1: ◆BAS9sRqc3g  2015/05/18(月) 06:04:18.85 ID:dmoZ3uWAo

19: 2015/05/18(月) 22:05:32.84 ID:dmoZ3uWAo

番外編
☆2人の記憶☆



佐世保。
彼の記憶のほとんどは失われ、覚えている範囲の彼の記憶を今ようやく辿ることにする。
提督のもとを訪れた彼に対して不在の提督。

そんな彼を何もせずに返すのは留守を任されている身として
申し分が立たないのでお茶をだすことに。
そんな中無言なのも少々気まずいので、話をすることに。
そこで聞いた話をもとに色々と考えてしまった。


一番最初に覚えていたのは密林の中で目が覚めたこと。
硝煙、潮風の匂い。身体の傷、痛み。


一番の恐怖は自分が誰であるか分からなかったこと。
持っていた無線機からは雑音と時々交じる断末魔の叫び声が聞こえ
不安はさらに煽られていく。

20: 2015/05/18(月) 22:07:01.72 ID:dmoZ3uWAo

日本はこの時、反撃の一歩として沖ノ島奪還作戦を結構していた。
……が、結果は敗北。


深海棲艦に作戦本部、拠点位置がバレ、襲撃されたのが原因である。


「ぼ、僕は……誰なんだ……ここは……」

身体のあちこちから血が流れている。
どうしたらいいんだ。
どこに行けばいいんだ。


木々をなぎ倒して目の前に現れたのは
到底人とは思えない化け物だった。

21: 2015/05/18(月) 22:08:55.97 ID:dmoZ3uWAo

「お、おい大丈夫か! こっちだ!」

そう声をかけてくれたのは名前も知らない
自分と同じ格好をしていた人だった。


しかし、その人は佐世保を守るために深海棲艦に立ち向かい
無惨にも殺されてしまった。
佐世保の一番最初の記憶だった。


目の前で自分を助けようとしてくれた名前も分からない人が
深海棲艦に襲われ、あっけなく殺された。


佐世保は恐怖から全てを放り出して逃げ出した。
身につけていた重い物は全て放り投げて走った。



殺される……逃げなくちゃ殺される。




22: 2015/05/18(月) 22:11:07.22 ID:dmoZ3uWAo

追ってくる深海棲艦に何とか木々の間に隠れて
やり過ごすことに成功した佐世保だった。

自分が目を覚ました所すらも分からなくなって
今にも泣きそうになっていた。身体の震えが止まらなかった。


「だ、……誰か……助けて……」

「おい、しっかりしろ!」


顔をあげるとボロボロになった軍人がいた。
さっきと同じ、自分と同じ服を着ている人だった。


「お前、装備はどうした……! 撤退命令が出ているぞ」

「……」


佐世保は人に出会ったというだけで極度の安心をしてしまい、
ただ涙を流すだけで何かを答えるどころか声が出なかった。

23: 2015/05/18(月) 22:12:42.77 ID:dmoZ3uWAo

「いいか、こいつを使え。このコンパスで……あっちの方角にまっすぐ進め!
 海に出たら運が良ければボートがまだある」

「そいつに乗ったら今度はとにかく煙の上がっている方角があるはずだ。
 それが俺たちの母艦だ。そこに行けば……
 みんな殺されてなけりゃ誰かが助けてくれるはずだ」

「絶対生き延びろよ。俺たちはまだ……負けていない」


そう早口で言って自分の装備を全て押し付けるように渡したのは
他でもない提督だった。


「あ、あの……あなたは……!?」

24: 2015/05/18(月) 22:16:49.37 ID:dmoZ3uWAo

あなこそ撤退命令が出ているのにも関わらずどこに向かうと言うのだろうか。
提督が走っていった方角は佐世保に教えた方角とは違う。
先ほどの深海棲艦が行ってしまった方だった。

提督のことを止めようとしたが急いでいたみたいで振り返りもしなかった。


言われたとおりに佐世保は恐る恐る森の中を足を引きずりながら進み何とか海まで出た。
そこに運良くボートが残っていた。何人かの氏体が折り重なっている。
逃げる寸前で深海棲艦に殺されたんだろう。


というか、たぶん提督はボートが残っていることをまたしても”分かって”いたんだろう。



25: 2015/05/18(月) 22:17:51.89 ID:dmoZ3uWAo

氏体を少し退けてボートが動かせるようにしてからエンジンをかける。
不思議とボートのエンジンのかけ方は分かった。
身体が覚えているという感じだった。

そうして沖に出た頃、空にどす黒い煙が上がっているのが見えた。
……あの船、このまま行けば沈むんじゃないか……?
それくらい大炎上している風に見えた。


提督にもらった装備の1つ、双眼鏡で様子を確認すると見えたのは
深海棲艦が船を襲撃している風景だった。


船を運転する手が止まる。
今さっき味わったばかりのトラウマにもう直面しないといけない。

26: 2015/05/18(月) 22:19:07.93 ID:dmoZ3uWAo

呼吸が荒くなる……。
この時、不思議なことに……本当に不思議なことに。
船に乗っている人たちの声が聞こえた。


まだ距離はあるのに。

あんなに遠くに船があるのに。
銃を発砲する音。人の悲鳴。深海棲艦の咆哮。
爆発音。人の怒声。雄叫び。


意味が分からない。極限のストレスで幻聴を聞いているようだった。


だけど、確かに聞こえる。
近づくに連れて聞こえるものの数が増えていく。

27: 2015/05/18(月) 22:20:51.95 ID:dmoZ3uWAo

人の足音、深海棲艦の足音。
波の音。風の音。海にいる魚の泳ぐ音。

人の呼吸。深海棲艦の呼吸。

色んな音が聞こえる中で
船に近づいた時……ある会話が聞こえた。


「――司令のこと好きなら素直になんなくちゃね」

「――待って!! 赤城さん!! 行かないで!!」


この会話のあと船から出ていた煙はだんだんと消えていった。


船が直った……そう佐世保は思ったが、
これに活気づいたのは船だけではなく乗組員達もだった。
船からは多くの人間の声が聞こえてきた。

28: 2015/05/18(月) 22:22:43.53 ID:dmoZ3uWAo


「船が動き出したぞ!」

「このまま帰れるぞ!」

「まだだ!この船から奴らを追い出せ!」


そんな希望の光が見え出した人々の会話の中で一際目立つ会話があった。



「――退けぇぇ!」

「君にはこれ以上武器を取らせることは出来ない」

「ふざけるな!! 私がこの瞬間をどれほど待っていたのか!!
 貴様ァ!! 知らんとは言わせんっ……!」

30: 2015/05/18(月) 22:24:56.43 ID:dmoZ3uWAo

「……」

ゴッ!!

