1: 2011/02/13(日) 18:59:14.47 ID:k4YXx8Fx0
上条「・・・・・・」

みさお「ヴぁ」

上条「・・・・・・」

4: 2011/02/13(日) 19:04:22.64 ID:ZQLqf+jfO

―――――
――――

みさお「ぶはーうまかったぁ」

上条「いや、まず何であんなところに干してあったのか――――」

みさお「みさおだってヴぁ」

上条「誰がどう聞いても背景じゃねーか!大体何だみさおって貞操ですかお前は!」

みさお「どうもー見ての通りの背景コンビでーす、って背景キャラなんてきいたことねーよぉ・・・・・・」

7: 2011/02/13(日) 19:07:11.63 ID:ZQLqf+jfO
上条「意味わかんねーしこっちの質問無視かよ!?」

みさお「柊は俺のよめだぁッ!」

上条「もしもし?もしもーし?意味が分からないし笑えないんだよお前の八重歯は!!」

上条「まぁいいそれで、なんだってお前はベランダなんかで干されてたんだよ?」

みさお「干してあった訳じゃないんだってヴぁ!」

上条「じゃあ何なんだよ?まさか魔術師に追われて屋上から屋上へと飛び移る時に足を滑らしたなんて話じゃないだろーな?」

8: 2011/02/13(日) 19:11:33.72 ID:ZQLqf+jfO
みさお「ギクッ、ち、違うんだってヴぁ!」

上条「じゃあ一体全体なんなんだよ、ここは八階だぜ?」

みさお「そんなことよりアイス食べようよー☆」
上条「う、ぜぇ・・・」

―――――
――――
―――


みさお「そんでなぁ柊が鬼みたいになってあやのがなぁ」

上条「あぁ、わかったわかったお前が良くわからん街でゲームみたいなキャラ達と青春してたのはわかったからいい加減寮の住所と電話番号を教えろよ!」

9: 2011/02/13(日) 19:15:28.89 ID:ZQLqf+jfO
みさお「むー信じてないのかぁ!?」

上条「普通に考えたらありえねーだろ!学校に双子で可愛くてツインでやっさいもっさいなツンデレなバルサミコ酢で制服がトゥーハーだ!?そんなもんあったら転校してーわ!!」

みさお「あるんだってヴぁ」

上条「・・・・・・」

みさお「あるんだってヴぁ!」

上条「そーかい」

みさお「そんなツンツン頭に言われたくないんだってヴぁ!」

10: 2011/02/13(日) 19:39:05.47 ID:ZQLqf+jfO
上条「じゃあ仮にそんな萌えの塊が集中してるハチャメチャな学校があるとして」

みさお「あるとして?」
上条「お前はどんな萌え要素を持ってんだよ、お前もそこの住人ならなんか特殊な萌え要素があるはずだろ?」

みさお「・・・・・・私は、背景だから」

上条「は?」

みさお「出番がないから、私のファンの数は柊をこせないの」

上条「・・・・・・ごめん」

11: 2011/02/13(日) 19:44:11.31 ID:ZQLqf+jfO
上条「それで、お前ここから出て行くあてあんのか?ないなら仕方ねーからとりあえずここでまってろよ」

みさお「おぉまじかーラッキー☆」

上条「少しは遠慮しろよ・・・・・・」

みさお「なぁなぁ」

上条「ん?なんだ?」

みさお「おまえの名前は?」

上条「上条、上条当麻だ」

みさお「そっか、あんがとなとうま」

上条「お、おう」

みさお「帰りにまた甘いもんたのむな☆」

上条「・・・・・・はいはい」

12: 2011/02/13(日) 19:49:06.43 ID:ZQLqf+jfO
――――――――
―――――――
――――――
―――――

上条「あー疲れたなぁ、夏休みなのに補修なんてついてねーよ」

美琴「あっ、いたいたこの野郎!ちょっとアンタ待ちなさいよ!」

上条「・・・あー、またかビリビリ」

美琴「ビリビリ言うな!私にはみさ」みさお「おってなまえがあるんだってヴぁ><」

上条「・・・・・・」

美琴「・・・・・・」

15: 2011/02/13(日) 19:58:01.23 ID:ZQLqf+jfO
みさお「おーっすとうまぁ☆」

上条「・・・て、なんでお前出歩いてんだよ!家にいろって行ったろ!?鍵は、鍵はちゃんと閉めたのか!?」

みさお「いやーなんかさぁ知らない街って楽しいじゃん?いろいろ見たかったしそれにとうまの部屋めしねーんだもん」

上条「だからってお前なぁ・・・・・・」

美琴「ちょっと!!誰なのよこいつ、それに部屋ってどういう事なのよ!!」
みさお「ほえ?あ、わたし?くさかべみさおダっ!」

美琴「あ、えっとそうですか・・・」

美琴「(ちょっと、誰なのよこの頭のネジが許そうな女は!)」

上条「(あーうん、えっとだな・・・出番は少ないけど独特の語尾と愛らしい容姿でとっても可愛らしいみさおちゃんだ)」

美琴「(んなこと聞いてんじゃないわよ!!あんたとどういう関係かって聞いてんの!!)」

上条「(し、親戚の子だよ・・・たまにご飯とか食べに遊びにうちにくるんだよ、お互い一人はキツいしさ文句あるか?)」

美琴「(・・・親戚?じゃ、じゃあこの変な格好はなんなのよ!こんな制服学園都市では見たことないわよ!?)」

18: 2011/02/13(日) 20:06:51.17 ID:ZQLqf+jfO
上条「(そ、それはだな)」

美琴「(それは?)」

上条「お、俺の趣味なんだ・・・俺ってほらその、こういうの好きだからさ・・・」

美琴「・・・・・・」

上条「・・・・・・」

美琴「ふっざけんなやゴラァーッッ!!」

19: 2011/02/13(日) 20:12:26.64 ID:ZQLqf+jfO
上条「うわ、やべぇッ!悪いみさお先にうちに帰っててくれ!!」

美琴「まてやゴラァーッッ!!」

みさお「おー、すっげーなぁ」

―――――
――――
―――

上条「ハァハァ・・・なんというか、不幸だ」

20: 2011/02/13(日) 20:24:03.50 ID:ZQLqf+jfO
上条「だいぶ遅くなっちまったな、みさおの奴ちゃんとうちまで帰れたかな・・・ちゃんとあいつの家まで届けてやらなきゃな」

上条「(お、・・・・・・なんだあいつ玄関の前で寝てんじゃねーか、ったくホントにしょうがねー奴だな)」

上条「(ん?もう一人いるな・・・だれだ?)」

22: 2011/02/13(日) 20:31:59.85 ID:ZQLqf+jfO
ステイル「ハァハァ、みさちゃんの可愛くて小さいお口可愛いよぉ///ぼくのあつくて大きいお○んぽでみさちゃんのおくちにち○ぽミルクたくさをどぴゅどぴゅそそぎたいよぉ、ハァハァハァハァみ、みさちゃんッ!」

上条「欲望のままに生きすぎだこのやろう!!」

ステイル「ハァハァみさみさみさハァハァハァハァみさちゃん////」

上条「くそ、くそっ!!さっさとみさおから離れろクソやろう!!」

23: 2011/02/13(日) 20:41:14.74 ID:ZQLqf+jfO
ステイル「ん?」

上条「何だよ、いったいお前は何なんだよ!!ふざけやがって、誰なんだお前!!」
ステイル「うん?僕は『魔術師』だけど?」

上条「魔術師!?いや、そんなことはどうでもいい!!こんな可愛い女の子が寝てるのを良いことに下半身丸出しで近づいて、きたねーもん見せつけやがって。これだけのリアルの前に!まだお前は言い訳できんのか!?」

ステイル「いいわけもなにも、僕たち魔術師は彼女を回収するのが仕事であって過程は特に関係ないんだよ」

25: 2011/02/13(日) 20:49:56.75 ID:ZQLqf+jfO
上条「かい、しゅう?」

ステイル「うん?なんだ、みさちゃんから話を聞いていないのかい。どうやらソレは君を巻き込むのが怖かったみたいだね」

ステイル「そう、回収だよ回収。くさかべみさおはこんな街にいるべき人間ではないんだよ」

ステイル「そうかそうか、この学園都市は宗教観が薄いからわからないかもしれないね」

26: 2011/02/13(日) 20:55:34.83 ID:ZQLqf+jfO
上条「どういうことだ!」
ステイル「lucky-star―――この国ではらき☆すたって所か。
彼女は教会が『一目見ただけで魂まで奪われる』と指定したらき☆すたという邪本悪書の登場人物さ。
ああ、注意したまえ。彼女はその登場人物の中でも中毒性が高く感染力こそ弱いが感染したら最後、廃人コースかくていだから」

