209:◆loxSgAubwY 2015/02/13(金) 12:48:56 ID:Xr858iQQ
タイトル
ユグ寺シル乃(で、できちゃった…)
前作
【魔物娘】ポセ井ドン奈「あぁっあっっっはぅううぅぅぅぅんっ!!!////」
ユグ寺シル乃(で、できちゃった…)
前作
【魔物娘】ポセ井ドン奈「あぁっあっっっはぅううぅぅぅぅんっ!!!////」
210: 2015/02/13(金) 12:49:54 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(ど、どどどどうしよう…)アワワ
ユグ寺シル乃(できちゃったなんて…男ちゃんになんて言おう…)アワワワワ
ユグ寺シル乃(どーしよー!?)アワワワワ!
男「シル姉~」カララ…
ユグ寺シル乃「お、男ちゃ…っ!!」
男「参考書貸してほしいんだけどー?」
211: 2015/02/13(金) 12:55:01 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「…っ!!」
男「どしたの?シル姉?」
ユグ寺シル乃「でっ…!!」
男「で?」
ユグ寺シル乃「出てってぇええぇぇぇっ!!」
男「ええっ!?ちょっちょっ!?何?何!?」
212: 2015/02/13(金) 12:55:52 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「きゃーっ!!」ブン!
男「ちょっ!」マクラ、バフ!
ユグ寺シル乃「いやーっ!!」ブン!
男「お互いの部屋の窓から行き来するなんていつも通りだろ!?」ヌイグルミ、ボフッ!
ユグ寺シル乃「だめーっ!」シュッ!
男「危なぁっ!」ボールペン、ピュン!
ユグ寺シル乃「出てってーっ!」ピャッ!
男「いだぁっ!」CDケース、カツーン!
男「か、角がモロにっ…!!」
213: 2015/02/13(金) 12:56:37 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「出ぇてぇってぇええぇぇぇ!」ズヌォォ…!
男「タンスは止めて!氏んぢゃうっ!」
ユグ寺シル乃「ふぅうぅっ、ふぅっ!」
男「わかった!わかった!出ていくから!」ソソクサ
男「俺何かしたっけなぁ…?」ボソ
ピシャ…
ドスン!
ユグ寺シル乃「ふうっ、ふうっ…」
ヘタン…
214: 2015/02/13(金) 12:57:33 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(いい歳して動揺し過ぎちゃった…)
ユグ寺シル乃(突然追い出しちゃって、怒らせちゃったかな…)シュン
ユグ寺シル乃(ホント、どうしよう…)
ゴロン
ユグ寺シル乃(はぁ…)ハァ
ユグ寺シル乃(私の方が6つも上で…)
ユグ寺シル乃(男ちゃんは高校生…)
ユグ寺シル乃(私みたいなのに好きになられても困るだろうな…)
215: 2015/02/13(金) 12:58:36 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(告白されてたこともあったし…モテるのかなぁ、男ちゃん…)
ユグ寺シル乃(あの小さかった男ちゃんが…)
ユグ寺シル乃(最近はめっきり男らしくなっちゃって)
ユグ寺シル乃(いつから好きになっちゃったかわかんないや…)
216: 2015/02/13(金) 13:04:07 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(…男ちゃん家が隣に越してきて、10年以上経つもんね)
ユグ寺シル乃(と、家族ぐるみで仲良くなったのも同時…)
ユグ寺シル乃(長いのか短いのか)
ユグ寺シル乃(出会い方はアレだったけど)
ユグ寺シル乃(今でもはっきり思い出に残ってるなぁ…)
217: 2015/02/13(金) 13:06:19 ID:Xr858iQQ
…
……
………
シトシト
ユグ寺シル乃「ふんふーんふふーん♪」
シトシト
ユグ寺シル乃(久しぶりの雨でお肌が潤うわぁ!)
