1: 2022/03/09(水) 19:33:58.68 ID:kmI9mnzU.net
可可「えっ」

かのん「意外だった?」

可可「で、でも、かのんと千砂都って仲良く見えマスけど……」

かのん「うん、仲はいいと思うよ」

可可「では大好きなんデスよね?」

かのん「大嫌いだよ」

可可「どういうことデスか? 頭がこんがらがってきマシタ……」

かのん「絶対にちぃちゃんには言っちゃダメだからね」

可可「……どうして千砂都が嫌いなんデスか?」

かのん「どうして、って言われると長くなっちゃうけどいい?」

可可「ハイ」

2: 2022/03/09(水) 19:37:39.70 ID:kmI9mnzU.net
かのん「まず、ちぃちゃんって優しすぎるんだよ」

可可「優しいならいいことでは?」

かのん「私が歌えなくなった時、ちぃちゃんがずっと支えてくれてたの」

かのん「他にも、些細なことでも私が弱気になるとちぃちゃんが傍で笑っててくれて」

かのん「すごく心強かったんだ」

可可「嫌いになるような要素はありマセンね」

かのん「ちぃちゃんってさ、昔は泣き虫だったんだよ」

可可「あの千砂都が?」

かのん「信じられないでしょ? 気が弱かったから気が強い子からは標的にされちゃって」

可可「……いじめられてたのデスね」

かのん「うん。それで私がいじめっ子を追い払ってたの。だからかな、ちぃちゃんは私のことまるでヒーローみたいに思ってる節があるの」

可可「確かに、千砂都はかのんならできるってよく言いマスね」

3: 2022/03/09(水) 19:41:43.05 ID:kmI9mnzU.net
かのん「私ってそんなに完璧じゃないんだよ」

かのん「ちぃちゃんは、私みたいに夢中で打ち込めるものを作りたいってダンスを始めたんだけど、すごい勢いで頭角を現して」

かのん「その頃私は、人前で歌えなくなってた」

かのん「ダンスに打ち込むちぃちゃんはすごく眩しかった。あのちぃちゃんがこんなにかっこいいんだ、って勇気をもらった」

かのん「そんなちぃちゃんが、私のことをずっと支えてくれたんだよ」

かのん「でも、私は全然歌えなかった」

可可「千砂都はかのんにどう声をかけてたのデスか?」

かのん「なんにも。ただ笑って傍にいてくれた」

可可「なんにも……?」

かのん「「かのんちゃんなら歌えるようになるよ」とか「頑張ろう」とかなんにも言わなかった」

かのん「たまに「私、かのんちゃんの歌大好き」って言ってくれて、でもそれ以上は何もなかった」

5: 2022/03/09(水) 19:47:21.35 ID:kmI9mnzU.net
かのん「ちぃちゃんはわかってたんだと思う。慰めの言葉は傷つけるだけだって」

