203: 2019/05/14(火) 20:48:15.91 ID:8lK86C+1o

204: 2019/05/14(火) 20:52:25.36 ID:8lK86C+1o
武内P「あの……仰っている意味が、よく」

美嘉『良いから早く来て!』

武内P「ど、何処へですか……?」

美嘉『Bのレッスンホール!』


美嘉『って、ああああ!?』

美嘉『ドリンクをまいちゃ駄目だって! っちょちょちょっ、タイム!』

美嘉『……良い!? 急いでね!?』


武内P「……」

武内P「一体……何が……?」

205: 2019/05/14(火) 20:55:31.37 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・

武内P「……これは」


志希「にゃはははは~♪」

バタバタバタバタッ!


美嘉「ちょっと止まれってのー!」

ドタドタドタドタッ!

美嘉「服ビッショビショのままだし、床が濡れてるから――」

ツルッ!

美嘉「――おっぶっ!?」

…ドテーンッ!


武内P「本当に……何が……!?」

206: 2019/05/14(火) 21:00:28.39 ID:8lK86C+1o
奏「来てくれたのね……助かったわ」

武内P「速水さん?」

武内P「あの……この惨状は、一体……?」

奏「……私達――LiPPSでダンスレッスンをしてたのよ」

武内P「え、ええ……」

奏「それで、フレデリカと志希が頭をぶつけちゃって……」

武内P「! それは、大丈夫だったのですか!?」


志希「おしーりペ~ンペ~ン♪」

ペンッ! ペンッ!


美嘉「くっおおお……こ、腰打ったぁ……!」

ヨタヨタッ…


奏「……大丈夫に見えるかな?」

武内P「……!?」

207: 2019/05/14(火) 21:06:19.78 ID:8lK86C+1o
奏「……フレデリカは、周子に付き添われて医務室に」

武内P「それで、一ノ瀬さんは……」

奏「最初は平気そうにしてたんだけど……」


志希「そーれそれー♪」

バッシャバッシャ!

美嘉「っひ!? 冷たっ!……これ、エナドリ!?」

志希「にゃはははは~♪」

バッシャバッシャ!

美嘉「やめ、や、やめ……やめーっ! ストップだってー!」


奏「……突然、こう……ガクッとなって」

奏「そうしたら……あんな感じに」

武内P「……!?」

208: 2019/05/14(火) 21:13:39.73 ID:8lK86C+1o
奏「……何とかと天才は紙一重、って言うでしょう?」

奏「頭をぶつけた衝撃で、天秤が傾いてしまった……」

武内P「そんな……まさか……!?」


志希「そーれそれー♪ にゃはははは~♪」

バッシャバッシャ!

美嘉「た……助けて! 喋ってないで助けてよ――ッ!」

美嘉「――っかああ!? 大声が腰に響く……おおあ!?」


武内P「っ! す、すみません!」

武内P「今、そちらに――」



志希「――パパ!」



武内P「……」

美嘉・奏「……」


武内P・美嘉・奏「えっ!?」

209: 2019/05/14(火) 21:23:42.67 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・

奏「……彼を呼んで正解だったわね」

美嘉「……まあ、そうだケド」


武内P「――人の嫌がることをしてはいけません」

志希「でも、たのしかった」

武内P「……」

志希「…………もうしない」

武内P「はい」ニコリ

志希「……えへへ♪」ニコッ!

