1: 2014/09/29(月) 21:33:58.08



れんげ「遊ぶんじゃーい!」

夏海「何してあっそぶっかねー!」

小鞠「放課後になったとたんに元気になって・・・授業中は寝てるクセに」

蛍「れんちゃん、何かしたいことあるの?」

れんげ「うちは・・・宝さがし!とれじゃぁはんとがアツイと思いますが!」

小鞠「宝さがしぃー?」

夏海「おおっ!れんちょん宝の地図でも持ってるのかい!?」

れんげ「うちにはコレがありますから」ババン

夏海「・・・?・・・なにそれ」

蛍「あっ、それダウンジングとかいうのですよ。それを持って歩いて、左右に開いたらそこに宝物があるっていう・・・」

夏海「マジですか!」

れんげ「フフ・・・これで地面の下にある埋蔵金を探しだすのん」

小鞠「え?温泉が出てくるんじゃないの?」

蛍「あれ?そうでしたっけ?」

夏海「どっちにしろすごいじゃん!よーしれんちょん!そいつでいっちょすんごいお宝を探しだそう!」

れんげ「ラジャー!」



 FOOOOO・・・・・・

 CRRROOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMMMMMMMMMM!!!



夏海「」

小鞠「」

蛍「」

れんげ「お宝、地面の下じゃなくて、空から落ちてきたのん」

2: 2014/09/29(月) 21:43:38.74
 ・・・・・・

小鞠「ヤだ!絶対行きたくない!」ズリズリ・・・

夏海「なに言ってんのさ。隕石がおっこちてきたんだよ?見ない手はないっしょー」グイグイ

小鞠「絶対危ないもん!中から宇宙人が出てくるに決まってるもん!食べられちゃったらどうすんのさ!」ズリズリ・・・

夏海「んなわけないじゃん。宇宙人だったらUFOに乗ってくるって」グイグイ

れんげ「隕石が落ちてくるなんて今日はふぁんたすてぃっくな一日になりそうですな」

蛍「あ、見えてきましたよ。落下地点」


 OOOOOoooo・・・・・・

夏海「うわーお・・・クレーターができてらぁ」

小鞠「や、やっぱ帰ろうよ!絶対ヤバいから!」

蛍「あれ?・・・あの・・・クレーターの真ん中・・・・・・」

れんげ「なにかあるのん!」タタタ

小鞠「れ、れんげー!ダメだったらー!」



 タタタ

れんげ「・・・?・・・・・・」

夏海「れんちょーん、どーおー?」タタタ

蛍「!・・・こ、これって・・・ロボット?・・・」



アイアンマン「―――」

3: 2014/09/29(月) 22:00:24.80
>>2

アイアンマン:アメリカンコミックス、『MARVELコミックス』の人気キャラクター。もはや日本でもおなじみの鋼鉄のスーパーヒーロー
 本名トニー・スターク。軍事企業『スターク・インダストリー(もしくはスターク・インターナショナル)』の社長を務める超天才の発明家にして大富豪
 兵器開発企業の社長として、ベトナム戦争の現場に新兵器のテストのために赴くが、そこで重傷を負ってしまい、敵のゲリラの捕虜とされる
 捕虜となり新兵器の制作を命じられながらも、敵の目から隠れながらスーパーアーマー『アイアンマンスーツ』を作り、ゲリラ軍を圧倒する。帰国後『アイアンマン』として平和のために戦うことを決意した
 ちなみに、このオリジン(誕生秘話)は時代が進むにつれて微修正され続けており、ベトナム戦争から年が経った90年代には湾岸戦争に変更され、近年ではアフガン戦争に変更されている

 トニー本人はスーパーパワーを持たない普通の人間だが、アイアンマンスーツを装着することで無敵の鎧の騎士へと変わる。スーツがあれば空も飛べるしビームも撃てる
 動力は胸部にある『アークリアクター』という特殊装置。だが初期の頃はトランジスターを動力として飛行したりハルクと戦ったりしていた。「うーん、やっぱりこれだね」
 スーツは時代が進むごとに進化しており、より洗練され、より高性能になっていく。種類も豊富で、状況に応じてスーツを切り替えることも
 中には(パラレル世界とはいえ)ガンダムGP03のデンドロビウムのようなスーツまである。一応、トニーはスーツ無しでも普通の人間より強い体術を扱える

10: 2014/09/29(月) 23:01:05.61
小鞠「あ・・・ああ・・・え・・・エイリアンだぁ・・・」ガクガク

夏海「最近の宇宙人はメカメカしいな」コンコン

小鞠「!ちょ、ちょっと何コンコンしてんの!」

夏海「え?いや、気がつくかなーって」コンコン

小鞠「やめなって!も、もし目が覚めたら――」

アイアンマン「――・・・うう・・・」バチバチッ

小鞠「ギャアーーー!!!」ポヒャァー

夏海「うわぁー!」

蛍「わ・・・しゃ、喋った?・・・」

アイアンマン「・・・・・・ここは・・・・・・?・・・アーマー、現在の状況を」

アーマー【―――】

アイアンマン「・・・アーマー?おい」

アーマー【―――】

アイアンマン「緊急回路機動。全システム再起動。アーマー、現在の状況を知らせろ」

 バリッ・・・

アーマー【――・・・再起動中・・・・・・お待ちください】

アーマー【再起動に成功しました】ウィーン

アーマー【サーバーオフライン。ネットの接続先が検出できません】 【ヘリキャリアとの接続が確立できません】 【人工衛星との接続が確立できません】

アーマー【スタークテック・アーマー、メインフレームに未接続】 【サーバーが見つかりません】 【お手上げです】ウィーン

アイアンマン「なんだと!?おい!どういうことだ!ここはどこなんだ!アーマー!」

アーマー【情報の獲得方法がありません。トニー様の目と耳で確かめることをおススメします】

アイアンマン「なんっ・・・」


れんげ「なんかブツブツ言ってるのん」

蛍「む、難しい話みたいだけど、言葉はわかるね」

14: 2014/09/29(月) 23:53:40.13
アイアンマン「レーダー展開。周囲の環境と時間軸を検索」

アーマー【レーダー使用不可。時間軸検索失敗】

アイアンマン「・・・システムの復元は」

アーマー【失敗。修理が必要です】

アイアンマン「じゃあ何が使えるんだ!」

アーマー【エアコンは快適です】


れんげ「・・・」ジー

アイアンマン「・・・!・・・・・・人がいる。どうやら地球から離れてはいないようだな」

れんげ「にゃんぱすー」

アイアンマン「・・・・・・?・・・アーマー、翻訳を」

アーマー【翻訳中・・・にゃんぱすー、とのことです】

アイアンマン「・・・どういう意味なんだ?」

アーマー【意味はわかりませんが友好的な反応を示していますね】

アイアンマン「・・・よっこいせ」グッ


夏海「わー!立ちあがったァーあ!」

小鞠「に、逃げなきゃ!で、でもれんげと蛍を助けないと!れんげー!ほたるー!こっち戻ってきてー!」ウワーン


蛍「あ・・・あの・・・大丈夫ですか?」

アイアンマン「ああ・・・ちょっと空から落ちてきただけさ。よくあることだよ」

蛍「そ、そうなんですか・・・」

れんげ「宇宙人さんなん?」

アイアンマン「れっきとしたアメリカ人だよ。トニー・スターク、聞いたことくらいあるだろ?」

れんげ「きいたことないのん」

アイアンマン「・・・どうやら異世界に来てしまったらしいな。この私を知らない地球人などいる訳がない」

アーマー【ごもっともです】

17: 2014/09/30(火) 21:06:05.15
小鞠「どどどどうしようれんげと蛍が食べられちゃうー!」

夏海「こうなったらウチが囮になる!姉ちゃんはその隙にれんちょんとほたるんを助けだして!」ダッ!

小鞠「な、夏海ー!」


れんげ「アメリカ人さんなのん?」

アイアンマン「そうだが・・・君達は?」

蛍「に、日本人です」

れんげ「きっすいのヤマトナデシコなん」

アイアンマン「・・・・・・日本?」チラッ

 イナカァーーーッ

アイアンマン「・・・・・・まずいな。過去の時間軸に飛ばされてるようだ。異世界の上に過去だと?・・・戻るにはそれなりに準備が――」

夏海「うおおー!」ダダーッ

アイアンマン「うお!?」ビクッ

夏海「すみませんすみません食べないでください地球は見逃してください勘弁してください!」ドゲザァー!

れんげ「なっつんが地面に頭こすりつけて泣き叫んでるのん!倍返しですか!?」

アイアンマン「・・・なんだこの子は」

小鞠「れんげ!蛍!早く逃げないと!宇宙人に食べられちゃうよ!」

蛍「せ、先輩落ちついてください。この人は宇宙人じゃなくてアメリカ人なんですよ」

小鞠「・・・あ、アメリカ人?・・・・・・なーんだ。空から機械に包まれたアメリカ人が落ちてきただけだったのか・・・」ホッ

蛍「それはそれで怖いですけど」

18: 2014/09/30(火) 21:16:05.27

夏海「――つまりあれか。アメリカの天才発明家がシュミで作ったロボットスーツなだけで宇宙人じゃないんだね」

アイアンマン「語弊がありまくるがおおむねそういうことで落ちついてくれ。趣味で作ってる訳じゃあないんだけどな」

れんげ「ハイテクさんなんなー」

小鞠「日本語も上手なんだね」

アイアンマン「言語の壁ってのは世界の壁を越えれば大した問題じゃないんだよ。日本ならMANGAでよくあるだろ?そういう言語の壁を無視した展開」

小鞠「?」

アイアンマン「・・・そうか、ここは過去の日本。まだMANGAが発展してないのかもな」

夏海「うわぉ!未来から来たのん!?すっげー!ドラえもんみたい!」

蛍「何年未来からやってきたんですか?」

アイアンマン「201X年だよ。君達から見れば遥かな未来かもしれないが――」

夏海「それ今年だよ」

アイアンマン「・・・・・・なに?」

夏海「今、201X年だよ」

アイアンマン「・・・」チラッ

 イナカァ~~~ッ

アイアンマン「いやいやいや」ナイナイ

アイアンマン「日本ってのは世界でも指折りのハイテクサイバー都市な街並みか、もしくはOSHIROがある風景しかないものだ。こんな閑散としてるのは・・・そうだな、EDO-JIDAIくらいだな」

夏海「田舎、なめんなよ」

26: 2014/10/03(金) 21:27:42.21
アイアンマン「ほんとに日本なの?ここが?ビルが一つもないじゃないか」

れんげ「そんなハイカラなものはございません」

蛍「日本ならどこにでもビルがあるって訳じゃないんですよ」

アイアンマン「ウソだろ・・・日本に別荘あるから何度も来てるが、こんな未着手の土地があったなんて・・・ビブラニウムでも掘りだせるできるんじゃないか?」

夏海「びぶ・・・?」

小鞠「・・・あー・・・あれね。あのー・・・東京とかにあるアレね」

蛍「えっ」

れんげ「ウチこのまえさつま芋掘りしたーん!」

アイアンマン「しかしまあここが日本だと言うなら逆に好都合だ。私のアーマーを修理しなければならないからな。過去に飛ばされたとあれば修理するパーツが手に入らん」

アイアンマン「日本性の部品があればすぐにでもアーマーを治せるぞ。君達、この辺で電子機器を扱っている場所はあるか?」

夏海「ないよ」

アイアンマン「そうだろうとは感づいてたがもう少しこっちの気持ち考えてくれよ」

蛍「別荘があるっておっしゃってましたが、そこに連絡とかは?」

アイアンマン「だめだ。こっちの世界に私は存在してないみたいだし・・・」

夏海「別荘あるってすごいじゃん!ブルジョワか!」

アイアンマン「フフ・・・なんせ世界的大企業の社長だからな」ドヤサァ

れんげ「!しゃっちょさんなん!?」

夏海「ヘヘヘ、社長どの、肩ァ凝ってやせんかい?おもみしますぜ」モミテモミテ

アイアンマン「くるしゅうないくるしゅうない」

小鞠「とにかくさ、私達だけじゃ何もできないし、大人に任せようよ」

28: 2014/10/03(金) 22:56:26.77
 ・・・・・・

小鞠「せんせー」ガラッ

一穂「Zzz・・・ぐへへ・・・もうちょっと食べれるんよ・・・」ムニャ

夏海「教壇で寝てらぁ・・・」

れんげ「ねぇねぇ!おきるん!」ユサユサ

一穂「Zzz・・・んぁ?・・・おーれんちょん・・・そんじゃ2時間目の授業はじめるかー」

れんげ「もう放課後なん。ねぇねぇ5時間目からずっと寝てるん」

蛍「あの、先生・・・ちょっとご相談がありましてですね」

一穂「あんだい?」

夏海「おとしもの拾ったんスけどー、どうすりゃいいッスかねー」

一穂「へぇ・・・・・・どんなの?」


 カシャン カシャン カシャン

アイアンマン「私がアイアンマンだ」カシャン

一穂「・・・」

 バキバキ・・・

小鞠「あっ・・・床が」

 ドゾォ!

