12: 2011/05/22(日) 22:31:02.66 ID:smC9GJ6VP
黒子「……何を言っているんですの?」

結標「ちょっと、テンション低いわよ? せっかく私たちに陽があたる時が来たっていうのに!」

黒子「……なんなんですの一体。というか貴女、そんなに『!』を付けて話すキャラじゃないでしょうに」

結標「何言ってるのよ! 今日は私たち空間移動系能力者の強さが証明された日なのよ!? テンション上げないでどうするの!」

黒子(鬱陶しいですの……)

黒子「はぁ……、まあ話だけは聞きますわ。ですが、わたくしジャッジメントの活動もありますので手短にお願いいたしますの」

結標「ふふーん。そのやる気の無さもこれを見たら吹っ飛ぶわよ!」スッ
とある魔術の禁書目録 4巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
15: 2011/05/22(日) 22:33:50.30 ID:smC9GJ6VP
黒子「……? パソコンですの?」

結標「ネットよ! インターネット! とある掲示板の書き込みなんだけど……」

黒子「はぁ……」

結標「これよ! 見て頂戴!!」

黒子「えーと……『テレポーターって実は最強なんじゃね?』ですの?」

結標「そうよ! 昨日このトピックを見つけた時は、遠足に向かう途中の、はしゃいでいる幼稚園児を見た時と同じくらい興奮したわ!!」

プルルルル ガチャ

黒子「あ、固法先輩ですの? 突然で申し訳ありませんが、変質者を捕えるためにアンチスキルの出動を要請――」

19: 2011/05/22(日) 22:36:12.11 ID:smC9GJ6VP

シュン!

黒子「あっ!」

結標「はい、余計なことしないの」ピッ

黒子「余計なこともなにも、変態を一般の方々と隔離するのはジャッジメントとして当然の行動ですの」

結標「……その理論だと、まず真っ先に貴女が収容されるべきだと思うんだけど」

黒子「? なぜわたくしが?」キョトン

結標(……あれ? この子もしかして本気で自覚なし?)

23: 2011/05/22(日) 22:38:22.43 ID:smC9GJ6VP
黒子「あの……」

結標「ああ、ごめん。なんでもなかったわ。気にしないで」

黒子「はぁ、そうですの」

結標「話が逸れたわね。それで、そのトピックの中身を見て欲しいんだけど」

黒子「分かりましたわ。なになに……『テレポートで脳内に直接鉄矢とかコルク抜き転移すれば一方さんにも楽勝じゃん』」

結標「そう! それよ! 私たちは自分の能力を過小評価しすぎていたのよ! 私たちが本気になれば学園都市第一位も目じゃないのよ!!」

26: 2011/05/22(日) 22:41:54.92 ID:smC9GJ6VP
黒子「……ですがこれは」

結標「そうね。貴方の言いたいこともわかるわ。いくらなんでも相手を氏なせてしまうのは、やりすぎだって言いたいんでしょ?」

黒子「いえ、そうではなく……そもそも、学園都市第一位というのは――」

結標「でもね、そこが問題だったのよ! 自分の能力の強さを抑えるために手心を加えていたせいで、私たちの評価がいつまで経っても変わらなかったの!」

黒子「あの、もしもし? わたくしの話聞いております?」

結標「それにね、あの口リコンもやしったら……、昨日、私のささやかな楽しみを邪魔してくれちゃって……!」

黒子(今の内に立ち去るべきでしょうか……)

27: 2011/05/22(日) 22:44:50.39 ID:smC9GJ6VP
結標「私が下校中の小学生を危険から守るために、付きっきりで護衛してあげようとしたのを、あの口リコンは……!」

黒子「携帯返してくださいですの。やはり通報するべきですわ」

結標「人の首根っこ掴んで引き摺って、挙句に言った言葉が『おら、ガキから離れろ。この性犯罪者が』よ!?」

黒子「わたくしは、その方に感謝の言葉を贈りたいですの」

結標「誰が性犯罪者よ!? 自分のほうがよっぽど凶悪な面構えで、異常性癖持ちのくせに!」

結標「と、いうわけで行くわよ!」ガシッ

黒子「ちょ、ちょっと! 腕を引っ張らないで下さいまし!」

34: 2011/05/22(日) 22:47:59.12 ID:smC9GJ6VP
結標「ふふふ。以前こっぴどくやられた時の意識があるせいで、アイツには強く出られなかったけど今日からは違うわ!!」

黒子「もはや、ただの私怨ではありませんの……」

結標「ニュー淡希の誕生よ! あの口リコンに上下関係を叩きこんでやるわ!!」

黒子(帰りたいですの……)ズルズル



――とある操車場


一方「チッ、よォやく来やがったか。この俺を呼び出しておいて遅れてくるとは、随分偉くなったなァ、結標よォ?」

結標「……ふふふ」


38: 2011/05/22(日) 22:51:48.79 ID:smC9GJ6VP
一方「あン……? なンだァ、気持ちわりィ笑い方しやがって。それにそっちのガキは一般人じゃねェのか?」

黒子(この殿方が第一位ですのね)

結標「この子は私の仲間(ソウルメイト)みたいなものだけど、今日の要件には関係ないわ」

黒子(いつの間にわたくしは、そんなに親しくなっていたのでしょう……)

一方「ふン、まァいい。で、用件は何だ三下。下らねェ話だったら捻り潰す――」

結標「言葉遣いに気をつけなさい。三下くん」

一方「…………あァ? よく聞こえなかったなァ。もう一度――」


44: 2011/05/22(日) 22:55:16.94 ID:smC9GJ6VP
結標「あら? 口リコンを拗らせると聴覚にまで影響が及ぶのかしらね。海原あたりにも気をつけるよう忠告してあげないとね」

