65:◆sIwGJs3.BM   2013/07/20(土) 22:27:04.67 ID:2c0GB8320

シン「やよい、今日の撮影凄く良かったぞ」

やよい「ホントですか!? うーっ、頑張った甲斐がありましたっ!」

やよい「シンプロデューサー! アレ、やりましょう!」

シン「お、アレか。よし、来い!」

やよい「ハイ、ターッチ!」

 パチンッ!
 
シン&やよい『イェイッ!!』

やよい「うっうーっ! 嬉しいですっ!」

シン(高槻やよい)

シン(765プロが誇る最高の癒し系アイドルだ)

シン(俺はその姿に、いつの間にか――ある人達の姿を、重ねていたようだ)


【ガンダム種死】シン「俺が美希をキラキラさせてやる」
67: 2013/07/20(土) 22:31:12.51 ID:2c0GB8320
シン(765プロオールスターライブから、一ヶ月の時が過ぎた)

シン(竜宮小町以外のメンバーにも、かなりの人気出始めて、765プロは快進撃と言える活躍ぶりをしている)

シン「じゃあ、今日は春香と千早が午前中番組収録、

 その後ボイスレッスンに行かせるから、午前中の顔だしお願いして良いか?」

律子「ええ、そっちは私の方が顔馴染みだしね」

シン「竜宮小町は今日オフだったよな」

律子「久しぶりにゆっくりできる休日だからね。今日だけは家でゆっくりしているよう言ってあるわ」

シン「亜美はあそこで真美と遊んでるけどな」

68: 2013/07/20(土) 22:31:49.92 ID:2c0GB8320
亜美「ちょ! 真美そこで昇竜は卑怯っしょ→!?」

真美「勝てばよかろうなのだ→!!」

亜美「テメェの血は何色だ→!!」

真美「赤だ→!!」

亜美「亜美もだ→!!」

律子「まあ、休日くらいしか一緒に遊べる時間もないでしょうし、その位は勘弁しますが――真美の予定は?」

シン「午前中は仕事無しだが、午後はやよいとお料理さしすせその収録がある」

やよい「亜美、真美ー? ソファの下掃除するからどいてー」

亜美「あ、うん」

真美「うあうあー! 事務所のお掃除なんてアイドルのする事じゃないよやよいっち!」

シン「別に良いだろ……でもやよい、ホントに大丈夫だぞ? その辺は事務員の音無さんの仕事だし」

小鳥「ピヨ!? そ、そうだったの!?」

律子「そうですよ……今さら何驚いてるんですか……」

69: 2013/07/20(土) 22:37:28.31 ID:2c0GB8320
やよい「大丈夫ですっ! わたし、お掃除とかするの大好きなので、コレくらいへっちゃらですーっ!」

やよい「それに、事務所が綺麗になれば、みーんな嬉しくなって、

 その嬉しそうな顔を見るだけでわたしも嬉しくなるから」

やよい「好きな事やってみーんなハッピーって、凄い事じゃないかなーって!

  だからわたし、全然平気ですーっ」

小鳥(天使)

律子(天使)

シン「そうか? なら良いんだが。大切なアイドルなんだ。埃吸い込んで、体調壊さないようにな?」ナデナデ

やよい「えへへー、大丈夫ですよー」

真美「シン兄ちゃんさ→、やよいっちには凄くアマアマだよね→」

亜美「アマアマ天海ですっ! プロデューサーさん! 激甘ですよ、激甘!」

70: 2013/07/20(土) 22:39:01.64 ID:2c0GB8320
シン「良い子甘やかして何が悪い。お前らも甘やかされたかったら、ちゃんと良い子にするんだぞ」