 パラパラ・・・・・・

一穂「・・・」

小鞠「・・・」

一穂「おちてたとこに戻してきー」

小鞠「眼の前の問題を投げないでよ先生」

30: 2014/10/03(金) 23:11:23.63
れんげ「じつはコレコレシカジカ・・・」

一穂「カクカクウマウマ・・・というわけか。なんかおかしな話だねー」ポリポリ

夏海「マトモな話ではないよね」

一穂「えーっと?トニーさんだっけ?どっから来たん?」

アイアンマン「異世界との会合に慣れてない君達にとっては理解できないだろうが、私は別の世界から来たんだよ。別の世界のアメリカ」

夏海「・・・」ジト

小鞠「・・・」ジト

アイアンマン「あー、ジト目してるー」

れんげ「まるちばぁす!?まるちばぁすなん!?」フォオ

アイアンマン「信じられん気持ちもわかるがね・・・ちょっと『ディメンションジャンプシステム』をアーマーに搭載して実験を行っていたんだが・・・失敗してこの世界に墜落したらしい」

蛍「・・・えーっと」

アーマー【次元間の単独移動を行おうとしたものの、次元移動に失敗してここに流れついてしまったということです。その際の衝撃ダメージでアーマーのシステムもほとんど壊れてしまいました】

蛍「はあ・・・大変なんですね」


夏海「姉ちゃん姉ちゃん。この社長さん、たぶん記憶喪失だよ」ヒソヒソ

小鞠「え?どういうこと?」ヒソヒソ

夏海「だって別世界とか言い出してるもんヤバいって。たぶんホントにアメリカの社長か何かかもしれないけど、あのロボット服作って、空飛んでたけど事故で墜落したんよきっと」ヒソヒソ

小鞠「でも・・・」ヒソヒソ

夏海「おそらく墜落のショックで記憶が消えて、社長が今までに見てきたマンガとかアニメの設定が『自分の設定』だと思い込んでるんだよ。だから別次元とか言っちゃって・・・」ヒソヒソ

小鞠「な、なるほど・・・じゃあどうするの?」ヒソヒソ

夏海「ヘタに真実を伝えるとショックだろうから、話合わせておこう。そのうち自分で思い出すだろうし・・・」ヒソヒソ

小鞠「そ、そうだね」ヒソヒソ

32: 2014/10/04(土) 00:06:46.85
れんげ「しゃちょう、おうち帰れないん?」

アイアンマン「うむ・・・今の所、アーマーの機能はほとんど使えんし、なにより次元移動システムが不完全なので危険すぎる・・・まずはアーマーを修理せねば」

 バキバキ・・・ ズゾォン!

蛍「あ・・・また床抜けた」

れんげ「しゃちょう重いん」

一穂「どうでもいいけど外でやれよおめぇーらよぉー」



アイアンマン「で、外だが」

夏海「社長さー、そんなロボット着てて暑くないの?それになんかおっかねーよ」

アイアンマン「ふむ、確かにアーマーで行動しない方がいいかもな。今の状態じゃいつガタがくるかわからん」

アーマー【ちょっ】

アイアンマン「では世界一モテるスーパー実業家の素顔をお見せしようかな」

小鞠「うぇ・・・」

 パカッ

トニー「これが私の本体のハンサム顔だッ!」バァーン!

蛍「わッ・・・」

れんげ「ヒゲはえてるーん!」

小鞠「別にハンサムってほどじゃないんじゃん」

夏海「ソース顔だ!いやこりゃオタフクソースだな!」

トニー「心が裂けそうだ」

34: 2014/10/04(土) 01:00:12.31
トニー「さて、電子機器を集めたいのだが・・・どうすればいいかな?」

小鞠「街に出るしかないんじゃないのかな?この辺じゃ何もないし。ねえ先生・・・・・・あれ?先生は?」

れんげ「また教室で寝てるん」

小鞠「呼びに行った意味ないじゃん・・・」

トニー「街か・・・ではクインジェットで・・・・・・あっ!ないんだった!」ガーン

夏海「ジェット?やっぱ社長スゲー!」

れんげ「プライベートジェットなん!?ジョン・トラボルタみたいなーん!」キラキラ

小鞠「でも無いんだったらしょうがないじゃん」

トニー「うぐっ・・・街へ行くにはどうすればいいんだ?」

蛍「電車ですかね」

トニー「ッフ、ならば話は早い。さっそく行こう。案内してくれるか?えーっと・・・」

蛍「あ、まだ私達の自己紹介してませんでしたね。私は一条蛍です」

れんげ「宮内れんげです!」ビシ

夏海「越谷家の美少女こと夏海ちゃんとー」

小鞠「越谷小鞠。っていうかトニーさんさ、電車賃持ってんの?」

トニー「ッフ、私はカードでお支払いさ」スッ

れんげ「おおー!かっこいいー!」

夏海「お会計はキャッシュでって奴ですねー!」

蛍「あの・・・それって使えるんですかね?」

トニー「へ?・・・・・・あっ!」

小鞠「こりゃダメだ」

36: 2014/10/04(土) 01:20:47.63
トニー「ちょ、ちょちょちょ・・・待って待って・・・いや、アーマー動かない、カード使えない、ケータイ繋がらない、この状態でどうしろというんだ」

夏海「そんなこと言われても」

トニー「い、今になって焦ってきた・・・ここが日本のどこかもわからないし手持ちの現金もない・・・知り合いもいないこの世界で・・・ど、どうやって切り抜けていけばいいんだ!」

蛍「お、落ちついてくださいスタークさん。きっと何か方法が・・・」

トニー「そうだ!君達電車賃と買い物代をくれないか!?元の世界に戻ったらちゃんと持ってきて返すから!」

夏海「えー・・・いくらぐらいさ」

トニー「パーツの修理費もコミコミで・・・こんなもん」チャリーン

夏海「んなお金あるわけないだろがー!」

トニー「NOOOOOOOOO!MY GOOOOOOOOOOOOOOOOD!」

れんげ「だいぶ錯乱してるのん」

小鞠「電車賃だけならまだしもそんな大金持ってるわけないよ」

トニー「どうしろと言うんだ!アーマーもない、資金もないトニー・スタークに何ができるっていうんだ自分で言っててつらい心が!」ダバダー

蛍「え、えーっと・・・お、お金をためるしかないんじゃないですかね」

トニー「!?・・・なに」

小鞠「あー、いいんじゃない?田植えとか手伝ったりしてお駄賃かせげば何とか・・・・・・いや、その値段はさすがに何年かかるか・・・」

夏海「だったら2倍、3倍がんばればいいんじゃない?電車タダ乗りして、部品盗むとかしない限り他に方法もないしさー」

トニー「ちょっと待ってくれ・・・タウエ?・・・な、何をやらせる気だ・・・・・・この私に・・・アルバイトをさせるっていうのか?・・・」

夏海「しょーがないじゃーん。大丈夫大丈夫、簡単な農作業の手伝いでおこづかい稼いでたらすぐだって」

れんげ「しゃちょうは皆のお手伝いするん。きっとみんな助かるんなー」

トニー「・・・・・・酒がほしい」

52: 2014/10/08(水) 22:33:35.21
 ・・・・・・

一穂「ほんじゃまー、この辺の草をむしりまくってもらおーかな」

トニー「・・・この辺って・・・・・・」

 ウッソォォォ~~~ッ・・・・・・

トニー「すごい量の草がうっそうとしてるぞ。よくこんなに放置したもんだ」

一穂「いや~、山の手入れって面倒なんだよね~。ちょうど誰か草刈ってくれないかって思ってたとこなのよー。ちゃんとおこづかい出すからさ。んじゃはい、これ」スッ

トニー「・・・これって・・・カマか?・・・手持ちの・・・」

一穂「うん。これでこう・・・ガっとやってザクっとやってズキューンって感じで草むしるの」ガッザクッズキューン

トニー「いやいやいや、電動のものはないのか?こんなんじゃあ日が暮れても終わらないぞ!」

一穂「だからウチの生徒達にも手伝ってもらうんよ。あ、言っとくけどアレだよ。草むしりもれっきとした学校行事の一つだからね」

れんげ「・・・ほんと笑わせてくれる」

夏海「私達にもこづかいでるんだろーね?」

一穂「え?いや出ませんよ?」

夏海「えー!?社長には出るのにウチらはタダ働きー!?」

一穂「だからこれは学校行事だからねー。社長はほら、お金貯めないといかんらしいからねー。しぶしぶだよ」

夏海「ブー」

小鞠「はあ・・・まあ仕方ない。とっととやっちゃおうよ。トニーさん、行こっ」

トニー「本気なのか?こんなもので草刈りをするというのか?専門業者とか呼ぶもんだろ」

一穂「今日中にここら一帯をすませないとお給料出さないよ~」

トニー「っぐ・・・仕方ない・・・やるしかないな」

53: 2014/10/08(水) 22:56:23.66
小鞠「こうやって、雑草を上にひっぱりながら・・・根元の方を刈るんだよ」ザクッ

蛍「刈った草はこの袋にいれてくださーい」

トニー「・・・その作業を延々とやるというのか」

小鞠「まあこの山全体じゃなくて、この辺りだけだから今日中には終わると思うよ」

トニー「とは言うものの、一歩踏み込めばジャングルみたいじゃないか。マンシングでもいるんじゃあないのか?」

蛍「山道の手入れだけですし、あんまり奥に入らない方がいいですよ」

小鞠「というか、マムシとか気をつけてね。草の中とかいるから」

トニー「ええい!ふてくされてても仕方ない!やってやる!ゴールデンアベンジャーをなめるなよ!」

蛍「あっ、日中ですし帽子をかぶった方が・・・」

トニー「いくぞオアアー!」


 ・・・・・・

トニー「」ドサッ

蛍「完全にダウンしちゃいましたね・・・」

小鞠「日光直射受けてたもんね」

トニー「・・・こ、腰が・・・・・・腰がブレイクアウトした・・・」グググ・・・

れんげ「あー、しゃっちょがフテネしてるーん」

夏海「ちょっとしっかりやりなよー。社長につきあわされて私達もやってんだからさー」グイ

トニー「っぐ・・・や、やめろナツミ・・・こ、腰がもう・・・」

夏海「そんなくらいでヘコたれてるんじゃない!この草刈ラー夏海ちゃんが雑草刈りのコツを教えてやる!」

れんげ「草刈り2段のウチもごキョウジュしますん!」

トニー「なんでこの子達はこんなにパワフルなんだ・・・私だって生身では常人以上だというのに・・・・・・慣れか・・・育った環境か?・・・どちらにせよ・・・アベンジャー候補生にいいかもな・・・」

55: 2014/10/09(木) 00:24:54.88



一穂「はい、ごくろーさんー」

トニー「・・・・・・じゅ、重労働だ・・・こんな仕事内容だとボイコットが起きるぞ・・・」クタクタ

夏海「社長ってばけっこう手先器用だから素質あるよ。こんどはウチの庭の草むしりやってもらいたいね」

トニー「絶対にもうやらんぞ・・・トニー・スタークにとって腰が動かなくなるということは大問題なんだからな」

小鞠「?」

一穂「ほんじゃーこれ、今日の仕事分のお給料ね」ス

トニー「ッ・・・に、二千円・・・しかもハダカで・・・」

夏海「うわー!社長いいなー!めっちゃもらってんじゃーん!」

れんげ「ねぇねぇドテっぱらなん!」

トニー(あれだけの重労働で二千円・・・こ、これでは目標までに5,6年はかかるんじゃないか?・・・)

一穂「あー、それとねー、社長さんには学校の宿直室に泊まってもらうことになってんだわ」

トニー「宿とかないのか?・・・」

一穂「人ん家に泊めてもらうよか気が楽かと思って。あ、別に戸締りがめんどくさいとか、ついでに校内の掃除してもらおうとかそういう考えじゃないんよ?」

トニー「わかったわかった!やりゃあいいんだろやりゃあ!」

一穂「いや~助かるわ~」

蛍(先生、スタークさんをいいように使おうとしてる)

56: 2014/10/09(木) 00:38:10.62
 ・・・・・・

トニー「で・・・今日の仕事場がここか」

楓「お、アンタが噂のヒゲ社長か?」

トニー「WHOA。キレイな子ヤッタ!」

楓「先輩から話は聞いてる。なんかテキトーに仕事でもおしつけてこづかい握らせてやってくれって」

トニー「ずいぶんな言いようだ。私はトニー・スターク。私は女性の扱いには慣れていてね・・・少し君の話を聞かせてくれないかな?まずはお互いにしっかりと知りあうことから――」

楓「いらん話するなら帰ってくれ。私ゃ暇じゃないから」

トニー「すんません仕事ください」

楓「でもなぁ・・・本当のところ、帰ってもらってもいいんだよ。いつも私一人でやってることだし」

トニー「そこをサポートして君の仕事を軽減するのが私の役目だ。とにかく仕事をくれないか。早く帰らないと田舎パニック症候群に襲われてしまいそうだ!」

楓「わかったわかった。んじゃ・・・荷物の配達してもらう。ウチは駄菓子屋だけど物品の貸出とか取り寄せもやってるからな」

トニー「運び屋か。しゃがみこんで土を顔に浴びながら植物を伐採するよりかはいいな。あんなのやってたら身体が壊れるよ」

楓「じゃ、これ」ドササッ

トニー「前言撤回。なんだこりゃ砂漠のキャラバンか!?」

楓「一度に全部とは言わないさ。本日の配達分だ。チャリはそこの使っていいよ」

トニー「なんだと自転車ぁ!?ここは産業革命前の世界か!私だって免許は持ってるんだからキーをかしてくれ」

楓「ガソリン代給料から引くけどいいか?」

トニー「うぐっ・・・OK、自転車で行くよ。アシストも何もないものに乗るなんて何十年ぶりだろうな」

楓「配達先のメモね。地図も。代金とハンコもらってくればいいから。ちゃんと挨拶しなよ。こーゆーとこでは人づきあいが大事なんだから。リピーター逃したりしたら給料ナシな」

トニー「・・・悪くないね」

59: 2014/10/09(木) 21:39:13.71

 チリンチリーン

トニー「はあっ・・・ひいっ・・・ふうっ・・・へえっ・・・」コギコギ

トニー「ほおっ・・・・・・つ、ついたな・・・地図ではここの家で間違いないはずだ・・・それにしても・・・自転車もけっこう身体使うんだな・・・」

トニー「えーっと、ここで間違いないな。カンジの読みはまだ慣れないが、表札と同じ字だということくらいわかるさ。象形文字と思えばいい」

トニー「あいさつを丁寧にしろと言っていたな。日本人はやはりレイギに厳しいというのは本当らしい。まったく気苦労の絶えない人達だ」

トニー「・・・・・・ん!?・・・玄関の扉が・・・開いたままだぞ・・・・・・ま、まさか!」ダッ


 ダン!