鈍い打撃音。恐らくクリーンヒット。


「ガッ……お、オ゛ェ……」

ガクッ。
床に膝から崩れる音。


「……上官への口の聞き方がなっていないぞ。
 どうだ? 自分の力で殴られる気分は……」

「ハァー……そこを退け、ハァ……クソババア」

31: 2015/05/18(月) 22:28:42.24 ID:dmoZ3uWAo

「自分の顔を見なさい。今のあなたは……とても人の顔をしていない」

「だ、黙れ!そこを退けババア! 撤退なんて命令だしやがって……クソババア!」

「この惨劇を見れば当然だろ。もう武器を置いて、お願いだから。これ以上傷つかないで」

「黙れ! まだだ! まだ負けていない!  ハァ……くそっ!
 だったら船から降ろせ! 私一人でも戦う! 私が奴らを根絶やしにす……ガッ」



船に追いついたことで佐世保はこの会話を聞くのはやめたそうだ。


もちろん今の会話は……触れると私ですらどうなるか分からない人達の
おぞましい会話であることは確かなのでこれ以上触れない。


佐世保がようやく船に追いつく頃には船に侵入してきた深海棲艦は
全て片付いていて、佐世保はすぐに引き上げられ治療を受けることになった。



32: 2015/05/18(月) 22:31:16.50 ID:dmoZ3uWAo

佐世保が帰還したあと、彼は安全な船に辿り着いたことをきっかけに眠るように倒れ、
次に目が覚めた時には病院のベッドの上にちゃんと寝かされていたそうだ。


しばらくして……
病棟にやってきたのはどこかで聞いたことのある声だった。
遠くの方からその話声は聞こえていて自分の部屋に来るのはもう分かっていた。


「やあ、元気?」

「……すみません。どちら様でしょうか」

「ぷっ、あははははは! ひぃー! ぷははは!」


会うなりに失礼のないように佐世保は精一杯の笑顔で出迎えたのだが、
その彼女はそれを見るなり床を転げるくらいに笑いまくったのだった。


彼女は……とても小さな女性だった。

33: 2015/05/18(月) 22:32:13.67 ID:dmoZ3uWAo

ひとしきり笑ったあと涙を拭きながら「いやー、ごめんごめん」と。

「記憶がないのは知ってるよ。私は舞鶴って言うの。こう見えても一応君の娘だよ」

「僕に娘……!?」

「あはははは! うそうそ! そうかー、自分が誰かもまだ分からないんだよね」

「……はい」

「うんうん、しょうがないね。君の名前は佐世保。いいね?」

「……佐世保」

「そう」

「あ、あの舞鶴さん……この装備なんですけど」


佐世保が指さしたのは自分を助けてくれた人物の装備品。
一応いつ返してもいいように病棟の自分の部屋にまで持ち込んでいたのだが。

34: 2015/05/18(月) 22:33:21.34 ID:dmoZ3uWAo

「あー……えっと、ごめん。その人はたぶん戦氏してるよ」

「えっ」

「沖ノ島奪還作戦が敗北してから4日経ってるけど帰ってこないし通信もない。
 まあ通信機器、あの子のがここにあるんだから無理だもんね……」


佐世保が持ち込んでいた提督の通信機を見つめる舞鶴さんは
どこか寂しそうだった。


「……そんな、僕は……命の恩人にお礼も言えないのですか……」

「そう、ごめんね。――で、落ち込んでいるところ悪いんだけどさあ。これ受けてもらえるよね」


そう言って舞鶴さんが渡したものは一枚の紙。
そこに記されていたものは「再試験の案内」だった。

35: 2015/05/18(月) 22:34:51.86 ID:dmoZ3uWAo

「……はい?」

「えーと、なんていうか君が記憶を失う前の人格、
 というか前の君は非常に”馬鹿”だったんだよ」

「……」

「で、申し訳ないんだけど、これ、受けてくれるよね?」


この時、佐世保は非常に恥ずかしかったという。
こんな時でもこんな再試験の話をされなくちゃいけないほど
自分が馬鹿だったのかと……。


それから彼は猛反省し、試験範囲を聞き出して
病棟の自分の部屋で狂ったように勉強をしたとか。

36: 2015/05/18(月) 22:36:21.45 ID:dmoZ3uWAo

そんな勉強をして試験を一発でパスした日、
その日は退院の日でもあったが。

海の方から話声がするのを彼が一番最初に聞いた。



「違えーよ! お願いします、な!」

「闇ニ飲マレヨ!」

「てめえヲ級それ絶対使うなよ!」

「我ガ友ヨ。我々ハ 綺麗?」

「いや着飾る意味は分からんが……棲姫はまあ、うん。いいんじゃねーの?」

「中ジョッキ! 生一丁!」

「お前ほんと静かにしてろよ!?」

37: 2015/05/18(月) 22:37:14.50 ID:dmoZ3uWAo

この声は……!忘れるはずがない。
あの時、助けてくれた人の声だ!!

すぐに佐世保は舞鶴に知らせ、
みんなを寄せ集め提督を出迎えた。


その提督が連れていたのは深海棲艦の2匹だった。
その姿見えた瞬間、基地内はどよめき、警報が鳴り響いた。

「ま、待ってください! 彼らは何かを伝えようとしています!」

「ふざけんなお前、奴らは深海棲艦だぞ! 今やらなければこっちが殺される!」

38: 2015/05/18(月) 22:37:46.11 ID:dmoZ3uWAo

そう言ってみんな臨戦態勢に入る。
提督は2匹を守るように手を広げて叫んでいた。

「戦う意思はない! 舞鶴を呼んでくれ! あの人なら何とかしてくれるから!」

「……困った後輩くんだよ……ほんとに……」


舞鶴さんはその時ばかりは何故かノリ気ではないみたいな雰囲気だった。
いつもならノリノリでそういう場所に行ってしまうのに。


それから……提督、深海棲艦の戦艦棲姫、空母ヲ級は
もう気が付いた時には和平の条約があっという間に結ばれていたのだった。

39: 2015/05/18(月) 22:39:36.20 ID:dmoZ3uWAo

実はこの時もまた……あの人は大暴れしていたのだった。
佐世保は条約会議の行われている部屋の近くにいながらもその様子を聞いていた。
やはりあの戦火の中で行われていた2人のやり取りと声が一致する。
しかし、今度は2人だけではない。