一方「――く、くはは、おいおい、自殺志願か? あまり舐めた口を聞きやがると……」ビキビキ

結標「貴方こそ自分の立場を理解してから話してもらえるかしら? とりあえず、土下座して私の靴を舐めなさい。そうしたら口を開く権利をあげるわ」

一方「なるほど、よほど愉快なオブジェになりてェと見える」パチッ

結標「そもそもねぇ! 私は貴方に言ってやりたかったことが山のようにあるのよ!」

一方「……」ビキビキ

53: 2011/05/22(日) 22:59:05.43 ID:smC9GJ6VP
結標「『残骸』事件の時! いくらなんでも強く殴りすぎでしょう!? 一種の顔芸状態になっていたじゃない!」

一方「……」

結標「それと安易にババァとか呼ばない! 万が一どこぞの超能力者や聖人みたいにおばさん属性がついたらどうするの! 私は貴方と一歳しか違わないのよ!」

一方「……」

結標「そう! それに貴方があんな発言しなければ、私=ショタコンみたいな方程式は出来上がらなかったのよ!! どうしてくれるのよ!!」

結標「本編でそんな描写なんて全くないのに、貴方の一言で先輩系巨Oヒロインからショタコン女に十段階ぐらい格下げよ! どうすんのよホントに!!」

一方「……そもそもオマエはヒロインじゃねェだろうが」

結標「どうしてくれるの! この先私がメインヒロインのシリアス話が原作にあっても、ショタコンイメージが邪魔すぎるでしょう!」


60: 2011/05/22(日) 23:03:00.72 ID:smC9GJ6VP
一方「オマエがヒロインやる機会なンざありえねェから安心しろ」

結標「なによ! 第二の主人公の余裕!? 正直、私がかわいい男の子とチュッチュする話があったっていいでしょうが! 貴方だけずるいのよ!!」

一方「やっぱりテメェのショタコンは真性じゃねェか!!」

結標「うるさいうるさい!! 可愛い男の子が好きで何が悪いのよ! この口リコン!! ウルトラマンみたいなシャツ着てかっこいいと思ってるの!?」

一方「服装についてオマエが言えた義理か! サラシ女が!」

結標「演算の都合上しょうがないのよぉぉぉ!! いいからかかって来なさい、この口リコンもやしー!!!」

一方「よし、氏ねショタコン」ダッ

65: 2011/05/22(日) 23:06:20.22 ID:smC9GJ6VP
結標(ふん、一直線に向かってくるなんて愚行ね。残念ながら貴方の負けよ一方通行)

結標「さようなら、一方通行」

一方「……ッ!?」

シュン! キィン!!

結標「…………あれ? え、ちょ、ちょっと待――」

一方「……ふン」ブンッ

バキッ!

結標「ぶべらっ!?」

黒子(ああ……、以前よりさらに悲惨な状態に……南無)

70: 2011/05/22(日) 23:09:53.45 ID:smC9GJ6VP

                ・
                ・
                ・
一方「……何か策があるのかと思いきや、テメェこそショタコンを拗らせて思考能力がぶっ飛ンだンじゃねェか」

結標「……」ピクピク

一方「さァーて、覚悟はいいか結標淡希ィ? まさかあれだけこの俺を罵倒しておいて、一発で済むと思っちゃいねェよなァ?」

結標「」ガクガク

一方「オシオキの時間だぜェ?」

結標「」




黒子「あ、あのっ! 少々お待ちになってくださいですの!」

78: 2011/05/22(日) 23:12:51.66 ID:smC9GJ6VP
一方「……あァ? オマエまだいやがったのか。とっとと失せろ」

黒子「いえその……、その方をそれで許していただくわけにはまいりませんでしょうか?」

一方「はァ? 散々舐めた発言で挑発してきたババァを無傷で返せってのかオマエは?」

黒子「む、無傷って……、結標さん現在進行形で鼻血がドクドク出ていて、人様にお見せできないような顔になっているのですが……」

一方「こンなもン怪我のうちに入らねェよ」

黒子「そ、そこを何とか……。貴方は第一位なのでしょう? 強者でしたら弱者を見逃す余裕を……」

結標「わ、たし……じゃくしゃ、じゃない――」

黒子(黙っててくださいですの!)ヒソヒソ

80: 2011/05/22(日) 23:15:25.76 ID:smC9GJ6VP
一方「……ちっ、興醒めだ。次はねェぞババァ」

スタスタ

黒子「……ふぅ。助かったみたいですのね」

結標「」グスグス

黒子「このままではさすがにかわいそうですし……、病院に連れて行きましょう」

黒子「……あ、この方と一緒ですとテレポートができませんわね」

黒子「仕方がありませんわね。タクシーを拾いましょう。ほら、結標さん。ハンカチを貸しますので顔に当ててくださいな」

黒子「よいしょっと。ほら、ちゃんと掴まってくださいな。って、冷たっ! なんですの? あ……」

黒子「……行きましょう、結標さん」

89: 2011/05/22(日) 23:19:17.19 ID:smC9GJ6VP

――第七学区 とある病院前


結標「あわきん復活!!」ビシッ

黒子「……おめでとうございますの」

結標「ま、ちょっと想定外のこともあったけど、悪くない結果だったわ! 多分!」シャキッ

黒子「……」

結標「ところで、一方通行の『オシオキ時間だぜェ』辺りの台詞で、卑猥な妄想をしてしまった人はいないかしら!?」

結標「正直、一方通行は好みでも何でもないけど、あの赤い眼で蔑まれながら『オシオキ』だなんて言われると、ちょっとキュッと来るものがあったわ!」

黒子「……」

97: 2011/05/22(日) 23:23:10.90 ID:smC9GJ6VP
結標「まいったわねぇ、私には被虐趣味なんてないはずなのに。下世話な話だけど、あの言葉のせいで下着を替えるハメになっちゃった――」

黒子「あの……」

結標「ん? どうしたのかしら黒子ちゃん!? あまり下ネタはよくないとか? もう、真面目なんだから――」

黒子「その、大丈夫ですのよ。あんな風な状況になれば仕方のないことですし、わたくしも……誰にも言いませんので」

結標「…………ホントに?」

黒子「え、ええ。もちろんですの」

105: 2011/05/22(日) 23:25:57.23 ID:smC9GJ6VP
結標「……でも、貴女にも嫌な思いさせたでしょう? 病院まで運ぶ前に、その、替えまで買ってくれて……」

