514: 2011/05/09(月) 21:40:46.67 ID:9OH5HvL40

梓「おし○こ我慢大会ですか……」【前編】

【屋上】


梓「もうすぐ日没だ……」

憂「さすがに日が暮れると戦闘はおさまるだろうね」

梓「そうあってほしいけど……」

律「大丈夫大丈夫。どっちみち私らはここに陣取ってる限りなにもありゃしないさ」

唯「そうだよね。で、あと何人くらい残ってるんだろうね」ムシャムシャ

澪「さぁ。だけど長くてもあと二日ほどで終わるだろうな。食料だって限りがある」モグモグ

純「いやーしかしやっかいなことになりましたよね」モグモグ

純「ほんとに8人になるま高校を出られないなら……」ムシャムシャ

純「シューターでやられる前にみんなお腹すいて倒れちゃいますよ」ガツガツガツガツ

梓「……」

憂「純ちゃん……だからこうして食料を囲い込んだんだよ」

純「えっ」

唯「空腹で自滅してくれるなら撃たなくてすむしねー弾をどれだけ確保できるかもわかんないし」
けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
516: 2011/05/09(月) 21:46:03.54 ID:9OH5HvL40

梓「飲み物なら水道水がありますけど」

澪「私水道水飲むとお腹壊すんだ」

律「あー、わかる。なんか学校の水ってまずいよな」

梓「そうなんですか」

唯「いい物食べていい物飲んだら、特上のおし○こがでるんだよ」

憂「栄養バランスも火力に関係してくるしね」

梓「とりあえず明日に備えて寝ましょうか」

律「んじゃ見張りは順番交代ってことで」

純「わかりましたおやすみなさい! zzz」

憂「じゅ、純ちゃん……」

梓「ちょっと純、あんたほんとここでリタイアさせてあげようか」

唯「zzzz」

憂「お姉ちゃんまで……」

澪「わかった、みんな先寝ていいぞ。最初の2時間は私と律が担当する」

律「えー」

517: 2011/05/09(月) 21:50:34.92 ID:9OH5HvL40
一時間後


澪「……」

律「……ふぁ~あ」


梓「すぴー、すぴーzzz」

純「ぐごごごご……zzz」

憂「すぅすぅ」

唯「んぐー……ぐごー……zzz」


律「……ムギのやつ、どうしてっかな」

澪「さぁ? 元気に暴れまわってるんじゃないか」

律「ちょっと偵察いってきていい?」

澪「何言ってるんだ。電気なんてついてないから真っ暗だぞ」

律「闇討ちは私らの得意分野じゃん」

澪「……だめだ。お前はここに残って階段の見張り」

律「ちぇっ」

520: 2011/05/09(月) 21:56:12.53 ID:9OH5HvL40

律「……」

澪「……」

律「……あのさ」

澪「?」

律「もう……一年も立つんだな」

澪「あぁ……」

律「はじめて人を撃ったとき、澪はどうだった」

澪「……別に」

律「泣いた?」

澪「別に!」

律「そっか」

澪「律こそどうなんだ」

律「あー、私は……泣いたのかもな、あと結構その後ひきずった」

澪「……ふーん」

律「梓は強いよ。今日がはじめてだってのに、全く心が折れてない」

521: 2011/05/09(月) 21:59:53.00 ID:9OH5HvL40

澪「梓か……強敵になるかもな」

律「本戦、どんなルールだと思う?」

澪「去年は……32人でトーナメントしたよな」

律「私二戦目敗退だった」

澪「私も」

律「唯が準決勝敗退だっけ」

澪「それでも……去年と今年じゃ全然違う」

律「あぁ……賞金額だって10倍だ!」

澪「だからその分、油断はできないな」

律「澪は考えすぎじゃないか?」

澪「どうだろ、とりあえずおし○こしてくる」

律「ん」

522: 2011/05/09(月) 22:05:47.25 ID:9OH5HvL40

澪「……ん、でそう……」

チョロ、チョロロロロ

澪「……暗くて色がよくわからないな」

澪「エリザベス、私のおし○こおいしいか?」

澪「うん澪ちゃんおいしいよ(裏声)」

澪「はは、そっか。明日も頑張ろうな」

澪「……よし!」


和「変わった趣味してるのね」

澪「!!」

和「大丈夫よ。他言はしないから。こんなの知られたら『闇を照らす凶星』の名折れだものね」

澪「和! どうしてここに!」

和「そんなにあからさまに警戒しないで頂戴。傷つくわ。ただ仲間にいれてほしくて来たの」

澪「律はどうした!! あいつが階段の見張りをしてたはず!!」

和「……寝てるんだけど」

528: 2011/05/09(月) 22:13:09.71 ID:9OH5HvL40

律「ぐごー……」

澪「り、りつ……こんな局面で眠気に負けるなよ!」

和「で、私もここに居ていいかしら?」

澪「……和は、ムギと交戦したか?」

和「ええ。生徒会の仲間がほとんどやられちゃったわ」

澪「……」

和「だめかしら」

澪「いや……拒む理由はないけど……」

和「先に言っとくわね。私の目的は優勝して弟たちの学費を捻出すること」

澪「!」

和「だからこんなところで落ちるわけにはいかないの」

澪「ここにきたということは……やはりムギがネックなのか」

和「そうね。それに四方八方敵だらけ。さすがに参ったわ」

澪「わかった。そのかわり協力もしてもらう」

和「当然ね。あくまで一時的な協定」

529: 2011/05/09(月) 22:17:42.48 ID:9OH5HvL40

澪「わかった。じゃあ引き続き私と見張り番だ」

和「いいわよ。私たち以外にまともに見張りができそうな子なんてほかにいなさそうだし」

澪「……」

唯「ぐごーーー」

律「ぐーぐー」

梓「にゃむにゃむ……」

憂「すぅすぅ」

純「ずぴーーー」


澪「えっと……二人で交代してやろうか」

和「……そうね」



……


532: 2011/05/09(月) 22:24:25.53 ID:9OH5HvL40


 おかしな夢をみたような気がする。

 確か、私は唯先輩とシューター……いやシューターではないかもしれない何かを構えた状態で向き合っていて、

 ただひたすらに喉がカラカラだった。

 唯先輩の表情はわからない。その場所がどこだったかもわからない。

 けどひどく印象的だったのは、そのあとすごく身体が熱くなったということだ。
 


唯「おきようよー、あずにゃーん。朝だよぉー」

梓「……すー」

唯「ねー、りっちゃんもう偵察いったよー。私たちもいこー?」ユサユサ

梓「ん……あ、おはようございます」

唯「もう、あずにゃんったら寝すぎー」

梓「す、すいません……昨日はとても疲れてて」

唯「かもねー、あ、おはよう♪」ギュウ

梓「んにゃ……!? もう」

534: 2011/05/09(月) 22:29:45.18 ID:9OH5HvL40

梓「唯先輩よく眠れました?」

唯「ちょっと寒かったけど疲れはとれたよ! あ!あずにゃん抱いて寝たらよかったかな!」

梓「冗談はほどほどに、今日のプランはどうなってるんですか」

和「律と澪が偵察からもどったら、一度校内の数を減らしに戦力を半分動員するわ」

梓「わ! 和先輩!」

和「みんな同じ反応するのね。悲しいわ」

梓「ごめんなさい……」

純「よし! 今日も私がんばっちゃおうかなー」

梓「……が、がんばってね。で、みなさん弾とか大丈夫ですか?」

唯「まぁこんだけあれば。あとは飲み物のんでなんとか継ぎ足していくしかないね」

憂「梓ちゃんは?」

梓「私は大丈夫。ほら、私ってトイレ近いでしょ? ちょっと飲むだけですぐおし○こでる」

唯「ふーん便利だね。でもおもらししないでね?」

梓「しませんし!!」

537: 2011/05/09(月) 22:35:22.69 ID:9OH5HvL40

ガチャ

律「うーっす帰還!」

唯「あ、りっちゃんたちもう戻ってきた」

澪「少しだけ数減らしてきた」

和「あと何人いるかわかる?」

澪「どうだろう……倒れてる人の数から判断すると、もう100人きってるんじゃないかな」

純「たった一日で500人が100人までへっちゃったんですか?」

梓「ムギ先輩がけっこう減らしてくれてそうですね……」

唯「と憂……」

憂「えへへ。今日もがんばるよ」

律「とりあえず朝飯くったら行動開始だ」

澪「部隊分けは、ここに残るのが私と和、それと純ちゃんと憂ちゃん」

梓「えっ、私と唯先輩と律先輩の三人が掃討部隊ですか?」

澪「憂ちゃんはストックの弾がもうすこし貯まるまで待機だ」

律「私は一応白兵戦向きだからなー、ここで留守番よりあってるかも」

538: 2011/05/09(月) 22:40:14.52 ID:9OH5HvL40

澪「私はここから援護、といいたいところだけどさすがに向こう側の校舎をつかう人は昨日一日でいなくなったな」

唯「あっちの廊下は澪ちゃんに狙われ放題だもんねー」

律「校庭もほとんど姿がみえないってことは」

梓「のこりは私たちの階下、もしくはプールとかですか」

和「どこへ行くとしても交戦は避けられないわね」

純「もっとみんなして潰しあってくれませんかねー」

憂「とりあえずお姉ちゃんがんばってね」

唯「うん! 良い報告をまってなさい!」

梓「やってやるです!!」

律「よし! ここは任せたぞ澪!和!憂ちゃん!鈴木さん!」

純「違います鈴木です! あ、鈴木であってましたがんばってください」




……



540: 2011/05/09(月) 22:46:40.23 ID:9OH5HvL40


【3階】


唯「うぅ……ひどい臭い」

律「ここでも激しい戦いがあったみたいだな」

梓「床がびしょびしょです」

唯「またムギちゃんかな……」

律「さすがに三対一なら勝てる……よな?」

梓「ムギ先輩は昨日の段階でかなりストックも消費してるはずです」

唯「だけど油断はできないよ。一体何を隠し持ってるかわかったもんじゃないからね」

梓「ですね。機能も隠し武器に苦戦させられましたし」

律「くそームギが仲間だったらもっと楽にすすめられたのにな」

唯「あ、なんかムギちゃんの話してたらお茶のみたくなってきた、ムギちゃーんお茶いれて~なんつて」


紬「呼んだ?」


唯「!!」

542: 2011/05/09(月) 22:52:01.71 ID:9OH5HvL40

梓「ま、また神出鬼没な!」

律「おいムギぃ! お前なんで私たちも攻撃してくるんだよ!!」

紬「ごめんなさい。でもしかたないの」

唯「いいよりっちゃん。理由はひとそれぞれ」

律「ま、まぁそうだけどさ……」

紬「……」

梓「ムギ先輩……私も一つ聞きたいことがあります」

紬「なぁに?」

梓「ムギ先輩のシューターは……なんというか独特ですよね。私たちのとはベースから違うというか」

紬「!」

律「あ! さてはムギ違法改造だな!」

紬「ち、違うわ! ちゃんと申請を出してクリアしてるもの!」

唯「なんでもいいよ。で、戦う? こっちは三人だけど」

紬「ううん。唯ちゃんたちとは本戦で戦うことにするわ」

梓「えっ」

544: 2011/05/09(月) 22:56:27.87 ID:9OH5HvL40

紬「もうだいぶ数も絞れたしね、あともう人踏ん張りで本戦だもん」

紬「ここで唯ちゃんたちとやりあって共倒れになるのは得策じゃないの」

唯「……だね」

紬「これから私は階下を殲滅するわ。だから唯ちゃんたちにはこのフロアをお願いしていい?」

律「おいおい、一人で行く気かムギ」

紬「うん。私なら大丈夫」

律「つってもなー」

紬「私が倒れたら倒れたでりっちゃん達は嬉しいんじゃないの?」

律「それは……そうかもしんないけど、なんだかなー」

梓「ガンマン精神に反するってやつですか?」

律「あ、そうそうそれ。なんか気持ち悪いんだよ。人の力に頼って勝ち残るのって!」

梓(純に聞かせてやりたい……)

