592: ◆m9tEpcJqyE   2015/05/27(水) 12:31:54.87 ID:u5+n7P0zO




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【青葉さん】その3

《鎮守府》母港


青葉「……そこのところ、司令官はどうお考えなのでしょうか? 一言お願いしまーす♪」(澱んだ瞳

提督(E:作業着)「…………」

青葉「いまさら、だんまりはなしにしましょうよー。青葉がこれまでやってきたことを知って警告しに来たんでしょ?」

提督「あ、あの、青葉、君?」

青葉「情報源は元帥さんですか? ダメですよ、女の子の秘密を探るなんて」(クスクス

提督「っ……や……す、すま、ない、青葉君っ」

青葉「ハイ?」

提督「私は、ただ……神通君の、艤装の整備が終わったので。不知火君の艤装に……取りかかる前に、い、息抜きに散歩を、していた……だけ、なのだ、が」

青葉「……へ?」

提督「いきな、り。そんな、言いがかりめいたことを言われても……こ、困る」(半泣き

青葉「……ワ」

提督「ぬ?」

青葉「ワレアオバァァァァッ(しまったーーーーっ)!?」

提督「」(ビクッ

青葉「(失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……!)」(orz

青葉「(え、えぇ……なんですかそれ、思わせぶりな険しい表情でこっちに歩いてくるから、青葉てっきり……。え、これ自爆ですか? はっけよいと同時に土俵から水平に飛び出してく独り相撲ですか、そーですか)」(ブツブツ

提督「……そ、の」

青葉「ナンデショーカ」(蒼白

提督「こ、これまでやってきたこととは……。詳しい、話を」(キリッ

青葉「ハイ」(ホ口リ


<あ、だ、だが、不知火君の艤装の整備もあるので、工廠でいいかね?
<……司令官がそれでいいのでしたら




※このお話は、個性的な艦娘たちと提督の鎮守府での日常をたんたんと描くだけのものです。
過度な期待はしないでください。

鎮守府での四方山話シリーズ



593: 2015/05/27(水) 12:33:10.04 ID:u5+n7P0zO
《鎮守府》工廠

提督「なるほ、ど」(カチャカチャ

提督「……………………」

<シーーーーーン…

青葉(正座中)「…………」

青葉「(ち、沈黙が重い……ん?)」

妖精A「そちゃですがどうぞですー」(しずしず

青葉「あ、ど、どうも」

妖精A「どうぞごゆっくりー」(てこてこ

妖精B「しゅらば? しゅらば?」(ヒソヒソ

妖精C「ていとくさんのいにだいれくとあたっく?」(ヒソヒソ

妖精A「しー! われわれはひそかにみまもるだけです」(ヒソヒソ

青葉「(ここの妖精さんは司令官と仲がいいんでしょーか)」(ズズ…

提督「……青葉君が、これまでしてきたことは、わかった。友人たちの危険海域送りを回避する、ためとはいえ……信頼してくれた提督や艦娘を後ろから刺すような行為を続けるのは、大変だっただろう」

青葉「…………」

提督「よし、これで不知火君の艤装も整備完了だ」(ゴト…

青葉「……あの、それだけですか?」

提督「それだけ、というのは?」

青葉「もっと他にあるんじゃないんですか? 優しくしてもらった恩を仇で返す卑劣艦とか、お前みたいな艦娘は解体処分だ、とか……」

提督「そう、言われても。君は、将校殿に命じられていたに過ぎない。……当事者たちからの心証は悪いだろうが」

提督「将校殿にしても、やり口はともかく、一提督が力を持ちすぎることを懸念しての行動だ。非難は、できない」

青葉「……ここの鎮守府でも同じことをしようとしていたのに、そんな他人事みたいに言うんですね」

青葉「青葉がいつものように、ちょっと色をつけて将校さんに報告を上げれば、司令官はきっと更迭されます。そうなったら、ここの艦娘さんたちが悲しむことになるってわかってるんですか?」(ギロッ