「金剛、扶桑、山城!邪魔をするようならあの小さい人は頃しても構わない」

「……でも呉、あのお方は上官にあたるのでしょう?」

「いくら呉の命令でも上官の人を攻撃するのはナッスィングデース」

40: 2015/05/18(月) 22:41:14.93 ID:dmoZ3uWAo

「そもそも敵に戦意はないのにこちらから一方的に攻撃をすれば
 ……それは新たな戦争の火種を生むことになるのよ」

「……山城の言うとおりね」


「そうそう、せっかく自分の鎮守府を持つことが出来たのに
 ここで暴れたら全部台無しだよ? 沖ノ島で君の出世を護ったのは私なんだから」

「……氏んじまえクソババア」ボソッ

「行くわよあんた達。いつか……いつか絶対に一匹残らず駆逐してやるわ」

41: 2015/05/18(月) 22:42:42.22 ID:dmoZ3uWAo

そして気が付くと目の前には提督がいた佐世保。


「何してんだ?」

「うわあッ! 先輩!? いつの間に……あ、あの……僕」

「我ガ友、我々ハ日本ノ領土ニ侵入、今日ガ最後……。
 観光案内頼ム……! ……デート」

「ん? ああ、美味い牛丼チェーン店にでも連れてってやるよ」


この時の話は全て佐世保から聞いているのですが、
ここら辺のことは何も聞かなかったことにします。

というか最初に連れて行こうとしているのが牛丼チェーン店って
どういうチョイスなんでしょうか……。

42: 2015/05/18(月) 22:44:16.15 ID:dmoZ3uWAo

結局この時も佐世保は少ししか提督と話すことができなかったとか。


熊野曰く、
その少ししか……が積み重なったせいで現在は想いが膨れ上がり
あんな風になってしまった、と。


それからの彼らと言えば、
まあいつもどおりの彼らなのであって。
そこにはもう私も加わっていたりして。


「先輩、あの……」

「げっ、いつものイケメンじゃないか」

「実は先輩に話したいことがあるんです。
 ちょっとだけいいですか?」

43: 2015/05/18(月) 22:44:52.20 ID:dmoZ3uWAo

「いやすまん。こっちも忙しくて。
 これから上に呼ばれてて行かなくちゃいけないんだ。
 急ぐぞ加賀。また遅れたらどやされる」

「提督がいつもすみません。」

「いえ……こちらこそ、お忙しいところ声をかけてしまいすみません」


何度か提督の後ろを歩いてる時に声をかけられては
それがまたタイミングが悪いくて話すことなんて出来なかった。

44: 2015/05/18(月) 22:45:55.00 ID:dmoZ3uWAo

そしてなんだかんだ言って迎えてしまった卒業式の日。
またしても提督は忙しかったのである。
今度は呉に命を狙われていたのだった。

ほとんど勝手に約束したようなものを律儀に覚えていた呉が
本当に勝手な言いがかりで俺と戦おうとしてくる。と走り回りながら言っていた。


優秀な上位二名ということで式の際に壇上に上がった提督と呉だが、
終始言い争いをしていて何て醜い式にだったことか。
ようやく舞鶴が止めた時には収集がつかないことになっていたが。


「いやー、加賀、明日からだってよ。横須賀に勤務するの」

「はい、頑張りましょう」

「あんまり気負うと鬱病にでもなるぞ? 気楽に行こうぜ。
 もう平和になったんだからさ」

「そうですね」

45: 2015/05/18(月) 22:46:57.57 ID:dmoZ3uWAo

「先輩っっ!」

「おお、佐世保じゃないか。久しぶりだな」

「ご卒業おめでとうございます」

「ありがとよ。お前もがんばれよ」

「はい! 僕も先輩みたいに立派な提督になります!」

「おうっ」


そう言って提督は笑っていたが、
……実際の所、佐世保はこの頃には上の方で
どこの鎮守府に配属させるか決めかねるくらいの逸材だったそう。

46: 2015/05/18(月) 22:48:09.84 ID:dmoZ3uWAo

現舞鶴鎮守府を一人で切り盛りさせるには若すぎるし経験がない。
だからといって横須賀に送り込むのは提督の本来の力の妨げになるかもしれないとか。
一方呉の方は呉自身が絶対の拒絶をするだろうし……。


そんな中で佐世保は現在の佐世保鎮守府に勤務することになった。
この頃には既に先輩が一人着任していたが、
どちらにしてもこの先輩というのが厄介な者で、
艦娘専門の司令官コースの卒業生ではなかった。


そのために佐世保が卒業し、
ここに配属する頃にはすっかり奴の独壇場と成り果てていた。


そこでは既に熊野は氏んだような顔で毎日毎日働いていた。


「あの……お言葉ですが、彼女には休息が必要です」

47: 2015/05/18(月) 22:51:33.30 ID:dmoZ3uWAo

「休息……? 艦娘にか? 新兵器に何を言ってる馬鹿者!」


バキッ、と思い切り横っ面を殴り飛ばされる佐世保は思わず床に倒れこむのだった。
その光景を見ていた熊野はいけないと分かっていながらも何故かドキドキしてしまって、
佐世保には申し訳ないと思うのですが、もう一度殴られてもらえないかしら、と

全くもって訳の分からない感情を頂いていたことを最近打ち明けられた。
そんなカミングアウトされても私は困るのだが……。


なんでも殴られて床にへたり込む姿が非常に様になっていたとか。



「彼女達は兵器かもしれませんが。その前に一人の女性なんです」

「黙れ佐世保。貴様、俺のやり方にケチをつけるのか!?」

48: 2015/05/18(月) 22:55:03.10 ID:dmoZ3uWAo

「僕には聞こえるんです。彼女の疲労した筋肉の音が。
 全身が悲鳴を上げている。にも関わらずそれを根性で乗り越えようとしている!」


このことから分かる通り、佐世保は既にこの頃には彼自身が持っているよく分からない能力を
思いっきり使いこなせることができていたそうです。
このあと佐世保は一撃も喰らうことはなかったという。
5メートル以内の相手なら筋肉の収縮音で動きを予測できるらしいです。
よく分かりません。


「貴様ぁ……上官に逆らうか」

「こんなに怒りを感じているのは生まれて初めてですよ……」


疲弊した熊野を助けるために立ち上がった佐世保。
その実力は言わずもがな。
それはそれは……一体何をしたのかはさっぱり分かりませんし、
検討もしたくないですが……。