トニー「動くな!」



 ・・・・・・

一穂「――で、私が呼ばれてなんとか納得してもらえたよ。いやぁ~、大塚さんとこから電話があった時は何ごとかと思ったよ」

トニー「・・・」ショボン

楓「・・・アンタ、いきなり大塚さん家に土足であがりこんで威嚇したって?何がどうなったらそんなことしようと思うんだ。酒でも入ってたのか?」

トニー「・・・玄関の扉が開きっぱなしだったから・・・強盗かと思ってつい」

一穂「『ヒゲ面の外国人が家に怒鳴り込んできた』って電話があったんよ。社長さんがウチの名前出してくれなかったら今も続いてただろうね~」

楓「あのな、ここら辺の家は昼間に玄関開けっぱなしってのは普通なんだよ。アメリカじゃ違うのかしらないけど」

トニー「家の入口が開きっぱなしというのは何らかの事件に巻き込まれたかピザの宅配かのどちらかと相場が決まってるんだ。この土地の風習だとは知らなかったんだ」

楓「・・・一応相手方は穏便に済ませてもらえたけどさ・・・この辺りでそういう物騒なことはほぼ無いから。辺にかきまわすようなことはしないでくれ」

トニー「面目ない・・・もう失敗しないから、クビにしないで」

一穂「ウチからも。社長さんに仕事分けてやってよ」

楓「しょうがないな・・・次は問題起こさないでくれよ」

トニー「イエス、マム」

楓「マムはやめろ」

63: 2014/10/10(金) 00:00:18.04
 ・・・・・・

トニー「ふう・・・次はこの家だな・・・配達する度に荷物が減って軽くなるのだけが救いだな。アーマーが飛べればこんなのカートゥーンアニメの放送時間より短い間に終わるのにな」

トニー「また玄関が開いてる。NYだったら家財道具全部ごっそり消えてしまうだろうな・・・さて、あいそよく・・・いい人そうに・・・明るく・・・だな」


トニー「ヤア、ヤア、ヤア、ドーモ、コンニチワ。ハラダ=サン、いるんだろ?おたくが注文した品を持ってきたトニー・スタークだ。サインは後日するから、今日はハンコと金だけ用意してくれ」

 シーン・・・・・・

トニー「・・・・・・おーい、誰かいないのかー?」

 シーン・・・・・・

トニー「フム、家の中からテレビの音もしないし会話も聞こえない。留守だな。なんとも消化不良だがまあいい。次の配達分を積みにダガシヤに戻るか」

 ギーコギーコ・・・



 ・・・・・・

楓「もっかい行ってこい」

トニー「だから留守だったんだって。家の中から物音もしないし、何度か声をかけたが無反応だった。きっとアキバハラにスマートフォンでも買いに行ったのさ」

楓「違う。原田家は裏に畑があるんだ。この時間だと畑仕事しててアンタに気付かなかったんだよ。もっかい行って、家の裏の畑にいる原田さん家のばーさんに届けてこい」

トニー「ま、またあそこまで行けっていうのか?道中に坂道があるんだぞ。もう一度坂を越えようとしたら途中でころげおちてしまう」

楓「それも仕事の内だろ。アンタ社長ならそういう仕事をする者の気持ちも知っておいてやるべきだ。ほら、行ってこい」

トニー「・・・はぁ・・・・・・イエス、マム」

楓「マムはやめろっつったろ」

トニー「だって女だろ?」

楓「・・・」ゴゴゴゴゴ

トニー「わかった!ジョークだよジョーク!ちょっとからかっただけ!」

楓「今ので千円給料から天引きな」
0
トニー「仕返しにちょっとからかっちゃったからチクショウ!」

65: 2014/10/10(金) 00:24:44.88
 ・・・・・・

トニー「――ってな感じでさんざコキ使われた!次はあっちー、次はこっちー、それが済んだら次はこの荷物ーッ、しかも愛想なく淡々と指示するだけ!おかげで普段使わない筋肉が筋肉痛だ!」

れんげ「しゃっちょ荒れてるねんなー」

トニー「ここの校舎に入ろうにも段差すら足が上がらない!這って入ったんだ!このトニー・スタークが!這って!小学校に入ってフトンにくるまった!こんなことってありえるか?」

小鞠「・・・トニーさん、愚痴ばっかりだね。あと10分で1時間目始まるんだけど」

トニー「私の苦労を聞いてくれるのは君達だけだ。私の胃に穴があくまでは話し続けるぞ。ホタル、牛乳」

蛍「はい」コト

トニー「ありがとう。こんな環境じゃ飲まなきゃやってられないよな。アルコールが無くても『飲んでる』って感覚だけでずいぶんマシだ。そう思いこむようにしてる」グビグビ

れんげ「もう6本目なの」

夏海「こりゃお酒だったら完全に壊れちゃうね」

蛍「スタークさんちょっと飲みすぎですよ。あんまり飲むとお腹壊しますよ」

トニー「地球最強のヒーローが腹痛なぞ恐れるか」グビグビ



 ・・・・・・

 ジャバー

 ガチャ

トニー「ちくしょう・・・・・・腹の中にガラスでも入ってるみたいに痛い・・・・・・ウルトロンと戦ってる方がよっぽどマシだ・・・」

75: 2014/10/12(日) 22:05:33.26
 ・・・・・・

夏海「次の時間って何の授業だっけ?昼寝?」

小鞠「数学だっての」

夏海「あー、休憩の時間か」

小鞠「数学だってば。夏海次のテストも点数悪かったらお母さんにすんごい怒られるよ。今度こそ本当にヤバイよ本当に」

夏海「テスト・・・点数・・・うっ・・・頭がッ・・・」

れんげ「しっかり勉強したら大丈夫。なっつんはやればやれる子なん」

夏海「れんちょん・・・」ウルッ

小鞠「でも夏海勉強やらないからなぁ・・・」

蛍「あ」

夏海「?」

蛍「私にいい考えがあります」



トニー「勉強を教えろって?」

蛍「はい。スタークさんすごい発明家だそうなので、中学の数学くらい簡単かと思って」

小鞠「なるほど、社長に夏海の専属コーチになってもらうってことね」

トニー「数学か・・・なんだか面倒だな」チラッ

一穂「Zzz・・・」グカー

れんげ「大丈夫なん。後で授業料をねぇねぇに出してもらいますので」

小鞠「授業なのに寝て生徒を放置してるもんね。それくらいもらってもいいもんでしょ」

トニー「しかし中学生の数学問題か・・・私にやらせるということはプレステ4でゲームボーイのソフトを起動させるようなもんだぞ」

蛍「よくわかんないです」

れんげ「なっつんがテストでおこられない点数とれるように手取り足取りしてあげてくださいますん!」

夏海「えー・・・なんかヤだなーあたし」

トニー「む・・・・・・なんだナツミ、私に教わるのはイヤだと?」

夏海「うーん、まあ・・・」

トニー「いいだろう、ならば勉強だ。私が教えるからには必ず100点をとらせてやるぞ。任せろ。やってやる、やってやるぞ」

小鞠「逆にやる気スイッチはいっちゃった」

76: 2014/10/12(日) 23:55:54.00
 ・・・・・・キーンコーンカーンコーン

れんげ「おわったーん」

小鞠「夏海、社長のマンツーマン授業どうだった?」

夏海「」

小鞠「ありゃ」

蛍「何だか放心状態ですね・・・」

れんげ「しゃっちょさんなっつんに何したん?」

トニー「別に大したことじゃあない。数字を使った勉強だよ。10人の人間ににエクストリミスを打ち込んだ場合、成功して生き残る確率を計算させただけだ」

小鞠「何か知らないけど確立の問題かぁ」

トニー「被験者は全員同じ状況での確立だから単なる確立の計算式になるんだが、その答えを出すためには普通の人間がエクストリミスで生き残る確率を先に出しておかなければならなく――」

蛍「も、もう何がなんだかわかりません」

小鞠「その長い上に意味不明な問題を聞いてる内に夏海の頭がオーバーヒートしちゃったのか」

トニー「君達がナツミに数学を教えろというからやったんだぞ」

れんげ「教科書に沿って教えるだけでよかったものを」

トニー「教科書なんぞで得られるものは学校のテストで使うためだけのものだ。そんなものより学ぶべきことがたくさんあるのさ」

小鞠「学校のテストで点数をとるために勉強教えてって言ったのにね」

れんげ「しゃっちょさん、我が強すぎるん。ワンマン経営はよくないのん」

トニー「な、なんだよ・・・」

一穂「・・・んぁ・・・・・・あー、今日の授業も無事終わったねー」ウィー

トニー「ミス・カズホ、君がぐっすりの間に私が代わりに授業をしてやったぞ(ナツミの)」

一穂「んぇ?」

トニー「というわけで・・・ハイ、授業料プリーズ」スッ

一穂「おー、なんか知らんがはい」チャリン

トニー「200円!?ジュースのおつかいじゃないんだぞ!」

一穂「ウチが知らない間に話すすめられてたから・・・次からは事前に申請しておいてね」

トニー「うぐっ・・・」

れんげ「しゃっちょさんも大変なんなー」

トニー「・・・お金をもらうというのは本当に大変だと身にしみるよ」


78: 2014/10/13(月) 00:38:20.08
 ・・・・・・

れんげ「にゃんぱすー」

アーマー【にゃんぱす】

れんげ「しゃっちょさんのアマさん、賢いんなー」

アーマー【世界中のあらゆる状況に対応した計算ができます。異世界までとなると多少不安ですが】

れんげ「一たす一は?」

アーマー【2です】

れんげ「ブッブー、わかってないのんなー」チッチッチ

アーマー【計算ミスでしたか?】

れんげ「一たす一は『田んぼの田』って相場が決まってるん!」ドヤサァ

アーマー【なんと。実に見事なナゾナゾですね】

れんげ「アマさんはじゅうなんなはっそうができないのんなー」

アーマー【機械ですので、固い頭しか持ち合わせておりません】

れんげ「常識にとらわれないことが大事ですので」

アーマー【参考にさせてもらいます】


蛍「あれ?れんちゃん何してるの?」

れんげ「アマさんとお話してるん」

アーマー【正確には、アーマーですが】

蛍「ああ、教室の端っこに飾ってあるアーマーさんとお話か。喋れるんですよね?」

アーマー【自立可動機能は現在機能停止していますが、システムは無事です。話し相手程度の役には立てると思います】

れんげ「全部直ったらどんなことができるのんー?」

アーマー【そうですね・・・地球を救う程度のことはできるかと】

れんげ「かっこいいーん!グレートマンみたいなんなー!」キラキラ

蛍「アーマーさんってそんなにすごいんですねー!」

アーマー【えへへ】


トニー「私よりアーマーの方が女の子にモテるなんて・・・世も末だな・・・」

81: 2014/10/18(土) 23:19:54.12
 ・・・・・・

トニー「マイドドーモ。今後ともぜひごひいきによろしく」ペコッ

ばーさん「いつもありがとうねぇ戸似井さん。重かったでしょうに」

トニー「フッフフ、私は超人に鍛えられたからね。これくらい簡単さ」

ばーさん「正直最初は余所から来た外国人さんってだけで少し怖かったんだがねぇ、戸似井さんがこんなに気さくでいい人とは思わんかった~。すまんかったのう」

トニー「そういうことはいちいち言わなくてもいいんだよ。ま、私に免じて今後もカエデのダガシヤをご利用してやってくれ。私のためにもなるし」

ばーさん「はいはい~」

トニー「じゃっ」シュタッ

 チャリンコヒィーロォー


 ・・・・・・

トニー「仕事完了だ。今日の分はこれで全部終わったぞ」

楓「おー、ごくろうさん。ずいぶん慣れてきたな」

トニー「当初こそ環境に慣れていなかったからな・・・だが天下のトニー・スターク、一度相対すればどんなことだろうとすぐに対応してみせるものだ」

楓「そっかぁ。はいこれ今日の日当」ス

トニー「アリガトウゴザイマスッ!」ペコォ

楓(こいつ本当に元もとは大企業の社長なのか?)