黒子「き、気にしないで欲しいですの! わたくしたちは仲間(ソウルメイト)なのでしょう!?」

結標「……ありがとう白井さん。本当に、怖かったのよ……」

黒子「忘れましょう、早急に」

結標「うん……。よしっ!」




結標「さて、残念ながら一方通行には負けてしまったわね」

黒子「そもそも、第一位は能力者相手ならば無敵。テレポートに関しても反射できることが明言されておりますの」

112: 2011/05/22(日) 23:29:58.21 ID:smC9GJ6VP
結標「でも、第二位のように能力が通った例もあるし……」

黒子「あれは、反射の仕組みを逆手に取った例外中の例外ですわ。正攻法では攻略はやはり無理ですのよ」

結標「……しょうがない、か」

黒子「それが分かればよいでしょう。それではわたくしは――」

結標「じゃあ、次の対戦相手に行きましょう」ガシッ

黒子「ちょ、ちょっと! まだやるんですの!?」

結標「なに言っているのよ! 私たちの戦いはまだ始まったばかりよ!!」

黒子「そのセリフは終わる時専用のはずですのー!」ズルズル


116: 2011/05/22(日) 23:32:49.41 ID:smC9GJ6VP

――第七学区 とある河原


美琴「……来たわね。今更になって呼び出すだなんて一体何の用……って、黒子!? アンタ何してんの!?」

黒子「ちょ、ちょっと結標さん! 次の対戦相手というのはお姉様のことですの!?」

結標「ええ、そうよ。第一位は無理だったからその次ってことね。第二位はいないし」

美琴「何言ってんのよ……。というか、黒子。アンタ今日ジャッジメントの活動があるんじゃなかったの?」

黒子「いえ、その……なぜか、成り行き上こうなってしまいまして」

結標「御坂さん、貴女に用事があるのは私よ。今日は貴女に――」

黒子「ちょっとお待ちくださいですの!」

結標「? どうしたのよ、白井さん」

120: 2011/05/22(日) 23:34:56.07 ID:smC9GJ6VP
黒子(貴女本気でお姉様に挑むおつもりですの!? 前に対峙した時もお姉様には敵わないと、まともに相対もしなかったはずでは……)ヒソヒソ

結標(大丈夫よ白井さん! これを見て!)スッ

白井(……またインターネットの情報ですの? こんなものの信用性など語るべくもないでしょう。実際さっきは――)

結標(今度はもっと信憑性の高い情報源よ! ほら、とにかく見て!)

白井(えーっと、結標淡希……初出は八巻、霧ケ丘女学院の――)

結標(もっと下のほうよ!)

美琴(……なんか随分仲がいいわね)

白井(あ、これですの? 『能力の使い方によっては御坂美琴を打破する事も可能との事』)

124: 2011/05/22(日) 23:37:30.27 ID:smC9GJ6VP
結標「ふふ、そうよそうなのよ!! つまり、第三位より私の方が強いということが証明されているのよ!」

美琴「……ん?」

白井「あ、あの結標さん……?」

結標「さあ、お待たせしたわね御坂さん。早速始めましょう!」

美琴「いや、始めるって何を……」

結標「第三位『超電磁砲』の御坂さん! 貴女に勝負を挑むわ!!」

美琴「勝負?」ピク

結標「第三位なんて持てはやされて、スピンオフまで作ってもらっちゃって……、その栄光も今日までよ!」

126: 2011/05/22(日) 23:40:04.04 ID:smC9GJ6VP
美琴「へぇ……、状況はいまいちわかんないけど凄い自信ね」

結標「貴女は私に負けて、能力強者としてのアドバンテージを失うのよ!!」

美琴「……」バチバチ

結標「そうなれば貴女に残る属性なんて、似合わない少女趣味と短パンとツンデレくらいね!! でも、人気のツンデレ属性は正直羨ましいわ!!」

美琴「わけわかんないことをベラベラと……」

結標「とにかく! いいわね! 貴女が負けたら私とヒロイン交代よ!!」

黒子(ドサクサに紛れて勝手に条件をつけていますの……。というか単にヒロインやりたいだけでは……?)

美琴「ふん、どうでもいいわ! さっさと始めるわよ!!」

結標「この戦いが終わったら……私はヒロインになるのよ!」



黒子「あ、じゃあ合図はわたくしが出しますの。用意……スタートですの!!」

132: 2011/05/22(日) 23:43:44.10 ID:smC9GJ6VP

結標(よし! まずは、御坂さんの背後に……え?)

バチィ!

結標「ちょ、みぎゃぁあ!???」バリバリ!

美琴「……」バチバチ

黒子「……勝負あり、ですの」

               ・
               ・
               ・
黒子「あの、大丈夫ですの? ハンカチ濡らしてきましたので……」

結標「……ありがとう。あれ、このハンカチ……カエル?」

黒子「あ、はい。わたくしのは先程使えなくなってしまいましたので、お姉様が貸してくださったのを――」


136: 2011/05/22(日) 23:46:43.13 ID:smC9GJ6VP
結標「なによ、全然余裕で負けてるじゃない! 気遣われるレベルで! あのサイトの嘘吐き!」

黒子「あの、そもそもなんですが……」

結標「……なに?」

黒子「能力の使い方によっては勝てる、という注釈は逆に言えば地力では劣っている、ということと同義ですのよ?」

結標「……」

黒子「それなのに正面切ってよーいドン、で勝負すれば能力発動の初動が早いお姉様に勝つのは難しいですわよ……。
    貴女はただでさえ自身の移動に時間がかかりますのに……」

結標「……」

黒子「こういう言い方はなんですが、勝利を狙うならばもう少し立ち回り方を――」

140: 2011/05/22(日) 23:49:39.83 ID:smC9GJ6VP
結標「そうね! その通りだわ!! 次こそ……!」

黒子(あ、マズイですの)

黒子「で、では、わたくしはお先……にっ!?」

結標「さあ! 次の相手のところに行くわよ!」ガシッ

黒子「もうどうにでもしてほしいですの……」ズルズル


――とある研究施設


麦野「ったく、どこのどいつだ? この私を呼び出すだなんてお偉い野郎は?」

146: 2011/05/22(日) 23:52:58.84 ID:smC9GJ6VP

スッ

結標「こんにちは」

麦野「あら、アンタが結標? 用件は一体――」

結標「もちろん下剋上よ、お・ば・さ・ん。今日で貴女は私より格下になるの」

麦野「……あァ!?」

結標「では、戦闘開始よ」

シュン!