49: 2015/05/18(月) 22:56:28.20 ID:dmoZ3uWAo

とにかく、熊野が彼らの喧嘩から一旦避難して
次に執務室に来た時、

机でふんぞり返っていた者が佐世保に大して
全裸で土下座して許しを請う姿だった。

佐世保は笑顔でいた。
ニコニコといつもの笑顔で笑っていた。
目だけは全く笑っていなかったけど……。


熊野はすぐに佐世保のもとに駆け寄って何があったのか聞いた。


「あ、あの……一体何をされたんですか?」

50: 2015/05/18(月) 22:56:54.56 ID:dmoZ3uWAo

「これは熊野さん。まずはお風呂にゆっくり浸かってくるといいでしょう。
 それから布団は用意しておきますので、そこで気が済むまで休みなさい」

「え、ですが、わたくしこれから執務が……」

「それはもう僕がやりましたし、全て終わりましたので安心してください」

「ええっ!?」


そう言って熊野を風呂場へ追いやった佐世保は、
そこで初めて執務に取り掛かり始めたそうです。

51: 2015/05/18(月) 22:57:50.47 ID:dmoZ3uWAo

熊野は言われた通りにゆっくり風呂に入り、たっぷり寝て
お腹が空いた頃になってから起きた。
目が冷めて、パジャマを脱いで制服に着替え終わった瞬間だった。

コンコンとノックの音がして外からは佐世保の声がする。
「おはようございます。食事を持ってきました」

「ど、どうぞ……? まあ、なんですのこれ」

「いえ、なんて事無いトーストと僕の特性ジャムです」

「僕の特性ジャム!? ……はっ、いけませんわ。
 こほん。ありがとうございます……」

「コーヒーは?」

「でしたらミルクを少し入れてください」

「はい、どうぞ。熱いので気をつけてください」

52: 2015/05/18(月) 22:58:39.14 ID:dmoZ3uWAo

熊野は思った。
突然やってきたもう一人の男性。
全く期待していなかったのに一日とかからずに
嫌な上司を追い出してしまった恩人に当たる人。

それがこんなにもイケメンで優しく語りかけてきてくれて。
おまけにゆっくりコーヒーをすする私の頭を撫でてくれている。

これで恋に落ちない女がいるはずがないと。
もちろん熊野自身もこの時はそうだった。


他愛のない会話を熊野とする中で
佐世保の意外な所に気が付いてしまうのだった。


53: 2015/05/18(月) 22:59:40.45 ID:dmoZ3uWAo

それは……佐世保がなんでもかんでも話の最後に
「でも先輩は……」と必ず提督の話に持っていくところだった。

なので熊野は少し悪戯っぽく、冗談めかして
「ふふ、よっぽどその先輩のことが好きなんですのね」

「ええ、僕は先輩のことが大好きですよ。世界で一番尊敬しています」

勿論この大好きとは”先輩として””友人として”であり
決して”恋愛感情で”ではない。
佐世保はこの時(正しく言えば今もではあるが)
そういうつもりで言ったのだ。

54: 2015/05/18(月) 23:01:13.67 ID:dmoZ3uWAo

そしてこの時同時に、
一瞬で好きになってしまった人物が
一瞬で変なやつだと気が付いてしまった時、
熊野の中で何かが弾けて壊れたのだった。

これまで裕福な家系で育てられ当たり前のように振舞っていた事象が
全てバカバカしくなってしまい。
世の中の当たり前が全て信じられなくなってしまったのだった。


熊野は今までの教養から当たり前のように女性は男性と
男性は女性とくっつくものだと思い込んでいた。でも世界は違った。

もっと自分の知らない世界があるのだとこの時気が付いてしまった。


そして彼女は……禁断の世界に目覚めてしまった。
時々付き合わされそうになるこちらの身にもなって欲しい。

55: 2015/05/18(月) 23:02:32.22 ID:dmoZ3uWAo

そして、雷を拾い上げて、
天龍をうちから引っ張っていき、今に至る。


これが現在の佐世保の始まりの話であった。


さて、今回の話はこれだけではない。
むしろ本題はここから。


それは佐世保と深い関わりにある人物から話してもらうことにする。

56: 2015/05/18(月) 23:04:10.01 ID:dmoZ3uWAo

…………
……



なんてことない昔の話。
とっくに終わってしまった話。まあ今じゃなんだかんだまた燃え始めてるけど……。


あの時、俺は別になんて事無いただの不良に絡まれていた。
当時の格好はそれこそ地味で一人称だって”私”だった。

女の子らしく。


一体こんな地味な女の何が良かったのかはさっぱり分からないが、
提督に話したら「そりゃあそんな地味な女がでっけえおっOい持ってたら
勝負したくなるもんじゃないのか?」って言ってやがった。失礼な奴だ。

57: 2015/05/18(月) 23:05:00.63 ID:dmoZ3uWAo

まあそんな訳で身体を目的にされているんだろうと、
直感的に感じ取っていた俺はそれこそ中々の恐怖を感じていたんだ。
当時の俺は本当に箸より重いものなんて持てないんじゃないかってくらい。
今の扶桑ほどじゃないが、それくらいヘロヘロだった。


こういう時、いつもなら龍田が来てくれてた。
奴は薙刀部とかいうよく分からない武道を習得しているせいか
やたらと強かったんだ。

……今思うと、薙刀持ってたから強かった訳ではなかったと思うが。


しかし、いつも護ってくれる龍田は今日はその薙刀部か何かの県大会の試合がどうとかで
俺の近くにはいなかったんだ。
人の通りの少ない道にポツンとある自販機。
その影に追い込まれた俺は逃げ場をなくして3人の不良に追い込まれていた。

58: 2015/05/18(月) 23:05:45.80 ID:dmoZ3uWAo

「……急いでるんで」

「別にいいだろ? 一緒に楽しいことしようぜ。へへ」


そう言いながら俺のヒョロヒョロの細い腕を掴みあげる。
大きな声を出そうにも目の前のただの不良にビビって声が出なかった。


「痛っ……放してっ」


その瞬間、不良が何者かに殴られて目の前からぶっ飛んでいった。
一人の不良がゴロゴロとコンクリートの上を転がり、そのまま起き上がらなかった。


「てめえなにしやがる!!」

「……退け。邪魔だ」


容赦無い拳が不良Bのみぞおちに吸い込まれる。
膝から崩れ落ちる不良B。


この時俺はようやく助けに来てくれたと思しき人物の顔を見ることができた。
……めちゃくちゃ怖かった。超目つき悪かった。

59: 2015/05/18(月) 23:06:50.58 ID:dmoZ3uWAo

鬼のような形相で、今にも額に浮き出た血管がキレそうだった。
それが……今はニコニコと丁寧な口調でお喋りをしやがる
佐世保の前の姿だった。


不良Cは「てめえ……」とは言うが
この圧倒的な強さを目の前に手を出すことができないでいた。


「邪魔だ」

膝をついてうずくまる不良Bの顔面に膝蹴りを食らわす。
不良Bは鼻血を噴射しながら後ろにぶっ倒れた。
本当に容赦無い奴だった。


「く、くそぉ……てめえ覚えてろよ」

とテンプレな捨て台詞を吐きながらなんとか生き延びた不良Cは2人を連れて
その場から逃げていくのだった。


佐世保はそんな逃げる彼らに……
結構大きめの石を何回か思い切り投げつけていた。
オーバーキルはやめろ。

60: 2015/05/18(月) 23:08:03.66 ID:dmoZ3uWAo

何事もなかったかのように自販機のコーラを買いだした佐世保に
意を決して例を言うことにした。

正直、この場から滅茶苦茶逃げ出したかったが、
今まで3人の不良が立ちふさがっていて逃げれなかったところに
今度は佐世保が立ってるもんだから逃げられないのだ。


「あ、あの……」

「あ゛?」

「た、助けてくれて……あ、ありがとうございましゅ」


やべえ噛んだ。なにこれすごい恥ずかしい。氏にたい。
退いてください。ちょっとそこを通してください。

61: 2015/05/18(月) 23:08:47.49 ID:dmoZ3uWAo

「……」

「……」

「……誰?」

「え?」

「何お前……ああ、あれか。自販機の霊か?」

「いや、ちが……」

「うじうじしてんじゃねーよ。うぜえなぁ。何か用?」

「ひっ、え、えっと……だからその……助けてくれてありがとう……ございます」


佐世保は何だこいつみたいな顔で俺のことをジロジロ見てくる。

俺は怖いのもあったが、何より男の人にこんなふうに迫られたのが初めてだったもんで
恥ずかしくて顔は熱いし何を言えばいいか頭の中がぐるぐるで、
ずっと佐世保の足元を見ていた。

62: 2015/05/18(月) 23:09:42.25 ID:dmoZ3uWAo

「おい」

そう言って俺の顎を無理矢理引っ張るようにあげ、
息がかかるんじゃないかってくらい近くで瞳を覗きこまれた。
正直、心臓が破裂しそうだった。
たぶん破裂したら日本は跡形もなく消し飛ぶかもしれない。


