1: ◆BAS9sRqc3g  2014/05/09(金) 20:06:18.74 ID:WvS0IFAgo

20: 2014/05/09(金) 21:42:08.18 ID:WvS0IFAgo

番外編
☆サバイバルアイランド☆



天龍が仲間に加わったことにより私と提督の二人きりの空間はもうなくなってしまったのでした。
でも別にそれが嫌だというわけではない。
仲間が増えたことで仕事の効率もあがるし、
何より天龍は覚えも早いし訓練も真面目に行ってくれている。
どこかの誰かさんと違って。


そんな私達の平凡が終わりを告げるのは早く
天龍が仲間に加わってから一ヶ月ほど過ぎた頃。


一通の手紙が届いたのがきっかけだった。

21: 2014/05/09(金) 21:43:06.73 ID:WvS0IFAgo

加賀「提督。提督宛に手紙が届いていますよ」

提督「提督は留守です。って書いて送り返せ」

加賀「そういうワケには行きません。
   提督にはこれは中々嬉しいお知らせですよ?」

提督「なるほど。とうとう俺のハーレムウハウハランドが建国される訳だな」

加賀「そんなのここにあるじゃないですか」

提督「ここ、仕事、強要。それ、良くない」

加賀「何故、片言なのかは分かりませんが」

22: 2014/05/09(金) 21:44:16.01 ID:WvS0IFAgo

天龍「何やってんだよ。ほら、貸しな」


そう言って私の手から手紙を引ったくる天龍は
雑な手つきで封を破り中から綺麗な便箋を取り出しました。


天龍「なになに? えーっと、二週間後に行われる
    式典へ参加されたし……とのことだ」

提督「式典? やはりハーレムウハウハランドが」

天龍「そうじゃなくて……まあ何の式典なのかはさっぱりだな」

提督「ん? 待てよ。おいそれどこで開催されるんだ」

天龍「この招待状には豪華客船って書いて――

提督「行く!!」

23: 2014/05/09(金) 21:45:33.83 ID:WvS0IFAgo

加賀「……はぁ。また突然ですね」

提督「だってお前考えても見ろよ。
    豪華客船と言ったらついてくるのは確実に豪華なディナー!」

提督「飯! 飯! 飯! 食い放題が相場だろ!!」

加賀「そ、そんなので釣られる訳がないじゃないですか」

天龍「顔ニヤけてんぞ」


失礼な。そんなことありません。
でもさすがに気分が高揚しますね。


提督「他にどんな奴が来るんだ」

天龍「えーっと、他の司令官も来るみたいだぞ」

24: 2014/05/09(金) 21:46:50.76 ID:WvS0IFAgo

天龍「あとは……ああ、ここ最近有名になった名探偵が……」

提督「やっぱり行かない!! 絶対行かない!!」

加賀「なんですか今度は」

提督「ばっか、お前考えても見ろよ! 豪華客船に名探偵!?
    もうやだよ~~! 事件の匂いしかしないよ~~」

提督「完全に劇場版の舞台設定だよ~~~」

天龍「でも飯は食い放題なんだろ?」

加賀「行くしかないですね。決してご飯が食べたい訳ではないですが」



それから私達は提督の猛反対を押し切り
式典が行われる豪華客船に乗り込むことに。

25: 2014/05/09(金) 21:49:48.63 ID:WvS0IFAgo

提督の身柄を引きずるように私達は船に乗り込むことに。


提督「んん゛~~!」


提督の口はテープで塞がれているために何を喋ってるのかは分かりませんでした。
私達の他にも色々な人が乗っているこの客船。
各業界の著名人達が集まっているようでしたが、
皆一様に私達のことを怪しげに見ていました。

それもこれも提督が簀巻き状態で引きずられているせいです。
全く、無駄な注目を浴びたくはないのですが。

船への搭乗手続きの際にその提督のせいで怪しまれたので手こずりました。
提督は「お前らが拘束してるせいだろ!」と言っていました。
はて、なんのことやら。

私達は部屋へ案内されました。
部屋は2つ、一人用と二人用。


26: 2014/05/09(金) 21:50:37.99 ID:WvS0IFAgo

加賀「じゃ、天龍、ドレスに着替えてから集合よ」

天龍「待てコラ。何で俺が一人部屋なんだよ」

提督「ハッ、確かに!」

加賀「何でって……それが普通だと」

天龍「そんな訳ないだろ、アホか。
   普通は男子と女子で別の部屋なの! ほらこっち来い」

加賀「待っ、あっ、て、提督!」

提督「おうじゃあまたあとでな」


そのまま私は天龍に引きずられ二人部屋に。
私はこの時のことを思い出しては何故か少し悔しい思いをします。
正しいことを言われたのに何故か納得できない。そんな気分です。

27: 2014/05/09(金) 21:52:13.30 ID:WvS0IFAgo

その後、三人揃ってパーティ会場へ。
会場に入った時には既に船は沖に出ていて
誰か知らないけれど、偉そうな髭面のおじさんが壇上で話をしている時でした。
まあ、十中八九、今回の会の主催者であることは確かでした。


