1: 2011/11/17(木) 22:09:42.63 ID:HtOmSbNl0

昨日暇だったので、前作

α岡部「誰だ貴様は!?」岡部(しまった!!)

の続編を書いてみました

※前作の前半に出てくる「α岡部」は全部「β岡部」の誤植です。
 今回は、その「β岡部」を「岡部」にして主人公にしたものです。
 ややこしくてすみません

3: 2011/11/17(木) 22:11:06.83 ID:HtOmSbNl0


岡部(まゆりを助けるためにDメールを消し続けて、遂に最後のDメールにたどり着いた)

岡部(だが思い出した。そのメールは………)

岡部「……なぁダル、SERNに捕えられた、このメールの内容を覚えてるか?」

ダル「え? ああ、確か「ラジカンで俺が刺されたみたい」ってやつっしょ?」

ダル「さすがにあれはもう中二病ってレベルじゃないっしょ」

岡部(そう、俺のいた世界線では俺のクローンが氏んで、その原因はおそらく………)

岡部「………すまない、そのメールを消すのは、今日はやめよう」

ダル・紅莉栖「!?」

STEINS GATE 牧瀬紅莉栖 運命探知の魔眼[リーディング シュタイナー] 1/7スケール プラスチック製 塗装済み完成品フィギュア

4: 2011/11/17(木) 22:13:30.27 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「どうしたの、岡部?」

ダル「ちょ、ここまできてビビるとかオカリンマジチキン」

岡部「……………」

紅莉栖「………言ってみなさい、何があったの?」

岡部「………あっちの世界線ではラジ館で俺のクローンが氏んでいた」

紅莉栖「クローン!? ちょっと待って、それってどういう…」

岡部「だが、問題はそこじゃないんだ」

岡部「それだけならどんなによかったことか……」

紅莉栖「!? それ以上に大きな問題があるっていうの?」

岡部「実は、あっちの世界線ではまゆりが………」

紅莉栖「………まさか、あっちの世界線でもまゆりが氏んで…」


岡部「まゆりが………マッチョなんだ」

紅莉栖 ( ゚д゚)

ダル「…………日本語でおk」

5: 2011/11/17(木) 22:14:22.11 ID:HtOmSbNl0

岡部「ちくしょう、なんでだよ」

岡部「俺に、選べってのかよ………氏んだまゆりか、マッチョなまゆりかを!!」ガッガッ

紅莉栖(何が何だかわからない…………)

紅莉栖「…………いや、ぶっちゃけ岡部が何を言ってるかわからないけどさ」

紅莉栖「何ていうかその、岡部にとってのまゆりっていう存在はその程度のものなの?」

岡部「!? それはどういう…」

紅莉栖「そっちの世界線でまゆりの見た目がどうなのかは知らない」

紅莉栖「でも、どんなにマッチョでも、まゆりはまゆりなんでしょ?」

岡部「!!」

岡部「………ああ、そうだったな」

岡部「何を迷ってたんだろうな、俺は」

岡部「ありがとう紅莉栖、目が覚めたよ」

紅莉栖「………あ、そう、それは良かった」

紅莉栖(何かもうツッコむのも面倒くさいわ)

6: 2011/11/17(木) 22:15:19.71 ID:HtOmSbNl0

まゆり「トゥットゥルー♪まゆしぃでーす」ガチャ


ダル「おっ、噂をすればまゆ氏降臨」

紅莉栖「Good morning.」

岡部「………まゆり」ジッ

まゆり「……どうしたの、オカリン?」

まゆり「そんなに見つめられると照れるのです//」

岡部「………いや、なんでもない」

岡部「お前のその姿を、目に焼き付けておきたかっただけだ」

まゆり「え? オカリン?」

岡部「お前のその可憐な姿は忘れないよ」スッ

まゆり「えっ!?// オカリン、突然何を…」

岡部「………さようなら、きれいなまゆり」ポチッ


   グョオオオオオオォォン


8: 2011/11/17(木) 22:16:04.29 ID:HtOmSbNl0

   グニョオオオオオォォン


岡部「っ…………」フラッ

ダル「? どうしたん、オカリン?」

岡部「……いや、何でもない」

岡部「そういえばダル、SERNのとの聖戦のことは覚えているか?」

ダル「……SERNって素粒子物理学のアレ?」

ダル「ハァ、何というか………中二病乙」

岡部「…………そうか」

岡部(……勝ったんだ)

岡部(遂に俺は勝ったんだ、SERNとの戦いに)

岡部(………だが、問題はそこではない)

10: 2011/11/17(木) 22:16:49.21 ID:HtOmSbNl0

岡部(大丈夫だ、覚悟は決めた)スゥゥゥ、ハァァァ

岡部「なぁダル、そういえば…」

ダル「うん? どうしたん?」グッグッ

岡部「…………ちょっと待て、ダルよ、今は一体何をやっているんだ?」

ダル「何って引越しの準備っしょ?」

岡部「引越し!? 何故そんなことを…」

ダル「いや、ここは天井低いから別のラボを探そうって言い始めたのオカリンだお」

ダル「やはりデキる男は違いますなあ」

岡部「えっ? それは一体どういう……」

11: 2011/11/17(木) 22:17:24.09 ID:HtOmSbNl0

   ドシーーーーーン


岡部「!?」

岡部「何だ、この地響きは!?」

ダル「おお、まゆ氏が帰ってきたか」

岡部「………まゆり?」

岡部(………なんだろう)ドクン


   ズシーーーーーン


岡部(何かすごくイヤな予感がする)ドクンドクン


ドア「」バンッ

まっちょしい「もう、二人ともサボらないでほしいのです」ムキッ


岡部「は………はうあああああああああああああああ!?」

岡部「前より大きくなってるうううううううううううううう!?」

13: 2011/11/17(木) 22:18:26.00 ID:HtOmSbNl0

まっちょ「よいしょ」グイッ

ダル「流石まゆ氏、タンスを片手で持ち上げるとは!!」

まっちょ「えっへへー、まゆしぃはそんなに褒められると照れるのです」

岡部「ハァ、ハァ……」ガクガク

まっちょ「どうしたの、オカリン?」

岡部「………いや、ちょっと気持ちの整理をさせてくれ」

岡部(何でだ、前見たときはせいぜい普通のボディビルダーくらいの大きさだったはずだ……)

岡部(なのに、どうして……)


「ちょっと岡部、橋田、あんたたちも手伝いなさいよ。流石に階段上り下りは疲れるわ」


岡部「!!」

岡部「この声は………」

14: 2011/11/17(木) 22:19:15.38 ID:HtOmSbNl0

ダル「おお牧瀬氏、わかったお」

岡部「!!」

岡部(良かった、この世界線でも紅莉栖はラボメンなのか!!)

岡部(まゆりのショックが想像以上だった俺にとっての唯一の希望!!)

岡部「………フッ、助手よ、階段ごときで疲れるとはいくらなんでも運動不…」

岡部「」


きんに紅莉栖「しょうがないじゃない、流石に冷蔵庫持ちながら階段はキツイわよ」ムキムキッ


岡部「あああああ、うわあああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


15: 2011/11/17(木) 22:20:27.83 ID:HtOmSbNl0

まっちょ「あっ、あとはまゆしぃがやっとくよ」ヒョイ

きんにく「うん、お願いね」フゥ

ダル「いやあ、二人とも随分大きくなりましたなあ」

ダル「まゆ氏も牧瀬氏もそろそろ3m越えたんじゃね?」

まっちょ「もう、ダルくんったら。そんなのとっくに超えてるのです」

きんにく「私ももうすぐまゆりに追いつきそうね」

ダル「まぁ、でも胸の大きさはまゆ氏の圧勝な件について…」

きんにく「………Pardon me?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ダル「………冗談だお」


岡部「………何だよこれ」

岡部「何だよこれ!!!??」


17: 2011/11/17(木) 22:21:48.71 ID:HtOmSbNl0


   ・・・・・・・・・・・・・・


まゆり「…………なんか今日のオカリンちょっと変なのです」

まゆり「全然話してくれないし、すぐ目を逸らすし……」

紅莉栖「さあ、変なのはいつものことだからもう気にならないわ」

岡部(……そうか、二人とも一応元には戻れるみたいだな)

岡部(だが、いくらまゆりが助かる世界線とはいえ、こんなのはあんまりにも………)


   PLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL


ダル『はい、橋田です』

ダル『………え? 誰? オカリンに代われって?』

ダル「おーい、オカリン電話だお」

18: 2011/11/17(木) 22:22:30.66 ID:HtOmSbNl0

岡部「? ………誰だ」

ダル「いや、なんか阿万音鈴羽とかいう女の人から…」

岡部「鈴羽!?」

岡部(どういうことだ、何故この時代に……)

ダル「とりあえず代わるお」スッ

岡部『……俺だ』スッ

鈴羽『オカリンおじさん? 今すぐラジ館の屋上に来て!!』

岡部「!!」

20: 2011/11/17(木) 22:23:26.27 ID:HtOmSbNl0


       ラジ館屋上


岡部「ウソ……だろ……」

まゆり「わー、なにあれー?」

紅莉栖「これは……?」

ダル「何かのロボじゃね?」

岡部(どうして……どうしてタイムマシンがここに!?)

「……岡部倫太郎?」

岡部「鈴羽!?」

岡部「何で、何でお前がここに!?」

鈴羽「オカリンおじさん、なんだよね?」

岡部(おじさん……?)