トニー(ここに来てから労働する者の立場を身をもって知ったな・・・ウチに帰ったら会社の労働体制を見直そう)

トニー「じゃあ私は学校に戻るよ。また仕事があれば呼んでくれ」

楓「おー」


 ・・・・・・

れんげ「あ、しゃっちょさんなーん」

夏海「やっほー社長ー。駄菓子屋の配達終わりー?」

トニー「ああ。君達も学校終わりか?これから帰るところか?」

夏海「まねー。どっかで遊んでいこっかーって話してたとこ」

蛍「スタークさんもどうですか?」

トニー「子供の遊びに付き合えって?ハハハ、日本人ジョークヘタ」

小鞠「なんか感じ悪い・・・皆行こっ。社長、あとでくやしがっても知らないからね」

トニー「・・・」

83: 2014/10/18(土) 23:48:51.20
 ・・・・・・

小鞠「結局ついてくるんかいっ」

トニー「コマリがそこまで言うから」

小鞠「別にそういう意味じゃなかったんだけど・・・」

蛍「まあまあ」

トニー「で、どこに向かっているんだ?山の方か?」

れんげ「クワガタとりに行きますのん」

トニー「スタッグビートルハントか・・・子供らしいね。しかしけっこう高いとこまできたな」

夏海「社長、この山のぼるの初めて?」

トニー「そうだな。こんなトコまで配達はないし、山の中では仕事も転がってないからな」

夏海「へへへ、じゃあこっから見れる景色も知らないんだね」

トニー「?」

れんげ「ここからは村が絶景なのん」

小鞠「何もないけどキレーな景色が見れるんだよ」

トニー「何もないって・・・そりゃ絶景と言えるのか?」

小鞠「う・・・」

トニー「言っておくが、私は世界中のあらゆる絶景という絶景を見てきたんだ。ロサンゼルス、ラスベガス、ドバイ、オーストラリア・・・ずいぶん目がこえてると思うがね?」

夏海「フフフ、これを見てもそんなことが言えるかな?」

れんげ「ついたのん!しゃっちょさん!ここから見てみてなのん!」

トニー「やれやれ・・・こんな大昔の時代みたいな村の景色なんて・・・・・・」



 ------・・・・・・

トニー「ッ・・・・・・」

れんげ「どうなん?しゃっちょさんどうなん?」

トニー「・・・・・・綺麗なところだ・・・なんというか・・・・・・無駄が一切ない・・・ゴチャゴチャしたものが何もなく、自然の本来の姿というべきか・・・・・・実に美しい景色だ・・・」

蛍「ですよね。私もはじめて見た時はすっごく感動しました」

トニー「・・・緑がたくさんあって・・・しかし人の生活も所々に見える。なんだか・・・穏やかな気分になるな・・・」

小鞠「な、なんか難しい感じになってる」

トニー「人が住んでいる場所で、こんなに綺麗な景色がまだ地球に残っていたとはな。こういうものは残していくべきだ・・・古き良きというか・・・・・・」

夏海「今まで見てきた景色ってのが人の手で作られてたものが多かった分の反動ですっげぇ感動してるや」

トニー「この景色はぜひアレックス・ロスに絵にしてもらいたいね」

85: 2014/10/20(月) 22:55:44.78
れんげ「とおっ」ガシッ

れんげ「くわがたー」グワシグワシ

夏海「おー、ノコギリじゃん。けっこうデカイな」

蛍「あ、センパイ!こっちにもいますよ!これ!これなんて名前ですか!?」キャッキャ

夏海「そりゃーミヤマだね。っていうかアグレッシヴほたるん出てきたな」

蛍「こっちは!?こっちのカワイイのはなんていうんですか!?」キャッキャ

夏海「コクワだよ。ねーちゃんみたいなクワガタ」

小鞠「なんで神経逆なでするようなこというのさ!」

蛍「かわいぃ!」

トニー「ほう・・・これは・・・大きなクワガタだ」

れんげ「!しゃっちょさんのとったクワガタものすごくデカイのん!ブラックオックスなん!」

夏海「ッゲ!それってオオクワじゃん!すげー!」

小鞠「こ、こんな大きいのなかなかいないよ!」

トニー「これが黒いダイヤと呼ばれる日本のオオクワガタか。クワガタも私にとられることを誇りに思っているだろうな」フフフ

夏海「やっぱ社長ともなると違うんだね・・・持ってるものが」

トニー「これが一般人とトニー・スタークの違いだよ、ナツミ」ドヤサァ

夏海「っぐ・・・社長のくせに!」

 ・・・・・・


蛍「はぁ~・・・クワガタとり楽しかったです」

小鞠「また今度とりにこようよ皆で」

夏海「次こそはウチもオオクワとってやる!社長よりもすっごい大きいヤツ!」

トニー「ハハハ、まあせいぜいがんばるんだな」

れんげ「ウチはオウゴンオニクワガタとりたいんなー」


このみ「あれー?皆なにしてんのー」オーイ

小鞠「あ、このみちゃんだ」

蛍「学校の帰りですか?」

このみ「うん。皆は・・・山行ってたの?」

れんげ「しゃっちょさんが黒いダイヤとったん」

このみ「え!」

小鞠「比喩表現だよ」

86: 2014/10/20(月) 23:09:31.05
このみ「あー、トニーさんも一緒だったんだー」

トニー「コノミだったね。ちゃんと話をしたことはなかったな」

このみ「うん、よろしくねー」

夏海「社長顔広くなったね。最初の頃はここはどこだー、日本なわけないー、酒がほしいーって泣き叫んでたのに」

トニー「カエデのおつかいのおかげでここらの土地と人を大体学んだよ。ところでコノミは歳は18だったか?17だったっけ?」

このみ「なんでそんなこと聞くの?」

トニー「いやぁ法には触れたくないし、カエデは指一本触れさせてくれないし、カズホはちょっと――」

このみ「あ、ごめん電話だ」ピ

トニー「なんだよチェッ!日本人ってガード堅いよな」

夏海「?」

このみ「もしもし?ひかげちゃん?何?」

れんげ「ひかねぇから電話なん」

トニー「ヒカゲって?」

蛍「れんちゃんのお姉さんで、先生の妹さんですよ。高校1年生で東京の高校に行ってるんです」

トニー「へえ、田舎を出て都会に上京したのか」



トニー「・・・・・・・・・ん?」


このみ「へー、東京ってスゴイネー。え?・・・ああ、偶然電波通ってた所歩いてたみたいだね。さっきまで何度もかけてたの?そりゃここら辺ほとんどが圏外だし――」

トニー「・・・なあ・・・コノミの使ってるアレって・・・・・・」

蛍「へ?・・・ケータイですか?」

トニー「・・・・・・」



トニー「ケータイ!!!」クワッ

87: 2014/10/20(月) 23:17:07.45
小鞠「わっ!び、ビックリしたぁ・・・」

夏海「どうしたのさ社長、急に・・・」

トニー「ケータイじゃあないかッ!ケータイ!ポケットに収まる最先端の機械!」

夏海「な、なにをいうとんねん・・・」

 ひかげ【なんか後ろがやかましいけどどうかした?】

このみ「・・・あ、いやいやごめん、こっちの話で――」モシモシー

トニー「コノミ!そのケータイを私にくれ!ぜひ!」ガシィ

このみ「うわっ!?な、なに!?」ビクッ

トニー「今すぐ電話を切ってくれ!商談しようそうしよう!」グイ

このみ「あ、ケータイ返してよ」

 ひけげ【このみ?もしもーし?】

トニー「悪いな!後でかけ直せ!」ピ

 ひかげ【えっ、ちょ――】ピ

このみ「もうっ、何よ急にアタフタして」

トニー「コノミ、このケータイをゆずってくれ。それなりの金ははらう!」

このみ「・・・どうしちゃったのこのヒゲおじさん?」

夏海「あー、たぶんケータイの部品がほしいんだと思うよ。元の世界に帰るために機械でできた鎧を修理しなきゃなんないんだって」

トニー「そゆこと!いくらなら譲ってくれる?交渉しようそうしよう!」

このみ「いやだよ」

トニー「っ!」ガーン

れんげ「しゃっちょさんの商業スキルもここでは話になりませんなー」

91: 2014/10/22(水) 16:28:12.05
トニー「そ、そこをなんとか。元の世界に戻ったらちゃんと新品の買って返すから」

このみ「うーん、そう言われてもなー」ウーン

小鞠「っていうかケータイがあればあのメカスーツ直せるもんなの?どう考えても無理があるような・・・」

このみ「あ、古いのでよければあげるよ。前に使ってたやつ」

トニー「!ほ、本当か!」

このみ「今使ってるやつに機種変する前のだから、解約してて電波も繋がらないし電源も入るかわかんないよ?」

トニー「それでもいい!部品さえあれば何とかするさ!」

このみ「うーん、でもどうしよっかな~」ウーン

トニー「AIE!?く、くれるんだろ!?」

このみ「とはいってもなー、あの頃の思い出とか色々感慨深いものがあってさー、だから捨てずにとっておいたんだけどなー」ウーン

夏海「ケータイってそういうもんなの?」

れんげ「思い出は心のアルバムなのん」

夏海「え?」

このみ「まあいいや。その代わり今度何かでお返ししてね」

トニー「えっ!・・・ま、まあこの際仕方ないな。わかった。(っぐ・・・この子、潜在的魔性の女か!)

このみ「じゃ取りにいこっか。でもホントに使えないよ?いいの?」

トニー「いいのいいの。捕虜にされながらスーパーパワースーツを作ったトニー・スタークに不可能はない」

92: 2014/10/22(水) 16:28:57.32
トニー「そ、そこをなんとか。元の世界に戻ったらちゃんと新品の買って返すから」

このみ「うーん、そう言われてもなー」ウーン

小鞠「っていうかケータイがあればあのメカスーツ直せるもんなの?どう考えても無理があるような・・・」

このみ「あ、古いのでよければあげるよ。前に使ってたやつ」

トニー「!ほ、本当か!」

このみ「今使ってるやつに機種変する前のだから、解約してて電波も繋がらないし電源も入るかわかんないよ?」

トニー「それでもいい!部品さえあれば何とかするさ!」

このみ「うーん、でもどうしよっかな~」ウーン

トニー「AIE!?く、くれるんだろ!?」

このみ「とはいってもなー、あの頃の思い出とか色々感慨深いものがあってさー、だから捨てずにとっておいたんだけどなー」ウーン

夏海「ケータイってそういうもんなの?」

れんげ「思い出は心のアルバムなのん」

夏海「え?」

このみ「まあいいや。その代わり今度何かでお返ししてね」

トニー「えっ!・・・ま、まあこの際仕方ないな。わかった。(っぐ・・・この子、潜在的魔性の女か!)

このみ「じゃ取りにいこっか。でもホントに使えないよ?いいの?」

トニー「いいのいいの。捕虜にされながらスーパーパワースーツを作ったトニー・スタークに不可能はない」

93: 2014/10/22(水) 16:43:41.66

れんげ「というわけでこまちゃんとなっつん家に来たーん」

夏海「このみちゃんチ隣だからここで待っててってさ」

トニー「ここがコシガヤ家か・・・実際に来るのは初めてだな」

雪子「あらいらっしゃい。社長まで皆揃ってどしたの?」

トニー「お邪魔するよミセス・ユキコ。実はコレコレシカジカ・・・」

雪子「カクカクウマウマ・・・てことなのね。なんだかよくわかんないけど、かき餅焼いたんだけど食べてく?」

夏海「おおっ!かき餅じゃーん!やったー!もーらいっ」ヒョイ

トニー「カキ・モチ?・・・」

小鞠「お煎餅みたいなもんだよ。もち米焼いただけだけどね」

れんげ「うちもかき餅食べるーん」バリリッ

蛍「この辺りではよく食べるお菓子だそうですよ」

トニー「フム、ワガシといったところか?どれ一つ」

小鞠「そんなこじゃれたものじゃないけどね」

トニー「・・・うん・・・まあ、あんまり味しないな」

夏海「そーいうもんなのさッ。もいっこもーらい」

雪子「夏海っ!あんまり食べすぎるんじゃないの!っていうかアンタ服に木の枝とか葉っぱいっぱいついてるじゃない!ちゃんと外で落としてきな!」

夏海「げー、おやつの時くらい怒鳴らないでいられないのかねウチのかーちゃんは。そのうち怒りすぎて緑の怪物になっちゃうんじゃないの」

 POW!

夏海「」シュゥ~・・・

小鞠「お、おぼんで夏海をっ・・・」

れんげ「しごとにんみたいなん」


このみ「お待たせー、トニーさん持ってきたよー」

トニー「おおっ!待ってたぞコノミ!」

このみ「ついでに動かなくなったCDプレイヤーとか扇風機とかストーブとか何のかわからないリモコンとかも持ってきたよー」ドサッ

トニー「UH-HUH!」イェア!

雪子「ちょっと、廃品回収でもするのかしらないけど、ウチに置いといたりしないですぐ持ってきなさいよ」

94: 2014/10/22(水) 17:00:10.73
このみ「こんなガラクタでも使えるの?」

トニー「私にかかればポリバケツで飛行機が作れるさ」

蛍「それはいくらなんでも誇張では・・・」

小鞠「あー、じゃあさ、ウチのも持ってく?」

トニー「え!」

小鞠「おかあさん、なんかいらないものとかないー?」

雪子「あら、本当に廃品回収なの?タダで持ってってくれるの?」

トニー「ペンライトからパソコンまで真心こめて下取りします」

雪子「じゃあいくつかあるから持ってってくれるかしら?いやぁ助かったわ。ゴミを捨てるのにもお金がいるんだもの。タダでもらってくれるならジャンジャンもってって」

トニー(や、やったぞ!これだけあればアーマーを修理するのも不可能ではない!もちろん応急な修理でしかないが・・・それでも何とかなりそうだ!)