亜美真美『遠まわしに良い子じゃない発言キタコレーッ!』

律子「全然遠まわしでもないけどね……」

やよい「あっ! シンプロデューサー! 午前中お時間空いてますか!?」

シン「俺のか? 俺は九時から十一時まで事務所で雑務こなす予定だったけど……さっき朝の朝礼前に終わらせちまった」

律子「早……」

シン「タイピングの速さだけが、コーディネイターの利点なものでね」

シン「で、午後からやよいと真美の収録があるから、それに引率するまでは、時間があるな」

やよい「ごめんなさい、一緒にスーパーに来てもらって良いですか?」

シン「スーパー?」

71: 2013/07/20(土) 22:40:34.51 ID:2c0GB8320
やよい「はいっ! 卵の特売があって……」

やよい「おひとり様2パックまでなんですけど、出来れば4パック欲しいなーって……

 だから、悪いんですけど、二つ代わりに買ってほしいなーって……」

シン「そんな事か。良いぞ、じゃあ今から行くか」

亜美「じゃあ亜美もお菓子買いにGO-っ!」

真美「真美も真美もーっ!」

シン「というわけで、ちょっと出てくる。春香と千早の番組、頼んだぞ」

律子「はーい。せいぜい年少組とのデート、楽しんで来てね」

シン「茶化すなよ……行ってきます」

やよい「いってきまーすっ!」

73: 2013/07/20(土) 22:49:29.35 ID:2c0GB8320
スーパー

シン「じゃあ、亜美真美。お菓子はそれぞれ200円ずつまで買ってよし。買い物手腕の見せ所だぞー」

亜美「むっふっふー、兄ちゃん亜美達を甘く見過ぎだねっ」

真美「200円あれば、この程度のスーパーのお菓子コーナーを占拠するなど朝飯前よ!」

シン「いや合計400円じゃ無理だろ」

亜美真美『ですよねー』

シン「じゃあ俺とやよいは卵な。――というかスーパーなんて来るの久しぶりだな」

やよい「そうなんですか?」

シン「ああ、オーブに居た頃、家族とよく来た位かな」

74: 2013/07/20(土) 22:51:41.98 ID:2c0GB8320
やよい「じゃあ普段、シンプロデューサーはどうやってお料理してるんですかー?」

シン「いや、してない……外食かコンビニ弁当で済ませてる……」

やよい「そ、そんなのダメですよー!

 栄養バランスも偏っちゃいますし、何よりお金がもったいないですー!」

シン「と言っても……料理の経験なんてないし、サプリメントも取ってるから問題は」

やよい「千早さんも同じこと言ってましたけど、プロデューサー、

 千早さんには『食事のバランスには気をつけろよ』って、何時も言ってます-!」

シン「そ、そこを突かれると痛いな……分かった。

 出来るだけ考慮してみるけど……俺野戦食の手加え位しか出来ないぞ……?」

やよい「うー、心配ですー。千早さんは、最近春香さんとお料理するって言うから大丈夫だと思うんですけど……」

75: 2013/07/20(土) 22:53:28.17 ID:2c0GB8320
やよい「――そうだ! わたしの家で一緒にご飯を食べましょーっ! そうすれば安心ですっ!」

シン「え!? ダメダメ! 華のアイドル宅へお邪魔するなんてパパラッチの良い的だ!」

やよい「シンプロデューサー、我がまま言っちゃ、メッ! ですよ!」

シン「我儘じゃなくて……その」

やよい「うー……」

シン「……そんな目で見るな。分かった、分かったから。卵、買うんだろ?」ナデナデ

やよい「えへへー、ハイッ!」

76: 2013/07/20(土) 22:54:29.32 ID:2c0GB8320
シン「よし、卵カゴに入れた。――じゃあやよい、お前もお菓子選んで来い。200円までだぞ?」

やよい「え!? 良いんですか!?」

シン「亜美真美はOKでやよいがダメなわけないだろ?」

やよい「……ハイッ! わかりましたー! ありがとうございますーっ」ガルーン

シン(やよいは元気に走っていき、俺の持ったカゴにほぼ丁度200円のお菓子を入れ、元気にお礼をした)

シン(気のせいか。そのお菓子はどれも、柔らかく、小さい子供でも食べれるものばかりだ)

シン(ちなみに、亜美真美はお子様用カゴ沢山にお菓子を入れまくり、

 ホントに200円以内なのか疑わしかったが、二つのカゴ合わせて400円丁度だった)

シン(コイツら、意外と買い物上手かもな)

78: 2013/07/20(土) 23:03:27.92 ID:2c0GB8320
やよい「では、本日のお料理さしすせそも、お別れの時間がやってきましたーっ」

亜美「楽しかったよやよいっちー」

真美「是非やよいっちの旦那さんになってみたいものですな→」

亜美「幸せそうだよねー」

真美「お財布のひもは握られそうだけど、毎日の晩御飯が楽しみになるもんね→」

やよい「も、もう亜美、真美! からかわないの!」

やよい「それじゃあ皆~、バイバーイッ!」

シン(……暇な亜美もつれてテレビ局に行ったら、亜美も出てくれないか、という監督さんのお言葉が)

