友紀「ノンアル？」

美波「は、はい……」

友紀「ノンアル？」

文香「そ、そうです……」


友紀「オーケーオーケー！　オッケッケー！」ﾍﾟｶｰ！

友紀「二人の分も、あたしが祝杯あげるからさ！」ﾍﾟｶｰｯ！


美波「そ、そういうものなんですか……？」

文香「二十歳になったら、未成年の方の分まで飲む必要が……」

武内P「待ってください、飲む前から間違っています」

武内P「今のは、姫川さんなりの……何と言いますか……」

美波「あっ、もしかして！　私達を気遣って？」

武内P「……それは、わかりません」

文香「いえ、きっと……そうなのでしょう」ﾁﾗｯ！


友紀「ングッングッ……プッハーッ！」

友紀「夏のビールも美味しいけど、秋口のビールも美味い！　美味しくん！」ﾍﾟｶｰ！

友紀「あっ、カンパイしてなかった！　アッハハハッ！」ﾍﾟｶｰｯ！


美波・文香「……」

武内P「……まずは、カンパイしましょうか」

美波「そ、それじゃあ！　気を取り直して！」

文香「は、はい……そうですね……」

武内P「新田さん、鷺沢さん。グラスは持たれましたか？」

美波・文香「はいっ！」

武内P「きょ」


友紀「長かった今シーズン！　やっと、ここまでやってきた！」

友紀「キャッツ！　リーグ優勝おめでとーう！　次は日本一だ！」

友紀「そして、今日のデイゲームの勝利を祝ってぇ……」

友紀「カンッ……パ――イッ♪」ﾆｺｯ！


美波・文香「か……カンパーイ……」

武内P「…………良い、笑顔です」

友紀「ングッングッングッ……プッ、ハァ～ッ！」

…ドンッ

友紀「っくう～っ！　勝利の余韻と共に！」

友紀「空きっ腹に、ビールがガツンと染み渡ってくるねー！」ﾍﾟｶｰ！


武内P「アルコールを飲む際は、空きっ腹は避けましょう」

武内P「お通し等、何かお腹に物を入れてください」

美波・文香「は、はいっ」


友紀「二杯目二杯目～っ♪　はんはんはーん♪」

友紀「麦芽とホップ♪　ステップ♪　ジャ～ンプッ♪」ﾍﾟｶｰｯ！


武内P「一気飲みは、絶対に避けてください」

美波・文香「は……はい……」

友紀「いやー！　でも、あたしからお酒の飲み方を学びたいだなんて！」

友紀「どうするどうする？　ねえねえ、どうする？」

友紀「姫川コーチって、呼んじゃうー？　姫川ヘッドコーチにしとくぅー？」ﾍﾟｶｰ！


武内P「この様に、会話を楽しみながらゆっくり飲みましょう」

武内P「アルコール度数の低いものを水で割る等も、効果的です」


美波「あの……ビールが来るの待ちなだけ、ですよね？」

文香「ビールの度数は……あまり、高くないのですね……」


友紀「っていうか、食べ物何食べる？　ねえねえ！」

友紀「今日はさ、パーッと行こうよ！　ホームラーンって感じでさ！」ﾍﾟｶｰｯ！


美波・文香「は、はいっ！」

武内P「……一人で自宅に帰れる程度で、お願いします」

友紀「うぇ～！？　それじゃ、あんまり飲めないじゃん！」

武内P「いえ、ですが……」

友紀「良いじゃん、家まで送ってよ～！　飲～み～た～い～っ！」

武内P「！？　それは、問題が……！」


友紀「あたしのファンだったら、大丈夫！」

友紀「逆に、キャッツが勝ったのに全然飲んでないとか心配されるって！」

友紀「ファンの人を心配させるなんて、あたし出来ない！　無理無理！」

友紀「……あっ、ビールきたきたー ♡」ﾍﾟｶｰ！


武内P「……今日は、仕方ありませんね」


美波・文香「…………」

美波・文香「……」


美波・文香「そうなんですね」ﾒﾓﾒﾓ…

美波「プロデューサーさん、ちょっと質問が」

武内P「？　はい、何でしょうか？」

美波「仮に、私が……そうですね、打ち上げでお酒を飲みすぎてしまって」

武内P「仮に、ですか……はい」

美波「一人では、帰るのが難しくなってしまった場合」

武内P「はい」

美波「プロデューサーさんは、どういった対応をするんですか？」

武内P「は、はあ……そうなってしまっては、困りますが」

美波「答えて下さい、重要な事です」