トニー(なぜ今まで気づかなかったんだ。いくら田舎な所といっても全く電子機器が無いなんてことはないんだから、こうやって使わなくなったものをもらえば、わざわざ新品を買う必要などない)

トニー(・・・今までかなり頑張って金をためてきたが・・・無駄だったな。・・・・・・いや、無駄ではないか・・・お金を稼ぐということの大切さを改めて痛感したし・・・色々と勉強にもなったしな・・・)

トニー「よし、とりあえずこのガラクタの山を学校まで持っていって、アーマーの修理に取り掛かろう!」


 ・・・・・・

 ドサッ

トニー「どうだアーマー!これだけ機械を集めてきたぞ!お前を治せそうだ!」

アーマー【どれも中古品のように見えますが・・・】

トニー「フフフ、節約だよ節約。タダでこれだけのパーツをもらえたんだ。トニー・スタークでも節約した方がいいって学んだからな」

アーマー【トニー様の考え方がここまで変わるとは、この集落は何か特殊なパワーを持っているのかもしれませんね】

95: 2014/10/22(水) 17:43:58.93
 次の日のあさー

れんげ「にゃんぱすー」ガラッ

トニー「ああ、ニャンパス」カチャカチャ

夏海「おっ、社長やってるね」

蛍「教室の後ろの方でアーマーさんの修理してるんですね。どうですか?直せそうですか?」

トニー「うーむ、正直難しいな。ここにある部品のほとんどはアーマーと規格が合わないし、何よりアーマーの壊れている部分は単なる破損ではないからね」カチャカチャ

小鞠「?」

蛍「・・・と、いいますと?」

トニー「アイアンマン・アーマーは空から落下したくらいじゃ壊れやしない。今回の故障は異次元空間の移動に失敗したことで凄まじい衝撃を受けてしまったからだ。つまり普通の壊れ方じゃない」カチャ

トニー「だからアーマーを直すにはやはり相応なパーツがなければ難しいということだ」ギュゥーン ガガガ

小鞠「?」

夏海「よーわからんが、つまり直せないの?じゃあそれ何作ってんのさ」

トニー「元の世界に戻るための異次元移動装置さ。アーマーに試作型として搭載していたプログラムをこの装置に移し、次元移動を可能にする装置を作っているんだ」ジジジジ

トニー「私が次元移動に失敗したのは、アーマーに次元移動システムを搭載して単独で移動しようとしたからだ。アーマーにシステムを載せるためにあまりにも規模を抑えすぎた」ガコン

トニー「小型化しすぎたのが問題だったんだ。だから今度は次元移動システムを作動させるだけの装置を作り、それで元の世界に戻るというわけさ」カチャカチャパクン

トニー「アーマーと次元移動装置を別個にすればアーマーにかかる負担も次元移動システムが負う負担も分割されるからね」ドリリリ

小鞠「?」

れんげ「しゃっちょさん・・・ちょっとなにいってるかわかんないですけど」

トニー「つまりだな、靴にタイヤとエンジン付けて走ろうとしたから無茶だったんだ。だからタイヤとエンジンを積んだ車を作るってわけさ」ウィーン カチャカチャ

小鞠「?」

夏海「よーわからん」

 ガラッ

一穂「ういー、皆来てるねー。朝の会はっじめっるよー。・・・あれ社長、なにしてんのん?」

トニー「あ、カズホ、私のことは気にせずにいつも通り授業をすすめてくれ」カチャカチャ

 カチャカチャ ウィーン ギュルルルル ドリドリ カチャ ガコン キュゥゥゥン カチャカチャ

一穂「・・・あー・・・もうちょっと静かにできないかね?やかましくて寝れそうにないんだけど」

小鞠「授業の邪魔になるって言ってよ建前でも」

96: 2014/10/22(水) 18:25:55.64
 ―図工の時間―

一穂「んじゃ皆それぞれ作りたいもん、描きたい絵でも描いて創造力をアレしてちょーだい」

れんげ「インスピレーションなん。ウチ粘土やらせてもらいますッ」フンス

蛍「私も粘土にしよっかな。れんちゃん、一緒に作ろっか」

れんげ「オールオッケーなのーん」

夏海「ウチは絵画でもかきますかな。博物館に飾られるレベルの」

小鞠「はいはい。私は絵具使おうっと」

トニー「図画工作か。私を前にしてその授業とはあてつけか?」カチャカチャ ガキョン

夏海「へへへ、こりゃケッサクが描けるぜ」カキカキ

小鞠「もはや授業じゃなくてラクガキなだけだけど・・・」

夏海「えーっと、社長ーっ、そのメカスーツってなんて名前だっけー?」

トニー「鎧の騎士、鋼鉄のアベンジャー、インビジブル(無敵の)・アイアンマンさ」カチャカチャ

夏海「じゃーん!夏海ちゃんの大傑作ー。題して『ウチが考えた最強のアイアンマン』!」テッテレー

れんげ「おぉー!なっつんすごいん!ジョー・マデュレイラみたいなん!」

蛍「黒色のアイアンマンさんですね」

夏海「それだけじゃあございやせん。腕にはすっごい武器を装備してるんだよ!肩にはガトリングガン!反対側の肩にはミサイルランチャーがあるんだ!」

小鞠「本格的にただのラクガキじゃん・・・」

夏海「これならどんな悪人でも敵じゃない!ズドドドドーン!」

れんげ「ハカイのケシンなのん!デストロイヤーですか!?」

トニー(あれってウォーマシンだよな?・・・中1の女の子の想像力と同じとは、ローズの奴引退してしまうな)

100: 2014/10/22(水) 19:25:27.64
夏海「うっしゃー!なんかイントネーションがふつふつとわいてくるー!もいっこかーこおっと!」カキカキ

蛍「イマジネーションのことですか?」

夏海「うおおー!夏海ちゃん式アイアンマン改造計画ゥー!」カキカキ

小鞠「うーん」

蛍「センパイの絵はどんな感じですかー?わ・・・それって似顔絵ですよね?」

小鞠「うん。社長の顔を描いてみたんだけど、ヒゲが何かイヤだから描かなかったんだよね。そしたらまるで別人みたいになっちゃった」

蛍「たしかに・・・口ヒゲがないスタークさんって違和感が・・・」

れんげ「あんちえいじんぐしたみたいなん」

夏海「うわおおお!できた!ウチ流最強アイアンマン第二弾!」ジャーン

小鞠「わっ、デカイアイアンマンだ」

れんげ「筋肉モリモリマッチョマンなん!」

夏海「これはすっごい怪力を持つアイアンマンだよ。暴れるクマやイノシシでもへっちゃらちゃらなくらい強いのさ!」

蛍「へぇー」

トニー「・・・ハルクバスター・・・・・・ナツミ、君実は色々知ってるんじゃあないか?」

夏海「へ?」

小鞠「蛍は何作ったの?」

蛍「私はスタークさんのアーマーさんがもし人間みたいな見た目になったら・・・ってイメージを粘土で作りました」ジャーン

小鞠「おおー、すごい想像力だね」

アーマー【私にボディを与えてくれるとは、ありがとうございますホタルさん。そのお気持だけでもとてもうれしいです】

蛍「えへへ・・・」

トニー「おいアーマー、私が先にツバつけたんだぞ」

アーマー【小学五年生が相手では大問題ですよ】

蛍「?」

102: 2014/10/22(水) 20:49:24.04
小鞠「れんげのは・・・・・・それなに?」

れんげ「フッフッフ、よくぞ聞いてくれましたん。これはまるちばぁすをイメージした『マルチバーシティ』なん!」ドーン

夏海「おおー!マルチって感じしてるうー!」

れんげ「いじげん的な雰囲気を演出してみました」フンス

夏海「うんうん!異次元的なあやしさがすごいよ!うっしゃ、次は何か普通の作ろっかれんちょん」

れんげ「?・・・普通なんて作って何が楽しいのん?」

夏海「いやいやー・・・小学生はこういうアヤシイの作るよりも普通で無難で安全なのを作るべきなんだよー」

れんげ「仕方ないのんな・・・じゃあ余った時間で作ったこれでいいのん?」ス・・・

夏海「おっ、これはミサイルっぽい武器?社長の新兵器をイメージしたの?」

れんげ「『わかれたつま』なん。ただの一発ギャグなのん」

夏海「・・・・・・いや、普通のにしようよホント」

トニー「フー・・・やっぱりパーツが足りないな・・・」カチャリ

蛍「あ、修理終わりました?」

トニー「いや、まだまだ部品が足りない。だがもう少しでできそうな気がする」

小鞠「あのガラクタで・・・」

トニー「ここまで来たらもう後戻りするわけにはいかない。街へ出て新品の電子機器を買いに行こう」

れんげ「買い物ならねぇねぇとだがしやに車のせてもらうといいん。ウチも行きたいー」

夏海「あーウチもウチもー」

トニー「カズホ、車を出してくれ。買い物としゃれこもうじゃないか」

一穂「Zzz・・・Zzz・・・」スピー

小鞠「あのやかましさでグッスリだ」

トニー「カズホ!皆で買い物に行こう!」

カズホ「んぇっ?・・・・・・あぁ・・・うん?」

トニー「うんって言ったな。よしレンゲ、カエデにも話をつけるんだ」

れんげ「ガッテンためしてー!」ビシッ

夏海「駄菓子屋がれんげに甘いのも把握してるとは・・・」

104: 2014/10/22(水) 22:05:50.03

 ・・・・・・

トニー「いやぁ~、買った買った」ホクホク

れんげ「しゃっちょさん大人買いしたんな~」

楓「そんなに買って大丈夫なのか?今まで頑張って貯めてたんだろ」

トニー「ここに来て稼いだ分をすべてつぎこんだんだ。これで帰れるんだからな」

夏海「見てみて駄菓子屋ー!社長がオマケでゲームソフト買ってくれたよー!」ニコニコ

小鞠「私も髪どめ買ってもらっちゃった~」ニコニコ

れんげ「ウチはおもちゃ買ってもらいましたのん」

蛍「すみませんスタークさん、私まで本を買ってもらっちゃって・・・」

トニー「かまへんかまへん、今の私はキゲンがいいんだ。これで元の世界に帰れるんだからな。すぐにこっちに遊びに来て、もっといっぱいほしいものを買ってあげるよ」

夏海「うおおお!さっすが社長っ!いよっ!大統領!長官どのっ!」

一穂「ありがたいけど、あんまし買い与えないでよ~。この子らすぐちょーしのっちゃうから」

夏海「えー、かずねぇこんな時に先生ヅラしないでよ~」

一穂「先生だからねぇ」

れんげ「それじゃあ、勝負したらいいん」

トニー「勝負?」

れんげ「こんど、もっかいクワガタとり行くん。昨日しゃっちょさんがとったオオクワよりも大きいクワガタとったら、御褒美にウチらにプレゼント買ってくださいなのん」

夏海「おお!れんちょんナイスアイディーア!」

トニー「私はいいぞ。カズホ、どうかな?」

一穂「うーん、まあそういうのならいいんじゃないかねー」

れんげ「やりましたん!ウチ、ねごしえーたーになれるん!」

小鞠「じゃあその時は私ケータイ買ってもらう!」

蛍「それはすごいプレゼントですね・・・」

トニー「フッフフ、だがいいのか?私がとったのはかなり大きかったぞ?コマリより大きかったからな」

小鞠「そんなわけないでしょ!」

夏海「っく・・・ならばウチらが姉ちゃんの3倍大きいのをとれば勝利は確実ッ!」

小鞠「そんなの怪獣だから!」

楓「おーい、さっさと車のれー。帰るぞー」

れんげ「太陽が沈むころなのーん」

106: 2014/10/22(水) 22:33:38.76

 ・・・・・・

一穂「うんじゃ~社長、戸締りしといてね~」

トニー「ああ、今日は運んでくれてありがとう。あと君の家にある耕運機、使わなくなったら譲ってくれ」

一穂「えぇ~、今は使わないけどまた来年使うし」

トニー「とりあえず考えといて候補としてそれじゃまた明日」

 ガララ ピシャン カチッ

トニー「さて、次元移動装置の制作にとりかかるとするか。まさか田舎のガラクタを集めてそれに街で買った電子機器を組み合わせただけで次元移動装置を作りだすとはやはり私は天才だな」

アーマー【トニー様、また失敗する可能性が・・・】

トニー「発明は失敗を重ねてできるものなんだよ。それに今度のは大丈夫。次元移動のシステムを外付けハードにするわけだからな。お前に負担はほとんどないよ」

アーマー【他の方法を考慮はしないのでしょうか。例えば――】

トニー「あーあー、もうこのテで行くと決めたんだ。これが成功すれば私の自伝に120ページ分厚くできるぞ。歴史的大発明だ。マトモなパーツもないのにこんなのを作り上げるんだからな」

アーマー【では、夜更かしなさらないように切りあげてくださいね】

トニー「大丈夫だ。明日の朝には完成するさ」


 ・・・・・・


 チュンチュン

トニー「出来たっ・・・完成だ!異次元移動装置!冷蔵庫を基にあらゆるパーツを組み合わせて、アーマーに搭載していたプログラムを転送させた!これで完璧だ!」

アーマー【おめでとうございます】

トニー「ようしアーマー!さっそくウチに帰るのん!早くしないとここの方言が口にこびりついてきてる」

アーマー【・・・・・・あー・・・トニー様・・・いい報告と悪い報告がありますが・・どちらからお聞きになりますか?】

トニー「なに?・・・・・・じゃあいい方」

アーマー【計算したところ、この次元移動装置の可動成功率は72パーセントです。高い確率で元の世界に帰れます】

トニー「いいじゃあないか。じゃあ悪い方は?」

アーマー【パーツがパーツなので、アークリアクターでの可動は不可能です。純粋な電力が必要となります】

トニー「・・・電力か・・・・・・どれくらい必要なんだ?」

アーマー【1,21ジゴワットです】

トニー「1,21ジゴワット!?1,21ジゴワットだって!!?」

アーマー【あー・・・悪い報告は二重でしたね】

124: 2014/10/27(月) 14:44:03.26
トニー「なんてことだ・・・そんな電力こんな所で作りだすことなんて不可能だ!つまり・・・装置を起動させることができない!せっかく作ったのにこれではナイフとフォークのないステーキだ!」

アーマー【エンジンの無いリムジンのようですね】

トニー「もしくはチーズの無いバーガーだ!そんな膨大な電気、雷でも無い限りありえない・・・そうだ!アーマー、ソーのケータイにつなげ!ストームでもいい!もしくは学園都市の――」

アーマー【落ちついてください。それができれば苦労はしません】

トニー「万策尽きたァ~~~!・・・・・・いや・・・待てよ?・・・雷・・・・・・アーマー、気象予測を」

アーマー【了解しました。コノミさんに頂いた携帯電話の部品でのおかげで気象予測ができます。とはいえ壊れかけのパーツでしたので、少々お時間をいただきます】キューン


 ガララ

れんげ「にゃんぱすー」

夏海「おっ、社長なにそのヘンな冷蔵庫。どこでもドア?」

蛍「それが元の世界に帰るっていう機械なんですか?」

トニー「おはよう子供達。まあその通りだ。だが電力が無くてな・・・」

小鞠「いくら田舎でも電気は通ってるよ」


一穂「うぉーっす皆来てるー?」

夏海「わ・・・かず姉来るの早い」

れんげ「ねぇねぇ、昨日話したこと皆にも言って」

一穂「あーそうそう。れんちょんと話しあった結果ね、明日は遠足に行くことになりましたー」

小鞠「遠足ッ!?」ガタッ

夏海「ほんと!?な、なんでまたそんなエキサイティングなこと急に」

一穂「クワガタ採りに行きたいっていうからさー、郊外学習ってことで皆で山に行こうかーって話になったの。いや、授業サボれるからとかじゃないよ?弁当持って遠足ってのもいいかなって」

