1: 2011/12/11(日) 23:04:17.46 ID:/+n5mEGx0
原作の話がちょくちょく出てくるので、原作を読んでいない人には分からない部分もあるかも

2: 2011/12/11(日) 23:05:18.52 ID:/+n5mEGx0
【職員室】

箒「織斑先生、お話とは何でしょうか?」

千冬「いや、別に大した話ではない。以前お前と織斑が『インフィニット・ストライプス』の取材を受けただろう?」

千冬「その内容が今日発売の今月号に載るとかで学園の方に見本が送られてきたのだ」

千冬「お前の分と織斑の分の2冊送られてきている。あとであいつにも渡してやってくれ」

箒「わかりました。わざわざありがとうございます」
IS<インフィニット・ストラトス>(1) (サンデーGXコミックス)
3: 2011/12/11(日) 23:06:35.79 ID:/+n5mEGx0
【箒の部屋】

箒「ようやく発売日がきたか。どれほどこの日を待ち望んだことか…取材を受けたのが随分と昔のことのように感じられるな」

箒「どれどれ、『世界でただ一人の男性IS操縦者・織斑一夏「仲間は俺が守る!」』か、ふふっ、一夏のやつなかなか様になっているではないか」

箒「写真も…相変わらずその…か、かっこいいな///だいたい、あいつはスーツやタキシードといった大人の男の服が似合いすぎるのだ!」

箒「こんな雑誌に写真が載ってしまって、これ以上一夏のファンが増えてしまったりしたら…はっ」

箒「何を弱気になっている篠ノ之箒!私は一夏の幼なじみだ!このIS学園でいつも一夏と一緒にいるではないか!」

箒「一夏に会ったことすらないような女が一夏を好きになったところで何の問題も…」ペラッ

『至近距離で見つめ合う一夏と箒の写真』ドーン

4: 2011/12/11(日) 23:07:36.95 ID:/+n5mEGx0
箒「こ、この写真は!!!/////」

箒(写真撮影の時のことは今でも鮮明に思い出すことができる)

箒(スーツ姿の一夏とソファに座って、肩が触れ合うほどの距離で一夏に腰を抱かれて///)カアァァァ

箒(そのまま一夏と二人で見つめ合って……あれはまるで、こ…恋人同士のような……/////)キャー ジタバタ

箒「い、いかんいかん表情が緩みっぱなしではないか。そういえば、一夏の分を渡しておくように頼まれていたな」

箒「今の時間ならば部屋にいるだろうか?行ってみるとしよう」

箒「……別に写真撮影の時のことを思い出して一夏に会いたくなった訳ではないからな!あくまで、千冬さんに頼まれたから雑誌を渡しに行くだけだ!///」

箒「故に、正当だ!」

7: 2011/12/11(日) 23:10:11.94 ID:/+n5mEGx0
【一夏の部屋】

コンコン

一夏「はい、どちら様?」

箒「私だ。一夏、今時間は大丈夫か?」

ガチャ

一夏「箒か。今は特になにもないぞ。どうしたんだ?」

箒「私たちのインタビューが載った『インフィニット・ストライプス』が今日発売されたらしく渚子さんからIS学園に見本が送られてきてな」

箒「私と一夏の二人分が送られてきていたので一夏にも渡しておいてくれと千冬さんから頼まれたのだ」

一夏「そうだったのか。わざわざサンキュー!せっかくだし一緒に見ようぜ。あがってけよ」

箒「い、いいのか!?あ、いや、せっかく一緒にインタビューを受けたのだからな…一緒に見るのも悪くないだろう。失礼する」

8: 2011/12/11(日) 23:12:58.00 ID:/+n5mEGx0
一夏「それにしても取材かぁ…あの時は色々大変だったよなぁ。矢継ぎ早に質問されて箒もタジタジだったし」

箒「むっ、それを言うならお前だって写真撮影の時に渚子さんから再三ダメ出しをされていたではないか!」

一夏「ハハッ、そういえばそうだったな。写真撮影かぁ…」

一夏(あの時の箒、すごく可愛かったよな…。元々顔立ちは整ってるし、スタイルも良くて綺麗だなとは思ってたけど)

一夏(メイクをして普段は着ないような大胆な服を着てて、雰囲気が普段とはまるで違ってて、本当に…//)

箒「どうした?一夏。顔が赤いぞ」

一夏「な、なんでもない!なんでもないぞ」アセアセ

箒「?」

一夏「それより腹が減らないか?時間も時間だし、そろそろ食堂に…」

11: 2011/12/11(日) 23:15:38.31 ID:/+n5mEGx0
ドドドドドド ガチャ!

鈴「ちょっと一夏!今月号の『インフィニット・ストライプス』見たわよ。どういうことなのよこの記事は!」

セシリア「まぁ、箒さんもいらっしゃいましたの!お二人にはこの記事について色々お聞きせねばなりませんわ!」

一夏「ど、どうしたんだよみんな急に。それに、色々って言われてもな…」

一夏「黛先輩からお姉さんが担当してる雑誌のインタビューを受けて欲しいって頼まれて、お礼に一流ホテルのディナー招待券もくれるって言うから…」

箒「ば、ばか!一夏!!!」

一夏「えっ?」

シャル「一流ホテルのディナー招待券?それは初耳だなぁ。ちょっと詳しく聞かせてもらってもいいかなぁ?」

ラウラ「一夏、箒、今日はただで帰れるとは思うなよ…」シャキーン

一夏「おい、ちょっと待て、みんな落ち着いて……うわああああああああああああああああああああ!!!!!」

15: 2011/12/11(日) 23:20:43.34 ID:/+n5mEGx0
【街】

一夏「ふぅ、休日に一人で出掛けるのも久しぶりだな」

一夏「周りが女子ばかりの環境にもいい加減慣れてきたけど、昨日みたいなことがあると疲れるからな…あの後千冬姉にこっぴどく叱られたし」

一夏(みんなすごくいいやつだし仲良くしてるけど、ああいう女子のテンションには付いていけそうにないよなぁ)

一夏「さて、ゲーセンにでも寄って帰ろうかな……ん、あれは箒と…弾?」

一夏「二人が話してるなんて珍しいな。何を話してるんだ…?」

16: 2011/12/11(日) 23:23:28.73 ID:/+n5mEGx0

弾「……………」

箒「………!///」カアァァァ

弾「…………………」

箒「…………///」ポーッ



一夏「遠くてよく聞き取れない…でもなんだか嬉しそうだな………!!…箒、赤くなってる。なんかすごく取り乱してるし…」

一夏「今日はもう寮に戻ろう…」シュン

19: 2011/12/11(日) 23:25:59.86 ID:/+n5mEGx0
弾「じゃあ俺そろそろ行くんで。一夏にもよろしく、それじゃ」

箒「えっ、あぁ。それじゃあ、また」

箒(ん、あそこを歩いているのは…一夏?)

箒「おーい、一夏」

一夏「………(心ここにあらず)」トボトボ

箒「聞こえていないのか?おい、一夏!行ってしまった…夕食に誘おうと思ったのに…」

23: 2011/12/11(日) 23:31:15.91 ID:/+n5mEGx0
【一年生寮】

箒「む、見つけたぞ一夏」

一夏「ほ、箒!?どうしたんだ急に…?」ビクッ

箒「お前、今日街で私が声を掛けたのに気づかずに帰ってしまっただろう!(せっかく一緒に食事でもとろうと思ったのに…)」シュン

一夏「えっと、そうだったか?悪い、全然気づかなかったよ」

箒「まったく…それに街に出掛けるのなら私も誘って欲しかったぞ」

一夏「悪かったって。今日は一人で出掛けたかったんだ」

一夏「それに、俺なんかが誘わなくても箒は色々あったみたいだしな」ボソッ

箒「ん?何か言ったか一夏?」

一夏「あぁ、いや、な、なんでもない。じゃあ俺部屋に戻るから!」ダッ

箒「お、おい一夏!…何か様子がおかしかったような…」

24: 2011/12/11(日) 23:32:55.56 ID:/+n5mEGx0
【一夏の部屋】

一夏「はぁ、ダメだ。箒とまともに会話できない。どうしちゃったんだ、俺は…」

一夏(箒が弾と話しているところを見ただけなのに、どうしてこんなにも落ち着かないんだろう…)

一夏(あの時の箒の表情が頭から離れない…。嬉しそうな笑顔、真っ赤になって取り乱した顔……あれはまるで…)

一夏(って、箒はただの幼なじみじゃないか!それに弾には虚さんがいるだろ!)