21: 2011/11/17(木) 22:24:20.76 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「おじさんにお願いがあるの!」

鈴羽「あたしに協力して過去を変えて!!」

岡部「………何だと?」

岡部「まさか、また未来でSERNによるディストピアが起こっているとでもいうのか!?」

鈴羽「??」

鈴羽「SERNって、なに……?」

岡部(!! SERNを知らない? なら、どうして…)

鈴羽「SERNっていうのは何か知らないけど……」

鈴羽「ディストピアは………起こってるよ」

22: 2011/11/17(木) 22:25:22.11 ID:HtOmSbNl0

岡部「え………?」

岡部「そんな、SERNじゃないとしたら誰が一体そんなことを……?」

鈴羽「それは……」


まゆり「ねえ紅莉栖ちゃん、でぃすとぴあって何?」

紅莉栖「人権を抑圧された極端な管理社会、みたいなものね」


鈴羽「!!」

鈴羽「まさか、そこにいるのは……牧瀬紅莉栖と、椎名まゆり!?」バッ

26: 2011/11/17(木) 22:26:30.23 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「あれ、もしかして私たちのこと知ってるの?」

まゆり「うーん、でもごめんなさい、まゆしぃは覚えてないのです」

鈴羽「……………」

岡部「おい鈴羽、一体どうしたんだ? この二人が何か……」

鈴羽「…………暗黒四天王」

岡部「え?」

鈴羽「力こそが絶対と言って世界征服をし、ディストピアを構築した巨大組織」

鈴羽「その内部の最強の戦闘集団、暗黒四天王のうちの二人だよ」

岡部「なっ!?」

28: 2011/11/17(木) 22:27:57.99 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「あたしのいた時代、2036年は力あるものが力なきものを支配する世界だった」

鈴羽「弱き者に人権などない。そんな世界が構成される」

岡部「待て、ってことは、武力で世界が征服されたのか!?」

鈴羽「そう。それほどまでにその組織の力は強大だった」

鈴羽「狙撃も戦車も零戦もまるで歯が立たないし、それでも日に日にその力を増して行った」

岡部「そんな………」

ダル「…………中二病患者が増えた件について」

29: 2011/11/17(木) 22:29:37.41 ID:HtOmSbNl0

岡部「どうしてそんなことになった」

岡部「いや、そもそもどうしてまゆりや紅莉栖があんなことになったんだ!?」

まゆり「あんなこと?」

岡部「お前は、そんなマッチョになる能力などなかっただろ!!」

まゆり「うーん、よくわからないけど、いつの間にかできるようになってた気がするのです」

まゆり「でも、いつのことだかはわからないのです」

鈴羽「………恐らくそうなったのは、2010年7月28日」

鈴羽「そうだよね?」

岡部「!!」

岡部(そう、あの日なんだ、まゆりが突然ああなったのは)

30: 2011/11/17(木) 22:30:28.05 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「原因はわかってる」

鈴羽「2010年7月28日に、大規模な時空断層が確認された」

岡部「時空断層?」

鈴羽「うん。世界線がそこで切れて、ずれてしまったような状態」

鈴羽「そしてその断層は世界の法則を崩落させてしまった」

鈴羽「その結果、人間が物理法則を無視する程の力を手にしてしまった」

岡部「!!」

岡部「何故、そんなことが………」

鈴羽「それは…………」

鈴羽「その時、深刻なタイムパラドックスが起きてしまったからだよ」

32: 2011/11/17(木) 22:31:41.90 ID:HtOmSbNl0

岡部「タイムパラドックス………?」

鈴羽「そう。過去改変がその世界に大きな矛盾を生んでしまうことでそれは起こる」

鈴羽「本来は起こりえない世界の矛盾が生まれてしまうことによって、ね」

鈴羽「その時間、ラジ館で普通ならありえないことが起きてしまった」

鈴羽「オカリンおじさんなら、もう何があったのかわかってるんじゃないかな?」

岡部「!!」

岡部「まさか…………」

鈴羽「そう」

鈴羽「タイムマシンに乗ってきたオカリンおじさんが、その時間のオカリンおじさんに遭遇してしてしまった」

鈴羽「その時に、タイムパラドックスが発生したんだよ」

33: 2011/11/17(木) 22:32:42.75 ID:HtOmSbNl0

岡部(ということは、あれはクローンではなく、未来から来た俺だったのか………)

鈴羽「………だから、オカリンおじさん」

鈴羽「あたしと一緒に7月28日に行って、過去を変えてほしいんだ!!」

岡部「!!」

鈴羽「そして、これから起こるディストピアを、一緒に回避しよう?」

岡部「………そういうことか」

岡部「だが………断る!!」

鈴羽「!?」

34: 2011/11/17(木) 22:33:52.29 ID:HtOmSbNl0

岡部「ここは、α世界線の鈴羽の、フェイリスの、ルカ子の、何人もの願いを犠牲にしてやっとたどり着いた世界線なんだ」

岡部「何度も何度も失敗して、やっとまゆりを助けられたっていうのに」

岡部「それを、無駄にしろって言うのかよ!!」

鈴羽「……そっか、いろいろ訳ありみたいだね」

鈴羽「でも、これを見ても同じことが言える?」スッ

岡部「何だ………これは?」

鈴羽「……オカリンおじさんの、形見だよ」

岡部「!?」

35: 2011/11/17(木) 22:34:32.93 ID:HtOmSbNl0

岡部「俺の、形見……?」

鈴羽「正確に言うと、オカリンおじさんの最期が映ってるDVD」

岡部「タイムマシンに乗らなかった場合の俺は、氏んだのか………?」

鈴羽「うん」

鈴羽「15年後、オカリンおじさんはレジスタンスの筆頭として公開処刑される」

鈴羽「これは、このままオカリンおじさんがタイムマシンに乗らなかった場合の世界線の現状だよ」

鈴羽「もし世界線を変えなければ、15年後、世界はこうなる」

鈴羽「でも、できれば見ない方がいいと思う。こんな最期は、あまりにも辛い……」

岡部「………覚悟はできてる、見せてくれないか?」

鈴羽「…………わかったよ」ピッ

36: 2011/11/17(木) 22:35:30.41 ID:HtOmSbNl0

――――――――――――――――――――――――――――――――――


「キャー助けてー」ガッ

「ちょ、やめ、やめてく…」ブシャアアァァ


岡部「ハァ、ハァ………」ガクガク

まっちょしい「さぁ、貴様もそろそろ観念するのだな」

岡部「待て、助、助けて……」ガタガタ


「お待ちください!!」


岡部「!?」

まっちょ「紅莉栖か………」

きんに紅莉栖「この男は、私に止めを刺させてください」スッ

まっちょ「…………いいだろう」

37: 2011/11/17(木) 22:36:08.26 ID:HtOmSbNl0

きんにく「さあ、岡部、終わらせましょう」スッ

岡部(くっ、だが、まゆりに比べ…)

きんにく「まゆりに比べれば………、とか思ってるでしょ?」ボソッ

岡部「!?」

きんにく「もう私はあの頃の私じゃない」グッ


  ゴオオオオオオオオオオ


岡部「紅莉……栖………?」


  ムキムキムキムキムキ・・・・・・・


岡部「なっ!?」

岡部(紅莉栖の筋肉が、さらに巨大化して………?)


     カッ


39: 2011/11/17(木) 22:36:56.68 ID:HtOmSbNl0

まっちょ「…………ほう」

まっちょ「奴め、遂にあの境地に達したか」ククク


「」ゴオオオオオォォォォォ


岡部「な……………」ガタガタガタ


スーパーきんにくりす「…………私の胸囲は53万です」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


岡部「何だよ、これ…………」

岡部「何だよこ…!!」


     プチッ


――――――――――――――――――――――


41: 2011/11/17(木) 22:37:48.49 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「……結局このままオカリンおじさんは牧瀬紅莉栖の膨張する筋肉に押し潰されて氏んだ」

岡部「」ガタガタ

岡部(何だよこれ………こんな氏に方、あんまりだ!!)

岡部「鈴羽………」ガタガタ

鈴羽「なに?」

岡部「まゆりと紅莉栖が元に戻るなら…………い、今すぐにでも過去に行こう!!」バッ

鈴羽「うん、わかったよ」バッ

鈴羽「そうそう、携帯は混線するとまずいから置いて行ってね」

岡部「ああ、わかった」ポイッ

鈴羽「行くよ!!」ポチッ


    シュイイイイィィィン


ダル・紅莉栖「……………何ぞこれ」

43: 2011/11/17(木) 22:38:59.31 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「よし、着いた」タッ

鈴羽「今この時間にはこのオカリンおじさんと、元からこの時間にいた岡部Ⅰと、前にタイムマシンでやって来た岡部Ⅱの三人のオカリンおじさんがいるはずだよ」

鈴羽「ちょっとややこしいけど、注意してね」

岡部「………誰に説明してるんだ?」

鈴羽「ほら、無駄口たたいてないで」

鈴羽「私は帰りのタイムマシンを調整しておくから!!」

岡部「あ、ああ」ダッ

45: 2011/11/17(木) 22:40:23.26 ID:HtOmSbNl0


    ザッ


岡部「…………ここだ」

岡部(あの時、奴がこの階段を下りたから、二人の俺は接触してしまった)

岡部(だから、このように階段に使用禁止と書いておけば………)

「」カツカツ

岡部「来た!!」

岡部Ⅱ(よし、まずは俺に接触しないようにしながら紅莉栖を探す)

岡部Ⅱ「…………ん?」

岡部Ⅱ「階段が、使用禁止だと!?」

46: 2011/11/17(木) 22:41:05.00 ID:HtOmSbNl0

岡部Ⅱ「………仕方ない、少々面倒だが、回り道を…」

岡部(よし、かかった!!)


「トゥットゥルー」


岡部「!?」

まゆり「オッカリーン、まゆしぃなのでーす」

岡部(しまった、そういえばまゆりはここにいるんだった!!)

47: 2011/11/17(木) 22:42:07.71 ID:HtOmSbNl0

岡部(ダメだ、今まゆりをあっちの俺に接触させるわけにはいかない)

まゆり「オカリンオカリン」

岡部「何だ!!」

まゆり「まゆしぃのメタルうーぱがいないのです」

岡部「メタルうーぱ? お前のことだ、どうせその辺に落として…」

岡部Ⅱ「」ツルッ

岡部Ⅱ「ぬわー、こんなところに落ちていたメタルうーぱを踏んで滑ってしまったあああああああ!!」ステーン

岡部「なっ!?」

49: 2011/11/17(木) 22:43:02.16 ID:HtOmSbNl0

岡部Ⅱ「はぶっ、へばっ、ほげっ」ズシャアァァ

岡部(階段を転がり落ちて……!? おい待て、このままでは……)

岡部Ⅱ「くそ、俺としたことが………」


「おい!!」


岡部Ⅱ「!?」

岡部Ⅰ「誰だ貴様は!?」

岡部Ⅱ(しまった!!)

岡部「」

52: 2011/11/17(木) 22:44:09.05 ID:HtOmSbNl0

まゆり「待ってよ、どうしたのオカリ…」ドクン

岡部「………まゆ、り?」


おや、まゆりのようすが………


テレレレ テンテンテンテンテンテンテンテーン×2(BGM:例のアレ)


まっちょしぃ「トゥットゥルー」ムキムキムキムキ


おめでとう、まゆりはまっちょしぃに進化した!!