蛍「やったぁ!皆で遠足ですね!」ピョンピョン

小鞠「お弁当作って遠足なんて・・・子供っぽいけどなんかワクワクするね」

夏海「うおーっしゃあ!明日は社長のオオクワよりもデッカイクワガタ絶対に採ったるんじゃー!」

トニー「ハッハハ、まあせいぜいがんばれや」

れんげ「ウチのねごしえーしょん能力に感謝するのん」


アーマー【トニー様、気象予測の結果が出ました。・・・・・・巨大な雷雨が近づいてます。雷を電力として装置を起動させるという案は上手くいきそうです】

トニー「お!本当か!その雷雨から発した雷を次元移動装置に供給させれば・・・装置は動く!やったぞ!雲が近づいていると言ったな?いつ来るんだ?」

アーマー【明日です】

130: 2014/10/27(月) 15:28:30.46
トニー「・・・・・・明日か」

アーマー【今日は快晴ですが、明朝から雷雲が来ます。おそらく嵐になるかと・・・】

トニー「・・・・・・嵐なら雷を乱発するだろうな。よし、装置に雷を供給できるように避雷針を作って装置に直結させることにしよう」ガタッ

アーマー【・・・】


小鞠「どんなお弁当にしよっかな~♪遠足らしくおにぎりにしようかな~」

夏海「ちゃんと炊いたお米で作りなよ」

小鞠「うっさい!夏海の分も作ってあげるから心配しないでいいよ」

夏海「ゲッ!姉ちゃんが!?」

小鞠「大丈夫!すっごくオイシイお弁当にしてあげるからね!」

夏海「母ちゃんに作ってもらうのもなんだし、このみちゃんに作ってもらえないかな~」

小鞠「ちょっと!」

蛍「あ、明日ってこのみさん午前中に学校から帰ってくるって言ってましたよ。テスト期間とかで早く帰れるみたいなので、一緒に行くように誘ってみるのはどうでしょうか」

夏海「おおっ!マジすかっ!かず姉、いいでしょ?」

一穂「え、まあ、うん、いいんじゃね?生徒の自主性をーって感じで」

れんげ「そんなら駄菓子屋も誘うーん!皆で虫とりしながらお弁当たべるーん!おべんとりしながら虫たべるーん!」

夏海「いきなりけっこうなイベントになってきましたぁ!こりゃ何がなんでもデカイクワガタとって社長に全員分のプレゼントをもらうぞー!」

れんげ「おー!」


アーマー【・・・トニー様】

トニー「・・・」カチャカチャ

132: 2014/10/27(月) 15:50:19.44
 ・・・・・・

トニー「出来た。これで雷をこの避雷針に落として、その電力を次元移動装置に流せるぞ。やっと元の世界に帰れる」

アーマー【トニー様・・・】

トニー「わかってるさ、お前の言いたいことは。遠足が雨天延期なんてよくある話だ。明後日でも来週にでも行けばいいだけの話だ。こっちからすれば今度はいつ雷雲が来るかわからないんだからな」

アーマー【・・・おっしゃる通りです】

トニー「たいした問題じゃないさ。元の世界に帰ったらすぐにこっちに来て、もらった物のお返しするしな」


蛍「あ、スタークさん、ちょっといいですか?」

トニー「!・・・ああ、何だ?」

蛍「この前買い物に行ったときに買っていただいた『トップ10』っていう本、すっごく面白かったです!」

トニー「それはよかった。上下巻両方読んだのかい?」

蛍「はい!それはもうスラスラと読んじゃって・・・アメリカの漫画の邦訳本って初めて読んだんですけど、案外気にならないものでした。でもまだ続きがあるみたいなんですよ」

トニー「あー、邦訳はされてなくて原書だけで続いてるのかな」

蛍「原書・・・英語の文のままで日本語になってないものってことですよね?続き読みたいんですけど・・・読めませんかね?」

トニー「大丈夫、今の時代インターネットで注文なりすれば買えるさ。ここらへんでネット使えるか知らないが」

蛍「でも・・・私英語の文読める自信ないです」

トニー「うーむ、こう言ってはなんだが、案外英語読めなくてもなんとなーく読めるものらしいよ。意味がわかる単語だけをつなぐだけでも話の大筋は見えてくるし、ネット上で訳してるサイトもあるし」

トニー「もっと言ってしまえば絵だけでも話は大雑把にだが見えるし、絵だけでも十分楽しめるものさ。英語の成績が悪いからってアメコミが読めないって決めつけないほうがいいぞ」

トニー「もちろん、話をしっかり理解したいなら電子辞書なりを駆使して自力で訳しながら読むしかないかな。とにかく、あまり深く考えずにとりあえず読んでみれば案外いけるものだってことだ」

蛍「そういうもんですか」

トニー「ああ、敷居は高く感じるかもしれんがね。そこからどっぷりハマってしまうってこともあり得るぞ。日本のマンガの単行本より高いからちゃんと考えてから、な」

137: 2014/10/27(月) 16:25:47.10
 ―社会の授業―

一穂「うーっし。じゃ授業はっじめーるよー」

夏海「かず姉がやる気に!?寝ないの!?」

一穂「明日遠足にしちゃった分、今日がんばって授業しなきゃーって思って。一応私先生なんだし、いつも寝てたらイメージ悪いっしょー」

小鞠「こりゃ明日は大荒れだ・・・」

一穂「まー、つっても学年バラバラだから自習するか、時事的な話するかーくらいしか選択肢ないけどさー。あ、社長ー」

トニー「んー?」カチャカチャ

一穂「教室の後ろでロボットの服をいじってるとこ悪いけどさー、社会のこと教えてあげてくんないかなー」

トニー「私が?社会の教師に?」

一穂「この子らに大人の社会ってもんを教えてほしいのよ。ウチから話しても真に受けないだろうし」

夏海「そりゃそうだ」

トニー「フム・・・いいだろう。世界有数の天才にして大富豪であるトニー・スタークの半生をすみずみまで――」

一穂「あ、そーゆーのいいんで。マジで」

トニー「そうか・・・しかし社会と言っても難しいな。私は日本社会のことといえば総理大臣の交代する頻度がヘリキャリアの墜落並くらいしか知らんぞ」

れんげ「しゃっちょさんの世界のお話をしてほしいのーん」ハイハイ

トニー「私の世界の話か・・・いいだろう」

蛍「皆さんスタークさんみたいにアーマーさんを装着してるんですか?」

トニー「いやいや、アイアンマンは私一人さ。他のヒーロー達は超パワーとか超技術とかで戦う連中さ。それとSHIELD(シールド)だな」

小鞠「しいるど?」

トニー「ありていに言ってしまえば地球防衛軍さ。世界中にスパイカメラを設置して地球の平和を守ってる。私はそこの長官になったこともあるんだぞ」

れんげ「しゃっちょさん防衛軍の隊長だったのん!?ハイデルンみたいなのん!」

夏海「ウルトラマンの毒蝮三太夫みたいじゃーん!」

小鞠「毒蝮さんは隊長じゃないよ」

トニー「もうやめたがね。世間から悪口言われても気にしない図太さがないと務まらないよアレは」

139: 2014/10/27(月) 16:56:34.43
小鞠「社長が住んでるところって都会なんだよね?どんな感じなの?やっぱりすっごいの?」

トニー「そりゃすごいぞ。こことは比べものにならないくらいにな。私の家に入るには認証システムがあるから、ここら辺みたいに誰でも入れるって訳じゃない」

夏海「しょうにんシステムってなにさ?」

れんげ「ウチ、来年から小2なん」

トニー「顔を確認して入っていいかダメかを機械が判断するのさ。知らない人間は入れない」

夏海「えっ・・・じゃあ郵便配達とかどうすんのさ」

蛍「技術が発展してるんですねぇ・・・」

トニー「越谷家にある黒電話なんかこっちからすれば博物館で見るものさ」

小鞠「電話もハイテクなの?」

トニー「『電話』と言って番号を続ければいい」

小鞠「は?」

トニー「それだけさ」

小鞠「ちょっ・・・キモいよ」

トニー「これが未来さ」

れんげ「もしかしてウチ・・・やっぱり田舎に住んでるのん?」

トニー「ここが田舎じゃなかったらNYは宇宙文明だ。道端で火が上がっているなんて光景、あっちじゃ見られんぞ」

夏海「あー、社長が『火事だー!田んぼで山火事だー!』てわめいてた時だっけ」

トニー「そもそも田んぼというものに慣れ親しんでないし、燃えてたらそりゃ慌てるだろ」

小鞠「私達が普通に思ってることと、社長が普通に思ってることって全然違うんだよね。なんだか変な感じ。蛍がこっちに来たばっかりのころもちょっとそういう所あったよね」

蛍「スタークさんほどではないですけどね」

れんげ「ウチが住んでる所が田舎というより、しゃっちょさんの住んでる所がオカシな所なん」

トニー「反論はできないね。スーパーパワーを持った悪人や宇宙人やらが次から次に攻めてくるんだからな」

141: 2014/10/27(月) 17:38:27.96
 ―給食―

れんげ「おひるなーん!」

蛍「そういえばスタークさんってこっちに来てから食事はどうされてるんですか?給食は一緒に食べてますけど」

トニー「オスソワケしてもらったものを食べるのが多いな。配達の仕事をしてると住民から色々と食べ物をもらえるんだ。田舎ならではだな。たまに越谷家で御馳走になる時もある」

