639: 2013/08/16(金) 21:37:22 ID:SSnoj3co
連作短編11.5 加蓮「見えない背中」

凛「へえ、好評だったんだ。良かった」

奈緒「って言ってもニュージェネレーションにはまだまだ敵わないけどなあ」

凛「そんな事ないって、私達もぼやぼやしてたら奈緒達に置いてかれちゃうよ」

奈緒「また全国を回るんだろ?」

凛「うん、今度は全ての県を一年かけて回る」

奈緒「やっぱり規模が違う」

凛「待ってるから、それじゃ行くね」

奈緒「やっぱり凄いなあ」

加蓮「何、誰かと話してたの?」

奈緒「ああ、さっきまで凛がいてさ。全国ツアーだって」

加蓮「ふうん、まあそういう話も来るよね」

奈緒「加蓮は、何かそういう話は興味なさそうにするよな」
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)

このSSはアイドルマスターシンデレラガールズの世界観を元にしたお話です。
複数のPが存在し、かつオリジナルの設定がいくつか入っています。
連作短編の形をとっており、
前のスレを読まないと話が分からない事もあるかと思います。

検索タグ:ありす「心に咲く花」

その為、最初に投下するお話は事前情報なしでも理解できる構成としました。
こんな雰囲気が好きだなと少しでも感じて頂けた方は前スレも目を通して頂ければ 嬉しく思います。
それでは、投下を開始します。
640: 2013/08/16(金) 21:38:33 ID:SSnoj3co
加蓮「まだ先の話だから、それよりも優先しないといけない事もあるしね」