ユグ寺シル乃(なーんつって、ちょっと大人ぶったりする今日この頃)
218: 2015/02/13(金) 13:07:30 ID:Xr858iQQ
シトシト
ユグ寺シル乃「♪あっめあめ、ふっれふっれ、もぉっとふれー♪」
ユグ寺シル乃「♪あっめふり、すいぶんうれしいなー♪」
ユグ寺シル乃「♪ゆっぐゆぐ、どらどら、ランランラン♪」
ユグ寺シル乃(っと!思わず歌っちゃった!////)
ユグ寺シル乃(高学年なんだから、もう少し大人っぽくしないと、ね)
219: 2015/02/13(金) 22:44:59 ID:Xr858iQQ
ピッピルーピッピリー♪
ユグ寺シル乃「!」
ピッピルーピッピリー♪
ピッ
ユグ寺シル乃「はい、もしもし?」
シル母『あ、シル乃!あんた今どこらへん散歩してる!?』
ユグ寺シル乃「えっと、今、近くの公園だけど?」
シル母『公園…、もしかしたらいるかもしれないわね』
ユグ寺シル乃「いるって誰が?」
シル母『ほら、今日、お隣さん引っ越してきたでしょう?』
ユグ寺シル乃「うん」
220: 2015/02/13(金) 22:45:53 ID:Xr858iQQ
シル母『曇りのち雨の予報だったから、みんな慌てて作業してたみたいなのよ』
シル母『そしたら、ちょっと目を離したスキに』
シル母『5歳の息子さんがどこかに行っちゃったのよ!』
ユグ寺シル乃「ええっ!?だっ大丈夫なの!?」
シル母『みんな心配して大変よ!』
シル母『気付いたのがついさっきで、予報通り雨も降ってるし…』
シル母『あなたも探すの手伝ってあげて!』
ユグ寺シル乃「う、うん!わかった!」
ユグ寺シル乃「とりあえず、公園を探してみる!」タッタッタッ
221: 2015/02/13(金) 22:46:51 ID:Xr858iQQ
シル母『特徴は、髪の毛は短くしてて』
ユグ寺シル乃「うん!」タッタッタッ…
男の子「ひっく…」
シル母『今日は赤のパーカーを着てるらしいわ!』
ユグ寺シル乃「…うん」ピタ
男の子「えぐ…」
シル母『名前は男ちゃん!』
ユグ寺シル乃「…えっと、男ちゃん?」
男「ひくっ、おねえちゃん、だれ?」
シル母『え?』
ユグ寺シル乃「居たぁっ!!」
222: 2015/02/13(金) 22:55:14 ID:Xr858iQQ
……
…
ユグ寺シル乃(ふふふ…)クスクス
ユグ寺シル乃(そう。引っ越してきた初日から、みんなに心配かけて)
ユグ寺シル乃(そのあと電話でおばさんにすっごく怒られて…)
223: 2015/02/13(金) 22:57:18 ID:Xr858iQQ
…
……
男「へぇが、うげぁっ、ご、ごべんなざいぃいぃぃぃ~」
男母『ちゃんとお姉ちゃんにありがとうって言ったの!!?』
男「はぅっ、あげぅんがぁのぉ~(ありがとう~)」
ユグ寺シル乃「新しく住む所で、わくわくしてつい出歩いちゃって、雨が降ってきて寂しかったんだよね」ナデナデ
男母『本当にありがとう、えーっと…』
ユグ寺シル乃「あ、シル乃といいます、ユグ寺シル乃です」
男母『シル乃ちゃん、本当にありがとうございました』
ユグ寺シル乃「いえ、私はたまたま近くに居ただけで!」
224: 2015/02/13(金) 22:58:32 ID:Xr858iQQ
男「へぐっ、ひっく…」
男母『すぐに迎えに行くからもう少しだけ見ててくれないかしら?』
シル母『あら、奥さん、シル乃に連れて帰ってきてもらえばいいじゃない』
男母『いや、そんな!』
シル母『ほら、ドタバタして引っ越し作業もちょっと遅れてるし』
シル母『ほんの5、6分だけど、ね?』
男母『いいのかしら…』
シル母『ダイジョブダイジョブ!シル乃、小さい子好きだから』
男母『え!?』
シル母『え?』
225: 2015/02/13(金) 23:00:22 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「ちょっ、ちょっちょっとお母さん!変な事言わないでよ!」