夏海「こっち来て最初の頃はウチで食べてたんだー。ネコみたい」

トニー「ミセスユキコには箸の使い方や食べ方のマナーについてさんざ怒られたよ。マリア・ヒルよりおっかない女性はそうはいないと思ってたが、こんな卑怯にいたとはね」

小鞠「今日の献立は揚げパンだよー」

れんげ「!揚げパンなん!こ、こんなこうきゅうなものを・・・・・・今日はなにかの記念日ですか!?」

夏海「うおおおお!揚げパン万歳!入れ物の角んトコにたまってるきなこはウチがいただくッ!」ザリザリ

れんげ「なっつんずるいん!ウチもきなこほしいーん!」ザリザリ

トニー「待て二人とも。ここは年長者である私が先というのが筋ってもんだろ。おい待て!きなこ全部とるな!」

夏海「えー仕方ないなあ。うーっしじゃあジャンケンで決めようぜ」

トニー「OKいいだろう。アーマー、夏海とれんげが何を出すか予測を」ヒソヒソ

アーマー【3パターンの行動が予測されます】

トニー「よし、ではいくぞ・・・・・・チッケッタ!」

夏海「ちょいちょい、ちょい待ち、何よそのチッケッタって掛け声。ジャンケンポンでしょフツー」

れんげ「一般的にはジャンケンポイって相場が決まってるのん」

夏海「何だよチッケッタって。アンタどこ産よ」

トニー「うるさいな!とにかく私の言う通りにすればいいんだよ!子供のくせに細かいことを気にするな!」

れんげ「大人のくせに子供と一緒にきなこの取り合いするのもどうかと思うのん」

小鞠「蛍知ってた?最初はグーって言う掛け声、ドリフの志村けんが最初にやって広まったんだよ」

蛍「へぇー、物知りですね先輩」

小鞠「フフン、私くらい知的なおねーさんになれば常識だけどね」

トニー「いくぞぉー!チッ!ケッ!タッ!」


一穂「余ってるきなこ揚げパンにかけるのちょーすきー。贅沢してるって感じー」ザァー

143: 2014/10/27(月) 20:26:56.22

 ・・・・・・

小鞠「ねえ社長のロボットさん」

アーマー【お昼休みなのに外で遊ばれないのですか?皆さん外にいらっしゃいますよ】

小鞠「ちょっと聞きたいことがあってね。・・・・・・あのさ・・・」モニョモニョ

アーマー【なんでしょう。私に応えられることであれば何でも聞いてください】

小鞠「わ、私って・・・ちゃんと大きくなれるかな!?背も高くなって、大人のおねーさんって感じになれるかな!?」

アーマー【・・・・・・その気持ちを大事にしていればきっとなれます】

小鞠「!」パァァ

アーマー【73年後に・・・】

小鞠「マジで!?」

アーマー【冗談です。コマリさんの成長過程データが無いので私には判断しかねます】

小鞠「そ、そっか・・・じゃあアルバムとか持ってくれば」

アーマー【コマリさん、ある調査で1000人の人間を対象に『人生最後の日を知りたいか』という質問をした所、96%が知りたくないと答えたそうです】

小鞠「え?・・・」

アーマー【自分が将来どうなるかを知るというのはあまりお勧めできません。あくまで統計上のデータしか出せませんが、その結果次第ではあなたを傷つけかねません】

小鞠「う・・・・・・そ、そうだね・・・なんかごめんね。ヘンなこと聞いて」

アーマー【いえ、コマリさんのご期待に添えずに申し訳ありません。ですが、私としてはコマリさんが立派な大人の女性になられるように応援させていただきます】

小鞠「!・・・えへへ、ありがとうね、ロボットさん」


夏海「あれーこまちゃん、教室の後ろで社長のメカスーツと何してんのさー」ガラ

小鞠「ちょっとね」

夏海「おりょ?こまちゃんって言ったのに怒らないの?どしたのこまちゃんお腹痛いの?」

小鞠「ふふん、私はそんな小さなことにはこだわらないのっ」

アーマー【大人な対応ですね】

小鞠「へっへへーん」

夏海「姉ちゃんに一体なにが・・・」

小鞠「夏海も何かわからないことや困ったことがあったらロボットさんに聞けばいいよ」

夏海「へぇー。あ、そーだメカスーツさん。ウチちょっとわかんないことがあるから聞きたいんだけど」

アーマー【はい、何でしょう。私にわかることであれば何でもお応えしますよ】

夏海「よく漫画とかで、ボールが止まってみえるぜ!って言うけど・・・あれってもしそうなったら、ボールから見てもウチは止まって見えるのかなぁ?」

アーマー【・・・・・・・・・えと・・・・・・えと・・・】

144: 2014/10/27(月) 20:59:57.23
 ・・・・・・

 キーンコーンカーンコーン

一穂「はいー、今日の学校はここまでねー」

れんげ「ねぇねぇ・・・結局授業やってなかったのん」

トニー「あー・・・皆、少し話したいことがある」

蛍「?なんですか?」

夏海「ちょっとちょっとー、今さらクワガタ採り対決はナシーなんて言わないでよー」

トニー「いや・・・実は次元移動装置が完成したので、恐らく明日、私は元の世界に帰ることになると思う」

小鞠「!あ、明日ァ!?」

一穂「まーた急な話だねぇー」

トニー「あー泣かないで泣かないで。さみしがる必要はないぞ。元の世界に戻ったらすぐにこっちにお礼を持って帰ってくるからね。色々弁償しなきゃならないものもあるし」

夏海「元の世界って・・・・・・記憶喪失なだけだと思ってた。皆に話合わせてたけどさ」

トニー「君達が遠足に行っている間に帰るだろうが、夕方にはお礼を持って帰ってくるぞ」

れんげ「しゃっちょさん・・・遠足行かないん?」

トニー「そうなるな。まあそう落ち込むなレンゲ。ちゃんとプレゼント持ってきてやるから。ただし、私が採ったのより大きいクワガタ採らないと渡さないがね」

れんげ「むん!がんばりますん!」ビシィ

一穂「そっかぁー、社長もとうとう里帰りかぁー」

蛍「それは言葉のチョイス合ってるんですかね・・・」

一穂「んじゃー、社長今晩ウチにおいでよ」

トニー「えっ」

145: 2014/10/27(月) 21:12:09.51
 ―宮内家

一穂「うんじゃー、社長今までおつかれさまーってことで」カン

トニー「・・・君はビールの缶で私はジュース・・・イヤミか君ッ」

一穂「だって飲まないって言ったのは社長だし」

れんげ「今日の晩御飯はちょいと豪華なんなー。社長に宮内家の意地見せるんな!?」

一穂「いやいや、なんだかんだで社長には色々世話なったしさー。授業たまに受け持ってもらったり校舎の戸締りしてもらったり」

トニー「大したことはしてないがな。むしろ私の方が世話になったよ。この村の人々皆に」

一穂「まあとにかく、おつかれさんってことで一つ。ほらほら食べて~。ウチの畑で採れた新鮮なお野菜がいっぱいだよー」

トニー「・・・これ虫が食べてたやつだろ。前に畑で見たぞ」

一穂「大丈夫大丈夫、無農薬だからおいしいよ。虫もおもわずかぶりつくほどおいしいんだから。後は蒸かし芋にトウモロコシにレトルトカレーに真っ赤なトマト」

れんげ「しゃっちょさん遠慮せずにガブーっといくのん!ガブーっと!」

トニー「できればスライスしたものをもらいたかったが・・・たまには丸ごとかぶりつくのも悪くない」ガブッ



ひかげ「あぁ~・・・疲れたァ~・・・」

一穂「ありゃ?ひかげ帰ってきたの?」

れんげ「ひかねぇ帰ってきたのん?」

ひかげ「何だその言い方は。実家に帰って何が悪い」

トニー「おや、この子は?」

れんげ「ひかねぇなん。ウチの次女なん」

一穂「言い方に語弊あるよーれんちょんー」

ひかげ「わ・・・ヒゲ面の外国人っ・・・」ビクッ

146: 2014/10/27(月) 21:31:11.46
トニー「ミス・ヒカネー、私はトニー・スタークだ。よろしく」アクシュ

ひかげ「う、うん・・・なあれんげ、この人何者?」

れんげ「ひかねぇ、こちらはしゃっちょさんなのん。空から降ってきたのん」

ひかげ「ハッハハ、言ってらぁ」

一穂「ホントだよー。空から落ちてきたとこは見てないけど、れんちょん達は見てたってさー」

ひかげ「マジかよ」

トニー「誤解しないでほしんだが、決して赤いパンツとマントで飛んでたわけじゃないからな」

ひかげ「空から女の子が降ってくるって話は聞いたことあるけど・・・まさかこんな田舎であるなんてな・・・」

れんげ「そして後ろにおわすのがしゃっちょさんのアマさんなのん」ビシッ

アーマー【どうそお見知りおきを、ヒカネーさん】

ひかげ「どぉわっ!?お、置物が喋ったァ!」ビクッ

トニー「それは私のアーマーだ。ここに来るまで装着して歩いてきた。せっかくだったから」

アーマー【最後の夜を独りでさみしく過ごさせまいとトニー様のお気づかいです】

れんげ「アマさんはすっごい機械なのん。すっごく頑丈なのん。でも頭が固すぎてウチみたいな柔軟な発想はできないんなー」

アーマー【機械ですので】

ひかげ「・・・喋るロボット・・・・・・何だか都会っぽい・・・っぐ・・・」ギリッ

一穂「なにくやしがってんの」

ひかげ「しゃっちょってもしかして都会っ子?」

トニー「まあ世界有数の都会っ子だな。それより私はトニー・スタークだよヒカネー」

ひかげ「私だってひかげってんだよ!トニーが住んでた都会ってどんなとこよ。・・・アメリカ?」

トニー「そうだが」

ひかげ「・・・・・・っ」ギリッ

一穂「なににらんでんの」

147: 2014/10/27(月) 22:06:00.71
れんげ「ひかねぇは都会コンプライアンスなん」

トニー「コンプレックス?・・・なるほど、田舎で育ったのを気にするタイプか」

ひかげ「なっ!・・・べ、別にそんなんじゃないし。私はもう生粋の都会っ子になったからね」フン

れんげ「ひかねぇ・・・」ホロリ

一穂「あ、冷蔵庫にジュース入ってるから飲んでいいよ」

ひかげ「聞かせてあげようかれんげぇ。私、こないだとうとう乗っちゃったんだよねぇ~」ガコキョン

れんげ「?・・・今度は何に乗ったのん?」

ひかげ「フッフフフ・・・・・・」

 カシュッ

ひかげ「つぃかてつ(地下鉄)・・・ってヤツ」

れんげ「!そ、それはすごいん!地下って地面の下なのん!?」

ひかげ「そう!地面の下!地下を電車が走ってんだよー!」

れんげ「地面の下を電車で走るなんて・・・ちょっとひかねぇ見直したん」

ひかげ「それはそれで・・・」

れんげ「でもどうやって地面の下に電車入れるんのん?」

ひかげ「ッフフン、都会の髭社長もそうそう乗ったことないんじゃないのぉ?ちぃーかてつぅーッ」

トニー「まあ、そうかもな」

ひかげ「勝ったッ!都会バンザイ!」

アーマー【トニー様は移動の際、スーツで飛行されます。もしくはクインジェットで】

トニー「こらっ、アーマー」

ひかげ「」

アーマー【今は飛行機能が壊れてて飛べませんが、万全な状態なら地球を周回するのも時間を必要としません。さらに宇宙空間での活動も――】

トニー「アーマー、その辺でいい。ひかげはただ都会っぽい自慢がしたい年頃なだけだ」

アーマー【なるほど、背伸びしたいお年頃というヤツですね。無理して自分を大きく見せようとする難解な時期の】

ひかげ「くたばれガラクタ野郎っ!」

アーマー【今のはあんまりです】

148: 2014/10/27(月) 22:23:24.07
 ・・・・・・夜

れんげ「Zzz・・・Zzz・・」

一穂「Zzz・・・ぐへへ・・・こっからここまでのメニューを持ってきてもらおうか・・・」

ひかげ「ブリキ野郎・・・Zzz・・・」



トニー「・・・私だけ別部屋か」

アーマー【当然です】

トニー「・・・」

アーマー【よろしいのですか?トニー様】

トニー「・・・そうだな。最後の思いでに、カズホでもちょっと誘って――」

アーマー【ではなくて、天候の件です】

トニー「・・・明日を逃せば、次はいつ雷雲がくる?」

アーマー【すでに調べてみましたが、この先数週間は晴れ晴れです】

トニー「だろ?帰るには明日しかない。1,21ジゴワットの電力を得るには雷しかないんだ。答えは明白だ」

アーマー【・・・そうおっしゃるなら】

トニー「・・・・・・」

アーマー【・・・】

トニー「・・・ああっ!私を悩ませるな。たかが一度の遠足が延期になるだけだろ。子供の遊びのために私に我慢しろというのか?」

アーマー【皆さん、とても楽しみにしていたようです】

トニー「残念だが遠足は先延ばしだ。その方が楽しみな気持が長持ちするだろ。私は帰らねばならないんだ。どうしてもな」

アーマー【・・・】

トニー「・・・・・・」

149: 2014/10/27(月) 22:30:10.39
アーマー【雷雲が近づいています。正午頃にはこの辺りは嵐に包まれるでしょう】

トニー「・・・」

アーマー【行くのなら今がその時です。朝日が昇る前に動きださねば、間に合いません】

トニー「わかった!わーかった!ったく、お前もここの連中に感化されたな」

アーマー【かもしれません】

トニー「だったらとっとと行くぞ。その前にお前の飛行機能を直さねば」ダッ


トニー「カズホ・・・すまんが耕運機をかりるぞ。ちゃんと新品を返すからな」

 バキョッ

アーマー【あーあーあーあー・・・】

トニー「黙ってろ。こいつでスーツを直す。すぐに済むからお前は飛び立つ準備をしておけ」カチャカチャ

アーマー【了解しました】

トニー「ここをこうして・・・こうっ」カチャカチャ カチャン

トニー「できた!アーマー、直ったか?」

アーマー【応急修理ですが、行けます】

トニー「ようし、行くぞ」

 カシャカシャカシャ ウィーン ガキョガキョガキョ ガコン


アイアンマン「アイアンマンに変わる時、私の意志も鋼鉄に変わる」

 キュゥーン BBWWOOOOOOOOOOOOOOM!

150: 2014/10/27(月) 22:38:49.63


 ギュゥーーーン ボボンッ ボンッ

アーマー【飛行機能系統に損傷。飛行可能時間は残り21分です】

アイアンマン「やはりか。スーツはアークリアクターを原動力として動かしているからな。耕運機のパーツでは容量が大きすぎて長くはもたん。雷雲の所まで行って帰るまでもつかどうか・・・」

 ギュゥーーーン



アーマー【前方に雷雲補足】

アイアンマン「出たなクラウディー。・・・こうでも言わんと締まらん。アイアンマンのヴィランがただの雷雲だなんてな」

 ゴロゴロゴロ・・・

アイアンマン「アーマー、スマートボムの弾薬をB-17に換装。装填しろ」

アーマー【了解しました】

 シャコン

アイアンマン「やいクラウディー!こいつはハリケーンや巨大な大雲を消し飛ばすための専用ボムだ!お前なんかこれでやっつけてやる!」

アーマー【トニー様が船上でバーベキューをやりたいと言いだした日に天候が悪くなった時に開発して以来の使用ですね】

アイアンマン「くらえ!」

 POF!



 FFFHHHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOSSSSSHHHHHHHHHHH!!!

152: 2014/10/27(月) 23:43:46.14

 ・・・・・・


れんげ「とぉう!」ガシッ

れんげ「くわがたー」グワシグワシ

夏海「うーむ、大きいが社長ほどじゃないな。よっしゃれんちょん!次いくぞ次ぃー!」ダダー

れんげ「しょうちのすけなのーん!」ダダー

小鞠「わー!カマキリー!」ポヒャァー

蛍「カワイイー♪大きいですねー♪」

このみ「おっ、皆やってますなー」

夏海「このみちゃん合流ですよれんげ隊員!」

れんげ「増援が来たん!これでウチらはクワガタ採り対決に勝利決定なん!勝てば官軍なのん!」

ひかげ「ちょっと!スッゲーデカイ蜂の巣あるぞ!めっちゃデカイ!」

夏海「うっしゃ石なげて穴あけよーぜ!」

小鞠「やめて!危ないから!ホントに危ないから!」


一穂「いやー、いい天気になってよかったねぇ~」

楓「天気予報じゃヤバイって言ってたけど、朝になったら快晴だったなんてヘンな話ですね」

一穂「ヘンといえばさー、朝起きたらウチの庭に耕運機が出ててさー・・・ぶっ壊れてたんだよねー・・・」

楓「マジすか」

一穂「社長がすでにいなかったからたぶん勝手に壊したんだろうなー・・・あーあ・・・」ガックシ

楓「ま、後で返すって言ってたんでしょ。大丈夫でしょたぶん」

れんげ「だがしやー!一緒にクワガタとるーん!」

楓「ハイハイ、んじゃ先輩、ちょっと行ってきます」スック

一穂「おーう、皆ー気をつけなよー。空から髭の外国人降ってきたら危ないからねー」

夏海「あんなこともう二度とありゃしませんよー、なっはっはー」



 ヒュルルルルルル~~~・・・・・・

 CRRROOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMMMM!!!