28: 2011/02/13(日) 21:01:21.38 ID:ZQLqf+jfO
上条「ふ、ざけんなよ!こいつのどこを見たらそんなこと信じられんだよ、普通の女の子じゃねーか!?」

ステイル「あるさ。現に君はさっきその子のことを『可愛い』といったじゃないか」

上条「そ、それは・・・」

ステイル「ま、彼女自身は自分が魅力的であることに気がついてないから無害なんだけど」

ステイル「だから早く保護しなきゃいけないんだよ、もしも彼女が彼女を崇める人間に捕まったら大変だからね」

29: 2011/02/13(日) 21:11:59.19 ID:ZQLqf+jfO
ステイル「ま、彼女自身は自分が魅力的であることに気がついてないから無害なんだけど」

ステイル「だから早く保護しなきゃいけないんだよ、もしも彼女が彼女を崇める人間に捕まったら大変だからね」

上条「ほ・・・、ご?」

ステイル「そうだよ、そうさ。保護だよ保護。
みさちゃんにいくら自覚がないからって気持ち悪い変態に捕まって体を弄ばれるなんて耐えられないだろうしね。
なによりみさちゃんがそんな連中に弄ばれるなんて心が痛むだろう?」

上条「・・・・・・」

30: 2011/02/13(日) 21:16:18.59 ID:ZQLqf+jfO
上条「てメェに、テメェにだけは言われたくないぜ!!」

ステイル「そうか・・・ステイル=マグネスと名乗りたい所だが、ここはNo.3といっておこうかな」
上条「・・・・・・No.3?」

ステイル「会員ナンバーだよ、知らないかな?僕たちみさお信者って生き物はどうやらみWikiのことが好きになれないらしい」

ステイル「No.3――日本語では幹部クラスと行ったところかな。まぁどうでもいい。重要なのはみさおをどれだけ愛しているかだ―――」

31: 2011/02/13(日) 21:26:35.62 ID:ZQLqf+jfO
上条「もういい」

ステイル「ん?」

上条「もういいぜ、お前がどうしても引かないってんなら・・・まずはお前の幻想をぶち壊す!!」

ステイル「ふっ、なら話は簡単だお前を全力で頃す!!」

――――
―――
――

37: 2011/02/14(月) 00:36:27.07 ID:PwU3JKV7O
上条「・・・・・・ハァハァ、なんとか勝った、みさお、大丈夫か!?おいみさお!!」