麦野「チッ、空間移動か?」

麦野(ま、なんにしても……ブチコロシ確定ね)

148: 2011/05/22(日) 23:55:21.70 ID:smC9GJ6VP

麦野「おーい、滝壺――」



結標(ふふ、事前にこの建物の内部構造は把握済みよ! こうして隠れて奇襲をくらわせてやるわ!!)

結標(今度こそ、私の大勝利……ん? なにこの光――)

ボシュウ!

結標「あばばぁぁぁ!!??」

               ・
               ・
               ・
黒子「む、結標さん? 大丈夫ですの!?」

結標「ひぐ、ひっく、『むす/じめ』になるかと思った……。ぐすっ」

153: 2011/05/22(日) 23:58:29.27 ID:smC9GJ6VP
黒子「あ、あの、ハンカチどうぞ。ジャージ姿の方が貸してくれましたの」

結標「ぐす、ひっく、なによぉ……なんでナチュラルに他の能力者の力使ってるのよぉ。超能力者なら一人で……ひっく」

黒子「あ、あの……」

結標「……次、次行くわよ」

黒子(その精神だけは見上げたものですの……)



――とある繁華街


結標「な、なんなのよ! あれ本当に人間なの!? 移動速度が速すぎ……!」

削板「む? なんだなんだ、ちょろちょろと逃げ回りやがって。根性が足りねえな!」

154: 2011/05/23(月) 00:02:25.40 ID:u5jVwu7JP
結標(くっ、あのスピードにどうやって照準を合わせればいいのよ! それに動きが不規則すぎて予測も――、!?)

削板「そこか!? どりゃああああ!!!!」ブンッ!

シュン!

結標「あ、あっぶな……この人本当は、身体強化の能力なんじゃ――、あ」

削板「すごいパーンチ!!!」

結標「ふごがっ!!!???」

削板「お? 勘で攻撃したら当たったみてーだな! これも日頃の根性の成果か!?」

結標「」ピクピク

削板「うし! 俺の勝ちだな。じゃーな、ねーちゃん。根性つけてきたらまた闘おうぜ!」

黒子(四連敗……)

156: 2011/05/23(月) 00:06:50.32 ID:u5jVwu7JP

               ・
               ・
               ・
黒子「……ハンカチ、どうぞ」

結標「……」グスグス

黒子「あ、これは近くにいた学生さんが貸してくれましたの。名前は確か、原谷さんとおっしゃって……」

結標「……」ヒックヒック

黒子「あの、そろそろ諦め――」

結標「もういや!! なによこの化け物連中は! どうやって勝てっていうのよ!!」

黒子「あの、ですからもうやめに――」

結標「もういい、この際相手にはこだわらないわ! そもそもあんな連中と戦うなんてのが間違いだったのよ!」

158: 2011/05/23(月) 00:08:52.84 ID:u5jVwu7JP
黒子「というか、元から色々間違って――」

結標「白井さん!! 貴女の知り合いでいいから勝てる相手を!」

黒子「な、人の友人に何をするつもりで――、ああ! 人の携帯を勝手に使わないで下さいまし!」

結標「よし、この子に決定!」




――第七学区 セブンスミスト裏手路地

佐天「あれー? この辺だと思ったんだけどなー。白井さーん? どこですかー?」

160: 2011/05/23(月) 00:12:16.08 ID:u5jVwu7JP
佐天「ふーむ、一体どこに……。あっ、いたいた! 白井さ……ん?」

黒子「むー! むー!」

佐天「し、白井さん!? どうしたんですか! 縄でぐるぐる巻きにされて……、まさか白井さんついにソッチの趣味にも……」

黒子(そんなわけないですの!! いいから早く逃げ――)ジタバタ

結標「はぁい、こんにちは佐天涙子さん」

佐天「……へ? あ、どうも」

161: 2011/05/23(月) 00:15:31.18 ID:u5jVwu7JP
結標「私は結標淡希よ。じゃあ、早速勝負よ!」

佐天「え? しょ、勝負? 一体どういう……」

結標「何も難しいことはないわ! 貴女は能力を使った戦闘の相手になってくれればいいの!」

佐天「能力……? あ、あのー」

結標「何かしら?」

佐天「あはは、あたしって無能力者なんですよー。だから戦闘って言われても……」

結標「……」

165: 2011/05/23(月) 00:19:18.92 ID:u5jVwu7JP
佐天「すみません。もしかして白井さんの知り合いだからとかで、変に期待させちゃいましたか?」

結標「大丈夫。知っているわ」

佐天「え?」

結標「貴女が無能力者ってこと、ちゃんと知っているのよ」

佐天「じゃ、じゃあ――」

結標「でもいいの! だって私が勝てばいいだけだから!!」

佐天「……はい?」

結標「この際相手の強さには拘らないわ! というかやられっぱなしでイラついているから、偶には圧勝したいのよ!」

佐天「ええええええええ!!?? なんですかその無茶苦茶な言い分は!?」

167: 2011/05/23(月) 00:23:02.51 ID:u5jVwu7JP
結標「いいのよいいのよ、あんまり痛くはしないであげるから♪」

佐天「ち、ちなみに結標、さんの能力って……」

結標「座標移動。そこにいる白井さんの上位版みたいな能力ね。ちなみに強度は大能力者よ!」

佐天(……やばい、思ったより大ピンチだ!)

結標「ふっふーん♪ さあさあ、始めましょう!!」

佐天「ちょ、ちょっと待ってください! 私みたいな無能力者に勝ったところで貴女になんの得も……」

結標「だからいいんだってば。私が気持よく勝利できれば!」

佐天(ちっくしょー! このクズ人間がー!!)