夏海「びっくりフジツボ」

れんげ「しゃっちょさんとアマさんが降ってきたん」

153: 2014/10/28(火) 00:08:55.86
アイアンマン「・・・ARGH・・・・・・やあ皆」フラッ

蛍「だ、大丈夫ですか!?」

小鞠「も、もう帰ってきたの社長?」

アイアンマン「いや・・・ちょっと空飛んできただけさ。ギリギリの所で飛行機能の部品がオーバーヒートして墜落しただけだ」

夏海「なんだー、じゃあプレゼント買ってくれるお金は持ってきてないのかー」

ひかげ「え、なに?トニーなんかおごってくれるの?」

このみ「ケータイのお返しはまだかー。いや、いいよ。ゆっくりでいいから気にしないでいいよー」

アイアンマン「少しは私を心配してくれてもいいじゃないか。私の財布の中にしか興味がないのか君達は」

楓「っていうかアンタ、そのスーツ壊れてて飛べないんじゃなかったのかよ」

アイアンマン「実はカズホの家の耕運機の部品を拝借してね・・・途中でソーラーエネルギーに切り替えて速度を落として、ここまでギリギリだったんだぞ」

れんげ「ギリギリ?しゃっちょさんどこ行ってたのん?」

アイアンマン「あー・・・ちょっと散歩だ」

小鞠「空なのに」

一穂「ちょっと社長ー・・・ちゃんと買い換えてくれるんよねー?」

アイアンマン「大丈夫だ。元の世界に帰ったら必ず」

一穂「不安だなぁ~」

れんげ「そんなことよりクワガタ採りするん!ウチおっきいの採るんー!」

夏海「社長はそこで休んでな!ウチらが超巨大クワガタ採るまで首を洗ってなー!」

ひかげ「なんか知らんがデカイのとりゃおごりなんだな!やってやらぁ!」

アイアンマン「あー、がんばりたまえ。ちょっと早起きしたんで昼寝したかったところなんだ」


アーマー【トニー様、これでよろしかったんですね】

アイアンマン「帰ってしまえば彼女らの弁当をつまむことができなくなってしまうからな」

154: 2014/10/28(火) 00:32:14.96
 ・・・・・・

夏海「うおおおおおおおお!オオクワ発見ーーー!」

れんげ「で、デカイん!まんじゅうよりもデカイん!なっつん!それならしゃっちょさんに勝てるん!」

ひかげ「こ、これ売ったらいくらぐらいになるんだ・・・天然ものとか値内あるんじゃない?」

楓「そんなに高く売れるのか?」

ひかげ「テレビで聞いたことあるくらいだけど・・・オオクワってでかけりゃでかいほど高い値がつくって」

夏海「ここは慎重にいくよれんちょん!絶対に取り逃がすなかれ!」

れんげ「らじゃ!」

楓「れんげ、夏海、私に任せろ。私が採る。本気で」

れんげ「だ、駄菓子屋が鬼神のごときなのん・・・」

小鞠「よーし蛍、ソフトグライダー対決しよっか」

蛍「わ、これ発砲スチロールでできた飛行機ですか?」

このみ「おー、懐かしいもの持ってるねー。私もやらせてよー。こう見えてけっこう得意なんだよー」

小鞠「先生と社長もやるー?」

一穂「あー、私は見学するよー」

アイアンマン「ソフトグライダー、つまりは紙飛行機の要領で飛ばせばいいんだろ?私を加えていいのかな?勝負にならないと思うよ」

このみ「へー、なんで?」

アイアンマン「疑うなら見てな。こんなものはだな、物理学とか空気抵抗力学とかを考えれば・・・っそりゃ」スィー

蛍「おぉー!」

小鞠「た、確かに飛ぶね」

アイアンマン「フフ・・・な?言っとくが今のアーマーの補助全く使ってないからな」

このみ「んじゃ私も。とりゃ」スィィーーーッ

蛍「わ!すごい!すっごい飛びました!」

小鞠「ありゃーこりゃ社長の記録にトリプルスコアだ」

アイアンマン「」

このみ「えっへへー。こういうのはやっぱ長年のコツとかがものを言うんだよ」

アイアンマン「アーマー、完璧に最も飛距離を出せる力と角度を計算して動かしてくれ」

アーマー【がんばってください】

ひかげ「いってぇー!はさまれてるはさまれてる!」

夏海「動かないでひか姉!動くと逃げちゃうよ!」

楓「動いたらシメるぞ。ガマンしろ」

れんげ「ひかねぇ石の気持ちになるん!」

ひかげ「なんで私の鼻に飛んでくんだよこのクワガタァー!」

155: 2014/10/28(火) 00:36:15.61

 ・・・・・・

れんげ「ただいまなのーん」ガララ

夏海「学校だけどね。いやーしかし採った採った。ウチがとったオオクワ、これ絶対社長のより大きいよ」グワシグワシ

アイアンマン「どうかな。実際に比べるまではわからんさ。教室のカゴの中の私のと比べてみるといい」

夏海「今のうちに小切手切っておいたほうがいいよー社長。へっへっへー」

蛍「センパイ、ウシガエル大きかったですねっ」

小鞠「」

このみ「蛍ちゃんってウシガエル平気派なんだー。小鞠ちゃんはダメなんだよ。私も得意って訳じゃないけどさ」

蛍「だってあんなに大きい蛙見たことなかったから」

ひかげ「東京でヘラクレスオオカブトとか売ってるらしいんだけどさー、駄菓子屋ー・・・ちょっとカンパしてくんない?」

楓「アホか何でカブトを金払って買うんだよ」

ひかげ「れんげが喜ぶよ?きっと」

楓「・・・」

一穂「ダメだよー。やめときなよー。そーゆー高いもんはあんまり考えずに買うもんじゃないよー」

夏海「社長のオオクワVSウチのオオクワ!サイズ対決だー!」タタタ

アイアンマン「おいおい慌てるな夏海。走ると転ぶぞ」ズ・・・

 ズゾォン!

ひかげ「ゲー!床が抜けたー!」

このみ「機械の身体が重すぎたんだねー」

一穂「社長ちゃんと床直しといてよねー」

アイアンマン「うう・・・ついうっかりしてスーツ着たまま歩いていた・・・」ムックリ


アイアンマン「・・・ん?・・・・・・これは・・・」

アイアンマン「!!!・・・こ、これはッ!これはぁ~~~!」

夏海「うわ・・・飾ってある図工の作品見て声上げてるよ」

楓「頭打ったか」

156: 2014/10/28(火) 00:44:36.13
アイアンマン「これは確かレンゲの作品だったな!?」

れんげ「その通りですのん。ウチが粘土で作ったのん。タイトルはまるちばぁすなん」

ひかげ「まーだこういうわけわからんもん作ってるのか」

アイアンマン「これだっ・・・・・・これを応用すれば!」

ひかげ「え」

アイアンマン「アーマー!イジェークト!」バシュ

アーマー【トニー様がイジェークト(排出)なんですけどね】

トニー「外に行ってくる!」ガシャッ タタタ

小鞠「工具箱もって外出てっちゃった。あ、窓の外にいる」

蛍「あのなんとかっていう装置をいじってますね」


トニー「ここをこうして・・・こうつなげて・・・」ガチャガチャ

トニー「んでもってこうしてこうして・・・こうっ!」ガコン

トニー「で、できた!異次元移動装置の改良型!これなら電力は大幅にカットでいけるはず!校舎の中に持ちこむぞ!」グイッ ガリガリガリ

 ガリガリガリガリ ガン ガリガリガリガリ

トニー「も、持ってきてから気付いた。スーツきてりゃ簡単だった」

夏海「なにする気なのさ社長。そのヘンな機械ひきずってきて」

トニー「レンゲのマルチバースを見てピンと来た!改良を加えたこれならこの校舎の電力を使うだけで起動できるかもしれん!」

夏海「えぇー・・・」

れんげ「ウチ、もしかしてまずいことしちゃったのん?」

蛍「えと・・・たぶん逆にすごいことしたんだと思うよ」

158: 2014/10/28(火) 00:58:07.55
 ガシャン

アーマー【接続完了。校舎内のコンセントから電力を供給して装置を起動させます。足りない分はソーラーエネルギーと勇気で補います】

アイアンマン「よしよし、いけそうだ。皆、しばらく校舎内のブレーカーは全落ちするだろうがそこは譲ってくれ」

一穂「壊しちゃったらちゃんと弁償してねー」

れんげ「しゃっちょさん、今度こそ帰っちゃうのん・・・」

アイアンマン「泣くんじゃないレンゲ・・・私だってさみしいんだ」

れんげ「いや、しずくほども涙でてないのん」

アイアンマン「安心してくれ。前も言ったようにすぐに戻ってきて、色々とお礼をして回るさ。ここの住民にはずいぶん世話になったんだ。何もしないなんて心が痛むからな」

蛍「あのっ・・・色々とありがとうございました。一緒にいてすごく楽しかったです」

小鞠「んじゃ、気をつけてね社長。ロボットさんも、社長にイジめられないようにね」

アーマー【恐縮です】

夏海「今度来るときはちゃんと財布も持ってきてよね。あと母ちゃんへのお礼は気つかわなくていいから。辺に高価なもので返すと舞い上がっちゃうからね」

れんげ「バイバイなのん」フリフリ

アイアンマン「ああ、それじゃ・・・行くぞ」

アーマー【次元移動装置起動。電力エネルギー81%・・・88%・・・95%・・・・・・】

 ゴゴゴゴゴゴゴ ガタガタガタガタガタ

楓「なんかスゲー揺れてるけど大丈夫かこれ」

一穂「あー学校吹っ飛んだりしないだろうね」

 ガタガタガタガタ ガガガガガガガガガ バリバリバリバリバリ

アーマー【行けます】

アイアンマン「ようし!ではサラバだ皆!アーマー、最後に一言!」

アーマー【ヒカゲさん】

ひかげ「へっ!?わ、私!?」


アーマー【くたばれ、なんちゃって野郎】

ひかげ「」

アーマー【冗談です。お元気で】


 FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMM!!!

163: 2014/10/28(火) 01:08:08.89
 ~~~~~

アイアンマン「アーマー、最後のはひどいぞ」

アーマー【すみません。皆さんと一緒にいると、冗談の一つくらい言わないといけないのかと思いまして】

アイアンマン「・・・ああ、あの村では色々と学んだな。本当に・・・」

アイアンマン「何でもかんでも利便性が高ければいいってもんじゃない。不便でも不便なり良い部分ってのがあるんだよな。それに地道に稼ぐことの大事さも改めて身にしみたし・・・」

アイアンマン「・・・スマートフォンや最新パソコンが無くても、皆毎日楽しそうにのんのんと過ごしていた。人生の豊かさとは物だけで決まるものじゃないんだ・・・」

アイアンマン「・・・・・・いい所だったな。のんのんとしてて・・・いいなぁ、悪くないなぁ・・・田舎も。ヘルシーだし人もいいし」

アーマー【では引っ越しますか?カンザスの田舎にでも】

アイアンマン「・・・・・・いや、思うのと実行するのは別だから」

アイアンマン「帰ったらカウチにどしっと腰かけて、サタデーナイトライブ見ながらコーラとチーズバーガーを山ほど食ってやる」

アーマー【ありゃりゃ】

 ~~~~~

164: 2014/10/28(火) 01:17:45.81
 ・・・・・・その後


 ガララ

れんげ「にゃんぱすー」

夏海「うぅ~さみさみっ!もう年末だもんなぁ~。ねーちゃんストーブつけてストーブ」

小鞠「夏海がやりなよ。学校のストーブって大きくてなんか危ないもん」

蛍「朝の学校は冷えますねー。・・・あれ?机の上に何か置いてますよ?」

れんげ「!こ、これは!」ガサガサ

夏海「うおっ!?なになにー!?なんかクリスマスプレゼントみたいじゃん!」

小鞠「誰が置いたんだろ・・・先生かな?」

れんげ「手袋なーん!」

蛍「わ・・・本当だ。手袋とマフラーですよコレ」

夏海「わーおあったかーい!」スリスリ

小鞠「手紙も入ってる。えーっと何々・・・『友人である世界一優秀な社長より』・・・なるほど、社長か」

れんげ「イキなサプライズプレゼントなーん!」

夏海「あん時帰ってから、一週間後くらいにこっちにお礼持ってきて以来だねぇ。村中に色々周ってたらしいし。しかもオオクワ対決結局うやむやになったしぃー」

蛍「でも肝心のスタークさんはどこですかね?」キョロキョロ

れんげ「きっとプレゼントだけおいて帰ったん。しゃっちょさんはろまんちすとなのん」

蛍「えぇー」


小鞠「あ・・・この手袋、真っ赤だし手のひらに丸が編んである。なんか社長のロボットさんみたい」

夏海「このマフラーも真っ赤と金色で・・・しかもIRONMANってロゴが編んでる」

蛍「アイアンマン・・・ですね」

れんげ「ここまで自分に自信があるのも考えものなん」



 ~おしまい~

165: 2014/10/28(火) 01:20:26.12
 ~おまけ~

 ・・・・・・アイアンマン・スーツが教室の後ろに飾ってるみたいに置いてあった頃



卓「・・・」

アーマー【・・・】

卓「・・・」

アーマー【・・・】

卓「・・・」

アーマー【・・・】

卓「・・・」

アーマー【・・・】

卓「・・・」


アーマー【にゃんぱすー】

卓「・・・」ウンウン



れんげ「ずっと硬直状態なん」

蛍「きっと高度な読み合いしてるんだよ」

 ~おしまい~

166: 2014/10/28(火) 01:26:49.71
これにておしまいです。ヴィランと戦うとか装置が自我持って戦うとか考えたけどのんのん的にはそういうのいらんかと思ってやめやした
本来はアーマーはこんなに感情的じゃないです。トニーもだけどコミックとはだいぶ違う性格になってるかと思いますすんません
あと、季節的にヘンなとことか電力がどーとかそういう細かいところは雑ですすんません

それではここまで読んでくれた方、レスしてくれた方、本当にありがとうございました

168: 2014/10/28(火) 01:40:58.15
アイアンマン・ハルクバスターアーマーも登場する映画『アベンジャーズ:エイジオブウルトロン』来年公開予定!
現在予告編が公開中ですのでぜひ目を通してみてください!

引用元: れんげ「鉄、なめんななのん」