シル母『変な事って…、あんた子供が好きだから、将来保育士さんになりたいなぁっていつも言ってるじゃない?』
ユグ寺シル乃「あ、いや、そうだけど…」
男母『あ、ああ、そういうこと…』
シル母『奥さんも、これからお隣さんになるんだし、気にしなくていいわよーぅ』
男母『うーん…、じゃあ少しだけ任せてかまわないかしら?』
ユグ寺シル乃「あ、はい!任せてください!」
226: 2015/02/13(金) 23:01:47 ID:Xr858iQQ
男母『ふふふ、あなたのお母さんの言う通り、お隣さんになるんだし、そんなにかしこまらなくていいわよ』
男母『お願いね!シル乃ちゃん』
ユグ寺シル乃「うん、任せて!おばさん!」
シル母『じゃあ奥さん!私も手伝うから、はやく片付け終わらせましょう!』
男母『そうね!お願いするわね、シル乃ちゃん!』
プッ
ユグ寺シル乃「だって!じゃあ帰ろうか、男ちゃん!」
227: 2015/02/13(金) 23:04:21 ID:Xr858iQQ
男「ひっく、えっと…」
ユグ寺シル乃「シル乃よ」
男「しるのおねえちゃん」
ユグ寺シル乃「さ、帰りましょ?」
男「かえったら、もういっかいおとうさんおかあさんにおこられちゃう…」
ユグ寺シル乃「ダイジョブよーぅ」
ユグ寺シル乃「私が付いてるから」
男「おねえちゃん…」
ユグ寺シル乃「でも、心配かけてごめんなさいは言わないとダメよ?」
男「…うん」シュン…
ユグ寺シル乃「…そだねぇ、少し元気出そうか?」ニコニコ
男「え?」
228: 2015/02/13(金) 23:05:14 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「おなか、空いてない?」
男「ちょっとすいてる」
ユグ寺シル乃「ちょっと待っててね」
男「??」
ユグ寺シル乃「むぐー…むぐむぐー」
ニュニュ~
ポン
男「おねえちゃんのあたまに、バナナができた!!」パァ
ユグ寺シル乃「お、バナナか」
男「おおおおっ!」キラキラ
229: 2015/02/13(金) 23:07:17 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「えへへー。すごいでしょ?」
男「なんでー!?どしてー!?」
ユグ寺シル乃「お姉ちゃんはね、ユグドラシルっていう種族なの」
男「ゆぐどりゃちる?」
ユグ寺シル乃「あははは、ちょっと難しいかな?」
230: 2015/02/13(金) 23:09:17 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「この世界にはね、男ちゃん達や私達以外にもたくさんの種族がいて、みんな仲良く暮らしてるの」
男「ん~?」
ユグ寺シル乃「まだわかんないよね」
ユグ寺シル乃「でも、これからずっと仲良くできるってことだから」
モギッ
ユグ寺シル乃「はい」ペロンペロン
ユグ寺シル乃「どうぞ、あーん」
男「あーむ」パク
男「!!!」
男「おーいしーーーー!」
ユグ寺シル乃「そう?よかった」
男「うん!」モグモグ
……
…
231: 2015/02/13(金) 23:14:42 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(それがきっかけで仲良くなって…)
ユグ寺シル乃(私は一人っ子だから、弟みたいに面倒見てて)
ユグ寺シル乃(そういえば、男ちゃんからプロポーズされたこともあったなぁ)
…
……
男「今日がっこうでね!」
男「しょうらいの夢を発表しましょうって!」
ユグ寺シル乃「ほうほう」
男「そんで、ほら!」ペラ
232: 2015/02/13(金) 23:16:22 ID:Xr858iQQ
『ツル姉とけっこんします』
ユグ寺シル乃「ま!」
ユグ寺シル乃(ふふふ、『シ』が『ツ』みたいになっちゃってる)
シル母「あら、男ちゃんからプロポーズ?」
ユグ寺シル乃「ふふふ、うれしいなー」
男「おかーさん!」