隣には金髪の胸元が大胆に空いたドレスを纏った女性が。


おじさんは壇上から退いてその女性にマイクを手渡しする。
どうやらその女性が乾杯の音頭を取るようでした。

28: 2014/05/09(金) 21:54:04.81 ID:WvS0IFAgo

提督「ほら、なんか乾杯するみたいだぞ」


そう言ってどこかから引ったくってきただろうグラスを
私と天龍に渡してきました。
中身は……綺麗な色をした葡萄酒。


提督「お、見ろよ。あれ、すんげえおっOいだな」

加賀「……」

提督「痛っっ!!」


提督の足を踵で踏みつけた時、それとほぼ同時に壇上の女性は
可愛らしい声で乾杯の音頭を取りました。

29: 2014/05/09(金) 21:56:25.35 ID:WvS0IFAgo

愛宕「ぱんぱかぱーん! それじゃあ平和の祭典を開催しまーす♪」

愛宕「乾杯~♪」


提督は足を踏みつけられた痛みで体制を崩し、
葡萄酒を服に溢していました。


この時の女性こそが愛宕でした。
この瞬間私達は彼女のことを
”あぁ、なんか派手な女がいるな……”程度にしか思っていませんでした。

30: 2014/05/09(金) 21:58:15.41 ID:WvS0IFAgo

それから……。


私達は心ゆくままに食事を楽しみ……たかったのですが、
各方面の方が次から次へと挨拶に来て
提督は落ち着かない様子でした。


提督「お前も食ってばかりいないで相手してくれよ」

加賀「ここは譲れません」

天龍「なあ、何で俺は用心棒みたいな扱いなんだ?」

提督「な、何だろうな。俺の半歩後ろに常に控えてるせいじゃないか?」

天龍「いやなんて言うか、人見知りじゃないんだけどよ。
    俺だって偉そうな連中ばかり来て怖いんだよ」


31: 2014/05/09(金) 22:00:00.72 ID:WvS0IFAgo

などと話している時、提督の元へ一人の女性が……。
それは壇上で挨拶をしていた愛宕でした。


愛宕「こんばんは~。どうですか? 楽しんでます?」

提督「ああ、君のような綺麗な娘が来てくれたおかげで
    私は今とてもいい気分だよ」


提督を睨みつけると咄嗟に目線を逸しました。
提督が目線を動かした先は愛宕の胸でした。


愛宕「あ、あの……提督さんが深海棲艦との戦争を止めてくださったんですよね?」

32: 2014/05/09(金) 22:01:16.31 ID:WvS0IFAgo

提督「ああ。そのことかい。なんて事はないよ。
    至極当然のことをしたまでさ」

愛宕「まあ、素敵ですね。そういうのとても格好いいなって私思っちゃいます」

提督「だが、私は今も自分のしたことが正しいのかは分かっていない」

愛宕「そんな……」

提督「戦争が止まるまで、一体いくらの人間が犠牲になったか……」

愛宕「きっと間違っていないと思いますよ」


そう言いながらそっと提督の肩に触れる愛宕。
さすがにそれは見逃せません。
提督の服の裾を引き愛宕から距離を取らせる。

33: 2014/05/09(金) 22:02:47.83 ID:WvS0IFAgo

しかしそれでも近づく愛宕。

愛宕「……あの、もう少しだけお話聞かせていただけませんか?
   すごく……興味があるんです。英雄という人に」


加賀「あのいい加減に――


その時。


大きな揺れが会場を襲う。


天龍「な、なんだ!? 地震か!?」

加賀「ここは海の上ですよ……っ!」

34: 2014/05/09(金) 22:04:52.68 ID:WvS0IFAgo

愛宕「きゃあっ!」

悲鳴と同時にさりげなく抱きついて……この雌狐。
許すまじ。


天龍「おい! こっちだ!」

提督「失礼!」

愛宕「何!? 何なの!?」


私も提督のあとを追い、海の外が見える場所まで走る。
そこには客船を囲うように大量の船が……。

35: 2014/05/09(金) 22:07:00.50 ID:WvS0IFAgo

天龍「こいつはぁ……」

提督「海賊だ……。囲まれてやがる」

加賀「狙いはこの船の著名人の財産か何かでしょうか」

愛宕「な、何が起きたの!?」

提督「おひょっ!?」

この雌狐……着いてきた上に提督の腕に絡みついて……。
つい強めに愛宕の肩を引き提督から引き離す。


加賀「ここは危険です。中に入っていて下さい!」

提督「お嬢さんも頼むから安全な所にいてくれよ!?」

36: 2014/05/09(金) 22:08:42.56 ID:WvS0IFAgo

天龍「行くぜ! 一人残らずお縄につきな!!」


叫びながら天龍が一番近くの船に飛び込んでいく。
同じように提督が別の近づいてきた船に飛び降りる。


二人が降りて行った船からすぐに阿鼻叫喚の声が上がる。
一方私は客船にいる人達へ向けての安全確認と非難誘導を済ませることに。


しかし、いくら二人が出迎えたとしても相手は何隻もの船で囲ってきてる。
その船に敵が一体どれほどの数が乗っているのかも不明。


ゆえに客船にはすぐに乗り込まれてしまった。

37: 2014/05/09(金) 22:10:14.24 ID:WvS0IFAgo

乗り込まれた敵の方は次から次へと私がなぎ倒していく。
全く、さきほど食べたというのにいきなり運動してしまっては
消化されてしまうじゃないですか。
でもいざとなれば燃料補給はいくらでも……。


いや、今は目の前の敵を誰一人奥に通さないことを考えなくては。


しかし結局私の抵抗も虚しく私が守っていた入り口とは
全くの反対側から侵入を許すという不測の事態。
さすがに一人きりでは侵入してくる全ての敵を排除するのは不可能……。