みさお「ふりゅ~・・・んぁ?とうま?そんなに汗だくでどうしたんだってヴぁよ」

上条「・・・キャラがブレてなんか混ざってるぞ」

みさお「んぁ?」

上条「・・・・・・とりあえず、ここから離れよう、あの先生この時間でもう眠ってるなんて言わねーだろうな」

38: 2011/02/14(月) 00:43:40.71 ID:PwU3JKV7O
~~~~~

上条「ここか・・・・・・」

上条「小萌先生!いますか!?あけますよ、もう勝手に開けて入りますよ!!」

小萌「ちょ、ちょちょちょーっと!上条ちゃんいきなりなんなんですかぁ!?」

小萌「せ、先生困ります、いきなり・・・そんなぁ///」

上条「先生」

小萌「はいー?」

上条「・・・俺たち今追われてるんです!!冗談言ってる場合じゃないんですよ!!」

小萌「じょ、冗談って・・・せ、せんせいは割と本気で・・・って、ぎゃああ!?」

40: 2011/02/14(月) 00:52:45.29 ID:PwU3JKV7O
みさお「なはは、このチビおもしれーなー☆」

小萌「み、みみみ、みさおちゃんじゃないですかぁ~っ!?」

上条「っ!?先生こいつのこと知ってるんですか?」

小萌「知ってるもなにもちょーちょー有名人ですよぉ、世界中に信者がいて・・・上条ちゃんが独り占めしてるなんてバレたら国際問題ですよ!?」

上条「(ほんとうに有名人なのか・・・)」

41: 2011/02/14(月) 00:59:20.37 ID:PwU3JKV7O
上条「みさお」

みさお「んぁ?」

上条「お前の事を話してくれ」

みさお「・・・・・・な、なんのことだよぉ」

上条「お願いだよ・・・イギリスからの信者、lucky-star、そんなもん今思い返しても理解できやしねーよ」

上条「でもな、現にお前を狙う奴が現れてるんだ、もう信じないわけにはいかないだろ!!」

上条「頼むみさお・・・俺はお前を助けたいんだ」

42: 2011/02/14(月) 01:03:48.33 ID:PwU3JKV7O
みさお「しっかたねーなぁ・・・」

上条「みさお・・・」

みさお「実はなんも思い出せねーんだよなぁ、柊たちと学校でダンスの練習してたのは覚えてんだけどなぁ、いきなり意識がなくなって気がついたらここにいたんだってヴぁ」

上条「記憶が、ない?」

45: 2011/02/14(月) 01:13:01.89 ID:PwU3JKV7O
上条「じゃあ、誰かに眠らされるかして学園都市に来たってことか?」

みさお「んー多分そうだと思うんだけどなぁ・・・」

上条「(だとしたら一体だれが・・・)」


小萌「(上条ちゃん、上条ちゃん!)」

上条「(ん?先生どうしたんですか?)」

小萌「(みさおちゃんがいる手前あまり大声で言えないのですが・・・おかしいのですよぉ)」

上条「(はぁ、なにがですか?)」

小萌「(たしかにみさおちゃんは古今東西あらゆる地域に信者がいるくらいの有名人ですけど・・・こんな所にいるわけないんですよー)」

上条「(いや、でも現にここにいる訳ですし)」
小萌「(違うのですよぉ!だってそ、そのぉ・・・)」

上条「(・・・?)」

小萌「(みさおちゃんは二次元の・・・アニメのキャラクターなんですから)」

46: 2011/02/14(月) 01:22:09.69 ID:PwU3JKV7O
上条「え、」

小萌「(そうなのですよ、くさかべみさおはあくまで二次元のアニメの中の登場人物、現実にいるわけがないのですよ・・・)」

上条「じ、じゃあ一体俺たちの目の前にいるこいつは何だっていうんですかッ!?」

みさお「な、なんだー!?」

小萌「(か、上条ちゃん、落ち着いて!みさおちゃんに聞こえてしまいますですよ!!)」

上条「(す、すいません・・・)」

小萌「(と、とりあえず詳しいことは先生が調べてくるです。上条ちゃんは先生が戻るまでみさおちゃんと待っててください、それと)」

上条「それと?」

小萌「みさおちゃんには内緒ですよ?」

47: 2011/02/14(月) 01:29:39.81 ID:PwU3JKV7O
上条「・・・・・・、悪りいな。さっきは大声だしたりして」

みさお「ううん、別にいいんだってヴぁ」

上条「体は大丈夫か?どっか変なとこないか?」
みさお「んー、特にはねーなぁ」

上条「そっか・・・」

みさお「なんか、とうまに迷惑かけちまったなー」

上条「気にすんなって」
みさお「・・・・・・、ごめん」

上条「・・・ちったぁ俺を頼れよ。別に迷惑になんかおもってねーよ」

48: 2011/02/14(月) 01:36:43.47 ID:PwU3JKV7O
みさお「・・・あんがと」
――――
―――
――

神裂「みさおに同伴していた少年の身元を探りました。・・・・・・彼女は?」
ステイル「生きているよ・・・・・本物だ、本物のくさかべみさおだ」

ステイル「それで、神裂。アレはいったい何なんだ?」

神裂「それですが、少年の情報は特には集まっていません。少なくとも信者やアンチといった類ではない、ということになるのでしょーか」

ステイル「じゃあ、もしかしてアレがただの高校生だとでも言うつもりかい?」

50: 2011/02/14(月) 01:47:23.63 ID:PwU3JKV7O
ステイル「・・・・・・やめてくれよ。
僕はこれでもみさちゃんの登場シーン、セリフ、ラジオ、ゲームは全部チェックしているしファンクラブのNo.3だ。
何の愛も持たない素人の下にみさちゃんが呼び寄せられたとでも言うのかい?」

神裂「そうですね」

神裂「むしろ問題なのは、みさお本人があの学生に懐いてきていると言うことです。」

ステイル「い、イヤだぁ!み、みさちゃんは誰のものでもない高尚な物なんだ!!」

神裂「落ち着きなさい」
神裂「仮に最悪、みさおが少年に好意を抱き恋愛に発展したとしましょう。ですがステイル、現状みさおは魔術の補助なしには長期間この現実世界に存在できません」

51: 2011/02/14(月) 01:59:38.00 ID:PwU3JKV7O
ステイル「たしかに、くさかべみさおは我々が魔術で創りだした。魔力が尽きれば存在は消える」
神裂「そうです・・・ですからもし我々のもとに来ないなら、残念ですが新たなみさおを創るまでです」

ステイル「・・・・・・」

――――
―――
――

上条「たくっ、冷蔵庫の中がなんでスッカラカンなんだよ・・・」

上条(二次元・・・アニメの世界の人物)

本来交わることのない二つの世界
近くて、でもすごく遠い世界

(クソッ・・・なにもしてやれねーのかよ)



上条「あれ?」

上条「(なんだ、おかしい。人が、人がいない?まだ8時なのに辺りに人の気配がまったくしない)」

53: 2011/02/14(月) 02:07:43.23 ID:PwU3JKV7O
神裂「ステイルが人払いの封印を刻んでいるだけですよ」

上条「!?」

神裂「この一帯にいる人には・・・・・・・・ってなだけです。ご心配はなさらずに」

神裂「みさおに選ばれた者、ですか―――うらやましい限りです」

上条「・・・・・・、テメェは」

神裂「神裂火織、と申します。・・・・・・できれば、もう一つの名は語りたくはないのですが」

上条「もう一つ?」

神裂「会員ナンバー、ですよ」

上条「って事はなにか。テメェもステイルと同じ、ファンクラブの連中なんだな」

神裂「・・・・・・」

55: 2011/02/14(月) 02:17:12.27 ID:PwU3JKV7O
神裂「できればナンバーを名乗る前に、彼女をほごしたいのですが」

上条「・・・・・・嫌だ、といったら?」

神裂「仕方がありません」

――――
―――
――


上条「ごっ・・・ぁ・・・ッ!?」

上条「・・・な、なんなんだよ?」

上条「アンタ、なんでマジなんだよ。
アンタ、あのステイルとかって奴と違うんだろ。アンタ、マジで俺の事頃す気じゃねーか!!
その気になれば全部が全部必殺できるのに何回も・・・何回もいたぶりやがって・・・・・・、
なにがアンタをそこまでさせるんだ!?」

神裂「・・・・・・」

56: 2011/02/14(月) 02:25:32.35 ID:PwU3JKV7O
上条「あんたならわかんだろ?寄ってたかって女の子がを狙って、あげくの果てに欲情して、そんな事、許されるはずがないってあんたなら分かるはずだろ!?」

上条「知ってんのかよ。アイツここになんでいるのかも分からないんだぞ、どうやって家に帰れば良いのかもこれからどうしたら良いのかもわからないんだぞ?」

上条「あいつさぁ・・・友達のことすげぇ楽しそうに話すんだよ。本当はないかも知れない世界の事なのにすごい嬉しそう似はなすんだよ」

上条「でもそんなアイツを見てても俺にはなにもできない・・・でも、アンタは違うんだろ?あいつを救えるんだろ?」

上条「・・・・・・なんだって、なんだってそんな事しかできねぇんだよ」