武内P「……良い、笑顔です」


美嘉「なんっであんな感じなワケ!?」

奏「良いじゃない、素直で」

210: 2019/05/14(火) 21:29:04.58 ID:8lK86C+1o
武内P「少しだけ、そこで座って待っていて貰えますか?」

志希「すこしってどれくらい?」

武内P「そう……ですね」

志希「すわって、なにしてればいい?」

武内P「……では、歌を歌っていてください」

志希「うた?」

武内P「はい」

志希「うん! うた、うたってる!」


武内P「……―――お待たせしました」

奏「志希の様子……なんだか、子供みたいじゃない?」

武内P「はい……とても、良い子で助かります」

美嘉「いや、そういう問題じゃないでしょ……」


志希「は~♪ ふ~ん♪ は~は~ふ~ん♪」

211: 2019/05/14(火) 21:33:48.52 ID:8lK86C+1o
武内P「一応、確認させて下さい」

奏「何を?」

武内P「……私を騙そうとしているのでは、ありませんね?」

美嘉「だとしたら、アタシ体張りすぎじゃない?」

美嘉「……全身、エナドリでベッタベタなんだケド」

武内P「……速水さん?」

奏「違うわ。騙すなら、もっと上手くやるもの」

武内P「……ええ、確かに」

美嘉「ちょっと……アタシの話、聞いてた?」


志希「ちゅっちゅちゅっチューリップ~のは~な~が~♪」

212: 2019/05/14(火) 21:42:25.53 ID:8lK86C+1o
武内P「では……急いで、救急車を呼びましょう」

奏「まあ、そうなるわね」

美嘉「それじゃあ、アタシが救急車呼ぶね」

奏「なら……私は、事情を専務に話してくるわ」

武内P「私は、彼女のお父様に連絡を」


武内P「……――もしもし」

武内P「夜分遅くにすみません」


奏「ああ、アメリカだから時差が」

奏「……それじゃ、私は行くわね」


美嘉「オッケ、こっちは任せ……」

美嘉「……早く戻ってきてよね」


志希「き~れ~い~だ~な~♪」

213: 2019/05/14(火) 21:46:40.07 ID:8lK86C+1o
武内P「頭を打って、行動が普段と……」

武内P「はい……ええ……申し訳ありません」

武内P「……彼女と話を?」

武内P「はい……はい、わかりました」


武内P「――お父様が話したい、と」

武内P「……そう、言われています」

スッ…


志希「?……ハロー?」

志希「ダッド……?」

志希「わかんない……わかんないけど、くさい……」

志希「ダッド……でんわごしに、あしがくさい……」


武内P「!?」

214: 2019/05/14(火) 21:51:31.98 ID:8lK86C+1o
志希「かわるの?」

スッ…


武内P「も……もしもし?」

武内P「えっ!? 研究が忙しい!?」

武内P「あの、泣いて……もしもし!?」

武内P「待ってください、バラエティ番組の企画ではなく!」

武内P「もしもし!? もしもし!?」

武内P「……切れた」


美嘉「……救急車、すぐ来るって」


武内P「そう……ですか」


武内P・美嘉「……」


志希「く~ち~び~る~は~♪ たべる~た~めじゃ~なく~♪」

215: 2019/05/14(火) 21:58:43.16 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・

武内P「……精密検査の結果、脳に異常は見られませんでした」

武内P「お医者様の話では、一時的な記憶の混乱だろう、と」

武内P「……なるべく刺激をしない様に」

武内P「そうすれば、すぐに回復するだろうとの事でした」


美嘉・奏「はい」

美嘉・奏「……で?」


志希「パパー! ばんごはんはピザがいいー!」

武内P「どんなピザが食べたいですか?」

志希「んー……ドミノピザ!」

ぎゅうっ!

武内P「なので……あまり、睨まないで下さい……」

216: 2019/05/14(火) 22:04:07.09 ID:8lK86C+1o
奏「貴方って……女が弱ってる所に付け込む人だったのね」

美嘉「……サイッテー!」

奏「誠実な紳士だと思ってたのに……ガッカリだわ」

美嘉「……サイッアク!」


志希「パパ、おこられてるの?」

ぎゅうっ!

武内P「……ええ、そうですね」

志希「なんで?」

武内P「……」


志希「しっと?」


美嘉「しっ、ししし嫉妬ぉっ!?」

奏「……美嘉、落ち着きなさい美嘉、落ち着いて、美嘉」

美嘉「……うん、そっちも落ち着こ?」

217: 2019/05/14(火) 22:09:08.45 ID:8lK86C+1o
志希「パパ! あたったよ!」

ぎゅうっ!

武内P「え、ええ……」

志希「あたしてんさい? あたまいい?」

武内P「……ええ、そうですね」

志希「ん!」

武内P「……」

ナデナデ…

志希「……えへへ♪」

ぎゅうっ!


