炭酸抜きコーラですか

炭酸抜きコーラ/500円

バケツいっぱいの砂糖水のお客様～

男「ここか……」

友人「落書きがいっぱいあるな」

友人「刃牙氏ねとか、かかって来いやとか。まんま刃牙の家じゃん」

男「思ったより本格的だな。こりゃ期待できそうだ」

男「おっ、中はわりとちゃんとしたカフェ――」


オオオオオオオオオオオスッ！！！！！



ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘ…

男「うおおっ！？」

友人「すげえ迫力だ……！」

ウェイター「いらっしゃいませ」ﾆｨ…

男「ご、ごつい……」

友人「首太いし、耳はカリフラワーみたくなってる……プロレス？」

ウェイトレス「いらっしゃいませ」ﾆｺｯ

男「……微妙に可愛くないな」ﾎﾞｿｯ

友人「まさにバキらしいウェイトレスさんだな」ﾋｿﾋｿ…

ウェイター「こちらがメニューになります」

男「どれどれ……」

友人「メニューってどんなのがあるんだろ？」

男「カフェだし、どうせ刃牙の顔っぽくしたケーキとかだろ？」

友人「あ～……ありそう。勇次郎ケーキとか」

男「いずれにせよ、あんまり種類はないだろうさ」

友人「ま、しょうがないか」

おじやバナナ梅干炭酸抜きコーラセット

男「うおおお、一杯ある！」

友人「すっげ～！」


オリバステーキ　3000円

ゲバルオムレツ　1200円

ご機嫌な朝食セット　2500円

烈海王薬膳料理　2000円

克巳おにぎり　800円

野菜餃子　1800円

メフン　2200円

Tボーンステーキの骨　1500円

……

…


男「しっかし、どれも高いな。1000円未満のメニューがほとんどない」

友人「キャラクター物のカフェなんてこんなもんだろ」

男「これ見ろよ、安物のキャンディが1000円だって」

友人「安いんだか高いんだかどっちなんだ、って感じだな」

カイジ混ざってんぞ

範海王リンゴ　1200円


男「なにこれ？」

友人「あれだろ、アライＪｒとの試合の前に食ってたやつ」

男「分かるか、そんなもん！　あいつあっさり負けたし！」


スペック肉まん　800円


男「スペック肉まん……」

友人「園田警視正が便所で食わされたやつか」

男「殺されたコンビニの人、マジで可哀想だったよな」

山籠りセット（納豆、乾燥貝柱、スキムミルク、乾パン、いりこ、アスコルビン酸、わかもと）


男「こんなのもあるのかよ」

男「ところでさ、昔から気になってたんだけど、わかもとってなに？　声優さん？」

友人「胃薬だよ」

男「なんでも知っとるわァ～」


Tレックスステーキ　5000円

ピクルが食った蜂　1000円

夜叉猿の歯　4000円


男「ここらへんのメニューは……本物？　夜叉猿の歯て」

友人「いやぁ～まさか……別の材料で作ったそれっぽい料理だと思うぞ」

男「だよね……」

丹波サバ缶　700円

顔面叩きつけピザ　1000円

松尾象山コルク　1500円


男「餓狼伝も混ざってんな」

友人「コルクをスープになるまで噛むって、本当にできんのかな？」

男「できた頃には歯がボロボロになってそうだな」

男「――っと、いい加減、注文決めないとな」

男「まずは軽いのからいくか」

友人「そうだな」

男「じゃあ、俺は……メカブにするか。この中だとまだ安い方だし」

友人「オレはドリアンキャンディにしよう。甘いもん食いたかったし」

男「飲み物はどうする？」

友人「飲み物はやっぱり酒が多いなぁ。飲酒シーン多いし」

友人「ウイスキーにアードベックにポートエレンにワイルドターキー……」

男「刃牙カフェっつうより、刃牙バーって感じだな」

友人「あ、でも一応ソフトドリンクもあるみたいだ」


ヤカンに入ったお湯　800円

14キロ砂糖水　3000円

ハチミツとガムシロップのカクテル　1500円

炭酸抜きコーラ　※サービス付き　1000円


男「サービス付き……なんだろ？」

友人「さあ……」

男「気になるから、俺はこれにしてみるわ」

友人「んじゃ、オレは無難に不味いコーヒーにしよう」

ウェイター「お飲み物、お持ちいたしました」

ウェイター「炭酸抜きコーラと……不味いコーヒーです」

男「あ、どうも」

友人「ありがとうございます」

男「ところで、炭酸抜きコーラのサービスってなんだろう？」

友人「さぁ……」

男「ま、いいや、飲もう」ｺﾞｸｯ

男（うわっ……ホントに炭酸抜けてるよ。砂糖水だわこれ）ｺﾞｸｺﾞｸ

店員A「オイオイオイ」

店員B「氏ぬわアイツ」

メガネ店員「ほう……炭酸抜きコーラですか。たいしたものですね」

メガネ店員「炭酸を抜いたコーラはエネルギーの効率が極めて高いらしく」

メガネ店員「レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるくらいです」



男「ほう……こういうサービスですか」

友人「大したものですね」

店員A「なんでもいいけどよォ」

店員C「相手はあの末堂先輩だぜ」

メガネ店員「それに特大タッパのおじやとバナナ」

メガネ店員「これも速効性のエネルギー食です。しかもウメボシもそえて栄養バランスもいい」

メガネ店員「それにしても試合直前だというのにあれだけ補給できるのは、超人的な消化力というほかはない」



男「特大タッパのおじやとバナナは頼んでないのにやってくれるなんて……」

友人「超人的なサービス精神というほかはない」

予想通りすぎてワロタ