唯「じゃありっちゃんはムギちゃんと一緒にいって!」

梓「私と唯先輩がこのフロア頑張りますので」

律「……おっけ! いくぞムギ! あんまり乱射して私にあてんなよ!」

547: 2011/05/09(月) 23:04:41.87 ID:9OH5HvL40

紬「うふふ~、初めての共闘よ~」

唯「じゃあいくよあずにゃん!」

梓「はい!」


 

……



 精神を集中。慣れたもんだ。

 シューターと体を一体化することさえうまくいけば、昨日の力をいつでも引き出せる。

 これならきっと信代先輩みたいな例外をのぞけば一発でKOできるだろう。

 まだ唯先輩ほど切り替えはうまくいかないけど、それでも手に余る力だ。

 本当にこんな力を一介の学生である私がつかっていいのだろうか。 

 
 思いを巡らせながら、私は見つけた敵を次々と撃ち倒していく。

 高揚感の中にある一抹の不安。反動が脳髄までいちいち響き渡るようだった。

 

551: 2011/05/09(月) 23:25:18.21 ID:9OH5HvL40


唯「えーい! ばーん!」

梓「……」バシュッ バシュッ

唯「あずにゃん、もっと元気よくいきましょう!」

梓「といってもですね。人を撃ってその元気はどうかとおもいますよ」

唯「そっかなー。ばーーん!!」

梓「もうそろそろこのフロアは終わりそうですね。律先輩たちと合流しましょうか」

唯「だね」

梓「……」

唯「なに? 私の顔になんかついてる? は! まさか返り尿でべったりとか!?」

梓「い、いえ……唯先輩はほんと元気でなによりですねって……」

唯「えへ♪」


 『唯ちゃんには気をつけて』

 あの言葉がずっとひっかかっている。たしかに唯先輩と本戦でぶつかることになったら、私にとってはかなりの壁になるだろう。

 しかし、それ以外の意味も孕んでいるのではないのか……先程の唯先輩を見ていると、そう思えてしかたなかった。

552: 2011/05/09(月) 23:34:01.67 ID:9OH5HvL40


……


律「っしゃあ! ラスト! いただきぃ!」

参加「きゃああああぅ」バタリ

紬「はぁ……はぁ。すっかり弾切れだわ……」

律「……これで終わったか!?」


唯「おーい! りっちゃーん、ムギちゃーん!」

律「お、唯に梓! そっちも終わったんだな!」

唯「うん! これで残ったのは」

梓「けいおん部の五人と憂、純、和先輩のはず……です」

唯「やったー!」


ピンポンパンポーン


梓「!」

555: 2011/05/09(月) 23:39:47.86 ID:9OH5HvL40


  『まずはおつかれと言っておく。そしておめでとう』


律「ちきしょー! 高見の見物かよ」

唯「ねぇどこから放送してるの!」

梓「放送室にも職員室にもそれらしい人はいませんでしたしね」


 『まずは全員講堂へと集まってもらおう』

 『そこで本戦の説明を待て』ブツン


梓「……本戦か」

唯「ついにだね」

律「……いやいや、今回ははえーって」

唯「たしかに去年みたいにいろんな競技を何度もやらされるよりかは早かったけど」

梓「こんなの横暴です!」

紬「……とにかくいきましょう?」

梓「ですね。澪先輩たちもきっとむかってるはずです」

556: 2011/05/09(月) 23:46:45.48 ID:9OH5HvL40

【講堂】


唯「やっほーきたよー」

律「ふー疲れた疲れたー、どっこいしょっと」

紬「もうへとへと」ガシャン

澪「おつかれ。ムギも一緒だったか」

和「……」

憂「……」

唯「ムギちゃんを睨んじゃだめだよ。戦いだったんだから仕方ないよ」

梓「そうですよ。もうめちゃくちゃな潰し合いはおしまいなんですから」


「そのとおり!」


唯「だれ!?」

律「舞台の上だ!」

梓「あなたは!!」

560: 2011/05/09(月) 23:56:50.42 ID:9OH5HvL40

さわ子「みんなお疲れ様ー」

律「なんださわちゃんか」

唯「わーさわちゃーん」

さわ子「なんだって何よ」

和「あの、なぜ先生が……」

さわ子「まぁいいじゃない。追々説明するわね」

梓「先生も、なにか関係してるんですか?」

さわ子「そうね、大会の運営に関わってるわよ。だってこの学校の教師だもん」

律「でさぁさわちゃん。なんで今回は予選からこんなにえぐい戦いだったんだ?」

さわ子「それに関してだけど……謝らなきゃいけないことがあるの」

律「え?」

和「……これは実は予選ではない。ですよね?」

さわ子「ご名答。さすが生徒会長ね」

唯「どどど、どういうこと!?」

律「だましたのかよ!」

561: 2011/05/10(火) 00:01:06.30 ID:GnS3XZev0

澪「じゃあ優勝賞金ってのは……嘘?」

さわ子「大丈夫よ。総額をみんなで山分けしなさい」

律「……そっか」ホッ

唯「じゃあみんな優勝!? やったー!」

さわ子「と、浮かれる前に」

梓「?」

さわ子「賞金はまだだせないわ。その前にやってほしいことがあるの」

唯「ほえ?」

さわ子「これからあなたたち8人はヘリに乗ってとある島へ移動してもらうわ」

純「島!?」

唯「なにするの? バカンス?」

さわ子「ま、そんなところね」

紬「……」

さわ子「校庭までもう迎えにきてるはずよ」

紬「質問があります」

564: 2011/05/10(火) 00:09:31.96 ID:GnS3XZev0

さわ子「なに?」

紬「私たちが倒しちゃった人たちは……」

さわ子「大丈夫よ。ちゃんと治療班がいるから」

紬「良かった……」

律「自分が一番めちゃくちゃやっといてそれかよ」

澪「まぁ参加者も危険は承知できてるんだ。しかたないだろ」

純「実力の世界ですもんね。弱い方がわるい!」

唯「そゆこと~」


さわ子「さぁヘリに乗りに行くわよ」

梓「私ヘリコプターはじめてです」

唯「すっごく高いとこ飛ぶんだよ! 怖くておし○こ漏らしちゃだめだよ?」

梓「もらしませんし」


568: 2011/05/10(火) 00:19:07.37 ID:GnS3XZev0


 二日間における戦いは意外にもあっけない形で終わった。

 こんなあっというまに大会が終わるとは思ってなかったので、すこし拍子抜けだ。

 それでもかなり疲れがでたのか、何人かは座席でうとうとしている。
 
 唯先輩と私は律先輩の事情をきいて、優勝賞金の一部を手術のお金として提供することを決めた。

 感謝しきれない、と何度も頭をさげられてしまった。

 
 これから私たちはどんな島へ連れていかれるのだろうか。
 
 やってほしいこととはなんだろうか。

 期待と不安を胸に、私はそっとまぶたを閉じた。



唯「んみゅ……あずにゃ……zzz」

梓「……zzzz」



第20話『大会終了』

574: 2011/05/10(火) 00:36:05.86 ID:GnS3XZev0


【とある島】


律「おお! 唯! ビーチがあるぞ!!」

唯「わぁ~! 綺麗な海~!」

梓「に不釣合いな建物が……」


 ヘリで上空から見た感じだと島は直径3kmも無いだろう。

 海に囲まれ、自然の多いのどかな島だ。

 しかし、その中央にはどう考えてもそぐわない巨大な灰色の建物が群居している。


梓「あの……ここは?」

さわ子「とりあえずヘリポートに降りるわね」


 一行をのせたヘリはポートのある建物を目指して飛ぶ。

 あれが別荘で、ここで季節外れの合宿をする……というわけではなさそうだ。

 不安が胸をよぎる。まわりは海や森の美しさに魅せられ、完全に浮かれきっているようだ

580: 2011/05/10(火) 00:42:38.77 ID:GnS3XZev0


さわ子「さぁ降りて! 私についてきなさい!」

澪「先生、ここは……」

さわ子「質問はあとあと!」

唯「アイスたべたい」

梓「しりませんよ」

純「うひょー! なんかセレブになった気分」

憂「このおっきな建物はなんなんだろうね」

律「とにかく中はいろーぜぃ!」

紬「……」キョロキョロ

和「どうしたの?キョロキョロして。落し物でもした?」

紬「え、ううん……ただ、豊かな自然を眺めてただけ」

和「そ。ならいいけど」

憂「なんか眠気がとれないな……」

唯「私も~、早くベッドで寝たいよー」

582: 2011/05/10(火) 00:50:14.48 ID:GnS3XZev0


【F号棟内】

ホール


梓「中も広いんですね」

唯「たくさんテレビがあるね」

律「テレビじゃなくてパソコンだろー?」

澪「先生。いい加減話してくれませんか?」

さわ子「……そうね。じゃあ話さしてもらおうかしら」

唯「ほえー」

さわ子「あなたたちをココに連れてきた理由。それはね」

さわ子「みんなシューターをだしてくれる?」

澪「えっ」

さわ子「ここは、シューターをはじめとするありとあらゆるおもちゃを研究する巨大施設なの」

さわ子「と、これはタカラ◯ミー社の秘密なんだけど」

