1: 2022/04/08(金) 13:14:42.705 ID:XI7pn5cxd
ぼく「ゴンさんゴンさん」

ゴン「んー? どうしたの?」

ぼく「インシデントが起きちゃった」

ゴン「………は?」

キルア「………」タラッ

ぼく「…………!」ゾアッ

2: 2022/04/08(金) 13:15:33.372 ID:XI7pn5cxd
ゴン「ごめん、よく聞こえなかった……もう一度言って?」

ぼく「いや、だからインシデントが起きちゃ……いや、起きてしまいました……」

ゴン「ふーん……で、何が起こったの?」

ぼく「あのー……約50万人の顧客に対してですね、過大請求が出ました……」

ぼく「各所から請求が多いと、クレームが出ています……」

3: 2022/04/08(金) 13:16:31.659 ID:XI7pn5cxd
ゴン「そっか……でも何とかしてくれるんだよね? キミが」

ぼく「え?」

ゴン「キミが、なんとか、してくれるんだよね?」

ゴン「今すぐに」

5: 2022/04/08(金) 13:17:26.274 ID:XI7pn5cxd
ぼく「あ、あのー……」

ゴン「ん?」

ぼく「今すぐ取り掛かるのは無理です、まだ過大請求が出てしまった正確な顧客の数字も出ていないし、リカバリー方法にも検討が必要です」

ゴン「だから?」

ぼく「だから……頼む、待ってくれ」

6: 2022/04/08(金) 13:17:57.318 ID:XI7pn5cxd
ゴン「………!!」

ゴン「ふざけるな! 何を待つって言うんだ!」

ゴン「立て!! 早く何とかしろ!!」

ぼくのあまりの無能っぷりに、

ゴンは感情の槌の降ろし処を失っていた。

一方キルアは現状をほぼ把握しつつあり……

7: 2022/04/08(金) 13:19:05.522 ID:XI7pn5cxd
キルア(約50万の顧客ってことは……このインシデントはかなりの規模になっちまっているな……)

キルア(数人程度なら順番に個別で対応をすれば解決できるが、数が数だ)

キルア(まだ対象者の正確な件数もリカバリ方法も検討できてないとなると……)

キルア(流石にコイツだけでこの件を取り扱うのは不可能……)

キルア(寧ろコイツだけに任せることで、被害が更に拡大する可能性がある……)

キルア(俺やゴン……いや、他チームの皆にも工数を割いてでも手伝って貰わないと駄目だろうな……)

8: 2022/04/08(金) 13:19:37.455 ID:XI7pn5cxd
キルア(それほどまでに、コレは重大なインシデント……チームリーダーどころか、早急に社長にも報告が必要なレベルだ)

キルア(だがゴンは、インシデントはインシデントを起こした人間が何とかするべき、という考えを持つ人間……!)

キルア(この事実は……ゴンにとってマイナスでしかない……)

キルア(どうすりゃいい……!? 何て言えば……)

ゴン「………」ザッ

9: 2022/04/08(金) 13:20:06.963 ID:XI7pn5cxd
ぼく「何でも! 何でも言うことを聞くから!」

ぼく「だから待ってくれ……」

ぼく「というか……僕だけで対応するのは無理があるので……」

ぼく「問題解決のために……ゴンさん達も手伝ってください……」

10: 2022/04/08(金) 13:21:29.474 ID:XI7pn5cxd
ゴン「テツダ……? テツダ……何?」

キルア(ホッ……無能のコイツでも流石に一人じゃ厳しいことに気づいたか)

キルア(今日明日くらいはアルカと遊ぶ時間が減っちまうが仕方ねえ、俺が助け舟を出してやるか)

