあるいは……」
男「……」
女「このまま人類はマナー講師に屈しちゃうの……!?」
操縦士「これはあくまで私の考えた仮説だが……」
操縦士「全てのマナー講師には始祖(オリジナル)ともいうべき、“真のマナー講師”がいるはずだ」
操縦士「そいつを倒せば、もしかしたらみんな元に戻るかもしれない」
男「だけど、あれだけのマナー講師からそいつ一人を探すなんて……」
女「気の遠くなるような話ね」
男「普通に考えて、そんな奴が前線に出てくるようなことはないはずだしな」
操縦士「オリジナルなんだから、そこらの量産マナー講師よりずっとマナーに厳格なはずだ」
操縦士「だからそこを刺激できればあるいは……」
男「……」
29: 2021/09/13(月) 22:07:41.394
操縦士「とにかく、今は安全な場所に向かおう」
女「お願いします!」
男「マナー講師を刺激する方法、か……」
女「今考えても仕方ないでしょ。ゆっくり体を休めて……」
男「そうだな」
女「……」グラッ
男「? お、おい。よりかかってきて……イチャつく時じゃないだろ」
女「違うよ。体が傾いて……」
男(いや……これは違う! ヘリ全体が傾いてる!)
男「操縦士さん、なにやってんだ!」
女「お願いします!」
男「マナー講師を刺激する方法、か……」
女「今考えても仕方ないでしょ。ゆっくり体を休めて……」
男「そうだな」
女「……」グラッ
男「? お、おい。よりかかってきて……イチャつく時じゃないだろ」
女「違うよ。体が傾いて……」
男(いや……これは違う! ヘリ全体が傾いてる!)
男「操縦士さん、なにやってんだ!」
31: 2021/09/13(月) 22:10:42.831
男「操縦士さ……」
操縦士「なにって決まってるだろ?」
操縦士「こういう緊急時、ヘリは墜落するのがマナーです」
男「お前もマナー講師か!」
男(このままじゃ墜落させられちまう!)
男「……! くそっ!」ガツンッ
操縦士「ごふっ!」
男「俺がなんとか……!」ガシッ
女「ヘリなんか操縦できるの!?」
男「出来ないけど、何とかあの湖に着水させてみせるっ!」
ババババババ…
バッシャアンッ!
操縦士「なにって決まってるだろ?」
操縦士「こういう緊急時、ヘリは墜落するのがマナーです」
男「お前もマナー講師か!」
男(このままじゃ墜落させられちまう!)
男「……! くそっ!」ガツンッ
操縦士「ごふっ!」
男「俺がなんとか……!」ガシッ
女「ヘリなんか操縦できるの!?」
男「出来ないけど、何とかあの湖に着水させてみせるっ!」
ババババババ…
バッシャアンッ!
33: 2021/09/13(月) 22:13:40.575
男(どうにか二人とも生き残ったか……)
男「岸まで泳ごう」
女「うん」
ザブザブ… ザブザブ…
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
女「やっと着いたね……」
男「……!」
男「岸まで泳ごう」
女「うん」
ザブザブ… ザブザブ…
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
女「やっと着いたね……」
男「……!」
35: 2021/09/13(月) 22:16:13.783
ズラッ…
男「囲まれてる……マナー講師だらけだ……」
女「ウソ……」
ウジャウジャウジャ…
「とっくりを注ぎ口で注いではいけません」
「ご飯はフォークの背に乗せて食べましょう」
「名刺は役職順に並べましょう」
男「老若男女……サラリーマンに主婦、子供まで……これ、みんなマナー講師か……!」
男「囲まれてる……マナー講師だらけだ……」
女「ウソ……」
ウジャウジャウジャ…
「とっくりを注ぎ口で注いではいけません」
「ご飯はフォークの背に乗せて食べましょう」
「名刺は役職順に並べましょう」
男「老若男女……サラリーマンに主婦、子供まで……これ、みんなマナー講師か……!」
37: 2021/09/13(月) 22:18:10.257
男「せっかくここまで逃げてきたのに……」
女「ホント……」
男「こりゃあ、もうどうしようもないな……」
女「そうね……」
男「……」コクッ
女「……」コクッ
女「ホント……」
男「こりゃあ、もうどうしようもないな……」
女「そうね……」
男「……」コクッ
女「……」コクッ
38: 2021/09/13(月) 22:21:04.623
男「こうなったら……受け入れるしかないよな!」
女「そうね!」
ウジャウジャ…
男「みなさーん!」
女「私たちもマナー講師にしてくださーい!」
男「もう抵抗しません! 噛んで下さい!」
女「これでみんなマナーを守る平和な世界になるわ!」
男「マナー講師バンザーイ!」
女「そうね!」
ウジャウジャ…
男「みなさーん!」
女「私たちもマナー講師にしてくださーい!」
男「もう抵抗しません! 噛んで下さい!」
女「これでみんなマナーを守る平和な世界になるわ!」
男「マナー講師バンザーイ!」
39: 2021/09/13(月) 22:25:02.937
?「待て待てぇ!」
男「ん?」
女「誰?」
?「なんという“マナー違反”だ!」
男「マナー違反?」
?「そこは絶望するのがマナーだろうが!」
?「残されたわずかな人類がマナー講師に囲まれ、絶望してEND……そうなる予定だったのに……!」
?「これじゃなにもかも台無しだ!」
男「あんたは……ひょっとしてオリジナルのマナー講師か!」
真マナー講師「その通りだ! さあ、今からでも遅くない! 絶望しろ! 発狂しろォ!」
男「ん?」
女「誰?」
?「なんという“マナー違反”だ!」
男「マナー違反?」
?「そこは絶望するのがマナーだろうが!」
?「残されたわずかな人類がマナー講師に囲まれ、絶望してEND……そうなる予定だったのに……!」
?「これじゃなにもかも台無しだ!」
男「あんたは……ひょっとしてオリジナルのマナー講師か!」
真マナー講師「その通りだ! さあ、今からでも遅くない! 絶望しろ! 発狂しろォ!」
43: 2021/09/13(月) 22:28:49.998
男「……」ニヤッ
男「うおおおおおおおっ!!!」ガツンッ!