岡部「ほわああああああああああああああああああああ!?」ガクガクガクガク


53: 2011/11/17(木) 22:45:17.80 ID:HtOmSbNl0

岡部(どうして、どうしてだ)

岡部(………そうか、結局世界線は集束するのか)

岡部「ダメなんだ、結局俺は運命を変えられないんだ………」ガクッ

まっちょ「ちょっと行ってくるね、オカリン」シュバッ

岡部「……………ハハハ」

岡部「ハハハハハハ、もう俺はどうやっても筋肉の呪縛から逃れられないんだ………」

岡部「どうやっても、世界線はそう収束していくんだ」

岡部「もう疲れたよ、俺は…」

54: 2011/11/17(木) 22:46:08.14 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「オカリンおじさん!!」バッ

岡部「鈴羽?」

岡部「………すまない、結局俺は何もできなかった」

岡部「俺では、何も救えない…」

鈴羽「何言ってるの?」

鈴羽「だって、失敗も何も作戦はまだ始まってもいないよ?」

岡部「え?」

57: 2011/11/17(木) 22:47:30.47 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「ああ、そういえば言ってなかったね、作戦内容を」

岡部「どういうことだ?」

鈴羽「二人の岡部倫太郎が出会うこと」

鈴羽「多分これは世界線の収束によって変えられない運命と化している」

岡部「!?」

岡部「じゃあ、俺たちは何のために……」

鈴羽「だから、今回の私たちの目的はタイムパラドックスを止めることじゃない」

鈴羽「世界線を、完全に『混沌の狭間(シュタインズゲート)』へとシフトすることだよ」

58: 2011/11/17(木) 22:48:37.53 ID:HtOmSbNl0

岡部「『混沌の狭間(シュタインズゲート)』……?」

鈴羽「うん」

鈴羽「世界がタイムパラドックスによって完全に崩壊する刹那に現れると言われる世界線」

鈴羽「全ての法則が失われた、妄想が現実へと変わる世界」

鈴羽「自分ならその事象を起こせると信じる心が強ければ強いほど、大きな力を発揮できる世界」

鈴羽「そこにたどり着くために、オカリンおじさんにはもう一度、もっと大規模なタイムパラドックスを起こしてほしい」

鈴羽「そして、混沌の狭間にたどり着いて世界の法則を支配し、世界をあるべき姿に再構築してほしいんだ」

岡部「!?」

59: 2011/11/17(木) 22:49:47.99 ID:HtOmSbNl0

岡部「………俺に、神になれとでもいうのか?」

鈴羽「まぁ、そういうとらえ方もできるのかな」

鈴羽「別におじさんに世界を支配してほしいんじゃない」

鈴羽「元あるべき姿に、戻してほしいだけなんだ」

鈴羽「おじさんには、それができる資質があるから!」

岡部「………そうか」

岡部「わかった。なら、俺は何をすればいい?」

鈴羽「今は、まだ法則の欠落部分が少ない」

鈴羽「これじゃあ多少の法則変化は起きても、世界を再構築することなんてできない」

鈴羽「だからこれから、タイムパラドックスをもっと大きくしてほしい」

鈴羽「そしてその後、もし混沌の狭間にたどり着いたら、そこで世界を再構築して!!」

60: 2011/11/17(木) 22:50:41.94 ID:HtOmSbNl0

岡部「世界の再構築をする……か」

岡部「…………フッ、こんな規模の妄想、中二病の俺ですらしたこと無かったのにな」

岡部「それがまさか現実になるとは」

鈴羽「お願い、できる?」

岡部「…………ああ、任せておけ」

岡部「この世界は既に我が手中にあり!!」ダッ

鈴羽「………頼んだよ、オカリンおじさん」

鈴羽「あたしには、別にやることがあるから」ダッ

61: 2011/11/17(木) 22:51:58.43 ID:HtOmSbNl0

岡部「ハァハァ…………」ダッ

岡部「確か、この辺で………」


まっちょ「」ワイワイ

岡部Ⅱ「」ガヤガヤ

岡部Ⅰ「」ワイワイ


岡部「いた!! よし、あそこに割って入れば…」


「動かないで」スッ


岡部(なっ………いつの間に背後をとられた!?)

萌郁「久しぶり………いや、始めましてに、なるの?」

岡部「この声は………萌郁!?」

62: 2011/11/17(木) 22:53:18.38 ID:HtOmSbNl0

岡部「どうしてお前がここに!?」

萌郁「………答える必要はない」

萌郁「あなたを、あっちの岡部君たちに会わせる訳にはいかないから」

岡部「っ!? 俺のことを知ってる!? …………まさか」

萌郁「話が早くていい」スッ


    ドゥン


ムキム桐生「私は暗黒四天王の一人、桐生萌郁」

ムキムキ「組織の指示に従い、タイムマシンに乗ってあなたたちの野望を止めに来た」

63: 2011/11/17(木) 22:54:33.32 ID:HtOmSbNl0

岡部(なっ……未来からの刺客!? クソッ、聞いてないぞ)

ムキムキ「あなたを混沌の狭間に行かせるわけにはいかない」

ムキムキ「だから………ここで、氏んで」グッ

岡部(やられるっ!?)バッ

岡部「っおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」カッ


   ゴガガガガガガッ


ムキムキ「っ!?」ザザザザザザ

ムキムキ「私の攻撃を、止めた………?」ハァハァ

岡部「っ………」

岡部「今のは、一体………?」

64: 2011/11/17(木) 22:55:33.57 ID:HtOmSbNl0


      ----------------------

鈴羽「世界がタイムパラドックスによって崩壊する刹那に現れると言われる世界線」

鈴羽「全ての法則が失われた、妄想が現実へと変わる世界」


鈴羽「おじさんには、それができる資質があるから!」

----------------------


岡部(まさか、今のは俺の力なのか?)

岡部(世界を支配した、あの暗黒四天王を怯ませるほどの闘気が!!)

岡部「フフフフ、フーッハッハッハ」

岡部「やはり、俺は選ばれし者だったようだな!!」

65: 2011/11/17(木) 22:56:43.38 ID:HtOmSbNl0

ムキムキ「あり得ない、この私がただの人間に……」バッ

岡部「ただの人間? それは俺に向かって言っているのか?」ガシッ

ムキムキ「」ゾクッ

岡部「………覚えておくがいい。我が名は鳳凰院凶真」

岡部「この世界を混沌へと誘う狂気のマーッドサイエンティストだッ!!」キラッ

ムキムキ「なっ、目が、光って………」


    カッ


ムキムキ「バカ……な………!?」シュウウゥ

萌郁「」ドサッ

岡部「フン、他愛ない」

岡部「暗黒四天王ともあろう者がこんな出来合いの魔眼程度で一撃とはな………」

岡部「っと、こんなことをしている場合ではない、すぐに俺を追わなければ!!」ダッ

66: 2011/11/17(木) 22:57:30.12 ID:HtOmSbNl0


    ザッ


萌郁「」

暗黒まっちょしぃ「………この、四天王の面汚しが!!」グッ

暗黒紅莉栖「お、落ち着いてください、まゆり様!」

黒まっちょ「………まあいい、こいつは四天王の中でも最弱。元々使えぬ存在だったのだ」

黒まっちょ「紅莉栖よ」

黒紅莉栖「はっ。あとは私にお任せください」スッ

黒まっちょ「ああ。一応相手は、あの岡部倫太郎だ」

黒まっちょ「心してかかるように」

黒紅莉栖「………はい、了解しました」シュバッ

67: 2011/11/17(木) 22:58:30.30 ID:HtOmSbNl0

黒まっちょ「………さて」

黒まっちょ「隠れてないでそろそろ出てきたらどうですか?」

鈴羽「………やはり気づいてたんだね」ザッ

黒まっちょ「………あなたの謀反は我々にとってこの上なき痛手です」

黒まっちょ「何故………何故我々を裏切ったのですか!?」

黒まっちょ「暗黒四天王最強の女、阿万音鈴羽ともあろう方が!!」

鈴羽「…………」

68: 2011/11/17(木) 22:59:19.69 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「………まゆりさんもわかってるんでしょ?」

鈴羽「どんなに表向きだけ冷徹にしていても、あたしにはわかってる」

鈴羽「あなたは、優しい人だから………」

黒まっちょ「………もういい」

黒まっちょ「あなたがあくまであの方に刃向うというのならば」ゴゴゴゴゴ

黒まっちょ「私はあなたを倒す!!」バッ

鈴羽「………いいよ」スッ


   ドゥン


黒まっちょ「っ………!!」ビリビリ

鈴覇王「さぁ来な、椎名まゆり………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

黒まっちょ「………はああああああああああああああっ!!」ダッ


    ゴシャアアアアアアァァァッ


71: 2011/11/17(木) 23:04:27.91 ID:HtOmSbNl0

岡部「」タッタッ

岡部(あの時は確か、倉庫に俺が倒れていた)

岡部(それなら、あの俺が殺される前にたどり着かなくては……)


「止まりなさい」


岡部「…………!!」ザッ

岡部「やはり、お前か」

黒紅莉栖「………お願い、引き返して」

黒紅莉栖「この先に進むというなら、私はまた岡部を殺さなくちゃいけない」

72: 2011/11/17(木) 23:05:52.64 ID:HtOmSbNl0

岡部「………すまない、紅莉栖」

岡部「お前がそこをどかないのなら、俺はお前を倒してでも進まなければならない」

黒紅莉栖「そう………」ドゥン

暗黒きんに紅莉栖「残念ね」ゴゴゴゴゴゴ

岡部「!!」バッ

岡部(何だ、この凄まじい闘気は………同じ四天王でもここまで違うものなのか!?)

黒きんにく「さよなら」シュバッ

岡部「なっ、速……」


    ボッ


73: 2011/11/17(木) 23:06:44.40 ID:HtOmSbNl0


――――――――――――――――――――――――――――――


岡部(……………何だ?)

岡部(俺は、氏んだのか?)

岡部「すまない、俺はここまでのようだ…………」


「何を情けないことを言っている」


岡部「!?」

岡部Ⅰ「それが狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真のいうセリフか!」

岡部「何故、俺がここに…………?」

74: 2011/11/17(木) 23:07:36.50 ID:HtOmSbNl0

岡部Ⅱ「力が欲しいのだろう? 世界を変えられる力が」

岡部Ⅰ「ならば我々の力を貴様に託そう」

岡部「待て、どういうことだ、何故俺に協力を……」

岡部Ⅰ「……………正直、あんなまゆりを見るのは心苦しい」

岡部Ⅱ「それに、どうせ俺一人じゃ何も救えないのだろう?」

岡部Ⅱ「だから、俺たちの力をお前に託す」

岡部Ⅱ「俺たちの望んだ世界を、きっとお前の手で…………」スウッ

岡部Ⅰ「まゆりを、よろしく頼む」スウッ

岡部「そうか………」

岡部「……………ああ、任せておけ」グッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――


75: 2011/11/17(木) 23:08:21.37 ID:HtOmSbNl0


     ボッ


岡部「っ…………!?」グッ

黒きんにく「なっ………」

黒きんにく(私の初撃を避けた!?)

黒きんにく「偶然よ、こんな…………」グッ


     ボバッ


黒きんにく「そんな…………!?」

岡部(少しギリギリだが………見える!! 紅莉栖の動きが!!)

77: 2011/11/17(木) 23:09:03.82 ID:HtOmSbNl0


  バコオオオオッ ズシャアアアアァァッ


岡部「うおおおおおおおおおおおおお!!」バッ

黒きんにく「はッ!!」ゴウッ


 ズギャンッッッ・・・・ボウウウウゥゥン


黒きんにく「っ…………」ハァハァ

岡部「ぐっ…………」ハァハァ

黒きんにく「………まさか筋肉化してない状態で私とここまでやるなんて、さすが岡部ね」

岡部「筋肉化……だと?」ハァハァ

黒きんにく「ええ。これができる人とできない人では機関銃とエアガンくらいの差がある」

黒きんにく「普通の人ならさっきの衝撃波で粉微塵のはずよ?」

78: 2011/11/17(木) 23:09:41.79 ID:HtOmSbNl0

岡部「そうか………やはりお前は本気で俺を殺そうとしている訳か」ハァハァ

黒きんにく「ええ。始めにそう言ったでしょ?」

岡部「………お前は、何とも思わないのか?」

黒きんにく「何が?」

岡部「人を頃すことに、抵抗が無いのかと聞いている!!」

黒きんにく「…………さぁね」

黒きんにく「人なんてもう何十万人頃したかわからないから」

黒きんにく「抵抗なんてあったら、精神がもたない」

80: 2011/11/17(木) 23:10:35.67 ID:HtOmSbNl0

岡部「っ!?」

岡部「…………ふざけるなよ」

岡部「こんなんじゃないだろう、お前はッ!!」バッ

黒きんにく「」パシッ

岡部「なっ……!?」

岡部(軌道を完全に読まれた!?)

