4: ◆3Y/5nAqmZM 2013/07/01(月) 17:43:57.90 ID:uTDf1N9Ro



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ




 「あれ・・・何でしょう、これ?」

事務所を閉め、アパートへ戻った都は、郵便受けにやたら分厚い封筒が突き刺さっているのを見つけた。

「あぁ、やっと届いたみたいですね」

「翠さん、何かご存じなんですか?」

ぽん、と手を叩いて顔を綻ばせる翠。都が聞くと、彼女は笑顔で、


「妖精界に頼んでおいた、『秘宝』に関する資料です」「・・・はい?」


事もなげに素っ頓狂な事を言い出した。

「かなり細かく調べてもらうように言っておいたので、時間が掛かったみたいですね」

「・・・・・・それが、何で郵便受けに突っ込まれてるんですか・・・?」

「お仕事中に見せて邪魔になってはいけないと思って、こちらに届ける様にお願いしたんです」

無地の茶封筒から中身を取り出してみると、確かに見たこともない文字で何やら長々と書かれている。同封されていた眼鏡を通して見ると、意味のある文章として読み取ることができた。

(・・・なんかもっとこう、魔法かなにかで部屋の中に届けておくとかできなかったんだろうか)

少々げんなりした気分になりながら、これで少しは『秘宝』探しの依頼も進展するだろうか、と気合を入れなおす都であった。







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





シリーズはここからご覧ください
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




5: 2013/07/01(月) 17:44:40.91 ID:uTDf1N9Ro
「えっと・・・うん、これで全部かな」

そのころ、由愛は一人で商店街に居た。商店街の人たちともすっかり顔なじみになり、ここ最近の安斎家では買い物は彼女のお仕事になっている。

王族、それも末娘であることから、生来身の回りのことは周りの妖精達がやってくれていた由愛にとって、自分がこうして誰かのために何かをすることは新鮮で面白かった。

しばらく前まで「お一人では何かあったら危険です」とついてこようとした翠も、今では納得してくれた。

(早く帰って、ご飯の準備しないと・・・あれ?)

アパートへ向かって歩き出そうとした由愛は、不意に自分を見つめる視線を感じた。

振り向いて見ると、銀の髪を二つにくくり、先をロールさせた髪型の少女が、こちらをじっと見つめている。

(え、っと・・・誰、だろう。あっ)

と、こちらが見返したことに気づいたらしい少女が、ふい、と目を逸らして立ち去っていく。

何だったのだろう、と一つ首をかしげ、由愛は改めて帰路についた。

6: 2013/07/01(月) 17:45:44.17 ID:uTDf1N9Ro
「・・・・・・ふむ」

資料には、『秘宝』とはこういったものである、こんな力を持っている、といった直接の記述は少ない。

その代わり、『秘宝』を手に妖精の国を興したという初代の妖精王について、並びに建国の経緯について詳しいの資料が見つかったのは幸いだった。

それによると、妖精族とは、かつて魔界を離れた魔族たちが、より魔法・魔術に長けた形で性質を変えた存在なのだという。

別の種との戦争が起こった際、争うことをよしとしない魔族の集団が時空を越え、新たな世界で国を造り上げた。

(・・・その建国の英雄、初代の妖精王が手にし、国の礎を作り上げるために使用したマジックアイテムこそが『妖精の秘宝』、というわけですね)

『秘宝』の力を引き出すことができたのは初代の王のみであり、現在では式典や祭典において儀礼用に扱われるのみであるらしいが、さぞや強大な力を持っていたのだろう。

それが持ち去られ、野放しになっている状況というのは、改めて考えると非常に危険だ。

(これだけの情報があれば、少しくらいは何かわかるかもしれません)

都は、白紙の本を手に取り、『見通す者の目』を行使せんと意識を集中する。


「・・・あ、れ」

しかし、本を開くと同時に身体から力が抜け、ぐらり、と倒れ込んでしまった。


「み、都さん!?大丈夫―――」

7: 2013/07/01(月) 17:47:08.19 ID:uTDf1N9Ro
・・・・・・ぐぅ。

「―――みたい、ですね」

「あ、あはは・・・お恥ずかしい」

あらゆる情報を見通す『目』の力だが、使用するためには気力と体力を大きく削られる。対象が多くの情報を必要とする『秘宝』のようなものであれば尚更だ。

「ただいまー・・・み、都さん!?どうしたんですか・・・?」

「あ、由愛さんお帰りなさい。いや、その、これはですね・・・」

「お帰りなさい、由愛様。ふふっ、心配いりませんよ。少し、お腹が減っただけですから」

「み、翠さん!・・・うぅ、そういうことなので、心配はいりません・・・」

「な、なんだ・・・良かった、何かあったわけじゃくって。すぐ、ご飯の用意しちゃいますね」

「お手伝いします、由愛様。都さんは、机の上の資料を片づけておいてください」

「は、はい・・・とりあえず、『検索』はご飯を食べてから、ですね」

よいしょ、と力を込めて起き上がり、都は資料を封筒にしまっていく。


(・・・そういえば、『秘宝』が見つかったら、お二人はやっぱり、妖精の国へ帰ってしまうんですよね)