62: 2011/02/14(月) 10:05:16.55 ID:PwU3JKV7O
神裂「・・・・・・・、私だって」

神裂「私だって、本当はあなたのことを傷つけたりしたくないんですよ。でもあなたのことは許せない・・・私の大切なみさおを、私がやっとの思いで呼び出したみさおを・・・」

上条は、神裂の言っている言葉の意味が理解できない。

神裂「私だって、好きでこんなことをしているわけではありません」

神裂「けど、こうしなければ私はもう生きていけないんです。・・・・・・氏んでしまうんですよ」

64: 2011/02/14(月) 10:12:14.17 ID:PwU3JKV7O
神裂「lucky-star、という言葉に聞き覚えはありますか?」

上条「ああ、人を廃人にしちまうほどの魅力があるあれ、だろ」

上条「・・・・・感染、感染したら頭の中がそれでいっぱいになっちまうんだってな、
言われたって信じらんねーよ、たかがアニメのために何十万も資産を投じちまうなんて、
とてもじゃねーがアイツがそんな魅力の持ち主には見えねぇよ」

神裂「・・・・・・、あなたには、彼女がどんな風に見えますか?」

上条「ただの、女の子だ」

65: 2011/02/14(月) 10:26:47.94 ID:PwU3JKV7O
神裂「ただの女の子が、語尾に『ヴぁ』とつけると思いますか?」

上条「・・・・・・」

神裂「自然に語尾にヴぁを用い、それなのに背景――――他の髪の色が特殊でさらに特異な萌要素を持つ同級生たちを相手に、あなたのように異能にたよることなく、私たちのように魔術にすがることなく、ただ自分の生まれ持った容姿と語尾だけで生き残ることが」

神裂「特徴のあるインなんとかでさえあれです。lucky-starのような世界に迷い込めば私だって1ヶ月も保ちませんよ」

そうだ。
上条はようやくみさおという少女の魅力を知った。
いつかの銀髪のシスターさえ背景になっていったのに―――彼女は完全に消えていない。

神裂「アレは、紛れもなく魅力的です」

神裂「扱い方を作者が間違えれば天災となるレベルの、愛おしいんですよ、アレを一目目にした誰もが」

上条「・・・・・・、それでも」

上条「・・・・・・アイツは普通の女の子だよ。お前らの扱い方が許されるはずねぇだろ・・・・・・ッ!」

神裂「そうですね」

68: 2011/02/14(月) 10:44:20.20 ID:PwU3JKV7O
神裂「そうですね」

神裂「・・・・・・その一方で、彼女のスペックは私たちと大差ありませんですが」

上条「・・・・・・?」

神裂「彼女は本来二次元の、画面の中の住人こちらとは交わるはずがないんですよ。
・・・・・・ですが今現在は私たち魔術が魔力を注ぎ呼び出した存在なんです」

上条「・・・・・・だから、何だよ。アンタ達はみさおになにやったんだよ?何でみさおは此処にいる?」

神裂「創り出したんですよ」

神裂「私たちが、彼女を創り出したんです」

神裂「私たちが魔力をもとに彼女を呼び出すもとい創り出したんですよ、来彼女は存在しない人物、
彼女は自分のことを普通の高校生だと思っているようですが、
彼女の記憶は全て私たちが植え付けたもの何ですよ。」

上条「創りだした?けど、なんかおかしいだろ、みさおはだってアイツちゃんと生きてるじゃねーか!!」

神裂「正確に創り出したんです、正確には生きてはいません動いているだけです」

上条「・・・・・・どうして?」

上条「どうして!アンタはみさおにそんな残酷なんかおかしいだろ事すんだよ!
みさおの気持ちわかるのか、いきなり創られて友達から遠ざけられて!
アンタはみさおが大好きなんだろ!だったら、どうして!?」

70: 2011/02/14(月) 10:53:27.92 ID:PwU3JKV7O
神裂「・・・・・・、そうしなければ、ならなかったからです」

上条「何で!?」

神裂「そうしなければ、私が氏んでしまうからですよ」


空気が、氏んだ―――理由もなく、肌に感じる真夏の熱帯夜の熱気が一気に引いた。

神裂「知っているでしょう、我々信者はいつだって届かない思いを胸に秘めて生きている、と」

神裂「私たちはこのままでは氏んでしまう、会いたいのに会えない普通の関係ではない。私たちはもう耐えられないんですよ」

上条「そ、んな・・・・・・」
上条「そんな理由で創りだしたのか・・・・・・」

神裂「はい、創りだせば彼女に触れる。抱きつける。話ができる。それ以外になにか理由が必要ですか?」

上条「ドン引きだよ、お前ら普通じゃねーよ・・・・・・」

神裂「?、これは、そんなに悪いことですか?」

72: 2011/02/14(月) 11:08:21.39 ID:PwU3JKV7O
神裂「本来存在しない架空の人物を創り出す。
つまり、望まれて彼女は創り出されたのですよ?あなただって、大好きなロボットがあってもし創り出すことができるなら創るでしょう?
誰だって、そうなんですよ。
――――私たちは特にそれが強い、もうみさおがなければ生きていけないんです」

神裂「ですが、彼女はもう時間はありません」

上条「・・・・・・」

神裂「彼女は現在血液から心臓、髪に至るまで、lucky-starの原書に私たちの魔力を注ぐことで創られ保たれています
・・・・・もし『魔力』が切れたら彼女はどうなってしまうと思います?」

神裂「・・・・・・それは致命的なんですよ。魔力がきれれば彼女は生きていくことができない、ただの紙に戻ってしまう」

上条「・・・・・・、いつまで、だ?」

上条「アイツの魔力が切れるまで、あとどれくらいなんだ?」

神裂「今夜の12時に魔力は切れます・・・・・・」

上条「な、そんな、っ・・・」

神裂「分かって、いただけましたか?」

神裂「私たちに彼女を傷つける意志はありません。むしろ、私達でなければ彼女を救うことができない。引き渡してくれませんか、私がナンバーを名乗る前に」

73: 2011/02/14(月) 11:17:56.64 ID:PwU3JKV7O
上条「・・・・・・、何だよ。そりゃ」

上条「なんだよそりゃ、ふざけんな!
アイツがいつ創って欲しいと言った、いつこの世界にいたいと言った!
わっかんねぇようなら一つだけ教えてやるよ。
俺はみさおの仲間なんだ。
今までもこれからも、たとえあいつに触れることができなくても味方であり続けるって決めたんだ!」

神裂「・・・・・・」

上条「なんか変だと思ったぜ、お前らたんに自分のエゴでアイツを創っただけじゃねーか?
なんでそんな自分勝手なことしてんだよ!
本当にアイツのことが好きならこんなことをやらねーだろ!
アイツのことをなんだと

神裂「――――うるっせぇんだよ、ド素人が!!」
上条「!?」

75: 2011/02/14(月) 11:27:44.98 ID:PwU3JKV7O
神裂「知ったような口を聞くな!!
私達が今までどんな気持ちであの子のことを思っていたと思うんですか!?
分かるんですか、あなたなんかにいったいなにが!
アナタはステイルを変態だと思っていると思いますがね、アレが今まで一体どんな気持ちであの子とあなたを見ていたと思ってるんですか!?
一体どれほどくるしんだと!
どれほど歯を食いしばっていたか!
毎日みさおの登場シーンを書かさず見て、セリフを全て覚え家では人形に健気に話し掛け・・・、大切なものをいくつも犠牲にしてきたステイルの気持ちが、あなたなんかに分かるんですか!!」

上条「う、わぁ・・・・・・」
上条「・・・・・・!?」

ゴグギ

七天七刀の鞘、その冷たい先端が上条の腕を潰した。

上条「ああああァァァッッッッ!?」

76: 2011/02/14(月) 11:39:44.08 ID:PwU3JKV7O
上条は、怖い

神裂火織の『人間』の感情が、怖い

神裂「私だって頑張ったよ、頑張ったんですよ!
毎日、毎日、毎日・・・・・・
声帯模写にも挑戦したし、彼女の少ない登場を逃さないように目を凝らしたり、春を過ごし夏を過ごし秋を過ごし冬を過ごし!
いつも彼女のことを考えて過ごしてきたんですよ!
彼女に思いが届くように、いつかきっと私の気持ちが届くと信じて!」

神裂「・・・それでも、ダメだったんですよ」

神裂「アニメを見ても、漫画を眺めても・・・・
グッズを買いあさっても同人誌を買っても・・・・・・
ふとね、我にかえるんですよ。
ああ、私なにをやっているんだろうって、どんなに思ってもどんなに悩んでも・・・
彼女には伝わっていないのにって」

神裂「私たちは・・・・・・もう耐えられません。
これ以上、彼女と遠くにいるなんて不可能です」

上条「・・・・・・」

何となく、上条には分かった。
こいつらはプロだ、みさおのためならなんだってできる連中だ
こいつらは本気だ

78: 2011/02/14(月) 11:48:09.15 ID:PwU3JKV7O
でもな

上条「ふ、ざけんな・・・・・・、」