「……この糞ださい眼鏡やめたら?あとこれも」


そう言って俺のしていた丸っこい眼鏡、ちょうどちびまる子ちゃんで言うと
たまちゃんがつけてるようなクソメガネを佐世保は取り上げると同時に、
おさげの三つ編みのゴムを奪われた。
髪は無理矢理下ろされた。

63: 2015/05/18(月) 23:10:29.82 ID:dmoZ3uWAo

「あ、えっと……眼鏡返して……ください」

「……あ?こっちのがいいぞ? ははは」


いたずらっ子のような無邪気な笑顔を見せられた俺は
たぶんこの時、落ちていたんだと思う。


全く見ず知らずの不良よりも怖い顔してた奴の
急な笑顔に心を撃ちぬかれて心臓飛び出そうになっていた。


64: 2015/05/18(月) 23:11:16.22 ID:dmoZ3uWAo

「……で、お前なんなんだよ」


俺はこの時盛大にズッコケたと思うが……。
まあそんなこんなで一応自分の経緯を説明し、ようやく分かってもらったみたいだったが。


「まあ気にすんな。じゃあな」


それだけ言われて佐世保は行ってしまった。
背中を追うことなんてできなかった俺はまっすぐその背中が見えなくなるまで
ずっと見ていた。


時間は少し過ぎて……。
あれから俺はまた自販機の近くにいれば
佐世保に会えるんじゃないかと思って待ってたりして、


……で、やっぱり俺の読みは当たっていて。
よく分からないけどこの自販機の常連らしい。

佐世保が自分でそう言ってた。

65: 2015/05/18(月) 23:11:55.67 ID:dmoZ3uWAo

ちなみにこの頃の佐世保はどれくらい馬鹿かと言うと
卯月レベルで馬鹿だ。要は物をよく知らない奴なんだ。


毎日どっかでケンカしてくるような奴で
自販機に現れると時々顔が痣だらけになってる時もあった。

ある時は返り血で真っ赤になってる時もあったけど。


俺はそんな佐世保が怪我して来てもいいように
救急セットを持ち歩くようになり、通っていた学校ではアダ名が
”救急車”になりかけていた。


「てめえ、そろそろ鬱陶しい奴だな。殴んぞ」

「殴るのはやめてよ……ほら、消毒しないと」

66: 2015/05/18(月) 23:12:42.02 ID:dmoZ3uWAo

「いっってええ!やめろ!こんなんすぐ治るからいいんだよ!」

「駄目だってば消毒しないと……ほら、腕だして」

「チッ、っるせえな……くそぉ」

そうやって悪態をつかれることもあったが、決して殴ってなんてこなかった。
まあ何度か殴られる振りみたいなのはされた。
その度に「ふっ、ビビってんのか?」と鼻で笑ってくるのだった。


――まあ結局のところ、この時の佐世保は俺になんて全く興味がなく、
殴った所で何にもならないことなど分かっていたからだ。


「何天龍ちゃんにやらせてるのよ!」

「はあ?」

「た、龍田……お前なんでここに」

傷の手当をしている時に現れたのは龍田だった。
手には薙刀、すでに袋から取り出して構えていた。
こっちの佐世保も手当中だったがすぐに臨戦態勢に入る。

67: 2015/05/18(月) 23:13:44.27 ID:dmoZ3uWAo

この2人は本当に顔を合わせる度にケンカしていたし、
実際に何度か殴りあってる。龍田は武器(薙刀)所持してたが。
でも多分、今やったら全盛期の龍田であっても佐世保には勝てないだろうな。


「てめえ、また物騒なもん持ってるじゃねえか」

「す、ストップストップ!!」

「退いて天龍ちゃん。天龍ちゃんを汚す輩は私が排除するの!」

「退けてめえ、誰にエモノを向けたか身の程知らずのこの糞女に教えてやんだよ」


この時の仲裁は非常に厄介だった。
佐世保に「てめえの妹ならもっとちゃんと教育しとけボケ!」とか
怒鳴られるし、龍田には
「クズ、ケダモノ、最低!」とか煽りだすし。

68: 2015/05/18(月) 23:15:16.97 ID:dmoZ3uWAo

ちなみにこの時、龍田は薙刀を折られたぐらいで
特に身体に怪我をすることはなかったそうだ。
対照的に佐世保の方は痣だらけになってたけど。


「糞アマ、てめえろくな氏に方しねえからな!」

「べーっだ。天龍ちゃん帰りましょう」

「お、おう」

「……ねえ。口調伝染ってない?」

「え? そんなことないよ?」

「もうあのヤンキーに会うの禁止!」

「えぇえ……そんなぁ……」


龍田は今まで妹にしながらも俺のことを何でも理解していて
だいたい龍田の言うことを聞いていればうまく事が進んでいた。
それくらい龍田は優秀な奴だった。


だから俺はこの時も律儀に龍田の言うことを聞いて、
あの自販機には近づかなかった。
あそこに行けばきっとまた会えるかもしれないのに。

69: 2015/05/18(月) 23:15:53.12 ID:dmoZ3uWAo

またしても時間は過ぎ……。
自販機に通うこともなくなってきていた俺だったが、
佐世保のことは一日足りとも忘れる日なんてなかった。

そんな中、龍田が学校の生徒会か何かで遅くなるから
先に帰っていて欲しいと言われ俺は一人で帰っていた。
もちろん、まっすぐ帰るように言われていた。


とぼとぼと帰る中で街の本屋に立ち寄ろうとすると、
本屋の中からはとても本が似合わないような出で立ちの男の子が出てきた。
佐世保だった。

何やら難しい顔をして本屋の袋をぶら下げている。


「ん? よお、何か久しぶりだな」

「あ、うん。ごめん、最近行けなくて」

「はあ? 何が」

「あ、いや。えっと……あの場所に」

70: 2015/05/18(月) 23:16:39.58 ID:dmoZ3uWAo

佐世保は何をワケの分からんことを言ってるんだみたいな顔をした。
まあ当然だろうな、あの場所を佐世保との待ち合わせ場所みたいに
思っていたのは俺だけだったんだろう。