奏「……」

美嘉「ケータイで……何? 動画撮ってるの?」

奏「……後でこれを見せるのが、一番効くでしょう?」

美嘉「そんな冷静なのアリ!?」

218: 2019/05/14(火) 22:13:26.00 ID:8lK86C+1o
美嘉「とりあえず……くっつきすぎだって!」

奏「そうね……二人共、離れなさい」


志希「や!」

武内P「……との事なので、はい」

志希「べー!」ベー!

ぎゅうっ!


美嘉・奏「……」

美嘉「アタシ、左側ね」

奏「良いわ、私は右ね」


武内P「あの……お二人とも、何を……?」

219: 2019/05/14(火) 22:16:15.93 ID:8lK86C+1o
美嘉「まあ、口で色々と言うより――」

奏「――この方が、わかりやすいでしょ」

ガシッ!

志希「!? なに? なに?」

武内P「!? 待ってください!」


美嘉・奏「せーの……!」

ぐいいっ…!

志希「!? なに!? なに!? なに!? なに!?」

ぎゅうっ!

武内P「っ!? く、首が締まっ……!?」

220: 2019/05/14(火) 22:20:49.78 ID:8lK86C+1o
美嘉「手を離して、離れなって……!」

ぐいいっ…!

志希「やー! やだー! いやーっ!」

ぎゅうっ!

奏「貴女、子供じゃないんだから……!」

ぐいいっ…!

志希「……すうっ――」


志希「――やあああだああああああっ!! いやああああああっ!!」ピー!

ぎゅうううっ!


美嘉・奏「!?」ビクッ!

ぱっ!


志希「ああああああっ!! パパああああああっ!!」ピー!

ぎゅうううっ!

武内P「」

221: 2019/05/14(火) 22:24:36.79 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・

武内P「……と、引き離そうとすると」

志希「ひっく!……ぐすっ、ひっく……!」メソメソ!

ぎゅうっ!

武内P「……こう、なってしまうので」


美嘉・奏「……ごめんなさい」


武内P「……いえ、すぐにお伝えするべきでした」

志希「ひっく……! ばか……ばか……!」メソメソ!

ぎゅうっ!


美嘉・奏「……」

奏「罵る言葉も……」

美嘉「……ホント、子供だねアレ」

222: 2019/05/14(火) 22:28:48.37 ID:8lK86C+1o
志希「ばか……ざこ……ざこ……!」メソメソ!

ぎゅうっ!

武内P「……」

ナデナデ…


美嘉・奏「……」


志希「ざこ……! どっちもざこ……!」メソメソ!

志希「ピンクのほうは、とくにざこ……!」メソメソ!


美嘉「……! いや、腹立つんですケド!?」

奏「美嘉、子供の言ってる事だと思ってっぷふぅっ!」

美嘉「……」

奏「……気にしちゃ駄目よ」

美嘉「アンタのその笑いが気になったケドね!?」

223: 2019/05/14(火) 22:36:15.92 ID:8lK86C+1o
武内P「……人に、ひどい事を言ってはいけません」

志希「……でも、あいつらざこ……ぐすっ!」

武内P「ひどい事を言われたら、悲しい気持ちになってしまいます」

志希「……ぐすっ!」

武内P「貴女は、人を悲しい気持ちにさせたいですか?」

志希「……ひっく」フルフル!

武内P「……ならば、頭の良い貴女ならば――わかりますね?」

志希「……ひどいこと、いわない」

武内P「はい」ニコリ!

志希「……」

ぎゅうっ!


美嘉・奏「……」

224: 2019/05/14(火) 22:39:04.17 ID:8lK86C+1o
武内P「彼女達に言うことは……ありませんか?」

志希「……」

武内P「……」

志希「……ある」

武内P「はい」

志希「……」


志希「……ごめんなさい」


美嘉・奏「……」


志希「……!」

ぎゅうっ!