上条「んなもんは、やっぱりテメェらの勝手な理屈だろうが、みさおの事なんざ一瞬も考えてねぇじゃねぇか!
わらわせんじゃねぇ、テメェらの身勝手な気持ちをみさおに押しつけてんじゃねぇぞ!!」

こいつらはおかしい、絶対におかしい。

神裂「あなたには、わからないんですよッ!」

七天七刀の容赦のない一撃が直後上条の腹部に襲いかかった

上条「ぐッ・・・!?」

神裂「あなたにはわからない」

(おき、ろ・・・反撃、が・・・)

直後、視界が暗闇に染まる。

83: 2011/02/14(月) 18:08:41.06 ID:PwU3JKV7O
みさお「おーい、どう゛まぁ?」

目を覚ますと布団のなかだった。
辺りを見渡すとどうやら小萌先生のアパートのようだ。

驚くことに時計を見ると時間は9時、神裂火織に襲撃されてからまだ一時間弱しか時間は経過していないようであった。
なぜ自分がここにいるのか・・・小萌先生の姿はない。
ということは、みさおが運んでくれたということなのだろうか?

上条「つ、くそ・・・まるで体がうごかねぇ」

みさお「む、むりすんなってヴぁ」

上条「くそ、九時か・・・みさおがここまで運んでくれたのか?」

みさお「んぁ、いやーそう言いてーんだけどなぁ、あのチビがボロボロのとうまを道路で見つけて運んできたんだっでヴぁよ」

上条「ははは・・・そっか、またキャラブレてんぞ」

みさお「・・・・・・、また、迷惑かけちったな」

みさおの小さな肩はふるえていた。
普段は笑顔を絶やさない顔も一目で分かるくらいに暗くなっている。

85: 2011/02/14(月) 18:11:58.32 ID:PwU3JKV7O
十二時

残された時間は三時間弱。
いや、あいつらがみさおを奪還する気なら時間はさらにけずられる。


みさお「とうま、どうしたぁ?」


みさおにはまだ外見的な変化は見られない、魔術師達はみさおがあと数時間で消えると言っていた。
しかしこの様子だったみさおには自分が消える自覚はないようだった。


みさお「なぁ、とうま」
上条「ん、どうした?」
みさお「あ、あのさぁ・・・・・・」

みさお「・・・・・・さっき雑誌で見たんだけどなぁ、・・・・・・私って本当は存在しないんだってさ」

上条「は・・・・・・?」

みさお「わたしはアニメのキャラクターなんだって」

上条「な、なに言ってんだよ!そんなわけねーだろ!!」

みさお「とうま―――もう隠さないでいいんだってヴぁ」

86: 2011/02/14(月) 18:15:48.28 ID:PwU3JKV7O
みさおは笑っていた。
自分の正体を知り、それなのに人に心配はかけないように。
それはアニメなんかじゃない、本当に生きている人間にしか作ることのできない表情だった。
人間にしか作ることのできない、笑顔だった。

上条「・・・・・・ごめん」

上条は自然と謝った。

みさお「気にしてないんだってヴぁ」

上条「ごめん、ごめん・・・・・・」


―――――
――――
―――
――

87: 2011/02/14(月) 18:19:14.43 ID:PwU3JKV7O
しばらくすると玄関のドアがノックされた。

みさお「んぁ?ダレダァ?」

上条「たぶん小萌先生じゃねーか?」

小萌「上条ちゃーん、何だか知らないけどお客さん連れてきましたよー」
ドアの向こうから現れた見慣れた二人の魔術師をみて上条は震えた。

ステイル「ふぅん。そんな体じゃ簡単に逃げ出すこともできないみたいだね」

上条「テメェ、なにしにきやがった!!」



みさお「どう゛まをいじめるなぁ!」

突如みさおが立ち上がり、両手を広げ上条とステイルの間に立ちはだかった。

ステイル「・・・・・・ッ」

上条「・・・・・・ッ、や、めろ。インデックス、そいつらは、変態なんだ・・・・・・ッ!!」

90: 2011/02/14(月) 18:22:30.65 ID:PwU3JKV7O
みさお「かえれぇ!!」

みさお「お願いだから、もうとうまを傷つけんな!」

それは、みさおを神と同格に定める魔術師にとって一体どれほどのダメージだったのか。
二人の魔術師は一瞬にしてガタンと膝を床についた。
ステイルは目から涙を流し、神裂は気を失ってしまっている。

ステイル「リ・・・・・・、リミットまで残り二時間十分」

ステイルは、涙を拭いそう告げた。
二人の魔術師はそれ以上は何も―――
一言も告げずに部屋を出て行った。

91: 2011/02/14(月) 18:26:15.80 ID:PwU3JKV7O
――――
―――
――

無情にも時間が刻一刻と過ぎていく。
みさおは布団の横で穏やかな寝息をたてている。
小萌先生は銭湯に向かっているらしく、部屋には二人しかいない。

時間がない
制限時間まで残り二時間を切ってしまった。
あと少しでみさおがこの世からいなくなってしまう。
自分の横で無防備な寝顔を見せ、穏やかな眠りについているこの少女が消えてしまう。

考えがまとまらない
みさおのためにどうしたらいいのか、上条にはわからなかった。

みさおという存在を消し去り、元の本というみさおの世界へ返すのか、みさおに魔力を注ぎ存在を生かすのか上条には正解がわからなかった。

インの時とは違う、遥かに重い重圧が上条の体にのしかかった

92: 2011/02/14(月) 18:30:14.73 ID:NsJ6UgD80
デックスさんはどういう立ち位置なんだ

93: 2011/02/14(月) 18:32:29.31 ID:PwU3JKV7O
>>92
この世界的には存在しません、パラレルワールドみたいなものと考えてください

94: 2011/02/14(月) 18:37:49.44 ID:PwU3JKV7O
悩んでいると部屋のダイヤル式の黒電話がジリリリリんと音をあげた。

上条「・・・・・・もしもし」

神裂『私です――――――と言って、伝わりますか?』

上条「何だ?」

神裂『―――まもなくリミットが訪れます。
私達はその時刻に合わせて彼女に魔力を注ぐよう予定を組み上げています』

上条「そんなもん、何でわざわざ俺に教える?」

神裂『・・・・・・せめてもの、別れの時間を与えるためです』

上条「な・・・・・・」

神裂『正直に言います。もし私がアナタの立場だとして、
もしみさおが目の前で奪われるのが確定していたとしたら、私は耐えられません。
無様に泣きじゃくり歯を食いしばり、抵抗するでしょう』

神裂『ですが、残念ながらあなたには私達を止めるほどの力はないと私は考えています』

96: 2011/02/14(月) 19:36:26.31 ID:PwU3JKV7O
上条「だから・・・・・・、せめてもの情けで俺に時間を与えるっていうのか?」

神裂『・・・・・・』

上条「いいか、わかんねーようなら一つだけ教えてやる。
俺はまだ諦めちゃいねぇ。
何が何でもみさおが望む結果をあいつに与えてやる!!
たとえお前らが俺の腕をもごうが、脚をふきとばそうが、俺はアイツを助けてやる!!」

神裂『これはただの伝達であり命令です。
あなたの意思がどうであれ、刻限と共に我々はあの子を回収します。』

上条「・・・・・・もし、みさおが消えることを望んだらどうするんだよ」

神裂『・・・・・・、だとしても私達は原本を回収し新たにみさおを呼び出すだけです。」

上条「・・・・・・なら、俺の右手を使えば原本の効力ごとみさおを消せると言ったら?」

98: 2011/02/14(月) 19:50:14.10 ID:PwU3JKV7O
神裂『っ!?』

上条「お前もしってんだろ・・・・・・、
俺の右手はそれが異能の力なら、原爆級の火炎の塊だろうが戦略級の超電磁砲だろうが、神の奇跡だって打ち消せる」

上条「つまり・・・・・・
俺が少しでもみさおに触れれば異能で創られたみさおは消失する。
さらに媒体の原本に触れれば・・・
原本は力を失いただの紙になる」

神裂『な・・・・・・、
ですが、たとえそのような事が可能だったとしてもあなたにはできますか?
目の前で自分に向けて善意の笑顔を向ける少女をその手で消すことが?』

上条「・・・・・、」

神裂『どのみち、私達はあなたの手から彼女を奪い返すだけです。
もしも、あなたが彼女を消しにかかるようなことがあれば全力であなたを排除します』

上条「・・・そうか、上等だ」

神裂『先に伝えておきますが、彼女の体が透け始めたらもう危険域と思ってください』

神裂『それでは、のちほど。本当にわずかですが、最後に素敵な悪あがきを』

99: 2011/02/14(月) 20:04:47.26 ID:PwU3JKV7O
上条「くそっ!」

どうすれば、どうすればいいんだ。

魔術師達はなにがなんでもみさお、もとい原本を奪いに来るといっていた。
それは、たとえ時刻を過ぎみさおが消失してもだ。


奴らには俺と違って時間の制限がない。

じゃあ・・・・・・、俺はどうすればいい

立ち止まる訳には行かない、なのになんの案も浮かばない。