真マナー講師「ぐおっ……!?」
男「待ってたぜ……重大な“マナー違反”をすれば、必ずお前が出てくると思ってた!」
男「だからあえて、ホラー映画みたいに絶望はせず、受け入れようとしたんだ!」
真マナー講師「くっ、おのれ! こうなれば全マナー講師をお前らに突撃……」
女「そうは……させない!」ダッ
グサッ!
真マナー講師「ぐ、は……!」
男「お前……それ……」
女「ナイフよ……モップともう一つ準備してたのはこれ。できれば使いたくなかったけどね」
男「うおおおおおおおっ!!!」ガツンッ!
真マナー講師「ぐおっ……!?」
男「待ってたぜ……重大な“マナー違反”をすれば、必ずお前が出てくると思ってた!」
男「だからあえて、ホラー映画みたいに絶望はせず、受け入れようとしたんだ!」
真マナー講師「くっ、おのれ! こうなれば全マナー講師をお前らに突撃……」
女「そうは……させない!」ダッ
グサッ!
真マナー講師「ぐ、は……!」
男「お前……それ……」
女「ナイフよ……モップともう一つ準備してたのはこれ。できれば使いたくなかったけどね」
44: 2021/09/13(月) 22:31:03.328
真マナー講師「マナー講師である私を刺すなんてぇ……! なんたるマナー違反!」
真マナー講師「よくもぉ!」グワァッ
女「きゃあっ!」
男「往生際が悪いのは……マナー違反だぜ!」
ガンッ!
真マナー講師「ぎゃっ……!」
男「トドメだっ!」
ガツンッ!
真マナー講師「ぐ……ぐおぉぉぉ……」ガクッ
真マナー講師「よくもぉ!」グワァッ
女「きゃあっ!」
男「往生際が悪いのは……マナー違反だぜ!」
ガンッ!
真マナー講師「ぎゃっ……!」
男「トドメだっ!」
ガツンッ!
真マナー講師「ぐ……ぐおぉぉぉ……」ガクッ
45: 2021/09/13(月) 22:35:24.316
ザワザワ…
「ん……あれ? ここは……?」
「私はいったいなにを?」
「すげー人が集まってる! 祭りかー?」
「なにか催眠術にでもかかってたような……」
男「おおっ、みんな元に戻っていく!」
男「さっきの操縦士も既にマナー講師だったが、仮説自体は正しかったんだ!」
「ん……あれ? ここは……?」
「私はいったいなにを?」
「すげー人が集まってる! 祭りかー?」
「なにか催眠術にでもかかってたような……」
男「おおっ、みんな元に戻っていく!」
男「さっきの操縦士も既にマナー講師だったが、仮説自体は正しかったんだ!」
47: 2021/09/13(月) 22:37:07.241
男「やったな! 俺たち、マナー講師に勝ったんだ!」
女「うん……」
男「大丈夫か? 最後に襲いかかられたけど……。それに血がついてる……」
女「平気……これはあいつを刺した時の返り血だから」
男「そっか……噛みつかれたわけじゃないんだな。それじゃ、二人で一緒に帰ろう!」
女「……うん!」
女「うん……」
男「大丈夫か? 最後に襲いかかられたけど……。それに血がついてる……」
女「平気……これはあいつを刺した時の返り血だから」
男「そっか……噛みつかれたわけじゃないんだな。それじゃ、二人で一緒に帰ろう!」
女「……うん!」
48: 2021/09/13(月) 22:40:03.210
……
……
数年後――
男「ただいまー」
女「お帰りなさい」
男(あれから俺たちは結婚し、今では平和な生活を満喫していた)
……
数年後――
男「ただいまー」
女「お帰りなさい」
男(あれから俺たちは結婚し、今では平和な生活を満喫していた)
49: 2021/09/13(月) 22:43:11.735
男「よいしょと」ゴソゴソ
女「あ、ちゃんと靴は並べてよね」
男「分かってるよ」
女「廊下を歩く時は静かにね。走っちゃダメよ」
男「こんな狭い家で走ったりしないから大丈夫だよ」
女「お風呂沸いてるよー、きっちり40℃で。これ以上の温度だと体に負担かかるから」
男「ありがとう」
女「あ、ちゃんと靴は並べてよね」
男「分かってるよ」
女「廊下を歩く時は静かにね。走っちゃダメよ」
男「こんな狭い家で走ったりしないから大丈夫だよ」
女「お風呂沸いてるよー、きっちり40℃で。これ以上の温度だと体に負担かかるから」
男「ありがとう」
51: 2021/09/13(月) 22:45:19.708
女「はい、ご飯」
男「いただきまーす」
女「茶碗は左手で持ってね。肘はつかない。テレビ見ながら食べちゃダメだからね」
男「……」
男「なんかお前、最近マナーに厳しくなってないか?」
女「えー、そうかなー?」
END
男「いただきまーす」
女「茶碗は左手で持ってね。肘はつかない。テレビ見ながら食べちゃダメだからね」
男「……」
男「なんかお前、最近マナーに厳しくなってないか?」
女「えー、そうかなー?」
END
52: 2021/09/13(月) 22:46:36.096
面白かった
乙
乙
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