102: 2013/03/27(水) 17:32:07 ID:qo/Wnyqs
連作短編その4 

美穂「私なりに」

ありす「うーんと、ここの式がこうなるから」

菜々「どうしたんですかありすちゃん? そんなに頭を悩ませて」

ありす「宿題です、この後レッスンなので終わらせてしまおうかと」

菜々「あ、宿題。へー偉いですねえ、菜々はいつもギリギリでした」

ありす「菜々さんは宿題はないんですか?」

菜々「え、えーっとその、ほら今日はウサミン星の星誕記念日でして」

ありす「そうなんですか、おめでとうございます」

菜々「ありがとうございます……」

幸子「学校の宿題で悩むとはまだまだですね!」

ありす「ああ、自称天使さんおはようございます」

幸子「じ、自称……」

菜々「あ、ありすちゃんえーっとね」
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)

このSSはアイドルマスターシンデレラガールズの世界観を元にしたお話です。
複数のPが存在し、かつオリジナルの設定がいくつか入っています。
連作短編の形をとっており、
前のスレを読まないと話が分からない事もあるかと思います。

検索タグ:ありす「心に咲く花」

その為、最初に投下するお話は事前情報なしでも理解できる構成としました。
こんな雰囲気が好きだなと少しでも感じて頂けた方は前スレも目を通して頂ければ 嬉しく思います。
それでは、投下を開始します。
103: 2013/03/27(水) 17:33:30 ID:qo/Wnyqs
ありす「泰葉さんに教わりました。この事務所のアイドルにはそういったキャッチフレーズがあると」