このまま時間が経つのを待ち、みさおが消失すれば魔術師達は容赦なく俺の手から原本を奪い取り、また悲劇を繰り返しちまう。

だが・・・・・・俺にはそれからみさおを守る力はない。

じゃあ・・・・・・

みさおをこの右手で消すか?
いや・・・・・・無理だ、みさおになんて伝えればいいんだ。

実はお前は自然発生じゃなくて人為的に造られたんです。
ここはお前の世界じゃない、だからお前の幸せのために消えてくれ

とでも言うのか?

100: 2011/02/14(月) 20:15:50.02 ID:PwU3JKV7O
言えるわけがねぇ!!

上条「あいつに、あいつにそんなこと・・・・・・、口が裂けても言えない」

みさお「・・・・・・んぁ」

上条「あ、すまねーな起こしちまったか?」

みさお「んー・・・・・・なんかなぁ夢見てた」

上条「・・・・・・ゆめ?」

みさお「柊たちと学校いって、まじありえねーんだけどアイツがヨーグルトでパン工場とかいいだしてなぁ」

上条「・・・・・・」

みさお「んぁ?どした?」

上条「・・・、みさおは、みさおは元の世界に帰りたいか?」

みさお「・・・・・・」

上条「友達がいてさ、家族もいる、学校もある・・・・・・そんな世界に帰りたいか?」

101: 2011/02/14(月) 20:29:34.50 ID:PwU3JKV7O
みさお「帰りてぇなー」
上条「・・・・・・」

みさお「帰ってあいつらの顔みてぇよぉ・・・」

みさお「でも、わたしはアニメの中の存在でホントは存在しねーんだろ?・・・・・・」

上条「・・・・・・あぁ」

みさお「じゃあ、戻るってことは私氏んじまうのかぁ?」

心が打ち抜かれた気がした。
少女の発した言葉はあまりに重く、そして的確だった。
そう、この世界から消失するってことはこの世界で氏ぬと言うことだ。
消失したからって、元の、あるかもわからない世界に帰れる保証はどこにもないのだ

103: 2011/02/14(月) 20:46:11.63 ID:PwU3JKV7O


上条「・・・・・・、俺の右手でお前に触れれば元の世界に返してあげられるかもしれない」

みさお「お、まじかぁ!?」

上条「・・・聞いてくれ」
みさお「・・・・・・」

上条「俺の右手は異能の力を全て打ち消す効果があるんだ」

みさお「・・・・・・、うん」

上条「お前は創作物の中の登場人物だ、そんなお前がなんでここにいるかわかるか?」

みさお「・・・・・・」

みさおは小さく首を横に振った

上条「・・・・・・、お前、お前は創られたんだ。この世界の魔術師って奴らの力で」

上条「連中は原本とかいう本を使ってお前を創ったと言っていた。つまり、言わばみさお・・・・・・お前は異能でできた人間だ」

みさお「・・・・・・」

上条「だから、この右手でお前に触れればお前という存在をこの世界から消すことはできる」

上条「だけど・・・・・・それで本当にお前が元の世界に帰るのか、それともただ消えるのかはわからない」

上条「・・・・・・すまない」

104: 2011/02/14(月) 20:59:30.99 ID:PwU3JKV7O
みさお「・・・・・・つまり、賭けってなのかぁ?」

上条「・・・・・・、そうなる」

みさお「・・・そっか」

上条「・・・・・・魔術師たちはお前が魔力で生きているとも言っていた。」

上条「つまり、魔力が尽きればお前は強制的に消えちまって原本に戻っちまう。
でも、奴らはお前が消えても原本がある限り何回でも呼び出すと言っていた。
もし仮に・・・・・・、消えることで元の世界に帰れるのなら、俺の右手でお前を消して原本の力も消すしかこの負の連鎖を断ち切ることはできない。」

みさお「・・・・・・・」

上条「・・・・・・魔力が切れるまであまり時間がない」

上条「どうするかは、みさおが決めてくれ」


話を聞き終えると、みさおは顔を上へ向け動かなくなった。
無理もない、元の世界に帰れる可能性のある方法が生氏を賭けた方法などと聞いて冷静でいられるほうがどうかしている。

105: 2011/02/14(月) 21:10:34.09 ID:PwU3JKV7O
―――――
――――
―――
――

どのくらいの時間が経ったであろう。
もう、ずいぶんと二人とも言葉を発していない気がする。

みさおはまだ宙を見ているし、こちらもろくな策が浮かばない。

時計を見ると時刻は十一時を過ぎていた。
リミットまでもう一時間とない・・・・・・

上条「・・・・・・あれ?」

なにかが、なにかがおかしい。
みさおの、みさおの体を通って奥のちゃぶ台が視認出来てしまっている。
上条「・・・・・・お、お前」
上条「体が、もう体が透け始めてるぞ!!」

みさお「・・・・・あぁ、ばれちった?」

上条「ばれちったって・・・・・・」

みさお「いやぁ・・・なんかとうますっげー真剣そうだったからさぁ」

上条「・・・・・・」

106: 2011/02/14(月) 21:13:35.98 ID:PwU3JKV7O
みさお「・・・なぁ、とうま」

上条「・・・なんだ?」

みさお「とうまは、とうまの右手を使えばわたしがもとの世界に帰れるとおもう?」

上条「・・・・・・」

上条「ごめん・・・わかんねぇ」

みさお「そっか・・・」

気の利いた言葉の一つでもかけてやれない自分が酷くいやになった。

107: 2011/02/14(月) 21:21:29.63 ID:PwU3JKV7O
みさお「わたしは、わたしはとうまのこと信じるぜ?」

上条「・・・・・」

みさお「とうまは、見ず知らずのわたしに自分の危険も省みずにこんなに良くしてくれた。
だから・・・・・・とうまの右手をわたしは信じるよ」
上条「お、お前・・・・・・」
みさお「頼むな、とうま☆」

上条「・・・・・・あぁ」

119: 2011/02/15(火) 03:04:17.33 ID:ayK5PxmLO
ステイル「感動のシーンのところ悪いが・・・・・・、残念ながらタイムリミットだ」

突如、背後から声が聞こえた。

上条「ッ!?」

ステイル「タイムリミットだ、みさちゃんと約束を交わしたようだが残念だったな、
みさちゃんを・・・・・・、
こちらに引き渡して貰おうか?」

みさお「と、とうまぁ!?」
上条「テメェら・・・・・・、今の会話を聞いてたってのか?」

ステイル「そうだとしたらなんだっていうんだい?」


上条「・・・・・・っざけんじゃねぇ!!
今のみさおの言葉を聞いてたならわかんだろ・・・、
こいつが望む物が、生きたい世界が!?」

120: 2011/02/15(火) 03:07:14.18 ID:ayK5PxmLO
ステイル「・・・・・・、
たしかにみさちゃんの気持ちが僕達の考えと違うのはショックだよ。
だが・・・みさちゃんを生み出したのは僕達だ。
仮初めの世界の住人に命を与え、この世界に呼び出したのは僕たちなんだ。
彼女の生きたい世界?
君は本当に彼女が話すような世界が・・・・・・、
二次元の内に、描かれた仮初め世界にそんな物が実在すると信じているのか?
心の中では否定している自分がいるんだろう?」

上条「っな、んなわけねぇだろ!!」

ステイル「嘘をつくな偽善者が・・・・・・、
ならお前は完全に、一切の疑念を持たずにlucky-starの内に世界が存在すると信じ切れているのかい?
お前は彼女に右手を使えば元の世界に帰れると言った・・・・・・
だがな、なんの確証もないのに彼女にだけリスクを負わせて英雄気取りをするな」

ステイル「この、偽善者気取りのミュータントが」

121: 2011/02/15(火) 03:24:10.92 ID:ayK5PxmLO
言葉が、言葉が見つからなかった。

ステイルに返す言葉が見つからなかった。

確かに、確かに俺はみさおをとみさおをを助けると約束をした・・・・・・、

だが、俺は、俺は心の底では、この右手を使い確実にみさおを救える自信なんかない・・・・・・、ましてやlucky-starの世界の存在なんてなんら信じ切れてはいない。

ステイルの言葉が、胸に、心に深く突き刺さった。

ステイル「ふんっ、言い返す言葉もないようだな」

ステイル「用がないならこの場から消えろ目障りなんだよ・・・・・・」

上条「ま、まてよ・・・・・・、でも、でも俺はみさおをと、彼女を救うと約束したんだ!!
確かに俺の右手でみさおを救える確証なんてない、
で、でもだからってお前らがみさおを好き勝手に弄んで言い訳はねぇだろ」

ステイル「いいか・・・・・・
良く聞け、彼女は、みさちゃんはただの人間じゃない天使と同格の力を秘めた女神だ。
そもそもが人間じゃないんだよ、
彼女は僕達が創った女神だ」

ステイル「彼女は僕達が創りだしたんだ」

122: 2011/02/15(火) 03:36:32.21 ID:ayK5PxmLO
ステイル「子供がゲームで作り出したキャラクターを自由に扱うように、
僕達はみさちゃんを創りだした人間としてみさちゃんといる権利がある。