提督「……はたして、そうだろうか」(ボソッ

青葉「え?」

提督「いや、なんでもない」

提督「それで……青葉君は、どうすれば満足する、のかね」

青葉「どうすれば?」

提督「恩を仇で返す卑劣な艦娘と罵れば、いいのか……捏造によって上官を陥れた不穏分子として処罰を受けさせればいいのか」

提督「それとも……更迭された提督や、その部下の艦娘たちのところへ謝りに行かせて、私刑でも受けさせてやれば……いいのかね?」

提督「存外、辛いものだぞ。知り合いや友人……と思っていた人たちに暴力を、振るわれるのは」

青葉「っ……」

提督「す、すまない、意地の悪いことを、言った」

青葉「い、いえ」

青葉「ハハ、こういうのどん詰まりって言うんでしょうか。結局、青葉はどうすればよかったんでしょうね」

提督「……青葉君は、このままスパイの真似事を続けたいのかね?」

青葉「そんなの、嫌に決まってるじゃないですか」(フルフル

青葉「青葉は、みんなと面白おかしく騒いで……後になって、あんなことがあったっ……こんなこともあったって笑顔になれる写真を撮りたいんです」

青葉「人の弱味を探って……誰かの居場所を奪うために、このカメラを使いたく……なかった……ぅ、っ」(ポロポロ …

提督「そう、か」(嘆息

提督「ならば、青葉君……提督として、君に任務を与えよう」

青葉「任務、ですか?」

提督「ああ。といっても、難しいことではない――――」

594: 2015/05/27(水) 12:34:22.72 ID:u5+n7P0zO
(1週間後)
《大本営》将校執務室


将校「……それで、何故大本営に戻ってきたのだ、貴様は」

青葉「ア、アハハー。実はあちらの司令官に戦力外通告を受けちゃいました」

将校「戦力外通告だと?」

青葉「鎮守府のメンバーと一緒に任務をこなせるかを確かめる模擬戦があったんですけど、これがまた散々な結果でして……」

青葉「軽巡洋艦や駆逐艦の人たちにも、『こんな頼りない人を連れて海域の攻略はできない』と」

将校「…………」

青葉「でも、仕方ないですよね。どこの鎮守府や基地に行っても長続きせずに、すぐ大本営へ出戻りしてるんですから」(ヘラヘラ

将校「……それは意趣返しのつもりか」

青葉「やだなぁ、違いますよぉ♪」

将校「チッ、もういい、下がれ」

青葉「青葉、了解しました!」(クルッ

青葉「――――あ、そういえば報告忘れてました」

青葉「四方山鎮守府の司令官ですけど、あの人はダメですね。組織から切ろうとすると、本人に抵抗する気がなくても、周りが本気で牙を剥いちゃうタイプです」

青葉「ではでは~♪」


<パタンッ


将校「ッ……それが、いかんと言うのだ」(拳握り

将校「提督のためではなく、軍のために……国のために働く艦娘たちだけでなくては……いつか、きっと……!」(ガンッ

595: 2015/05/27(水) 12:34:57.51 ID:u5+n7P0zO



<knock…knock…


将校「(誰だ?)……入りたまえ」

元帥「失礼するよ」(ガチャッ

将校「げ、元帥!!?」(直立

元帥「いい、楽にしたまえ。ソファー、使わせてもらうよ……どっこいしょ」

将校「はっ!」

元帥「一本吸っても構わんかね?」

将校「は、はいっ、遠慮なさらずにどうぞ」

元帥「ありがとさん」(シュボッ

元帥「ふぅー……。最近、いろんな提督の粗探しに躍起になっているそうじゃないか」

元帥「憲兵団の方からも苦情が来ているよ。『我々は、言いがかりで提督の身柄を拘束するために存在する組織ではない』、と」

元帥「……そんなに怖いのかね? 提督と強い絆で結ばれ、強くなる艦娘が」

将校「当時を知る者なら……あの大海戦に参加した者なら当然でしょう」

将校「艦娘の適正がある……ただそれだけで軍に入隊した少女が、それまで軍がどう足掻いても勝てなかった深海棲艦を撃破し、海を取り戻していった」