シン(休日返上だが、真美と一緒の仕事だから平気だと快諾してくれた亜美に、お礼しとかないとな)

シン(さて、これから事務所に帰って、貴音、響と軽いミーティングしたら、企画書まとめて……

 あとは明日の分の仕事もやっちまうか。これなら十時には帰れる)

79: 2013/07/20(土) 23:04:33.66 ID:2c0GB8320
シン「皆お疲れ! 亜美、休日なのに仕事してもらって悪かったな。その分ギャラは弾んでくれるそうだぜ」

亜美「ギャラ弾んでもらっても、亜美達パパ達にお金管理されてるんだけどね→」

真美「月五千円のお小遣いでやりくりするんだよ→偉くない?」

シン「偉い偉い。じゃ、帰るか」ナデナデ

シン「やよいも、お疲れ」

やよい「お疲れ様でーす!

 シンプロデューサー、プロデューサーのお仕事って、いつ終わりますかぁ?」

シン「へ?」

やよい「わたしの家でご飯食べるって約束ですよー!」

シン「あ、あれってマジだったのかよ!?」

81: 2013/07/20(土) 23:17:45.46 ID:2c0GB8320
やよい「大真面目です!

 プロデューサー、いつもわたし達の為に頑張ってるんだから、ちょっとでもお礼しないとなーって!」

シン「う、嬉しいけどさ……今日は残業が……」

真美「え→兄ちゃん昨日も残業してなかった?」

亜美「ピヨちゃんに『俺はタイピング早いから、この仕事はやりますよ!』って仕事奪って帰らせてたじゃ→ん」

シン「そりゃ女の人をあんま夜道歩かせるわけいかないし……」

シン(あと、あの人残業中テンション高くて、何か怖いし……)

やよい「じゃあ毎日何時に帰ってるんですか?」

シン「帰る時間はピン切りだよ。早ければ定時の六時には上がれるし、遅ければ日付をまたぐ時もある」

82: 2013/07/20(土) 23:19:23.61 ID:2c0GB8320
やよい「ちなみに今日は……」

シン「貴音・響、二人のミーティングと予算割り振りするだけだから、八時には帰れると思うけど。

 ただ明日やる分もやっちゃおうかと思って、今日は十時まで居るつもりだった」

亜美「明日出来る事は明日やればいーじゃん!」

真美「兄ちゃん~、仕事にアッチューする人はモテないよ~?」

シン「『熱中』な。――まあ、そうだけど。やよいは、いいのか? その、俺みたいな男を家に上げてさ」

やよい「大丈夫です! ウチ、兄妹がいっぱいますから、一人ぐらい増えてもへっちゃらかなーって!」

シン「…………兄妹」

やよい「? どうしたんですか?」

シン「――そう、だな。行こう、かな」

83: 2013/07/20(土) 23:20:40.95 ID:2c0GB8320
シン(帰りの車に乗り込んだ俺達。

 俺は、何だか妙な気持ちを抱えたまま、ただ車の運転をしていた)

亜美「兄ちゃん、いつものムッツリ顔じゃないよ?」

真美「どしたの、なんか遠い目してるよ?」

シン「え、そんなにか?」

亜美真美『うんうん』

シン「そうか。いや……懐かしくてさ。俺、妹いたから、兄妹で飯とか……なんか、そう言うのがさ」

真美「え!? 兄ちゃん妹居たの!?」

亜美「見たい! 亜美達、兄ちゃんの妹チョー見たい!」

やよい「わ、わたしも見たいかなーって」

シン「ああじゃあ――これだよ」

84: 2013/07/20(土) 23:22:14.40 ID:2c0GB8320
シン(俺が取りだしたのは――古い、ピンク色の携帯電話だ。

 待ち受け画面には、一人の女の子。地味ではあるが、どこか明るく、可愛らしい印象を受ける女の子――)

シン「妹の、マユだ」

亜美「へー、カワEネ→!」

真美「兄ちゃん! この子もアイドルにしちゃおうよ!