奈緒「あんまり、拘りすぎんなよ」

加蓮「大丈夫だよ、そろそろレッスンの時間だよ」

――


トレ「ちょっと、加蓮ちゃん!?」

加蓮「大丈夫です、まだやれますから」

奈緒「いや、ちょっと待てって!」

まゆ「止めておいた方がいいです、後に差し障りかねません」

加蓮「勝手に判断しないで」

まゆ「駄目です、ですよね?」

ベテトレ「全くだ、お前も何で見ていなかった?」

トレ「すみません」

ベテトレ「念の為、仮眠室へ行け。いいな?」

加蓮「……はい」

641: 2013/08/16(金) 21:39:31 ID:SSnoj3co
愛梨「大丈夫でしょうか?」

奈緒「ああ、うん。ちょっと頭を冷やせば大丈夫だと思うから」

ベテトレ「奈緒、ちょっといいか」

奈緒「加蓮の事ですか?」

ベテトレ「そうだ、休憩入る。再開は10分後だ」

奈緒「それで、何を話せばいいんですか?」

ベテトレ「全て、と言いたいが話せない事もあるだろう。言える範囲でいい」

奈緒「……最近、ちょっと様子がおかしくて」

ベテトレ「あの空回りの事を言っているのか?」

奈緒「ちょっと、余裕がないっていうか」

ベテトレ「佐久間まゆと十時愛梨に対する対抗心とも違うのか?」

奈緒「いえ……あの二人は凄いですけど、あいつそういうのあんまり興味がなくて」

642: 2013/08/16(金) 21:40:49 ID:SSnoj3co
ベテトレ「それはそれで問題だが、つまり他に要因があるんだな?」

奈緒「だと、思います」

ベテトレ「心当たりは?」

奈緒「……」

ベテトレ「Pか?」

奈緒「い、いえっ!そんな」

ベテトレ「アイドルならもう少し演技力を身につけたらどうだ?」

奈緒「いきなり名前を出したのはベテトレさんでしょう」

ベテトレ「気にしなくなったと思っていたんだが」

奈緒「この前、久しぶりに事務所で顔を合わせたんです」

ベテトレ「それで、寂しくなったか?」

奈緒「その時、他のアイドルがいてあたし達のライブ映像を見てて」

ベテトレ「ほう……」

643: 2013/08/16(金) 21:42:39 ID:SSnoj3co
奈緒「Pさんはその人についてて、だから思わず顔を出しちゃって」

ベテトレ「何か言われたのか?」

奈緒「普通だったんです、こっちは頭の中とかパニックだったのに。まあ、他に人がいたので何も言いませんでしたけど」

ベテトレ「ああ、そういう事か」

奈緒「あのライブもあたし達の中では会心の出来だったんですけど」

ベテトレ「気にしているのか、外された事を」

奈緒「あたしは別に……」

ベテトレ「それをあいつに言えばいいだろう」

奈緒「忙しそうですし、そんな我儘を言ってまたって思ったら」

ベテトレ「加蓮も同じなのか?」

奈緒「どう、なんだと思います?」

ベテトレ「私に聞かれてもな、情けないがそういう事には疎い。まだ妹の方が助けられるかもしれん、末の妹はそれなりに仲がいいようだから」

奈緒「ルキトレさんですか?」

644: 2013/08/16(金) 21:44:30 ID:SSnoj3co
ベテトレ「Pに私から話してもいいんだが……」

奈緒「ちなみに今は?」

ベテトレ「出張だ」

奈緒「出張?」

ベテトレ「ちょっと遠出でな、明日まで帰ってこない」

奈緒「そうですか……」

ベテトレ「そんな顔をするな、確かにこのままだと不味いだろうが」

奈緒「今日、加蓮は休ませてもらっていいですか? 多分、このまま続けても」

ベテトレ「分かっている、お前は大丈夫なのか?」

奈緒「二人揃って休む訳にもいかないんで」

ベテトレ「レッスンでは情けは掛けないぞ」

奈緒「はい、他のアイドルに気を遣わせても嫌ですから」

ベテトレ「分かった、その件についても考えてみよう。末も後で呼ぶ」

645: 2013/08/16(金) 21:45:55 ID:SSnoj3co
奈緒「お疲れ様でした」

ルキトレ「奈緒ちゃん」

奈緒「ルキトレさん、すみません。わざわざ」

ルキトレ「いいよ、大学終わりのこんな格好で申し訳ないけど」

奈緒「加蓮ってまだ仮眠室に?」

ルキトレ「来たばかりだから何とも。行ってみようか、とりあえず様子を見ないと」

奈緒「不貞腐れてないといいんですが」

ルキトレ「事務所は、うーん頼りになりそうな人とかいないかな?」

奈緒「誰かって、Pさんに近い人なんて」

ルキトレ「聖來さんとかいたら頼りになると思ったんだけど」

奈緒「今、担当してるのって他には?」

ルキトレ「千枝ちゃんと春菜ちゃんとあいさんと楓さんとありすちゃん、他にもちょこちょこしてるみたいだけど」