さわ子「実はあなたたちのシューターにはそれぞれ小さなメモリーカードが入っているのよ」

584: 2011/05/10(火) 00:58:29.10 ID:GnS3XZev0

梓「メモリーカード?」

さわ子「そう。すべてのシューターに入っているわ」

律「なんのために?」

さわ子「シューターをシューターたらしめるため。情報を記憶してるの」

さわ子「そして使用者のおし○この質とかを一瞬で解析して反映するのよ。読み取り機っていったほうがいいかしら」

唯「わぁ! 高性能なんだね!」

憂「でもそんなの全然しりませんでした」

さわ子「言ったでしょ。企業秘密だって」

梓「で、それを回収するんですね。私たちの個人情報がたんまりつまったカードを」

さわ子「正解! 強いガンマンのデータを集めて次の商品開発の参考にするってわけ」

さわ子「わざわざこんなところまで連れてきてごめんね。ここでしかそのメモリーカードは開発してないの」

さわ子「けど学校でシューターだけ回収なんていってもあなたたちは納得しないでしょ?」

さわ子「だってあなたたちが手に持つそれはもはや体の一部も同然だものね?」

唯「だね!」

586: 2011/05/10(火) 01:04:59.75 ID:GnS3XZev0

さわ子「渡してくれる?」

律「まぁ私の情報を渡すだけで賞金がもらえるなら全然かまわないけど」

澪「そうだな」

純「いいですよー」

さわ子「それじゃあこの箱にシューターをいれてくれる? 取り外すにも特殊な装置がいるからシューターごと持って行くわ」

憂「後で戻ってくるんですよね?」

さわ子「それはもちろん。解析が終わりしだい解散よ。それまではここでバケーションでも楽しみなさい」

憂「そういうことなら。どうぞ」ガコン

律「ういっと!」ガコン

唯「ほいほい。また後でねシュー太」ガコン

純「最強ガンマンの私の情報をよりよい商品開発に役立ててください!」ガコン

和「私のデータなんて役に立つのかしら」ガコン

澪「エリザべス……しばしのお別れだ」ガコン

梓「……どうぞ」ガコン

592: 2011/05/10(火) 01:10:35.04 ID:GnS3XZev0

紬「……あの、私は」

さわ子「ムギちゃんは……そうねぇ」

紬「これ全部外せばいいですか……?」

さわ子「じゃあ特別についてきてもらおっか」

紬「……」

唯「えー、ムギちゃんいいなー」

律「それより遊びにいこうぜ!」

さわ子「今日はもう遅いから明日にしなさい」

澪「そうだぞ」

梓「あの、寝るところはあるんですか?」

さわ子「ちゃんと個室を用意しているわ。ご飯もすぐもっていくわね」

純「やった! お腹ぺこぺこ!」

梓「はぁ、これでやっとゆっくりできる~」

唯「何をいってるあずにゃん! 今夜はトランプ大会だよ!」

梓「えー……さっき眠いっていってたじゃないですか……」

598: 2011/05/10(火) 01:22:41.28 ID:GnS3XZev0





律「よっしゃあ! いちぬけた!」

唯「えーりっちゃん今私の手札みてたでしょー!」

律「んなわけねー」

澪「やれやれ、ババ抜きごときでムキになるなんて」

憂「お姉ちゃんは負けず嫌いだから」

梓「それより、ムギ先輩おそくないですか?」

純「そういえば晩ご飯もきませんでしたね」

唯「きっとあの金ピカのを全部外すのに手こずってるんだよ」

律「なーんか改造しまくってたっぽいしな。」

澪「そもそもアレってシューターなのか?」

梓「シューターらしいですよ。全部でいくつ使ってるかはしりませんけど」

唯「いまごろムギちゃんはさわちゃんに脱がせ脱がせいやーんな感じになってるの!?」

梓「装甲外すプレイってどんなんですか」

601: 2011/05/10(火) 01:28:34.76 ID:GnS3XZev0

律「まってても仕方ないしもう寝るか」

憂「そうですね。なんだかんだで10時まわってますし」

澪「明日は早起きして海いきたいな」

律「でも水着もってねー」

純「この時期もう寒くないですか?」

澪「いや泳ぐんじゃなくてその……な!」

唯「作詞だね! かっこいー!」

梓「てか最近練習全然してませんし、ギターの存在すら忘れてました」

律「あの音楽狂の梓ですら虜になるおし○こシューター……バカ売れして当然だな」

梓「ですね……もっと早く知りたかったです」

唯「学校には持ってきちゃだめって決まりだったからねー」

梓「あの日は持ってきてたじゃないですか」

唯「いやー、学校帰りにおばあちゃんとこでメンテしてもらったほうが楽だからさー」

和「もうみんな寝なさい。疲れてるでしょ。特に唯と梓ちゃん」

梓「はい。じゃあ私部屋もどります」

603: 2011/05/10(火) 01:34:13.51 ID:GnS3XZev0

唯「あずにゃん一緒に寝ようよ~~」

梓「えぇ……」

憂「お姉ちゃん私じゃだめなの!?」

唯「いやー、あずにゃんとちょっとおし○こシューターについて色々語りあいたいからね」

唯「なんせ私とあずにゃんはいわば師弟関係にあるから!」

梓「まぁ……いいですけど。夜更かしはヤですよ?」

律「ああ~ん、じゃあ澪たんは私とぉ~」

澪「うるさい」ゴチン

律「ひどい゙っ」

純「あはは、みなさん浮かれすぎですよ。ガンマンたるものいかなる場面でも冷静に振舞わなくては」

憂「そういえば純ちゃんってほぼ何もしてないのにたくさんお金手にはいるんだよね」

純「えへっ! 役得だね! も、もちろん律先輩にいくらか渡しますけど!!」

和「それじゃあみんなおやすみ。お疲れさま」

唯「おやすみ~~!」

梓「おやすみなさいです」

607: 2011/05/10(火) 01:41:52.56 ID:GnS3XZev0

【梓の使用する部屋】


唯「ねぇあずにゃん。電気消すよ?」

梓「はい」

唯「それではお隣りお邪魔しま~す」モゾモゾ

梓「むぐ……もっとそっと寄ってください」

唯「ここからは私とあずにゃんだけの秘密の時間!」

梓「そういうのいいんで」

唯「えー。冷たいなぁ」

梓「唯先輩はどうしてシューターに興味をもったんですか?」

唯「んー、おばあちゃんにすすめられた。流行ってるから唯ちゃんもやってみない?って」

梓「おばあちゃんってあのホビーショップの?」

唯「うん! どうも私才能があるみたいで~でへへ」

梓「そうですね。唯先輩は正直強いと思いますよ」

唯「あずにゃんの師匠だもん! 当然当然!」

608: 2011/05/10(火) 01:47:09.23 ID:GnS3XZev0

梓「もし本戦があったとしたら、私唯先輩と戦ってたんですかね」

唯「どうかなー、トーナメントならあずにゃん勝ち上がってこれる?」

梓「うーん……純にしか勝てそうにないです」

唯「だよねぇ……やっぱ経験の差っておおきいよ」

梓「でもほんとにシューターに出会えてよかったです」

唯「たのしい?」

梓「やみつきですね。とくにトリガーを引く瞬間とか、的に当てたときの興奮とか」

唯「人を撃つのは?」

梓「それはちょっと……うーん」

唯「あずにゃんはいい子だね」ナデナデ

梓「もうっ。やめてください……子供じゃないんだから」

唯「はいはい。ごめんね、さぁ寝ようか」

梓「はい……おやすみなさい……唯先輩」

唯「おやすみ……」


610: 2011/05/10(火) 01:54:41.82 ID:GnS3XZev0


 モゾモゾ ガサガサ


 んっ。なんだろう……。


唯「……」


 あ、唯先輩……こんな時間にトイレかな?

 
唯「……」


 どうしたんだろう。なんだか歩き方が変だ。

 妙にキリっとしてるというか。らしくない。


唯「……」

ガチャン

 でていっちゃった……。まぁいいかすぐ戻ってくるでしょ。寝よ。


 そう思い再び目を瞑ろうとしたした瞬間、夜の闇を破るけたたましいサイレンの音が建物中に響き渡った。 

616: 2011/05/10(火) 02:01:57.44 ID:GnS3XZev0

梓「なに!? なんなの!」
 
 すぐに飛び起きる。

 背汗がすごい。

 ここ最近ずっと感じていた言い表わせない嫌な感じ。

 予感が現実となったような、そんな恐怖が体中を駆け巡る。


梓「唯先輩……もどってこない!?」

梓「唯先輩!」


 着の身着のままドアを開け外へでる。

 そしてすぐさま窓越しに飛び込んできた景色に私は思わず肝を冷やした。

 
 真夜中を照らす赤い光、火事だ。

 隣の棟から火の手が上がっている。それも尋常じゃない勢いで。

 隣の棟……そう、そこはF号棟。私たちがシューターを預けた場所だった。

 どうしよう、どうしよう。頭がうまく働かない。そういえば、唯先輩は!? 

620: 2011/05/10(火) 02:07:33.75 ID:GnS3XZev0

梓「唯先輩! どこ行ったんですか!」

 
 唯先輩のすぐ後に飛び出したはずなのにもう姿が見えない。

 どこ……どこへ行ったの?