キルア「手伝う? お前の言う手伝うって……」

ゴン「キルア、俺が聞いてるんだ」

キルア「……!」

ゴン「テツダッテクレって…………何?」

11: 2022/04/08(金) 13:22:03.187 ID:XI7pn5cxd
返答次第ではぼくの命が消える。

極限まで張り詰めた空気の中で、

ぼくが選択した答えは……。

ぼく「いや、どう考えても僕一人じゃ無理なんで……」

偽らないことであった。

12: 2022/04/08(金) 13:23:05.185 ID:XI7pn5cxd
ぼく「そりゃ一人なら僕でも対処できましたけど……」

ぼく「流石に50万人以上は僕だけだとちょっと……」

ぼく「もしも一人でやろうとしたら……多分何ヶ月も掛かってしまうし……」

ぼく「でも顧客に迷惑がかかっている以上、問題解決を間延びさせるわけにはいかないし……」

ぼく「だから……手伝ってください」

13: 2022/04/08(金) 13:24:06.245 ID:XI7pn5cxd
ゴン「手伝って欲しい……」

ゴン「ってこと?」

ゴン「テツダッテクレって……」

ゴン「手伝うってこと?」

ゴン「ハァ……ハァ……」

ゴン「勝手なこと……言いやがって……」

ゴン「勝手だよ!」

14: 2022/04/08(金) 13:25:24.471 ID:XI7pn5cxd
ゴン「畜生! 誰が……っ! 誰がお前の言う通りになんか……っ!」

ゴン「」ザッ

ぼく「ヒッ」

キルア「ゴン、ちょっと待て」

ゴン「……」

15: 2022/04/08(金) 13:26:13.860 ID:XI7pn5cxd
キルア「恐らく無能のコイツ一人じゃこのインシデントの解決は……多分無理だ」

ゴン「それで?」

キルア「けどそいつの言う通り……顧客に迷惑がかかっている以上、問題を先延ばしにするわけにはいかないのも事実だ」

ゴン「だから?」

キルア「俺達もインシデントの解決を手伝おう」

16: 2022/04/08(金) 13:27:18.343 ID:XI7pn5cxd
ゴン「恐らく? 多分? 恐らく多分で手伝うって?」

ゴン「まだコイツはインシデントの解決に挑戦すらしていない! 良いか! 挑戦さえもしてないんだぞ!」

ゴン「インシデントをやらかしたのはコイツ自身だろ! だったらコイツが主体となって動くべきじゃないのか!?」

ゴン「なのに恐らく? 多分? できない? 分からない? 挙げ句の果てに手伝ってくれ?」

ゴン「ふざけるな! ふざけんなよ!」

ゴン「どうかしてんじゃないのか!?」

ゴン「こんな……こんな無責任の奴のために……自分の時間を使うのか!?」

ゴン「納得できるわけないだろ!!」

17: 2022/04/08(金) 13:28:08.188 ID:XI7pn5cxd
ぼく「………」

キルア「………」

ゴン「………」

ゴン「だんまりか……」

ゴン「もういい、話は終わりだ……そのインシデントはお前が何とかしろ……良いな……」スタスタ

ぼく「ちょっ……まっ……!」

ゴン「次ゴタゴタ言ったら……お前を頃す」

ぼく「………」

ゴン「………」スタスタ

18: 2022/04/08(金) 13:29:46.770 ID:XI7pn5cxd
ぼく「ドウシヨウ……ドウシヨウ……」

キルア「……お前に自分の腕を折るくらいの覚悟があったなら、俺ももう少し食らいついてやったんだがな」

キルア「まっ、元を正せば全部お前のせいなんだし、やるだけやってみろよ」

キルア「骨だけは拾ってやるからさ」

ぼく「マッテ……オネガイ……」

キルア「んじゃ、お先~」スタスタ

ぼく「……」

ぼく「…………」

ぼく「………………………」

人生おわり。

19: 2022/04/08(金) 13:32:09.956 ID:XI7pn5cxd
何年も前の話ですが、
ノンフィクションでお送りしました。
勿論、一部は改変してます。
ぼくが>>1なのか、
あるいはチームのメンバーなのか、
この後どうなったのかについてはご想像におまかせします、みんなもインシデントには気をつけようね。

20: 2022/04/08(金) 13:33:06.808 ID:X1HliT830

21: 2022/04/08(金) 13:54:11.335 ID:ylZcQTmr0
ん?ぼくくんがぼくで>>1がぼくじゃないなら>>1はだれ?

引用元: ぼく「やっべ、インシデント起こしちまった」