一夏(ただの幼なじみのはずなのに…なんなんだこの気持ちは…)モヤモヤ

27: 2011/12/11(日) 23:35:18.21 ID:/+n5mEGx0

【アリーナ】

セシリア「一夏さん?なにやら体調が優れないご様子ですが大丈夫ですか?」

一夏「あぁ、ちょっと昨日色々あってさ。心配してくれてありがとな、俺は大丈夫だから」

一夏(昨日は結局あまり眠れなかった…。これからISの実習なのに、大丈夫か?)

千冬「今日は2人ペアでの連携の訓練をする。そうだな…デュノアとボーデヴィッヒ」

シャル・ラウラ「はい」

千冬「それから篠ノ之に織斑」

箒「はい」 一夏「は、はい」

千冬「お前たちでそれぞれペアを組み実演してみろ」

4人「わかりました」

30: 2011/12/11(日) 23:38:02.07 ID:/+n5mEGx0
箒(一夏とペア…私が///これはチャンスだ。一夏の足を引っ張らないようにせねば…)

一夏(こんな時に箒とペアかよ…何を話したらいいのか分からないぞ)ドヨーン

箒「一夏、よろしく頼む。私の足を引っ張るなよ?」

一夏「え、あぁ、そうだな…よろしく頼む」

箒「な、なんだその反応は。調子狂うじゃないか」

一夏「………」

箒「一夏?昨日からお前は…」

シャル「一夏ー、箒ー、何やってるのー?僕たちの方は準備できてるよー」

一夏「ほら、シャルたちは準備できたみたいだぜ。行くぞ」

箒「あ、あぁ。分かった」

箒(昨日から一夏の様子がおかしい…なんだか、避けられているような…)

33: 2011/12/11(日) 23:40:44.31 ID:/+n5mEGx0
千冬「それでは、始め!」

一夏(ダメだ、頭が働かない。さっさと終わらせてしまおう!)

一夏「うおおおおおおおおおおおおお!」

ガッ

一夏「な、なんだ身体が動かない」

ラウラ「正面から突っ込んでくるとは甘いぞ、一夏!」

一夏「しまった、ラウラのAICか!」

シャル「僕のことも忘れてもらっちゃ困るよ、一夏!」ダダダダダダ

箒「一夏、危ない!」ドンッ

34: 2011/12/11(日) 23:41:52.59 ID:/+n5mEGx0
一夏「ほ、箒…」

箒「一夏、私がラウラの注意を引きつけてAICを無効化する。お前はその間にシャルロットを頼む!」

一夏「お、おう」

箒「ハアアアアアァァァァ!」

シャル「そうはさせないよ!」ダダダダダダ

箒「なっ、どうしてシャルロットがここに!?一夏は何をやっている!一夏!」

一夏「えっ、し、しまった」

ラウラ「終わりだ!」チュドーン

箒「うわあああああああああああああああああ!!!」

35: 2011/12/11(日) 23:44:39.47 ID:/+n5mEGx0
【教室】

一夏(さっきの実習は散々だったな…千冬姉にも怒られるし。箒も、幻滅しただろうな…)

山田「では今の問題を…織斑くん、分かりますか?」

一夏「はい!?」ビクッ

一夏「えっと、すみません。聞いてませんでした…」

スパーン!

一夏「いってぇ!」

千冬「馬鹿者。さっきの実習といい、やる気があるのか?罰としてグラウンド10周だ。頭を冷やしてこい」

一夏「はい…すみません」トボトボ

箒(一夏…)

41: 2011/12/11(日) 23:50:11.09 ID:/+n5mEGx0
【食堂】

箒「今日は災難続きだったな一夏。どこか具合でも悪かったのか?」

一夏「………」ボーッ

箒「おい、聞いているのか一夏?」

一夏「………」ボーッ

箒「一夏?」

一夏「………」ボーッ

ドバドバドバ

シャル「ちょ、ちょっと一夏!お醤油こぼれてるよ!一夏!」

45: 2011/12/11(日) 23:56:20.44 ID:/+n5mEGx0
一夏「えっ…うおっ!?ご、ごめん!」ガタッ

鈴「もう、何やってんのよあんたは!」

ラウラ「ふむ、テーブルクロスが汚れてしまったな。これは漂白剤を取って来た方が良さそうだな」

セシリア「ラウラさん、こういう場合はまず雑巾ですわ…」

箒(やっぱり今日の一夏はどこかがおかしい)

箒(どうしてしまったのだ、一夏…)

46: 2011/12/11(日) 23:59:50.99 ID:/+n5mEGx0
【教室】

箒「一夏、今日は弁当を作ってきた。お前の分も用意してある。一緒に食べないk(ry

一夏「ほ、箒か!?悪い、今日は生徒会の用事があるから楯無さんに呼び出されてるんだ。じゃあな!」ダッ


【アリーナ】

箒「一夏、今日は私と模擬戦を(ry

一夏「あっ、鈴!ちょうど良かった。模擬戦の相手してくれないか?」

鈴「あんたからご指名なんて珍しいじゃない。いいわ、相手になったげる。覚悟しときなさいよ!」

箒「………」


【廊下】

箒「一夏、あとで私の部屋に来てくれないか?少し話したいことが(ry

一夏「悪い、白式のメンテナンスを整備科の人に頼んでるんだ。様子見てこないと!」ダッ

箒「一夏…」シュン

48: 2011/12/12(月) 00:02:35.41 ID:g0RH7EtL0
【教室】

一夏(ダメだ…ここ数日、箒に話しかけられても何を話したらいいのか分からなくてついつい露骨に避けてしまった…)

一夏(こんな態度ばっかりとってたら箒に嫌われるよなぁ…本当にどうしちゃったんだ俺…)

千冬「織斑…おい、聞いているのか。織斑!」

一夏「は、はい!?」ビクッ

千冬「今の続きから教科書を読んでみろ」

一夏「えっと、あの…すみません。どこから読めばいいのか分かりません…」

千冬「グラウンド20周だ。この授業が終わるまでに戻ってこなければもう10周させる」ギロリ

一夏「ひぃ!す、すみませんでした!!!」ピューッ

50: 2011/12/12(月) 00:07:28.39 ID:g0RH7EtL0
【箒の部屋】

箒「静寐、ちょっといいか」

鷹月「あら、どうしたの篠ノ之さん?」

箒「ちょっと相談したいことがあってな…」

鷹月「篠ノ之さんが私に?珍しいわね。何かあったの?」

箒「その、こんなことを相談出来る相手は静寐しかいないのだが…」

箒「実は……どうも最近、一夏に避けられているような気がするんだ…」

鷹月「篠ノ之さんが織斑くんに…?……うーん、確かにここ数日の織斑くんの篠ノ之さんへの態度はちょっと不自然だったわね…。何か心当たりはないの?」

箒「これだという決定的なものがあるわけではないんだ。……ただ」

52: 2011/12/12(月) 00:10:49.82 ID:g0RH7EtL0
鷹月「ただ?」

箒「私はいつも素直になれなくて、一夏に優しくされてもつい気恥ずかしくて心にもないことばかり言ってしまっていた…」

箒「一夏が他の女と親しくしているのが面白くなくて、一夏にそんなつもりはないと分かっていながらへそを曲げて一夏に冷たく当たってしまっていた…」

箒「今までのことが積もり積もって、一夏は私に愛想が尽きてしまったのかもしれない…」

箒「私は……一夏に、嫌われてしまったんだろうか…」グスッ

鷹月「うーん…確かに私たちが見てる分にはただの照れ隠しだって分かるけど…」

鷹月「織斑くんはあの通り鈍感だから篠ノ之さんの言動を全部真に受けちゃうのかもしれないわね」

箒「やっぱり、一夏は…」ジワッ

59: 2011/12/12(月) 00:18:24.72 ID:g0RH7EtL0
鷹月「でもその程度のことで織斑くんが篠ノ之さんを嫌いになるわけがないってことは篠ノ之さんが一番よく知ってるわよね?」