 とにかく私も避難しなくては、あの火の勢いだ、ここも直に……そういえば澪先輩達は……。

 
梓「澪先輩! 律先輩! 火事です! 起きてください!」ドンドン 

 
 しかし中から返事はない。

 こんなに大きな音でカンカンとサイレンが鳴り響いているのにまだ寝ているとは考えにくい。

 一体何が起きているの。

 どうして私はひとりなの。


梓「あ……ムギ先輩とさわ子先生は……もしかして隣の建物にいるのかも……」


 想像しただけで血の気がひいた。

626: 2011/05/10(火) 02:12:20.88 ID:GnS3XZev0


梓「助けに……いかなきゃ」


 逃げ遅れているかもしれない。

 危険かもしれないが、ここは絶海の孤島。外から消防隊が助けがくることはない。


 それに、シューターも気がかりであった。

 あれは短い間とはいえ、私と苦楽を共にした大事な大事なものなのだ。


梓「いこう……確か連絡橋は二階だったよね……」


 
 小走りで真っ暗な廊下を駆けていく。 

 相変わらず唯先輩どころか人の気配すらしない。

 なんとも不気味な建物だ。



梓「唯先輩……ムギ先輩……!!」


629: 2011/05/10(火) 02:17:34.39 ID:GnS3XZev0

梓「……ハァ、はぁ」

 非常時にエレベーターは動かないようになっているらしい。
 
 階段を駆け下り、二階連絡橋に到達。

 すでにこちらまで少し煙がかかっているが、向こう側へと一気に走って渡り切る。


梓「けほっ……大丈夫。まだ火はここまで来てない」


 
 たどりついたF号棟のホールで、

 私はここ数日ですっかり見慣れた、金色の悪魔と再開した。



634: 2011/05/10(火) 02:25:44.86 ID:GnS3XZev0


梓「ム、ムギ先輩……?」


 信じたくはなかったが、この火災の原因は彼女だった。

 狂ったように四方八方にフルバーストで尿弾をばらまき続けている。

 火力も尋常ではない。

 パソコンのモニターや、よくわからない機械達を容赦なく撃ちぬき、爆発炎上。

 煙ごしに破壊の限りをつくす彼女の姿は、高校でやり合ったときとは比べものにならないくらい恐ろしく、凶悪に映った。

 
梓「ムギ先輩……何、やってるんですか……?」


 私が呼びかけてもまるで気にすることなく砲撃を続ける。


梓「ムギ先輩!! 火事なんです! わからないんですか!!」


 ようやく声が届いたのか、彼女は視線だけをこちらに送ってきた。

 怒りと憎悪にまみれた鋭い視線。

 それだけで背筋が凍りついた。

637: 2011/05/10(火) 02:33:23.65 ID:GnS3XZev0
 
紬「梓ちゃん……」

梓「ムギ先輩! どうしてこんなことを!」

紬「梓ちゃん……平気?」

梓「はっ?」

紬「よかった……」

梓「な、なんのことですか!」

紬「いまは詳しく説明してる時間はないの! 早くここを破壊して!!」

梓「えっ、えっ!」

紬「あ! 梓ちゃん後ろ!!!」


 とっさに振り向いた。
 
 煙で良く見えないが連絡橋の真ん中に人の影がある。しかしシルエットだけでわかる。

 それは間違いなく、私が探していたあの人。

 手になにか持っている。なんだろう。シューターみたいな……。


 突然小さくフラッシュ。直後、腹部にとても熱いものを感じた。

640: 2011/05/10(火) 02:39:36.70 ID:GnS3XZev0


梓「うっ……なっ」

紬「梓ちゃん!!」

梓「ど、どうして……」

唯「少し外しちゃった」

梓「唯先輩!! なんで!」

唯「あずにゃんは失敗作だからね」

梓「失敗作!? なんのことです!」

和「完璧なガンマンにはなれなかったってこと」

梓「和先輩!」

 
 唯先輩のさらに後ろから現れた和先輩。

 もちろん手にはシューターを構えている。

 しかし唯先輩のも和先輩のも見慣れた型とはちがい、フレームからバレルまで全ておかしな形をしている。


梓「どういう……ことです」

645: 2011/05/10(火) 02:45:50.68 ID:GnS3XZev0


 たずねる以外、何も言葉がでてこない。

 お腹の横をかすめた怪我の痛みが全身を駆け登ってくる。

 しまった。今私、丸腰だ……。

 このまま二人に撃たれたらひとたまりもない。頭ではわかっていても恐怖で足が動かない。


和「ふふ、ムギ! もう無駄な抵抗はやめなさい」

紬「……ッ!」

和「マスターデータはすでにあの方がお持ちよ。そこのパソコンを破壊してもなにも意味はないわ」

紬「なんですって!」

唯「あずにゃん。私ね。ガンマンになるんだ」

梓「ガンマン……?」

唯「ガンマンになっていっぱいいっぱい人を頃すの!」

梓「はっ?」

和「ちょっと唯! あんた何勝手にべらべらと」

唯「いっぱいいっぱいだよ! それが私たちの幸せ、野望! 生きる意味!」

647: 2011/05/10(火) 02:51:27.86 ID:GnS3XZev0

和「チッ……まだ完全な洗脳とはいかないようね」

梓「洗脳!?」

紬「シューターにはメモリーカードが入ってるって言ってたでしょ?」

梓「は、はい」

紬「それは依存性を誘致して、使用者を洗脳する特殊な電波を発していたの」

梓「えっ」

紬「それは微々たるものだけど、少しずつ少しずつ人の心を蝕んでいく」

梓「じゃ、じゃあムギ先輩は!」

紬「その前にうけとって梓ちゃん」


 ムギ先輩が何かを放ってくる。

 受け取った瞬間になにかすぐわかった。シューターだ。


紬「琴吹ホビーで開発したシューターよ。もちろん、人体には無害」

梓「琴吹ホビー……?」


652: 2011/05/10(火) 02:59:40.23 ID:GnS3XZev0

紬「タカラ◯ミーのライバル会社よ。うちの系列でもあるの。シューターにおけるシェアは極わずかだけどね」

梓「じゃあムギ先輩がシューターを破壊してまわってたわけって……」

紬「裏からの情報で、タカラ◯ミーの陰謀を知ったの」

和「やめなさいムギ。陰謀だなんて、これは国家レベルでの機密軍事作戦よ」

梓「ど、どういうことです」

紬「シューターをつかった軍事産業」

梓「!」

唯「そ! たくさん流行らせて、競わせて、優秀なガンマンを育ててみんなみんな兵隊さんにしちゃうの! 私みたいに!」

紬「去年の大会の優勝者はいまはどこかの戦地に送られたと聞いているわ」

和「……あら、情報通なのね」

紬「なめないでよ」


654: 2011/05/10(火) 03:03:59.33 ID:GnS3XZev0

梓「どうしてもっと早く教えてくれなかったんです!」

紬「ごめんねでも」


唯「もうおしゃべりは飽きたよ」

梓「!」

唯「ねぇあずにゃん。それ、試してみたくてうずうずしてない?」

梓「えっ」

唯「洗脳とかさー、依存とかそんなの関係なしに、人って撃ってみたくなるもんなんだよ」

唯「新しいおもちゃって遊んでみたくなるもんなんだよ」

梓「……」

唯「かっこいいねあずにゃんのシューター。いったいどんな弾がでるんだろうね」

梓「……だめですよ」

唯「撃ってみたい。ねぇ撃ってみたいよね?」

梓「そんなことないです」

唯「じゃあ無理やり撃たせてあげる。ばーん!」

657: 2011/05/10(火) 03:11:45.88 ID:GnS3XZev0


 再び唯先輩の銃口がフラッシュ。

 無邪気な掛け声とは裏腹に、飛来してくる弾には狂気と明確な殺意がこもっているように感じた。

 直撃するとまずい……。

 打撲や擦り傷ではすまないかもしれない。

 
 私はほぼ無意識的に、体をおもいきり横に逸らし回避行動をとっていた。


梓「くっ、危な……ッ!」

唯「あははっ! うまく避けたね! さっすがぁ!」

和「ちょっと唯。失敗作とはいえ、頃しちゃだめよ。いろいろ使い道はあるんだから」

唯「わかってるわかってる~」

梓「やめてください……やめましょうよこんなこと!!」

和「ダメよ。もう引き返すことはできないの」

和「おし○この力は偉大でしょ? とくにおし○こテクノロジーの分野では日本は世界のトップを走っているのよ」

和「完璧なおし○こシューターと、完璧なおし○こガンマンがたくさんいれば……戦争の歴史が変わるわ」

661: 2011/05/10(火) 03:18:46.03 ID:GnS3XZev0

梓「そんな……子どもじみた理想で!」

和「しかたないじゃない。大人っていつまでたっても子供心は忘れないもの」

和「世界征服って。誰もが一度は夢見ることじゃない?」

梓「……何をいっても無駄なようです」

紬「梓ちゃん。私が二人の相手をするからここは逃げて!」

梓「でも……」

唯「逃さないよ~あずにゃ~ん」

梓「唯先輩……」

唯「いまおもいっきり撃ったんだけどさ。すごいよこれ!」

唯「いままのシューターなんて比べものにならないよ!」

唯「電気? 火薬かな? 私馬鹿だからどんな仕組みかわからないけど初速から火力まで段違い!」

和「ふふ、気に入ってくれたようね。それがタカラ◯ミーの次世代おし○こシューターよ」


663: 2011/05/10(火) 03:19:59.07 ID:nOIrX8F20
さりげない説明ありがとう

664: 2011/05/10(火) 03:20:21.18 ID:KN4f3MS00
おし○こを除けば特撮でありそうな話

666: 2011/05/10(火) 03:23:36.55 ID:GnS3XZev0

梓「あ、あんなイカレた性能のシューターにどう対抗すれば……」

紬「大丈夫。梓ちゃんのそれも負けず劣らずの性能だから」

梓「でもこんなので撃ったら傷つけちゃいます!」

紬「梓ちゃんならできるわ」

梓「セーブして……戦えってことですか、あの唯先輩相手に」

唯「えへへへ~♪」

紬「お願いよ。唯ちゃんはただシューターに操られているだけ」

紬「シューターを破壊して、しばらく電波から遠ざければ元にもどる可能性はあるの」

梓「ほんとですか!」

紬「和ちゃんは私が救って見せる。約束するから」

和「ふふ……私を救うですって? バカげてるわ」

紬「……大丈夫。信じて。あなたを、あなたの先輩たちを」

梓「……ムギ先輩」

紬「唯ちゃんを信じて。あの子は必ず元に戻る」

梓「わかりました……私、やってみます!!」

669: 2011/05/10(火) 03:29:47.72 ID:GnS3XZev0

 
その頃


【A号棟屋上】


さわ子「やるじゃない。洗脳されたフリをしてシューターを奪いかえしにくるなんて」

澪「……先生」

さわ子「でもだめよ澪ちゃん。先生に銃口をむけちゃ」

律「……」

さわ子「りっちゃんも! 学校で習わなかった?」

澪「ふざけるのはいい加減にしてください」

さわ子「うーん、でも私はどうしたらいいの?」

澪「ここから私たちを逃がして、みんなを元に戻してください」

さわ子「それは私一人じゃ無理ね、だいたいもうデータは私の手元にないもの」

律「じゃあどこにある!」

さわ子「んーっとねぇ……内緒!」

674: 2011/05/10(火) 03:38:45.11 ID:GnS3XZev0

澪「私は気は長くない」

さわ子「あら怖いわぁ。澪ちゃんって兵隊になったら絶対大活躍してたのにもったいない!」

澪「私たちは戦う兵器じゃない。人間だ」

さわ子「だからこっそり兵器に仕立てあげようかとおもったのにぃ」

律「ムギが手当たり次第にシューターを壊しまわってたのにはやっぱり意味があったのか」

さわ子「あの子はほんと厄介だったわ」

さわ子「私たちの居場所をつきとめるためにあなた達にも素性を隠して暗躍してたんだもの」

澪「なるほどな。カードには発信機、盗聴器的な機能も備わってるとみた」

律「それでムギは何も言えなかった……? バレたらそこで終わってしまうから?」

さわ子「せいか~い♪ まぁこっちは泳がせてあげてたんだけどね」

さわ子「私たちとしても琴吹ホビーの技術の結晶とも言えるムギちゃんのアレは生で調べたかったし」

さわ子「そしたらやっぱり反撃されちゃった……クスン」

律「おい、いい加減にしろよさわちゃん。だいたいあんたは何者なんだ」

さわ子「え~私? それはねぇ……」


676: 2011/05/10(火) 03:46:08.57 ID:GnS3XZev0


 「おやおや山中技術顧問。こんなとこで油を売ってるんですか」


澪「!」

律「後ろ! いつの間に!」バッ

さわ子「あ、ど~も~」


 「全く、派手にやってくれたねぇあの子は。せっかく巨額の私財をなげうって作った施設が台なしだよ」

 「唯ちゃんの素直さを見習ってほしいもんだねぇ」


さわ子「といってもムギちゃんのシューターにはそもそも洗脳カードが入ってなかったので……」

 
 「おや、そりゃそうだねぇ。おほほ。年をとるとなんでもすぐ忘れるから困るわぁ」


律「なんだこのばあさん」

澪「……この人……どこかで」

 
 

