1: 2015/01/23(金) 12:32:33.37
深雪「お兄様、人質の方々の安否が心配です。これからどうなってしまうのでしょうか?」

達也「今の情勢を考えると無事解放されるのは難しいだろう。どうやら相手は話ができる相手ではなさそうだし」

深雪「そんな・・・あの方達がイスラム国に対して何をしたというのです?」

達也「深雪、紛争地帯ではそのような理屈は通用しないと思っていい。中には自己責任だと言う人もいるが・・・それも致し方ないとも言える」

深雪「ですがそれではあの方達はいずれ殺されてしまいます!」

達也「・・・」

8: 2015/01/23(金) 12:40:23.76
深雪「・・・お兄様、大変失礼だとは存じ上げておりますがお兄様の力でどうかあのお二人を開放してはくださいませんでしょうか?」


達也「いや、しかし・・・」

深雪「お兄様の力があれば流れる血を少なく人質を開放できるのではないでしょうか・・・?」

達也「しかし俺は深雪のガーディアンだ。深雪の側を離れるわけには行かない」

深雪「私なら大丈夫でございます。私自身の力でテ口リストを撃退できることはお兄様が何よりご承知のはず。・・・それに、その脅威をお兄様が取り除いてくださるのでしょう」


達也「・・・深雪には敵わないな、わかった。それならちょっとシリアまで行ってくる。できるだけ早く戻ってくるよ」

深雪「ありがとうございます。お頼み申しあげている身で不躾ながら、どうかご無事で」

達也「大丈夫だよ。」

10: 2015/01/23(金) 12:44:03.85
シリア入国後
達也「さて本来なら情報収集からしたいところだが・・・如何せん時間がないな。ここは一旦拘束されて脱出する方がベストか」