武内P「……タクシーで、ご自宅までお送りします」


美波「ですって！」

文香「……！」


武内P「……？」

文香「では……私も、お聞きしても良いでしょうか……？」

武内P「？　ええ、勿論です」

文香「仮に……美波さんが言っていた状況になった場合」

武内P「あの、そうならないために今日……」

文香「……………」

武内P「す、すみません……続きをどうぞ」

文香「歩くことすら、ままならないと思うのですが……」

武内P「……そう、ですね」

文香「腕に、その……こう……こう……」


文香「……すみません、何でもありません」


美波「諦めちゃダメよ！　文香さん、頑張って！」


武内P「……？」

文香「で、ですが……あまりにも大胆なのでは、と……！///」

美波「聞いてみなきゃ……ううん！　やる前から、諦めちゃダメ！」

文香「ですが、私には……その勇気が……！」

美波「っ……！　どうすれば良いの……！？」


友紀「んもーっ！　二人共、ひどいじゃん！」

友紀「あたしを置いて、野球の話で盛り上がるなんて！」ﾍﾟｶｰ！


美波・文香「えっ？　いや、ちｇ」


友紀「バットは振らなきゃ、ボールに当たらないよ！」

友紀「色々な要素によって打球がどこまで伸びるかは変わるけどさ」

友紀「せっかくだったら！」

友紀「思いっきりフルスイングして、ホームラン狙ってこう！」ﾍﾟｶｰｯ！


美波・文香「……ひ」

美波・文香「姫川コーチ……！」

美波「文香さん！」

文香「はい……！」


武内P「あの……皆さん？」


文香「ひっ……一人で歩くのが、ままならなかった場合」

文香「う、腕をお借りしても……良いでしょうか……？///」


武内P「それは……まあ」

武内Pそれが必要な場合でしたら、構いませんが……」


美波・文香「……姫川コーチ！」

友紀「んぇ？　あれ、何？　もしかして代走の話だった？」

美波・文香「カンパーイ♪」ﾆｺｯ！

友紀「あ、そっち？　オッケー！　カンパ――イッ！」ﾍﾟｶｰｯ！


武内P「……？」

友紀「ングッングッ……プハーッ ♡」

友紀「……と、ここで喉をスッキリさせてからのぉ～」

友紀「右の本格派、鶏の唐揚げ～！」

友紀「んっふふ♪　マヨネーズをちょちょいとのっせって～♪」

友紀「あーんむっ！　っあふっ！　ほふっ！」

友紀「むぐむぐ……！　ほほっ、むぐ……！」


武内P「……脂肪分は、アルコールの吸収をゆっくりにしてくれます」

武内P「体型の維持に支障が出ない程度にならば、採った方が良いですね」

武内P「それに……」


友紀「……ウマ～っ ♡」ﾍﾟｶｰ！

友紀「口に残った脂を流すようにビールを……ングッ！」

友紀「……っはー ♡　このために生きてるぅ～っ ♡」ﾍﾟｯｶｰｯ！


武内P「……良い、笑顔にしてくれます」

美波・文香「ふふっ！……はいっ♪」

友紀「ねーえー！　ねーえー！」

武内P「な、何でしょうか？」

友紀「ノンアル？」

武内P「はい」


武内P「今日は、新田さんと鷺沢さんに」

武内P「正しいお酒の飲みｋ」


友紀「はーい！」ﾍﾟｶｰ！

友紀「酔っ払った男の人をバシッと三球三振する方法！」

友紀「知ってないと、いっけないと思いまーす！」ﾍﾟｶｰｯ！


美波「あっ、それは確かに！」

文香「教えて頂けると……心強いですね……」


武内P「……」

武内P「えっ？」

美波「上手く断りきれなくて、二十歳になったら飲もうって約束が沢山……」

文香「私も、謝るばかりで……場の空気をおかしくしてしまったりと……」

友紀「ほらほらぁー！」

武内P「しかし、私で練習になるんでしょうか……？」

友紀「ングッングッ……プハーッ！」

…ドンッ！


友紀「まずは、ビール！　瓶ビールね！　頼もう！　はい、頼んだ！」

友紀「……そういう場に行かない、敬遠する方法もあるけどさ」

友紀「勝負所で、バシッと切って落とす！　それが抑えのエース！」

友紀「フォローが出来る、そういうエースが居るチームは全然違うよ～！？」


武内P「は、はあ……」


美波・文香「はい、コーチ！」