 てか、これ最近の写真じゃないっしょ? もっと最近のないの?」

シン「ないよ。――氏んじまったからな」

真美「え」

亜美「えっと……その、もしかして」

シン「ああ、戦争でな。両親と一緒に流れ弾で――って悪い。こんなこと、女の子に聞かせる話しじゃなかったな」

亜美「そ、そんなことないよ! 亜美たちこそゴメンね? そんな事とは知らずに……」

真美「うん、ハンセーする……」

85: 2013/07/20(土) 23:23:17.02 ID:2c0GB8320
シン「怒ってないから大丈夫だ。――それより、二人がそうシュンとしてる方が気持ち悪いぜ?」

亜美「あー! 人がせっかくメズラC→コーケー見せてやったのに!!」

真美「兄ちゃんなんか知らない! 口リコン、えOち!」

シン「楽しそうだなお前ら……やよい?」

やよい「へ?」

シン「さっきから全然喋らないけど……

 やっぱり、聞いてて気持ち良いもんでもなかったよな? 戦争の話なんて」

やよい「そ、そうじゃなくて……その、うー……ウチの兄弟が……

 そうなったらって考えたら、ちょっと……悲しくて……うぅ……」

シン「ご、ごめんやよい!! 大丈夫だ、戦争はもう起きないし、起きたとしても!」

シン「――俺が、やよいを守るから!!」

やよい「っ!////」

87: 2013/07/20(土) 23:30:24.56 ID:2c0GB8320
亜美真美『プロポーズだ!! 兄ちゃんのプロポーズだ!!』

シン「バッ、違――お前ら全員、俺が守るって意味だ!」

シン「だから、やよいにも悲しい想いは、絶対にさせない。だから、な?」

シン「俺はやよいの笑ってる顔の方が好きだから、涙拭いて笑ってくれよ」

やよい「は……っ、はいっ!」ペカーッ

シン「よし……じゃあ、今日は残業サッと終わらせるから、それまで待ってもらっていいか?」

やよい「大丈夫です! わたし、事務所のお掃除しながら待ってます!」

88: 2013/07/20(土) 23:31:24.01 ID:2c0GB8320
シン「そっか。亜美と真美はどうする? やよいも、良いだろ?」

やよい「うんっ、亜美と真美も良かったらおいで?」

亜美「うーん、お誘いは嬉しいけどねーん?」

真美「ママが今日ビーフストロガノンドルフを作って待ってるって→」

シン「強そうだなそれ」

やよい「そっかー、じゃあ仕方ないね」

真美「そうだね、ちかたないね。今日はやよいっちが兄ちゃんを一人占めだね!」

亜美「精一杯兄ちゃんに甘えてやんな→」

やよい「ひ、一人占め……////」

シン「お前らやよいをあんまからかうなよ……ほら、着いた」

亜美「じゃあ、亜美達、リッちゃん達に挨拶して帰るね兄ちゃん!」

シン「ああ、お疲れお前ら。やよいも、事務所で待っててくれ。車置いて、仕事すぐ終わらせるから」

やよい「はーいっ!!」

89: 2013/07/20(土) 23:32:30.69 ID:2c0GB8320
会議室

シン「一週間後、長期ロケで動物探検の仕事があって、ゲストに貴音が入る。

 響、貴音のバックアップを頼むぞ」