171: 2011/05/23(月) 00:26:30.15 ID:u5jVwu7JP
結標「まあ加えて言えば外伝的作品とは言え、あんなに人気が出てる貴女にちょぴっとだけコルク抜きをお見舞いしたいなーとか、思ってたり♪」キャピ

佐天(キャピ、じゃないってのぉぉ!!! もう、こうなったら――)

佐天「わ、わかりました! 勝負しましょう!」

結標「うん! ありがとう。じゃあ白井さん、ガムテープ剥がしてあげるから合図を――」

佐天「だ、第一回!! 結標さんと佐天涙子のお料理対決ー!!! パフパフー!!」

結標「……え? お料理?」

174: 2011/05/23(月) 00:29:40.47 ID:u5jVwu7JP
佐天「い、いやぁー、大能力者さんとの対決だなんて緊張するなー!! 何を作ろうかなー!」

結標「……」

佐天(止まったら終わりだ!!)

佐天「さーて、材料はどうしましょうか!? あたし丁度買い物してきたところだったんで、この材料からってことで――」

結標「あの……、悪いけど」

佐天「はーい!! なんですかぁ!? 材料が足りなければそこのスーパーで!」

佐天(いくらなんでも無理かなあ!!?? ちくしょ――、……え!?)

175: 2011/05/23(月) 00:33:21.34 ID:u5jVwu7JP
初春『さあ、いよいよ開幕を迎えます! 第一回お料理バトル! 司会進行兼実況はこの私、初春飾利が務めます』

結標「……あら? 貴女一体どこから――」

佐天「う、初春ぅー!!! ありがとー!!!」ダキッ

初春(もう大丈夫ですよー。支部で監視カメラの映像を暇つぶしにチェックしてましたら、佐天さんが路地裏に入るところが見えたので)ボソボソ

佐天(今は全部聞き流すよー! 初春ホントにありがとー!! でもあの人、大能力者で……)

初春(大丈夫ですよ。ちゃんと『一緒』に来ましたから)

結標「ねえ、料理とかどうでもいいから早く――」

ゾクッ

177: 2011/05/23(月) 00:36:21.76 ID:u5jVwu7JP
結標(――え? な、何この殺気。な、何が……)クルッ

美琴「ハロー」フリフリ

結標「」

美琴(佐天さんに妙な真似したら……、さっきみたいなお遊びじゃ済まないからね?)ボソッ

結標「」ガクガク

佐天「あ、あのー結標さん。じゃあ――」

結標「……さあ、始まるわよ!! あわきんとるいこちゃんのお料理バトル! 時間無制限の一本勝負よ!!」

佐天「はい! それで行きましょう!」

黒子「ふが、はれはれへふの」(ふぅ、やれやれですの)

178: 2011/05/23(月) 00:39:33.80 ID:u5jVwu7JP
初春『お二人は一体どんな料理を作るのでしょうか! あ、調理している間に審査員を紹介しますね』

インデックス「はやく料理を持ってくるんだよ!」

初春『はーい、意欲たっぷりのコメントありがとうございます。この通り、審査員はそこを通りがかったシスターさんにお願いしました!』

美琴「アンタいつの間に……」

インデックス「短髪にかまっている暇はないんだよ! わたしはおいしい料理を食べに来たんだから!」

美琴「短髪言うな!」

180: 2011/05/23(月) 00:43:34.34 ID:u5jVwu7JP
初春『さあ、そうこう言っている間に料理は完成しています! 早速、試食に移りましょう!』

結標(ま、まあちょっと予定外だけど。これはこれでアリよね)

結標(料理のできるヒロインって安定したプラス要素だし、こういう攻め方もありでしょ。うん、決して御坂さんにビビったわけじゃないわ)

結標(それに、相手は白井さんと同い年だから中一。さすがに負けるってことはないわよね)

初春『さて! お二人には作った料理を発表してもらいます!』

佐天「カレーです!」ビシッ

結標「野菜炒めよ!」ドンッ

182: 2011/05/23(月) 00:46:34.09 ID:u5jVwu7JP
初春『お二人とも定番料理で攻めてきました! さて、結果はどうなるのか!? では、審査員の――』

インデックス「おかわり!!」

初春『え!?』

インデックス「凄くおいしいカレーなんだよ!! 早くおかわりが欲しいかも!」

初春『い、いえ、審査員ってそういう感じじゃなくて……』

佐天「あはは、多めに作ったから大丈夫だよ。はい、どうぞ」

インデックス「ありがとうなんだよ!!」

バクバク! モグモグ!

183: 2011/05/23(月) 00:49:16.71 ID:u5jVwu7JP
インデックス「ピリッと辛みがきいていて、すごくいい感じかも!」

初春『えっと、どうやらかなり高評価のようですね! それではみなさんも食べましょう!』

美琴「もぐもぐ……。うーん、凄くおいしいけどもうちょっと甘めでも……」

黒子「ふご、はへひえ、はえ」(それはお姉様の味覚がお子様なだけですわ。それにしても、食べづらいですわね……)

結標(確かにおいしいわね……)モグモグ

初春『はぁ、おいしかったです。さて、次は結標さんの料理です!』

185: 2011/05/23(月) 00:54:54.48 ID:hp2GSJZG0
結標「ねえ、審査員のシスターさん食べられるの? 三杯もおかわりしてたけど……」

インデックス「ノープロブレムなんだよ! おかわり用意して待ってるといいかも!」

結標「それならいいけど。はい、どうぞ」

インデックス「いただきますなんだよ!!」

初春『あ、また合図の前に……。まあ、いいです。では私たちも――』

美琴「ブフッ!?」

黒子「ほげっ!?」(ほげっ!?)