客船は大混乱に。

38: 2014/05/09(金) 22:12:41.07 ID:WvS0IFAgo

この感じ……どこかで。
あの最後の戦闘の時、確か深海棲艦が母艦へ乗り込んできて
船が戦場となっていたのを思い出す。


あの時、私がもっと強ければ赤城さんは氏なずに済んだ。
私がもっと強ければ……。


提督「加賀ッ! 侵入されちまったか……仕方ない!」

加賀「天龍は!?」

提督「今、包囲網を突破するのに十分なだけの船を潰してきた。
    残りは天龍に任せてあるからすぐに合流できるだろう」


提督は海に出たせいで折角の一張羅がびしょ濡れになっている。
まあ元々その前に葡萄酒こぼしていたし……まあいいか。

そんな大混乱の中、提督の耳に飛び込んだSOS。


愛宕「た、助けっ……」

   「おらこっち来い!!」

39: 2014/05/09(金) 22:13:49.14 ID:WvS0IFAgo

提督「チッ。加賀、天龍ここは任せたぞ!」

加賀「はい! ……提督!?」


この時私はまさかあの女を助けに行くとは思っても居ませんでした。


そしてここからは提督とは別行動をしたので
後から愛宕や提督から聞き出した情報をまとめていきます。


愛宕は甲板まで連れられていき人質に。
提督はそれを追っていくが愛宕の首元に突きつけられたナイフで動けなくなる。


提督「その娘を離せっ」

40: 2014/05/09(金) 22:16:53.59 ID:WvS0IFAgo

提督はこの時既に勝ちを確信していたようですが
酒が入っていたせいもあってかいつもよりも勘が鈍っていたそうです。


提督「お前は運が悪かったな。海の男を相手にしたのが海だったなんて」

提督「お前は嫌でも10秒後そのナイフを嫌でも離すことになる」



10秒後。突然の高い波しぶきが愛宕を人質にしている海賊を襲う。
水が目眩ましになったと同時に走りだし提督がナイフを奪い取る。

41: 2014/05/09(金) 22:18:51.49 ID:WvS0IFAgo

ここまでは全て提督の計算通り。
だが、ここからは予想外だったそうだ。


第二波の高い波しぶきが予想外に高さで提督と愛宕を襲う。
さらに海賊が愛宕を海に向かって突き飛ばす。


波しぶきによってバランスや視界を奪われた愛宕は夜の海に転落。
そして、提督はそのあとを追い海へ。



一方私達は船の上にいた、海賊や上がってきた輩を全て制圧していた頃でした。


加賀「ふぅ、これれで全部ですね」

天龍「……ったく手間取らせやがって」

加賀「提督、終わりましたよ……。ってそういえば」

天龍「どっかに行ったっきりだったな」

42: 2014/05/09(金) 22:20:09.00 ID:WvS0IFAgo

その後、船内をくまなく捜索するも提督の姿は見当たらない。
私はだんだん足の震えが止まらなくなって……。


こ、今度は船の上の戦闘で赤城さんではなく提督までも失ったのかと。


そんな混乱状態の私にさらに悲報が飛び込んでくるのでした。


「さっき誰か二人海に落ちたらしいぞ!」

「軍服の奴と金髪の人らしい」


天龍「お、おいおいまさか……」

加賀「提督……そんな」


あの人が海賊ごときとの戦闘でやられる訳がないし、
何かのアクシデントで海に転落した……だとしたら。


生きている可能性は……。
と引き伸ばした所で今現在ぴんぴんしているあの人。
確かにここで氏ぬような人ではないのです。

43: 2014/05/09(金) 22:22:09.37 ID:WvS0IFAgo

後日、提督は謎の浜辺で目を覚ました。


提督「……嘘でしょ。ここどこよ」


提督はとりあえずびしょ濡れの服を脱ぎ、
日差しの下で全裸に。


辺りを見渡すとそこには同じように脱ぎ捨てられた服が。
このドレスどこかで……そう思った提督はすぐに辺りを捜索することに。


どうやらこの静けさが無人島であることに何となく予想がついていた提督は
とりあえず自分たちの住居を確保するために色々と動きまわるのでした。

44: 2014/05/09(金) 22:23:26.53 ID:WvS0IFAgo

燃やせる木の枝を集めている時、
川の流れの音を聞いた提督はすぐにそちらに向かいました。

そこでは金髪の女性が水浴びをしていたそうです。


このあとのことは私は不快なので省きます。


提督と愛宕が合流し、寝床、食料、暖を確保した頃。
日はすっかり落ちてしまっていました。

45: 2014/05/09(金) 22:25:15.50 ID:WvS0IFAgo

愛宕は昼間にあったことで提督を警戒し全く話してくれなくなっていました。
ざまあありませんね。
何があったってそんなの私は知りませんけれど。


無人島生活二日目。
愛宕が起きてくる頃には提督はすっかりお目覚めで
朝食である食料も確保済み。


食べられる木の実を中心にした食事だったそうです。


提督は一人で食料を確保しに。愛宕は海岸を見張ることに。
それは愛宕が提督が話しかけてもその場からじっと動かなかったもんだから
そういう役割分担に自然となったんだとか。

46: 2014/05/09(金) 22:26:15.36 ID:WvS0IFAgo

その日は救助は来ず……。
日が暮れるまで提督は愛宕に食べられる木の実を運んでくるだけだったそう。



無人島生活三日目。
火が消えて夜明け前の寒さに愛宕が目を覚ますと
既に提督はいなかった。


ちなみに夜は愛宕は徹底的に提督を避け、
もし仮に襲ってきたら再起不能になるまで太い流木で叩きつけると宣言。
さすがの提督も「こんな状態でそんなことしてる余裕なんかない」と言ったそう。