鷹月「織斑くん、いつも篠ノ之さんのことを気にかけていたし、今回のことだってきっと何か理由が…」

箒「そんなことはない!私は、いつも一夏にきつく当たってばかりだ」

箒「私はセシリアのように上品ではないし、鈴のように明るくもない。シャルロットのように優しくもなければラウラのように純粋でもない!」

箒「一夏に嫌われて当然だ……私は…わたしは……いちかぁ………う、うぅ……」ポロポロ

鷹月「篠ノ之さん…」

箒「一夏…いちかぁ……うぅ……あああああぁぁぁぁぁ!!!」

65: 2011/12/12(月) 00:23:45.13 ID:g0RH7EtL0
箒「すまない、静寐。情けないところを見せてしまったな…」スン

鷹月「大丈夫よ、気にしなくていいわ。少しは落ち着いた?」

箒「あぁ、なんとか…」

鷹月「あのね篠ノ之さん、私はそんなに悲観的にならなくてもいいと思うわ」

箒「どういう、ことだ…?」

鷹月「確かに今の段階では何が原因なのかは分からない、織斑くんが何を考えているのかも分からないわ。でもそれは織斑くんも同じよ」

鷹月「織斑くんも篠ノ之さんの気持ちが分からないんだと思うわ。何か勘違いをしているのよ。その勘違いが今回の織斑くんの行動の原因なんじゃないかしら」

箒「一夏が…勘違い…」

67: 2011/12/12(月) 00:24:47.03 ID:g0RH7EtL0
鷹月「そう、だから落ち着いて二人でじっくり話をしてみるべきよ。篠ノ之さんが素直に今の本心を打ち明ければ織斑くんだって…」

箒「ダメだ!今更私が素直になったところで、もう、一夏は…」グスッ

鷹月「もう!素直になれなかったことを自分でも後悔してるならこれ以上後悔を重ねちゃダメ!」

鷹月「織斑くんのこと、好きなんでしょう?思い切って勇気を出して自分に素直になってみたら?」

箒「私は…」

鷹月「素直になってお互いの気持ちをぶつけ合えば、誤解も解けてまた以前のように仲良く出来るわよ」

箒「素直になって…お互いの気持ちをぶつけ合う…」

鷹月「うん!私、篠ノ之さんのこと応援してるから、頑張ってね!」

箒「静寐…。ありがとう、少し気が楽になった気がする」

鷹月「どういたしまして。また織斑くんのことで悩んでたらいつでも相談に乗るから」

箒「静寐…私のためにそこまで……本当に、ありがとう」

箒(一夏……)

69: 2011/12/12(月) 00:27:56.42 ID:g0RH7EtL0
【職員室】

一夏「その、織斑先生…お話って一体何でしょうか?」

千冬「うむ、単刀直入に言う。織斑、ここ最近のお前の生活態度は目に余る」

千冬「授業中は終始上の空だし、ISの訓練にもまるで身が入っていない」

一夏「………」

千冬「まったく…お前は私の顔に泥を塗りたいのか?」

一夏「そんな!ごめん…俺、千冬姉にまで迷惑を……」

千冬「学校では織斑先生と呼べといっただろう、馬鹿者」

一夏「す、すみません…」シュン

71: 2011/12/12(月) 00:32:16.22 ID:g0RH7EtL0
千冬「あるいは、お前がここ数日篠ノ之のことを露骨に避けていることと何か関係があるのか?」

一夏「なっ!どうしてそれを…」

千冬「図星か…」

千冬「何があった?話せ」

一夏「それは……その……」

千冬「ふむ、ここでは言えんか…」

千冬「織斑」ガシッ

一夏「はい…おわっ」グイッ

千冬「後で私の部屋に来い。話はそこで聞いてやる」ボソッ

一夏「えっと、あの…」

千冬「ほら、分かったら話は終わりだ。とっとと行け!」

一夏「は、はい、ありがとうございました!」

73: 2011/12/12(月) 00:36:26.16 ID:g0RH7EtL0
【千冬の部屋】

コンコン

千冬「入れ」

一夏「千冬姉…」ガチャ

千冬「来たな。まぁ座れ」

一夏「は、はい」

千冬「それで?篠ノ之と何があった?」

一夏「………」

千冬「またダンマリか…」

千冬「一夏、私が何のためにお前を部屋まで呼んだと思っている」

一夏「えっ…」

75: 2011/12/12(月) 00:39:15.57 ID:g0RH7EtL0
千冬「今の私はIS学園の教師ではなくお前の姉、織斑千冬だ。どんな下らない理由だろうと最後までしっかり聞いてやる」

一夏「千冬姉…」

千冬「だから何も遠慮する必要はない。全て話せ」

一夏「…ありがとう。世話のやける弟でごめん…」

一夏「その、笑わないで聞いて欲しいんだけど…」

千冬「ふむ」

一夏「正直なところ、自分でもよく分からないんだ…」

76: 2011/12/12(月) 00:41:12.73 ID:g0RH7EtL0
一夏「きっかけは先週街に出かけた時だ。一人で駅前を歩いていたら箒が弾と話してるのを見たんだ」

一夏「その時の箒は嬉しそうに微笑んでたり、顔を真っ赤にして取り乱してたり、とにかくなんだか楽しそうに見えたんだ…」

一夏「そんな箒を見てたらなんだか急に落ち着かなくなってきて…胸のあたりが苦しくなってきて……箒にどう接したらいいのか分からなくなって…」

一夏「箒のことを考えてたら頭が真っ白になっちゃってさ、授業にもISの訓練にも集中できなくて…そのせいで千冬姉にまで迷惑かけちゃって、本当にごめん」

千冬「……」

一夏「箒はただの幼なじみなのにさ…おかしいよな、俺」ハハッ

千冬「本当にそれだけか?」

一夏「えっ?」

千冬「お前にとって篠ノ之箒は、本当にただの幼なじみなのか?」

一夏「どういう…ことだよ…」

77: 2011/12/12(月) 00:42:19.32 ID:g0RH7EtL0
千冬「何故篠ノ之のことを考えるとそこまで胸が苦しくなるのか、お前は篠ノ之を本当にただの幼なじみとしてしか見ていないのか、よく考えてみろ」

一夏「俺にとって箒は……」

千冬「お前の中でも既に答えは出ているんじゃないのか?」

一夏「俺は……」

-------------------------------------------------------------

箒『……ちょっといいか』

箒『わ、私が優勝したら――つ、付き合ってもらう!』

箒『い、いいものだなぁ///』

箒『よくない!私のせいで、お前はケガをしたんだぞ!一歩間違えば、命を落としたかもしれない……』

箒『私を、異性として意識するのか聞いているのだ…//』

箒『……いちか…………しゅき』

-------------------------------------------------------------

78: 2011/12/12(月) 00:45:21.64 ID:g0RH7EtL0
箒との思い出が走馬灯のようにフラッシュバックする

IS学園に入学した日、俺が教室に入って真っ先に見つけたのは昔と変わらぬ雰囲気をまとった幼なじみ、篠ノ之箒の姿だった

不器用で意地っ張りで、でも誰よりも真っ直ぐで常に剣の鍛錬を欠かさない努力家で大切な俺の幼なじみ

気がつけば、いつも俺の心の中には箒がいた。いつも箒のことを気にかけていた

IS学園に入って箒と再会できたことが、純粋に嬉しかった

今になってやっと分かった





俺は、篠ノ之箒のことが好きだ

80: 2011/12/12(月) 00:47:10.47 ID:g0RH7EtL0
一夏(そうか…俺は箒のことが、好きだったんだ……)

一夏(ただの幼なじみなんかじゃない、箒は俺にとってもっと大切な……)

一夏(ようやく自分の気持ちに気づくことができたのに、気づいた時には既に手遅れか。何をやってるんだ俺は……)

一夏(でもせめて、今までよそよそしい態度とっちまったことは謝らないとな…)