シン「今回のロケは地球の【日本】だ。

 ついでにその二日後にある温泉特集にも、二人をねじ込んどいたから、こっちの収録も兼ねていく」

シン「結構長期的なロケになるから、着替えとか準備を怠らないように。大丈夫か?」

響「大丈夫さーっ! 自分完璧だからな! それに、故郷の国に行けるなんて夢みたいさー!」

シン「ああ、響は日本出身なのか……これでセールスポイントがあがるな」

響「ウチの事務所は、名前的に日本出身か、家族が日本に居たとか、そう言う子が多いんじゃないか?」

シン「そう言えばな……俺はオーブ基準の名前だけど、皆は漢字が使われてるし」


風呂入ってくるね

90: 2013/07/21(日) 00:05:41.41 ID:dWfrjt3I0
シン「貴音はどこ生まれなんだ?」

貴音「ふふ、そのようなぷらいべぇとの質問には、お答え致しかねます」

シン「とっぷしぃくれっと、か?」

貴音「ええ、とっぷしぃくれっとです」

シン「そっか、残念。じゃあミーティングはこれにて終了。この長期ロケは俺が付いて行くから」

シン「明日はとりあえず、響がラジオ収録、

 貴音は生すか用の新企画打ち合わせに行くから、朝十時に事務所に来るように」

貴音「かしこまりました」

響「分かったさー! じゃあシン、自分これで失礼するぞ!」

貴音「では、私もこれで」

シン「ああ、お疲れ二人とも」

91: 2013/07/21(日) 00:06:37.42 ID:dWfrjt3I0
貴音「シン、これかららぁめんなどいかがでしょう? お仕事の方は、もう終了したとお見受け致しますが」

シン「悪い、これからやよいにお呼ばれしてるんだ」

貴音「おや……そうですか、それでは致し方ありませんね」

貴音「――シン、やよいは非常に強い子です」

貴音「いくらまだ幼いとは言え、貴方もまだ十七。弱さを見せても良い、という事だけは、お伝えしておきます」

シン「? よくわかんないけど……とりあえず心に留めてはおくよ」

貴音「ふふっ、それがよいでしょう。では、お先に失礼いたします」

シン「ああ、気をつけて帰れよ二人とも」

響「じゃーねーっ」

貴音「それでは」

シン「……よし、じゃあやよいに声かけて帰るか」

92: 2013/07/21(日) 00:08:24.32 ID:dWfrjt3I0
シン「――ずいぶんと、年季の入った家だな……珍しく木造住宅だ」

やよい「日本式なんですよー。どうぞ上がってください」

シン「ああ、お邪魔します。――あ、靴は玄関で脱ぐんだよな。この辺はオーブの家と一緒か」

長介「やよい姉ちゃん、おかえり――って、お客さん?」

やよい「そうだよー、わたしのプロデューサーをしてくれてる人だよ」

シン「よろしくな、俺はシンだ」

長介「あ、弟の長介です。ゆっくりしてってください」

シン「ありがとう。――他に兄弟は居るのか?」

93: 2013/07/21(日) 00:08:58.05 ID:dWfrjt3I0
やよい「妹のかすみと、弟は長介以外にも浩太郎、浩司、浩三の三人がいますよー」

シン「だ、大家族だな……」

やよい「でもすっごく楽しいんですから!