「それ、何買ったの? 本なんて読むの?」

あの書店には漫画類はあまり置いてなかった。
意外なことに本を読む人なのかもしれない。
俺もずっと学校じゃ本ばかり読んでるような地味生活だし。


「あ? これか? ……別になんでもねーよ」

「えー、別にいいじゃん。見せてくれても」

「っるせえな。しつけーぞ」

「1回しか見せてって言ってないよ」

「……これだよ」


そう言って見せてきたのは所謂学校の入学試験用の対策本だった。
それも……日本海軍。

71: 2015/05/18(月) 23:18:42.43 ID:dmoZ3uWAo

「今よ、深海なんとかってのと戦争してんだろ?
 こっちの地域はあんま戦場になんねーからいいかもしれねーけど」



話を聞くと進路についての面談で
教師に、お前の力はもっと別の所で役に立つ。例えば……軍なんてどうだ?
とか勧められてしまい、ノリで買ってしまったと。

今べらべらと喋った内容も今日知ったことだったとか。


まあ中身を見てすぐに嫌そうな顔して閉じていたが。

72: 2015/05/18(月) 23:19:19.37 ID:dmoZ3uWAo

中身を見てすぐに虚ろな目をして本を閉じていたが。


「教えてあげるよ! 龍田と……」

「……お、おう」


すごく迷惑そうだったが、俺はここで勇気を振り絞り押し切った。
そうして次の日から放課後は佐世保の家まで行って勉強会を毎日することになった。

佐世保は「なんで毎日なんだよ。頭おかしいんじゃねーのか?」と言ったが
彼の学校のテスト用紙とその結果を見た所、毎日やらないとヤバイと思った。


「馬鹿、勝手に見てんじゃねーよ!ぶっ頃すぞ!」

「馬鹿はどっちだよ。この点数……」

「てめーは俺のおかんか! みんな悪かったんだよ。俺だけじゃねーっての」

そんな小学生みたいな言い訳をする佐世保。
今では考えられない。

73: 2015/05/18(月) 23:20:54.91 ID:dmoZ3uWAo

それから龍田にもお願いして協力してもらい、
龍田に尻を蹴られながら、俺が励ましながら
奴はなんとか勉強していった。


「おい、飯」

「はえーよ……。まだ9時だろうが。始めたばっかじゃん」

「朝飯食ってねーんだよ」

「じゃあ食いながらでいいからやれよ」

「チッ、わかったよ」



休みの日は佐世保のお母さんから許可を貰って
朝食まで作って食わせてやったりもしてた。まあトースト焼いたぐらいだけど。

バターくらい塗れよボケ、とか文句言われたが
要はこいつにとってこれが「ありがとう」くらい日常茶飯事の悪態。


トーストを口に運びながらペンで頭の横をコツコツと
一生懸命無い知恵を絞りながら考えている姿を俺はじっと見ていた。

もぐもぐと動く、その唇。
ちゃぶ台に置いた問題用紙に落としたその瞳から
俺は目が離せなかった。

74: 2015/05/18(月) 23:21:52.58 ID:dmoZ3uWAo

「まあ昼はあたしが作ってきてやったからよ」

「はあ? 人が飯食って腹いっぱいになった時に飯の話すんじゃねーよ」

「豚吉、食べ物を口に入れた状態で喋らないで。下品。
 ついでに息もしないで頂戴。下品、存在が」

「存在っ!?」

「天龍ちゃんも……言葉使い。下品なのが伝染ってるから」

「うっ、ごめん、なさい」

ちなみに豚吉というのは佐世保のことで、
もともとは初対面の時に豚野郎と罵ったことが原因で、
頭が悪いことがバレた今はトンチキともかけてそう呼んでいるみたいだ。


まあそんなこんなで勉強している中でも俺はずっと気になっていた。
……この勉強会がうまく言って佐世保が軍人に本当になっちまったら、
離れ離れになるんだろうな……。


それは……寂しいな。


75: 2015/05/18(月) 23:22:47.17 ID:dmoZ3uWAo

俺の心の整理がつくのを待ってくれることもなく季節は過ぎていった。
結局佐世保は軍への入隊許可がちゃんと出た。

佐世保本人に聞いたら
「国を護りたいと思う心は全員同じだ。そこに優劣はねえけど。
 でも結局身体張ってそんなことしようなんて考える奴は
 俺みたいなどうしようもねえ奴ばっかりだったってことだ」

全員馬鹿だったから俺も受かった。
ということらしい。実に失礼な奴だ。


入隊許可が出た日に、奴はまっすぐ俺たちのところにすっ飛んできた。
それは本当に珍しく、嬉しそうに笑っていた。

今じゃ、愛想笑いなのか何なんのかも分からないくらい
いつもにこにこへらへらしてるが。


嬉しそうに笑って、少し照れくさそうに、
だけど、しっかりと「ありがとう」と言った。

76: 2015/05/18(月) 23:23:28.18 ID:dmoZ3uWAo

「おめでとう」

「俺は結局馬鹿だけどよ、この世界くらいは馬鹿なりに変えられるんだと思うぜ」

「そうか。楽しみにしておくよ」

「明日からもう行かなくちゃいけねーんだ、俺」

「あ……そうか。明日か」

「ああ」

意外だった。礼を言ったらそれだけで
何も言わずに目の前から消えちまうんだと、
こいつは多分そういう奴なんだと思っていた。

77: 2015/05/18(月) 23:24:14.31 ID:dmoZ3uWAo

「見送るよ、明日、朝何時だ?」

「別に朝じゃねーけど。10時頃にはこの街を出て行く」

「じゃあ8時にはお前の家に行かなくちゃだな」

「はあ!? なんでだよ。はえーだろうが!」

「へへ、どうせ寝坊すんだからよ。
 いつも起こしてたのも明日が最後だよ」

「チッ、お節介ババアめ」

「ああ!? ふざけんな!誰のおかげで合格出来たと思ってんだ!」

「うるせえ、俺が頑張ったからだろうが!」


俺はもうこの時には顔をあげて佐世保の顔を見ることができなかった。
見たら別れが惜しくなる。……もうなってるけど。


78: 2015/05/18(月) 23:24:58.49 ID:dmoZ3uWAo

次の日、案の定、何の準備もしてない佐世保の部屋について、
大急ぎで叩き起こし、急いで家を出る準備を2人で始める。

佐世保の母親は「なんだか新婚旅行に2人で行くみたいね」
なんて呑気なことを言っていた。
ちょっと嬉しかったが、やっぱり寂しかった。

まあその気持ちも佐世保が「誰がこいつと!冗談じゃねえ!」
とか言い出してぶち壊しになったが。


佐世保は軽く母親に「じゃあな!」とだけ言った。


「もっとなんかないのかよ。今までお世話になったお母さんだろ」

「うるせえ、じゃあてめえが言えよ」

「はあ!? あたしが言ったら意味分かんないだろ」

79: 2015/05/18(月) 23:25:59.40 ID:dmoZ3uWAo

最後の2人だけの道も……これで終わり。
せかせかと歩く佐世保の背中をじっと見ていた。
……とそこでちょうどある物が目に入った俺は佐世保を引き止めた。



「あっ、おいちょっと待って」

「ああ!?んだよ、急いでんだよ!」

「奢ってやるよ。景気付けに」


俺が指さしたのは、自販機だった。
佐世保はわざわざ受け取りに戻ってきた。
何も言われずにコーラを買って、渡す。

こいつは本当に覚えているのかどうかは分からないけど、
あの自販機じゃなかったら、
こうやって受け取りになんて戻ってこなかっただろうな。

80: 2015/05/18(月) 23:26:54.24 ID:dmoZ3uWAo

「……おう、悪ぃな」

「あ、ああ、いいって」

なんか急にしおらしい対応をされたもんでこっちが恐縮してしまった。
そんな対応をされたもんだからさっきまで大丈夫だったのに、
俺はまた佐世保の顔が見れなくなって……
少し俯きながら急ぎ足の佐世保の後ろをついていった。