一夏「ありがとう、千冬姉。俺、ようやく自分の気持ちがはっきりと分かったよ」

一夏「俺は……箒のことが、好きだ」

千冬「そうか………。それで、それが分かった上で織斑一夏はどうしたい?」

一夏「箒に、謝りたい。俺のせいで箒のことを傷つけちまったから…」

千冬「謝るだけでいいのか?自分の気持ちを伝えようとは思わんのか」

一夏「箒は弾のことが好きみたいだからさ…俺の気持ちを打ち明けたら箒が困っちまうだろ。これ以上箒に迷惑をかけたくないから…」

千冬(子供の頃から一夏を想い続けてきた篠ノ之がそう簡単に他の男になびくとも思えん。恐らくはこいつの勘違いだろう……ふむ)

82: 2011/12/12(月) 00:48:49.10 ID:g0RH7EtL0
一夏「俺、今から箒のところに行ってくる!」

千冬「まぁ待て、今日はもうまもなく消灯時間だ。篠ノ之のところへ行くのなら明日にしろ」

一夏「でも…!」

千冬「落ち着け。寮監という立場上、消灯時間を過ぎて生徒が出歩いているのを見過ごすわけにもいかんだろうが」

千冬「それに、お前は一度思い立つと後先考えずに突っ込むきらいがある。1日時間を置いて考えを整理することも必要だろう」

一夏「千冬姉…」

千冬「私が言えることはそれだけだ。ほら、もう消灯だ。さっさと部屋に戻れ」

一夏「千冬姉、ありがとう」

ガチャ

83: 2011/12/12(月) 00:52:00.93 ID:g0RH7EtL0
バタン

千冬「まったく、本当に世話のやける弟だ。自分の気持ちにすら気づかんほど鈍感とは…どこで育て方を間違えたかな」フフッ

千冬「しかし……いつまでも手のかかる弟だと思っていたが、気づけば大人になっていくのだな…」

束「うんうん、気づけばいっくんも一人前になってたんだねぇ」ヒョコッ

千冬「どこから入ってきた、この国際指名手配犯」

束「天才束さんに不可能はないんだよ。ちーちゃんの部屋に忍び込むくらい朝飯前さー」

束「それにしてもさー、いっくんもいつまでも子供だと思ってたけどやっぱり歳相応の男の子なんだねー」

束「束さんは色恋のことはさっぱりだけど、なんだかこっちまでドキドキしてきちゃったよー」

束「もしこのまま箒ちゃんといっくんが上手く行ったらさ、私はいっくんのお義姉さんでちーちゃんは箒ちゃんのお義姉ちゃんになるんだよ!」

束「箒ちゃんだけじゃなくちーちゃんといっくんまで私の家族になるなんて…嬉しくって今から妄想が止まらないよちーちゃん!」キラキラ

84: 2011/12/12(月) 00:54:14.53 ID:g0RH7EtL0
千冬「うるさいぞ、警備員に突き出されたいのか」

束「えー、ちーちゃんのケチ。そんなことしても無駄だって分かってるくせにー」ブー

千冬「ふん、まぁいい。束、お前も晩酌に付き合え」

束「おやおや?ひょっとしてちーちゃん、いっくんが一人立ちするのが寂しいのかなぁ?やっぱりちーちゃんは可愛いなぁ」ニヤニヤ

千冬「黙れ。ほら、飲むぞ」プシュッ

束「うんうん、ならそんなちょっぴりしんみりしてるちーちゃんを束さんが慰めてあげよう」

千冬「お前に慰められるほど私は落ちぶれていない。いいからさっさと飲め」

束「もう、せっかちだなぁちーちゃんは。ゴホン、それじゃあ久々の幼なじみ二人、水入らずの夜に…乾杯♪」

87: 2011/12/12(月) 01:00:21.96 ID:g0RH7EtL0
【教室】

キーンコーンカーンコーン

箒(さて、今日の授業も終わりか。部活に行く準備をしなければ…)

一夏「箒、ちょっといいか」

箒「!」

箒(一夏が…一夏から私に話しかけてくれた…!)

箒「い、一夏か。どうかしたのか?」

一夏「大事な話があるんだ。箒は…今日は部活だったよな?」

箒「あぁ、そうだが…」

一夏「部活が終わって支度が済んでからで構わないから、あとで俺の部屋に来てくれないか?」

箒「部活のあとでいいのだな。分かった…」

箒(一夏が私に大事な話…一体何を話すつもりなのだろう…)

89: 2011/12/12(月) 01:01:23.35 ID:g0RH7EtL0
【剣道場】

部長「それでは、本日の練習はここまでにします、礼っ?」

一同「ありがとうございました!」

箒「さて、一夏の部屋に行かねば…といったものの、今は部活が終わった直後で汗をかいているしな」

箒「一夏も急がなくて良いと言ってくれていたし、シャワーを浴びてから行くとしよう。うむ、それがいい」

箒「決して一夏と面と向かって話をするのが不安だから先延ばしにしようとしているわけではないぞ!」

箒「私はただ、身を清めてから一夏と話をしたいだけだ!」

部員A「篠ノ之さんがさっきから百面相をしながらずっと独り言を言ってる…」

部員B「織斑くんのことじゃない?」

部員C「恋する乙女ってやつだね」

部員A「あぁ、なるほど」

部員B「織斑くんのことを考えすぎて周りが目に入らないくらい取り乱してる篠ノ之さん…」

部員ABC「可愛いなぁ」ニヤニヤ

92: 2011/12/12(月) 01:02:36.56 ID:g0RH7EtL0
【箒の部屋】

シャー キュッキュッ

ガチャ

箒「ふぅ、さっぱりしたな」ワシャワシャ

箒「………」ボーッ

箒(一夏の話とは一体何なのだろうか…)

箒(「もう二度と関わらないでくれ」などと言われでもしたら…)ブルッ

箒「えぇい、弱気になるな!」ブンブン

箒「………」スッ

箒(誕生日に一夏がくれたリボン…)

93: 2011/12/12(月) 01:03:18.51 ID:g0RH7EtL0
-------------------------------------------------------------

一夏『いつもの髪型の方が似合ってるぞ。誕生日、おめでとう』

-------------------------------------------------------------

箒「一夏…」

箒(私は、一夏の優しさに甘えていたんだな…)

箒「しっかりしろ、篠ノ之箒!」キュッ

箒「私はもう逃げない。しっかりと一夏と向き合うんだ」

箒「一夏……」

96: 2011/12/12(月) 01:05:22.47 ID:g0RH7EtL0
【一夏の部屋】

一夏「箒まだ来ないのか…まぁ俺が急がなくていいって言ったんだけど」

一夏(なんか、落ち着かないな…)

コンコン

一夏「!」

箒「一夏、私だ…」

一夏「お、おう。入っていいぞ」

箒「一夏…」ガチャ

一夏「来てくれてありがとな。取り敢えず座って…」

箒「すまん!」

一夏「へっ!?」

97: 2011/12/12(月) 01:06:23.32 ID:g0RH7EtL0
箒「お前がここ最近私のことを避けているということは私自身も分かっていた。お前は私に愛想が尽きてしまったのだろう」

箒「私とお前は幼なじみで、お前は、その…とても優しいから、お前の優しさに私は甘えてしまっていた」

箒「そのせいでお前にたくさん迷惑をかけてしまって…本当に、本当にすまなかった!」

一夏「お、おい箒!一体何の話をしてるんだ?と、取り敢えず顔を上げてくれ!」

(状況説明中)

一夏「それで…俺が箒のことを避けてたから、俺に嫌われたと思ったのか」

箒「あ、あぁ…そうでは、ないのか?」

一夏「違う!俺が箒のことを嫌いになるわけないだろ!悪いのは、全部俺なんだ…」

箒「ど、どういうことだ…?」

99: 2011/12/12(月) 01:10:06.54 ID:g0RH7EtL0
一夏「この前の休みの日に街に出かけただろ?その時、箒が弾と話してるのを見たんだ」