男「かならずシル姉をしあわせにするので、シル姉を僕にください!」
シル乃&シル母「!!!」
男「?」
シル乃&シル母「あはははははははっ!」
男「なんで笑うー!?」
……
…
233: 2015/02/13(金) 23:17:07 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(…ホント、ずっと弟みたいに見てきたのに…)
ユグ寺シル乃(心ってものはわかんないねぇ…)
ユグ寺シル乃(いつからか、男ちゃんを『男性』としか見れなくなって…)
…
……
男「…、…、…」
女子「…、…」
男「…、…?」
女子「…、…!」
男「…、あ、じゃあまた明日」
男「はあ…」
234: 2015/02/13(金) 23:18:23 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「よ!男ちゃん今帰り?」
男「あ、おぅ、シル姉…」
ユグ寺シル乃「今の娘、誰?彼女?」
男「何でもいいだろ。てか覗き見かよ、趣味悪いな」フン
ユグ寺シル乃「はあ!?違うってば!」
ユグ寺シル乃「あの娘が離れるときにたまたま見かけたのよ!」
男「あそ」
ユグ寺シル乃「ありゃ?なんか機嫌悪い?」
男「ほっとけよ」
ユグ寺シル乃「つれないなぁ」プー
ユグ寺シル乃「あぁ!さてはフラれたなぁ!」
男「…」
ユグ寺シル乃「にっしっしっ、オネーサンが慰めてあげようか~?」
男「…」
235: 2015/02/13(金) 23:19:06 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「あれ?」
男「…」
ユグ寺シル乃「ホントどしたの?」
男「全然、フォローできなかった」
ユグ寺シル乃「え?」
男「俺の事、好きって言ってくれた。コクられた…、なのに…」
ユグ寺シル乃「は?え?フォローできなかったって…?」
ユグ寺シル乃「フッたってこと?」
男「俺、他に好きな人…いるからって、断った」
ユグ寺シル乃「あ…、そう…なんだ」…ズキン
男「手が届くかわかんないけど、半端なまま自分に嘘つきたくないから…、断った」
ユグ寺シル乃「ごめん、知らずに茶化して…」
236: 2015/02/13(金) 23:20:33 ID:Xr858iQQ
男「いや、いいんだ」
男「でも、あの娘の事傷つけたかもしれないって思うと…」
バシン!
男「いだぁっ!」
ユグ寺シル乃「あのね?男ちゃんは適当に断ったワケじゃないんでしょ!?」
男「誠意は伝えられた、と思う」
ユグ寺シル乃「男ちゃんがそんな自信無さげだと、好きになってくれたあの娘にも失礼だし」
ユグ寺シル乃「男ちゃんの好きな人にも、そんな情けない態度でいたら失望されちゃうでしょ!?」
男「シル姉…」
ユグ寺シル乃「…男ちゃんの悪い所は、そうやってすぐに自分で責任を感じちゃうとこ!」
237: 2015/02/13(金) 23:21:19 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「まあ、逆に責任感の強さも良い所ではあるんだけど」
男「うん」
ユグ寺シル乃「さっきのあの娘の顔、晴れ晴れしてたと思うよ」
ユグ寺シル乃「きっと解ってくれてるわよ」
ユグ寺シル乃「もっと自信持ちなよ!」ポン
男「ありがとう、シル姉」
ユグ寺シル乃「小さい頃から見てきたんだから、水くさいこと言わないの!」
……
…
238: 2015/02/13(金) 23:25:57 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「はあ…」
ユグ寺シル乃(好きな人がいるって聞いて…、年甲斐もなくショック受けちゃって)
ユグ寺シル乃(情けないなぁ…)
ユグ寺シル乃(あああっ!こんなものができちゃうユグドラシルの能力が恨めしいっ!)
ユグ寺シル乃(これさえ無ければ、気持ちを押し頃すことだってできたかもしれないのに!)