 じゃあわたし、晩御飯の用意してくるので、プロデューサー、弟達の相手をお願いしてもいいですか?」

シン「ああ、ソレ位お安い御用さ」

やよい「じゃあ長介、プロデューサーをお願いね」

長介「うん、分かった!」

94: 2013/07/21(日) 00:09:32.35 ID:dWfrjt3I0
シン「行くぞヤキニクマン! デスティニーの力見せてやる!」

浩太郎「ヤキニクパーンチ!!」

シン「効かんわっ! 足掴んで宙ぶらりの刑だ!」

浩太郎「うわー! ヤキニクマン負けちゃったーっ!」

長介「姉ちゃん~、浩三のオムツどこー?」

やよい「何時もの所に置いてあるよー?」

シン「はっはっは、手も足も出ないなヤキニクマンッ!」

浩二「ヤキニクマンをはなせーっ! コノ、コノッ!」

シン「効かんぞ、効かんぞー、ハハッ」

95: 2013/07/21(日) 00:10:28.06 ID:dWfrjt3I0
浩太郎「くそーっ! かすみ姉ちゃん、助けて―っ!」

かすみ「え!? そ、その……た、助けてください」

シン「はいはい。ほらよ、良いお姉さん持って幸せだな」パッ

浩太郎「解放された! これで安心して戦える! ヤキニクキーック!」

シン「しかしその足掴んで再び宙ぶらりの刑だ!」

浩太郎「くそー! 人は同じ過ちを繰り返すのかーっ!」

やよい「はーい浩三、ミルクだよー」

長介「シンさんごめんなさい、ちょっと棚上の替えオムツ取ってもらっていいですかー?」

シン「ああ、いいよ。ほらヤキニクマン。一時休戦だ」

96: 2013/07/21(日) 00:16:42.09 ID:dWfrjt3I0
やよい「それじゃあ皆で――」

『いただきまーすっ!』

シン「うま……こんな美味い料理食ったの久しぶりだ!」

やよい「よかったですー!」

かすみ「わ、わたしも手伝ったんだよ……?」

シン「偉いなかすみちゃんは。ちゃんとお姉ちゃんの手伝い出来て」ナデナデ

かすみ「えへへ……/////」

長介「シンさん、醤油居る?」

シン「ああ、貰うよ。長介くんも気が効くし、良い家族じゃないか」

97: 2013/07/21(日) 00:17:11.82 ID:dWfrjt3I0

浩太郎「ボクは、ボクは!?」

シン「ヤンチャ坊主」

浩二「ぼくは、ぼくは!?」

シン「同じくだ、ヤンチャ坊主ども」

やよい「えへへー、自慢の家族ですーっ」



シン「――うん、美味しかった。御馳走様」

やよい「あ、洗っちゃいますんで、置いたままでいいですよー」

シン「そこまで任せちゃっていいのか?」

やよい「プロデューサーはお客さんですから! 浩太郎、浩二、かすみー、お風呂入ってきなさいー」

98: 2013/07/21(日) 00:17:49.97 ID:dWfrjt3I0
浩太郎「シン兄ちゃん、一緒に入ろう!」

浩二「入ろ! 入ろ!」

シン「え、いや俺は――」

やよい「あの、プロデューサー」

シン「な、なんだ? どうした?」

やよい「浩太郎達、プロデューサーが来てすっごく喜んでるんです。もしよかったら、一緒に入ってあげてくれませんか?」

シン「……いいのか?」

やよい「はいっ! あ、もちろんプロデューサーがよかったら、ですけど……」

シン「……ならいいよ。良し、じゃあ入るかお前ら! 長介君はどうする?」

長介「お、俺は、いいです。風呂狭いし」

シン「遠慮すんな。つめれば大丈夫だろ」

浩太郎「そーそーっ! じゃあ行こう!」

浩二「おーっ」

長介「し、仕方ないな……」

99: 2013/07/21(日) 00:23:16.48 ID:dWfrjt3I0
浩二「シン兄ちゃん! 背中洗ったげる」

シン「いいのか? じゃあ宜しくな」

浩太郎「じゃあボクも洗うぞ!! エリャエリャっ!」

シン「ははっ、もうちょい強くやってくれよ」

浩太郎「? シン兄ちゃん、肩にデッカイ傷あるけど、どうしたのー?」

シン「ああ、これか。俺昔モビルスーツ乗ってたから、その時の怪我だよ」

浩二「パイロットだったの!?」

シン「ああ、と言っても、もう辞めちゃったけどな」

100: 2013/07/21(日) 00:23:56.27 ID:dWfrjt3I0
浩太郎「すげーっ! いっぱい敵倒したの!?」

長介「浩太郎!!」

シン「ああ、良いんだよ別に。そうだな、敵はいっぱい倒したよ」

浩太郎「俺も頑張れば、シン兄ちゃんみたいになれる!?」

シン「――ならなくていい。浩太郎は、MSのパイロットより、飛行機やシャトルのパイロットにでもなればいいよ」

シン「そっちの方が、かっこいいぜ?」

浩太郎「そっかー、もびるすーつパイロットが言うなら間違いないね!!」

シン「そうそう。年上の言う事は聞いておけよ」

長介「……」

102: 2013/07/21(日) 00:25:41.86 ID:dWfrjt3I0
浩太郎「すー、すー」

浩二「くぅ……」

シン「そして王子さまは、MS『フリーダム』で王女様をさらい、二人で幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」