一夏「その時の箒の様子が、なんか楽しそうでさ。そしたら心の奥がなんだかモヤモヤしてきて、箒にどう接したらいいのか分からなくなって…」

一夏「だから、箒は何も悪くない!謝らなきゃいけないのは俺の方なんだ。ここ数日冷たい態度をとっちまって本当にごめん!」

箒「ちょ、ちょっと待て!あの時話していたのは……」


-------------------------------------------------------------

箒『まったく、昨日はせっかく一夏と二人っきりになれていたというのに、セシリアたちのせいでひどい目にあった』

箒『今日も朝から一夏は一人で出かけてしまうし。買い物に付き合ってもらおうと思っていたのに…』

箒『とはいえ、過ぎたことをいつまでも悔やんでいても仕方がないな。他に買う物は何があっただろうか…』ガサガサ

ポトッ

箒『よし、次は向こうのデパートに行くか』スタスタスタ

弾『ん?何か落ちてる。これは…学生証?あの人が落としたのか』

弾『すみません!学生証落としましたよ』トントン

箒『えっ?あ、これは私の…ありがとうございます』

弾『って、あれ?君は一夏の幼なじみの…篠ノ之さん?』

箒『あ、一夏の友人の…』

101: 2011/12/12(月) 01:11:00.69 ID:g0RH7EtL0
箒『ええ、そんなところです』

弾『一夏は一緒じゃないんすか?』

箒『え、いや、まぁ…(私は一夏と一緒に出かけたかったのだが…)』

弾『そうなんすか。この前うちの店に二人で来てたし、てっきりよく二人で出かけたりしてるもんかと』

箒『………』

弾『一夏はああ言ってたけど、本当に付き合ってるわけじゃないんすか?』

箒『なっ!ち、違う!///本当に私と一夏は、別に…』シュン

弾『へぇ、でもこないだうちの店に来た時も二人で食べさせあいっこなんかしてたし端から見てると恋人同士に見えてもおかしくないっていうか…』

箒『そ、それは…!///(私としたことが、一夏と二人っきりで出かけられたことに浮かれていて、周りの目を全く気にしていなかった///)』カアァァァ

弾『実際、お似合いだと思いますよ。篠ノ之さんと一夏って』

箒『私と一夏がお似合い!?///』ボンッ

103: 2011/12/12(月) 01:12:18.24 ID:g0RH7EtL0
弾『どうも。今日は買い物っすか?』

箒『ええ、そんなところです』

弾『一夏は一緒じゃないんすか?』

箒『え、いや、まぁ…(私は一夏と一緒に出かけたかったのだが…)』

弾『そうなんすか。この前うちの店に二人で来てたし、てっきりよく二人で出かけたりしてるもんかと』

箒『………』

弾『一夏はああ言ってたけど、本当に付き合ってるわけじゃないんすか?』

箒『なっ!ち、違う!///本当に私と一夏は、別に…』シュン

弾『へぇ、でもこないだうちの店に来た時も二人で食べさせあいっこなんかしてたし端から見てると恋人同士に見えてもおかしくないっていうか…』

箒『そ、それは…!///(私としたことが、一夏と二人っきりで出かけられたことに浮かれていて、周りの目を全く気にしていなかった///)』カアァァァ

弾『実際、お似合いだと思いますよ。篠ノ之さんと一夏って』

箒『私と一夏がお似合い!?///』ボンッ

104: 2011/12/12(月) 01:15:45.84 ID:g0RH7EtL0
弾『うちの蘭や鈴なんかに対してもそうっすけど、あいつって本当鈍感でそのくせ女子に対して思わせぶりな態度を取るからたちが悪いというか…』

弾『でも篠ノ之さんの場合はこの前店で見た時もなんだかいい感じの雰囲気だったし』

弾『正直蘭はこのまま片想いを続けてても望み薄そうだし、兄貴としては一夏のことは諦めてもっとまともな別の男を探して欲しいところなんすけどね』ハハッ

箒(私と一夏がお似合い…私と一夏がお似合い…私と一夏がお似合い…///)ポーッ

弾『だからってわけじゃないっすけど、俺篠ノ之さんのこと応援してるんで、頑張って下さいね』

箒『ふぇ!?が、頑張るとは…い、一体何の話ですか!?///』

弾『まぁ、本当どうしようもないくらい鈍感なやつなんで、はっきり言わなきゃ伝わんないと思いますけど』ニヤリ

箒『………///(い、一夏の友人にまで気づかれているなんて…私はそれほど分かりやすい人間なのか?///)』

弾『っと、いっけね、じいちゃんから買い出し頼まれてたのを忘れるところだった』

弾『じゃあ俺そろそろ行くんで。一夏にもよろしく、それじゃ』

箒『えっ、あぁ。それじゃあ、また』

-------------------------------------------------------------

107: 2011/12/12(月) 01:21:21.08 ID:g0RH7EtL0
箒「と、いうわけだ。決して一夏が想像していたような関係などではない!///」

箒(さすがに一夏とのことを応援されたことまでは言えないが)

一夏「そ、そうだったのか…」

一夏「でもその割りには箒の態度が…好きな人と話してるみたいだったからさ。嬉しそうな表情してたし、顔も赤くなってたし」

箒「そ、それは五反田がおかしなことを言うものだから少し取り乱しただけだ!」

一夏「おかしなこと?」

箒「お、お前には関係ない!///気にするな!とにかく、私と五反田は偶然あの場で会って世間話をしただけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

109: 2011/12/12(月) 01:24:14.64 ID:g0RH7EtL0
一夏「じゃ、じゃあ今は特に誰かと付き合ってたりはしないのか…?」

箒「だからそうだと言っているだろう!」

一夏「そうか…良かった…」

箒「!」

箒「ところで、一夏…」

一夏「ん、どうした?」

箒「その、一夏は私が他の男と話してるのを見てショックを受けたと言ったな?それはどういう…」

一夏「あ…」

一夏(箒は誰かと付き合ってるわけじゃなかった。俺も自分自身の気持ちがはっきりと分かった。言うなら今しかない!)

111: 2011/12/12(月) 01:26:38.47 ID:g0RH7EtL0
一夏「実はな、俺自身どうして箒が弾と話しているのがショックだったのか正直なところよく分かってなかったんだ」

箒「……」

一夏「ただ心の奥がモヤモヤして、箒にどう接すればいいのか分からなくなって、そのせいで箒のことを傷つけちまって…本当にごめん」

箒「そのことならもういい。いつも素直になれなかった私も悪かったんだ、お互い様だ」

一夏「ありがとう。それで授業中やISの実習中の俺の態度があまりにひどいってことで千冬姉に呼び出されてお説教されたんだ」

一夏「その時にはっきりと言われたよ『お前にとって篠ノ之箒は本当にただの幼なじみなのか?』って」

一夏「そう言われてはっきりと分かったんだ…いや、本当はもっと前から答えは出ていたのに俺自身が気づいていなかっただけなのかもしれない」

112: 2011/12/12(月) 01:27:49.66 ID:g0RH7EtL0
一夏「IS学園に入学したあの日、箒と再会できて俺は本当に嬉しかった」

一夏「真っ直ぐなところとか、剣の鍛錬を毎日欠かさなかったり料理をいつも頑張ってたりする努力家なところとか」

一夏「意地っ張りで強がりなところとか、なかなか素直になれない不器用なところとか、そういうところも全部ひっくるめて…」

一夏「俺は……箒のことが、好きだ」

箒「一夏………いちかぁ……」ポロポロ

一夏「な、なんで泣くんだよ!?俺に好きだって言われるのがそんなに嫌だったか…?」

箒「ばかもの…嬉し泣きに…決まっているだろう…」ポロポロ

一夏「えっ」

117: 2011/12/12(月) 01:29:32.97 ID:g0RH7EtL0
箒「私もお前と同じだ…。IS学園で一夏に再会できて、本当に嬉しかった…」

箒「6年も会っていなかったのに…一夏がすぐに私だと気づいてくれて涙が出そうになるくらい嬉しかったんだ…」

一夏「幼なじみなんだ、それくらい…」

箒「当然ではないさ。大人になってからの6年と子供の頃の6年とではわけが違う」

箒「それでもそれを当然のことと思えるのは、お前が他人思いの優しい人間だからなんだろう」

一夏「………」

118: 2011/12/12(月) 01:30:18.71 ID:g0RH7EtL0
箒「私が一夏に対して素直になれなかったのは、本心を悟られるのが気恥ずかしかったからだ」