菜々「爛漫ひな娘だっけ、だから最近ご機嫌なんだ。ウサミン納得」

ありす「えっと、お月見ウサミンさん」

菜々「……あー、そんな時期もありましたね。半年位は待って欲しいなあー、なんて」

幸子「いいでしょう、そうですか。分かりました、ならありすさんに習ってあなたの事もそう呼んであげますよ」

ありす「本当ですか!?」

菜々「喜ぶの? えーっと、ありすちゃんは最近だから」

幸子「おはようございます、小さな妖精さん!」

ありす「はい! おはようございます」

幸子「なっ、小さな妖精? 何ですかこれ?」

菜々「彼、悩んで付けたんだろうなあ。そうかあ、ありすちゃんも勝ち組だったかあ」

104: 2013/03/27(水) 17:34:51 ID:qo/Wnyqs
幸子「おかしいですよ、これこそボクにふさわしいじゃないですか!」

ありす「そんな事ありません、私に似合うってプロデューサー言ってくれました」

幸子「プロデューサー? ああ、あの人ですか。全く、ボクの魅力を分かってないなんてダメダメですね」

ありす「ダメダメじゃありません!」

幸子「いいでしょう、なら改めてあの人に付けてもらうというのはどうでしょう?」

菜々「いや、その勝負は辞めておいた方が」

ありす「分かりました! 勝負です!」

幸子「あしらってあげますよ!」

105: 2013/03/27(水) 17:36:53 ID:qo/Wnyqs
P「……そんな下らない事で、仕事中の俺を引っ張ってきたのか?」

ありす「下らなくありません、これは深刻な問題です」

幸子「そうです、まあボクの魅力を分かって無いようですから教えてあげようと思いまして。ええ、ボクは優しいので」

P「菜々さん、あなたがいながらどうして」

菜々「え? えーっと、ほらこんな風に呼ばれると菜々も困るかなーって」

P「そもそも、ありすはともかく幸子のそれを付けたのって誰なんだ?」

幸子「えーっと、誰でしたっけ?」

P「何で目が泳いでるんだよ、担当は……は?」

菜々「どれどれ、えーっとああこれリストなんですね。輿水さんは、ええ!?」

P「統括かよ」

菜々「あの顔で考えたんだ……」

幸子「そうです! センスが無さすぎですよ全く」

106: 2013/03/27(水) 17:37:23 ID:qo/Wnyqs
P「受けてるからいいじゃねえか」

幸子「よくありません!」

P「はあ……じゃあどんなのがいいんだよ」

幸子「小さな妖精」

P「自称・妖精と」

幸子「何で自称が付くんですか!?」

P「妖精って誰かに言われた事あるのか?」

幸子「それは周りがまだ」

P「魅力を伝えきれてないならそれが今の幸子の実力だ、違うか?」

菜々「うわあ……やっぱりこの子はばっさりと」

幸子「う……いいですよ! 今日は予定があるので帰りますから!」

ありす「勝った!」

107: 2013/03/27(水) 17:39:26 ID:qo/Wnyqs
菜々「いいんですか、行かせて」

P「うーん、菜々さんはどう思います?」

菜々「まあ、本人が納得するかどうかでしょうけど」

P「ですよね。それに事務所のアイドルなんて全員が可愛いんだから、そのまま付けたら全員が似通ったものになってしまう」

菜々「それは問題ですね」

P「だからまあ、統括のセンスは悪くないとは思うんですよ。ストレートに個性が伝わってくる」

菜々「後は、受け止めるかどうかですか」

P「まあ、ありすも自分で付けたんですけどね」

菜々「え、そうなの?」

P「否定すると涙目になるので、仕方なく」

菜々「プロデューサーも、大変ですね……」

108: 2013/03/27(水) 17:40:03 ID:qo/Wnyqs
幸子「何ですか、何ですかもう! 誰もボクの事を分かろうともしないで」

美穂「ひっく……ぐす……」

幸子「……何なんですか、今日はもう」

美穂「やっぱり駄目なんだ、私なんて。いつもいつも失敗ばかりで」

幸子「こ、ここは黙って立ち去るのが優しさですね。うんきっとそうです。ええ、ボクは優しいので!」

美穂「え?」

幸子「あ、えっと、はにかみ乙女さんおはようございますって、今度は乙女ですか!」

美穂「はいい、ごめんなさいごめんなさい」

幸子「あ、いえ、別に謝らなくてもいいんですが」

美穂「そ、そうですよね。すいません」

109: 2013/03/27(水) 17:40:36 ID:qo/Wnyqs
幸子「はあ、別にいいです。ところで、こんな所で何をしているんです?」

美穂「あの、輿水さんこそどうして? 誰も来ないと思ったのに」

幸子「う……そ、それはその! ほら小日向さんがそんな所でめそめそしていると聞いて慰めに来てあげたんですよ!」

美穂「そうですか……凄いですね輿水さんは、そんな事にまで気を配れるなんて」

幸子「え、ええまあボクは可愛いので!」

美穂「私は全然駄目です。今日もレッスンは上手くいかないし、歌もダンスも注意されてばっかりで」

幸子「えーっと、今日はほら、調子が悪かっただけでしょう! ボクにすらそんな日はあるんですから気にしたって仕方がありません!」