黒きんにく「フンッ」バキッ

岡部「ぐ、うあああああああああ!?」ドサッ

黒きんにく「油断したわね、岡部」

81: 2011/11/17(木) 23:11:33.06 ID:HtOmSbNl0

岡部(くそっ、体が動かない………)

岡部(所詮俺が何人集まろうとも世界は変えられないのか?)

黒きんにく「終わりにしましょう、岡部……」スッ

岡部「俺は………」


「諦めないで!!」


岡部「!!」

82: 2011/11/17(木) 23:12:26.24 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「ダメだよ、オカリンおじさん。こんなところで諦めたら」

岡部「鈴羽………?」

黒きんにく「なっ…………まさか、鈴羽様!?」

岡部「!?」

岡部「鈴羽様……? おい、それはどういうことだ!?」

鈴羽「ごめんね、オカリンおじさん」

鈴羽「あたしの正体は暗黒四天王最強の女、阿万音鈴羽なんだ」

岡部「何、だと………」

鈴羽「………でも安心して、あたしはオカリンおじさんの味方だよ」スッ

黒まっちょ「」ドサッ

黒きんにく「なっ、まゆり様!?」

鈴羽「椎名まゆりはもう倒した」

84: 2011/11/17(木) 23:13:30.71 ID:HtOmSbNl0

岡部「なっ!?」

岡部「そうか………なら!!」

鈴羽「…………だけど、あたしが手助けするのはここまでだよ」

岡部「!? 待て、どういうことだ!」

鈴羽「あたしたちはもう、たどり着いているんだよ、『混沌の狭間(シュタインズゲート)』に」

岡部「!!」

鈴羽「オカリンおじさんはわかっていない。混沌の狭間では、身体能力なんて二の次」

鈴羽「信じて、オカリンおじさん自身の力を!!」

岡部「俺の、力…………?」

鈴羽「おじさんが一人で牧瀬紅莉栖でさえも倒せないようなら、どの道あたしたちに未来は無い」

鈴羽「だから…………頑張って!!」

85: 2011/11/17(木) 23:14:12.03 ID:HtOmSbNl0

黒きんにく「いいんですか、鈴羽様。あの方に逆らったらどうなるか………」

鈴羽「…………命を懸ける覚悟は、できてるよ」

鈴羽「あたしはあたしの道を行く」

黒きんにく「…………そうですか」

黒きんにく「なら、あなたは私の敵です」

黒きんにく「岡部倫太郎を頃したら、次はあなたの番です!!」バッ

86: 2011/11/17(木) 23:14:50.67 ID:HtOmSbNl0

黒きんにく「終わりにしよう、岡部……」スッ

岡部「俺は………」

黒きんにく「さよなら………」グッ

岡部「俺はッ!!」カッ


  ゴウゥゥゥッ


黒きんにく「!?」

黒きんにく「何だ、この凄まじいエネルギーは………」

黒きんにく「まさか、ここに来て筋肉化だとッ!?」

鈴羽「………いや、違うよ」ニッ

87: 2011/11/17(木) 23:15:44.73 ID:HtOmSbNl0

岡部「…………」ゴオオオォォォ

黒きんにく「何? 岡部が持っているのは………サイリウムセーバー?」

         -----------------------

 鈴羽「自分ならその事象を起こせると信じる心が強ければ強いほど、大きな力を発揮できる世界」

  -----------------------

岡部(……………そう、ここは俺のためにあるような世界線)

岡部「信じるんだ、俺の中二力を………」

黒きんにく「なっ………中二スカウターの数値が上がっていく…………」

黒きんにく「8000……12000……23000、まだ………!!」

岡部「…………卍……解!!!」ゴゥン

岡部『無明解奪丸!!』バッ


   ドウウウウウウウウウウゥゥゥゥン


89: 2011/11/17(木) 23:16:30.84 ID:HtOmSbNl0

岡部「」シュバッ

黒きんにく「!!」


  ファッ・・・・・・・・


黒紅莉栖「なっ………私の筋肉がしぼんだ!?」シュウゥ

岡部「我が斬魄刀『解奪丸』は全ての構造を解き明かし、その力を奪う」

黒紅莉栖「いや、だからそれサイリウムセーバーでしょ!!」

岡部「フッ、お前が何を言ってるのか俺には理解しかねるな」

90: 2011/11/17(木) 23:17:12.35 ID:HtOmSbNl0

黒紅莉栖「このっ………でも!!」ドゥン

黒きんにく「その程度で暗黒四天王と呼ばれ幾多の戦場を超えてきた私に勝てるとでも?」ゴオオォォ

岡部「………もう止めておけ、紅莉栖」スッ

黒きんにく「なっ………」

黒きんにく(速い!! いつの間に私の後ろに………!?)


   ファッッ・・・・・・・


黒紅莉栖「バカな、そんな………」シュウゥ

岡部「無駄だ、卍解した解奪丸の速さの前では、俺を肉眼でとらえることはできん」

91: 2011/11/17(木) 23:17:45.83 ID:HtOmSbNl0

黒紅莉栖「………ウフフフフ、アハハハハハハ」

黒きんにく「いいよ岡部、楽しくなってきたじゃない!!」ドゥン

岡部「楽しく………?」

岡部「ふざけるなっ!!!」ゴウッ

黒きんにく「っ!?」ビリビリ

岡部「………俺は、お前の、まゆりの、そんな姿は見たくなかった」ギリ

黒きんにく「………ハッ、タイムパラドックスを起こした本人が何を言ってるんだか」

岡部「そういうことじゃない!!」

黒きんにく「!!」

92: 2011/11/17(木) 23:18:41.67 ID:HtOmSbNl0

岡部「前の世界線で、お前は言ってくれたよ」

岡部「どんなにマッチョでも、まゆりはまゆりだって」

岡部「だから、俺はどんな姿でも、紅莉栖は紅莉栖だって」

岡部「そう、思おうとしてたんだ」

黒きんにく「…………」

岡部「なのに、なんでだよ」

岡部「ディストピア? 暗黒四天王?」

岡部「人を頃すのに抵抗が無い? 戦うのが楽しい?」

岡部「お前たちはそんなんじゃないだろう!!」

岡部「俺は今のお前たちを認めない………だから、俺は…」

黒きんにく「………なんでよ」ボソッ

岡部「え?」

黒きんにく「あんたなんて何も………何も知らないくせにっ!!」

93: 2011/11/17(木) 23:19:38.88 ID:HtOmSbNl0

岡部「…………どういうことだ?」

黒きんにく「……………知ってる? 私のいた時代の岡部を頃したのは私なんだよ?」

岡部「………知ってる」

黒きんにく「私は本当はね、岡部を監視するためにラボメンになった」

黒きんにく「岡部は、私とパパを殺そうとした人だったから」

岡部「!?」

黒きんにく「もし少しでも変な動きをしたら警察に通報してやろうって、そう思ってた」

黒きんにく「…………でもさ、あんたは全然悪い人なんかに見えなかった」

黒きんにく「中二病で、訳のわからないことばっかり言って、変な奴だったけど」

黒きんにく「でも、仲間には優しくて、一緒にいて楽しくて………」

黒きんにく「一緒にいて、いつの間にか、多分私は岡部のことを好きになっていた………」

岡部「紅莉栖…………」

94: 2011/11/17(木) 23:20:24.31 ID:HtOmSbNl0

黒きんにく「だけど、そう気づいたときには、私にはもう、そんなことを言う資格はなかった」

黒きんにく「私の手は、もう血に染まっていたから」

黒きんにく「そして何も言えないまま、レジスタンスの筆頭だった岡部の処刑が決まってしまった」

黒きんにく「だから、せめて最後は私の手で終わらせたかった」

黒きんにく「でも、本当は苦しかった」

黒きんにく「もう、岡部の苦しんでる姿なんて見たくないよ………」

黒きんにく「なのに、私はまた岡部を殺さなきゃならない」

黒きんにく「もう、いやだよ……」シュウウゥゥ

黒紅莉栖「………助けてよ、岡部ぇ」グスッ

岡部「…………紅莉…」


     ドバッ


95: 2011/11/17(木) 23:20:56.95 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「なっ………」

岡部「…………え?」

黒紅莉栖「岡、部………」ドサッ

岡部「紅莉栖…………?」

黒紅莉栖「」ドクドク

岡部「紅莉栖ううううううううううううううううう!!」

97: 2011/11/17(木) 23:21:38.94 ID:HtOmSbNl0

岡部「…………畜生」

岡部「畜生、誰がこんなこと、を……!!」


「……………」ゴオオオオオオオオォォ


岡部「!?」ゾクッ

岡部(何だ、この威圧感は!?)

岡部(顔を上げることさえできない………一体、こいつは!?)

鈴羽「っ!! ………思ったより、来るのが早かったね?」

98: 2011/11/17(木) 23:22:48.34 ID:HtOmSbNl0

岡部(…………そうか)

岡部(………最初、暗黒四天王というネーミングセンスを聞いて、もしかしたらと思った)

岡部(だが、今ので確信した)

岡部(この力を手に入れて初めて肌で感じられるようになった相手の強さ)

岡部(今の俺をここまで震え上がらせる程の中二力の持ち主を俺は一人しか知らない)

岡部「そうか、やはりお前が全ての黒幕か………フェイリス!!」


フェイリス「………久しぶりだニャ、凶真!!」


101: 2011/11/17(木) 23:23:49.15 ID:HtOmSbNl0

岡部「どうして………どうして紅莉栖を!!」

フェイリス「クーニャンはもう使えないのニャン」

岡部「!?」

フェイリス「敵に助けを請うなど滑稽千万」

フェイリス「当然の施しだニャン」

岡部「この………外道がああああああああ!!」ダッ

フェイリス「まったく、凶真は………」スッ

岡部「卍解、『無明…』」


フェイリス「遅すぎるニャ」バッ

岡部「なっ、速……」

フェイリス『ニャンニャン・クリアー!!』


  フッ・・・・


102: 2011/11/17(木) 23:24:49.77 ID:HtOmSbNl0

岡部「っ、俺の解奪丸が消滅した!?」

フェイリス「やっぱり凶真の中二力の練りこみはまだまだニャン」

フェイリス「凶真の力はフェイリスに比べればまだまだ児戯も同然」

フェイリス「しかもマンガの真似事に奔るなど愚の骨頂」

フェイリス「そんなものは、所詮小学生の遊びと同じだニャン!!」ゴオオォォ

岡部「なっ………フェイリスの体が、光って…」

フェイリス「真の強者たる者、ただ思いつくままに全てを自分の中に還す」

フェイリス「自分の存在が、絶対であることが自明の理であるように!!」

鈴羽「嘘っ、中二スカウターの数値が見たこともないような数字に膨れ上がって……」ピピピピピピ

スカウター「」ボンッ

鈴羽「あ、あたしの中二スカウターが、壊れて…」フラッ

103: 2011/11/17(木) 23:26:28.85 ID:HtOmSbNl0

岡部「っ…………負けるかああああああああああ!!!」

岡部『永久の凍土(エターナル・フォースブリザアアァァァドッ!!!!)』キィイイィィィィィ

フェイリス「……全然期待外れだニャン」スッ

「」パリンッ

岡部「なっ………俺の、技が砕けただと?」

フェイリス「………そうやって相手の力を恐れ、呑まれている時点で、凶真の負けは決まってるんだニャン」スッ

フェイリス「永久の闇に消えよ、『無次元の迷宮!!(ゼロ・ラビリンス)』」


   ガラガラガラガラ・・・・・・


岡部「なっ………空間が虚空に飲み込まれて……」

フェイリス「さようなら、凶真。永遠に…」

岡部「ああああああああああああああああああああああああ」

104: 2011/11/17(木) 23:27:31.26 ID:HtOmSbNl0

岡部(…………?)