679: 2011/05/10(火) 03:53:33.54 ID:GnS3XZev0

さわ子「もう島を出発なされたかと」


 「いいえぇ。孫同然の可愛い子たちを放って一人島をでるなんてできませんよぉ」

 「それにあの子の成長もまだ生で見てないしねぇ」


さわ子「そういえば唯ちゃんとは長い付き合いでしたね」

律「さわちゃん、ちゃんと理解できるように教えてくれ」

さわ子「……」

律「こちとらセーフティはとうに外してある。まずはこのばあさんから撃ってもいいんだぞ?」


 「近頃のもんは気が短いもんだねぇ。あたしらがもっと若いころは」ブツブツ


澪「あなたが、全て仕組んだ人ですか?」


 「そうだねぇ。あんまり気はすすまないんだけど」


律「なにをいまさら! 詫びる気があるなら最初からするな! いますぐ全て元に戻せ!!」

682: 2011/05/10(火) 04:00:00.42 ID:GnS3XZev0

 「それは……無理よ」


 ヒュっという風を切る音と同時に、突然老女が律の視界から消えた。

 おどろいた律は左右をキョロキョロと見渡す。しかしどこにもその姿は見当たらない。


澪「律! 上だ!!」

律「えっ」


 澪の声で見上げた遥か上空にはただ一つ満月。そしてその黄金の輝きの中にある黒い影。

 それはまごう事無き、先ほど目の前にいた老女のもの。


律「嘘……だろ?」


 その影は空中でシューターを引きぬく。そして刹那、砲撃。

 その放たれたあまりに強大な弾丸を見て、律は一瞬月が落ちてきたのかと錯覚した。


澪「でかい! よけろ!!」

さわ子「ちょ、会長! 本気だしすぎ!! わたしまで巻き込まれちゃいますよ!」

687: 2011/05/10(火) 04:07:27.97 ID:GnS3XZev0

  巨大なエネルギーの塊がA号棟の屋上部を吹き飛ばす。

 間一髪で隣の屋上へと逃げ延びる律とさわ子。

 しかしそこに澪の姿はなかった。


律「澪!! 無事か!!」


 返事はない。律たちがいた場所は土煙と瓦礫に覆われている


さわ子「あなたは人の心配してる余裕はないわよ~?」

律「ッ!」

さわ子「私もガンマンの端くれ。いまは教師の裏で、タカラ◯ミーの軍事開発部門技術顧問って役職についてるけどね」

律「さわちゃん!!」

さわ子「怒ったってダメよ。さて会長、この後どうします?」

律「会長……そうだ! ばあさん! あんたは何もんなんだ! 一体いまの攻撃はなんだ!!」
 
 「……あたしかい? あたしはタカラ◯ミーの創業者……。シューターの生みの親にして、自称世界最強のガンマン」


とみ「一文字とみっていうんだよりっちゃんさん」

689: 2011/05/10(火) 04:16:09.45 ID:GnS3XZev0

……


【F号棟】

ホール


和「あきらめて降伏しなさいムギ! もう弾も残ってないんでしょ」コツコツ

紬「ハァ……はぁ」

和「にしても大したもんねその装甲。新型のショット10発浴びてようやく壊れるくらいの強度なんて」

紬「く……なんて威力」

和「このシューター。やっぱり最高よ。使いやすさ、威力、反動、連射性能、どれをとっても従来の2倍のスペックをたたき出しているわ」

紬「そういうの……ずるいと思う」

和「そうかしら? 戦争はいつの時代を見ても飛躍的に技術の進歩を促してきたものよ?」

和「もちろんこんな危険な物一般には流通なんてしないわ。あくまで局所的に、戦地で使うくらいね」

紬「……そんなこと、させないんだから……」

和「そのボロボロの装甲でまだ戦う気?」

紬「く……もう、体力が」

693: 2011/05/10(火) 04:24:59.54 ID:GnS3XZev0

和「あなたはよくやったわ。一人で頑張りすぎよ」

紬「結果がでなきゃ……意味ないじゃない」

和「そう? ここを壊しただけで私たちの計画は向こう数ヶ月は停滞するんだから、それだけでも大きな成果だとおもうけど」

紬「でもそれじゃ意味ないじゃない!!」

和「……むきにならないで」

和「それに私たちを倒したところで、結局あなたの会社がとってかわるだけでしょ?」

紬「そんなことない」

和「いいえ、一企業が世界の波に逆らうなんてできっこないわ」

紬「琴吹ホビーは、裏表なにもない健全な経営を目指します」

和「理想よ。シューターは玩具ではなく殺人兵器。これは言い逃れもできない事実」

和「力という底なし沼にはまった人間は、自力では決して這い上がることはできないわ」

紬「そのために私が、梓ちゃんがいる!!」

和「やってみなさい。ちっぽけな二人で世界を救い上げることができるならね」

和「ま、あなたはここで終わるわけだけど」チャキ

696: 2011/05/10(火) 04:34:49.94 ID:GnS3XZev0

紬「まだよ……琴吹ホビーの技術は並じゃないの!!」

和「えっ」


 カチャリという乾いた音とともに紬のまとっていた装甲がパージを開始した。

 ガコンガコンと激しい音をたてて紬を抑えつけていた重金属が床へと落下する。

 そして最後に紬は右腕を隠すように装着した大型ガトリングも取り去り、
 
 その中で貯尿シリンダー、装填の中継役となっていた琴吹製純正シューターを強く手に握り、

 身軽となった体で和のもとへ一直線に走っていった。


和「パージ……! 速い!! くそっ」


 和が迫り来る紬めがけて何度も砲撃を繰り返す。

 しかし、紬は圧倒的速度をもってそれをぎりぎりのラインで回避し、さらに距離を詰める。


紬「いくらそれの威力が高くても! あたらなければどうということはないわ!!」

和「!」

 

698: 2011/05/10(火) 04:42:48.82 ID:GnS3XZev0


和「ならっ! モード変換! 拡散!」

 
 バレルを右向きに回す。

 次に銃口から出てきた弾は視界を埋め尽くすほどに細かく拡散し、無防備な紬に降り注いだ。

 

紬「きゃああああっ」

和「あはははははは! そういうの猪突猛進っていうのよムギ!」


 してやったりと思っているのだろうか。

 涙が浮かぶほどに高笑いする和。 


和「さぁて止めにもう一発……」


 しかし和の視界に映ったのは倒れこむ紬の姿ではなく、ただひたすらに金の髪をなびかせ突撃してくる彼女の姿だった。


和「な、そんな……なぜ倒れないの!」

紬「和ちゃん! 覚悟!!」

700: 2011/05/10(火) 04:52:56.05 ID:GnS3XZev0


 大きく床を蹴り、一気に紬は距離をつめる。

 そして狼狽している和のシューターの先に自らの銃口をぶつけ、発砲。

 べキャリという嫌な音とともに和のシューターのバレルからフレーム部が吹き飛んだ。

 そのまま弾は勢いをやや弱め、和の胸部に直撃。


和「……ッ!」


 いくら弱まったとはいえ、いまだボクサーの渾身のストレートほどの威力をとどめる尿弾をモロに受けた和は、

 何かを発することもできずに血反吐とともにその場に倒れこんだ。


紬「……和ちゃん……シューターは壊したよ。あとは、もうゆっくりしていいんだよ」

紬「斉藤……あとは、よろしく……むかえに……き」


 和の拡散砲をもろにうけ、紬の全身からはおびただしい赤い液体が滴り落ちる。

 しかし紬は自身の体の奥底からくる全能感に満たされ、その表情はどこか満足気であった。

 やがてふらつくひざを折り、紬はぼやけた闇へと堕ちていった。

703: 2011/05/10(火) 05:02:53.16 ID:GnS3XZev0

【B号棟屋上】


 ばあさん。どこ行きやがった。

 律はこちらにむかって発砲を繰り返すさわ子を視界の端に捉えながらも、行方をくらましたとみを執拗に捜索していた。

 
律「あのばあさんはヤバイ……なんとか、私がひきつけねーと」

さわ子「おい、てめぇなんであたしのこと無視すんだコラ」

律「さわちゃんはシューター構えたら性格変わっちまうし、ほんとどうなってんだ」

律「澪は無事なのか!? 他のメンバーはどうなってる」

さわ子「おいデコっぱち!」

律「うるせぇ! あんたなんてほとんど相手にならねぇって!」

さわ子「っていうのはこれ受けてからにしやがれええ!」

 
 さわ子の暴力的な尿弾が律の体の横を通り抜ける。

 やはり性能はかなり高いようだ。


律「っぶねー。さすがに当たったら耐えれないな。おいさわちゃん! 生徒相手になにしてくれんだ」

705: 2011/05/10(火) 05:14:03.52 ID:GnS3XZev0

さわ子「しるかああ! もう生徒でもなんでもねー! 操り人形にならないならここで氏にやがれええ!!」

律「本気かよ! っと、危ね!」

 
 さわ子は容赦なく教え子へ殺意のこもった弾を撃ちこむ。

 彼女の放つぼわりとした尿弾はみためとは裏腹にかなりの火力で、それた弾は森に着弾し木々の枝葉を吹き飛ばし地面をえぐる。


律「こりゃあやられる前にやるしかないか!」

律「へへ、相変わらずドラムスティックよりしっくりくるや」

 
 律は両手に構えたシューターでまずはさわ子に小火力の牽制攻撃をしかける。

 しかしどれもこれもかわされ、または撃ち落される。


律「腕はそれなりか……あとは……!」

律「さわちゃん! 私に勝てても迫る年波にゃ勝てないぜ」

さわ子「あ゙ーー? ぬぁ~~~んだとーー!!」バビュンバビュン

律「へへ、ガンマンはいつでも冷静沈着に。それが絶対の条件だ」

さわ子「うるせー! てめぇはさっさと澪ちゃんとおんなじ所逝きやがれ!!」

706: 2011/05/10(火) 05:19:12.23 ID:GnS3XZev0

 澪……

 ピクッ


律「やめろ……いまは考えるな……私」

さわ子「残念だったなぁ! てめえの幼なじみは一撃でおだぶつだ! 塵になったんだよ!!」

律「う、うるせぇ……澪が簡単に氏ぬもんか」

さわ子「会長のフルムーンシュートをモロにくらったんだ! 生きてるはずがねぇええ!!」

律「黙れ!!」

さわ子「どうしたぁ! 動きが鈍ってるぞ!!」

律「くっ」


 激昂した一瞬の隙をつかれた。

 右肩に直撃をうけ、思わず手放してしまったシューターが宙を舞う。


さわ子「くっくっく。いてぇだろ。打撲じゃすまねぇよなぁ!!?」

律「うが……いっつ……」

709: 2011/05/10(火) 05:34:37.17 ID:GnS3XZev0

 なんだこの痛みは……まるで砲丸でもぶつけられたみたいだ。ちくしょうめ。

 律はいままで経験したことのない痛みと恐怖で内心毒づく。

 どうやらさわ子の方が一枚上手だったようだ。

 彼女は激昂することで力を高めるタイプのガンマンで、

 表面上では熱く燃え上がっているが、頭ではいたって冷静に大局を見つめることができる。

   
律「……なんだよ、折れてんのかこれ!?」

さわ子「あっはっはっは。二丁拳銃のてめぇが一丁になるってことは、もう戦力は半減以下だな」

律「かもな」

さわ子「なーに笑ってやがる」

律「いや……なんか、私やばくなると笑っちゃうタイプで」

さわ子「そういえば説教してるときもよく笑ってたな」

律「なぁさわちゃん。生徒と教師の間柄じゃん。そのよしみということでここは一つ」

さわ子「答えはノーだ」

律「じゃあハンデくれよハンデ! ほら、私もう左手しかシューターもってないし」

710: 2011/05/10(火) 05:45:17.76 ID:GnS3XZev0

さわ子「んー?」

律「な? な? 10秒だけ10秒だけでいいから!」

さわ子「まぁ少しくらい遊んでやっても」

律「ほらもう右手とかぷらぷら。ぶら~ん」

さわ子「そりゃ可愛そうに。じゃあ次は左手な」

律「んでさぁもうこれ全然動かな……いわけねぇだろ」

 
 さわ子が律の左手に狙いをつけた瞬間に、律は右手で腰の後ろに装着したシューターを手に取り、

 さわ子の腹部めがけて発砲。

 その尿弾はまっすぐ綺麗に飛び、容赦なくみぞおちをえぐる。


さわ子「ぐぉへっ……」

律「へへ」

さわ子「でんめぇ……」

律「スティックでもシューターでも、予備は持っておくもんだぜ。とくに私みたいなバトルスタイルの人間はな」

さわ子「……やる、じゃねぇか……げほっ」ガクッ

712: 2011/05/10(火) 05:48:57.38 ID:GnS3XZev0
すごく頭回らないんでちょっと寝ます! 