ガイド「この先の町がイスラム国の占領地です。本当によろしいのですか?」

お兄様はアラビア語も堪能なようです

達也「ああ、危険は承知の上さ」

ガイド「こう言ってはなんですが・・・人質とコンタクトを取るのに単身では危険すぎます。なぜそこまで?」

達也「それは妹に頼まれたからな」

ガイド「は?」

達也「ここまでありがとう。おそらく数時間で戻ってくるからここで待って待機しててくれないか?」

ガイド「分かりました。くれぐれもお気をつけて」

達也「ありがとう。日没までに戻らなかったら先に帰っていてくれ」

11: 2015/01/23(金) 12:49:34.02
検問所
イスラム兵「止まれ!ボディチェックを受けてもらう」

達也「・・・」

イスラム兵「これはなんだ?変わった形の拳銃だな」

達也「いざという時の威嚇用だ。球は出ない(CADといっても通じないだろうな)」

イスラム兵「そうか。でどこから来た?見たところ東洋人のようだが」

達也「日本から「なに!?貴様さては欧米諸国のスパイだな」

達也「いや、決してそのようなことはない」

イスラム兵「黙れ、そもそも目的はなんだ」

達也「人質との交渉のために来た」

イスラム兵「渉外からそのような話は聞いていない。貴様の身柄はこちらで預からせてもらう」

達也「・・・こちらに選択の余地はないようだな」

イスラム兵「こっちに来い!」

13: 2015/01/23(金) 12:51:09.93
収容所
湯川「どうしましょう・・・このまま私達、殺されてしまうのでしょうか」

後藤「どうだろうな。その時のために覚悟は決めておいたほうがいいだろう」

イスラム兵「こっちだ!ぐずぐずするな」

後藤「また一人連れてこられたようだな」

達也「・・・」ドサッ

湯川「君は・・・もしかして日本人?」日本語

達也「はい」

後藤「なぜこのようなところに!見たところ学生のようだが」

達也「恥ずかしながらトルコに留学しており、その際連れ去られてここに」

湯川「そう・・・若いのにこんなことに巻き込まれて」

達也「いえ、慣れてますから」

湯川「?」

後藤「お名前は?」

達也「司馬達也です」

19: 2015/01/23(金) 12:57:28.77


後藤「司馬君でいいかな、私たちのことは聞いてる?」


達也「ええ、外では、特に日本では大きく報道されているようです」


後藤「そうだろうな・・・一言で言えばしくじってしまったよ」


達也「今政府が開放に向けて交渉を行っているようです」


後藤「交渉は難しいだろう。自分でもよくわかっているし、同じく拘束されている君に言うのもなんだけど、覚悟は決めているつもりだ」


達也「覚悟を決めるのはまだ早いですよ。むしろ別の覚悟を決めてください」

後藤「?」


達也「今すぐここから脱出します。」


後藤「」
湯川「」

21: 2015/01/23(金) 13:00:35.88
湯川「だ、脱出って言っても・・・」

達也「大丈夫です。可能ですから。あなたたち二人の身は例え銃に撃たれても保証しますよ」

湯川「で、でも・・・」
達也「このままここにいても殺されるだけです。五分後に決行するのでそれまでに心に準備を付けておいてください」

後藤「・・・本気なんだな」

達也「はい。」

後藤「わかった。確かにここにいても助かる見込みは薄いだろう。ところで逃走経路はどうするんだ?」

達也「勿論人が少ないところを通りたいですが、基本正面突破と考えていただいて構いません」

後藤「」

22: 2015/01/23(金) 13:04:39.82
5分後

達也「そろそろ行きます。心の準備はいいですか?」

後藤「・・・ああ」湯川「な、なんとか」

バシュッ!
湯川「あ、あれ?手錠が消えた!?」

バシュッ!
後藤「俺のもだ!」

達也「すいません!どちらかでいいので俺の胸ポケットにある拳銃のようなものをとってくださいませんか?」

後藤「あ、ああ・・・」

バシュッ!
達也「では行きます。あなたたちはとにかく銃声等無視して走ってください!」

後藤「ちょっと待ってくれ!一体何が何やら・・・」

達也「詮索はあとです。行きます!」

23: 2015/01/23(金) 13:07:36.61
イスラム兵A「人質が逃げたぞ!」

イスラム兵B「逃げるな撃つぞ!」

イスラム兵C「止まれ!」ダンッダンッ

バシュッ!バシュッ!
イスラム兵A「銃が消えた!?」

イスラム兵B「クソッ!一体なんなんだ!」

イスラム兵C「さすおに!」

湯川「すごい・・・銃や障害物が次々に消えていく・・・一体君は何者なんだ?」

達也「だから詮索はあとです!とにかく走ってください!」

イスラム兵D「人質が逃げた!全員戦闘用意!絶対逃すな!」

達也「(・・・この先にいるのは20人ほどか・・・お手なみ拝見と行くか)」バシュッ!

25: 2015/01/23(金) 13:11:05.90
その先の空間
「な!?銃がバラバラに!?」「そんなまさか!」

バタッ
達也「いまです。突っ切ってください!」

後藤「・・・わかった。後で色々聞きたいことがある!」

達也「分かりました。後で聞くために生き残りましょう」

・・・
達也「(さてようやく外に出たが・・・まだ油断はできないな)」

達也「支配域から出るまで油断はできません。走り続けましょう」

湯川「ハアッ・・・ハアッ・・・わ、分かりました」

バン!!!!

後藤「ぐあッ!!」

湯川「後藤さん!!」

27: 2015/01/23(金) 13:13:24.64
達也「狙撃か!・・・屋上からだな」バシュッ!