美穂「この前も、その前もずっと。置いてけぼりなんです、皆から」

幸子「あーもう、ならボクが気分転換の方法を教えてあげます!」

美穂「ひぇ? あ、あのどこ行くんですか?」

幸子「黙って付いてきて下さい!」

110: 2013/03/27(水) 17:43:08 ID:qo/Wnyqs
P「で、何で俺が――」

幸子「いいでしょう? 光栄に思ってください! 僕達の買い物の荷物持ちに任命してあげるんですから!」

P「お前、扱いに困って俺に放り投げてきただけだろ」

幸子「こういうのは本来、プロデューサーさんの仕事でしょう」

P「担当外のアイドルとこんな事して怒られないかな俺……」

幸子「そんな小さいな事を気にしているからいつまでたってもボクの可愛さに気づけないんですよ!」

P「まあ、それは置いておくとして問題はあっちか」

幸子「何であんなに縮こまってるんでしょうか。まあ、あれはあれで可愛いですが」

P「年上だぞ、まあ敬語使われても彼女の方が遠慮しちまうだろうが」

幸子「エスコートするのがあなたの役目でしょう?」

P「……貸しだぞ」

幸子「いいでしょう、もしきちんとできたなら空からだって飛び降りてあげますよ」

P「駄目だったらどうするんだ?」

幸子「あのキャッチコピーはボクが貰います」

P「分かったよ。その勝負、乗ってやる」

111: 2013/03/27(水) 17:44:14 ID:qo/Wnyqs
美穂「あ、あのあの、お仕事中なのに、すすみません、プロデューサーさ、さん!」

P「プロデューサーでいいよ、それに仕事も手が空いた所だったし俺にとってもいい気分転換になるから」

幸子「気にしないで下さい、ボクの荷物持ちなんですから」

P「……ここで立ち止まってても何だし、行こうか」

幸子「何で周りを気にしてるんです?」

P「周りからの視線がいつもより少ない、お前ら知名度無いな」

幸子「ぐ……まだまだこれからですよ!」

P「お前はな、ただ小日向さんがそういう理由で泣いてるってのは少し納得できた」

幸子「今はそんなの気にしなくていいんですよ、ついてきて下さい」

美穂「あわわ、人で一杯だよぉ~」

幸子「それがどうしたって言うんですか? ボクが選んであげますよ、ほらこれ何てどうでしょう?」

美穂「は、派手すぎないかなあ?」

幸子「これ位で丁度いいんですよ。目立たなくてどうするんですか、アイドルなのに」

美穂「わ、分かったから引っ張らないで~」

112: 2013/03/27(水) 17:44:47 ID:qo/Wnyqs
P「やれやれ、俺がエスコートするまでもない……ん?」

美穂「こんな服、着た事ないんだけど」

幸子「似合ってますよ小日向さん、ボク程ではありませんけどね。フフン」

美穂「スカートがひらひらしてるし、この上着……」

幸子「チュニックですよ、全く一から教え込まないと駄目な様ですね」

美穂「でもこれ、似合ってるのかなあ」

幸子「似合いますよ、ボクが言ってるんですから当たり前です。まあ、ボクは何でも似合いますけどね!」

美穂「こういうの、着てみた方がいいのかな」

幸子「まあ、無理強いはしませんけどね。気に入らないなら返せばいいだけです、着るのは小日向さんなんですから」

美穂「……分かりました! これ買います!」

幸子「ならまとめてあの人に会計させましょう、プロデューサーさん……あれ?」

美穂「な、何か違う方を見てますね……」

幸子「あの人、こんなに可愛いボクから目を離すなんて何を――」

P「あれが、ニュージェネレーションか」

113: 2013/03/27(水) 17:46:05 ID:qo/Wnyqs
幸子「ああ、この店のイメージモデルやってるんですね。それがどうかしましたか?」

P「初めて見たな。渋谷凛、本田未央」

美穂「島村卯月ちゃん」

P「小日向さん?」

美穂「凄いですよね、こんな綺麗なお店で大きなを出して」

P「幸子、彼女たちに会った事は?」

幸子「あるに決まってるでしょう、同じ事務所のアイドルなんですから」

P「どんな子なんだ?」

幸子「さあ? そこまで深くは関わってませんから、興味もありません」

P「ふーん。ま、そうだよな」

幸子「さあさ、プロデューサーさんの仕事はこちらですよ」

P「何だ? これ」

幸子「早く会計を済ませてきて下さい」

114: 2013/03/27(水) 17:46:40 ID:qo/Wnyqs
P「俺が?」

幸子「そうですよ、当然です」

P「この……」

幸子「気分転換に連れ出しておいて本人に支払わせるつもりですか?」

P「連れ出したのはお前であって俺じゃ――」

幸子「小日向さんに聞こえますよ」

P「覚えてろよ」

美穂「やっぱり、いいです」

P「え」

幸子「男らしくしないからです、全く」

115: 2013/03/27(水) 17:47:17 ID:qo/Wnyqs
P「いや、いいよ。こういうの持ってないんだろう? 着る服は多いに越したことないし」