737: 2011/05/10(火) 11:42:25.67 ID:GnS3XZev0

律「……さわちゃん、自首するんだ。頼む、してくれ」

さわ子「なんだと……」

律「まだやりなおせる」

さわ子「知った風な口を!!」

律「お願いだよさわちゃん……さわ子先生!」

さわ子「……」

律「愉快で、優しかった先生に戻ってくれねーか……」

さわ子「教師は……世を忍ぶ仮の姿……」

律「じゃあ私らとすごしたあの学校生活は偽物だったっていうのかよ!」

さわ子「……」

律「ッ……!」

さわ子「りっちゃん、見事よ。あなたはいつもいつもチャラけたふりして冷静だった……ゲフ、ゲホ」

さわ子「私の見立てが甘かったようね。まぁここまで勝ち残ってるんだもの、強くて当然か……」

律「……」

さわ子「前線を退いたらあっという間に弱くなるものなのね……たったこんだけのダメージで、もう体が動かないもの」

744: 2011/05/10(火) 11:53:59.66 ID:GnS3XZev0

さわ子「さぁとどめをさしなさい。私だってガンマン。ガンマンシップに則った戦いをしたつもりよ」

律「……」

さわ子「お願い、最後は人頃しの兵器をつくる研究者ではなく、誇り高きガンマンとして氏なせて」

律「……何いってんだ、こうなりゃどっちも救えねぇ人頃しだぜ」

さわ子「りっちゃん、かっこ良くなったわね。去年と比べると、顔が引き締まったというか、垢抜けたというか」

律「経験ってのは、人を加速度的に成長させる、それがよくわかったよ」

律「でもさぁ、これはいくらなんでもあんまりじゃねぇか。こんなことをしてガンマンの高みへ駆け上がるなんて私はごめんだ」

さわ子「優しいのね」

律「いいや、澪以上に根は臆病なだけさ」

さわ子「そう……ならもう言うことはないわ」


 そうつぶやくとさわ子は自身のこめかみにシューターをあてる。

 コツリという軽い音がする。

 引き金を絞ったら間違いなく致命傷を負うだろう。


律「バッ!さわちゃん!! 氏ぬ必要がどこにあんだよ!!」 

746: 2011/05/10(火) 12:03:05.59 ID:GnS3XZev0


 律はほとんど反射に近い恐ろしい速さで射撃した。

 もちろん狙いはさわ子のシューターだ。

 パワーをおさえて放たれた尿弾は正確に的中し、さわ子の手からシューターが吹き飛ぶ。


さわ子「……なぜ」

律「忘れんなって。私が早撃ちカチューシャ様だぞ」

さわ子「すごいわね……どっちみち私なんかじゃ、はなから敵わなかったのかも」

律「自責……あんた、悩んでたんだろ。ほんとにこれでいいのかって!」

さわ子「……」

律「だったら自殺なんて馬鹿げたことする前にやることがあんだろ!!」

さわ子「……」

律「生徒に説教させるなよ!」

さわ子「……」

律「自頃するくらい自分を責める前に! まずはみんなの未来に貢献してみせろ! あんたはそれができる人間だろ!!」

さわ子「……かもね」

747: 2011/05/10(火) 12:11:14.73 ID:GnS3XZev0

さわ子「すこし、考える時間を頂戴。大丈夫、逃げたりしないから」

律「……信じるよ、さわ子先生のこと」

さわ子「……ありがと」

律「全国からシューターをリコールするんだ」

さわ子「私一人の権力じゃどうにもできないけど」

律「だからさ、今から私があの会長をなんとかする!! 説得して、そうなるように動いてもらうんだ」

さわ子「一筋縄じゃいかないわよ」

律「任せろって! いままでピンチは何度もくぐり抜けてきた!」

さわ子「……ふふ、頼もしいわね」

さわ子(やり直しか……こんな歳からできるのかしら)

さわ子(調子いいわよね。さんざん人をひどいめにあわせてきて……はは……)

さわ子(全部終わったら自首も、しなくっちゃ……)



……


749: 2011/05/10(火) 12:19:34.38 ID:GnS3XZev0


【G号棟】

屋上部


 私と唯先輩は、戦いの舞台を連絡橋から屋上へと移していた。
 
 広々した場所でやり合いたい、それが唯先輩の希望だったから。

 私だってそっちのほうが都合がいい。
 
 ムギ先輩が破壊の限りをつくした隣の建物は依然炎でおおわれいる。

 赤い光に照らされた唯先輩の顔が、すこし怖かった。


唯「あずにゃ~ん♪ やっと相まみえるときがきたんだね」

梓「……ですね」

唯「こんな可愛い後輩といまから全力でやれるとおもうと、ドキドキがとまらないよぉ……えへへ」

梓「……おし○こしていいですか。いまこれに詰まってるのはだれのか知らないおし○こなんで」

唯「ん。いいよ~あずにゃんのおし○こするとこ見せてー」

梓「わかりました」

751: 2011/05/10(火) 12:30:15.07 ID:GnS3XZev0

 こんな状況でおし○こをすることになるとは、少し前までなら考えもつかなかっただろう。

 私はひとまずシューターを下において、女の子らしい水色の下着に手をかけゆっくりと下ろしていく。

 例によってあそこに触れる部分には小さい染みができていた。おねしょというほどではないが夜寝るといつもそう。

 私の膀胱管理とやらはまだうまくいってないようだ。

 シューターを両手で拾い上げ、幼い秘裂にそっと給水口をあてがう。

 ひんやりとした感触に、すこし身震いしてしまった。


唯「ほほぉ! あずにゃんは一度しゃがんでからおし○こするんだね! 可愛いなぁ」

梓「うるさいです」

唯「はやくしゃーしてよしゃー、ん、じょぼぼぼかな?」

梓「……ん」

 
 勢いよく噴き出る私の全てがつまった水。

 淫猥な音をたて、臭いをたちこめさせながらシリンダーを徐々に満たしていく。
 
 見られてる、おし○こするとこ唯先輩に見られてる。

 放尿の快感もあいまって、すこしだけ頬が蒸気した。

752: 2011/05/10(火) 12:39:11.41 ID:GnS3XZev0


唯「終わった?」

梓「ええぇ」


 きっちりとキャップをしめる。

 たっぷんたっぷんに満たされたシューターが光を受けギラリと光る。

 まるで私が引き金をひくのをいまかいまかと待ちかまえているように見えた。


梓「……セイフティ解除」

唯「うん! そうだね! それでいいよ!」

梓「……戦うまえに一つたずねていいですか?」

唯「んぅ?」

梓「また、みんな仲良く暮らせますよね?」

唯「……さー、わかんない!」

梓「そうですか…………いま、助けてあげますから、唯先輩」

 
 轟々と燃える炎を背景に、私と唯先輩の戦いがはじまった。

754: 2011/05/10(火) 12:46:13.22 ID:GnS3XZev0


 まずは牽制のつもりでトリガーを指をかけ、そのまま発砲。

 ケタ違いの威力を孕んだ尿弾が唯先輩にむかってまっすぐ飛んでいく。


唯「わぁ! それがあずにゃんのだしたてほかほかおし○こ!?」

梓「あたって!」


 思いも虚しく、唯先輩は軽やかに身を横に振り回避する。

 と同時に私の足元ににむかってとびっきりの尿の塊を発射。


梓「くっ」


 私は真後ろに大きく跳躍して事なきを得る。

 一メートル手前は唯先輩のおし○こでコンクリートがえぐれている。


梓「なんて威力!」

唯「えへへ。シュー太二号はお利口さんだね。反動もすくないし、エネルギー効率もいいみたい!」

757: 2011/05/10(火) 13:05:51.56 ID:GnS3XZev0


梓「それはよかったですね」

唯「あずにゃんはどう?」

梓「こっちもなかなか……」

梓「いい感じですよ!!」

 
 声を荒げトリガーを引く。

 ずしんとした重たい衝動。

 いくら反動が軽くなったとはいえ、放出するおし○こエネルギーの総量自体が跳ね上がっているのだ。

 闇夜を切り裂きながら突き進む弾丸。

 回避運動を妨害するために間髪入れず二度三度と連続で撃ちこむ。


唯「いいね! それだよそれ! やるかやられるか、己の判断力と身体能力だけにたよった危険な駆け引き!」

唯「この瞬間こそ、私は『生』を実感するよ」


 唯先輩は笑いながら、私の弾丸を撃ち落とす。

 轟音が響き渡り、おし○この飛沫が四散する。

758: 2011/05/10(火) 13:12:04.40 ID:GnS3XZev0

唯「ふ、当たらないとイライラするよね」

梓「!」

唯「でも教えたでしょ? どんなときでも心は冷静に、だよ」

梓「しってます」


 狙いをつけて砲撃。


唯「はい外れ」

梓「唯先輩におしえてもらったこと、全部実践していままで戦ってきたんです!」


 繰り返し砲撃。


唯「んー、これも当たってやれないなぁ」

梓「くっ!」

唯「次はこっちの番かな?」

759: 2011/05/10(火) 13:17:09.80 ID:GnS3XZev0


 唯先輩の鋭い眼光がこちらを捉える。

 間違いなくシューター狙いではなく、私の体そのものを撃ちぬく気だ。


唯「血の海に沈めてあげる~」


 おぞましいほどの満面の笑顔で速射する唯先輩。

 いくつもに連なった殺意の弾が私の小さな体を切り裂こうと飛来する。


梓「よけなきゃ!!」


 左足に力をいれてそのまま真横に跳躍。

 すんでのところで回避はできたが、次に迫りくる弾が肩口をかすめる。

 シャツが破け、肩が露出する。すこし血が滲んでいる。


梓「あっ」

唯「お~ごめんよぉ。一発で楽にしてあげたかったんだけどあずにゃんがよけちゃうから」

梓「……」

761: 2011/05/10(火) 13:21:56.47 ID:GnS3XZev0

唯「ほらほら! 踊りなよあずにゃん!!」


 声を荒げながら唯先輩は残弾をまるで気にすることなく撃ち続ける。

 このまま撃たせ続けて弾が切れたら。私の勝ちだ!

 補給なんてさせるもんか!