資料を片付けながら、ふとそんな事が都の頭をよぎる。

(・・・それは、少し寂しいかもしれません)

賑やかになった事務所が、また自分一人になってしまうのか。そう思うと、少しだけ、都の顔に暗い影がさした。

8: 2013/07/01(月) 17:47:40.35 ID:uTDf1N9Ro

「・・・・・・あの娘」

「?どうしたの、昼子ちゃん」

少し時間を遡り、夕暮れの商店街。神崎昼子こと悪姫ブリュンヒルデは、ある少女をじっと見つめていた。

「・・・ッ」

しばらく黙って見ていたブリュンヒルデだが、相手が視線気づいたのか見返してくると、ふっ、と視線を逸らして歩き出す。

(あ奴、一体何者だ?魔族と近い魔力の波長を感じたが、しかし何かが決定的に違う・・・何なのだ、この奇妙な感覚は・・・)


―――ブリュンヒルデが知らないのも無理は無い。かつて、竜と魔族の争いから背を向けた一派のことは、魔界の殆どの資料に残されていない。

―――妖精として種が分化した後も、彼らと魔族の交流は断絶されたままであり、妖精の存在を知る魔族は、全くといっていいほど存在しないのだ。


(・・・父上なら、何かご存じだろうか。いや、しかし・・・)

蘭子の召喚に応じ、人間界へとやってきて以来、父とは一度も連絡を取っていない。今父と会うのは、何と言うか、少し気まずいものがある。

待って、昼子ちゃーん、と追いかけてくる蘭子の声を聞きながら、どうしたものか、と思考を巡らす悪姫であった。

9: 2013/07/01(月) 17:48:10.20 ID:uTDf1N9Ro
※妖精族
かつての魔族と竜族の争いにおいて闘う事を良しとせず、魔界を離れた者たちの末裔。
魔族と比べると、身体能力に劣る代わりに魔法・魔術の扱いに長ける。
現在の魔界とは交流が断絶しており、妖精界の存在を知る魔族はほとんどいない。

※妖精の秘宝
魔界から離れた者たちの中心人物で、後に妖精の国を建国し初代の王となった魔族が持っていたというマジックアイテム。
使用者が望む力を発揮するのに最も相応しい形を取るとされ、一定した形を持たない。(最後に確認されたのは『本の形』)
初代の王以外に力を扱いきれた者はおらず、現在では王位継承などの式典で儀礼的に使用されるのみとなっている。
非常に強力なマジックアイテムであるらしいが、具体的に何ができるのかなどの詳しい記録は残されていない。

10: 2013/07/01(月) 17:49:50.79 ID:uTDf1N9Ro
ということで、妖精組の設定掘り下げてみましたー

11: 2013/07/01(月) 17:51:59.89 ID:VW2z0cKD0
乙です。前スレは埋めてきましたー

妖精族、魔界関係者だったのか…検索結果が気になるところ

12: 2013/07/01(月) 18:02:52.83 ID:cSbilM9mo
  ――まるでマグマのように熱く、赤いそれ。

「こ、こんなのっ……むぅーりぃ……」

  この世の邪悪をその身に宿らせた『七つの大罪』にすらそれはあまりに重く。

「わからない……わからないわ……」

  地底の遥かに進化したテクノロジーですら理解することはできない。

「あかん……流石にこれ以上は赤字ですわ……」

  そこへもたらされる一筋の光。

「ウサミン星の技術なら……あるいは……」

  全てを知る少女に、望みが託される。

「水を………飲むのは……ダメ……らしいです……」

「そうか……この辛さは脂溶性だから……!」

  はたして、彼女たちの命運は!?

「諦めちゃダメ……!」

  次回、「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」パート3!

      激突、激辛カレー! の巻!

              「完食ゥゥゥウウウウ!!!」

※この予告は本編とはなんの関係もありません



っていう埋めネタを考えてたら埋まってた。おっつおっつばっちし☆
妖精組も話が動いてるなぁ……




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3