ユグ寺シル乃(下手に壊れちゃうよりも、今の関係が続けばって思うこともあるし…)
239: 2015/02/13(金) 23:27:22 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(けど…ちゃんと決着させないと!)
ユグ寺シル乃(私は!気高き世界樹ユグドラシルの一族だから!)
ユグ寺シル乃(恥ずかしい真似はできない!)
ユグ寺シル乃(ちゃんと男ちゃんに告げよう!)フン!
ユグ寺シル乃(…)
ユグ寺シル乃(も少し心の準備をしてから…)フー
――
―
240: 2015/02/13(金) 23:33:52 ID:Xr858iQQ
―
――
シル母「シル乃は部屋にいるわ」
男「おじゃましまーす」
シル母「珍しいわね、玄関からうちに来るなんて」
男「あー、うん。さっきシル姉に窓から追い出されちゃって…」
シル母「シル乃に何かしたの?」
男「うーん…、それが、考えたけど何もしてないハズなんだよ」
男「おばさん、シル姉の事で何か心当たりない?」
シル母「私も無いわねぇ…」
男「そーかぁ…」
シル母「なんだぁ残念ねぇ」
男「残念?」
241: 2015/02/13(金) 23:34:39 ID:Xr858iQQ
シル母「いつもは窓から出入りしてるじゃない?」
シル母「それが玄関から訪ねてくるんですもの」
シル母「なんか、改まってるなーって思うじゃない?」
男「それが?」
シル母「いや、『娘さんをください!』的な展開を予想してたんだけど」
男「俺、まだ高校生っ!」
シル母「小学生の時に、『シル姉をください』って言ってたのにぃ!」
男「いや、今も子供だけど、あれは子供の勢いっつーかなんつーか…」
242: 2015/02/13(金) 23:35:16 ID:Xr858iQQ
シル母「確かにまだ若いし、現実にそうはいかないだろうけど」
シル母「あんたの性根の真面目さは昔から知ってるわよ」
シル母「うちは男ちゃんならいつでも大歓迎だから!」
男「ったく、おばさんは…」
シル母「ふふふ、早く仲直りしてらっしゃいな」
男「はいよー」
スタスタ…
243: 2015/02/13(金) 23:36:07 ID:Xr858iQQ
―
――
…コン
「…る…?」
コンコン
「シ…姉?」
ユグ寺シル乃「ん…」
「シール姉ー?」コンコン
ユグ寺シル乃「んあ…私、うたた寝…?」
男「ごめん、入るよ」ガチャ
ユグ寺シル乃「え」
男「あ、寝てたのか」
ユグ寺シル乃「お、とこ、ちゃ…」
男「保育士さんも大変そうだよな」
ユグ寺シル乃「あ、うん…」
244: 2015/02/13(金) 23:36:41 ID:Xr858iQQ
男「だからってうたた寝しちゃ、風邪引いちまうぞ?」
男「体が資本なんだから気をつけないと!」
ユグ寺シル乃「ありがとう」
男「今度は『出てけ』って言わないんだな」
ユグ寺シル乃「…うん、さっきはちょっと動揺しちゃって…」
男「気付かないうちに悪いことしたかなって思ったけど、全然わかんなくて」
男「とりあえず、こうやって玄関から来たんだけど…」
チラリ
男「あ…」
245: 2015/02/13(金) 23:38:43 ID:Xr858iQQ
チョコン
男「あ、そか…、その実、か…」
ユグ寺シル乃「あ、あのっ、なんて言うか…、今日の朝、できちゃってて…」
男「そ、そかそか。シル姉にもそれができるぐらい好きな人が居たんだな!」
ユグ寺シル乃「////」
男「そりゃ幼なじみとは言え、男が窓から出入りはもうできないし、してほしくないよな」
ユグ寺シル乃「////」
男「…俺、応援するから」
男「シル姉は保育士さんだから母性的っつーのかな?」
男「女らしいから大丈夫だよ、きっと」
ユグ寺シル乃「ホント?////」
246: 2015/02/13(金) 23:39:37 ID:Xr858iQQ
