1: 2012/07/10(火) 00:32:57.12 ID:RNKVwZNhO
――765プロ事務所
――PM18:30

美希「ねぇ、ハニー?」チラッ

P「んー?なんだー?」カタカタ、カタカタ、

美希「今日の収録、ミキ、キラキラしてた?」

P「…」カタ...

美希「あはっ!やっぱりハニーは嘘付けない人だね!」クスクス

P「なぁ、美希」チラッ

美希「…なに?お説教なら聞きたくないのー」プイッ

P「…最近、どうしたんだ?」

美希「…」
ぷちます!(14) (電撃コミックスEX)

3: 2012/07/10(火) 00:38:00.83 ID:RNKVwZNhO
美希「…どうも、しないよ?ミキはいつものミキなの」

ミキ、嘘付いちゃった。

P「…そっか」

美希「…」

何でかな。ハニーも、いつものハニーじゃないみたい。

P「…なぁ、美希」

美希「なに?」

P「俺と、ドライブにでも行こうか」パタン

美希「えっ?」

P「そうと決まれば、早速行こう!」グイッ、

美希「ちょっ!ハニー?」

久しぶりなの。こんな強引なハニー。ふふっ、まるで、最初の頃みたい。

7: 2012/07/10(火) 00:42:42.68 ID:RNKVwZNhO
――車内

P「…」ブーブー、ブーブー

美希「…」

凄く、苦しい。いつもなら、凄く楽しいハニーとのドライブ。でも、今は、辛くて、苦しくて。

美希「ね、帰ろ?明日も、早いんだよね?ミキ、きっとお寝坊しちゃうよ?」クスクス

笑う。ハニーの前では、笑っていたいから。だから、笑わなくちゃ。

P「…」ブーブー、ブーブー

でも、ハニーの顔は笑っていなくて。

美希「…」

いつからだったのかな。ミキが、キラキラ出来なくなっちゃったのは。

P「…ごめんな?」チラッ

美希「えっ?」

何、言ってるの?ハニー。

9: 2012/07/10(火) 00:45:04.01 ID:RNKVwZNhO
P「あの時、断ったから…だろ?美希が、輝けなくなったのは」キッ、

美希「…」

車が止まって、ハニーがミキの顔を見る。

P「少し、歩こうか」ガチャッ、

美希「…」ガチャッ、

――バタン

10: 2012/07/10(火) 00:49:47.43 ID:RNKVwZNhO
――港の見える某・公園

P「綺麗だよな、ここ」スタスタスタ

美希「…うん、そうだね…」トテトテトテ、

P「…あのさ」ストン

ハニーが、ベンチに座る。ミキも、横に…ううん、少し離れて、座る。

美希「うん」

P「本気、だったんだよな?あの告白」

美希「…」

告白…この間の、告白。

美希「…うん。ミキ、ホンキだよ。本気で、ハニーが好き」

12: 2012/07/10(火) 00:54:03.35 ID:RNKVwZNhO
P「そっか」

美希「うん」

また、嫌な雰囲気。こんなことなら、告白なんか、するんじゃなかった。
美希「…それが、一番だよね…」ボソッ

美希「…」キュッ

美希「プロデューサー!」

P「…」ズキッ

プロデューサー。その言葉が、痛い。他の誰かなら聞き慣れた言葉でも。今は、痛かった。

痛かった。ハニーって、言いたい。でも、ダメ。もう、ハニーじゃないから…。

美希「あはっ!いいの!もうあの事は、忘れて?」ニコニコ

14: 2012/07/10(火) 00:59:00.30 ID:RNKVwZNhO
P「えっ?」

美希「あっ!でも、安心して?アイドルは辞めないから!」ニコニコ

笑わなくちゃ。笑わなくちゃ。

美希「だから、ね?プロデューサー」

美希「最後に…ぎゅって…して、ほしいなぁ…」グスッ、

笑わなくちゃ。

…無理だよ。笑えるわけ、ないの。

P「…」ギュッ

だいすき。だけど、もう言っちゃだめ。困らせたくないから。

美希「ね、プロデューサー?」

15: 2012/07/10(火) 01:03:39.90 ID:RNKVwZNhO
P「ごめんな?」

美希「あはっ!いいの!ミキもごめんね?勝手にハニーなんて呼んじゃって!」

P「…」ズキッ

言えない。好きだなんて、言える訳がない。プロとして、プロデューサーとして、この娘の人生を壊していい筈が無い。

P「…」ギュー

美希「…うぅっ…」グスッ、

美希「もう…離して、いいの」フルフル

P「…」ギュッ

美希「これ以上は、だめ」スッ、

17: 2012/07/10(火) 01:08:41.19 ID:RNKVwZNhO
だめだよ、プロデューサー。また、呼びたくなっちゃう。ハニーって。

美希「あはっ!ミキ、またキラキラになれるよ?今日はたまたまだったの!たまたま!」

美希「だから、ね?プロデューサー!もうちょっとだけ、ミキの担当でいて?」

もうプロデューサーの、ハニーの星じゃないミキ。そんなミキが…キラキラ、できるかな。
教えて?ハニー♪なんて、ふふっ。

P「…」

美希「…返事…してよ…」

P「…」

美希「返事してほしいの!じゃないと、ミキ!諦められない!」

18: 2012/07/10(火) 01:12:55.65 ID:RNKVwZNhO
弱かった。俺は、弱かった。逃げてたんだ。美希の、気持ちに。

P「…嫌だ」

美希「えっ?」

えっ?