箒「一夏が他の女子と親しくしているのを見ると不機嫌になるのは、一夏が私だけを見てくれないことが悔しかったからだ」

箒「本心を悟られるのが恥ずかしいと言いながら、そのくせ心のどこかでは一夏に私の気持ちに気づいて欲しいという矛盾した願いをずっと抱えていた…」

箒「結局、私はどうしようもないくらい卑屈で、臆病だったんだ」

一夏「箒…」

箒「それでも一夏は、こんな私のことを好きだと言ってくれた…これほど嬉しいことはない」

箒「だから私も、一夏に正面から向き合って、一夏の気持ちにしっかりと応えたい!」

箒「私も…私も一夏のことが、好きだ」

125: 2011/12/12(月) 01:36:10.02 ID:g0RH7EtL0
一夏「箒……それじゃあ!」

箒「待て、一夏」

一夏「な、なんだ?」

箒「お前も知っている通り、私は意地っ張りで、不器用でいつも素直になれなくて、その上気難しくて…これからも一夏に迷惑をかけてしまうかもしれない…」

箒「付き合っても何一つ楽しい事なんてないかもしれない。それでも本当に、私でいいのか…?」

一夏「…なんだそんなことか」

箒「そんなこととはなんだ!私は一夏のことを気遣ってだな」

一夏「あのな箒。俺たち幼なじみだろ?昨日今日の付き合いじゃないんだ」

一夏「自惚れてると思われるかもしれないけどさ、俺は良いところも悪いところも全部含めて他の誰よりも箒のことを知ってるつもりだ」

一夏「確かに箒は意地っ張りで気難しくて、何考えてるのかよく分からないことも時々ある」

箒「ぐっ……」

126: 2011/12/12(月) 01:37:39.66 ID:g0RH7EtL0
一夏「それでも、そういうところすら愛おしいって思えるくらい好きになっちゃったんだよ。俺は『箒でいい』んじゃない、『箒じゃなきゃダメ』なんだ」

箒「一夏…」

箒「お前は馬鹿だ…こんな面倒な女を選ぶなんて、本当に大馬鹿者だ…」ポロポロ

箒「後悔してもしらんぞ…?」

一夏「後悔なんかするわけないだろ。箒のいない毎日なんて、俺には考えられないよ」

箒「そうかそうか…///では………スーハー……不束者ですが、よろしく…お願いします…!」ポロポロ

一夏「あぁ、こっちこそ。これからよろしくな、箒」

箒「一夏…///」ダキッ

一夏「箒…」ギュッ

133: 2011/12/12(月) 01:43:03.10 ID:g0RH7EtL0
箒「一夏…」

一夏「ん?なんだ?」

箒「私は今、本当に幸せだ」

一夏「あぁ、俺も幸せだよ」

箒「その…もう少しこのままでいてもいいか?」

一夏「あぁ、俺も箒を離したくない。いつまでもこうしていたいよ」

箒「一夏///」ポーッ

一夏「……///」

138: 2011/12/12(月) 01:45:58.05 ID:g0RH7EtL0
箒「ずっと待っていたんだぞ…一夏に好きだと言ってもらえる日を…」

箒「だがお前はあの通り鈍感で…一夏に告白されることなど一生ないと思っていた」

箒「しかもここ数日はまともに口もきいてもらえなくて…完全に、一夏に嫌われてしまったものだと…」ジワッ

一夏「箒」ギュウウウ

箒「い、一夏!?そんなに強く抱きしめられると苦し…いや、決して嫌ではないのだが///」

一夏「ごめん、箒にそんなに辛い思いをさせちまうなんて、箒をこんなに泣かせちまうなんて…彼氏失格だな」

箒「か、彼氏!?///」

一夏「そうだろ?だって箒は俺の大切な幼なじみで…彼女なんだからな」

箒「/////」カアァァァ

140: 2011/12/12(月) 01:48:23.61 ID:g0RH7EtL0
箒「なら一夏、私の彼氏であるお前に一つお願いがあるのだが」

一夏「ん、何だ?」

箒「その、私が一夏の彼女になったという証が欲しい。いいか…?」

一夏「証って言われても…どうすればいいんだ?」

箒「私にそこまで言わせる気か!それぐらい察しろ、このばか///」

一夏「えっと…」

一夏(それってつまり…そういうことだよな…)

一夏「じゃあ箒、目を…閉じてくれるか?」

箒「わかった」

箒(一夏…///)ドキドキ

一夏「箒…」ドキドキ

チュッ

147: 2011/12/12(月) 01:51:04.14 ID:g0RH7EtL0
箒「ふぁっ…///」

一夏「こ、これでいいか?///」

箒「はっ!ん、んんっ(ゴホン こ、この程度ではダメだ」

一夏「えっ」

箒「この程度では全然足りない!私は10年近く待たされたのだぞ!」

箒「私がいいと言うまでやってもらうからな!か、覚悟しておけ///」

一夏「箒…」フッ

一夏「望むところだ。今まで辛い思いさせた分、これからは恥ずかしくて耐えられなくなるぐらい箒のこと大切にするからな」

箒「一夏…///」

チュッ

149: 2011/12/12(月) 01:56:24.34 ID:g0RH7EtL0
【教室】

キーンコーンカーンコーン

千冬「では今日の授業はこれで終了だ。各自しっかりと復習をしておくように」

一夏「ふう、やっと終わった」

箒「一夏、今日はこれから何か予定はあるのか?」

一夏「今日は特に何もないぞ。箒はどうなんだ?」

箒「私も今日は何もなしだ。部活も休みだし、楯無先輩との特訓の予定も入っていない」

一夏「そっか、なら一緒に寮まで帰ろうぜ」

箒「あぁ、是非そうさせてもらう」

千冬「……」チラッ

千冬(どうやら、上手く行ったようだな。しっかりやれよ、一夏)フッ

151: 2011/12/12(月) 01:59:07.68 ID:g0RH7EtL0
【中庭】

箒「なんだか妙な気分だ…」

一夏「どうしたんだよ、急に」

箒「一夏と二人で歩いているだけなのに、すごく心が満ち足りていて…とても幸せな気持ちになる///」

一夏「それは俺も同じだよ。やっぱりなんていうか…恋人同士になると、色々違うもんだな///」

一夏「せっかくだし、手でも繋ぐか?ほらっ」スッ

箒「あ、あぁ、そうだな。なにせ私たちは恋人同士なのだからな///」キュッ

一夏「……///」

箒「……///」

箒「こんな風に、また一夏と並んで歩ける日が来るとは思わなかった…ましてこうして手を繋いで歩けるなんて、昨日までの私には到底考えられなかった」

一夏「うっ…あの時のことは本当に悪かったって」

箒「一夏を責めているわけではない。むしろ、一夏が私を避けてくれたからこそ今の私たちがいるんだ。あの時間は私たちにとって必要なものだったんだと思う」

一夏「…確かにそうかもな。何もかもが初めから上手く行ってたわけじゃなかった」

153: 2011/12/12(月) 02:01:12.27 ID:g0RH7EtL0
一夏「出会ったばかりの頃はそれほど仲が良かったわけじゃなかったし、それでも一緒に剣道をしていくうちに仲良くなって」

一夏「束さんがISを開発して離れ離れになって、俺が間違えてIS学園の受験会場に行ったことでIS学園に入学することになってそこで箒と再会して…」

一夏「色々遠回りしたけれど、今はこうして箒と並んで歩くことができてる。終わり良ければ全て良しってことなのかもな。こっちの方が俺たちらしい気もするよ」

箒「これからもつまらないことでケンカをしたりするかもしれない。それでも私と一夏なら必ず上手くやっていけると信じてる」

一夏「あぁ。何があっても、必ず最後には俺が箒を笑顔にしてみせるよ」

箒「そうかそうか、ありがとう」フフッ

箒「一夏、大好きだぞ」


fin…?

155: 2011/12/12(月) 02:03:22.87 ID:z+Eld/IWO
fin…?

だと?