可可「優しいデスね」

かのん「でも、いつか歌えるって信じて傍にいてくれてるのは伝わってた」

かのん「ちぃちゃんが優しすぎるから、甘えてたんだ」

かのん「ちぃちゃんにひどいこと言っちゃったときもあったの」

かのん「「私はもう歌えないんだから期待しないでよ」とか「ちぃちゃんは順調そうでいいよね」とか」

可可「なるほど……」

かのん「それでも、ちぃちゃんは笑って傍にいてくれたんだ」

かのん「そうするとさ、自分が嫌いになってくるの」

かのん「なんで私はこんなこと言えるんだろうって」

かのん「正直、うまくいってるちぃちゃんへの嫉妬もあったんだと思う」

かのん「そのうちね、ちぃちゃんの顔を見るたびに自分の嫌なところが見えて、どんどん嫌いになっていった」

かのん「その気持ちがちぃちゃんに対する嫌な気持ちになるまで時間はかからなかったよ」

7: 2022/03/09(水) 19:51:33.61 ID:kmI9mnzU.net
かのん「私がそんなだから、ケンカすることもあったんだ」

可可「かのんと千砂都はケンカしたことないと思ってマシタ」

かのん「ずっと一緒にいるんだからケンカくらいするよ」

かのん「まあほとんどの場合がケンカっていうか、私が一方的に嫌な気持ちをぶつけてただけなんだけど」

かのん「「もう二度と会いたくない」なんて言っちゃったこともあるんだよ」

かのん「全部私が悪いのに、ちぃちゃんってば目に涙を浮かべながら笑って「そっか、ごめんね」って」

かのん「そうすると、本当にちぃちゃんは会いに来なくなって」

かのん「すっごく寂しくて、心細かった。自分勝手すぎるよね」

かのん「あんなに嫌いだって思ってたのにね」クスクス

9: 2022/03/09(水) 19:56:12.16 ID:kmI9mnzU.net
かのん「少し冷静になると自分が悪かったってことに気付いてさ」

かのん「自己嫌悪しながら、ちぃちゃんに会いたくなって」

かのん「ごめんね、って謝るとちぃちゃんが泣くんだよ」

かのん「「私もごめんね、かのんちゃん」って」

かのん「ちぃちゃんは何も悪くないのに」

かのん「私にはちぃちゃんが必要なんだって思ってるし、ちぃちゃんのこと信用してる」

可可「でもそれなら大嫌いだなんて」

かのん「うん、本当はわかってるんだよ」

かのん「私ってどうしようもないくらいちぃちゃんのことが好き、大好き」

可可「ならなんで大嫌いだなんて……」

10: 2022/03/09(水) 19:59:18.08 ID:kmI9mnzU.net
かのん「ちぃちゃんは、多分私に好意を持ってくれてると思うの」

かのん「だからこそ、嫌い」

可可「どうしてデスか?」

かのん「私は私自身が嫌いだから」

かのん「私なんかのことを好きでいてくれるちぃちゃんも嫌い」

可可「そんなの、寂しいデスよ」

かのん「可可ちゃんも、前に言ってくれたよね」

かのん「自分のことを悪く言わないでって」

可可「ハイ……」

かのん「でも、嫌いな気持ちって一度生まれると消えないんだよ」

かのん「小さくなっても、消えない」

可可「……」

11: 2022/03/09(水) 20:03:41.17 ID:kmI9mnzU.net
可可「千砂都がかわいそうデス」

かのん「私のこと見損なった?」

可可「いえ、かのんも、かわいそうデス……」

かのん「……」

かのん「でもね、私もLiella!のみんなと活動してきて、自分のこと少しは好きになってきたんだよ」

かのん「嫌いは消えないけど、いつか嫌いよりも好きが大きくなったら、自分に自信が持てたら」

かのん「ちぃちゃんに大好きって伝えたい」

可可「そういうことなら、可可も応援してマス!」

かのん「ふふ、ありがとう可可ちゃん」ニコッ

12: 2022/03/09(水) 20:08:51.36 ID:kmI9mnzU.net
千砂都「ういっすー。あれ、まだかのんちゃんと可可ちゃんだけ?」

かのん「ういっすー。みんな遅いから可可ちゃんとガールズトークしてたところ」

千砂都「ガールズトーク、ってどんな話してたの?」

かのん「ちぃちゃんには内緒ー」

千砂都「えー、気になるー」

可可「かのんの好きな人の話をしていマシタ」

かのん「ちょ、ちょっと可可ちゃん!」

千砂都「え、かのんちゃん好きな人いるの!?」

かのん「好きってそういう意味じゃないし、まだいないの!」

可可「でもかのんの目は恋する乙女の目デシタよ」ニヤニヤ

かのん「そういうんじゃないから!」

かのん「まだ好きじゃないから!」

おわり

13: 2022/03/09(水) 20:09:24.62 ID:kmI9mnzU.net
青空を待ってるはかのちぃだと思います。

15: 2022/03/09(水) 20:10:39.44 ID:VbJc34rG.net
乙デス。素晴らしいかのちぃssデシタ。

引用元: 可可「かのんは千砂都が大好きなんデスね」かのん「ううん、大嫌い」