岡部(何だ……………?)

岡部「俺は、無事なのか?」


黒紅莉栖「………あきらめちゃ、ダメだよ? 岡部?」ケホッ


岡部「えっ!?」

黒紅莉栖「」ドサッ

岡部「なっ……紅莉栖!?」

岡部(まさか、俺を庇って………)

岡部「どうして………」

105: 2011/11/17(木) 23:28:19.93 ID:HtOmSbNl0

黒紅莉栖「ごめんね、私怖かったんだ」

黒紅莉栖「あの人に逆らって、家族も仲間も、皆頃しにされるのが」

岡部「おい、もう喋るな、傷口が…」

黒紅莉栖「まゆりも同じ、甘えを捨てるためだって言って、冷徹にふるまって……」

黒紅莉栖「お願い岡部、まゆりを助けてあげて」

黒紅莉栖「………それと、フェイリスさんも」

岡部「!?」

黒紅莉栖「今はこんなことになってるけど、私はわかってる」

黒紅莉栖「あの子もきっと、本当は優しい子だから」

黒紅莉栖「だから………」

岡部「………ああ、わかったよ」

106: 2011/11/17(木) 23:29:00.14 ID:HtOmSbNl0

黒紅莉栖「ねえ、岡部?」

岡部「………何だ」

黒紅莉栖「最後に、名前で呼んでいい?」

岡部「…………好きにしろ」

黒紅莉栖「…………倫…」

黒紅莉栖「…………ううん、やっぱり照れ臭いからいいや」

岡部「フン、相変わらずだな、紅莉栖よ」

岡部「だが、俺はお前のそんなところも、好きだったよ」

黒紅莉栖「!!」

黒紅莉栖「………そっか、岡部………私も、岡部の、こと……が…」スッ

黒紅莉栖「」

岡部「紅莉栖………」

107: 2011/11/17(木) 23:30:04.98 ID:HtOmSbNl0

フェイリス「ハァ、最後までクーニャンは使えない存在だったニャ」

岡部「…………黙れ」スッ

フェイリス「!!」

フェイリス「………いや、そうでもにゃかったか」ゴクリ

岡部「紅莉栖、俺は約束は果たすから………」

岡部「だから、俺は!!!」ゴウウウゥゥゥッ


  ドオオォォォォォォォン


フェイリス「っ………!!」ビリビリ

鳳凰院凶真「俺は、お前の目を覚まさせてやる。世界の支配者、フェイリス・ニャンニャン!!」

108: 2011/11/17(木) 23:32:07.98 ID:HtOmSbNl0

フェイリス「………まさかここに来て『仲間の氏による覚醒』のカードを出すとは」フッ

フェイリス「やはり凶真は最高だニャン!!」バッ


     カッ


凶真「なっ!?」

フェイリス・懺†斬「だから、ここからは私も本気で行かせてもらうのニャン」

凶真「『黒幕の真の力』……か。やはりそんな切り札を隠し持っていたか」

凶真「だが、俺はもう退くわけにはいかないんだ!!」バッ

懺†斬「愚かだニャン。我が究極体、フェイリス・懺†斬の前ではもう、この世の全ては許されない」

懺†斬「どんなに懺悔しようとも、全ては我が神の力の前に斬り捨てられるんだニャン!!」

凶真「フッ、上等だ。狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真、参る!!」ゴウッ

109: 2011/11/17(木) 23:33:00.91 ID:HtOmSbNl0


    ゴシャアアアァッ カッ バガガガガガ


鈴羽「くっ………なんて中二力なの!? これじゃ近づくことも……」

黒まゆり「っ………ここは………?」

鈴羽「!! まゆり、目が覚めたんだね?」

黒まゆり「一体何が………!! おれはオカリ……いや、岡部倫太郎!!」

鈴羽「………もう、いいんだよ。そんな設定をつけなくても」

黒まゆり「………え?」

111: 2011/11/17(木) 23:34:11.56 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「きっともうすぐ、オカリンおじさんが全部終わらせてくれるから」

鈴羽「だから、そんな無理しなくてもいいんだよ?」

黒まゆり「……そっか、オカリンが………」

黒まゆり「じゃあまゆしぃはもう、戦わなくてもいいんだよね」

鈴羽「うん。きっとオカリンおじさんなら今の間違った世界線を変えてくれるから」

鈴羽「そう、きっと………!!」

112: 2011/11/17(木) 23:34:45.85 ID:HtOmSbNl0

「」ゴガガガガ

凶真「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」シュバッ

懺†斬「っ…………」ズキンッ

懺†斬(視覚情報が来る前に攻撃が来る!? そう、遂に凶真も光速……いや、時間の壁を越えたんだニャン!!)

懺†斬「だけど、そのくらいで勝ったつもりに………」

凶真「………ああ、わかってるさ。だから!!」

凶真『無限の幻想(インフィニット・ファントム)!!』カッ

凶真「」フッ

113: 2011/11/17(木) 23:35:31.73 ID:HtOmSbNl0

懺†斬「消えた!?」

懺†斬(いや、これは………幻術?)

懺†斬(なるほど、同一空間に存在する相手の脳に直接作用して……)

懺†斬「だけど………」スッ

「」パアンッ

凶真「…………なっ!?」

懺†斬「」シュバッ


  ズゴアアアアアアァァッ


懺†斬「世界の全てを見抜くフェイリスの『猫神の嘲笑(バテスト・バスター)』の前では、もはや小細工は無意味だニャン」

凶真「………バカな、俺の思考と能力が全て解読されている、だと!?」グハッ

114: 2011/11/17(木) 23:36:23.24 ID:HtOmSbNl0


  ドッ バシュウウゥゥッ ババババババ


まゆり「オカリン!!」

中鉢「くっ、やはり『黒幕の真の力』は強大すぎるか……」

中鉢「何か、何か奴に対抗できるものはないのか………」

紅莉栖「………それは、厳しいわね」

紅莉栖「多分あの岡部って人は、自分の力を信じきれていない」

紅莉栖「まるで彼の力は、何かのためにつくられた『設定』のような………」

まゆり「設……定………?」ドクン

116: 2011/11/17(木) 23:37:21.00 ID:HtOmSbNl0

懺†斬「ふっふっふ、そう、フェイリスの力は自分の持つ本当の力」

懺†斬「それに比べて凶真の力は混沌の狭間(シュタインズゲート)の効果で無理矢理作り出した偽りの力」

懺†斬「所詮は設定に過ぎない凶真の力に、フェイリスが負けるはずがにゃいのだあ!!」バッ

凶真(くっ………やはり、ただの『設定』ではフェイリスには勝てない)

凶真(これが、俺の世界の限界、なのか………)

懺†斬「これで、終わりだニャン!!」キイィィン

凶真「すまないみんな、俺は……」


まゆり「オカリン!!」


凶真「!!」ゴウッ


 ――――――――――――――――――

    ――――――――――――

117: 2011/11/17(木) 23:38:10.66 ID:HtOmSbNl0


    ----------------------------


岡部「まゆり?」

まゆり「………………」

岡部(どれだけ呼びかけても、まゆりは答えてくれなかった)

岡部(ただひたすらにおばあちゃんの墓の前で空を見上げているまゆりを見ていると)

岡部(まゆりがどこかに行ってしまうような気がして……)

まゆり「」スッ

岡部(何かを考えて行動した訳じゃない)

岡部(ただ、いつの間にか俺はまゆりを抱き寄せていた)

岡部「連れてなんか行かせない………」

岡部「お前は俺の人質なんだ、人体実験の実験体なんだ」

岡部「絶対に………絶対に、逃がさないからな!!」

岡部(気付いたらそんな、自分でも恥ずかしくなるようなことを口にしていた)

119: 2011/11/17(木) 23:39:11.32 ID:HtOmSbNl0

まゆり「…………そっか」

岡部(半年ぶりに聞いたまゆりの声は、かすれていて……)

岡部(手を放したらまたどこかに消えてしまいそうな気がした)

まゆり「じゃあ、しょうがないよね………」グスッ


岡部(………俺はその時決めたんだ)

岡部(俺の中二病はただの『設定』なんかじゃない)

岡部(絶対にまゆりを連れてなんか行かせない)

岡部(何があっても俺の『人質(たいせつなひと)』を護るって)

岡部(そう誓った、俺の『約束』なんだ!!)

岡部「だから………!!」


    ----------------------------


120: 2011/11/17(木) 23:39:54.92 ID:HtOmSbNl0


パシィッ


懺†斬「!?」

懺†斬(フェイリスの攻撃が消えた!?)