161: 2011/12/12(月) 02:06:08.37 ID:g0RH7EtL0
後日談「鷹月静寐の憂鬱」


鷹月「この本はなかなか面白そうだわ。さすがIS学園ね、蔵書数が普通の図書館とは比べ物にならない。これだけでもIS学園に入学した甲斐があったわ…」

ガチャ

箒「………///」ポーッ

鷹月「………」

鷹月(あぁ、篠ノ之さんが頬を染めて放心してる…。これはもしかしなくても…)

鷹月「どうしたの?篠ノ之さん。顔が真っ赤よ?」

箒「はっ、し、静寐か。別に私はどうもしないぞ!」ソワソワ

鷹月(織斑くんのこと考えてたって顔に書いてあるわよ…)

鷹月「織斑くんのことでしょ?何か悩みがあるならまた相談にのるわよ」

箒「な、何故分かったのだ!?まったく、静寐にはかなわないな…」

箒「悩みというほどのものではないのだが…その、知っての通り、私と一夏は…付き合うことになった///」

鷹月「えぇ、もちろん知ってるわ」

鷹月(あの日…)

162: 2011/12/12(月) 02:08:55.00 ID:g0RH7EtL0
-------------------------------------------------------------

箒『では、行ってくる』

鷹月『そんな暗い顔しないの。織斑くんだって仲直りのために篠ノ之さんを呼び出したのかもしれないでしょ』

箒『分かっている、頭で分かってはいるんだ。しかし…』

鷹月『素直になって織斑くんと話をして仲直りするんでしょ。ほら、頑張って!』





チク…タク…チク…タク…

鷹月『篠ノ之さん、遅いわね…大丈夫かしら』

鷹月『でも、もしも織斑くんから絶交を言い渡されたりしたのだとしたらこんなに遅くはならないだろうし……だけど…』

164: 2011/12/12(月) 02:10:44.84 ID:g0RH7EtL0
ガチャ

箒『静寐…』

鷹月『篠ノ之さん!おかえりなさい。遅かったじゃない、心配したのよ』

箒『あぁ…すまない』

鷹月『それで…どうだったの…?』

箒『し、信じられない…一夏に………告白された…』

鷹月『えぇっ!?』

箒『一夏が、私のことを…す、好きだと言ってくれた///い、未だに実感が沸かない…まるで夢のようだ///』

鷹月(織斑くんが篠ノ之さんのことを嫌ってるなんてことはないと思ってたけど、告白だなんて…これは予想外だわ)

箒『どうしよう静寐、幸せすぎて…一夏のことが好きすぎて……氏んでしまいそうだ///』カアァァァ

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166: 2011/12/12(月) 02:13:25.58 ID:g0RH7EtL0
鷹月「部屋を出る前の今にも氏にそうな顔をしてた時とはまるで別人だったものね、あの時の篠ノ之さん」

箒「……///」カアァァァ

鷹月「でも、そのことがクラスのみんなにバレた時は色々大変だったけれど…」


-------------------------------------------------------------

箒『一夏、今日も弁当を作ってきた。一緒に食べるとしよう』

一夏『お、わざわざサンキュー。悪いな、いつも俺の分まで』

箒『私が好きでやっていることだ。一夏が気にすることではない』

一夏『でもなぁ…』

箒『それなら、今度の休日に一夏の手料理を私に振舞ってくれ。それでお互い様だ』

一夏『俺の料理か?そんなものでいいならいくらでも作るけど』

箒『まったく問題ない、だいたい、お前だって料理は得意だろう』

一夏『まぁ子供の頃から色々作ってたから慣れてはいるけど…。でも俺は箒の手料理が一番好きだぞ』

箒『なっ、そうかそうか///なら今後も好きなだけ作ってやる。なにせ私はお前の…』

167: 2011/12/12(月) 02:14:06.14 ID:g0RH7EtL0
のほほん『あれー?おりむーとしののん今日も一緒にお昼?』

一夏『の、のほほんさんか。箒が弁当を作ってきてくれたからさ、せっかくだし一緒に食べてるんだ』

のほほん『へぇー。最近本当に仲良しだよねー。もしかして二人は付き合ってたりしてー』アハハ

一夏『……///』ポリポリ

箒『……/////』カアァァァ

のほほん『あ、あれ何かなこの空気。もしかして本当に…?』

一夏『あぁ、うん、実は俺たち……付き合うことになったんだ』

セシ・シャル・ラウラ『!?』

のほほん『本当!それはおめでとうだよー。二人はラブラブだぁ』

168: 2011/12/12(月) 02:15:49.78 ID:g0RH7EtL0
ボコッ!バキバキバキバキ!

鈴『いーちーかー』ゴゴゴゴゴ

一夏『げぇ、鈴!?どっから入ってきてんだお前は!』

セシリア『一夏さん、逃がしませんわよ』シャキーン

シャル『今回はじっくり話を聞かせてもらわないとね』ジャキッ

ラウラ『私というものがありながら…許さんぞ一夏』ガシャッ

 『なになに?織斑くんと篠ノ之さんって付き合ってるの?』

 『うそー、篠ノ之さんって意外と大胆!』

 『最近いつも一緒にいると思ったらそういうことだったのね!』

    ワーワー  キャーキャー

鈴『一夏、覚悟はできてるわよね?』ゴゴゴゴゴ

一夏『おい、みんな待て!さすがにそれはまずいって…えっ、本当に?…うわああああああああああああああああああああ!!!!!!』

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170: 2011/12/12(月) 02:18:22.28 ID:g0RH7EtL0
箒「もっとも、今はセシリアたちも落ち着いて、隙あらば私から一夏を奪ってみせると意気込んでいたがな。まったく、油断も隙もあったものではない!」

鷹月「相変わらずモテモテね、織斑くんは」フフッ

箒「と、当然だ。なにせ一夏は……私が子供の頃からずっと想い続けてきた男なのだからな!」

鷹月(あら、意外な反応。もっと取り乱すかと思ったけど、両想いになって心に余裕ができたのかしら)

箒「全て静寐のおかげだ。自暴自棄になっていた私の相談に乗ってくれて、的確な助言をしてくれた」

箒「静寐がいなければ今の私はなかった。改めて礼を言わせてくれ、本当にありがとう」

鷹月「もういいわよ。あの後だって散々言ってくれたじゃない」

鷹月「それで、今回は何を悩んでたの?」

箒「そうだった…その、本当に大したことではないんだ。実は今日…」

171: 2011/12/12(月) 02:21:11.19 ID:g0RH7EtL0
-------------------------------------------------------------

箒『一夏……好きだ…///』

一夏『箒、俺も…好きだぞ//』チュッ

コンコン

一夏・箒『!?』ビクッ

ガチャ

楯無『はーい、一夏くん。今、時間いいかしら?』

一夏『た、楯無さん!?』

楯無『あら、箒ちゃんもいたんだ。話は聞いてるわよー、最近ラブラブらしいじゃない♪』

箒『なっ!わ、私と一夏はそんな…!///』

楯無『ふふーん、一夏くんの服の裾を握り締めながら言っても説得力がないわよ』ニヤニヤ

箒『あっ…/////』カアァァァ

一夏『それで、どうしたんですか楯無さん?ほら、箒もいつまで赤くなってるんだよ』ヨシヨシ

箒『し、しかし一夏…!///』

172: 2011/12/12(月) 02:22:54.59 ID:g0RH7EtL0
楯無『随分とナチュラルにイチャつくのね……まぁいいわ』

楯無『別に大したことじゃないんだけどね。ちょっと生徒会の方ですぐに処理しなきゃいけない問題があって、副会長さんにも手伝ってもらいたいのよ』

一夏『俺がですか?別に構いませんけど…』

楯無『というわけで、ちょっと一夏くんのこと借りるわね』

楯無『一夏くんを取られちゃうからってやきもち妬いちゃだめよ?』

箒『わ、私はやきもちなどっ!///』

楯無『あはは、箒ちゃんったらすぐ真っ赤になって可愛いわね。心配しなくても用が済んだらすぐ帰すから。行くわよ、一夏くん』

一夏『悪いな、箒。すぐ戻るからここで待っててくれ』

箒『あぁ、分かった…』

174: 2011/12/12(月) 02:24:54.46 ID:g0RH7EtL0
箒『………遅い』

箒『一夏のやつ、すぐに戻ると言ったくせに…』ムスーッ

箒『まさか今頃、生徒会室で…』ポワンポワンポワーン

-------------------------------------------------------------

一夏『だ、ダメですよ楯無さん…』

楯無『大丈夫よ、今ここには私たちしかいないんだから。私、スタイルだったら箒ちゃんにだって負けてないわよ?』

一夏『そういう問題じゃなくて!』

楯無『いいからいいから♪』

一夏『た、楯無さん!』

-------------------------------------------------------------

箒『はっ、な、何を考えているのだ私は!』ブンブン

箒『一夏は私を好きだと言ってくれたのだ、その一夏に限ってそのようなことがあるものか!…あるものか……』

箒『一夏……』パタン

箒『早く、帰ってきて……』

箒『Zzz…Zzz……』スースー

175: 2011/12/12(月) 02:26:56.68 ID:g0RH7EtL0
箒『ん、んんっ……』パチッ

箒『眠ってしまっていたのか…』

箒(どれくらい時間が経ったのだろう…一夏はまだ帰ってきていないし…)

箒(起き上がって時間を確認するのも面倒だ…もう一眠り…)スッ

ガチャ

箒(!!)