美穂「いえ、きっと私に着られてもこの服が可哀想で」

P「一着でそんな大袈裟な」

美穂「卯月ちゃんが着てるんです、あそこで」

P「ああ、そうだなお揃いだな」

美穂「似合ってますよね、凄く可愛くて」

P「……だからと言って小日向さんに似合わないなんて事は絶対にない」

美穂「着れません、同じ服は」

P「買うよ、理由は知らないけど。ほら貸して」

美穂「駄目です」

P「これは命令だよ、プロデューサーとしての」

美穂「プロデューサーさん……駄目です、お願いします」

116: 2013/03/27(水) 17:47:55 ID:qo/Wnyqs
P「脅すようで悪いけど、ここで断るなら君のアイドルとしての道を閉ざす」

幸子「プロデューサーさん!?」

P「これはレッスンだ、俺からの」

美穂「れ、レッスンですか?」

P「そうだ、君の意志じゃない。俺の意思で小日向さんはその服を着るんだ。アイドルなら他人の意思で着なければいけない服なんていくらでもある」

美穂「わ、分かりました」

幸子「何であんな強引にするんですか! ボクすらちょっと驚きましたよ!」

P「島村卯月ってのはあの子にあんな思いさせて放っておく奴なのか? 見る限り、親交はあるみたいだけど」

幸子「さあ? ボクはボクにしか興味ないので」

P「もしそうなら俺は嫌いだな、そいつ」

幸子「事務所の看板に向かって凄いこと言いますね」

P「ま、ここだけの軽口だよ。行こう、ほらお前の分だ」

117: 2013/03/27(水) 17:48:31 ID:qo/Wnyqs
幸子「何ならここで着替えさせて貰いましょうか、小日向さん!」

P「次に行く場所のアテはあるのか?」

幸子「着替えている間に考えておいて下さい、この服の分くらいは付き合ってあげますから」

美穂「お、お待たせしました」

P「……着せてよかった、君のその姿を見れただけで今日は満足だ」

美穂「そ、そんな事」

幸子「ボクはどうですか!? ほら」

P「あーカワイイカワイイ」

幸子「感情が全く篭っていないんですが!」

118: 2013/03/27(水) 17:49:02 ID:qo/Wnyqs
幸子「全く、やっぱりあのプロデューサーさんはダメダメですね! ボクのこの姿を見て何とも思わないなんて」