凶真「設定なんかじゃない…………」

凶真「俺はただ、護りたいだけなんだ」

凶真「俺はただ、あいつに笑顔でいてほしいだけなんだああああああ!!」


     ボウウウゥゥゥン


懺†斬「なっ………この力は、まさか!!」


121: 2011/11/17(木) 23:40:29.86 ID:HtOmSbNl0

中鉢「…………よく見ておけ、紅莉栖」

中鉢「あれが、中二病患者同士の戦いというやつだ」

紅莉栖「………うん」

まゆり「オカリン………」


凶真「俺はお前の持つ能力にも俺の持つ能力にも興味はない」

凶真「俺には護りたい大切な人が、待っててくれる仲間がいるんだ!!」

凶真「俺は一人じゃない、あいつらがいるから俺は戦えるんだ!!!」ゴオオォォォォォ

凶真「だから………!!」

懺†斬「バ、バカにゃ。ここに来て『秘められた血筋の力』に匹敵するエネルギー……」

懺†斬「『仲間の力が俺の力』を解放したにゃとおおおおおおおおおおおお!?」

122: 2011/11/17(木) 23:41:02.56 ID:HtOmSbNl0

凶真「終わりだ、フェイリス・懺†斬!!」

凶真「友情奥義、『魂の鉄拳(ソウル・ストライカァァァァ)!!!!』」


     ズガガガガガガガガガガガガガ


懺†斬「くっ…………」バッ

凶真「っ…………おおおおおおおおおおおおおおおお!!」


    ガッ・・・グオアアアアアアアァァッ


懺†斬「にゃっ、フェイリスの力が押し負けて………」

懺†斬「そんにゃ、バカにゃああああああああああああああああ!?」ドッ


      ドウウウウウゥゥゥン


123: 2011/11/17(木) 23:41:23.58 ID:HtOmSbNl0


    ゴオオオォォォォ


鈴羽「やった…………?」

黒まゆり「あっ、煙が晴れていくのです」


岡部「…………」ハァハァ


鈴羽「オカリンおじさん!!」

黒まゆり「…………いや、それだけじゃない!!」


「…………」ハァハァ


鈴羽「そんな………まだ生きていたの!?」

黒まゆり「いや………あれは!!」

124: 2011/11/17(木) 23:42:03.06 ID:HtOmSbNl0

留未穂「………………凶真……」シュウウゥゥ


岡部「なっ………お前は留未穂か?」

留未穂「………うん」

留未穂「ごめんね、私は皆を傷つけた……」

岡部「………ああ、そうだな」

岡部「どうしてこんなことをしたんだ?」

留未穂「………私ね、世界線がこうなった後にある人にこんなことを言われたんだ」

留未穂「君には素質がある。私に協力するのなら」

留未穂「君のお父さんに会わせてあげるよ………ってね」

岡部「なっ………そんなことができる訳…」

留未穂「うん、そんなことはわかってるよ」

留未穂「…………でも私ね、どうしてももう一度パパに会いたかったんだ」

留未穂「会って、ちゃんと謝りたかった」

125: 2011/11/17(木) 23:42:39.90 ID:HtOmSbNl0

     ----------------------------


留未穂「………ねえ、どういうこと?」

留未穂パパ「………ごめんな、留未穂」

留未穂「パパは明日は一緒に遊びに行こうって約束してくれたでしょ?」

留未穂「なのに、どうして!!」

パパ「すまない、どうしても抜けられない仕事なんだ」

パパ「そうだ、ほら、留未穂の欲しいもの何だって買ってくるから、だから……」

留未穂「………そんなものいらない!!」バッ

パパ「留未穂!?」

留未穂「パパのことなんかもう知らない!! パパなんか氏んじゃえ!」ダッ

パパ「待ちなさい、留未穂!!」


     ----------------------------

126: 2011/11/17(木) 23:43:06.46 ID:HtOmSbNl0

留未穂「…………私は何もいらなかった」

留未穂「ただ、パパと一緒にいられる時間が欲しかった」

留未穂「なのに、私はあんな心にもないことを言って」

留未穂「それがパパとの最後の会話になるなんてことも知らずに……」

岡部「……………」

留未穂「でも、ちょっと考えればパパに会える訳なんてないことはわかってた」

留未穂「なのに、そんな変な誘いに乗っちゃって」

留未穂「私は結局、ただ皆にひどいことをしてただけ」

留未穂「こんな私なんて、もう氏んだ方が………」ポロポロ


「違う!!」


127: 2011/11/17(木) 23:43:39.48 ID:HtOmSbNl0


留未穂「!?」

紅莉栖「…………父親と仲直りしたい気持ちの、何が悪いの!?」

凶真「紅莉栖………?」

紅莉栖「たしかにあなたはひどいことをしたのかもしれない」

紅莉栖「でも、あなただって辛かったんでしょ?」

紅莉栖「あなたは悪くない」

紅莉栖「ただ、ちょっと不器用だっただけなの」

紅莉栖「ただ自分の父親に会いたかっただけの子を許さないほど」

紅莉栖「この世界は冷たくはできてないんだぜ!」

留未穂「クーニャン………」ジワッ

128: 2011/11/17(木) 23:44:13.09 ID:HtOmSbNl0

岡部「やっぱりお前は根っこのところは変わらないんだな、紅莉栖…………」

紅莉栖「?」

岡部「………フッ、すまない、今のお前に言っても何のことかわからないよな」

紅莉栖「…………クスッ」

岡部「??」

紅莉栖「相変わらずね、岡部は」

岡部「!?」

岡部「なっ、お前どうして………」

紅莉栖「わかってるよ、私は」

紅莉栖「だって、岡部はずっと私を護ってくれたんだもんね」

岡部「紅莉栖、やはりお前、リーディングシュタイナーが………」

129: 2011/11/17(木) 23:44:53.71 ID:HtOmSbNl0

留未穂「うっ、きゃああああああああああ………」ズキン

紅莉栖「!?」

岡部「どうしたんだ、留未穂、おい!!」

留未穂「また、あいつが暴れ始めようとしてるみたい」ズキズキ

留未穂「やだよ、私もう誰も傷つけたくないよ………」ガタガタ

岡部「大丈夫だ、何があっても俺が絶対護りきるから、だから………」


中鉢「無理だな」


岡部「なっ………貴様は、ドクター中鉢!?」

130: 2011/11/17(木) 23:45:19.77 ID:HtOmSbNl0

中鉢「『復活した黒幕』の力は恐らく今までの比ではない」

中鉢「今のままでは犠牲は避けられないだろう」

岡部「だが、しかし!!」

留未穂「…………もう、いいよ」

留未穂「私もわかってる。多分もう一度暴走すれば、私はもう戻れないことくらい」

岡部「そんな…………」

留未穂「みんな、こんな私に優しくしてくれて本当にありがとう」

留未穂「だから、このまま私ごと…」


中鉢「何を勘違いしてるんだ?」

131: 2011/11/17(木) 23:45:48.13 ID:HtOmSbNl0

留未穂「えっ………?」

中鉢「確かに奴をこのままもう一度復活させればこの世界は終わりだろう」

中鉢「だが、それを避ける方法が無いわけではない」

岡部「どういうことだ?」

中鉢「それは………」


鈴羽「それは私が説明するよ」


中鉢「なっ………あなたはまさか、橋田教授!?」

132: 2011/11/17(木) 23:46:42.26 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「………久しぶりだね、中鉢くん」

岡部「鈴羽、ドクター中鉢を知っているのか!?」

鈴羽「うん。中鉢くんは私の研究を手伝ってくれてたんだ」

鈴羽「究極能力、『天使の祝福(エンジェル・ブレス)』開発のね」

岡部「『天使の祝福』……?」

中鉢「ああ、全ての混沌を整然とさせる究極奥義だ」

中鉢「それさえあれば、この状況も打破できる!!」

岡部「!!」

岡部「そうか………流石だな、鈴羽! それは今すぐできるのか!?」

鈴羽「………残念だけどそれは私たちがどうこうできることじゃない」

鈴羽「所有者が覚醒していなければいけない。『天使の祝福』継承者…」

鈴羽「牧瀬紅莉栖がね」

133: 2011/11/17(木) 23:47:22.37 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「!?」

紅莉栖「私が………?」

鈴羽「そう。中鉢くんの娘である君がその継承者となった」

鈴羽「この状況が変えられるとしたら君しかいないんだ。牧瀬紅莉栖!!」

紅莉栖「そんな!! そんなこと言われても私は……」

中鉢「来るぞっ!!」バッ


留未穂「きゃあああああああああああああああああああ」


      カッ


スーパーフェイリス・懺†斬「待たせたニャン!!」ゴオオオォォォォ


134: 2011/11/17(木) 23:48:04.12 ID:HtOmSbNl0

岡部「くっ、なんて力だ…………立っているのがやっとなくらいの」

懺†斬「フェイリスの復活を止められなかった時点で終わりなんだニャン」

懺†斬「今の凶真の力なんて取るに足らないニャン!!」シュバッ

岡部(しまった、変身を怠った!! 岡部倫太郎のままでは……)

懺†斬「終わりだニャン!!」バッ


      キィン


岡部「っ……………何だ?」

スーパー懺†斬「にゃっ!? フェイリスの攻撃を………受け止めた!?」


「……………ふぅ」


ドクター中鉢「こういうのはもう、引退したつもりだったんだがね………」ゴオオォォォ


135: 2011/11/17(木) 23:49:12.06 ID:HtOmSbNl0

岡部「ドクター中鉢……!?」

ドクター「さあ、貴様もさっさとしろ。こいつはこんな老兵一人で抑え切れるものではない!!」

岡部「!! ああ」ボゥン

鳳凰院凶真「やってやるさ、相手が誰だろうと!!」バッ

スーパー鈴覇王「私も及ばずながら力になるよ」ボゥン

懺†斬「そう………やっと面白くなってきたニャン!!」コオオォォ

ドクター「紅莉栖!!」

紅莉栖「!!」

ドクター「お前の根源を信じろ、お前のこの世界における存在の理を理解しろ」

ドクター「その先に未来がある!! …………頼んだぞ、紅莉栖」バッ



      ズガアアアアアアアアッッ


136: 2011/11/17(木) 23:49:49.86 ID:HtOmSbNl0

凶真「無限の光にて裁かれよ、『断罪の烈光(ジャッジメント・レイ)!!』」キュイィン

ドクター「氏への旋律を奏でよ、『冥府の鎮魂歌(デス・レクイエム)!!』」キィイィィン

鈴覇王「はああああああっっ」グッ


懺†斬「………………………まだまだ甘いニャン!!」スッ


     バギュオオオオァァッ


中鉢「バカな…………技も、使わずに………」ドサッ

鈴羽「そん、な…………」ドサッ

凶真「鈴羽、ドクター!!」ハァハァ

懺†斬「残るは凶真だけだニャン!」

凶真(紅莉栖…………)

137: 2011/11/17(木) 23:50:22.31 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「………………」

紅莉栖「私の根源? 私の存在の理?」

紅莉栖「………何のことかわからないよ、パパ」

紅莉栖「皆が苦しんでるのに私は何もできない」

紅莉栖「私はこの世界に、必要ない存在………」


「「違うよ、紅莉栖ちゃん」」


紅莉栖「!?」

紅莉栖「まゆり…………?」

138: 2011/11/17(木) 23:50:57.55 ID:HtOmSbNl0

まゆり「………ねえ、どうして紅莉栖ちゃんは今、ラボにいるの?」

紅莉栖「えっ?」

黒まゆり「とぼけなくてもいいよ。発動してるんだよね? りーでぃんぐ………なんとかが」

黒まゆり「こんな、筋肉化なんてない世界の思い出がある………違う?」

紅莉栖「………そうね」

まゆり「実はまゆしぃもなんだ。知らないはずの紅莉栖ちゃんとの思い出が頭の中にあるの」

まゆり「多分、それはまゆしぃと同じ記憶なんだよね」

紅莉栖「………うん」

まゆり「…………だったら、聞かせてほしいな。紅莉栖ちゃんの本当の気持ちを」

139: 2011/11/17(木) 23:51:30.85 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「そうね………最初はただの興味本位だったわ」