あまり使いたい表現ではないがみさちゃんは僕達の所有物なんだよ。
・・・・・・、まぁ、だが安心しろ、僕達は彼女を傷つける気はこれっぽっち持っていない。
僕らは彼女と共にこれからを過ごせればそれでいいんだよ。
だから安心しろ、彼女には最高のもてなしを用意するし最上級の生活の保証も君に約束しよう」

上条「・・・・・・だからって、だからってあいつの気持ちを無視してもいいってことにはならねぇだろ」

ステイル「確かにそうだ、みさちゃんの気持ちは愛おしくとても大切だ。
だがな・・・・・・、今考えるべきはなのはそんな事ではないんだよ。
いま考えるべきは、みさちゃんを生かすか頃す化かだ。
僕達ならみさちゃんに魔力を注ぎ命を繋ぎ、生かし救う事ができる。
だがお前はどうが?
確実性のないプラン、信頼という脆い繋がりでしかお前はお前はみさちゃんを救う手段を持ち合わせていないではないか、
お前には彼女を救うことはできない」

123: 2011/02/15(火) 03:41:51.05 ID:ayK5PxmLO
もはや、上条に言い返す言葉はなかった。

そう、いくらみさおが望んだからって・・・・・・これは簡単に行ってはいけない行為なのだ。

上条「・・・・・・」

神裂「どうやら、納得していただけたようですね・・・・・・」

上条「・・・・・・」

神裂「時間がありません、消失までの残り時間が三十分を切りました。
ステイル、さっそく作業に取りかかりましょう」

みさお「う、うわぁ、お前なにすんだってヴぁ!?さ、さわんなよぉ・・・ハァハァすんなよぉッ!?」
ステイル「ハァハァ、ハァハァ、大丈夫、大丈夫だよみさちゃん・・・・・・
い、痛くないから、もう痛くないからね///
もう大丈夫もう君は消えないんだ、ずっとずっとここにいれるんだよ
僕と、僕達と一緒にずっと暮らすんだぁ/////」

みさお「や、やめろぉい・・・・・・、
とうま!とうま!!
なんで、なんでぼーっと立ってんだってヴぁ!!
わたしいったろ、わたしはとうまを信じるって!、
わたしは怖くなんかないんだってヴぁ!!
とうまを信じてるんだってヴぁ」

124: 2011/02/15(火) 03:46:45.26 ID:ayK5PxmLO
ステイル「ハァハァハァハァ、みさちゃん・・・・・・
あいつは君を捨てたんだよ。
力がない、知識もない、君を苦しみから救うことなんか彼には出来ないんだよ。
あいつは、あいつは役立たずなんだ!!
でも、でも僕は違う・・・・・・僕は君を救えるし、君のことならなんでもわかるんだ////
ねぇ、すごいだろ?すごいよねみさちゃん!
だから、だから・・・・・、僕達と楽園にいこう!!
君と僕達とずっと幸せに暮らそう!!」

みさお「う、うわぁ!!
はなせ、離せよこのヤロー!!」

神裂「・・・・・・・、作業の邪魔です。
あなたの右手は異能の力を全て打ち消してしまう、
あなたがここにいてはこれからの作業に支障をきたします。
―――消えてください」

上条「で、でも・・・・・・まだ時間が―――」

神裂「邪魔です、消えてください」


上条は目の前で変態に襲われているみさおを眺めていることしか出来なかった。

125: 2011/02/15(火) 03:58:52.57 ID:ayK5PxmLO
――――
―――
――

上条「クソッ・・・いったいどうしたらいいんだ!?」
結局のところ、俺は怖いんだ・・・・・・、
俺の手で、自分のこの右手で一人の女の子の存在を消しちまうかもしれないって現実が

たしかに俺の右手はみさおを救えないかもしれない・・・・・・。

穴だらけなプランだ、むしろこれで救えたら奇跡に近いと言ってもいいだろう・・・・・・、

でも、でもみさおは、そんな事情もひっくるめて俺のことを信じてくれたじゃねーか。

126: 2011/02/15(火) 04:00:56.42 ID:ayK5PxmLO
俺の事を、出会ってたった1日も経っていない赤の他人である俺の事を・・・・・・、心の底から信頼して自分の命すら提示してくれたじゃねぇか!!

あいつらの勝手な、とても身勝手なエゴだが、
確実に、確実にみさおにとってはマイナスにはならないステイルのプランを踏んづけてまで、
俺の、俺の無謀なプランを受け入れてくれたじゃねーか・・・・・・、

あいつは・・・・・・、俺のことを信じてくれたんだ。
・・・・・・、そうだ

なんて、なんて俺はバカなんだ。
口ではみさおの幸せなんて大層な事を言っておいて、
結局は最悪な事態の時の自分の保身しか考えてなかったんじゃねーか!!

情けねぇ・・・・・・

みさおの為に動くなら道はもうとっくのとうに決まってたんじゃねーか・・・・・・

みさおは俺を信じた。

みさおは・・・・・・俺に自分を消してほしいとお願いした。
それで十分じゃねーか、それで、それだけで俺が動くには十分だろうが・・・・・・

ほんとに、本当に自分が嫌になるぜ

行くしかない
もう道は決まっていたんだ。

127: 2011/02/15(火) 04:04:08.58 ID:ayK5PxmLO
ステイル「みさ、みさみさみさみさみさぁ////
ハァハァハァ、みさちゃんの耳たぶフニフニで可愛いね///
あぁ・・・・・・もう少しだよ、もう少しで僕達の楽園にいけるんだ、
なんの苦しみもない楽園に行けるんだよ?
聞いてるかい?ねぇみさみさみさみさみさみさぁ/////」

みさお「うえぇ・・・・・・」

神裂「ステイル・・・・・・、いい加減にしないとその首を切り落としますよ?」

ステイル「ふん、君だって本当は今すぐにでも抱きつきたい癖に、
流石は・・・・・・、
聖人にもなるとポーカーフェイスまで一流だな」

神裂「・・・・・・、
とにかくあの少年が変な気でも起こさないうちに作業をすましましょう。
彼女との交流はそれからでも遅くはないでしょう?」

128: 2011/02/15(火) 04:07:46.28 ID:ayK5PxmLO
ステイル「・・・・・・しょうがない。
だが、約束しろ最初にみさちゃんのお口に甘いものを運ぶのは僕の仕事だからね?
そこは譲ってもらわないと困るね」

神裂「・・・・・・、好きにしなさい」

ステイル「そうか、なら安心だ。じゃあ、始めよう・・・・・・」

ステイル「みさちゃん、少し我慢してね。
今から君にチュッチュッって魔力を注ぐから、
少し変な感じがするかもしれないけどすぐに終わるからねぇ///
あぁ・・・もぅそんなふくれつらもかわいいなぁ、みさちゃん本当に地上に舞い降りためが「みさおからはなれやがれ、この変態口リコン野郎ッッッ!!!!」

ステイル「グベェッ―――」

神裂「っんな!?」

みさお「とうまぁっ!!」

129: 2011/02/15(火) 04:12:07.69 ID:ayK5PxmLO
神裂「あ、あなた、自分が何をしているか分かっているのですか?
あと数分でみさおはこの世界から消えてしまうんですよ?
それにもし、仮にみさおがこの世界から消えたとしても、また私たちは呼び出す事ができる。
あなたには今ここで命を投げ捨てる意味はないはず!
それなのに、あなたは、あなたは一体ここに何をしにきたのですか!?」


上条「・・・・・・約束」

神裂「・・・・・・」

上条「俺はただ、彼女との約束を守りにきただけだ!!」

神裂「約束、ですか・・・・・・
愚かな、あなたがもう少し理性的に物を考えられる生き物ならば、命くらいは守ることができたでしょうね」

上条「・・・・・・関係ねーよ、お前らがお前らのエゴでみさおを利用しようってんなら」

上条「俺も俺のエゴでみさおを奪い返すだけだ!!」

神裂「・・・・・・そうですか、非常に残念です。
なら、あなたを頃すまでですッ!!」

上条「・・・・・・、そうかい」

上条「お前がそうまでして考えを変えないって言うんな・・・・・・・ら、まずはお前のふざけた幻想をぶち壊すッ!!」

130: 2011/02/15(火) 04:15:22.92 ID:ayK5PxmLO
――――
―――
――


神裂「No.1、それが私の会員ナンバーです。」

神裂「そう、私はステイルのような程度の低い幹部などとは違う・・・・・・、女皇帝なのですよ」

・・・・・・ックソ、格好良く登場したはいいがやっぱりこいつ、桁違いに強い。

異能の力じゃなねぇから迂闊に右手で防げねぇし・・・・・・、なにより隙がねぇっ!!

神裂「言葉を発する力すらありますんか・・・
よくも、その程度の力であれだけの大口を叩けたものです」

くそ、や、やべぇ

神裂「さて、残念ですがこちらもあまり時間が残されていません。
名残惜しいですが・・・・・・氏んでくださいッ!」

上条「クッ、くそぉガァッッッ!!」

133: 2011/02/15(火) 10:07:40.54 ID:ayK5PxmLO
直後、神裂は動けない上条に無情にも刃を振るった。

上条「(クソ、ここまでかよ・・・・・・)」

上条も、また・・・・・・、静かに瞼を下ろした。

「ズチァッッッ!!」