オイオイオイ

ウェイトレス「メカブとドリアンキャンディです」

男「どうも！」

友人「ありがとうございます！」

男「いただきます！」

友人「いただきます」

男「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

男「うんうん、うまいうまいうまい」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

男「添加物たっぷりだけど……毒も栄養も喰らわなきゃいけないからな」

友人「あそこはマジで感心したし笑ったわ」

友人「キャンディもなかなか」ｺﾛ…ｶﾛ…

男「ドリアンもいいキャラしてたのにな～、幼児化から復活してまた出てきてくれないかな」

友人「アラミド繊維とか武蔵にあっさり斬られるだけだろうけどな」

男「――さて、いよいよメインを注文するか」

男「いっとくけど、俺はすぐに決まったぜ」

友人「オレも！」

男「メインはもちろん……熊肉の刺身よ！」

友人「オレはジャック・ハンマーのステーキ！」

ウェイター「熊肉の刺身とジャック・ハンマーのステーキをお持ちしました」





男「ンきたァ～～～～～ッ！」

友人「ウマそォ～～～～～ッ！」

男「夢にまで見たこの瞬間がついに……」

男「いただきます」ﾓｸﾞ…

男「うん、うまい！　熊肉ってうまいんだな！」

男「んでもって、ワサビを噛む」ﾎﾟﾘｯ

男「くぅ～、このワサビが……」

男「！？」ﾂｰﾝ…

男「キツイキツイ！　ワサビがッ！　鼻ッ！　鼻にィィィッ！」ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ

友人「そりゃお前に安藤さんのマネはキツイって」

友人「オレも食うか。肉の上に乗ってるバターがまたたまらん」

男「ジャックらしく、一口でいけよ」

友人「いけるわけねーだろ。普通に食うわ」

男「じゃあせめて、モニュ……とかナポ……って音を出せよ」

友人「難しいな」ﾓﾐｭ…

男「モミュ……になってる！」

友人「ぐぬぬ……」ﾓｶﾞ…

男「モガ……になってる！」

男「あァ～、食った食った」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

友人「うまかったなァ～」

男「――ん！？」

男「オイオイオイ……あそこにいるのって板垣先生じゃね！？」

友人「本当だ！　単行本に載ってる写真のまんまだ！」

男「チョ、チョット話しかけてみようぜ！」

友人「お、おう！」

男「あ、あの……板垣先生ですよね？」

板垣恵介「そうだよ」

男「スッゲェ～～～～～！」

友人「オレたち大ファンなんですッ！」

板垣恵介「ありがとう」

友人「次のバトルは花山と武蔵になるんですかね！？」

板垣恵介「まだ決めてない」

二人「～～～～～～～～～～～～ッッッ！！！」

男「板垣先生行っちゃったな……」

友人「週刊漫画家の忙しさってのは、オレらの想像以上らしいからな」

友人「むしろここにいたのが不思議なぐらいだ」

男「じゃあ、そろそろラストの一品を頼むか」

男「ラストは……同じ物にしようぜ」

友人「締めはもちろん――」

二人「範馬勇次郎の味噌汁！」

ウェイター「範馬勇次郎の味噌汁をお持ちしました」

男「アリガトウ」

友人「謝々……」

男「オォ～、ウマそう」

友人「会釈」ﾍﾟｺｯ

男「……」ｼﾞｭﾙ…

友人「……」ｽﾞｽﾞ…

男「うンめェ～～～～～～！」

友人「ネギに豆腐と……具もシンプルにしてディープッ！」

男「でもちょっとしょっぱい」

友人「味も原作通りだな……」

ウェイター「堪能なされましたか」

男「はい！」

友人「すっかり堪能しました！」

ウェイター「それはよろしゅうございました」

ウェイター「ドリアン様」

男「……ッ！？」

友人「～～～～ッッッ！」

ウェイター「では最後に、こちらのサービスをご堪能下さい」

男（まさかタクシーで遊園地まで連れてかれるなんてオチじゃないだろうな……ッッ）

男氏と友人氏は刃牙カフェについて、こう述懐している。



男「ええ、正直いって最初はまったく期待してなかったンですが――」

男「味噌汁を飲み終わる頃にはすっかり満足していました」

男「予想は裏切り期待は裏切らない、を体感させてもらいましたよ」

友人「はい……実に刃牙愛を感じるカフェでしたよ」

友人「完全に予算オーバーしてしまいましたが、それについてのショックは絶無でしたね」

友人「それが刃牙カフェなんですねェ……」

男「いやァ～……よかったな。インタビューまで体験させてもらったし」

友人「あァ……来てよかった。堪能した」

男「心なしか俺たちの口調も、ちょっとバキチックになってるしな」

友人「あのカフェの持つ雰囲気か、料理の味か、あるいはその両方が――」

友人「オレたちの心に作用したのかもしれないな」

男「……だな」ｸﾙｯ

男「～～～～～ッッッ！？」

友人「どうした？」

男「オ、オイ……カフェがあった場所を凝視（み）てみろよ」

友人「ハァ？」ｸﾙｯ

友人「～～～～～～～～ッッッ！」

友人「カフェが跡形もなくなって……更地になってる。いや、もしかして元々……ッッ！？」

男「ま、まさか……」

友人「刃牙カフェの正体って――」


エアカフェッッッ！？







―終―

乙

おまえらさっきまで何喰ってたんだよ…

乙ヤイサホ

こいつらグラップラー並みのエア使いだろ

乙

エアカフェ！？じゃねーよｗｗｗｗｗ