紅莉栖「電話レンジの変な効果に科学者としての血が騒いだだけ」

紅莉栖「でも、今は………」

黒まゆり「今は、何?」

紅莉栖「私は、あのラボが好きなの」

紅莉栖「皆がいるあのラボにずっといたい」

まゆり「………うん、まゆしぃもだよ」

まゆり「でも、聞きたいのはそういうことじゃない」

まゆり「紅莉栖ちゃんは、オカリンのことどう思ってるの?」

140: 2011/11/17(木) 23:52:14.00 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「!?」

まゆり「紅莉栖ちゃん?」

紅莉栖「………ハッ、あのバカでめんどくさい中二病患者のこと?」

紅莉栖「別に、何とも思ってないわよ」

まゆり「…………そっか」

まゆり「………まゆしぃはね、オカリンのことが大好きだよ」

紅莉栖「!?」

141: 2011/11/17(木) 23:53:01.45 ID:HtOmSbNl0

まゆり「ずっとオカリンと一緒に過ごして、そのうちに、家も一緒に住むようになるの」

まゆり「それでいつか子供とかができてね、オカリンは変な名前をつけるけど、まゆしぃはもっとかわいい名前がいいって言って」

まゆり「ずっとオカリンは文句を言うけどね、最後にはわかってくれるんだ」

まゆり「それでね、一緒にその子と、その子の子と過ごしてね、オカリンもおじいちゃんになるんだけどね」

まゆり「それでもオカリンは今みたいな笑い方を、しててね、そんな……」ジワッ

まゆり「そんな夢をね、最近よく見るの」グスッ

紅莉栖「まゆり…………?」

142: 2011/11/17(木) 23:53:53.95 ID:HtOmSbNl0

まゆり「でもね、それは全部まゆしぃの夢なんだ」ポロポロ

まゆり「まゆしぃじゃ、だめみたいなんだ…………」ポロポロ

まゆり「まゆしぃじゃ、オカリンの人質にはなれても、オカリンの一番にはなれないんだ………」ヒック

紅莉栖「………………」

まゆり「………ごめんね、紅莉栖ちゃん。こんな話聞かせちゃって」

まゆり「でも、まゆしぃは………」

紅莉栖「ううん。……………私こそごめんね、まゆり」ギュッ

まゆり「えっ?」

143: 2011/11/17(木) 23:54:23.01 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「本当はね、気づいてたよ。まゆりが岡部のことが好きだって」

紅莉栖「でもね、それに触れないようにしてた。本当に気付いてしまうのが怖かったから」

紅莉栖「自分の気持ちと向き合うのが怖かったから………」

まゆり「………………」

紅莉栖「私が弱かっただけだってわかってる、卑怯だってわかってる…………でも」

紅莉栖「それでも…………それでも私は………」


紅莉栖「岡部のことが、好きなんだ」


144: 2011/11/17(木) 23:54:54.02 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「だから…………」

まゆり「…………そっか」

まゆり「じゃあ、しょうがないよね………」ギュッ

紅莉栖「!!」

まゆり「まゆしぃじゃもう、オカリンを助けることはできないからさ………だから」ポロポロ

まゆり「オカリンをよろしくね、紅莉栖ちゃん………」ポロポロ

紅莉栖「…………うん。ごめんね………ありがとうね、まゆり」スッ

145: 2011/11/17(木) 23:55:41.48 ID:HtOmSbNl0

中鉢「」

鈴羽「」

凶真「くそっ…………」ハァハァ

懺†斬「ここまで持ちこたえるなんて、さすが凶真だニャン!!」

懺†斬「でも、これでもう終わりだニャン」

懺†斬「命乞いしてフェイリスの下につくのなら、許してあげてもいいニャン」

凶真「…………俺は諦めない、絶対にだ!」

懺†斬「………それは残念だニャン」スッ

凶真(紅莉栖……………)

懺†斬「蒼天の空を漆黒に染め上げよ、『崩落する世界(エンド・オブ・ワールド)!!』」キイィィィィィン

凶真「紅莉栖ううううううううううううううううう!!!!!!!!!」


          カッ


146: 2011/11/17(木) 23:56:17.49 ID:HtOmSbNl0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


紅莉栖(………………………)

紅莉栖(私はずっと一人でカッコつけてた)

紅莉栖(まゆりの気持ちを知ってるくせに、自分のことは絶対言わないイヤな奴だった)

紅莉栖(でも、それじゃダメなんだ)

紅莉栖(パパは私の根源を信じろって言った。岡部が好きだっていう、私の心を)

紅莉栖(そして私のこの世界における存在の理を理解しろって)

紅莉栖(……………まゆりは自分じゃダメなんだって言ってた)

紅莉栖(まゆりを差し置いてこんなことを思うのは卑怯なのかもしれない…………だけど)

紅莉栖(私は、前に進まなきゃいけないんだ………そう)


紅莉栖「この物語の、ヒロインとして!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

147: 2011/11/17(木) 23:56:48.86 ID:HtOmSbNl0

懺†斬「なっ…………」

凶真「フェイリスの攻撃が、止んだ!?」


紅莉栖「」バサッ


懺†斬「あれは…………」

凶真「紅莉栖!!」

紅莉栖「…………」

149: 2011/11/17(木) 23:57:25.49 ID:HtOmSbNl0

凶真「おい、どうしたんだ、紅莉栖?」


   --------------------

紅莉栖「岡部のことが、好きなんだ」

--------------------


紅莉栖「っ ――――――― 」

紅莉栖「う、うるさいわね、岡部のくせにっ!!」

凶真「? どうしたんだ、顔が赤…」

紅莉栖「本当にうるさいわね、放っときなさいよ!!」

150: 2011/11/17(木) 23:57:59.94 ID:HtOmSbNl0

懺†斬(今のは一体………?)

紅莉栖「…………まぁいいわ、ちょっと変な感じがするかもしれないけど、我慢してね、岡部…………」スッ


   パアアアアァァァッ


鈴羽「うーん………?」

中鉢「ここは………?」

凶真「!? 二人が生き返った!? それに、俺の傷も…………」

懺†斬「ば、ばかにゃ、そんなことフェイリスでもできニャいのに…」

紅莉栖「あら、あなたのものさしで私を測らないでくれない?」クスッ


鈴羽「あれは…………まさか!!」

中鉢「フッ、どうやら紅莉栖は理解したようだな」

中鉢「『天使の祝福』会得のために必要な力、『ヒロイン補正』を!!」

151: 2011/11/17(木) 23:58:37.52 ID:HtOmSbNl0

凶真「紅莉栖、お前は一体…………?」

紅莉栖「もう大丈夫よ岡部、後は私に任せて」

紅莉栖「私の能力、『天使の祝福(エンジェル・ブレス)』は全ての混沌を整然とさせる」

紅莉栖「全てが混沌によって構成される彼女の能力も攻撃も、全て普遍的な事象に書きかれられる」スッ

凶真「!!」

懺†斬「バカな、『天使の祝福』が本当に完成していたというのか!?」

紅莉栖「口調が変わってるわよ、フェイリスさん?」

懺†斬「っ ―――― !?」

紅莉栖「いや、あなたはフェイリスさんじゃないわね」

152: 2011/11/17(木) 23:59:12.66 ID:HtOmSbNl0

凶真「!? どういうことだ?」

紅莉栖「復活したときに、フェイリスさんのことを完全に乗っ取ったみたいね」

懺†斬「…………クククク、そうさ、その通りだ」


      ブワッ


凶真「なっ………フェイリスから何か出て…」

懺†斬「我が名は時空の神、懺†斬。狂った時間軸を駆逐するための存在だ」

凶真「そうか、貴様のせいでフェイリスが…………」

懺†斬「そうだ。だが、こんな小娘はもう必要ない」

懺†斬「目の前に『天使の祝福』継承者という最高の器がいるのだからな!!」シュバッ

紅莉栖「!?」

凶真「しまっ………」


             カッ


153: 2011/11/17(木) 23:59:37.51 ID:HtOmSbNl0

紅莉栖「……………」

凶真「紅莉栖…………?」

紅莉栖・懺†斬「フフフフ、フフフフフフハハハハハハハハハハハハ」

凶真「!?」

凶真「まさか、紅莉栖の体を乗っ取ったのか!?」

中鉢「くっ、ぬかった………」

中鉢「ヒロイン補正を手にした者が乗っ取り、人質にあうのは自明の理だというのに!!」

懺†斬「これで私を脅かすものは存在しない………これで!!」ドクン

懺†斬「っ!?」

154: 2011/11/18(金) 00:00:10.75 ID:9R8yQK6h0

凶真「何だ…………?」

懺†斬「そんな、バカな………ああああああああああ」

紅莉栖「…………岡部」

凶真「紅莉栖!?」

紅莉栖「ごめん………ちょっと油断したみたい」ハァハァ

紅莉栖「まだ奴が私の中にいる……」

凶真「そんな……………」

紅莉栖「でも大丈夫」


紅莉栖「これから私ごと、この世界の混沌を全て書き換える」


155: 2011/11/18(金) 00:00:37.65 ID:9R8yQK6h0

凶真「!?」

紅莉栖「そうすれば、こいつを滅ぼして、世界線も元に戻れるはず」

凶真「だが、そんなことをすれば、お前は…」

紅莉栖「信じて!!」

凶真「!!」

紅莉栖「私を信じて、岡部………」

凶真「紅莉栖………」

156: 2011/11/18(金) 00:01:05.50 ID:9R8yQK6h0

凶真「わかったよ、紅莉栖…………だが」

「」ガシッ

紅莉栖「!!」

岡部「俺も一緒にだ、紅莉栖」

紅莉栖「…………うん、ありがとう、岡部」

紅莉栖「っ!? ………あああああああああああ」

岡部「!?」

懺†斬「そんナコト、サせるカ……」グググ

岡部(しまった、今は岡部モードに戻って……)