元帥「うむ。今があるのも、当時の艦娘たちが奮闘してくれたからこそ。まこと、素晴らしい活躍だった」

将校「ですが、古の戦船というさらなる力を得た艦娘たちを見て、私は思いました」

将校「あの大海戦で……姫級や鬼号が率いる海を覆い尽くさんばかりの深海棲艦を、たかだか十数隻からなる艦隊で殲滅していく彼女たちを、心底恐ろしいと」

元帥「……そう、か。君には恐ろしいものとして見えたのだね、あの光景が」

将校「元帥には……アレがどう見えたと仰るのですか」

元帥「私かね? 私には……気高く、尊い……人類に与えられた最後の希望に見えたよ」

将校「…………」

元帥「君が危惧しているようなことは起こらんし、提督や艦娘が道を踏み外すようなことは起こさせない」

元帥「それが、あの大海戦で散った彼女たちに押しつけられた約束だからな」

将校「元帥……」

元帥「今すぐ考えを改めろとは言わんが。艦娘は間違いなく人間で、私たちの大切な部下で、共に戦う仲間だ。せめてそこぐらいは信じてやってくれ」

元帥「さて、と。長居が過ぎた、そろそろ執務に戻らねば、秘書艦にどやされてしまう」(ノビーッ

元帥「ほうぼうの鎮守府や基地、泊地から届いた『提督を返せ』という、脅迫状紛いの嘆願書の処理や、大本営に殴り込みにきた艦娘の処罰を考えねばならんのでな」(ニヤッ

将校「」

<パタンッ



将校「やはり、危険ではないですか」(グッタリ

596: 2015/05/27(水) 12:37:35.93 ID:u5+n7P0zO
《大本営》元帥の執務室

霧島「やっと戻ってきましたね。いつまで煙草休憩をされているんですか」(カチャッ

元帥「すまないな。頭の痛い案件ばかりで、つい物思いに耽ってしまった」

霧島「まあ、お気持ちはわかりますが」

元帥「さて、どこから手をつけたものか。関係部署もさっさと動かさんといかんし……」

霧島「あ、そういえば先ほど、もう一件追加で確認していただきたいものが来たのですが」

元帥「なんだ、また来たのか」

霧島「そこまで急を要するものではないのですが……例の鎮守府への異動願いでして」

元帥「…………」(ペラ


『提出日   ○年  □月  △日
氏  名 重巡洋艦《青葉》    青葉

転属願
この度、以下のとおり転属いたしたく、何卒ご配慮いただけますようお願い申し上げます。

1.所属
大本営

2.希望転属先
四方山鎮守府

3.転属を希望時期
現在攻略中の作戦海域での深海棲艦掃討終了から一ヶ月後

4.転属を希望する理由
撮りたいものができたから     』


元帥「また随分とざっくりした理由だな」(呆れ

霧島「自分から氏亡フラグを立てて回避する手法でしょうか」

元帥「……贖罪も含めて、だろうな」

霧島「?」

元帥「よし、まずこれから処理しよう」(ポンッ

霧島「よろしいのですか? あっさり許可印を押しましたけど、最前線送りですよ?」

元帥「そろそろ取り戻したいと思っていた海域だからな。人材と物資の補充は元から計画していた」

元帥「なに、大丈夫さ。経験談から言わせてもらうが、こういう艦娘は化けるのだよ」(クツクツ…

霧島「は、はあ?」

597: 2015/05/27(水) 12:38:34.22 ID:u5+n7P0zO
(現在)

漣「で? なんでご主人様の執務机に提督専用ゼクシィなんか置いたんですか、アホ葉さん?」

青葉(正座)「ア、アハハ、司令官にもいずれ必要になる知識を提供したくて、よ、よかれと思って!」

漣「なるほどなるほどー……で、本当の狙いは?」

青葉「最初は恐る恐る、次第に真剣な顔で中身を読み進めていく司令官の様子をみなさんにも見てもらおうと思って、こっそりカメラを回してました!」(テヘペロッ

<少し、頭冷やそうか……
<ワ、ワレアオバ……ワレ……あっ、ア゛アァァァァアッ!!!!?