美穂「あうー、何だか見られてる気がするよ」

P「ちょっと休憩するか、そこのベンチに座ってて」

幸子「ダメダメにしては気が利きますね、いいでしょう待っててあげます。何か持ってきてください」

P「何がいい?」

美穂「え、えーっとじゃあお茶で」

幸子「ならボクは――」

P「お茶ね、了解」

幸子「ボクはオレンジジュースですからね!」

119: 2013/03/27(水) 17:49:32 ID:qo/Wnyqs
P「天気に恵まれたなあ、いい日差しだ」

美穂「暖かいですね、ぽかぽかして気持ちがいいです」

幸子「まあ、ボクの魅力に太陽も顔を出したくなったんですよ」

美穂「そっか、じゃあ輿水さんに感謝しないと」

幸子「い、いえ別にいいですよ。ほらボクは優しいので」

P「普通に返されてたじろいでるな」

美穂「本当に、気持ちいい」

P「好きなの? こういうの」

美穂「小日向なんて苗字だからかもしれません。幼い頃から太陽の下で過ごす内に、いつの間にか」

P「小さな日向か、珍しい名前だな。そういえば」

美穂「照らされてばっかりなんですけれど、色んな人に」

幸子「ボクは照らし過ぎて眩しいくらいですよ! 全く困ってしまいますね」

P「その自信は一体どこからくるんだ」

120: 2013/03/27(水) 17:50:03 ID:qo/Wnyqs
美穂「凄いなあ」

P「いや、別にあそこまでなんなくても」

美穂「似合って……るんですよね? これ」

P「ああ、さっきの言葉に嘘はない。プロデューサーとしても、一人の男としても」

美穂「いいんでしょうか、似合ってしまっても」

P「話したいなら、聞くよ」

美穂「私が最初にこの事務所に入って会ったのが、卯月ちゃんなんです。当時から有名で、忙しそうにしてたんですけど」

P「小日向さんが入った頃……」

幸子「プロデューサーさんがトレーナーと勘違いされてた時ですね」

P「ああ、お前をしごいてた時期だな」

美穂「トレーナーだったんですか?」

P「ちょっと、ベテトレさんの陰謀に巻き込まれて。まあいいや、それで?」

美穂「あ、それで私は本当に失敗ばかりでその……」

P「ああ、何となく分かった。話したいところだけ話してくれればいいよ」

121: 2013/03/27(水) 17:50:36 ID:qo/Wnyqs
美穂「卯月ちゃんがよく励ましてくれたんです。大丈夫、一緒に頑張ろうって」

P「……へえ」

美穂「頑張ったらそれだけ、報われる時が来るからって。その言葉があるから私も頑張ろうって思えて」

P「あ、いい子だった」

幸子「会った時は謝ってください」

P「全くだ、じゃあそうやって頑張ってきたんだ」

美穂「そう、なんですけど。最近、会う事も少なくなってきて」

P「忙しそうだからなあ」

美穂「追いつこうと思って頑張って、絶対に報われるって信じてるんですけど」

P「寂しくなってきたのか」

美穂「私はまだこんな所にいて、卯月ちゃんに何も恩返しできてないなあって」

幸子「トップになればいいんですよ、それでまあ、少しはあなたのお陰でもありますって言えば完璧ですよ」

P「何で上から目線なんだよ。なるほどね、まあアイドルとして生きるならそういう問題は少なからず出てくるな」

美穂「今の私に、この服を着る資格はあるのかなって思ったら……何か自信を無くしちゃって」

122: 2013/03/27(水) 17:51:51 ID:qo/Wnyqs
P「その服、着ててどう?」

美穂「え? ……暖かいです、凄く」

P「さっきあのを見てた時、寂しそうではあったけどどこか嬉しそうにも見えてさ。島村さんが活躍してるの、小日向さんは嫌?」

美穂「嬉しいです! 本当に凄いなって、私もこうなりたいって」

P「なら、きっと相手もそう思ってるんじゃないかな」

美穂「卯月ちゃんが?」

P「そ、誰だって同じさ。売れたら売れた分だけ心が強くなる訳でもないんだから」

幸子「ボクは強いですが、フフン」

P「売れてから言え」

幸子「つまり、ボクの仕事ぶりを見てればニュージェネレーションすら平伏すというわけですか」

P「その絵はちょっと想像付かないが、少なくともそういう繋がりがあれば島村さんだって勇気づけられるさ」

美穂「私を見て、卯月ちゃんが」

123: 2013/03/27(水) 17:52:23 ID:qo/Wnyqs
P「その服を着てるって知ったら喜ぶんじゃないかな、彼女は」

美穂「そう、そうですよね。何かそう思ったら、ちょっとだけ楽になりました」

幸子「ボクといるんだから当たり前ですよ」

美穂「うん! 本当にありがとう」

幸子「い、いえいいですよ。ええ、ええ、それはもう」

P「全く、素直に感謝されることに慣れてないからな幸子は」

幸子「そんな事ありませんよ! この存在自体を世界中から感謝されてるんですから」

P「お前は仏陀か」

幸子「ああもう、いつまでいるんですか! とっと行きましょう」

P「へいへい、ま、もう少しいいかな?」

美穂「はい、エスコートよろしくお願いします」

124: 2013/03/27(水) 17:52:58 ID:qo/Wnyqs
幸子「ここですか?」

P「ここ」

幸子「何でゲームセンターなんですか!? もっと女の子が喜ぶ所はあるでしょう!」

P「そういう所に行き過ぎて、逆にこういう所が恋しくなってきたんだよ」

美穂「うわあ、キラキラしてます。あっちもこっちも」

P「それに、今日の目的は小日向さんの気分転換だろ? お前はまた連れてってやるよ」

幸子「フン、まあそれでいいですよ。ボクはこういう所でも楽しめますし」

P「来た事ないだろ? こういう所」

幸子「失礼な! ボクはあらゆる娯楽を嗜んでますから」

P「ふん、見てろよ」

125: 2013/03/27(水) 17:53:43 ID:qo/Wnyqs
幸子「わあっ! 当たりましたよほら、凄いでしょ。ボクはクイズをやっても天才ですね!」