P「返事なんか、するもんか」

何?

P「だから、美希は諦められないな。俺の事」

俺は、何を言ってる?

美希「…ばかぁ!うぅっ…ぐすっ…ひっく」グスッ、グスッ、

P「…」ギュッ

俺は、クズだ。

20: 2012/07/10(火) 01:18:06.52 ID:RNKVwZNhO
美希「…ぐすっ、ぐすっ」グスッ、

俺の隣で、ミキが泣いてる。街の灯かりで、星の明かりで、涙が輝いていた。

美希「どういうつもり、なの?」グスッ、チラッ

P「…」

美希「何で、あんなこと言うの?それじゃ、ミキ、ずっと…プロデューサー?」

美希「泣いてるの?」

P「えっ?」

美希「ほら…」スッ、

美希の、柔らかい手が俺の目元を拭った。

美希「…」スッ、

――ギュッ

P「ッ!」ビクッ

美希「おんなじ、だったんだね」ギュー

P「えっ?」

21: 2012/07/10(火) 01:23:24.82 ID:RNKVwZNhO
美希「プロデューサーも、怖かったんだね」

プロデューサーを、ううん。もう、素直になるの。ハニーを、ぎゅってする。あはっ!ハニー、身体を震わせて泣いてる。なんだか、かわいいの。

美希「ミキも、ね?怖かったんだぁ。プロデューサー…ううん、ハニーに、気持ちを伝えるの」ギュッ

P「ッ!」グスッ、

嬉しかった。聞き慣れた言葉の筈なのに。ハニーって言葉が、嬉しかった。

美希「大丈夫。大丈夫だから」ギュッ

P「好きなんだよ。好きなんだ。でも、言っちゃいけないんだ。言ったら、美希が苦しむ」

たどたどしい言葉。だけど、だからなのかな?ミキ、嬉しかった。ハニーの、本音が聞けたから。

…でもね?

24: 2012/07/10(火) 01:27:50.47 ID:RNKVwZNhO
美希「…」グニッ

P「いてっ!」ヒリヒリ

そんなこと言うハニーには、ほっぺ、つねっちゃうの。

美希「誰が苦しむって決めたの?ミキ、そんなこと言ってないよ?」ムスッ

P「…」ヒリヒリ、

美希「それ、ハニーが勝手に決めたんでしょ?それ、ちょっぴりムカついたな」プイッ

P「えっ?美希?」

美希「まだ、分からないの?ほんと、ニブチンなんだから。相手がミキじゃなかったら、ホントに呆れられてるよ?」

つまりはね?こういう事。

――チュッ

P「ッ!?」

26: 2012/07/10(火) 01:32:45.03 ID:RNKVwZNhO
美希「言ったでしょ?ミキ、ホンキだって。苦しむなら、苦しんだっていい。だって、ハニーがいるもん」

P「美希…」

美希「いい?ミキの幸せはね?ミキが決めるの!ミキの幸せは、ハニーとずっと一緒にいることなの!」

美希「…わかった?」

P「…いいんだな?」

むっ!しつこいの!

美希「…」チュッ、チュッ

P「わぷっ!」

美希「言葉じゃ、分かんないんだよね?なら、態度で示すの」チュッ、チュッ

P「ちょっ!首すじッ!首すじはマズいっ!」アセアセ

28: 2012/07/10(火) 01:39:44.24 ID:RNKVwZNhO
やっと、いつものハニーなの。ちょっぴり頼り無さげだけど、隣で、笑っていてほしい人。

美希「ミキ、ハニーから聞きたいなぁ?」チラッ

P「ぐっ…」ドキッ

美希「…ちゃ~んと、ミキの眼を見て、言ってほしいなぁ?」チラッ、ニヤニヤ、ニヤニヤ

P「…」ドキドキ

美希「言って…くれるよね?」ドキドキ、

P「…すぅ」スゥ...

P「好きだ。ずっと、隣で笑っていてほしい。俺の、星でいてほしい」

P「…ど、どうだ?」

恥ずかしかった。一度は、俺の身勝手な理由で断った告白。今度は、俺が告白する番だった。

美希「いいよ。ずっと、ハニーの隣にいてあげる。ミキがおばあちゃんになっても、大切にしてね?」クスクス

31: 2012/07/10(火) 01:47:07.94 ID:RNKVwZNhO
P「あぁ。もう離さないし、迷わない。俺が、美希を幸せにする」ギュッ

美希「ううん!それは嫌かな」クスクス

P「は…?」

美希「ミキが、ハニーを幸せにしてあげるの♪そしたら、いつの間にかミキも幸せになってるから♪」クスクス

美希は、最後まで美希だった。

P「…」ギュッ

美希「ね、ハニー?」ギュー

P「ん、何だ?」

美希「ミキはね?欲張りさんなの」

32: 2012/07/10(火) 01:48:56.43 ID:RNKVwZNhO
ミキが、ハニーの星なら。

美希「ミキは、欲張りさんだから、それじゃ満足出来ないの♪」ボソッ

P「えっ?」

美希「ふふっ。なんでもなぁい」クスクス

P「?」

ハニーは、ミキの一番星なの。

この夜空の中で、いっぱい星がキラキラしてる中で。ミキは…

美希「一番星、見ぃつけた」

おわり

33: 2012/07/10(火) 01:49:58.99 ID:RNKVwZNhO
はい。ここまでありがとうございました

34: 2012/07/10(火) 01:50:45.29 ID:RxltN73o0
乙、美希かわええ

引用元: 美希「一番星、見ぃつけた」