それから……。
日中の出来事。
提督がどこへ行ったのか分からないまま
愛宕は浜辺に座り込んで海岸を見張ることに。

47: 2014/05/09(金) 22:27:32.14 ID:WvS0IFAgo

愛宕「どこ行ったのよあの馬鹿……」

愛宕「はぁ……。お腹空いた」

愛宕「……」


空腹と寂しさからイライラしてきた愛宕。
そのもとに


提督「ういーっす。あら、起きてた?」

愛宕「……こんな日が登ってればだれでも起きるわよ」

48: 2014/05/09(金) 22:30:14.10 ID:WvS0IFAgo

提督「ほい、ご飯ですよ。まあごはんですよって言っても
    桃屋の海苔のあれじゃないんだけどね」

愛宕「うるさい。 だいたいどこ行ってたわけ!?」

提督「ご飯取ってきてたんだけど」

愛宕「不味い。何なのこの木の実。硬いし不味いし」

提督「じゃあいらないの?」

愛宕「いる!!」



結局この日も救助は来ない。
何故こんなにも救助が遅れたのか。
提督はすぐに島の調査を始めていたようでしたが依然として不明。

49: 2014/05/09(金) 22:31:17.39 ID:WvS0IFAgo

そして4日目。


愛宕は海岸沿いの救助隊の到着を待ちながらぼうっとしてる所に……。
またしても呑気なあの男は……。


提督「おい愛宕! こっち来いよ! 変な洞窟あった!」

愛宕「……」

提督「おい一緒に行ってみようぜ!」

愛宕「……そんなんで体力使うなんて馬鹿みたい」

提督「そんな所で待ってても気が滅入るだけだぞ。
    幸い食料も確保できるし、水だって川のが何とか飲める」

愛宕「だからってここで暮らせっていうの?
    馬鹿言わないでよ。……ほんと最悪」

50: 2014/05/09(金) 22:32:37.92 ID:WvS0IFAgo

提督「会場の時よりだいぶキャラぶれてるけどいいのか?」

愛宕「もう氏ぬかもしれないってのに
    こんな所までキャラなんて作ってらんないわよ」

提督「じゃあ人生最後に俺と洞窟に探検しようぜ!」

愛宕「聞いてたの?」

提督「頼むよ~、来てくれよ~」

愛宕「……」

提督「おい無視かよ。なぁ~なぁ~」

愛宕「……」

51: 2014/05/09(金) 22:33:57.00 ID:WvS0IFAgo

提督「チッ、今日のご飯はムカデ、蟻、バッタ、蜘蛛」

愛宕「ぐっ……あー!! もう! 行けばいいんでしょう!?」

愛宕「そんなんで行ってその間に救助船見逃したりして
    体力付きて氏んだりしたら一生恨むから!」

提督「いやっっほう! こっちこっち!」


それから提督に嫌々ながら着いて行くことにした愛宕。
着いて行くと島の奥の方の密林になっているようなところに洞窟が見えた。

それは提督が言うほど変な洞窟というわけではなかったらしいけれど。

52: 2014/05/09(金) 22:36:03.84 ID:WvS0IFAgo

暗いし、じめじめしてるし、変な虫とか居そうで
入るのを躊躇っていると。


提督「ほら」

愛宕「……」


着いて行くとは言ったもののこんな気味の悪いところに入らされる羽目になって
そこで頼りになるのがこんな奴だったことに愛宕は非常に悔しい思いをしたとか。


提督の手を取り洞窟に入ることに。
しばらく暗い中を提督の持った松明の明かりだけを頼りに歩く。


ボトッ。
と愛宕の頭に何か落ちてきた。
ガサガサと違和感のある感触に鳥肌がたつ。

53: 2014/05/09(金) 22:36:51.60 ID:WvS0IFAgo

愛宕「ぎゃあああああああ!!」

提督「お、落ち着け! 虫が落ちてきただけだろ。
    取ってやるから動くなっての」

愛宕「早く! 早くぅぅう!」

提督「取ったぞ」

愛宕「頃した?」

提督「いや頃してはないけど……」

愛宕「……馬鹿! 氏ね!」

提督「俺が!? なんでじゃ……」

54: 2014/05/09(金) 22:39:20.21 ID:WvS0IFAgo

提督「ほら、見えた」

愛宕「……何が」

提督「見ろってほら」


提督が見せたのは洞窟の中で光り輝く水だった。


青の洞窟と同じ原理で出来たその場所はとても幻想的で
虫のことや空腹のこと、救助がいつまでもこないことに
イライラしてばかりいた愛宕の心を一瞬にして救ったのだった。