武内P「とても、良いごめんなさいでした」

225: 2019/05/14(火) 22:45:00.16 ID:8lK86C+1o
  ・  ・  ・

武内P「――そして、注文したピザが来て」

武内P「私が、貴女に食べさせていると……」

武内P「……味が足りない、と言い出しまして」

武内P「タバスコをたっぷりとかけたピザを食べた途端……」

武内P「……元に戻った、と」


志希「にゃはははは♪」

志希「全然覚えてな~い♪」


武内P「そう……ですか」


美嘉・奏「……」

226: 2019/05/14(火) 22:49:14.44 ID:8lK86C+1o
美嘉「……」

スッ…

志希「んー? どうしたの美嘉ちゃん?」

奏「……」

たぷたぷ…

志希「? ケータイを操作して……動画?」


志希『……ごめんなさい』


志希「……」

美嘉・奏「……」

志希「いや……覚えてないし……消そ?」


美嘉・奏「……ごめんなさい」


志希・美嘉・奏「……」

227: 2019/05/14(火) 22:57:06.84 ID:8lK86C+1o
志希「志希ちゃん、そういうのはちょっと……ホント」

美嘉「ん!」

志希「いや……ん、じゃなくて……」

奏「……えへへ♪」

志希「……」


美嘉・奏「……」

―ダッ!


志希「消してってぇ――っ! お願い、プリ――ズ!」

志希「そういうのホント駄目なんだってぇ――っ!///」

―ダッ!


ガチャッ! ダダダダダッ…!


武内P「……」

228: 2019/05/14(火) 23:04:33.60 ID:8lK86C+1o
武内P「あの様子なら……大丈夫そう、ですね」

武内P「……」

武内P「今日は……残業確定、ですね」

武内P「しかし、何とかなって良かっ――」


周子「――ねえ、フレちゃん来なかった!?」


武内P「っ……塩見さん?」

武内P「あの……宮本さんが、何か?」


周子「ちょっと休むって言うから、医務室のベッドで横になって……!」

周子「あたしも、お昼寝しようかと寝てる間に……」

周子「……居なくなってたんだよ!」


武内P「……あの」

武内P「付き添いで行った塩見さんが寝る理由は、無かったのでは……!?」

229: 2019/05/14(火) 23:12:58.88 ID:8lK86C+1o
武内P「……今日は、帰られたのでは?」

周子「そんな事無いって!」

武内P「あの……何故、言い切れるのでしょうか?」

周子「フレちゃん、なんか甘えん坊さんになってたから!」

武内P「……えっ?」



「――やめっ……やめなさい、宮本フレデリカ!」

「何故、私にエナドリをかけ……うぐうっ、目に! 目がっ!」

「君は、クローネとしての自覚がっふぉい!? ゴホッゴホッ!?」

「てっ、的確に喉を狙ゴーッホッ! ゲホッガホッ!?」



武内P「……この声は」

周子「……どうするの?」

武内P「……」

230: 2019/05/14(火) 23:24:01.97 ID:8lK86C+1o
武内P「……助けに行きます」

周子「でも、物凄く大変そうな状況だけど?」


武内P「――しかし、その前に」

武内P「宮本さんが、どういった様子だったか……」

武内P「……教えて頂けますか?」


周子「……えっ、今?」

武内P「はい、今です」



「だ……誰か! 誰かぁ――ッ!」



周子「……めっちゃ叫んでるけど?」

武内P「はい、聞こえています」

231: 2019/05/14(火) 23:31:21.94 ID:8lK86C+1o
武内P「幸い、宮本さんに危険はなさそうなので」

周子「不幸中の幸いってレベルだけど」

武内P「状況を把握しておく事が、何より重要かと」

周子「……ま、確かにそうかもねー」



「助け……早く! 早ぁ――くっ! また目ぇっ!?」



武内P「私は……そこまで有能では、ありませんから」

周子「そう? 何とかなると思うけどなー」

武内P「そう言って頂けるのはありがたいですが……」


武内P「紙一重の差で助けることが出来ない、と」


武内P「……そういう事にしておいて下さい」




おわり

引用元: 武内P「援助交際、ですか」