男「ああ。自信持ちなよ!」
ユグ寺シル乃「じゃあ、応援して!」
男「うん。応援する!」
ユグ寺シル乃「よし!それじゃ…」
247: 2015/02/13(金) 23:40:43 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「答えをっ…!聞かせてっ!」
男「はい?」
ユグ寺シル乃「こ、これ!」ズイッ
男「これ、って好きな人に食べてもらうっていう…?」
ユグ寺シル乃「ユグドラシルの『本命果実』よ!」
ユグ寺シル乃「この実は、ユグドラシルが唯一、本能で実らす果実」
ユグ寺シル乃「ユグドラシル一族は」
ユグ寺シル乃「真に愛を告げたい相手が出来た時」
ユグ寺シル乃「その身にハート型の果実、『本命果実』を実らせる」
ユグ寺シル乃「意中の相手に食べてもらう事で永遠の愛の誓いを意味し」
ユグ寺シル乃「叶わなければ、その場で朽ち果てる」
ユグ寺シル乃「また、何もしないままそのまま放置しておくと、枯れもせず朽ちもせず新鮮なまま、自らへの戒めとして手元に残ってしまう」
248: 2015/02/13(金) 23:42:29 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃「もし、私の気持ちを受け取ってくれるなら…」
ユグ寺シル乃「食べて…ほしいですっ!」グイッ
男「シル姉…」
ユグ寺シル乃「…」ジッ…
男「…」スクッ
ガララッ
249: 2015/02/13(金) 23:46:35 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(あ…)
ユグ寺シル乃(行っ…ちゃっ…た…)
ユグ寺シル乃(そりゃそうよね…)
ユグ寺シル乃(高校生男子からすれば、6つも年上なんて、オバサン同然よね)
ユグ寺シル乃(いい大人が高校生相手に失恋して、感傷に浸っちゃって…あはは…)
ユグ寺シル乃(…でもスッキリしたな)
ユグ寺シル乃(好きな人いるって言ってたし、応援してあげないと!)
ユグ寺シル乃(って…あれ?)
250: 2015/02/13(金) 23:48:54 ID:Xr858iQQ
ユグ寺シル乃(実が…、朽ちてない!?)
ユグ寺シル乃(え、え?は?えぇ!?)
男「シル姉っ!!!」タンッ!
ユグ寺シル乃「お、男ちゃん!」
ユグ寺シル乃「どうして戻って…?」
男「実、枯れてないだろう?」
ユグ寺シル乃「えっと…、う、うん…」
男「これ」ペラ
251: 2015/02/13(金) 23:50:20 ID:Xr858iQQ
『ツル姉とけっこんします』
ユグ寺シル乃「ずいぶんと昔の…」
男「食べるぞ!」パッ
ユグ寺シル乃「えっ!?」
252: 2015/02/13(金) 23:52:36 ID:Xr858iQQ
男「はぐっ!」ガブリ
男「ふむぐっ!」モグモグ
ユグ寺シル乃「男…ちゃん…」
男「はむっ」ガブリ
男「くあーっ甘ぇーっ!」モグモグ
男「食感良好ーっ!」ゴクン
ユグ寺シル乃「…」ポカン
男「んぐっ…いつからか『姉ちゃん』みたいな存在から、『好きな人』に変わってたんだ」
男「でも俺まだ子供だし、シル姉は気立ても良いし、綺麗だし」
男「俺が一人前になるのが早いか、誰かにシル姉を盗られるのが先か…」
男「とか、勝手に自分で決めてたんだけど…、…か、かなり嬉しい」
ユグ寺シル乃「男ちゃん…」ウルウル…
253: 2015/02/13(金) 23:53:52 ID:Xr858iQQ
男「シル姉…」
男「いや、シル乃」
ユグ寺シル乃「はっ、はひっ!!」ビシッ
男「食べちゃったぞ?」
ユグ寺シル乃「…うん」
男「いいんだな?」
ユグ寺シル乃「うん!」
男「ただの幼なじみじゃなくなったぞ?」
ユグ寺シル乃「うん!うんっ!」
ダキッ、ギュウ!