けたたましい音が辺りにこだました。

上条「・・・・・・」

上条「・・・・・・」

上条「(や、やられたのか・・・・・・・、
あれ?な、なんだ?
体が、体がどこも痛くない?)」

神裂火織は確かに上条に向かい七天七刀を振り下ろした。
そして、七天七刀は確かな音を持って上条に自らがだ物体に突き刺さったことを知らせた。

しかし、上条の体に痛みは走らない。

134: 2011/02/15(火) 10:10:49.21 ID:ayK5PxmLO
上条「(どうなって、どうなってやがんだ・・・・・?)」

上条は何が起こったのか確認するために、閉じていた目をこじ開けた。

最初に目に入ったの黒だった。
一面、何らかの液体が顔一面に付着し上条の視界を遮った。

次に聞こえたのは神裂の悲痛な声だった。

神裂「な、なんで・・・・・・、
何をしているんですか!?」

余裕のない、いつもの神裂からは想像も出来ないような悲痛な叫び声だった。

上条「(一体全体・・・・・・、何がどうなってやがんんだよ)」

上条は顔に付着した液体を手で雑に払いのけ、前方の事象を視認した。

135: 2011/02/15(火) 10:15:22.68 ID:ayK5PxmLO
直後、上条の目に入ってきたものはまさに惨劇という名が相応しい代物であった。


上条「なんだよ、・・・・・・、
なんでお前がここにいんだよ。
・・・・・・、みさおッ!!」

上条の目に映ったのはみさおだった。
しかし、いつもの、明るく元気で快活な笑顔に満ち溢れたみさおではない。
顔に氏の色を宿し、今にもその活動を終えようとしているくさかべみさおの姿がそこにあった。

肩からは大量の血が流れ落ち、七天七刀が胸まで深く、深く突き刺さり、口からも血を吐き流していた。

上条「み、みさお?」

上条「おい、・・・・・、おい!!」

みさおからは返事がない。
みさおを斬った神裂もまた、精神的なショックからか口から泡をはき床へと倒れ込んでいる。

上条「クッソ、おい、みさお!?
・・・・・・、返事をしろよ!!」

137: 2011/02/15(火) 10:20:36.14 ID:ayK5PxmLO
みさお「ハァハァ・・・・・、あ、どう゛ま・・・・・・」

上条「みさお!?
大丈夫か、大丈夫なのか!?
なんで、・・・・・・、
なんでこんな事になっちまったんだよ!!」

大量の血、明らかな衰弱。
これではたぶん、いや、確実にみさおは消失を前にして生命が失われてしまう。

上条「クソ、クソ、クソ!!
・・・・・・、なんで、なんでこんな事になっちまうんだよ!!」

みさお「・・・・・・、」

みさお「・・・・・・、ごめん、ごめんね、とうま」

上条「!?」

上条「なに、なに言ってんだよ!!
・・・・・・、謝るのは、謝るのは俺の方だ!」

みさお「・・・・・・」

上条「お前の事を守るなんて偉そうなこと言っておいて・・・・・・、
結局は守られてんのは俺じゃねーかッ!」

138: 2011/02/15(火) 10:24:41.04 ID:ayK5PxmLO
みさお「・・・・・・」

みさお「謝らなくて、いいんだってヴぁ・・・・・・」

みさお「とうまは・・・、とうまは頑張ったんだってヴぁ」

上条「・・・・・・」

みさお「なぁ、・・・、とうま」

上条「・・・・・・なんだ?」
みさお「わたしを、・・・・・・わたしをその右手で消して」

上条「そ、そんな・・・・・・、でもお前」

みさお「・・・・・・、お願い」

みさお「わたしを助けて」

少女はいつも通りの笑顔でそう呟いた。
体を斬られ、血を流し、呼吸すらままならない状態にもかかわらず・・・・・、
少女は最後の最期まで?、上条を信じる気持ちを変えずに上条に助けを求めた。

139: 2011/02/15(火) 10:30:52.13 ID:ayK5PxmLO
上条「・・・・・・」

上条「・・・・・・・、あぁ、わかったよ」

みさお「うん・・・・・・、ありがとだってヴぁ」

上条「お前に会えて、・・・・・・、お前と会って一緒に過ごせて」

上条「本当に・・・・・・、楽しかったよ」

みさお「うん・・・」

上条「お前の話も、動きも全部さ、全部・・・・・・、楽しかったよ」

みさお「うん、うん・・・・・・」

上条「お前のことが・・・・・・、大好きだったよ」

みさお「・・・・・・、うん」

上条「・・・・・・お別れだ、みさお」

みさお「・・・・・・」

上条は右手を前に構えた。
すると、みさおをもまた静かに両目の瞼を下ろした。
みさおが信じたように、自分もまた、この右手を信じるしかない

141: 2011/02/15(火) 10:36:08.44 ID:ayK5PxmLO
上条「じゃあ・・・・・・、またな」

上条は静かに、・・・・・・、
とても静かに右手をみさおをの肩に置いた。

小さくて柔らかい、普通の女の子となんらかわらない普通の感触が指へと伝わった。



みさお「とうま・・・・・・、わたしも大好きだってヴぁ☆」

直後、みさおをの体は目も開けられないほどに眩く発光し・・・・・・

発光が終わり上条が目を再びあけた頃にはそこには、みさおがいた場所には何も残ってはいなかった。


みさおをは消失した

143: 2011/02/15(火) 11:04:25.14 ID:ayK5PxmLO
――――
―――
――


美琴「ちょっとアンタぁッ!
やっと見つけたわよ・・・・・・、
今日という今日は絶対に跪かせて足ヒクヒクさせてやるんだから!!」

上条「ん?なんだぁ、ビリビリ中学生か・・・・・・」
美琴「つ、アンタね・・・・・・、
なにあからさまにがっかりしてんだゴラァーッッッ!!」

「ビキンッ!!」

上条「あ、あっぶねぇなおい!!
俺じゃなかったら普通氏んでるぞ!!

美琴「あんたにしかこんな事しないわよ!!」

上条「・・・ったく、だいたいだなぁお前は、
毎度毎度なんの恨みがあって俺にそんなにつきまとうんですか!?
なんですか?
あれですか?
もはや屈折した愛情表現の一種かなんかですかぁッあ!?」

144: 2011/02/15(火) 11:16:27.93 ID:ayK5PxmLO
美琴「う、うるさいわよバカっ!!///」


あの日、くさかべみさおがこの世界から消失してから既に一月程が経過いる。
夏休みはとっくのとうに終わり、二学期が始まり俺も段々と普段の生活を取り戻している。
・・・・・・、そして段々とみさおの事が思い出せなくなっていく。

余談だが、みさおをが消失したあと俺は、原本を右手で破壊した。
厳密には原本に宿る力を破壊したのだが、なにこの際どうでもいい。
二人の魔術師・・・・・・、神裂とステイルだが、
目を覚ますとみさおがいないことに気づき、
大声で周りをはばからずに泣きはじめ、
しばらく、小萌先生の部屋から出て行こうとしなかった。
なにやら、みさおの残り香がどうたらこうたら言いながら泣いていたが真相は怖くて考えたくもない。

145: 2011/02/15(火) 11:19:37.42 ID:ayK5PxmLO
結局の所、みさおは、彼女が彼女の世界に帰れたのかどうかは俺にはわからない。

なぜなら、もうみさおはこの世界に来ることも、呼び出されることもないからだ。
みさおに、彼女に直接話を聞けないいま、俺はただ、彼女の無事を祈り信じる事しかできない。

だが、不思議なことに俺は心の中でみさおが幸せに暮らしていると勝手に信じ込んじまっている。

美琴「ちょっと、ちょっとアンタ話聞いてるの!?」

上条「・・・?あぁ、なんだまだいたのか?」

美琴「あのねぇ・・・・・・ったく、だから、その右手に持ってる本は何かって聞いてんのよ!!」

今はただ、みさおが生きて大好きな世界、大好きな人達と生きているのを俺は信じている。

上条「・・・・・・あぁ、これか?」

上条「語尾につくヴぁと可愛らしいほっぺた、
そして、愛らしい八重歯が特徴のくさかべみさおちゃんの超可愛いい同人誌だ!!」

美琴「・・・・・・」

上条「・・・・・・」

美琴「いっぺん、氏ねやゴラァッッッー!!」

俺は彼女の無事を信じて生きる続ける。
いつか・・・・・・、いつかまた、彼女と会える日信じているから


147: 2011/02/15(火) 11:24:02.78 ID:ayK5PxmLO
これまで読んでくださった方と支援してくださった方ありがとうございました。

初めてのSSなので、速度、内容とともに至らない点が多々ありましたが少しでも楽しく読んで頂ければ幸いです。

正直、みさおの位置はあらゆる二次元のキャラクターに置換しても話は成立するので
みさおを選んだのは好きだからです。

148: 2011/02/15(火) 11:25:06.62 ID:NmdQhfqk0
乙だってヴぁ

151: 2011/02/15(火) 14:24:05.73 ID:hUwxQ5EaQ

引用元: みさお「甘いものいっぱい食べさせてくれると嬉しいんだってヴぁ」