愛宕「……綺麗」

提督「だろ?」

愛宕「まさかこれ見せるためにしつこく……」

55: 2014/05/09(金) 22:40:16.64 ID:WvS0IFAgo

提督「まあ、イライラしてばっかりいてもしょうがないだろ?」

愛宕「そう……。ごめんなさい。少し辛く当たってたかもしれない」

提督「命あるだけまだいいさ」

愛宕「でも……」

提督「心配するな。今頃、必氏になって探してくれているだろう連中がいるから」

愛宕「あの会場で提督と一緒にいた人達?」

提督「ああ。奴らは信用できる連中さ」

愛宕「ねえ……」

提督「なんだ?」

56: 2014/05/09(金) 22:41:35.86 ID:WvS0IFAgo

愛宕「いつも……どんなことしてるのか教えて。
    会場で聞いたでしょう? もっと詳しく知りたいって」

提督「え、でもあれはお前作ってたんじゃ」

愛宕「あの時はね。今は別よ」

提督「普段……ねえ。普段何してんのかなぁ?」

愛宕「あの……あの人達の役目って私にも出来る?」

提督「お前に? あー無理だな」

愛宕「どうして!?」

提督「だって一応軍人だし、訓練とかたくさんするぞ?」

57: 2014/05/09(金) 22:59:58.73 ID:WvS0IFAgo

愛宕「そ、そんなの平気だもん」

提督「どうかなぁ~? こうやって今みたいな
   サバイバル訓練もするかもしれないんだぞ?」

愛宕「それは……」

提督「やめておいたほうがいいさ。
   あんたには戦う理由がない」

提督「あの会場の時みたいに綺麗なドレスでも着ていた方がお似合いさ」

愛宕「……提督には戦う理由があるの?」

提督「約束したからね」

愛宕「理由なら今出来たわ」

提督「……?」

58: 2014/05/09(金) 23:01:59.33 ID:WvS0IFAgo

愛宕「守りたいものが私にもあるもの」

提督「……俺は止めたぞ?」

愛宕「私ね……。本当はあなたみたいな人全然興味ないの」

提督「何となくは分かってたよ」

愛宕「えー、本当?」

提督「本当だよ」

愛宕「本当はあの会って……私のお見合いのための会だったの」

提督「へえ……」

59: 2014/05/09(金) 23:05:24.25 ID:WvS0IFAgo

二人は光り輝く水に足だけ入れるように座った。


愛宕「両親が跡取りのために結婚を急かしてくるのよ。
    それで用意された場所があれ……」

愛宕「1つ上のお姉ちゃんは頭がいいから
    両親に跡取り云々言われる前に家を出て行っちゃったし」

愛宕「下の妹はいい子なんだけど不器用で、そういうの向いてないって」


これは皆もご存知の通り、摩耶のこと。

60: 2014/05/09(金) 23:08:42.45 ID:WvS0IFAgo

愛宕「もう一人の下の妹は学業に専念したいって……頭のいい子だから」

提督「姉妹思いなんだな」

愛宕「そうでもないわよ? 意外だった? 私こう見えてお嬢様なのよ?」

提督「全然意外じゃない」

愛宕「なんかそういう跡取りがどうとかって疲れちゃってね……」

愛宕「親の敷いたレールの上をずーっと走り続けてるの」

愛宕「私も少し前はお姉ちゃんみたいにこの家を出て、
    そこからが私の本当の人生が始まるんだって……そう思ってた」


61: 2014/05/09(金) 23:12:54.75 ID:WvS0IFAgo

愛宕「さすがにお姉ちゃんを一人逃がしてるだけあって今度はそう簡単にいかなくて」

提督「そこまで馬鹿じゃないってことだろ。
    そんなに嫌なのか?」

愛宕「嫌よ。自由にやりたことしたい」

提督「やりたいことって」

愛宕「護りたいものなら……たくさん」

提督「……。だったら護るための力が必要だな」

愛宕「え? うん、そうなんだけど」



提督「お前……しばらく俺の所に来い」



62: 2014/05/09(金) 23:15:14.70 ID:WvS0IFAgo

愛宕「うん! 行く! 行きたい! いいの?」

提督「まあいいよ。一から鍛え直してやるよ、俺じゃないけど」

愛宕「そっかー、そんな近くで……」

提督「近くで?」

愛宕「ううん、何でもない」

提督「だが、気をつけて欲しいのが、奴は鬼教官だからな」

63: 2014/05/09(金) 23:18:06.28 ID:WvS0IFAgo

愛宕「私結構根性あるし大丈夫っ!」

提督「根性ね。それを聞いて安心したよ」

愛宕「……?」

提督「いや、何この綺麗な場所から元の海岸に戻るのに
    道は一本しかないのよ。君がさっき泣き叫んだ虫のいる道をもう一度通ることに」

愛宕「うぅ……、が、頑張る……」

提督「さて、じゃあ行くか」

愛宕「う、うん……あっ!」


立ち上がった拍子に愛宕は何かを
綺麗な光る水の中に落としてしまいました。

64: 2014/05/09(金) 23:20:19.13 ID:WvS0IFAgo

提督「何落としたんだ?」

愛宕「指輪……。お母さんの古いのを貰ってて
    これを大事に取っておいていつか好きな人に渡しなさいって」

提督「マジかよ結構大事なもんじゃねえか」

提督「待ってろ、今取ってくるか……ら?」


そう言いかけて提督が水を覗きこんだ時、
謎の生物が水面下を泳いでいるのを見つけたそうです。


うようよと漂うその生物は段々と浮上してきました。
そして――。

65: 2014/05/09(金) 23:24:53.15 ID:WvS0IFAgo

ヲ級「……ヲッ?」


ザバァーッと勢いよく水から出てきたのは
いつかバナナで捕まったことのある深海棲艦でした。


提督「お、お前は! ヲ級じゃねえか」

ヲ級「貴方ノ 落トシタ ノ バターチキン?
    ソレトモ コノ Vジャンプ?」

提督「選択肢おかしいだろうが。ってかだいぶ日本語上達してんな」

愛宕「あ、あの……私が落としたのは指輪なんですけど……」

ヲ級「ロード・オブ・ザ・リング?」

提督「普通の奴だよ」

66: 2014/05/09(金) 23:29:03.21 ID:WvS0IFAgo

ヲ級「指輪? 正直者ニハ 全部贈呈」

提督「いやこのしわくちゃのVジャンプもどきはいらねえよ」

ヲ級「残念。……サラバ」

愛宕「あっ、ちょっと!」


愛宕の静止の声も無視してヲ級は水に沈んでいきました。
が……とても綺麗な場所だったために下で待機しているのが丸わかりだったので。

提督は水の中にVジャンプを落としました。

するとすぐにヲ級は浮上してきて


ヲ級「ポイ捨テ ダメ」

68: 2014/05/09(金) 23:34:33.09 ID:WvS0IFAgo

提督「お前がここにいるってことは……もしかしてこの島って」

ヲ級「正解。ココ 深海棲艦 ノ 領海。
    貴様等 不法新入社……新入社員?」

提督「いや確かに不法侵入はしちまったけど、お前らの島は株式か何かなのかよ」

ヲ級「マサカ…… 駆ケ落チ? ドラマティック! 否、リア充溶解シロ」

提督「怖いわ! ってか人の話を聞け!
    お前の力で本島まで送ってくれないか?」

ヲ級「浦島太郎 ノ 亀 デハ 無い。無理」

愛宕「この人? 大丈夫なの?」

69: 2014/05/09(金) 23:39:35.90 ID:WvS0IFAgo

提督「まあ昔馴染みって奴だ。色々あってな。
    じゃあ何かこの島で一番美味いものってなんか無い?」

ヲ級「美味イ? トカゲ 一番!」

提督「木の実系で頼む」

ヲ級「品種改良マルーラ 有リ。度数高メ」

提督「マルーラ!? なんでこんな所にあんだよ」

ヲ級「趣味」

提督「あぁ、そうかい。ありがとうな。あと、救助船来ても沈めないように言っとけよ!?」

ヲ級「ヲイ」

提督「ん? なんだ?」

ヲ級「姫 ニ タマニハ 会イ ニ 行ク OK?」

70: 2014/05/09(金) 23:42:47.06 ID:WvS0IFAgo

提督「分かった。今は忙しいからまた今度な。じゃあありがとうな!」

ヲ級「感謝感激雨嵐~」


そう言いながら水に沈んでいき今度は見えなくなっていった。
それから提督達は海岸に戻り、提督の謎の早業で火を起こし、
いつものように提督は食料、愛宕は見張りにつくのだった。