梓「つッ」


 だからいまは凌ぐだけ。

 腕を、足を、頬を、脇下を弾がかすめ飛んでいく。

 とても体中が熱い。

 傷も熱をもち、隣の炎はさらにそこを焼き焦がすようだ。


梓「もうすぐ、もうすぐ尽きるはず」


 しかしそんな願いは一瞬のうちにして闇夜に葬られてしまうのだった。

 唯先輩がのこり少ないシリンダーを軽くのぞき込みながら口元をつりあげる。
  

763: 2011/05/10(火) 13:28:14.94 ID:GnS3XZev0


唯「ブレードモード展開」


 そうつぶやくと、駆動音とともに唯先輩のシューターのまわりの大気が振動する。

 なんだアレは。

 残り僅かなおし○こが銃口から噴出しまっすぐに伸び、収束。

 みるみるうちに刃のような形を成形する。

 そしてそれはそのまま重力に逆らい続け、銃先で形を保ったままあらたな武装となる。


唯「おし○こシューターブレード」

唯「タカラ◯ミーが新規に開発した特殊バレルによって実現可能になった近接用最終兵器だよ」

梓「嘘……」

唯「これはおし○こを切り離す必要がないからね。刃が削れないウチはほとんど無消費で使える」

唯「ど? かっこいいでしょ」


 ブォンという風切り音と共に唯先輩がブレードをその場で鋭く振り回す。

 想像を絶した機能だった。

766: 2011/05/10(火) 13:36:36.36 ID:GnS3XZev0

梓「それで私は切り裂くんですか?」

唯「私のおし○こ大好きでしょ?」

梓「……」

梓「剣と銃ならこっちの方が有利です!」

唯「どうかな」

 
 照準をあわせてトリガーを引く。
 
 尿弾は月の光をとりこんで宙を駆ける。

 しかし唯先輩は左右に避ける様子もなく、ただ接近するのを見守っている。


梓「!?」

唯「ふふ」

 
 直撃するわずか手前、唯先輩は大きくブレード振り、尿弾を完全に切り払う。


梓「なっ!」

 

767: 2011/05/10(火) 13:42:32.82 ID:GnS3XZev0

唯「軽いねぇ」

梓「弾丸を切り払った!?」

唯「おし○こシューターブレードは攻防一体」

梓「……」

唯「さぁ、そろそろ終わりにしようよ!!」

梓「この距離からでは撃ちぬけない……ならば!!」

唯「いくよあずにゃん!!」


 力に飲み込まれた唯の黒い陰が、コンクリートを蹴り猛スピードで梓へと肉薄する。


梓「ッ!! 唯先輩!!!」

 
 梓はそれめがけて何度か発砲するが、全て軽くいなされる。


唯「あずにゃんあずにゃん! 可愛いあずにゃん!!」


 唯が狂気にも似た笑顔を浮かべた次の瞬間。繰り出されたブレードによる鋭い突きが梓の腹部を貫いた。 

769: 2011/05/10(火) 13:50:05.30 ID:GnS3XZev0

梓「あ……ッ……ぁあ……!!! く、唯せんぱ……」


 おびただしい量の鮮血が闇夜を舞う。どうみても致命傷だ。

 しかし私の体はまだ動いていた。

 決して攻撃を回避できかったわけではない、私はただ、自身を囮にしただけだ。

 力を振り絞り唯先輩の腕を、体をつかみ、引き寄せる。

 おし○この刀身がさらに深く突き刺さり身をえぐる。


梓「うぁあああっ!! ……ッ!!」

唯「あずにゃ……ん?」


 唯先輩は私の命を顧みない行動に驚いて、身を強ばらせる。

 そのままお腹にささったシューターに自分のシューターの銃口をおしあてすぐさま発砲。

 身を裂くような痛みとともに唯先輩のシュー太二号は粉々に爆散した。




770: 2011/05/10(火) 13:55:13.72 ID:GnS3XZev0


……


唯「あずにゃん、臭い」

梓「……」

唯「おし○こまみれだよ。シュー太、爆発しちゃった」

梓「……」

唯「あずにゃん。痛い?」

梓「……」

唯「すごいねあずにゃんは。びっくりだよ」

梓「……」

唯「いい子いい子……」ナデナデ

梓「……」

唯「血、とまらないね。かわいそうに」

梓「……」

唯「あれ、おかしいな……」

771: 2011/05/10(火) 14:01:22.75 ID:GnS3XZev0


唯「わぁ見て! 綺麗なお月様だよ!」

唯「あ! ヘリもきた! おーい!」

唯「こ と ぶ き って書いてあるよあずにゃん! ムギちゃんと何か関係があるのかなぁ」

唯「ねぇあずにゃん! あずにゃんあずにゃん!」

梓「……」

唯「あずにゃん! 今度のおやすみに一緒に遊園地いこうよ!」

梓「……」

唯「ねぇあずにゃん……返事してよー……」

とみ「終わったのかい唯ちゃん」コツコツ

唯「あ! おばあちゃん! あのね! あずにゃんがこんなとこで寝ちゃったの!」

とみ「おやおや、それは寒いだろうに」

唯「あれ? なんでこんなとこにいるんだろう。てか何してたんだろうあれ?」

とみ「……唯ちゃん。そうなのね。……強力すぎる洗脳チップも問題だねぇ」

唯「おばあちゃん? あ! 今度の演芸大会あずにゃんと一緒にでるからね! たのしみにしてて!」

774: 2011/05/10(火) 14:08:25.57 ID:GnS3XZev0

とみ「もういいのよ唯ちゃん。あんたはよく頑張った」

とみ「だから、あずにゃんさんと一緒におやすみなさい」チャキ

唯「えっ」

とみ「壊れた兵隊さんには用はないんだよぉ……」



……



 スコープを覗き込む。化物が唯にシューターを向けているのが映る。

 あいにく向こうまで駆けつけることはできない。

 私、秋山澪はすでに満身創痍だ。あの攻撃に巻き込まれて、体中を瓦礫に引き裂かれてしまった。

 そのまま足は埋もれて動かないし、体の半分以上の感覚がすでにない。

 かろうじで左腕と首が動くだけ。耳もほとんど聞こえない。砂埃で目がかすむ。


澪「だがまだ氏んでない……」



777: 2011/05/10(火) 14:14:36.85 ID:GnS3XZev0

 すさまじい激痛の中、腕一本でライフルを抱え、地面を這って行く。

 そして絶好の狙撃ポイントを見つけ出す。

 スコープが指し示す距離はおよそ700M。

 とっさに呟いた。 


澪「無理だ」


 たしかに私は1200Mのエイムに過去成功している。

 しかしそれは決して一発勝負ではない、コンディションも最高の時の記録。

 いまはどうだろうか。こんなボロボロの体で、さらに風も強い。

 私の経験や、私をとりまく全てが、このスナイピングは不可能だと告げていた。


澪「でも……唯が……このままだとみんな……」



780: 2011/05/10(火) 14:23:18.39 ID:GnS3XZev0


 諦められなかった。

 スコープ越しに不安げな唯の顔と、とみの悪意にみちた笑顔がみえたとき。
 
 心の奥底に闘志の炎がくすぶった。

 
澪「チャンスは一度きりだ……」

澪「早く……早くしなければ唯がいまにも撃たれてしまう」


 すぐさま照準の計算を始める。

 風速、風向き、湿度、温度、空気抵抗。ささいな計算ちがいから弾は大きくそれてしまう。
  
 弾丸も一定ではない、おし○この密度や量、鮮度など、さまざま要素が複雑にからみ合って軌道は大きく変わる。

 またトリガーの絞り方一つでもかなりの質量変化をもたらす。

 この痛みに震える指で正しく引くことができるだろうか。


澪「ここからだと、かなりポインターが標的から遠のく……」 


782: 2011/05/10(火) 14:33:27.04 ID:GnS3XZev0

 
 深呼吸をする。激痛がはしる。

 おそらく器官もおおきく損傷してるのだろう。
 
 しかしかまいやしない。

 私は一度頭の中で組み立てた計算式をスッパリ忘れて、

 次は感覚で照準を探りだす。


澪「大丈夫。間違いない」


 自分の長年の直感を信じることにした。スコープ内の十字は対象の遥か左上を指し示す。

 もう時間はない。
 
 私は自分のいままでのスナイパー人生全てを駆けてトリガーを引く。

 撃発。
 

 
  