佐天「……う、げほっ」

結標「え、え? ちょっと、どうしたのよ」

188: 2011/05/23(月) 00:57:15.59 ID:hp2GSJZG0
美琴「ど、どうしたってアンタこれ……」

佐天「あ、あはは……」

黒子「ひ、ひぐぅ……」(へ、変な体勢で咳き込んだら、顎が、顎が外れて……)

初春『こ、これはちょっと印象が良くないみたいですねー。で、でも審査員さんの意見によっては――』

インデックス「――」

初春『あ、あれ? シスターさん?』

美琴「……あまりの不味さに卒倒しちゃってるんじゃない?」

結標「あ、貴女ねえ! そんな酷くはないでしょう!?」


190: 2011/05/23(月) 01:00:13.37 ID:hp2GSJZG0

美琴「アンタ味見したの? 正直、これは――」

インデックス「――警告。冒涜ともとれる程の不味い料理を確認。その存在の作り手の排除を最優先」

美琴「ん?」

初春&佐天「え?」

結標「なに?」

黒子「ひぐぅ」(顎が……顎が)

194: 2011/05/23(月) 01:05:25.54 ID:hp2GSJZG0

フワッ

インデックス「――舌、喉、胃、各部に対しての被害の状況から、最適な迎撃(復讐)方法を選択……完了」

美琴「う、初春さん! 離れて! 明らかにマズイわ!!」

初春「は、はい!!」

結標「ちょ、ちょっと、いったい何なの?」

インデックス「――術式の構築、完了。命名、『神よ、何故こんなに不味い料理が存在するのですか』発動準備完了。即時実行します」

ゴゴゴゴ バシュウウン!!

結標「え、ちょ、な、ぎゃああああああああ!!!」

195: 2011/05/23(月) 01:10:24.95 ID:hp2GSJZG0
美琴&佐天&初春「…………」

インデックス「――脅威の排除、……未確認。追撃の術式を――」

バタッ

インデックス「……」

美琴「と、止まった……? ちょ、ちょっとアンタ! 大丈夫?」

インデックス「……お、おいしくなかったんだよ……」

198: 2011/05/23(月) 01:12:26.36 ID:hp2GSJZG0
美琴「……、ね、ねえ佐天さん、初春さん! なんかクレープとか食べたくない!?」

佐天「え、あ、そうですね! 食べたいです!!」

初春「は、はい! 私も!」

インデックス「クレープ……?」

美琴「あ、アンタも一緒に来る? なんなら奢ってあげるわよ!」

インデックス「いいの!?」ガバッ

美琴「もちろん! 美琴センセーにまっかせなさい」

佐天「よっし、じゃあ行きましょー!!」

初春「おー!!」

インデックス「おー!」

201: 2011/05/23(月) 01:15:46.53 ID:hp2GSJZG0
                 ・
                 ・
                 ・
黒子「……」

結標「……」ピクピク

黒子(ずっと縛られていたのに誰も気にかけてくれませんでしたの……。まあ、能力を使えば脱出できるからいいのですけど)

黒子「それはそうと、大丈夫ですの?」

結標「……無理、氏にそう」ピクピク

黒子「ギャグ補正があるとはいえ、貴女もたいがい丈夫ですのね。で、もうやめにしますの?」

結標「……最後。最後に一人だけ」

黒子「はあ……、こうなったらとことん付き合いますの。どちらまで?」

結標「第七学区よ……」

202: 2011/05/23(月) 01:18:11.17 ID:hp2GSJZG0
黒子「えーと、そもそも現在地は……雰囲気が悪いと思ったら第十九学区ですのね。随分飛ばされましたわね」

結標「……」ズルズル




――第七学区 とある学生寮前

上条「えーっと、郵便受けに入っていた手紙は……」

結標「ええ、私が出したものよ。初めまして、上条当麻君」

上条(誰とも知らぬ方からの呼び出しに出向いて、目の前のお姉さん系美人さんを見つけた時は遂に上条さんにも春が来たと思ったのに……)

上条「……よう、白井」

黒子「こんにちは。殿方さん」

上条(二人きりじゃないってことは、そういう話でもないんですよね……不幸だ)

204: 2011/05/23(月) 01:22:19.18 ID:hp2GSJZG0
上条「あのー、それで」

結標「あ、自己紹介が遅れたわね。私は結標淡希よ。よろしく」

上条「はぁ。それで、結標さんは何の用で……」

黒子(あの、結標さん。最後はこの殿方ですの?)ヒソヒソ

結標(ええ、そうよ。やっぱり主人公って人は避けては通れないんだから)

黒子(しかし、あの殿方はなにやら不思議な能力を――)

結標(大丈夫。テレポーターは彼と戦闘の相性がいいらしいわ)

黒子(……まあ、もう何も言いませんけど。頑張ってくださいですの)

206: 2011/05/23(月) 01:24:43.68 ID:hp2GSJZG0
上条「あの」

結標「上条君。いきなりで悪いけど私と勝負してもらうわ」

上条「え、勝負って……」

結標「もちろん戦闘よ」

上条(……あれ、この人白井じゃなくて御坂の知り合いなのか?)

上条「は、はは、綺麗なお姉さんと戦うだなんて上条さんには――」

結標「あら、ありがとう。でもそれとこれとは別よ。ほら、早く構えて」

上条(ちくしょう……不幸だ)

208: 2011/05/23(月) 01:27:28.40 ID:hp2GSJZG0
結標「さあ、戦闘開始よ!」

上条「ちくしょう!! 何がなんだかさっぱりだけど、知るか! かかって――」

シュン!

上条「……へ?」

ゴドォン! ドォン!! ドガッ! ガシャッ!! ズドォン!!!!

上条「ぎゃあああああああああ!!!!」

結標「あ、あれ? 当たった……?」


210: 2011/05/23(月) 01:31:03.45 ID:hp2GSJZG0
黒子「ちょっと! 貴方何をしていますの!?」

結標「い、いや、先手必勝と思って、近くの廃ビルにあった資材や瓦礫を力の限り転移してみたんだけど……。彼の頭の上に」

黒子「やりすぎですわ!! 早くどけてくださいな!!」

結標「だ、大丈夫よ。彼主人公よ? きっと、実は全部避けてましたー的な展開が……」

黒子「悲痛すぎる悲鳴が聞こえたでしょう!? いいから早く!!」

結標「わ、分かったってば。えい」

シュン!