かすみ「いいな、王女さま……」

シン「MSでさらわれたいのか?」

かすみ「そ、それより、王女さまが王子さまにさらってもらって、幸せになるっていうのが、羨ましいです……」

シン「はは、俺が王子様じゃなくて悪いな」

かすみ「////そ、それならそれでも……」

シン「かすみちゃん?」

かすみ「な、なんでもないですっ////」

シン「ん、ならそろそろ寝ろよ? じゃないと明日寝坊しちまうぞ」

かすみ「ん、それはダメ……おやすみなさい」

シン「うん、おやすみ」

103: 2013/07/21(日) 00:26:43.23 ID:dWfrjt3I0
シン「……疲れたなー、さすがにこの歳の子達の相手はキツイな」

やよい「ごめんなさい、お客さんなのに弟達押しつけちゃって」

シン「いや。大変だったけど、スゲェ楽しかったから、大丈夫だよ」

やよい「良かった―。あ、わたし戸締り確認してきますねー」

シン「ああ」

長介「あの……シンさん」

シン「? どうした、寝なくて大丈夫なのか?」

長介「あの……宿題で、どうしてもわからない所が……あんま、姉ちゃんには……」

シン「……そうか。いいぜ、教えてやるから。どれだ?」

長介「こ、これ!」

シン「ああ、これはこの分母を――」

104: 2013/07/21(日) 00:32:32.51 ID:dWfrjt3I0
長介「そっか、これで良いんだ! 凄いやシンさん!」

シン「凄くなんかないよ、ちゃんと勉強すりゃ、頭悪くても分かるさ」

長介「……ねぇ、シンさん」

シン「ん、どうした?」

長介「姉ちゃん、アイドルとして大丈夫ですか?」

シン「ああ、俺もやよいに助けてられっぱなしだ。――強いよ、お前の姉ちゃんは」

長介「……俺、大きくなったらMSパイロットになりたいんです。

 姉ちゃんを――皆を、守れる男になりたい。

 そんで、いっぱい金稼いで、皆を楽させてやるんだ!」

シン「そっか……長介は、ナチュラル、だよな」

長介「う、うん」

105: 2013/07/21(日) 00:35:34.06 ID:dWfrjt3I0
シン「実際問題、難しいだろうな。

 プラントじゃあMSパイロットはコーディネイターに席を奪われるだろうし、

 地球軍は――正直、もう存在自体が形骸化してる。辞めた方がいい」

長介「で、でも……でも!」

シン「長介、さっき俺が浩太郎に『いっぱい敵を倒したか』って聞かれて、君はそれを遮ろうとしたよな」

シン「どうしてそうしようとした?」

長介「……戦争に、参加したって事、なんでしょう? だとしたら、必ず良い話だとは、限らない、と思ったから……」

シン「よく考えてるじゃないか。そうだ、戦争に参加しちまえば、必ずいい事だけとは限らない」

シン「仲間が氏ぬことだってある。俺自身氏にかけた事だってある」

シン「もし、長介が氏んだら――守るって決めた家族が、一番悲しむんだ」

シン「だから――やよいや家族が、長介のすぐ近くに居てくれるなら」

シン「軍人にだけは、絶対にならない方がいい」

106: 2013/07/21(日) 00:41:15.45 ID:dWfrjt3I0
長介「……そう、ですか」

シン「今日、やよいがいっぱいお菓子買ってきたの、知ってるか?」

長介「うん。皆で食べろって――」

シン「あれ、俺がやよいにって、買ってあげたお菓子だ」

シン「やよいは、自分よりも誰よりも、兄妹であるお前たちの事を想って、何時もアイドルをやってる」

長介「……姉ちゃん、いつもそうなんです。自分の事は後回しで……

 でも、それを悟られないようにって、笑顔でいつも……」

シン「長介、お前もそう言う大人になれ。――人に優しさを、そっと与えられる大人になってほしい」

シン「それだって、立派に家族を守る男の役目だ。わざわざ軍人になる理由なんてどこにもない」

107: 2013/07/21(日) 00:41:41.72 ID:dWfrjt3I0
長介「……分かりました! 俺、そう言う大人になります!」

長介「優しくて、強くて、そんでお金持ちになってやります!」

シン「ああ、男と男の約束だ」

長介「はいっ!」

シン「ほら、そろそろ寝ないと、明日の学校に遅刻しちまうぞ」

長介「いっけね! じゃあ、おやすみなさい、シンさん!」

シン「ああ、おやすみ」

やよい「あ、長介おやすみ~」

長介「おやすみなさい!」

108: 2013/07/21(日) 00:46:02.93 ID:dWfrjt3I0
やよい「なんのお話してたんですかー?」

シン「男と男のお話だよ」

やよい「うわーっ! 何か、すっごく頼もしいですっ!!」

シン「ああ、長介は良い男になるぞ。楽しみにしとけよ」

やよい「――みーんな、すっかりプロデューサーに懐いちゃいましたね~」

シン「ああ俺としてもスゲェ楽しかったよ。なんか、家族が――」


シン「増えた、みたいで……」


シン(――ああ、そうだ。忘れてた)

シン(俺にはもう、居ないんだ。家族なんて)

やよい「ぷ、プロデューサー……!?」

シン(涙が止まらなかった)

シン(もう十七なのに、子供のように、ただその場で泣き続けた)

シン(父さん、母さん、マユ……ステラ……レイ……!)