しばらくして提督が戻ってきて嬉しそうに愛宕に見せたのは
今まで取ってきたことのない木の実だった。


愛宕「なにこれ」

提督「さっきあの妖怪が言ってた木の実だ」

71: 2014/05/09(金) 23:45:27.34 ID:WvS0IFAgo

愛宕「なにそれ?」

提督「本来こんな所じゃ育たないはずなんだが……。
    深海棲艦の謎の技術で育ったんだろう。それを拝借してきた」

愛宕「だから何なのよ」

提督「天然のアルコール入りの果実」

愛宕「……ほんとに?」

提督「一杯やろうぜ! 焚き火もつけて今夜は二人のキャンプファイヤーだ!」

愛宕「……馬鹿じゃないの」

提督「うっっひょー! テンション上がってきたぁぁあ!」

愛宕「もう食べてるし!」

72: 2014/05/09(金) 23:48:34.64 ID:WvS0IFAgo

提督「多分ヲ級が連絡してくれただろうからもうすぐ救助が来るぞ!」

愛宕「もうすぐって言ったってもう夜になるのよ!?」

提督「夜だから船が出せないとでも? 加賀がそんなに待つ訳ないし!」

愛宕「そうなの……?」

提督「だから今夜はここで踊ってれば朝には来るさ!
    さあ食え! そして踊ろう! レッツパーリィー!」

愛宕「……」



この時のことを愛宕本人はこう語る。
愛宕「あの時何故乗せられたのか今ではさっぱり分からないわ。
    ホント、吊り橋効果ってどうにでもなるのね……」

73: 2014/05/09(金) 23:50:48.55 ID:WvS0IFAgo

翌日。
朝になる頃、私達はようやく例の島を発見し近づいていくのでした。
深海棲艦の領域なのだから人がいない無人島なのは当たり前だった。


私達は島の海岸から上がる煙の近くをぐるぐる回る2つの影を発見。


加賀「提督ーーーーー!!」

天龍「おーーーーーい!」


74: 2014/05/09(金) 23:53:14.42 ID:WvS0IFAgo

提督「違う違う! いいかもう一回見てろよ? この次はこうで~~~」

愛宕「あはははははは! 分かんないってば! もう一回! ね!」



加賀「提督ーーー……」

天龍「おーー……い」


提督「おいおい、見ろよ! 練習した俺達の最高のダンスを披露する時がさっそく来たぜ?」

愛宕「あははははは! やだ本当~? しちゃう?」



加賀「……」

天龍「……」



75: 2014/05/09(金) 23:54:54.23 ID:WvS0IFAgo

救助船が到着した浜辺には
お手製の葉っぱで作られた腰巻き一枚の阿呆と
ボロボロになったドレスだったであろう布切れをまとう露出狂が


二人仲良くハルヒダンスを披露しているところだった。



提督「あれ? なんかあいつ加賀に似て ぐぼぁっっ!!!」


提督は横っ面を殴られ砂浜に綺麗な一本線を残し遠くで倒れる。


加賀「私がどれだけ心配したと思ってるんですか」


愛宕はその様子を見て半分くらい正気に戻ったらしい。
目は若干とろーんとしていたけれど。

76: 2014/05/09(金) 23:56:57.99 ID:WvS0IFAgo

加賀「本当に……無事で良かった」


提督は起き上がることなくそのまんな救助船に乗せることに。
私が本島に着くまでずっと泣いていたのは提督は知らない。




そうして後日。
鎮守府にけたたましくチャイムの音が鳴る。
そして出迎えた先にいたのが愛宕だった。


提督「……何だその荷物」


巨大なボストンバッグを2つ下げて
手には大きめのスーツケースを。

77: 2014/05/09(金) 23:58:01.47 ID:WvS0IFAgo

提督「一体何ヶ月単位の旅行に行くんだよ」

愛宕「何言ってるの? 永住よ~自分で言ったことの責任取ってくれるんでしょ?」

提督「えっと、まあ……そうだけど永住とは誰も……」

愛宕「責任、取ってくれるでしょう?」

加賀「責任ってなんですか」

天龍「おいおいどうなってんだよこりゃ」

78: 2014/05/09(金) 23:59:18.19 ID:WvS0IFAgo

愛宕「あ、今日から私もここに住むからよろしくねっ」

天龍「お、おう俺は構わないけど」

加賀「提督……」

提督「いやーその……まあそういう訳だよ」

加賀「どういう訳ですか!」


こうして愛宕が私達の鎮守府に仲間になるのでした。

79: 2014/05/10(土) 00:02:37.62 ID:MKjDkbRBo

今回の後日談。


愛宕「加賀さん、はいこれ使って」

加賀「……指輪?」

愛宕「私のお母さんからのお下がりなんだけどね」

加賀「お母さんの? にしてはこれは男性用じゃ」

愛宕「ふふ、これは女の子から女性に渡す用の奴なんだって」

加賀「でしたらお母さんは渡してしまって持っていないのでは……」

愛宕「お母さんも実はお父さん渡さなかった秘蔵の一品らしいの」

加賀「……私は今猛烈にあなたの家庭を心配しています」

80: 2014/05/10(土) 00:06:06.90 ID:MKjDkbRBo

愛宕「これ使ってね。あのお馬鹿さんのことだから
    どう受け取るかはわからないけれど……」

愛宕「加賀さんの頑張り次第だから」

加賀「いいんですか?」


愛宕「いいのよ。私は。ほんっとズルいわよね。
    あんな誘い方しといて自分は加賀さんみたいな人がいてさ」

加賀「何か言葉に刺を感じますね」

愛宕「ふふ、冗談よ冗談。私は本当に二人に幸せになって欲しいの」

加賀「私はあなたみたいな人にそう思われるだけでも幸せです。
    ありがとうございます」


愛宕「ほんと……ずるいわよね」



81: 2014/05/10(土) 00:10:47.25 ID:MKjDkbRBo

今回のさらなる後日談。



4人に増えた私達は資材不足に悩まされながらも
上からの命令により艦隊を結成させることになった。


なんでも英雄の艦隊がちゃんと揃ってると箔がつくとか
何だか曖昧な表現をされそのまま受け入れることに。


……とは言っても誰をどう加えていいのか分からずにとりあえず
面接を始めることに。


提督「えー、君がうちを志望した理由はなんですか」

鈴谷「面白そうだからです!」

82: 2014/05/10(土) 00:11:24.07 ID:MKjDkbRBo

提督「どうして海軍なの?」

鈴谷「カレーが美味し……じゃなくて!
   とっても素敵で格好いい提督さんがいるって聞いたからです!!」

提督「ほほう。えー、ちなみに脱げと言われたらどれくらい脱げますか痛っっ!!」

加賀「何聞いてんですか」

鈴谷「脱げば合格?」

提督「本当に入りたいならね」

鈴谷「おっけー任せて! じゃあ提督さんは後ろ向いててね」

提督「え?」

83: 2014/05/10(土) 00:12:03.60 ID:MKjDkbRBo

加賀「……これは一本取られたんじゃないですか?」

提督「い、嫌だ」

鈴谷「じゃあ脱げないよ?」

提督「鏡は?」

鈴谷「無し。使っちゃだめ」


その後、提督は壁と向き合い、その後ろで鈴谷は全裸に。
提督の首には天龍が刀を添え少しでも動いたらサクッといくように。

これが鈴谷が鎮守府に来た時の話でした。
そして摩耶は……。
鈴谷ので面接に懲りた提督はどうしようか迷っていた所に。


愛宕「だったら私の妹をここに入れて欲しいの」

提督「なるほど。愛宕の妹か。だったらまだいい子が来そうだな」

84: 2014/05/10(土) 00:12:50.05 ID:MKjDkbRBo


そうして蓋を開けてみたら……。


摩耶「慣れ慣れしく触んじゃねえよ! 糞が!」

提督「えっ、やだ何この娘、怖い」

摩耶「アタシは摩耶ってんだ。まあ愛宕姉が
   世話になってるらしいしよろしく頼むよ」

鈴谷「おお~~、同期の子だね!?」

摩耶「な、なんだお前! 近寄んな!」

愛宕「ごめんね~ちょっと口が悪いんだけどいい子なのよ?」

提督「俺の威厳はどうなっちまうんだよ」

天龍「……ど、どんまい」

85: 2014/05/10(土) 00:13:27.64 ID:MKjDkbRBo

そうして最後。
最終的に提督がたどり着いた結論は……。


提督「摩耶や鈴谷みたいなちょっとお年を召した奴はだめだ!」

摩耶「ばあさんみたいに言うんじゃねえよ」

鈴谷「そうだよー。まだピチピチだよ?」

提督「ええい、うるさい! 最近では艦娘も小等部コースがあるようだし」

提督「そこの子から抜粋していこう」

天龍「いいのか? そんな子供が来たら大変だぞ?」

愛宕「まあでも優秀な子を取ればきっと素直でいい子よ」


そして、小等部のトップクラスにいた電の技量、
才能を見ぬいた提督はすぐに呼びつけ合格通知を無償で渡す。


電には最初から最後まで優しく接した提督だった。

86: 2014/05/10(土) 00:14:19.21 ID:MKjDkbRBo

電「今日からお世話になるのですっ!」

提督「ああ、よろしくな。こっちが秘書艦の加賀だ」

加賀「よろしく」

天龍「俺が天龍だ」

愛宕「愛宕よ~」

鈴谷「鈴谷だよ! 可愛いねえ、抱っこしてもいい?」

摩耶「やめとけってアホか。アタシは摩耶。よろしくな」

加賀「では早速ですが、まずは館内の案内をするんですが……
    なんでみんな着いてくるんですか」

提督「いや可愛いから」

鈴谷「高い高ーーい!!」

電「ほに゛ゃぁあ!」

87: 2014/05/10(土) 00:15:40.15 ID:MKjDkbRBo

提督(純白か……うむ、最高だ)