212: 2011/05/23(月) 01:34:18.81 ID:hp2GSJZG0
上条「」ピクピク

結標「……」

黒子「……」

ゴシャァァァン!!!!

黒子「戻すなですの!!!!!」

結標「だ、だって、腕が……腕が潰れて」ブルブル

黒子「あれだけの瓦礫に埋もれれば当たり前でしょうが!! 早く病院に連れて行かないと命まで!」

214: 2011/05/23(月) 01:36:37.90 ID:u5jVwu7JP
結標「か、上条君ごめんなさ――」

黒子「謝る暇があったら早く瓦礫を――」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

黒子&結標「……え?」

上条(?)「……」スクッ

結標「あ、ほら、生きて……、あ」

黒子「……? なにやら様子が」

217: 2011/05/23(月) 01:39:53.48 ID:u5jVwu7JP
上条(?)「……」ニタァ

結標「あ、あれ? 何、これ? なんで……震えてるの、わた、し」ガクガク

上条(?)「……」スッ

結標「ひ、あ、ああ……え? や、やめ」

上条(?)「……」ブン

ゴガッシャァァン!!!!!!!!

                 ・
                 ・
                 ・
黒子「」

218: 2011/05/23(月) 01:42:02.59 ID:u5jVwu7JP
上条「……あれ? 瓦礫は……」

黒子「あ、あの、殿方……さん?」

上条「ああ、白井。なんだか知らないけど助かったみたいだ。もしかして、結標さんとやらがやっぱり気が引けて外したとか……」

黒子「あ、貴方、なんなんですの?」

上条「ああ!? 何故かシャツの右腕部分が血塗れに!? 買ったばかりなのに……不幸だ」

黒子(さっきのは一体……、忘れたほうがいいのでしょうか……)

上条「あ、そういや結標さんは? もう帰ったのか?」

黒子「い、いえ、助かったと気付いた途端すぐにどこかに走って行ってしまって……」

上条「ふーん? ん、 何だ今の声?」

黒子「今の……結標さんでしょうか?」

221: 2011/05/23(月) 01:44:03.45 ID:u5jVwu7JP

――路地裏

結標(なにあれ、こわい、ありえない、みたくない、ききたくない)

結標(た、助かったの私? 両手足ちゃんと付いてる?)

結標(大丈夫? 大丈夫よね?)

不良A「……お? どーしたねえちゃん。気分わりいのか?」

不良B「おいおい、そいつは大変だな。休めるホテルにでも行くか? ひゃははは!」

不良C「つーか、なんだよその格好。誘ってんじゃねえの?」

結標「……」ハァハァ

不良A「おいおい、つれねーなぁ。無視すんなよ」スッ

結標「……ッ!」ブンッ

ゴツッ!

不良A「がっ!?」

223: 2011/05/23(月) 01:46:16.88 ID:u5jVwu7JP
不良D「おいおい! 何してくれてんだァこのアマ!!」

不良B「仕込み警棒か? ふざけた真似しやがって……」

結標(っ、鬱陶しいわね。座標移動で……うぷっ、演算に集中できない……!)

結標「っく!」ブンッ

不良B「おっと、何発も食らうかよ!」ヒュッ

結標「がはっ!」

不良C「おうおう、容赦ねえな」

不良B「へっ、生意気な女には何発かぶち込んでから、調教してやりゃいいんだよ」

結標「く、なめんじゃ……ないわよ!」ブンッ

224: 2011/05/23(月) 01:48:34.53 ID:u5jVwu7JP

不良B「おっと。お前こそ舐めんなよ? こんなとこに居るからって、スキルアウトなんかだと思ってんじゃねえぞ」ボウッ

結標(発火能力……!)

不良D「おい、やりすぎんなよ」

不良B「分かってらぁ、軽くお仕置きするだけだ」

結標(演算、演算……)

不良B「行くぜえ、おらよっ!!」ゴォッ

結標(……くっ!)

「むすじめええええー!!!!」

パキィン!!

不良B「……は?」

225: 2011/05/23(月) 01:50:58.36 ID:u5jVwu7JP
結標「……え、あ」

上条「……はぁ、はぁ」

結標「上条、君?」

上条「テメェら……、よってたかって女の子一人相手に……」

不良B「テメェ……、いったい何しやがった?」

不良D「はっ? へぶっ!?」ドサ

上条「しかも、今の能力はなんだ!? あんなもんが当たっちまったらどうなると思ってんだよ!?」

不良B「うるせぇよ! 最初に仕掛けてきたのはそのアマの方なんだよ!!」

226: 2011/05/23(月) 01:53:17.18 ID:u5jVwu7JP
不良C「お、お前どこから……ごふっ!?」ドサッ

上条「だから、あんな能力を人にぶつけていいって言うのか? 強い能力持ってるんなら、それなりの扱い方くらい心得てるはずだろうが!」

不良B「ちぃ、ゴチャゴチャと……」

不良A「くっ、ちくしょう。思いっきり殴りやがって、あの女……ぶばっ!? また、かよ……」ドサ

上条「いいか! そもそもそんな能力を――」クドクドクドクド

不良B「なっ!? お前らなに寝てんだ――え? ぶべらっ!?」ドサ


                ・
                ・
                ・
上条「――――――! いいぜ、まずはそのふざけた幻想を……あれ?」

黒子「ふう。この手の野蛮人どもはいつまで経っても減りませんのね」

228: 2011/05/23(月) 01:55:25.43 ID:u5jVwu7JP
上条「白井……? あの、不良達は?」

黒子「はい? あ、それより……結標さん? 大丈夫ですの?」

上条「……」

不良A・B・C・D「……」グデーン

上条(俺の見せ場が……)