奈緒「……二人で行きますか」

ルキトレ「そうだね、お姉さんを頼りにしなさい!」

646: 2013/08/16(金) 21:47:09 ID:SSnoj3co
加蓮「……」

凛「……」

ルキトレ「あれ、凜ちゃん?」

奈緒「は、はい……」

ルキトレ「加蓮、起きてるよね?」

奈緒「何か話してますよね」

ルキトレ「入れる?」

奈緒「無理ですって」

ルキトレ「うーん、ちょっと離れようか。ただの見舞いって訳でもなさそうだから」

奈緒「って、誰か来た。卯月?」

ルキトレ「本当だ、忙しいのに」

奈緒「何で来たんだ? 凜はともかくあんまり話した事ないんですけど」

まゆ「何を覗き込んでいるんですかぁ?」

647: 2013/08/16(金) 21:49:44 ID:SSnoj3co
奈緒「うぉっ!」

ルキトレ「奈緒ちゃん声が」

まゆ「ああ、あの二人……また…」

ルキトレ「まゆちゃんは知ってる? あの三人が話しそうなこと」

まゆ「噂なんですけど、北条さん統括さんが本格的にプロデュースする事になるみたいですよ」

奈緒「……は?」

ルキトレ「え、まゆちゃんそれ本当!?」

まゆ「まだ噂ですけど、でも北条さん断ったみたいです。何であんな素晴らしいチャンスを逃すか私には分かりませんけど」

奈緒「じゃあ、あれって」

まゆ「説得しているんだと思いますよ、まゆとしてはどっちでもいいんですけれど」

ルキトレ「でも、あの調子だと」

奈緒「……」

まゆ「断り切れるかは分かりませんね、でもそれは」

奈緒「な、何だよ?」

まゆ「いえ、他人事だと思っていると痛い目を見ちゃいますよ。それでは、失礼します」

648: 2013/08/16(金) 21:50:55 ID:SSnoj3co
ルキトレ「……そんな話になってたんだ」

奈緒「で、でも何で加蓮それであんな風に空回りして」

ルキトレ「何かあったんだ、それに関係する何かが」」

奈緒「聞くしか、ないか」

ルキトレ「どうする? Pに電話する?」

奈緒「いえ、これくらい乗り越えないと顔を合わす資格なんてないです」

ルキトレ「……やっぱり師弟だ」

奈緒「加蓮、いるか?」

加蓮「え、あ、今はちょっと」

奈緒「入る」

加蓮「あ、ごめんね椅子が無いね。今――」

649: 2013/08/16(金) 21:51:31 ID:SSnoj3co
奈緒「何で黙ってた?」

加蓮「……言えないでしょ」

奈緒「言えないのかよ……一緒に頑張ってきたんだろ私達。それでも言えないのかよ!」

凛「ちょっと奈緒」

奈緒「凜は黙っててくれ、卯月も」

卯月「……」

加蓮「今日は、もう帰って欲しい。続きはまた今度」

凛「分かった、お大事にね」

卯月「突然ごめんなさい。でも、諦めてませんから」

奈緒「黙れ!」

加蓮「奈緒!」

奈緒「何だよ、あたしだけ置いてけぼりかよ!」

加蓮「そうじゃないから、聞いて!」

奈緒「……分かったよ」

650: 2013/08/16(金) 21:52:54 ID:SSnoj3co
加蓮「……」

奈緒「言うまで帰さないからな」

加蓮「はいはい私の負け、言うよ」

奈緒「最初からそうすればいいんだよ」

加蓮「あのね、統括から誘われてる」

奈緒「それで?」

加蓮「断ったよ、でも今も説得はされてる。ごめんね、私だけ」

奈緒「加蓮がそっちに行けばあたしは断れない、あっちも分かってるんだろ」

加蓮「はは、凄いね。うん、多分そうだよ」

奈緒「分かってんなら尚更」

加蓮「もう疲れたよ、追いかけ続けるの」

奈緒「疲れたって」

加蓮「いつか、いつかPさんに認めてもらえる日が来るって思い続けて……でも、でもさ。来ないんだよ」

651: 2013/08/16(金) 21:53:50 ID:SSnoj3co
奈緒「だから、まだ」

加蓮「まだっていつ? 事務所では滅多に会えない、仕事場では会っても素っ気なくされて。あんなに一緒にいたのに」

奈緒「だから分かってるはずだろ、このままなはずないって。Pさんはそんな人じゃない」

加蓮「本当に? 本気でそう思ってる?」

奈緒「なら、最後に試すか?」

加蓮「試すって」

奈緒「二人で打ち合わせだ。何ならルキトレさんにも協力してもらって」

加蓮「どうする気?」

奈緒「決まってる、真正面からぶつかるんだ」

短いですがここまで、次回は22日か23日を予定しています

652: 2013/08/20(火) 02:42:26 ID:Y8gtk8W6

一回誰が誰を担当してるか書いて欲しいな

引用元: ありす「心に咲く花」