懺†斬「氏ネ」グッ


       ガシッ


157: 2011/11/18(金) 00:01:35.11 ID:9R8yQK6h0

懺†斬「!?」

鈴覇王「させないよ………」グググググ

まっちょしぃ「まゆしぃだって、オカリンの役に立つんだ」グググググググ

黒まっちょしぃ「絶対に、させない!!」ググググググ

ドクター中鉢「さあ行け、少年よ!! 紅莉栖を頼む!」ググググググ

岡部「!!」

岡部「ああ…………皆、ありがとう」スッ

懺†斬「フン、私を押さえつけたところで一体何が…………!?」

岡部「卍…………解………」ゴウッ

岡部『無明解奪丸!!』ジャキン


    ファッッ・・・・・・・・


158: 2011/11/18(金) 00:02:12.78 ID:9R8yQK6h0

懺†斬「なっ…………まさか、奪ったというのか、『天使の祝福』を!?」シュウゥゥ

岡部「ああ。俺が終わりにする、この混沌の世界を」スッ

岡部「観念しろ、時空の神、懺†斬!!」バッ

懺†斬「やめろおおおおおおおおおおおおお!!」

中鉢「やれええええええええええええええええ!!」

岡部「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」グッ

懺†斬「待て、そんなあああああああああああああああああああああああ!?」


岡部『天使の祝福(エンジェェェル・ブレェェェェェェスッ!!!!!!!!)』



           カッ


160: 2011/11/18(金) 00:02:50.17 ID:HtOmSbNl0


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


岡部「………………」

岡部「………………ここは?」


「シュタインズゲートの中心部だよ」


岡部「鈴羽!? それに、まゆりとフェイリスも!!」

鈴羽「まぁ、この感じだと懺†斬はもう消えたのかな」

留未穂「もう、今は留未穂って呼んでほしいな」

黒まゆり「オカリン大丈夫?」

岡部「ああ…………他の奴らはどうした?」

162: 2011/11/18(金) 00:03:30.70 ID:9R8yQK6h0

鈴羽「…………ここは世界創世の場所、創造者以外の生ける者が立ち入ってはいけないんだ」

岡部「!? じゃあ、どうしてお前たちは………」

鈴羽「……………ごめんね」スウゥゥゥ

岡部「なっ、三人とも体が透けて………?」

黒まゆり「まゆしぃたちはこれから移行する世界線にはいるべきじゃないんだ」

岡部「待て、どういうことだ、お前たちは…」

「」スッ

岡部「留未穂………?」

留未穂「それ以上は言わないで」

163: 2011/11/18(金) 00:03:57.60 ID:9R8yQK6h0

留未穂「私ね、さっきパパに会えたんだよ? 凶真の能力のおかげで」

留未穂「言いたいこともやっと言えた。ずいぶん時間がかかっちゃったけどね」

留未穂「だからさ、私にはもう、思い残すことはないんだ」

岡部「思い残すことって、何だよ…………」

鈴羽「………短い間だったけど、あたしたちは楽しかったよ? オカリンおじさんと一緒にいて」

鈴羽「だけど、あたしたちは混沌の狭間によってつくられた幻の存在」

黒まゆり「うん。だから、まゆしぃたちはもう行かなきゃならないのです」

岡部「そんな、なんで…………」

164: 2011/11/18(金) 00:05:00.38 ID:HtOmSbNl0


鈴羽「あっれれ~? オカリンおじさん、もしかして寂しいのぉ?」ウリウリ

岡部「………当たり前だろう」

鈴羽「……………そっか」

鈴羽「でも大丈夫だよ、移行した世界線にはきっとその世界線のあたしたちがいる」

鈴羽「あたしはまだ生まれてないだろうけど、やっとあたしの思い描いていた未来に行けるんだ」

鈴羽「戦闘訓練なんてしなくていい、普通の女の子みたいに笑って、恋をして、そんな世界が待ってるから」

岡部「鈴羽…………」

165: 2011/11/18(金) 00:05:29.36 ID:HtOmSbNl0

鈴羽「それよりも、問題はオカリンおじさんの方だよ」

岡部「なに?」

鈴羽「これから世界を再構築するために、オカリンおじさんはまた長い戦いに身を投じることになる」

鈴羽「時の速さの違う空間で何百年、下手すると何千、何万年もの月日をかけて………」

岡部「…………かまわないさ。それで皆が幸せに過ごせる世界が来るなら」

鈴羽「………そっか」フフッ

鈴羽「じゃあ、あたしから一つだけプレゼントをあげる」

岡部「プレゼント…………?」

167: 2011/11/18(金) 00:06:13.97 ID:9R8yQK6h0

鈴羽「次にいつ会えるかわからないからね、言いたいことは言っておくといいよ」スウッ

岡部「待て、一体何を………」

鈴羽「じゃあね、オカリンおじさん」フッ

黒まゆり「あっちのまゆしぃをよろしくなのです」フッ

留未穂「いろいろとありがとうね、凶真」フッ

岡部「あっ…………」

「」シーン

岡部「まゆり、鈴羽、留未穂………」


「岡部…………」


岡部「!!」

168: 2011/11/18(金) 00:06:49.82 ID:9R8yQK6h0

紅莉栖(私はもう迷わない)

紅莉栖(まゆりが私に勇気をくれたから)

紅莉栖(だから、私は…………)


岡部「紅莉栖………?」

紅莉栖「私は………岡部のことが好き」

岡部「!?」

紅莉栖「いつもバカみたいなことしてるけど、優しくて、一緒にいて楽しくて……」

岡部「紅莉栖………」

169: 2011/11/18(金) 00:08:03.96 ID:9R8yQK6h0

紅莉栖「…………私は、ずっと待ってるから」

岡部「!!」

紅莉栖「いつかあんたが戻ってくるまで、私はずっと待ってるから」

岡部「………だが、俺はいつ帰って来れるかわからない」

岡部「それに、成功する保証もないんだ、だから、お前は俺なんかに囚われずに……」

紅莉栖「だが断る!!」

岡部「!?」

紅莉栖「私が保証してあげる、岡部は絶対に成功するって、絶対に帰ってくるって」

岡部「そんな、どうしてそんなことが……」

紅莉栖「わかるよ。だってここは混沌の狭間。岡部と私が願ったのなら…………」

紅莉栖「そこには必ず、『主人公補正』と『ヒロイン補正』が入るから」

紅莉栖「だから、岡部の目的は100%叶う!!」

岡部「!!」

170: 2011/11/18(金) 00:08:39.09 ID:9R8yQK6h0

岡部「…………そうか、わかったよ。ありがとう、紅莉栖………」

岡部「俺を待っててくれ。俺も、お前のことが…」

「」スッ

岡部「??」

紅莉栖「…………その先は、言わないで」

紅莉栖「その答えは、いつかあんたが帰ってきたとき、ちゃんと伝えて?」

岡部「…………ああ、わかったよ」

岡部「いつか絶対伝えるから。俺のこの気持ちを」

紅莉栖「うん…………行ってらっしゃい、岡部」

岡部「ああ。行ってきます、紅莉栖」スッ


       カッ


  ――――――――――――――

     ―――――――

171: 2011/11/18(金) 00:09:22.22 ID:9R8yQK6h0

     …………あの日からそろそろ一か月が経とうとしていた

 ラボは今、これまでより騒がしくて、とても研究所とは呼べない場所と化しているが



まゆり「ルカくんルカくん、次はこのコスを着てほしいのです」

ルカ「ええっ!? そんな、こんなの僕にはちょっと………」

まゆり「ええーっ、似合うと思うけどなぁ」

フェイリス「フェイリスも自信を持ってお勧めするのニャン」

フェイリス「ルカニャンがこれを着て町に出れば、フェイリスと並ぶアイドルに変身だニャン!」

ルカ「そんな………だって僕は男で……」

ダル「だが、それがいい」

172: 2011/11/18(金) 00:10:07.91 ID:9R8yQK6h0

 ルカ子とフェイリスと、あとラボに顔は出さないがミスターブラウンの元で働いている萌郁がラボメンに入った

            別に驚きはしない。世界線は集束していくからだ



「」ガチャ

紅莉栖「Good Morning.」

まゆり「あっ、紅莉栖ちゃん、トゥットゥルー」

ルカ「紅莉栖さーん、助けてくださいーっ」

紅莉栖(私より女らしい……だと………)

紅莉栖「くやしいのう、くやしいのう」

ルカ「いや、そうじゃなくてぇ………」

紅莉栖「…………ああ、そういえば岡部のことなんだけど」

一同「!!」

173: 2011/11/18(金) 00:11:08.17 ID:9R8yQK6h0


      あれから、俺はずっと病院で眠っている

 別に何か体に異常がある訳じゃないが、目を覚ますことは無い

      だって、俺はまだ世界構築の途中だから



紅莉栖「多分、明日には目を覚ますだろうってさ」

まゆり「そっか……………」

フェイリス「なら、明日は例の儀式の準備が必要だニャン………」クックック

ルカ「ええっ!? そんな、一体何を……」

ダル「フェイリスたんのそれはツッコんだら負けだお」

フェイリス「くっ、しかし凶真ほどの相手にこのメンバーだけで行けるのかニャ? それとも……」

まゆり「じゃあ、明日はオカリンオカエリンパーティーなのです!」

174: 2011/11/18(金) 00:11:50.81 ID:9R8yQK6h0


         簡単に言ってくれるな、まゆりよ

 お前にとってはあと一日でも、俺の体感時間では数十年かかる道なんだ

       この世界を、完全に戻すためには…………



ダル「あっ、じゃあ今日はそろそろ僕は用事があるのでこれで……」

まゆり「あーっ、ダルくんもしかして阿万音さんとデート?」

フェイリス「ニャニャッ!? フェイリスがいるというのに他の女の元へと行こうというのかニャン?」

ダル「………い、行ってくるお」ダッ

フェイリス「くっ、ルカニャン、ダルニャンを追うニャン!!」バッ

ルカ「えっ? は、はい!」ダッ

紅莉栖(ああ、あの格好のままで………)

175: 2011/11/18(金) 00:12:24.93 ID:9R8yQK6h0


   だけど、数十年なんて時間は俺には何の苦でもない

    だって、この仕事が終わったら ――――――



ダル「きょ、今日は許してほしいお、今日は僕の人生初デートの日なんだお!」ダッダッ

ルカ(何か周りの視線が痛い…………)タッタッ

フェイリス「さすがルカニャン、皆の視線を釘づけだニャン!」

まゆり「まゆしぃはルカくんがその気になってくれて嬉しいのです」

紅莉栖(ああ、実際は誰も橋田のデートには興味無いのか…………哀れ橋田)

176: 2011/11/18(金) 00:13:04.88 ID:9R8yQK6h0



    ―――――――――― 待ってるから



紅莉栖「……………?」バサッ

紅莉栖「…………そっか」フフッ

まゆり「どうしたの、紅莉栖ちゃん?」

紅莉栖「何でもないわ、行くわよ、まゆり」ダッ



  大好きなあいつらとの日常が待ってるから ――――――



岡部「中二病ですから」


                        Fin


178: 2011/11/18(金) 00:14:06.89 ID:9R8yQK6h0

…………いや、もう本当に反省しています

これを最後にそろそろ中二病を脱却しようと、思いつくままにやっちゃいました

最後まで見てくれた人はこんなもの読ませてすみません。ありがとう、そしてお疲れ様でした


180: 2011/11/18(金) 00:15:17.35 ID:gYLdkaGN0

181: 2011/11/18(金) 00:16:05.60 ID:EkUbVt+r0

183: 2011/11/18(金) 00:17:29.25 ID:qzXDdj7x0
おつかれさん
ゆっくり休んでくれ

184: 2011/11/18(金) 00:18:04.90 ID:utYiUauf0

もしも、出てきた全ての厨二病セリフが、即興で考えられたものだったとしたら、もはや尊敬レベルだな・・・

引用元: 岡部「このDメールを消したら、まゆりがマッチョになる………」