結標「……」

黒子「大丈夫ですの? 気分は悪くありませんか?」

230: 2011/05/23(月) 01:57:31.26 ID:u5jVwu7JP
結標「なん、で?」

黒子「結標さん……?」

上条「どうした?」

結標「上条君、何で……私を助けたの?」

上条「なんでって……言われてもな」

結標「……だって、私は貴方をあんな目に合わせただけよ? 恨まれることはあっても助けられる覚えは――」

上条「そうか? 別にお前は悪人ってわけでもないし……」

結標「……」キョトン

上条「結標?」

結標「ぷっ、ふふふ……。そっか、そうなんだ」

232: 2011/05/23(月) 02:00:13.71 ID:u5jVwu7JP
上条「あ、ああ」

結標「ありがとう、上条。このお礼はいつかさせてもらうわね。行きましょう、白井さん」

黒子「え? はい、ですの」

スタスタ

上条「……さて、買い物にでも行くか。つーか、インデックスの奴はどこまで出かけてるんだか」




黒子「あ、あの……結標さん?」

スタスタ ピタッ

結標「ねえ、白井さん。私、決めたわ!」

黒子「……はい?」

236: 2011/05/23(月) 02:02:15.69 ID:u5jVwu7JP

――翌日――


結標「おっはよう! 上条!」

上条「む、結標!? いったいどうし――うおおっ!?」

結標「さあ、一緒に登校しましょう?」ギュッ

フニュンフニュン

上条(うおおお! 上条さんの腕が結標のやわらかさに包まれてえぇぇぇ!!)

結標「ふふっ、なんか随分嬉しそうね。と・う・まくん?」

上条「い、いや、それは!」

上条(ちくしょう! なんだこの心地よさは! もう腕が完全に挟まれて……!)

結標「ほらほら、足動かして。早くしないと遅刻しちゃうわよ?」

239: 2011/05/23(月) 02:04:19.59 ID:u5jVwu7JP
上条「そ、そうだな。でも、このまま学校になんて行ったら土御門や青ピに……って、学校? 結標、お前って――」

美琴「ちょ、ちょっと!! なにしてんのよアンタ達!!」

上条「み、御坂!?」

結標「あら、御坂さん。おはよう」ギュウッ

上条(結標さーん!!?? 何で更に強く抱きこんでるんでせうか!?)

御坂「ちょっと!! 離れなさいよ! というかなんでアンタがここに――」

結標「あら、貴女こそこんなところで油を売っていていいのかしら? 早く登校したほうがいいんじゃないの?」

御坂「それはアンタもでしょうが!! どこだか知らないけどさっさと自分の学校に――」

結標「ええ、だから今から行くのよ? 上条と一緒にね♪」

240: 2011/05/23(月) 02:06:20.03 ID:u5jVwu7JP
上条「……え?」

御坂「い、言ってる意味が分かんないわよ!」

結標「だ・か・ら、今日から上条と同じ学校に通うのよ。転校生としてね」ニコッ

御坂「は、はぁぁぁぁぁ!!?? 何言ってんのアンタ!?」

上条「マジなのか? 結標?」

結標「ええ、そうよ。ちなみに貴方と同じクラスにしたから。改めてよろしくね!」

上条「そ、そっか。なんか唐突だけどよろしく――、え? 同じクラスにした、って?」

美琴「なんなのよそれ! ていうか、いつまでくっついてんのよアンタ達は!!!」ビリビリ

上条「お、おい! 放電してるぞ御坂!」

結標「ほらほら。馬に蹴られるような真似してないで、さっさと自分の学校に行きなさい。お嬢様」

243: 2011/05/23(月) 02:08:35.21 ID:u5jVwu7JP
結標「ふふ」ニコニコ

黒子「まあ、どこまで本気かわかりませんが……、頑張ってくださいとだけ言っておきますわ」

結標「ありがとう。貴女にはいろいろ世話になったし、そう言ってもらえると嬉しいわ」

上条「?」

美琴「黒子……?」

黒子「さあ、お姉様! このままでは遅刻ですわ! 急ぎますわよ!」

美琴「え、ちょっと待――」

シュン!

上条「……行っちまった」

245: 2011/05/23(月) 02:10:41.65 ID:u5jVwu7JP
結標「そうね。で、貴方はそんな余裕そうにしているけどいいの?」

上条「……え? って、もう時間やべぇ!! つうか結標もだろ!?」

結標「私は能力があるから楽勝よ。でも、貴方は走らないと間に合わないでしょうね」ニコッ

上条「ちくしょおおおおおお」ダダダダッ

結標(テレポーターの評価を上げるため、ヒロインに抜擢されるため、そのために……上条当麻に近づく)

結標(いいじゃない、それで。超電磁砲も絡んできそうだし、退屈はしなさそうだわ)

結標(それに……)

上条「おーい! 結標ー、行かないのか?」

結標「今行くわよー!」

結標(年は、一つしか違わないけど結構かわいいところあるし……、あの時は、ちょっとグッと来たし、ね!)

シュン!

246: 2011/05/23(月) 02:12:50.55 ID:u5jVwu7JP
結標「さあ、頑張って! 始業まであと十分よー」

上条「ホントに便利だなその能力!」ダダダダッ

結標(うん。これはこれで――「アリ」よね!)

248: 2011/05/23(月) 02:14:57.07 ID:u5jVwu7JP

――某所 キャンピングカー内部

海原「あの……結標さんは?」

土御門「……学校が終わったら来るそうだ」

一方「……チッ」

海原「はぁ……? 急に勉学にでも目覚めたんですかね」

ピルルルルル

土御門(非通知……?)ピッ

土御門「誰だ?」

「私だよ、土御門元春。一つ用件があるのだが」

土御門「アレイ――ッ! チッ、要件はなんだ?」

「新しい案内人を手配してくれないか? 培養液の中身がヌルヌルしてきたので入れ替えたいのだが一人では難し「ブツッ!!」

土御門「………………仕事、始めるか」


End

250: 2011/05/23(月) 02:17:45.61 ID:u5jVwu7JP
終わり。こんな時間でしたが支援などありがとうございました

あわきんかわいい

251: 2011/05/23(月) 02:18:11.71 ID:VF7Tp3el0
>>250
乙でした

引用元: 結標「テレポーターって最強らしいわよ!?」 黒子「……はい?」