　　・　　・　　・

美波「――はい、どうぞ♪」ﾆｺｯ！

武内P「い、いえ……もうこれ以上は……！」

文香「すみません……ご迷惑だったでしょうか……？」

武内P「い、いえ……決してそういう意味では……！」


友紀「アッハッハ！　両手に華ってやつぅー？」ﾍﾟｶｰ！

友紀「右からも、左からも……スイッチ？　スイッチドランカー？」

友紀「スイッ……ぷっ、あっははは！　スイッチドランカー！」

友紀「やるやるぅー！　でぇ～きぃ～るぅ～！　アッハハハッ！」ﾍﾟｯｶｰｯ！


武内P「……」

武内P「完全に……出来上がっている……！」

武内P「……今日は、新田さんと鷺沢さんに」

武内P「今後のために、しっかりと学んで頂こう、と」

武内P「……そう、考えていたのですが」


美波「あの……ちょっと気になってたんですけど」

文香「美波さんも……ですか？」

美波「ええ、多分だけど……文香さんと同じ疑問」

文香「はい、恐らく……」


美波・文香「どうして今日、私達に？」


武内P「……心配だから、ですね」


美波・文香「……」

美波・文香「えっ？」

美波「心配、って……ここまでして貰う程、大変じゃないですよ？」

文香「確かに、私は頼りないのかも知れませんが……」

美波「アイドルですから！　付き合い、っていうのもわかってるつもりです♪」

文香「特別に席を設けて頂く程……困っている訳では」

武内P「……ああ、いえ」


武内P「――私が、個人的に」


美波・文香「こっ、個人的に！？///」


武内P「新田さん」

美波「は、はいっ！///」


武内P「鷺沢さん」

文香「は、はい……！///」



武内P「貴女達の心配をしていただけ、ですね」



美波・文香「っ……！？///」ｷｭﾝｯ！

美波「お、お仕事だからじゃなく……ですか！？///」

武内P「それも勿論ありますが……」

文香「が……！？///　が……！？///」


武内P「お二人共、とても魅力的ですので……」


美波・文香「っ！？///」ｷｭｳﾝｯ！

美波「ぷ、プロデューサーさん……酔ってませんか！？///」

文香「ふ、普段は……魅力的な‘アイドル’と、その……///」


武内P「……」

武内P「っ！？///」

武内P「す、すみません……今の言葉は、忘れて下さい……！///」


美波・文香「～～っ！？///」ｷｭｷｭｳ～ﾝｯ！

文香「ほ、本当に……酔われている様で、あの……！///」

■■「――どうしますか？ ♡　どこかで、休んでいきますか？ ♡」

文香「！？　美波さん！？……美波さん！？」

■■「それがイイと思うんです ♡　あぁっ、イイ ♡　すっごくイイです ♡」

文香「駄目です……！　あの、美波さん……！？」

■■「私も……一緒にイキますっ ♡　プロデューサーさぁんっ ♡」



友紀「えー？　何々ー？」ﾍﾟｶｰ！

友紀「休むって、シーズンオフのキャンプの話？」ﾍﾟｶｰｯ！

友紀「えっ！　見に行くぅー！？　あたしの実家、来るぅー！？」ﾍﾟｯｶｰｯ！


美波「――はっ！？」

文香「良かった……！　戻ってきてくれて、本当に……良かった……！」

武内P「……姫川さん」

友紀「えっ、何？　デザート選びながらでも良い？　あ、パフェにしよ！」

武内P「……今日は、ありがとうございました」

友紀「……ん？　なにか忘れてるような……」


美波・文香「よ、酔っ払った男の人を……その……///」


友紀「あっ、そうだそうだ！　そうだったね！」

友紀「あっははは！　ごめんごめん、あたしもよくわかんないや！」ﾍﾟｶｰ！


美波・文香「！？」


友紀「――でも！　今日は二人に十分にコーチング出来た！」

友紀「今回の経験を活かして、これからも頑張ってこー！　おー！」


武内P「今回の経験、ですか？」

美波「えっと、特に……」

文香「何も……」


友紀「えー！？　いい経験だったでしょ！？」



友紀「楽しいお酒の飲み方♪」ﾍﾟｶｰｯ！





おわり

ユッキはなんだかんだで面倒見の良い子
一緒にして呑んだら絶対楽しいだろうよな