P「何で勘でここまで当たるんだよ……」

美穂「えっと、これかな?」

P「こっちはこっちで全国ランキングに入る勢いだし」

幸子「Pさんは正答率八割ですか、まずまずですね。ボクには及びませんが」

P「次だ次!」

幸子「音楽に合わせてボタンを押すだけ、簡単ですね」

美穂「これ楽しいですね!」

P「マジか……俺のつぎ込んだ時間は、金は、熱意は」

幸子「才能の前では何の意味もありませんね!」

P「こんな所で知りたくなかったよ!」

126: 2013/03/27(水) 17:54:16 ID:qo/Wnyqs
幸子「次は何ですか? 何が来ても負ける気がしませんけど」

P「格ゲーだ、流石に才能だけじゃどうしようもないぞこれは」

幸子「才能では勝てないって認めましたね!」

P「うるさい、一部分の分野で勝っただけで威張るな」

美穂「でも、正面の台に誰かいますけど」

P「ん? 顔がよく見えないけど女の子か、まずは俺の実力をきっちり教えてやるか」

美穂「女の子の間でも流行ってるんですか? ロボットが戦ってますけど」

P「どうだろう? 対戦するのは初めてだな、まあきっちり本気出させてもらうけど」

幸子「ついに大人としての余裕すら捨てましたか」

P「恨むのなら、君の生まれの不幸を呪うがいい!」

127: 2013/03/27(水) 17:55:20 ID:qo/Wnyqs
???「……へえ、私を相手にしてこれだけやるんだ」

P「……白い……悪魔……」

幸子「真っ白に燃え尽きましたね」

美穂「三分で終わっちゃいましたあ」

P「は、はは……あははははははははははは」

???「って何だ? 幸子じゃん」

幸子「紗南?」

紗南「あれ? 女Pさんいるの?」

幸子「今日は仕事ではありませんよ、この人が真っ白に燃え尽きるのを眺めていただけです」

紗南「うん? あ、Pさんだ!」

128: 2013/03/27(水) 17:57:48 ID:qo/Wnyqs
P「よりによって紗南かよ、得意なのはテレビゲームだけじゃないのか?」

紗南「レビューしてくれって言われてるからやってるだけ」

P「それでこの実力か、オフを削ってやってんのか?」

紗南「まあね、ちょっと待って電話。はい、はーい、覚えてるって、うん、それじゃ」

P「用事か?」

紗南「ちょっと大きなゲーム大会があってそれのゲスト、それじゃ行くね」

P「おお、頑張ってな」

幸子「相変わらず元気ですね」

美穂「ゲーム、強いんですね」

P「ほとんどプロだよ、道理で異次元の強さだと思った」

幸子「負けた事実に変わりはありませんが」

P「分かってる……どうする、勝てるジャンルは絶対にある、それを――」

129: 2013/03/27(水) 17:58:20 ID:qo/Wnyqs
美穂「わあ、可愛い」

P「ん?」

幸子「ああ、クレーンゲームですか」

美穂「真っ白な熊さんです」

P「また大きいな、何か他にも入ってるみたいだけど」

幸子「統一性がありませんね」

美穂「ぎゅーってしたいなあ」

P「よし、最後の勝負はこれにしよう」

幸子「いいでしょう、ルールはどうするんです?」

P「もちろん、この熊を取った人の勝ちだ、一回きりの真剣勝負だ」

美穂「いいんですか?」

P「取れる保障はないけど、三人合わされば何とやらってね」

幸子「フフン、ボクからプレゼントしてあげますよ!」

130: 2013/03/27(水) 17:58:55 ID:qo/Wnyqs
P「まずは俺だ」チャリーン

幸子「お手並拝見ですね」

P「重要なのはタイミングだ、そして思い切りの良さ……ここだ!」

幸子「惜しいですが、少しずれましたね」

美穂「でも、何か掴んでます!」

P「本当か? よし、外れよりはマシだ。さて何かな」

幸子「ドヤ!」

P「」

131: 2013/03/27(水) 17:59:40 ID:qo/Wnyqs
P「何でお前なんだよ!」

幸子「可愛いでしょう、大当たりじゃないですか」