シン(皆、皆失った……守るって決めた、大切な人達)

シン(その人たちは、俺の、家族は、友達は――もう誰も居ないんだ)

シン(家族の温かさに触れ……その事を再び、実感した事が、酷く悲しかった)

109: 2013/07/21(日) 00:49:45.29 ID:dWfrjt3I0
シン(――泣きやむと、俺はやよいに抱きしめられていた)

やよい「よしよし……大丈夫、大丈夫ですよー」

シン(まるで赤子を泣きやませるかのように……やよいは、俺の頭を撫でて、落ち着かせようとしていた)

やよい「……泣きやみましたかー?」

シン「あ、ああ……ごめん。みっともない所見せちゃって」

やよい「そんなことないです。わたし、嬉しかったです! プロデューサーの、意外な所が見れて」

やよい「いつも、むすーっとしていても、いっつもわたしたちの事を、一番に考えてくれる、

 優しい、お兄ちゃんみたいなプロデューサーが、わたし、大好きです!」

やよい「だから、悲しい事あったら、わたし、いくらでもギューッとしてあげますから。遠慮なんてしないでください!」

やよい「だって――765プロのみんなみーんな、誰ひとり欠けちゃいけない『家族』だって、律子さん言ってました!」

110: 2013/07/21(日) 00:50:41.73 ID:dWfrjt3I0
シン「家族――俺が、皆と……」


シン(そうか……)

シン(居るじゃないか。――新しい家族が)

シン(本当の家族は、友達は、ステラは――もう居ないけど)


シン(俺の大切な居場所は、すぐ近くにあったんだ……こんな、手の届く所に)


シン(俺は、貴音の言葉を思い出し……やよいの言葉に甘え……もう一度だけ、涙を流す)

シン(でもそれは、悲しいからじゃない)

シン(嬉しいから。俺は笑いながら、涙を流した)

111: 2013/07/21(日) 00:51:48.31 ID:dWfrjt3I0
シン「じゃあ、お邪魔しました」

やよい「また来てくださいね! 約束ですっ!」

シン「ああ」

やよい「じゃあ――約束の、ハイッ!」

シン「ターッチ!」

 パチンッ!
 
やよい&シン『イェイッ!』

シン「――ありがとな、今日は色々、嬉しかった」

やよい「えへへーどういたしましてー。こっちこそ」

やよい「……お兄ちゃんが出来たみたいで、嬉しかった、です////」

シン「ああ、俺はお前らの兄ちゃんだ。どんどん、甘えてくれていいからな」

やよい「! は、はいっ!」

シン(やよいは嬉しそうに手を振りながら、俺を見送ってくれた。

 俺は、まだ胸に残るもどかしさを抑えて、帰路についた)

112: 2013/07/21(日) 00:54:19.31 ID:dWfrjt3I0
翌日

やよい「おはよーございますーっ!」

シン「お、おはようやよい。昨日はサンキュな。楽しかったよ」

やよい「あ、お兄ちゃん――ってあっ!!////」

やよい「ま、間違えました! わ、忘れてくださーいっ!/////」

シン「あー別にいいよ。俺も嬉しいしな、兄ちゃんって言われて」

亜美「おやおや→やよいっちがシン兄ちゃんの事を【お兄ちゃん(はぁと)】と呼びましたぜ真美さん!」

真美「聞きましたぜ亜美さん……【お兄ちゃん(はぁと)】ですぜ……」

亜美「シン兄ちゃん、昨日やよいっちの家で何があったか、洗いざらい吐くんでぃ!!」

真美「もうネタは上がってるんでぃ!!」

シン「上がってんなら吐かなくていいじゃねぇか。なんもないよ――ただ」


シン「皆が俺の守るべき、大切な家族だってわかっただけさ」

Fin

113: 2013/07/21(日) 01:00:05.47 ID:iP0ZTSHMo

115: 2013/07/21(日) 01:17:34.53 ID:aHJcB4Rfo
おつ

引用元: シン「俺が美希をキラキラさせてやる」