愛宕「どこ見てんのよスケベ」

提督「どこも見てない」

加賀「いいから電以外は仕事に戻って下さい」


電「び、びっくりしたのですっ」

加賀「ごめんなさいね。うちはいつもこうなの」

電「とても賑やかで楽しいのです」

加賀「ふふ、そうね。うちはいつだって賑やかで
   とっても平和だから」


……こうして私達横須賀鎮守府は全員が終結することになったのだった。

88: 2014/05/10(土) 00:23:04.27 ID:MKjDkbRBo

お疲れ様です。
若干修正をしつつになったので予想以上に時間がかかりました。

前回シリアスが好きだと言ってくれた方がいたので今回も張り切ったんですが、
結果……どうしてこうなったんだか分からないくらいです。
ヲ級登場付近は書き溜め無しでアドリブだったし……。

シリアス楽しみにしてた方はどうもすいませんでした。

今回で横須賀鎮守府が誕生した話は終了です。


さて、実は明日で半年になる訳ですね。
正直、頭おかしいと思いますね。
そろそろ公式が僕のところへ殴りにくる頃合いでしょうか。
甘んじて殴られましょう。そうしましょう。


半年たってもお馬鹿な話は続きますが……
今後もどうぞお付き合い頂ける方はどうぞよろしくお願いします。

89: 2014/05/10(土) 00:24:08.83 ID:fUZhzFdh0
乙です

2: 2014/05/09(金) 20:07:48.95 ID:WvS0IFAgo


登場人物

【横須賀鎮守府】

提督
深海棲艦との戦争を終戦にまで持ち込んだ実力者。
しかし、現在はとにかく仕事をしない、だめ提督。
工口本、工口ゲの数の方が仕事をこなす量よりも多い。
外面だけはいっちょ前なので外部や上層部からは全く怪しまれない。
しかし、本来の実力は……。


加賀
秘書艦、みんなの中でも安定した提督の嫁。
過去の経験から提督の傍にいることを誓う。
誇り高き一航戦を自称しクールに振舞っているが提督にだけデレまくる。
無論そのことは殆どの連中にバレている。
料理だけ壊滅的に不得意だが基本的に何でもできて提督の無茶ぶりにも一応応える。
一航戦だけあって戦闘力は高い。



みんなに愛されているゲームボーイも知らないゆとり駆逐艦。
非常に早とちりしやすく、勘違いもしやすい。
しかし、意外と計算高いところがありプラズマ化しつつある。
芸術的センスは皆無。
最近の趣味はルンバを追いかけること。
好きなお菓子はわたパチ、好きな飲物はバン●ーテンココア。


愛宕
何故か提督の工口本工口ゲの隠し場所を全て知っている重巡。
本当は提督のことが好きだけどその真意は心の奥底に隠している。
雷など大きな音が苦手。
最近は電とお菓子を作るなど女子力の高さを誇るが
かなりの下ネタ好きなので勘違いされやすい。
摩耶の姉だが、本人は次女なので妹属性を押す。


3: 2014/05/09(金) 20:08:33.30 ID:WvS0IFAgo

【横須賀鎮守府その2】


天龍
意外と面倒見がよく、艦娘たちや提督の相談相手になることがある。
眼帯の下は龍田につけられた傷があるが、本人はそれを愛の証として受け取っている。
優しい性格だが、眼帯のために近所の子供のアダ名が極道でありすごく気にしている。
扶桑に気に入られたことがきっかけで山城に命を狙われる日々が続く。
夜間哨戒の任務を請け負っている。耳(?)が感じやすい。
駆逐艦から謎の人気がある。
服役中の妹龍田の元に毎週必ず通っている。



摩耶
愛宕の妹の可愛い物大好きな重巡。
怒らせるととにかく怖い。
よく提督と鈴谷におちょくられてはキレて二人を逆さ吊りにする。
自室はぬいぐるみだらけなので部屋にはあまりいれたがらない。
可愛いもの好きはバレてないと思っている。
ぬいぐるみには名前もついてるがネーミングセンスはない。
現在名前だけ出ているのがシェリー、ココア、ガンジー、どぶろく、モジャ美
フジヤマ(故)、ゴールドオシャンティー(故)、ロッゴー、ジューシーライダー、
元就(モッチー)


鈴谷
お調子者でカレー好き。
イタズラもすごいするのでよく提督と一緒に摩耶を怒らせる。
たまに摩耶以外にイタズラして怒られることも。
夢はカレーの出る蛇口を手に入れること。
ゲームや漫画は好きなので提督のをたまに借りている。
熊野とは幼馴染。顔面第一主義なので佐世保がすごい気になるが
ホ〇はノーサンキューなので板挟みになり複雑な思いをしている。


4: 2014/05/09(金) 20:09:30.72 ID:WvS0IFAgo

【呉鎮守府】



かなりキツい性格をした提督のことが嫌いな女将校。
士官学校では提督と同期でライバル関係であり、首席で卒業。
その時の恨みを今でも抱えている。
本人も無茶苦茶に強くその気になれば砲塔も素手で折ることができる。
学生時代のアダ名は呉リラ、歩く災害、ミリオン地雷原。
歓迎の訓練メニューが氏ぬほどキツく金剛が4,5回吐くほど。
トレーニングでは那珂も同様に吐いている。
隠れクサメタラーで、酔っ払うと幼児退行するが
ガードが固いので中々飲まない。



金剛
提督のことが好きな戦艦。加賀と同じで料理が壊滅的。
ストーカー気質な所があり、提督からは鬱陶しく思われている所がある。
呉の秘書艦だけあってリーダーであることはしっかり頭に入っているのが、
たまにそれっぽいことをするとみんなから別人なんじゃないかと疑われることがある。
実は本人の戦闘力は加賀とほぼ互角ぐらいはある。
改二になることができる。
あまりに怒られすぎて人格が崩壊し「控えよ」が口癖になったことがある。
加賀に何度も殴られて元に戻った。



扶桑
体力が全くといっていいほどない不幸戦艦の姉。
「結婚したい」が口癖になりつつある何かが残念でモテない残念女子。
助けられたことがきっかけで天龍のことを気にいる。
向こうが女子だとしても別に構わないらしい。
山城が天龍のことを好きで盗られると勘違いしている。
移動手段は山城が押すベビーカー。
綺麗な黒髪は椿のかほり(by山城)
熊野のせいで腐りかけている。

5: 2014/05/09(金) 20:10:17.72 ID:WvS0IFAgo

【呉鎮守府その2】


山城
扶桑にベッタリな重度のヤンデレ妹。
扶桑に近づこうとする奴を片っ端から排除していこうとする。
趣味が半田付け。
扶桑のお気に入りの天龍を狙うがいつも倒せない。
一度間違えて加賀に向かっていってボロクソにされた経験があり実は加賀のことが怖い。
同様に呉にもボロクソにされたことがある。
だいたい黒い瘴気を纏っている。