今日の別れの日まであっという間だった。
初めて助けられた日も、
雨の中こいつを待っていた日も
暑い日差しの下で2人で自販機で買ったコーラ飲みながら適当な話した日も
全部思い出になっていた。

81: 2015/05/18(月) 23:28:29.61 ID:dmoZ3uWAo

憎まれ口を叩きながらも、
俺が風邪気味でマスクしてたら「風邪が伝染るから帰れ」とか言ったり。


佐世保が軍人になると決めた日も
一緒に勉強頑張った日も
毎朝起こしに行って、
朝飯をお母さんに「いつも悪いわね」なんて言われながら一緒に作って、
食べながら勉強して、
午後の眠気に負けて2人して寝てるのを後から来る龍田に叩き起こされたりして。


たまに俺の話で佐世保が笑うとすげー嬉しくて、
小さな言い争いなんてたくさんした。
ケンカしてまだ怒ってて許してもないのに
こいつはそんなことすぐ忘れて話しかけてくるし。


そいつが今日俺の前からいなくなろうとしている。
俺だけを置いていなくなろうとしている。

だんだん歩みが遅くなって、佐世保との距離が離れていく。

82: 2015/05/18(月) 23:30:27.20 ID:dmoZ3uWAo

この時俺は願ってしまった。
どうか駅に着きませんように。
今日が夢でありますように。

まだ、一緒にいたい。


もっと一緒にいたい。


ずっと好きだったんだ。



こいつのことが大好きなんだ。




「……はあ、はあ、んだよ……電車、全然余裕じゃねーか。
 嘘ばっかついて焦らせやがって、てめえ、おい……おいどうした?」

「んだよ、うるせえな」

83: 2015/05/18(月) 23:31:25.20 ID:dmoZ3uWAo

「……何泣いてんだよ」

「うるせえって! こっちみんなよ馬鹿!」

「……」


ぼたぼたと地面に涙が落ちる。
なんでかわかんねーけど、全然止まんない。
何か言えよ、じっと見てくんじゃねーよ。

「……」

「……ぷっ、ふふ、ははっはははは! 何泣いてんだよばーか!」

「はあ!? て、てめえ……! 気の利くことの1つも言えねーのかよ!」

「ふっ、……怖いか?」

「はあ!?」

84: 2015/05/18(月) 23:32:58.66 ID:dmoZ3uWAo

不意に佐世保に顎を持ち上げられる。
顔が近くて、つい視線を逸らしてしまう。
駅のホームでひと目も気にしないで。

この瞬間、間違いなく世界には俺と佐世保の2人しかいなかった。



「俺が居なくなって、怖いのか?」

「べつにこわくねーよ!」

「本当か?」

「ほんとうだよ!」

「そうか、じゃあ頑張れるな」


ニカッと笑う佐世保の背後に、電車が到着する。

85: 2015/05/18(月) 23:35:57.54 ID:dmoZ3uWAo

「好きだよ、あんたのこと。
 ずっと好きだったよ、初めてあった時から」

「知ってるよ」

「ほんとは行かないで欲しいんだ……。
 あんたがいないと……怖くてがんばれねーよ……」

「さっきと言ってることが違うぞ。俺は行く。
 お前はここで……俺の帰りを待ってろ」

86: 2015/05/18(月) 23:37:33.86 ID:dmoZ3uWAo

「ずっと、あの時、助けられた時。分かんないけど、それで」

「……黙れよちょっと」

「んっ……」

「……」

「……」

「じゃあな」

「……ずるいだろ。くそ……手紙、毎日出せよ」

「毎日とか……うぜーだろ」



その言葉を最後に電車の扉が締り、
ゆっくりと動き出す。

口の中にかすかに残るコーラの味。

走っても追いつけなくなった電車をただ呆然と見送る。
俺と佐世保が出会い、別れた。

87: 2015/05/18(月) 23:40:47.71 ID:dmoZ3uWAo

今回の後日談。


結局このあと手紙は一週間だけ毎日ちゃんと来た。

一週間過ぎた辺りで字も雑になり、
文字数も少なくなって、だるい、とかきつい、とか
疲れたとか書いてあった。

ちなみに曖昧だった奴の返事だったが、
その手紙達の中で、俺と佐世保はちゃんとお付き合いしてることになっていた。

ナンパされた。とか適当に嘘ついて書いたら、
ぶっ頃すから顔と名前と住所と電話番号覚えとけ。とすぐに帰ってきたことがあった。
……嘘だって返したら氏ねって返ってきてその3ヶ月くらい音沙汰がなくなった。


88: 2015/05/18(月) 23:42:02.61 ID:dmoZ3uWAo

その手紙の内容を要所要所だが、たどっていく。
もしかしたら俺たちの話の本題はここなのかもしれない。




「軍の秘密兵器の実験に付き合わされたが、これはすげー。
 深海棲艦(←本文では全部平仮名)との戦争もこいつを投入すれば終わるらしい」

馬鹿なのでこの時に秘密兵器とか言ってあえて伏せていた癖に
後々の手紙で普通に艦娘とか書き始めている。


「艦娘の司令官コースとかいう寄せ集めの馬鹿か物好きしかいないところに
 飛ばされちまった……くそうぜー。訳の分からんチビっこいババアに
 毎日殴られてる。殴り返せねーほどクソ強い。あんな強い奴に会ったのは
 初めてだ。お前らに教わって勉強してたほうが100倍ましだ」

89: 2015/05/18(月) 23:44:20.72 ID:dmoZ3uWAo


「1つ上の先輩の実践演習を見たが奴らは頭がおかしい。
 つくづくオレが凡人だってこと分からせてくれる嫌味な連中だ。
 隙だらけの癖に氏角からの攻撃も全部避けてたり
 コンクリの壁を素手で壊したり……意味が分からん」


「深海棲艦の生体が謎すぎる。
 今日、映像だが、深海棲艦を始めて見た。
 奴らみたいな化け物に対抗するのにどうしてこっちは
 生身の人間に注射器打って超人化した奴らが戦うんだろうな」


「今日、艦娘とかいう奴を生で初めて見た。
 連中は艤装とかっていう武器を精神力とかを原動力とした作っていて
 それの核を体内に搭載していつでも武器を出したり出来るらしい。
 奴らは生身の人間にたった1回の注射でああなるらしい。
 中には注射しても反応がない、適正がない奴もいるみたいだ」

90: 2015/05/18(月) 23:47:28.42 ID:dmoZ3uWAo

「深海棲艦との戦争で艦娘を投与すれば勝てるみたいなことを
 言ってるが、あの無能そうな1つ上の奴じゃ無理だ。
 上は馬鹿すぎる、オレが言うくらいに馬鹿だ」


「深海棲艦の謎が掴めそうだ。
 昔、深海棲艦を捕まえて実験してたっぽい記述が見つかった。
 新種とだけ書いてあるが、特徴が深海棲艦だ。
 もう少しで何か分かるかもしれない。
 俺が何かわかれば全部軍のためになって世界が平和になる。
 もう少しだ。今度の沖ノ鳥島奪還作戦で実際に交戦したら
 分かることがあるかもしれない」