P「まさかお前のぬいぐるみがこんな所に入ってるなんて」

幸子「神様からのプレゼントですね」

美穂「本当にそっくりですね」

P「ああ、このドヤ顔」

幸子「これはボクの勝利は確定という証ですね」チャリーン

132: 2013/03/27(水) 18:00:12 ID:qo/Wnyqs
P「自分で自分のグッズを取ったら面白いな」

幸子「可愛いもの同士は惹かれあいますからね、それも仕方がありません」

美穂「でも、さっきよりも取りやすくなってます」

P「俺が取った分だけスペースができてるな、これはいけるか?」

幸子「いきますよ!」

P「でもずれたか、何かは掴んでるが」

幸子「きっとボクですね!」

ルキトレ「ジャジャーン!」

P「」

幸子「」

133: 2013/03/27(水) 18:00:47 ID:qo/Wnyqs
P「あいつ何やってんだよ!?」

幸子「な、何でルキトレさんのぬいぐるみが」

美穂「うわあ、これも可愛いです」

P「一体どこの誰がどこと掛け合ってこんなグッズが生まれたんだよ!」

幸子「まあ、とりあえずこれで最後な訳ですが」

美穂「私ですね」チャリーン

P「ま、ここで取れたら持ってるな」

幸子「変にプレッシャーを掛けないで下さい」

美穂「……」

幸子「何だか、雰囲気が」

P「いい集中力だ、やっぱり統括がレッスンのメンバーに入れるだけの事はあるんだな」

幸子「頑張れ、頑張れ」

P「さあ、どうなる?」

134: 2013/03/27(水) 18:02:01 ID:qo/Wnyqs
美穂「ここです」

幸子「掴んだ!」

P「こっからだ、掴んだところでそれを掴みきらないと」

美穂「頑張って、クレーンさん」

幸子「いけますよ!」

P「いや……下のが引っ張ってるな。もうクレーンの方が――」

美穂「上がった!!」

幸子「いや確かに上がってますけど」

P「何か色々とくっついてきてないか?」

きらり「にょわー!」

蘭子「やみのま!」

マストレ「私だ」

P「やっぱりあなたの仕業ですか!」

135: 2013/03/27(水) 18:02:38 ID:qo/Wnyqs
美穂「えへへ、四つも取れました」

P「凄いな本当に。何かもう、それしか言い様がない」

幸子「フ、フン、まあ今回は譲ってあげますよ」

美穂「事務所に飾りましょう、賑やかになりますよ」

P「当事者たちの反応が楽しみだな」

美穂「今日は本当に楽しかったです、ありがとうございました」

幸子「ボクからも合格点をあげますよ、喜んでください」

P「つまり、あのキャッチコピーはありすのものでいいんだな」

幸子「まあ、名前負けしないように頑張ることですね」

美穂「あ」

P「ニュージェネレーションの看板だな、また違う企業のか」

136: 2013/03/27(水) 18:09:49 ID:qo/Wnyqs
美穂「はい……私もいつかあんな風になって、皆に幸せな気持ちを届けたい。卯月ちゃんに恩返しする為にも」

P「そっか、じゃあ追いかけないとな」

美穂「はい!」

――

幸子「まあ、いい日でしたね」

P「ああ、ところでお前にいいお知らせがあるんだが」

幸子「何ですか? さてはボクに何か仕事が入りましたね」

P「ああ、さっき女Pさんと話をつけた。来週から練習が始まるから頑張れよ」

幸子「練習? なるほど、そんなにハードなライブなんですか? いいでしょう、何曲だって歌いますよ」

P「違う、スカイダイビングだ。高度8,000mからの挑戦」

幸子「ははははははははい!?」

P「言った通り空から飛び降りてもらおう、じゃあな」

幸子「ちょっと待って下さい! 誰かに変わってあげますよ、ボ、ボクは優しいので! ちょ、ちょっと、プロデューサーさん!?」

137: 2013/03/27(水) 18:10:44 ID:qo/Wnyqs
短いですが終わり、次回はちょっと間が空きます

138: 2013/03/27(水) 18:30:13 ID:F6AuFUKw
おつ

引用元: ありす「心に咲く花」