龍驤
不憫な扱いが目立つが意外としっかりもの。
横須賀の連中にはどうあがいてもピザ屋といじられまくる軽空母。
飛行甲板がどう見ても遊戯王のデュエルデュスク(使いやすいらしい)。
持ってる漫画は渋い。
ツッコミ体質なこともあって割りと苦労している。
どこがとは言わないが生えてない。



那珂
艦隊のアイドル(自称)
提督の下で建造されたが追い出され呉の所に厄介になってる。
かなりのお調子者でとにかくやかましい奴なので色んな奴から疎まれるが
別に悪い奴ではないのでみんなどこか憎めないでいる。
とうとう改二に変身することができるようになったが、
変身の仕方が分からないために未だになれずにいる。
怖いもの知らずのせいかよく呉に口答えしては怒られている。
ご当地ヒーローメインヒロインにも抜擢、今では地方アイドルではトップレベル。

6: 2014/05/09(金) 20:10:53.31 ID:WvS0IFAgo

【佐世保鎮守府】


佐世保
提督の一つ下にあたる後輩。
とても丁寧な物腰、だがホ〇。
イケメンで何でも出来る、だがホ〇。
仕事も完璧にこなす、だがホ〇。
皆の信頼も厚く学年では首席だった、だがホ〇。
ファンクラブまであるほどのイケメン、だがホ〇。
本人はただ尊敬しているだけだと、だがホ〇。
記憶が提督に助けられてからのみある、ゆえにホ〇。




電の姉にあたる駆逐艦。
しっかりものだが見事なダメ男製造機。
佐世保LOVEだが、等の佐世保がアレなので本人は意外と苦労している。
隠れマッチョな佐世保にキュンキュンする。



熊野
神戸生まれのお洒落な貴婦人。
気品あふれるお嬢様系女子。
しかし、実態は腐女子。
提督と佐世保の妄想が日々止まらない。
鈴谷とは幼馴染。
怖ろしいまでの感染能力を持つために被害者が出現。要注意。


7: 2014/05/09(金) 20:11:26.55 ID:WvS0IFAgo

【舞鶴鎮守府】

舞鶴
提督と呉の先輩。規格外の能力を持つ。
しかし野心はないために提督達よりは階級は低い。
のんびりした性格だが、この人も無茶苦茶強く霊体も斬ることが出来る。
自由奔放なところがあり周りを振り回すこともある。
提督よりも年上だが見た目が非常に幼い。通称口リババア。
島風の一件で提督達の手助けをしていることから
ただのお人好しの何でもできるすごい先輩だと判明している。




初雪
比叡から舞鶴の元に引き取られた駆逐艦。
引きこもりがちの引っ込み思案だが、真面目な性格。
舞鶴のことは姉や母のように慕う。
隼鷹に関しては困った仲間だという印象。
響とは仲の良い双子みたいな関係になった。



隼鷹
元ホームレスで舞鶴が拾ってきた。
酒飲みでだいたい酒を手にしている。
やる時はやるが口癖なのだが、
実際にやっていることは確認することはできない。
ホームレスの前はお嬢様だったらしい。
言葉の重みが違う。


Верный(響)
元響というあだ名があるロシア帰りの駆逐艦。
妹に雷、電を持つ姉である。
クールな正確だがまだまだ子供っぽく中二病患者である。
天龍のことを尊敬している。
お化けが怖くて夜に一人でトイレに行けない。


8: 2014/05/09(金) 20:11:53.41 ID:WvS0IFAgo

【その他】


赤城
かつて加賀と提督と部隊を組んでいたパートナー。
食いしん坊だが、加賀と同じくらいの戦闘能力を持っていた。
多くの兵士のために犠牲となり最期を迎えたはずだが、
なぜか亡霊として横須賀鎮守府に住み着くことになった。
亡霊のくせに資材含む食べ物は食べることができる。



戦艦棲姫
深海棲艦のトップ。
小さな子供の頃、海で提督と遊んだことがある。
姫のおかげで終戦になり平和が訪れた。
現在は不可侵の条約の元、海の向こうで暮らしている。



比叡
上層部のエリート戦艦。
忠犬のような性格だが、姉思いが行き過ぎたただのシスコン。
何かある度に「ヒェェー!」とひっくり返る。
そのオーバーリアクションが非常にうるさい。
下世話なことも平気で聞いてくるド変態。
改二になると闇遊戯みたいな喋り方になるらしい。
必殺技はハリケーンミキサー

9: 2014/05/09(金) 20:12:37.00 ID:WvS0IFAgo

【その他その2】


北上
大井と共に横須賀で北上ラーメンを経営する一人。
大井とは軍人時代からの仲良しで”親友として”大好きではある。
提督や知人には何かとおまけもしちゃう気前の良さ。
北上ラーメンは巷で人気の美味さで隠れた名店として有名。


大井
北上のために何かと奮闘するが空回り気味の北上ラーメン創設者。
店を勝手に作るなど外堀を埋めて北上を逃げられないようにした。
提督に対して何かと口悪く罵るが見ての通り嫌いではない。
日々、定番メニュー北上ラーメンに並ぶメニュー作りに励む。
怒るとすぐにラーメンに使うスープをぶちまけてくるために
マニアな常連客には大井の方が人気がある。



島風
かつて提督と加賀と数日間だけ横須賀で過ごした駆逐艦。
舞鶴と提督のおかげで生き延びることができ、
現在はレン、ソー、ホウの三匹(?)と共に
悪戯をする困った集団のボスをやってる、らしいが実態や実績は不明。
元々核を搭載していたこと兵器のために今でも追われることがあるとか……。
楽しいことが大好きなので楽しそうな匂いを嗅ぎ分け唐突に現れることがある。
その時の合言葉は”ちくわ大明神”


龍田
天龍の妹。現在は過去に行った罰を受けている元人斬り。
人斬り時代はキレると手に負えない性格だったが現在の詳細は天龍のみが知る。


青葉
軍に関連することからファッション雑誌まで幅広く取り扱うフリーライター。
怖いもの知らずで各鎮守府を引っ掻き回すマスゴミ。
悩みごとはどこのSSでも同じような性格なこと。

15: 2014/05/09(金) 21:08:41.32 ID:s0pDSmeoo
立て乙です

17: 2014/05/09(金) 21:35:44.42 ID:WvS0IFAgo

前スレ埋めありがとうございました。
あいも変わらず稚拙な文章ですが、行きましょう。

他の鎮守府をやりたいとか言ってた癖に結局ここに落ち着いたのでした。





次回へ続く




引用元: 【艦これ】提督「今日も平和だ」その6