一夏『ごめん!すっかり遅くなっちまった!…って、あれ?箒、寝てるのか?』

箒(い、一夏!?何故こうも唐突に帰ってくるのだ!お、思わず目を閉じてしまったではないか!)

一夏『そうだよな…すぐに戻るって言ったのにこんなに遅くなっちまって…寂しかったよな…ごめんな』

箒(うぅ…完全に起きるタイミングを逃してしまった……適当なところで、あたかもたった今目が覚めたというふりをするしか…)

176: 2011/12/12(月) 02:29:03.43 ID:g0RH7EtL0
一夏『それにしても…』ギシッ

箒(あっ、一夏が隣に腰掛けて…)

一夏『箒の寝顔、可愛いな…』

箒(!?/////)

一夏『肌は白くて綺麗だし、まつ毛も長いし…本当に、綺麗になったな…』

箒(/////)カアァァァ

一夏『離れ離れになる前はお互いまだ子供だったのに、気づいたらこんなに大人びてるんだもんな…』ナデナデ

箒(い、一夏が私の頭を撫でて…//)

一夏『箒が見せる嬉しそうな笑顔とか不機嫌そうな顔とか、不安になった時の寂しそうな顔とか恥ずかしがって真っ赤になってる顔とか…全部大好きだぞ』

一夏『IS学園で再会した時も、臨海学校の時に夜の浜辺で二人っきりで話した時も、篠ノ之神社の夏祭りの時も、雑誌の取材を二人で受けた時も…』

一夏『俺はいつだって箒にドキドキさせられっぱなしだ…』

箒(ば、ばかもの!そんなの…私だって……///)

177: 2011/12/12(月) 02:29:47.82 ID:g0RH7EtL0
一夏『自分の気持ちにすら気づくことのできなかった鈍感野郎だけど、これから箒のこと本当に大切にしていくから』

箒(一夏…///)

一夏『箒、好きだぞ』スッ

箒(なっ、一夏!ま、まさか…///)

チュッ

箒(~~~~~っ/////)カアァァァ

一夏『それで……いつまで寝たふりしてるつもりだ、箒?』

箒『!!!???』ガバッ

178: 2011/12/12(月) 02:31:25.85 ID:g0RH7EtL0
箒『い、いいいいい一夏!?き、気づいていたのか!?』

一夏『そりゃそうやって耳まで真っ赤になってたらな…』チラッ

箒『なっ!///い、いつからだ!一体いつから起きていると気づいていた!』

一夏『えーっと…『肌は白くて綺麗だし、まつ毛も長いし…』ってあたりからかな?』

箒『ほとんど初めからではないか!///』

一夏『いや、だって…喋ってたら箒の顔がどんどん赤くなっていくから…///』

箒『起きていると分かっていて…キ、キスまでしたのか…///』

一夏『あぁ、それは不意打ちでキスしたら箒が可愛い反応するだろうなと思っt』

箒『こ、この馬鹿者!///ね、寝込みを襲うなどと、男の風上にも置けんやつだ!///』

一夏『寝込みって…起きてたじゃんか』

箒『う、うるさい!/////』

一夏『あーもー、どんどん真っ赤になっちゃって可愛いな箒は』ギュッ

箒『い、一夏!?///そんなことを言ってごまかそうとしてもダメだ!一体いつからお前はそのような軟派な男に…!』

一夏『とか言いつつしっかり背中に手を回してるんだよな。相変わらず素直じゃないよなぁ、箒は』ニヤニヤ

箒『~~~~~~~っ!/////』カアァァァ

181: 2011/12/12(月) 02:34:05.21 ID:g0RH7EtL0
一夏『その、箒』

箒『な、なんだ…』

一夏『さっき言ったことは…その、全部俺の本当の気持ちだからな。嘘なんかじゃないぞ』

箒『一夏…』

一夏『俺は箒のことが好きだ。世界中の誰よりも、箒のことを大切にするから』

箒『私は、世界一の幸せものだな…』フッ

箒『私も一夏のことが好きだ。小学生の時に、私が男子にからかわれていたのを一夏が助けてくれたあの時からずっと私は一夏のことが好きだった』

箒『お前の境界のない優しさや、曲がったことを許せない真っ直ぐなところ、内面的な強さに私は惹かれていたんだと思う』

182: 2011/12/12(月) 02:34:56.46 ID:g0RH7EtL0
箒『IS学園で6年ぶりに再会した時は記憶の中の一夏と目の前の一夏の違いに戸惑うこともあったが、お前は根っこの部分では何も変わっていなかった』

箒『だからこそ私は、もっともっと一夏のことを好きになれたのだと思う』

一夏『箒…(そこまで俺のことを…)』

箒『私は一夏とずっと一緒にいたい。お前が私を世界中の誰よりも大切にしてくれるというのなら、私もその隣で一夏の背中を守りたい。一夏の支えになりたい!』

一夏『どうやら世界一の幸せものは俺の方みたいだな…』

一夏『箒、ずっと一緒にいような。箒のこと、必ず幸せにするから』

箒『一夏…///』

一夏『箒…///』

チュッ

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183: 2011/12/12(月) 02:36:02.22 ID:g0RH7EtL0
箒「と、いうわけなのだ…///」

鷹月「」

鷹月(なんというか…予想の遥か上をいくのろけっぷりだわ…)

箒「一夏のやつ、私が起きていると分かっていながらあんなに恥ずかしいことを…!///しかも、『箒が可愛い反応するだろうなと思った』などと///」

箒「決して嫌だったわけではないぞ!嫌ではないのだが、いきなりああいうことをされると…こっちも心の準備というものが……/////」モジモジ

箒「その上開き直って『可愛い可愛い』と連呼して…今後もああいうことを何度もされると…恥ずかしくて一夏と顔を合わせられなくなってしまいそうだ…/////」カアァァァ

鷹月(こんな話を聞かされたんじゃ、私も恥ずかしくて織斑くんと顔を合わせられなくなりそうだわ…)

箒「って、聞いているのか静寐!」

箒「先日など、私が恥ずかしいと言っているのに一夏のやつ、私をお、お姫様抱っこしてだな…膝の上に座らせて後ろから私を抱きしめて…///」

鷹月「………」



鷹月(きっとこれからも篠ノ之さんののろけ話に付き合わされることになるんだろうな…)

鷹月(あまりの甘さに胸焼けを起こしそう)

鷹月(でもまぁ、二人が幸せだっていうなら……こんな毎日も、悪くはないかな)


fin

184: 2011/12/12(月) 02:37:05.85 ID:fOagCoyt0
>>1乙

185: 2011/12/12(月) 02:37:32.20 ID:0xmcDnd20
乙。
大儀であった。OVAも箒ちゃんかわいかったなー

191: 2011/12/12(月) 02:39:53.19 ID:g0RH7EtL0
今度こそ本当におしまいです
本当はもっとイチャイチャさせたかったんですが色々力不足でした
付き合ってくれた方々、ありがとうございました

: 箒「一夏の様子がおかしい…?」