786: 2011/05/10(火) 14:40:17.28 ID:GnS3XZev0

 おし○この弾は想像通りの速度と膨らみで飛沫を散らしながら闇夜を切り裂いて飛んでいく。

 唯、いま行くぞ。願いをこめた弾はさらに加速し爆進する。

 
 だめだ、血を流しすぎた。

 頭がぼんやりとしている。だんだん意識が途切れ出す。

 どうやら着弾を見届けることはできそうにない。

 しかしトリガーを引いた時点で確実な手応えはあった。

 それはもう、間違いなく。


澪「……ふふ」


 黄金の月下に照らされがら、私はそのままズシャリと崩れ落ちた。




787: 2011/05/10(火) 14:44:33.81 ID:GnS3XZev0

……


唯「ねぇおばあちゃん……どうして、どうして急に倒れちゃったの?」

とみ「か……ク……」パクパク

唯「どうしたの? お眠?」

とみ「や、やってくれる……この私に直撃させるなんてねぇ」

唯「痛いのー? 痛いの痛いのとんでけー!」

とみ「グ、触らないで!!」

唯「ひぅっ!」

とみ「私は……まだ……」ヨロヨロ


律「そこまでだぜ、ばあさん」

唯「あーりっちゃん!!」

律「唯……!! 梓!!」

唯「あずにゃんねー、もう寝ちゃった……」

律「えっ……ッ! ……ちっくしょう!!!」

789: 2011/05/10(火) 14:51:22.45 ID:GnS3XZev0

とみ「なぜ……邪魔を!!」

律「ふざけるな! こんなことをしてなんになるんだよ!!」

唯「りっちゃんこわーい」

律「唯をもとにもどせ! 梓をもとにもどせ! みんなを返してくれ!!」

とみ「グ……まさか、あの距離から狙ってくるとはおもわなかったわ」


律「澪に撃たれたのか」

とみ「見事だわ……急所をはずして、私は行動不能にだけ陥らせる」

とみ「瀕氏重症とは思えない神がかったエイム……やはり、あの子も最強のデバイスとして……ガフッ」

律「そうか。あんたらの野望はここで終わりだ」

とみ「く……」

律「向こうの空を見ろよ、ムギをここまで連れ込んだのが仇になったな」

とみ「!」

唯「おーい! おーい! 手をふってよー! わーい! ヘリコプターがいっぱい!!」

律「自分たちだけが上手く事を運べると思うなよ」

793: 2011/05/10(火) 15:00:26.89 ID:GnS3XZev0

律「あんたを拘束する」

とみ「!」

律「国を巻き込んだタカラ◯ミーの陰謀は世に明るみになるんだ」

とみ「……しかしそれでも人の欲望はとまらないわ、一度手に入れた力を手放すことなんてできやしないの」

律「力か……確かに悪用したら恐ろしいなコレは。だけどよ、そのためにガンマンシップを設けたんだろう?」

とみ「……!」

律「良心はどこかにあったはずだ。ホビーショップを営むやさしい老人と、軍需産業で幅を利かせる闇の商人」

律「どっちがほんとのあんたの顔なんだ」

とみ「……」

律「大会を仕組んだのも、シューターを流行らせたのも! シューターを用いた戦争をうみだしたのもあんたなんだろ」

とみ「……そうよ」

律「なんで去年と今年で種目をかえた」

とみ「人をだんだん……恐怖にならしていくため」

律「毎年参加することでだんだん人を撃つ抵抗を削ぎとっていくってわけか。人が生まれ持った戦闘本能の刺激」

とみ「全ては最強の軍隊をつくりあげるため……洗脳チップもその一環にすぎないのよ」

796: 2011/05/10(火) 15:06:36.39 ID:GnS3XZev0

律「ムギに謝らなきゃなんねぇな」

とみ「……」

唯「ねーなんの話してるの~?」

律「唯。帰ろう。私たちの街へ」

唯「え? うん! 当然だよ」

律「あとの処理は警察やムギんとこに任せよう」

とみ「……」

律「あんたも止血しといたほうがいい。氏なれちゃ困るからな」

とみ「……そうだねぇ」

律「終わった……終わったぞ澪、梓……ムギ」

梓「……」

唯「なんか私とてもひどいことをしたような気がするの。ねぇこの心の震えはなんだろう」

律「……唯」

唯「あずにゃんを見ていると……なんだか涙がとまらない、どうして……私は、何……?」

律「いいんだ。唯、いまは忘れて眠っていい。眠れ。お前の心が潰れてしまう……」

801: 2011/05/10(火) 15:14:31.12 ID:GnS3XZev0

 
 迎えのヘリにのって燃え盛る島から一行は脱出した。
 
 タカラ◯ミーのシューターはすぐに全国的に回収されるだろう。

 しばらくは新聞やニュースが話題に尽きることはないだろう。

 
律「……みんな」

唯「?」

律「いや……なんでもねぇ」

唯「難しい顔してりっちゃんへんなのー! に合わないよ」

律「唯は元気だな」

唯「うん! 私は元気ビンビンだよ! でもね、ちょっと頭が痛いかな」

律「そういえば、梓と……何か話せたか?」

唯「えっ」

律「……覚えてないか」

唯「うーん……うーん……あ! なんかね光がピカーってなる前にあずにゃんに『ずっと大好きです』って言われたよ!」

唯「でもどんな顔だったかは覚えてないや……笑ってたかな、あれ? ていうかいつの話だったっけ?」  

803: 2011/05/10(火) 15:21:45.26 ID:GnS3XZev0

唯「澪ちゃんはどこ? ムギちゃんは? 和ちゃんも憂も純ちゃんもいないよ?」

律「うん……ほかのに乗ってる、はず」

唯「そうなんだーみんな一緒に帰れたら楽しいのにな!」

律「みんな一緒にか……」

律「大丈夫さ。また、やりなおせる」

律「さわちゃんだって、あのばあさんだって……たぶん」

律「いつからでも心は育て直すことができるさ」

律「だから唯……お前、強く生きろよ」

唯「ほえー?」

律「強く、強く……」


 じわーっとした眠気と疲れが襲いかかってきた。

 目を覚ましたらすべて夢だったらいいのに。
 
 そう願いあたしは目をつぶる。となりでは唯が窓から朝焼けをながめキャッキャとはしゃいでいた。

 ヘリは駆動音をまきちらし、薄い雲のかかった空をまっぷたつに割りながら、私たちの街へと飛んでいく。 

861: 2011/05/10(火) 21:47:40.39 ID:GnS3XZev0

エピローグ

【桜ヶ丘病院】

【中野梓様】


紬「大丈夫? 起きれる?」

梓「あ、はい大丈夫です」

紬「だいぶ顔色がよくなったわね」

梓「まぁまだお腹のドデカイ傷は癒えませんけど」

紬「唯ちゃんに……全部教えてないの?」

梓「だめですよ。唯先輩を悲しませたくありません。だってあれは唯先輩の意思じゃありませんから」

紬「唯ちゃん。梓ちゃんが目覚めるまでの一ヶ月間、ずっとつきっきりだったのよ」

梓「そうですか……唯先輩らしいですね。で、ムギ先輩は平気なんですよね?」

紬「うん! 私は大丈夫! ピンピンしてるわ!」

866: 2011/05/10(火) 21:52:49.82 ID:GnS3XZev0

純「にしても驚きですよ~、まさか琴吹ホビーからの刺客だったなんて」

憂「なんか、しらなかったとは言え色々ご迷惑おかけしました」

紬「いいの。おかげでタカラ◯ミーの野望は打ち砕くことに成功したから!」

純「あっという間にリコールされましたよね」

憂「謝罪会見もすごい人だかりでした。あ、はい梓ちゃんケーキ! あ~ん♪」

梓「い、いらないって! 唯先輩みたいなことしないで」

純「唯先輩のは素直にたべるくせにー」

梓「ちがうもん! べつに意味はないの! いまはお腹すいてないし、それにいろいろまだ食事制限かかってるし」

紬「うふふ」

梓「で、唯先輩は? さっきまでそこら辺でゴロゴロしてたのに」

憂「お姉ちゃんはいまは澪さんのお見舞いにいってるよ」

梓「澪先輩。まだ歩けないのかな」

純「しばらくは無理だろうねー。けどあの人には律先輩がついてるし!」

紬「そうよ。りっちゃん今回はお手柄だったわ。倒れてる梓ちゃんたち止血してヘリまで運んだりしたのよ」


868: 2011/05/10(火) 22:00:15.12 ID:GnS3XZev0

梓「なんか感謝してもしきれないなー、律先輩なのに……」

純「素直になりなよ」

紬「それと澪ちゃんと一緒に行われた弟さんの手術もうまくいったみたいだし」

純「いやー大金を支援するってきもちいいね! わはは!」

憂(今回ほんと純ちゃんは何もやってないからなぁ……)

純「なに憂その顔、なんか文句ある?」

憂「う、ううん! 純ちゃん偉い偉い!」アセアセ

紬「あなたたちふたりは洗脳が浅かったの?」

憂「はい、おそらくお姉ちゃんはとみおばあちゃんのところにメンテナンスにいくたびに洗脳効果を増強されていたのかと」

純「憂は自分でメンテナンスしてたんだっけ」

憂「うん。私は人にはあまり触らせたくないタイプだから」

梓「ほ、私も危なかったかも……よかった洗脳されなくて」

紬「うーん、あのね。あの後調べたんだけど、梓ちゃんのシューターにも強力な洗脳電波をだすチップが埋めこまれていたわ」

梓「えっ、でも私は」

紬「洗脳されてないものね。使用期間が短かったのかなって思ったけど、どうも違うみたい」

870: 2011/05/10(火) 22:06:54.70 ID:GnS3XZev0

梓「どういうことでしょう」

紬「きっと梓ちゃんはそもそも洗脳がほとんど効かなかったんじゃないかしら」

梓「?」

純「あー、わかる。催眠術って常日頃から色々ぶつくさ考える人はかかりにくいらしいよ。あと慎重な人とか」

梓「!」

紬「唯ちゃんがかかりやすくて、梓ちゃんや澪ちゃん、りっちゃんがかからなかったのはそういう理由かもしれないわね」

梓「律先輩ってそんなに色々考えてますかね……全然イメージできない……」

純「つまり! 天然な人はかかりやすいってのが私の持論! えっへん! だから私には関係のない話だね!」

憂(そっか、和ちゃん……お姉ちゃんと同レベルなんだね……)

梓「でも一般的なのは純が言ったとおりだけどさぁ」

梓「なんかの雑誌で催眠術は頭がよかったり芸術センスがあるちょっとずれた人のほうがかかりやすいって書いてあったよ」

憂(なんにせよあてはまるよね……くすん)

梓「つまり私のことを失敗作っていったのは……」

紬「言葉の意味から考えると、梓ちゃんは催眠にほとんどかかってなかったって事じゃないかしら」

梓「たしかに向こうとしてはそんなやつが潜り込んできたら都合悪いですよね」

871: 2011/05/10(火) 22:12:26.19 ID:GnS3XZev0

純「そういや私たちずっと寝てたからほとんど何があったかしらないんだよね」

梓「今度まとめて聞かせてあげる」

憂「お姉ちゃんもだんだんよくなってきたし。もう心配はないよね!」

梓「うん……ほんとよかった」

憂「お姉ちゃんずっと梓ちゃんにつきそってたんだよー」

梓「それもう何度も聞いたってー」

憂「えへへ。どうして照れてるの」

梓「もー」

紬「よし! それじゃあみんなで澪ちゃんのとこ行こ!」

純「梓の車椅子は私がおしてあげる」

梓「い、いいよ。ぜったい純はふざけるから」

純「なんでわかった!」

憂「純ちゃんは何が起きても全然変わらないね」クスクス

純「ばかにするなぁー!」

872: 2011/05/10(火) 22:18:40.74 ID:GnS3XZev0

梓「あ、ここだここ。純ストーップ!」

純「ほいほい」

憂「なんだか中すごく騒がしいね」

梓「なにやってるんだろ……」

コンコン ガチャリ

紬「澪ちゃんお見舞いにきたよ」


唯「がんばれー! がんばれー!」 ガキン ガキン

和「ッ……! 唯には負けたくない」

唯「いっけぇ!! 和ちゃんのふきとばせー!」 バコォーン!

和「NO! 私のモラシエルが!」


梓「な、なにやってるんですか?」

唯「あ! あずにゃん見て見て! 琴吹ホビーが開発したいま女子高生をはじめとする若い人たちの間で大流行してるおもちゃだよ!」

梓「?」

唯「ベンブレードって言うんだよ! 一緒にやろうよ!」

880: 2011/05/10(火) 22:24:22.72 ID:GnS3XZev0
梓「べ、ベンブレード?」

唯「こうやってね」ヌギヌギ

唯「うーん”……」ミチミチ

唯「ほい! うんちをこのシューター、あ! シューターっていってもあのシューターの事じゃないよ!」

唯「ベンブレード用のシューター! これにセットして」

澪「唯! リベンジマッチだ!」

和「今度はまけないわ!」

律「っしゃあ梓! お前もそこでうんちして次の戦いの準備してろ!!!」

梓「はっ!?」

唯「いっくよー! ゴーーー! シューーーゥ!!」

ギュイイイイン ガキンガキン!
ベチャベチャベチャベチャ ペチョ…

梓「……なに……これ。な、なんか飛び散って……ていうか顔にかかったんですけど……」

唯「ベンブレードだよ!」

梓「ふ、ふああああああああ!!!」

THE END

882: 2011/05/10(火) 22:25:36.46 ID:x/exMWWQ0
いい終わりかただったな

883: 2011/05/10(火) 22:25:46.43 ID:/biLC1Kw0
クセぇぇ!!臭すぎる!wwwwww!



乙!

885: 2011/05/10(火) 22:27:45.70 ID:jwybWv5X0
>>1
乙!楽しませてもらった!出来れば便ブレードの話も書いてほしい!

897: 2011/05/10(火) 22:36:50.64 ID:GnS3XZev0
みなさん長いあいだお付き合いありがとうございました
それとこのSSにでてくるタカラ◯ミーと実際のタカラトミーは全然関係ありませんので悪しからず

905: 2011/05/10(火) 22:43:51.02 ID:d357qh4AO
これはコロコロコミックで連載されるべき

乙 2日間職場からたのしませてもらった

引用元: 梓「おし○こ我慢大会ですか……」