ここで手紙は来なくなった。
彼が記憶をなくしたのは沖ノ鳥島奪還作戦。


代わりに届いたのは氏亡したって報せだった。

91: 2015/05/18(月) 23:51:18.39 ID:dmoZ3uWAo

今回の後日談の後日談。


天龍「――とまあそこからは龍田との事件になるんだけどな」

雷「ふーん。どうせ全部嘘ね」

天龍「お前にだけは言われたくない」

熊野「凹んだ天龍さんを励ますためにとりあえず一人にしてあげたくて隔離したら
    それがバレた喧嘩で片目失わせたのがショックで
    さらに隔離させようと周りと傷つけ始めたのを止めようと旅に出たんでしたっけ」

天龍「お前俺と龍田の話を三行でまとめんなよ」

佐世保「……なるほど。そんなことがあったんですね」

92: 2015/05/18(月) 23:55:33.71 ID:dmoZ3uWAo

天龍「げっ、提督のところに行ってたんじゃ。くそ……恥ずかしいから
    居ない時に話そうと思ってたのによぉ」

佐世保「いえ、大変参考になりました。ありがとうございます」

天龍「お、おう」

佐世保「ところで、僕の手紙の『あの無能そうな1つ上の奴』って……先輩のことじゃ……」

熊野「艦娘をあの時任されたのは提督ですから
    佐世保がこの時悪口を言ったのは提督のことでしてよ」

佐世保「僕はなんてことをしているんだ……! 皆さん、今から謝りに行きましょう」

雷「いや今言っても何のことだかさっぱり分からないと思うけど」

天龍「どうしてそうなるんだよ……全く」

94: 2015/05/19(火) 00:05:02.21 ID:my+3FX0Ko

お疲れ様でした。
佐世保づくしの番外編でしたが、以上になります。

私にもっと胸キュンな話を書く力があればよかったんですがね。

艦娘の設定。
一般人でも適正があればすぐに艦娘になれるのを強引かつ合法的に薬で解決。
あとは武装錬金方式でいつでもどこでもその気になれば出せるよ。


さて、前スレ埋めにご協力頂いた方、
本当にありがとうございます。


春イベも終わりましたが、このスレはだらだらと続きます。
今後ともお付き合いいただける方はどうぞよろしくお願いします。


95: 2015/05/19(火) 00:12:47.99 ID:vMi/myzI0

艦これは永遠
おおいっちがメインヒロイン

96: 2015/05/19(火) 00:14:36.56 ID:6QnWHcm10
大丈夫あいつは絶対忘れている

2: 2015/05/18(月) 06:05:09.72 ID:dmoZ3uWAo

登場人物&能力値

【横須賀鎮守府】

提督

力 :☆☆☆☆☆
知力:☆☆☆☆
体力:☆☆☆
早さ:☆☆☆☆
幸運:☆☆☆☆☆★


加賀

力:☆☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆☆☆


愛宕

力:☆
知:☆☆☆☆
体:☆
早:☆☆
運:☆☆☆




力:
知:☆☆☆☆
体:☆
早:☆
運:☆☆☆

3: 2015/05/18(月) 06:06:08.25 ID:dmoZ3uWAo

【横須賀鎮守府その2】


摩耶

力:☆☆☆
知:
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆


摩耶改二(予想)

力:☆☆☆☆☆★
知:
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆


鈴谷

力:☆☆☆
知:☆☆☆
体:☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆☆


卯月


力:
知:
体:
早:☆☆☆
運:☆☆☆☆

4: 2015/05/18(月) 06:06:42.50 ID:dmoZ3uWAo

【呉鎮守府】




力:☆☆☆☆☆★
知:☆☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆


金剛

力:☆☆☆☆☆
知:☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆☆


金剛改二

力:☆☆☆☆☆★
知:☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆☆☆


扶桑

力:
知:☆☆☆☆☆
体:
早:
運:


山城

力:☆☆☆☆
知:☆☆☆☆
体:☆☆☆
早:☆☆☆
運:

5: 2015/05/18(月) 06:07:09.52 ID:dmoZ3uWAo

【呉鎮守府その2】

山城改二

力:☆☆☆☆☆★
知:☆☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:


龍驤

力:☆☆
知:☆☆☆
体:☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆


那珂

力:☆
知:☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆☆☆☆


那珂改二

力:☆☆☆☆
知:☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆☆☆☆★

6: 2015/05/18(月) 06:07:36.52 ID:dmoZ3uWAo

【佐世保鎮守府】


佐世保

力:☆☆☆☆☆
知:☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆


佐世保(記憶喪失前)

力:☆☆☆☆☆★
知:
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:




力:☆
知:☆☆
体:☆
早:☆
運:☆


熊野

力:☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆
早:☆☆
運:☆☆


天龍

力:☆☆☆☆
知:
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:

7: 2015/05/18(月) 06:08:06.40 ID:dmoZ3uWAo

【舞鶴鎮守府】


舞鶴

力:☆☆☆☆
知:☆☆☆☆☆★
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆☆☆


初雪

力:☆
知:☆
体:☆
早:☆
運:☆☆☆


隼鷹

力:☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆
運:




力:☆
知:☆☆☆
体:☆☆
早:☆☆☆
運:☆☆☆


Верный

力:☆
知:☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆☆☆☆☆

8: 2015/05/18(月) 06:08:36.39 ID:dmoZ3uWAo

【大湊警備府】

大湊

力:☆☆☆
知:☆☆☆☆☆★
体:☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆☆


長門

力:☆☆☆☆☆★
知:
体:☆☆☆☆☆
早;☆☆☆
運:☆



力:☆
知:☆☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆
運:


川内

力:☆☆☆
知:
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆

9: 2015/05/18(月) 06:09:03.74 ID:dmoZ3uWAo

【深海棲艦】


戦艦棲姫

力:☆☆☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆☆☆


空母ヲ級

力:☆☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆☆
運:☆☆☆


戦艦レ級

力:☆☆☆☆☆★
知:☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆
運:☆☆☆

10: 2015/05/18(月) 06:09:31.53 ID:dmoZ3uWAo

【その他】


赤城(生前)

力:☆☆☆☆☆
知:☆☆☆☆
体:☆☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆☆


赤城(幽霊)

力:
知:☆☆☆☆☆
体:
早:☆☆☆☆☆
運:



比叡

力:☆☆☆☆
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆


比叡改二

力:☆☆☆☆☆★
知:☆☆☆☆☆
体:☆☆☆☆
早:☆☆☆☆
運:☆☆

北上

力:☆☆
知:☆☆☆
体:☆☆
早:☆
運:☆☆☆☆

11: 2015/05/18(月) 06:09:57.62 ID:dmoZ3uWAo

【その他2】

大井

力:☆☆
知:☆☆☆
体:☆☆
早:☆
運:☆☆


島風

力:
知:
体:☆☆
早:☆☆☆☆☆★
運:☆


青葉

力:
知:☆☆☆☆
体:☆
早:☆☆☆☆☆
運:




次回へ続く




引用元: 【艦これ】提督「今日も平和だ」その14