ユグ寺シル乃「男ちゃんこそ、いいの?」
男「何が?」
ユグ寺シル乃「私、オバサンだよ?」
254: 2015/02/13(金) 23:54:39 ID:Xr858iQQ
男「シル乃がオバサンなら、うちの母さんはオバアサン、いや、ミイラだ」
ユグ寺シル乃「ぶぉふっ!」
ユグ寺シル乃「ぷふっ、ふふふっ、それは言い過ぎ!」
ユグ寺シル乃「じゃあ、うちのお母さんなんか出涸らしだよ!」
男「…」
ユグ寺シル乃「…」
255: 2015/02/14(土) 00:00:34 ID:4tQr6Q3A
男&シル乃「あはははははははっ!!!」
ギュゥ
男「俺、まだまだ子供で半人前だから、少し…いや、長く待たせることになるけど」
男「待っててくれな?」
ユグ寺シル乃「うん。待ってる。今までもこれからもずっとあなたの傍で見守ってるから」
256: 2015/02/14(土) 00:01:59 ID:4tQr6Q3A
ユグ寺シル乃「それにね」
ユグ寺シル乃「どんな大樹も、例え世界樹であっても」
ユグ寺シル乃「大地にしっかり根を張って、足元から支えないと」
ユグ寺シル乃「決して、良い稔りは獲られない」
ユグ寺シル乃「力強い幹も」
ユグ寺シル乃「青く繁る葉も」
ユグ寺シル乃「美しい花も」
ユグ寺シル乃「豊潤な果実も」
ユグ寺シル乃「根が充分でなければ稔らない」
257: 2015/02/14(土) 00:03:52 ID:4tQr6Q3A
ユグ寺シル乃「私達の『これから』の種は、まだ蒔かれたばかりだもの」
ユグ寺シル乃「しっかりじっくり、根を巡らせましょう?」
男「さすが、大人の余裕。こっちは必氏に頑張らないとなぁ」
ユグ寺シル乃「あなたなら大丈夫!ずっと見てきた私が言うんだもの!」
ユグ寺シル乃「真面目で努力家、時々、真面目さが裏目に出ることもあるけど」
ユグ寺シル乃「芯の強さはきっと誰よりも強いよ」
男「シル乃…」
男「俺、頑張るから!」
ユグ寺シル乃「うん!」
258: 2015/02/14(土) 00:04:34 ID:4tQr6Q3A
ユグ寺シル乃「好きよ、男ちゃん…」
ギュ
――
―
259: 2015/02/14(土) 00:09:09 ID:4tQr6Q3A
――
シル母(おうおうおうおう!!お茶の一杯でも用意してみりゃ…)
シル母(私を出涸らしだとぅ!?)
シル母(好き放題言いよってぇ…!)
フゥ
シル母(…ま、男ちゃんはまだまだ若いけどいい子だし)
シル母(なんつっても我が家の愛娘、シル乃がついてるし、その本人が選んだ相手だものね)ニコニコ
シル母(あの二人なら大丈夫でしょ)
260: 2015/02/14(土) 00:14:59 ID:4tQr6Q3A
シル母(ハッ!!そうと決まれば!)
シル母(男ちゃん(あっち)の家族も呼んで!)
シル母(祝宴じゃぁー!!!)バンザーイ
―その時、母が取った万歳の姿勢は
世界中のどの万歳よりも美しく
そして
気高かったという
261: 2015/02/14(土) 00:19:24 ID:4tQr6Q3A
おわりです
三編合わせて、お付き合い頂いた方、おられましたらお礼申し上げます
最後までお読みいただき、ありがとうございました
三編合わせて、お付き合い頂いた方、おられましたらお礼申し上げます
最後までお読みいただき、ありがとうございました
262: 2015/02/14(土) 00:39:08 ID:84UJRqLU
>>1乙!
欲を言うならもっとみたいです
欲を言うならもっとみたいです
266: 2015/02/18(水) 04:14:46 ID:WKiDJlhY
素晴らしい
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