《鎮守府》執務室

提督「……弾けたな、青葉君は」

提督「そ、それにしても、こうした雑誌は初めて読んだが……想像以上に手間がかかるのだな」(ペラ…ペラ…

提督「……結婚、か」

<ガチャッ

大和「提督、おやつの時間ですよ。大和、提督のために黒蜜をたっぷりかけた葛切りを……」

提督(E:結婚情報誌)「!?」

大和「…………アハ♪」(ハイライトOFF

大和「提督がもうそこまで考えてくださっていたなんて、大和感激です。そ、それで、式の予定はいつ頃になりますか? ジューンブライドは憧れますが、日本だと梅雨の季節でジメジメしていますし、お義父様やお義母様たちが雨に濡れたら大変ですし、大和は来年の春まで待つのもいいかなと思います。あ、でも提督が望まれるのでしたら、大和はそれこそ今日にでも……。あ、す、すみません、大和ったら……それより先に洋風か和風かも考えなければいけませんでしたね。提督はウェディングドレスと角隠し、どちらがお好みですか? やっぱり一生に一度の晴れ舞台ですから、着るものもよく考えないといけませんよね! いっそ両方という手もありますけど、そうなるとお色直しとか大変になっちゃいますし……ウフフ、考えることがたくさんで、なんだか困ってしまいますね♪」(テレテレモジモジ

提督「(さ、漣君、早く戻ってきてくれ漣君! む、無理なら神通君か金剛か……こ、この際誰でもいい、助けに来てくれ……!!)」(ガタガタ


《この後、たまたまいろんな艦娘が執務室にやって来てちょっと大変なことになった》

605: 2015/05/27(水) 17:49:56.09 ID:57ietxEIO
(そして現在)
《鎮守府》執務室


提督「これは?」(カタッ

提督専用結婚情報誌『ゼクシィ』

提督「……ふむ」


(提督、結婚情報誌斜め読み中・・・)


提督「こうした雑誌は初めて読んだが……想像以上に手間がかかるのだな」(ペラ…ペラ…

提督「……結婚、か」

<ガチャッ

大和(当日秘書艦)「提督、おやつの時間ですよ。大和、提督のために黒蜜をたっぷりかけた葛切りを……」

提督(E:結婚情報誌)「!?」

大和「…………アハ♪」(ハイライトOFF

大和「提督がもうそこまで考えてくださっていたなんて、大和感激です。そ、それで、式の予定はいつ頃になりますか? ジューンブライドは憧れますが、日本だと梅雨の季節でジメジメしていますし、お義父様やお義母様たちが雨に濡れたら大変ですし、大和は来年の春まで待つのもいいかなと思います。あ、でも提督が望まれるのでしたら、大和はそれこそ今日にでも……。あ、す、すみません、大和ったら……それより先に洋風か和風かも考えなければいけませんでしたね。提督はウェディングドレスと角隠し、どちらがお好みですか? やっぱり一生に一度の晴れ舞台ですから、着るものもよく考えないといけませんよね! いっそ両方という手もありますけど、そうなるとお色直しとか大変になっちゃいますし……ウフフ、考えることがたくさんで、なんだか困ってしまいますね♪」(テレテレモジモジ

提督「」(ガタガタ


(扉の隙間)

青葉「(うはーっ、来ましたよ! 頼みましたよ大和さんっ、いいシーンお願いします!!)」(キラキラ

漣「……オイ、ナニヤッテンダテメー」(肩ポン

青葉「」




漣「で? なんで大和さんが秘書艦の時に、結婚情報誌なんてものをご主人様の机の引き出しに入れたんですか、アホ葉さん?」

青葉(正座)「ア、アハハ、司令官にもいずれ必要になる知識を提供したくて、よ、よかれと思って!」

漣「なるほどなるほどー……で、本当の狙いは?」

青葉「なんか面白いことが起きたらいいな、って思いながらカメラ撮ってました!」(テヘペロッ

<少し、頭冷やそうか……
<ワ、ワレアオバ……ワレ……あっ、ア゛アァァァァアッ!!!!?

606: 2015/05/27(水) 17:57:43.68 ID:57ietxEIO
青葉編ラスト、こっちの方がそれっぽくしまるかなと思い投下
基本、シリアスっぽい話や設定は散歩中のしらぬいぬにオナモミがひっつけいた程度のささやかで微笑ましいものしか思いつかないので安心

607: 2015/05/27(水) 18:00:15.04 ID:Exqo9YQ5O
おつでした
ぬいぬいにオナモミくっつく話はよw

608: 2015/05/27(水) 18:14:47.75 ID:RvZcTNvKO
乙です
提督は乱読家なんだろうかそれとも結婚に興味を持ち始めたのだろうか。それが問題だ。



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引用元: 【艦これ】提督と艦むすの鎮守府での四方山話8