屋上のイスラム兵「!!!」

湯川「後藤さん!後藤さん!しっかりしてください!」

後藤「ウ・・・ウッ・・・」

達也「大丈夫です。湯川さん、ちょっとそこをどいてください」

湯川「え、後藤さんに銃を向けてなにを!?ちょっと!?え」

バシュッ!
後藤「あ、あれ・・・痛みが全くない。どうなっているんだ?」

湯川「今確かに後藤さんは撃たれたはず・・・」

達也「説明したいところですがここに留まってはまた撃たれるだけです。とにかく走りましょう。後藤さん、走れますね?」

後藤「あ、ああ・・・」

28: 2015/01/23(金) 13:15:28.12
達也「ここまでくればひとまずは大丈夫でしょう。この先に車とガイドを待たせてあるのであと少しです。」

達也「(あのあと狙ってきた狙撃手は4人、戦車が2台だったな・・・思ったより緩かったな)」

後藤「ああ、しかしさっき俺は撃たれたのだよな?」

達也「・・・」


合流地点
ガイド「皆さん!ご無事でしたか!」

達也「ああ、早速だが車を出してくれ。万が一追ってくるかもしれない」

湯川「はあっ、はあっ・・・つ、疲れた」

29: 2015/01/23(金) 13:15:48.34
達也「ここまでくればひとまずは大丈夫でしょう。この先に車とガイドを待たせてあるのであと少しです。」

達也「(あのあと狙ってきた狙撃手は4人、戦車が2台だったな・・・思ったより緩かったな)」

後藤「ああ、しかしさっき俺は撃たれたのだよな?」

達也「・・・」


合流地点
ガイド「皆さん!ご無事でしたか!」

達也「ああ、早速だが車を出してくれ。万が一追ってくるかもしれない」

湯川「はあっ、はあっ・・・つ、疲れた」

31: 2015/01/23(金) 13:19:16.35
・・・街の郊外
達也「ここまででいい。助かったよ」

ガイド「いえいえ。それでは」

後藤「助かったよ。なんとお礼を言ったらいいか。」

湯川「本当にありがとうございます。」

達也「いえ、こちらこそ危険な目に合わせてしまい申し訳ありませんでした」

後藤「元々どうなってたかわからない身だ。そんなことは気にしなくていいよ。しかし・・・君は一体何者だね?その拳銃はなんだね?なぜ私の傷が治ったのだ?」

達也「それは・・・」チャキッ

後藤「お、おい私たちにそれを向けて何を!?」

達也「すいません・・・」バシュッ!





・・・


湯川「ハッ!ここは?」

32: 2015/01/23(金) 13:23:49.75
後藤「ここは・・・どうやら中心街のようだ?確か私たちは拘束されてそれから・・・?」

湯川「ええそれまでのことは覚えていますがそこからどうやって脱出したのでしょう?」

??「よかった!ご無事だったのですね!」

後藤「ええ・・・日本語?あなたは日本の方ですか?」

??「ええ、外務省のものです!あなたがたが解放されたと聞いて保護しにきました」

後藤「そうですか・・・私たち解放されたのですね」

??「先ほどその方の情報筋から通達がありました。もう大丈夫ですよ」

湯川「よかった・・・私たち助かったんですね」

後藤「そのようだな」

藤林「まずはこちらの車に」

35: 2015/01/23(金) 13:28:06.60
藤林「全く達也くんにも困ったものだわ。情報規制もしかなきゃいけないのに」

達也「申し訳ありません。そこまで考えが至りませんでした」

藤林「しかもあなたは軍に所属してるのよ。万が一もないと思うけど、何かあったら国際問題よ」

風間「まあまあ藤林くん、そのくらいにしておいてくれ」

藤林「大佐・・・」

風間「この件は政府も頭を痛めていたんだ。理由はわからないが解放されたとなれば肩の荷も降りるだろう」

藤林「しかし・・・」

37: 2015/01/23(金) 13:33:13.27
風間「表向きはイスラム国が解放したと、裏向きにはうちが極秘に救出したということにしておこう。あながち間違ってはいないがね」

達也「ありがとうございます」

藤林「しかし深雪さんに頼まれたとは言え、一人で乗り込むなんてさすがね」

風間「ああ、さすが達也くんだ」

達也「いえ、決してそのようなことはありません。・・・自分はただの・・・」



達也「劣等生ですから」



38: 2015/01/23(金) 13:34:17.71
以上です
色々見苦しい箇所もあったと思うけど
ありがとうございました

39: 2015/01/23(金) 13:35:23.95

面白かった

43: 2015/01/23(金) 13:39:27.05
あ、訂正

>>35の
風間さんは少佐です

引用元: 達也「深雪に頼まれてシリアまで人質救出に来たが・・・」